JPS6366353B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は水膨潤性間隙充填用塗料組成物に関す
るものである。従来、鋼矢板を使用する土木工事
においては、水漏れが生ずるため工事がおくれた
り、あるいは水漏れ対策として鋼矢板の二重打
込、排水能力を増強するなどが行なわれている。

漏水防止には上記のような手段のほかに、鋼矢
板の爪部にグリース状のものを塗布したり、粘
土、パテなどを詰め込んだりする方法がとられて
いるが、いずれの場合も、手間がかかり、また完
全に目的を満すことは困難であつた。

本発明者らは主にこのような間隙充填の用途に
使用される塗料組成物を種々検討した結果、その
目的を達しうることを見出し、本発明を完成する
に至つた。

すなわち、本発明の目的は水不溶性でかつ吸水
率が0.5％以上の成膜可能なるポリマーの有機溶
媒溶解物に主成分として、高吸水性ポリマーを混
合してなる水膨潤性塗料組成物を提供することに
ある。

本発明の内容をさらに具体的にのべる。本発明
に用いる成膜可能なポリマーとしては例えばポリ
酢酸ビニル、ポリ酢酸セルロース、ポリビニルブ
チラール、酢酸ビニル−エチレン共重合体等であ
り、水に不溶性であるが、A.S.T.MD−570に規
定する吸水率が0.5％以上で、有機溶媒に溶解す
るもので成膜性があれば良い。

本発明に用いられる高吸水性のポリマーは公知
の天然、半合成あるいは合成高分子から成り、水
を吸水して自重の数十倍から千数倍に膨潤するも
のである。具体的には、エチレン（Ｘ）とビニル
エステル（Ｙ）とエチレン系不飽和カルボン酸ま
たはその誘導体（Ｚ）を主成分として、該成分が Ｘ：（Ｙ＋Ｚ）＝０：100〜15：85 Ｙ：Ｚ ＝20：80〜80：20 なる範囲のモル比で構成される共重合体のケン化
物またはアクリル酸および／またはアクリル酸塩
架橋重合体を主体とする高吸水性ポリマーであ
る。これらは吸水性、吸水状態でのゲル強度、ゲ
ルの安定性などにおいて極めてすぐれた性質を有
しているので、本発明において優れた効果を発揮
する。なお、高吸水性ポリマーの形態としては粒
状、微粉状、顆粒状、不定形状、繊維状いずれも
使用できるが、好ましくは微粉状のものがよい。

本発明に用いられる高吸水性ポリマーの混合量
は成膜可能なる樹脂100重量部に対して10〜500重
量部が適当であり、好ましくは100〜300重量部が
良い。高吸水性ポリマーの使用量が10重量部以下
では水を吸収したときの膨潤量が少ないため漏水
防止効果も少ない。また500重量部以上では漏水
防止効果が著しく低下するため好ましくはない。

本発明の方法において行なわれる塗料化の方法
は特に制限がなく、成膜可能なるポリマーを有機
溶媒で溶解させたものに、高吸水性ポリマーを混
合して塗料化する。

本発明の組成物は高吸水性ポリマーを主要なる
一成分となるが、その他膨潤状態での塗膜強度を
増大し、高吸水性ポリマーのピンホールをうめる
目的のため必要に応じて種々の充填剤あるいは可
塑剤を加えても良い。

本発明に提案した塗料組成物は鋼矢板を使用す
る土木工事において、あらかじめ鋼矢板の爪部分
に塗布しておき、打込み施工後、水を吸出するこ
とにより、除々に膨潤し、鋼矢板爪部の漏水間隙
を完全にシールするよう考案されたものであり、
本塗料組成物を使用した場合の漏水防止効果は塗
料組成物が水膨潤性を有するため 従来のシリーング材を充填する方法、あるいは
二重打込による方法よりすぐれ、漏水量はほとん
ど認められない。また、打込み前に爪部にハケ塗
りまたは塗装機械等により塗布、自然乾燥をまつ
て使用できるため、工期、あるいは費用の面で大
きなメリツトを生ずることになる。

以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。なお、実施例中における吸水能力は次のよう
にして算出した。

吸水能力（ｇ／ｇ）＝吸水したヒドロゲル／乾燥した
ヒドロゲルまた 部は重量部を表わす。

実施例 １ 酢酸ビニル60部とアクリル酸メチル40部に重合
開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.5を加
え、これを分散安定剤として部分ケン化ポリビニ
ルアルコール0.2部と食塩８部を含む水200部中に
分散せしめ60℃で６時間懸濁重合せしめた。

重合後過して水で洗滌して減圧乾燥する。乾
燥した共重合体8.6部を200部のメタノールと10部
の水および5Nの水酸化ナトリウム水溶液40部か
らなるケン化液中に懸濁し、25℃で１時間ケン化
反応を行なつたのち、さらに65℃に昇温して５時
間ケン化反応を行なつたのち、さらに65℃に昇温
して５時間ケン化反応を行なつた。

ケン化反応終了後メタノールで十分に洗滌した
のち、減圧乾燥することによつて、微粉状のヒド
ロゲルを得た。その吸水能力は750ｇ／ｇであつ
た。

次に酢酸セルローズ20部（イーストマン社製）
アセトン100部に加え、充分溶解させたのち、ヒ
ドロゲル30部加えコロイドミルで粉砕混合する。
得られた塗料を鋼板に乾燥状態でその被膜厚みが
約１mmになるよう塗布した。充分乾燥したのち水
中に浸漬し１時間後その厚み変化を測定した結果
平均約10mmとなつた。

実施例 ２ 重合槽中に水133部を仕込み、水酸化ナトリウ
ム44.7部を加え撹拌しながら溶解させる。氷冷し
ながらアクリル酸100部を除々に加え撹拌しなが
ら中和させた。過硫酸カリウム0.0677部および
Ｎ，N′−メチレンビスアクリルアミド0.01部を加
える。さらにソルビタンモノステアレート６部お
よびノルマルヘキサン470部を加え撹拌しながら
60℃で３時間重合させた。重合終了後固液分離し
減圧乾燥することによつて微粉状のヒドロゲルを
得た。得られたヒドロゲルの吸水能力は850ｇ／
ｇであつた。

次に酢酸セルローズ20部（イーストマン社製）
をメチルエチルケトン100部に加え、充分溶解さ
せたのち、ヒドロゲル30部加え、コロイドミルで
粉砕混合する。得られた塗料を長さ2.5ｍの降矢
板爪部に乾燥後の塗膜厚さが約１mmになるように
塗布し、乾燥したのち、打込みを行ない円型状に
組みたて、その内側に水位２ｍまで水を注入し水
位を保つようにした。

注入初期は無塗布の鋼矢板の場合と同様に多量
の漏水があるが、塗料が膨潤するに従つて、漏水
は減少し２時間後には完全に漏水がなくなつた。

実施例 ３ 酢酸セルローズ20部、アセトン100部、実施例
２で得られたヒドロゲル30部、さらにベントナイ
ト50部を使用して、実施例１と同様の方法で塗料
化し、実施例２と同様な実験を行なつた結果１時
間後には完全に漏水がなくなつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ エチレン（Ｘ）とビニルエステル（Ｙ）とエ
   チレン系不飽和カルボン酸またはその誘導体
   （Ｚ）を主成分として、該成分が Ｘ：（Ｙ＋Ｚ）＝０：100〜15：85 Ｙ：Ｚ ＝20：80〜80：20 なる範囲のモル比で構成される共重合体のケン化
   物である高吸水性のポリマー、又はアクリル酸お
   よび／またはアクリル酸塩架橋重合体を主成分と
   する高吸水性のポリマー10〜500重量部と、水に
   不溶で、有機溶剤に可溶で、かつ吸水率が0.5％
   以上の成膜可能なるポリマー100重量部を有機溶
   媒に溶解した溶液とを混合してなる膨潤性塗料組
   成物。