JP2001095300A - 永久磁石式同期モータの制御装置 - Google Patents

永久磁石式同期モータの制御装置

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JP2001095300A JP26513499A JP26513499A JP2001095300A JP 2001095300 A JP2001095300 A JP 2001095300A JP 26513499 A JP26513499 A JP 26513499A JP 26513499 A JP26513499 A JP 26513499A JP 2001095300 A JP2001095300 A JP 2001095300A
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長瀬  博
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孝則 中田
Masaya Furuhashi
昌也 古橋
Yasutaka Suzuki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モータから発生する回生電力をモータの内部
で消費して、モータからの発電電力によるインバータの
直流電圧の上昇を抑制し、制御システム全体を小型かつ
経済的に構築することにある。 【解決手段】 直流電圧を入力し、交流に変換するイン
バータと、永久磁石式同期モータと、q軸電流成分の指
令Iq*を発生するq軸電流指令装置63と、d軸電流成
分の指令Id*を発生するd軸電流指令装置64と、各指
令値Id*,Iq*に応じてインバータを制御する装置を備
えた永久磁石式同期モータの制御装置において、d軸電
流指令装置は、モータ出力電力演算器641、判定器6
42、d軸電流演算器643、切替器644からなり、
d軸電流成分の指令値Idrefをトルク指令T*とモータ
の回転速度ωから算出したモータの回生電力Pmotとq
軸電流成分の指令値Iq*に基づいて演算し、モータが回
生運転状態のとき、Id*として演算したIdrefに切替え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型強力な永久磁
石を界磁に利用した永久磁石式同期モータの制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】小型強力な永久磁石を界磁に利用した同
期モータは、小型化が可能であり、また、モータを含む
駆動装置が小型化でき、効率が向上するメリットがあ
る。このようなモータの制御装置としては、直流電圧を
入力し可変電圧・可変周波数の交流に変換する電圧形の
インバータが用いられ、さらに、インバータに入力する
直流電圧を供給する装置には、回路構成が簡単かつ経済
的であるという理由からダイオードと平滑コンデンサを
用いたコンデンサインプット形のコンバータがよく用い
られる。このような構成の電圧形のインバータにより同
期モータを駆動する場合、モータをある程度の期間で減
速する用途では、モータからの回生電力によりインバー
タ入力側の平滑コンデンサが充電され、直流電圧が上昇
し、インバータのスイッチング素子等が破壊する恐れが
あるため、モータからの回生電力を処理し、平滑コンデ
ンサが充電されないようにする必要がある。この技術
は、上山著「ニュードライブエレクトロニクス」(電機
書院,1984年2月改定第1版発行)87〜88頁に
記載されている。その主な技術としては、インバータ側
と全く同様なスイッチング素子のチョッパブリッジによ
りコンバータを構成し、これを交流リアクトルを介して
交流電源に接続し、交流電源と直流電源間の電力を制御
するものと、抵抗とスイッチング素子を平滑コンデンサ
と並列に構成し、チョッパ動作により回生電力を抵抗に
消費させるものである。このように、上記技術では、回
生電力を処理するための回路を新たに設ける必要があ
る。この回生電力処理回路を不要にする技術として、平
滑コンデンサの直流電圧の値が一定値以上になったら、
モータに印加する電圧の位相を一定角度だけ遅らせる技
術がある。この技術は、例えば特開昭63-35190
号公報に記載されている。しかし、上記の電圧位相を一
定角度だけ遅らせる技術では、モータのトルク管理の概
念がなく、モータの誘起電圧と電流との力率のみに着目
して回生電力を低減するため、制動時に所望の制動トル
クを得ることができない問題がある。特に、エレベータ
のように、乗り心地が優先される用途では、乗り心地を
考慮して作成した速度指令パターンに追従するように、
巻上機用モータのトルクを力行や回生運転状態に関わら
ず、高精度に管理する必要がある。上記技術では、回生
時のトルクを高精度に制御できず、そのため、回生電力
を処理するための回路を設ける以外に方法がなかった。
この結果、永久磁石式同期モータの高精度なトルク制御
が必要な用途では、回生電力処理回路が必要となり、駆
動装置の小型化を妨げる要因の一つになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
事情に鑑み、モータのトルクを力行や回生などの運転状
態に関わらず、精度よく管理した上で、モータからの回
生電力をモータ内部で消費させることにより、回生電力
処理の回路を不要もしくは回路容量を削減し、制御シス
テム全体を小型かつ経済的に構築するに好適な永久磁石
式同期モータの制御装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、永久磁石式同期モータの制御装置において、d軸電
流指令装置おけるd軸電流成分の指令値をモータの力行
運転状態または回生運転状態に応じて切替える。ここ
で、d軸電流指令装置は、モータが回生運転状態のと
き、インバータの直流電圧の上昇を所定値内に抑制する
ために、モータから発生する回生電力をモータの内部で
消費するように、モータの回生電力に応じてd軸電流成
分の指令値を発生する。ここで、d軸電流成分の指令値
は、トルク指令とモータの回転速度から演算したモータ
の回生電力と、q軸電流成分の指令値に基づいて演算す
る。ここで、d軸電流成分の指令値は、インバータの直
流電圧の上限の設定値とその検出値との偏差に基づいて
演算する。ここで、モータが力行運転状態のとき、d軸
電流指令装置におけるモータのd軸電流成分の指令値を
モータが発生する損失を最小化する値とする。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態による永
久磁石式同期モータの制御装置を示す。図1において、
交流電源51の交流電圧はダイオードにより構成したコ
ンバータ52によって直流に変換され、この直流電圧は
平滑コンデンサ53によって平滑され、更にインバータ
54によって可変電圧・可変周波数の交流に変換され
る。インバータ54の出力は永久磁石式同期モータ56
に供給され、これにより同期モータ56を可変速駆動す
る。永久磁石式同期モータ56の回転軸は負荷59に接
続され、さらに、位置検出器57、速度検出器58に接
続される。位置検出器57は、レゾルバやエンコーダな
どが用いられ、同期モータ56の電機子と永久磁石界磁
の相対的位置、すなわち、回転角を検出する。速度検出
器58は、エンコーダなどが用いられ、同期モータ56
の回転速度を検出する。なお、図示の例では、位置検出
器57、速度検出器58を機能に分け、別記したが、実
際にはレゾルバやエンコーダなど同一の機器により構成
してもよい。
【0006】今、速度指令装置61から速度指令ω*が
出力されると、速度検出器58の出力信号ωとの偏差Δ
ωが速度制御装置62に入力される。速度制御装置62
は、この偏差に応じて働き、その出力信号は同期モータ
56のトルク指令信号T*になる。速度制御装置62の
出力信号T*は、q軸電流指令装置63に入力され、q
軸電流指令装置63ではトルク指令信号T*に応じたq
軸電流指令Iq*が演算される。q軸電流指令Iq*は、
同期モータ56の電機子電流ベクトルの磁界方向と直交
する成分の指令であり、電流制御装置65に入力され
る。一方、d軸電流指令装置64は、後述するような方
法により、d軸電流指令Id*を演算する。d軸電流指
令Id*は同期モータ56の電機子電流ベクトルの磁界
と同方向成分の指令であり、その指令信号の主たる目的
は、同期モータ56のトルクだけでなく、運転状態に応
じて同期モータ56の損失の最小化や平滑コンデンサの
直流電圧の上昇を抑制することにある。このd軸電流指
令信号Id*も電流制御装置65に入力される。電流制
御装置65は、位置検出器57からの信号θをもとに、
電流検出器55によって検出した実際の電流iが指令通
りに流れるように制御する。その出力はd軸及びq軸の
直流電圧指令Vd*,Vq*になる。電流制御装置65の
出力信号Vd*,Vq*はPWMパルス発生装置66に入
力され、PWMパルス発生装置66では位相検出器57
からの信号θと直流の電圧指令信号Vd*,Vq*とをも
とに、インバータ54を駆動するPWMパルス信号をイ
ンバータ54に出力する。インバータ54ではPWMパ
ルス発生装置66からのPWMパルス信号により、PW
M制御が実行され、インバータ54の出力電圧、出力周
波数が制御される。このようにして、同期モータ56に
流れる電流が制御され、結果として、力行運転時にはモ
ータの損失を最小化できるとともに、回生運転時には平
滑コンデンサ53の直流電圧を抑制することができる。
【0007】図2は、図1の制御の原理を示す電流、電
圧のベクトル図である。図2において、 Ia:電機
子電流、 Id,Iq:Iaのd,q軸成分 Ea:無負荷誘起電圧、 Va:端子電圧 Ra:電機子抵抗、 xd,xq:d,q軸のリ
アクタンス(xd=xad+xl,xq=xaq+xl
で、xad,xaq,xlは、d,q軸電機子反作用リ
アクタンス及び漏れリアクタンスである。) φ:力率角、 γ:電流位相角、 δ:負荷角 である。
【0008】図2より、力行時においてインバータ54
から同期モータ56へ出力される電力Pinvは、数式
(1)となる。 Pinv=3・Va・Ia・cosφ =3・Va・Ia・cos(γ+δ) =3・{Va・Ia・(cosγ・cosδ −sinγ・sinδ)} =3・{Va・cosδ・Ia・cosγ −Va・sinδ・Ia・sinγ} =3・{(Ea+xd・Id+Ra・Iq)Iq −(xq・Iq−Ra・Id)・Id} =3・{Ea・Iq+(xd−xq)Id・Iq} +3・(Ra・Iq2+Ra・Id2) …(1) 同期モータ56が円筒機の場合、xd=xqであるか
ら、数式(1)は、 Pinv=3・Ea・Iq+3・(Ra・Iq2+Ra・Id2)…(1’) と書き直せる。数式(1’)の右辺第1項が同期モータ
の出力Pmotとしてモータ軸に伝達され、残る右辺第
2項がモータの内部損失Plossとなる。従って、数
式(1’)は、 Pinv=Pmot+Ploss …(2) Pmot:モータ軸出力,Pmot=3・Ea・Iq Ploss:モータ内部損失, Ploss=3・(Ra・Iq2+Ra・Id2) で表せる。モータが回生運転状態では、モータは発電機
として働くため(インバータからモータへ向う電力を正
極性に定めたため、回生時のPmotは負極性にな
る。)、数式(2)は、 Pinv=−Pmot+Ploss …(2’) となる。数式(2’)の回生時において、モータ軸から
の発電電力(|−Pmot|)がモータの内部損失(|
Ploss|)より大きくなると、インバータ出力電力
Pinvの極性は負極性を示し、モータからインバータ
に電力が流入する。この流入した電力がインバータ入力
の平滑コンデンサを充電し、直流電圧を上昇させる。一
方、モータのトルクTは、 T=Pmot/ω =3・p/2・{Φa・Iq+(Ld−Lq)Id・Iq}…(3) と表わされる。ここで、 ω:モータ軸の回転角速度,ω=ω1/(p/2) ω1:電気回転角周波数,p:モータの極数 Φa:磁束 Ld,Lq:d,q軸のインダクタンス であり、 Ea=ω1・Φa …(4) xd=ω1・Ld,xq=ω1・Lq …(5) である。このとき、同期モータ56が円筒機の場合、L
d=Lqであるから、トルクTは、 T=3・p/2・Φa・Iq …(6) のように表わされる。この結果、トルクTは、電流のq
軸成分Iqのみに比例する。従って、力行や回生などの
運転状態に関わらず、電流のq軸成分Iqを必要なトル
クに応じて制御すれば、精度の良いトルク制御が行われ
ることが分かる。このように、電流のd軸成分Idは、
トルクの発生に寄与しないため、トルク制御系において
独立変数として扱える。これを利用して、力行運転状態
では、d軸成分Idを零に設定して制御することによ
り、数式(2)のモータの内部損失Plossを最小化
でき、インバータの出力電力Pinvをモータ軸出力P
motへ有効に変えることができる。
【0009】他方、回生運転状態では、d軸成分Idの
制御目的をカ行時とは違う目的にする。その目的とは、
モータからインバータに流入される電力をモータの内部
損失で調整し、インバータ入力段の平滑コンデンサの直
流電圧の上昇を抑制することである。この目的を達成す
る原理について次に述べる。回生時におけるインバータ
の出力電力Pinvの式を数式(2’)で説明したよう
に、モータ軸からの発電電力Pmotがモータの内部損
失Plossより大きくなると、インバータ出力電力P
invが負極性となり、モータからインバータに電流が
流入し、インバータ入力段の直流電圧が上昇する。ここ
で、モータ軸からの発電電力Pmotは、トルク制御上
で一意に決まるため、調整することはできないが、モー
タの内部損失Plossは、d軸成分Idの項を含むた
め、調節することができる。従って、d軸成分電流を適
当な値に制御すれば、モータの内部損失Plossを調
整でき、その結果、インバータの出力電力Pinvを調
整できることが分かる。インバータ入力段の直流電圧の
上昇を抑制するためには、平滑コンデンサ53への充電
電力、すなわち、インバータ出力電力Pinvを零にす
ればよい。以上のことから、数式(2’)において、P
inv=0を代入して得られる条件、Pmot=Plo
ssに基づいて、d軸電流成分の値を決定し、これがモ
ータに流れるように制御すれば、前記目的は達成できる
ことが分かる。このように、回生運転状態では、モータ
軸からの発電電力をd軸電流成分によって調整されたモ
ータの内部損失で相殺するため、インバータ入力段の直
流電圧の上昇を抑制できる。
【0010】図3は、上記の原理を応用したd軸電流指
令装置64の構成例である。図3では円筒機の場合(L
d=Lq)であり、q軸電流指令信号Iq*はq軸電流
指令装置63で速度制御装置62からのトルク指令T*
を数式(6)の原理により変換したものである。d軸電
流指令装置64は、モータ出力電力演算器641、判定
器642、d軸電流演算器643、切替器644からな
る。モータ出力電力演算器641は、速度制御装置62
からのトルク指令T*と速度検出器58からの回転速度
ωから、数式(7)により、モータの出力電力Pmot
を演算する。 Pmot=ω・T* …(7) 判定器642は、モータ出力電力演算器641で演算し
たモータ出力電力Pmotの極性を判定し、切替器64
4に指令切替信号を出力する。d軸電流演算器643で
は、q軸電流指令装置63からのq軸電流指令Iq*と
モータ出力電力演算器641からのモータ出力電力Pm
otから、数式(8)に基づいて演算を行い、d軸電流
Idrefを演算する。 |Pmot|=Ploss |Pmot|=3・(Ra・Iq2+Ra・Id2) Idref=√{(|Pmot/3|−Ra・Iq2)/Ra}…(8) 切替器644は、判定器642からの指令切替信号に応
じてd軸電流指令Id*に設定する電流値を切替える。
すなわち、Pmot≧0(モータ力行運転状態)なら
ば、Id*=0、Pmot<0ならば、Id*=Idre
f(モータ回生運転状態)とする。このように、d軸電
流指令Id*を制御することにより、モータ軸からの発
電電力を内部損失で相殺できるため、インバータ入力側
の直流電圧の上昇を抑制することができる。
【0011】こうして得られた電流指令Iq*、Id*は
電流指令装置65に入力される。図4は、電流制御装置
65の具体的な構成例を示す。本例の基本構成は周知で
あり、例えば、電気学会論文誌D,117巻,5号(1
997年7月),589頁,図5に記載されている。図
4の構成は、図2のベクトル図からd,q軸の電圧成分
を演算し、さらにd,q軸の電流の指令と実際値との偏
差に応じて働くACR−d,qを備えている。Id/I
q演算器651は位置検出器57からの界磁磁極位置
(電気的回転角)θに応じた正弦または余弦信号を基準
に、電流検出器55からの3相の瞬時電流検出値iu,
iv,iwを用いて各電流の成分Id,Iqを演算す
る。電流制御装置65の出力はd,q軸の電圧指令信号
Vd*,Vq*であり、PWMパルス発生装置66では、
このId/Iq演算651の逆演算を行ってPWMパル
ス作成に用いる正弦波状の変調波信号を作成する。この
演算は周知なので、省略する。
【0012】図5は、このような制御の有無による特性
を示す図である。(a)は本発明の制御を行ったときの
特性例、(b)は本発明の制御を行わず、d軸分の電流
は零とし、q軸分の電流制御のみをトルクに応じて行う
場合の特性例を示す。(a)の例では、トルクTが正で
力行運転状態、負で回生運転状態にあり、モータが回生
運転状態になる速度ωの減速点から、d軸電流Idをモ
ータ軸からの発電電力に応じたモータ内部損失を発生さ
せるために必要な値だけ、負の方向に増加させる。ま
た、q軸電流は数式(6)から分かるようにトルクに比
例させる。d軸電流をこのように制御すると、d,q軸
電流成分のベクトル和である電機子電流Iaは増加する
ものの、インバータの直流電圧Vdcの上昇を抑制す
る。このため、回生電力消費用の回路を省くことができ
る。また、モータが回生運転状態になる上記減速付近以
外では、d軸電流Idが零に制御され、モータの損失を
最小化する高効率運転が行われていることが分かる。一
方、(b)のようにd軸分を常に零にすると、モータ軸
からの発電電力からモータの内部損失を差し引いた分の
電力が平滑コンデンサ53に充電され続け、インバータ
の直流電圧Vdcは上昇する。このような現象を防ぐた
めに、抵抗とスイッチング素子を平滑コンデンサと並列
に構成する回生電力消費用回路が必要になり、その結
果、制御システムの小型化が妨げられてしまう。以上の
ように、本実施形態によれば、抵抗とスイッチング素子
等で構成される回生電力消費用の回路を用いることな
く、回生電力による直流電圧の増加を抑制することがで
きるので、小型かつ経済的なシステムを構築することが
できる。
【0013】図6は、図3に示したd軸電流指令装置6
4の他の構成例を示す。図6において図3と同一番号は
同一のものを示す。図6の構成例は、インバータの直流
電圧の指令値とその検出値にしたがってd軸電流指令信
号Id*を出力する点に特徴がある。直流電圧検出器6
7は、インバータ入力段の平滑コンデンサ53の電圧V
dcを検出する。直流電圧上限設定器645は、平滑コ
ンデンサ53の直流電圧の上限値Vlimを設定する。
d軸電流調節器646は、直流電圧上限設定器645と
直流電圧検出器67との出力信号に応じて働く。d軸電
流調節器646の出力はd軸電流指令信号Id*とな
る。d軸電流調節器646は、直流電圧上限設定器64
5からの指令信号Vlimと直流電圧検出器67からの
直流電圧信号Vdcとの偏差に応じてd軸電流指令信号
Id*を出力するようにフィードバック系を構成する。
また、平滑コンデンサ53の直流電圧が所定値を越えよ
うとするときのみ(VlimとVdcの偏差が負)、こ
のフィードバック系は動作を行う。このように構成する
と、図3の構成例に比較して、直流電圧検出器67を新
たに必要とするものの、d軸電流指令信号Id*の作成
にモータ定数が不必要になるため、モータ定数の誤差の
影響を受けずに、安定した制御が可能となる利点があ
る。
【0014】図7は、本発明をエレベータに応用した実
施形態を示す。図7において図1と同一番号は同一のも
のを示す。同期モータ56の軸端にシーブ2を接続し、
シーブ2に巻付けられたロープ4を介して乗りかご1と
カウンタウエイト3が接続される。同期モータ56、す
なわちシーブ2の回転にしたがって乗りかご1は昇降す
る。本発明による制御装置は、エレベータのように加減
速を必ず行う図5のような負荷特性をもつ駆動系に適用
すると、その効果が顕著である。
【0015】以上の説明において、抵抗とスイッチング
素子等で構成される回生電力消費用の回路と、本発明に
よる制御装置とを併用した場合の例については、図示し
なかったが、併用した場合についても、本発明による制
御装置により回生電力消費用の回路の部品(抵抗やスイ
ッチング素子)の定格容量を低減することができるの
で、回路部品を小型化できることは明らかであり、その
結果、制御システム全体を小型かつ経済的に構築するこ
とができる。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
永久磁石式同期モータからの発電電力がインバータの直
流電圧側に回生しないように、モータの磁界と同方向の
電流成分(d軸電流成分)を制御するため、抵抗とスイ
ッチング素子等で構成される回生電力消費用の回路を用
いることなく、回生電力による直流電圧の増加を抑制す
ることができる。この結果、制御システム全体を小型か
つ経済的に構築することができる。また、永久磁石式同
期モータの運転状態が回生になる領域において、モータ
から発生する回生電力がモータの内部で消費するよう
に、モータの磁界と同方向の電流成分(d軸電流成分)
をモータの発電電力に応じて発生させることによって、
または、インバータに入力する直流電圧に応じて発生さ
せることによって、インバータの入力側の直流電圧の上
昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による永久磁石同期モータ
の制御装置
【図2】制御原理を説明するためのベクトル図
【図3】本発明のd軸電流指令装置の構成例
【図4】電流制御装置の構成例
【図5】本発明による特性を示す図
【図6】本発明の他のd軸電流指令装置の構成例
【図7】本発明の応用例
【符号の説明】
1…乗りかご,2…シーブ,3…カウンタウエイト,4
…ロープ,51…交流電源,52…コンバータ,53…
平滑コンデンサ,54…インバータ,55…電流検出
器,56…同期モータ,57…位置検出器,58…速度
検出器,59…負荷,61…速度指令装置,62…速度
制御装置,63…q軸電流指令装置,64…d軸電流指
令装置,65…電流制御装置,66…PWMパルス発生
装置,641…モータ出力電力演算器,642…判定
器,643…d軸電流演算器,644…切替器,645
…直流電圧上限設定器,646…d軸電流調整器,65
1…Id/Iq演算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 保苅 定夫 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 長瀬 博 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 中田 孝則 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 古橋 昌也 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 鈴木 靖孝 東京都千代田区神田錦町一丁目6番地 株 式会社日立ビルシステム内 Fターム(参考) 5H576 AA07 BB03 CC01 DD07 EE09 EE11 FF02 FF04 GG02 HA04 HB01 LL07 LL58

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直流電圧を入力し、可変電圧・可変周波
    数の交流に変換するインバータと、前記インバータから
    給電される永久磁石式同期モータと、前記モータの速度
    指令を発生する速度指令装置と、前記速度指令に前記モ
    ータの速度が追従するようにトルク指令を発生する速度
    制御装置と、前記トルク指令に基づいて前記モータの磁
    界と直角方向の電流成分(q軸電流成分)の指令を発生
    するq軸電流指令装置と、前記モータの磁界と同方向の
    電流成分(d軸電流成分)の指令を発生するd軸電流指
    令装置と、前記q軸電流成分及びd軸電流成分の各指令
    値に応じた電流が前記モータに流れるように前記インバ
    ータを制御する装置を備えた永久磁石式同期モータの制
    御装置において、 前記d軸電流指令装置おける前記d軸電流成分の指令値
    を前記モータの力行運転状態または回生運転状態に応じ
    て切替えることを特徴とする永久磁石式同期モータの制
    御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記d軸電流指令装
    置は、前記モータが回生運転状態のとき、前記インバー
    タの直流電圧の上昇を所定値内に抑制するために、前記
    モータから発生する回生電力を前記モータの内部で消費
    するように、前記モータの回生電力に応じて前記d軸電
    流成分の指令値を発生することを特徴とする永久磁石式
    同期モータの制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記d軸電流成分の
    指令値は、前記トルク指令と前記モータの回転速度から
    演算したモータの回生電力と、前記q軸電流成分の指令
    値に基づいて演算することを特徴とする永久磁石式同期
    モータの制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項2において、前記d軸電流成分の
    指令値は、前記インバータの直流電圧の上限の設定値と
    その検出値との偏差に基づいて演算することを特徴とす
    る永久磁石式同期モータの制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記モータが力行運
    転状態のとき、前記d軸電流指令装置における前記モー
    タのd軸電流成分の指令値を前記モータが発生する損失
    を最小化する値とすることを特徴とする永久磁石式同期
    モータの制御装置。
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