JP2005102385A - モーター制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 回生電力の低減を図る。
【解決手段】 交流モーター9に流れる電流を検出する電流検出器8と、交流モーター9の電流を制御するdq軸電流制御部3,4であって、電流検出値id、iqを電流指令値id0、iq0に一致させるための交流電圧指令値vu、vv、vwを演算するdq軸電流制御部3,4と、交流電圧指令値vu、vv、vwにしたがって交流電圧を交流モーター9に印加する電力変換部7とを備えたモーター制御装置において、交流モーター9を低い効率で駆動するか否かを決定する効率決定部12と、効率決定部12で低い効率で交流モーター9を駆動する決定がなされたときに、交流モーター9に流れる電流の高周波数成分を増加させる電流加工部2を備える。
【選択図】 図1


Description

本発明は交流モーターの制御装置に関し、特に、回生電力の低減を図るものである。
モーターから発生する回生電力をモーター内部で消費し、図13に示すようにモーターからの回生電力によるインバーターのDCリンク電圧の上昇を抑制するようにしたモーター制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
特開2001−095300号公報
しかしながら、上述した従来のモーター制御装置では、モーター内部の銅損を増加させることによって回生電力を低減しているので、d軸電流を大きく増加する必要がある。ところが、IPM(埋込磁石)モーターでは、d軸電流を負の方向に大きくするとリラクタンストルクが増加するため、トルクを所望の値に維持したまま回生電力を低減しようとすると、回生電力の低減幅がより小さくなるという問題がある。
図14により、この問題を詳しく説明する。図14は、モーター電流をdq座標上に表したものであり、図中のトルク一定ライン上のどこでも、その点におけるd軸電流とq軸電流をモーターに流せばトルクが一定になる。また、原点からの距離が電流の大きさを表している。トルク一定ライン上で原点からの距離が最も短い動作点(図中で“最高効率点”と記した点)では、銅損が最少となる。したがって、この近傍の動作点が最高効率点となる。
上述した従来のモーター制御装置では、例えば動作点を最高効率点からd軸電流idが負の方向に大きくなる動作点に移すことによって、電流を大きくして主に銅損を増やし回生電力を低減するものである。しかし、d軸電流を負の方向に大きくすることによって、IPMモーターでは上述した問題が発生することになり、d軸電流の増加を少なく抑制した上で回生電力の低減量を大きくする必要がある。
低い効率で交流モーターを駆動する決定がなされたときに、交流モーターに流れる電流の高周波数成分を増加させる。
本発明によれば、交流モーターにおける鉄損が増加し、わずかな電流の増加で効果的に交流モーターの運転効率を低下させることができ、回生時のインバーターのDCリンク電圧の上昇を抑制することができる。
《第1の実施の形態》
本願発明をIPM(埋込磁石)モーターのベクトル制御装置に適用した第1の実施の形態を説明する。図1は第1の実施の形態の構成を示す。この制御装置は、トルク制御部1、電流指令加工部2、dq軸電流制御部3、dq/3相変換部4、3相/dq変換部5、位相・速度計算部6、電力変換部7、電流検出器8、IPMモーター9、パルス発生器10、バッテリー11、効率決定部12などから構成される。なお、dq軸電流制御部3、dq/3相変換部4、3相/dq変換部5および電流検出部8がdq軸電流制御系を構成する。
トルク制御部1は、トルク指令値Teとモーター速度ωeとに基づいて、IPMモーター9の電機子電流ベクトルの磁界方向の成分であるd軸電流指令値id1と、d軸と直交するトルク方向の成分であるq軸電流指令値iq1を演算する。電流指令加工部2は、効率決定部12の加工指令f_effにしたがってdq軸電流指令値id1、iq1の加工を行い、最終dq軸電流指令値id0、iq0を生成する。効率決定部12は、バッテリー11の充電状態SOC、トルク指令値Teおよび回転速度指令値ωeに基づいて、モーター駆動系の総合効率を意図的に低下させる必要があるか否かを決定し、決定結果に基づく加工指令f_effを出力する。電流指令加工部2と効率決定部12の動作については後述する。
dq軸電流制御部3は、dq軸実電流id、iqをdq軸電流指令値id0、iq0に一致させるためのdq軸電圧指令値vd、vqを演算する。dq/3相変換部4はdq軸電圧指令値vd、vqを3相電圧指令値vu、vv、vqへ変換し、3相/dq変換部5は3相交流電流iu、ivをdq軸電流id、iqへ変換する。位相・速度計算部6は、パルス発生器10により検出したモーター回転角θmに基づいて、3相交流座標系u、v、wから見たdq座標系の電気的な位相θeとモーター回転速度ωeを計算する。
電力変換部7は、3相交流電圧指令値vu、vv、vwにしたがってバッテリー11の直流電圧を3相交流電圧vu、vv、vwに変換し、IPMモーター9へ印加する。電流検出器8は、IPMモーター9に流れるu相電流iuとv相電流ivを検出する。IPMモーター9は埋込磁石型3相同期モーターである。パルス発生器10はモーター9の所定の回転角ごとにパルス信号を出力する。バッテリー11は直流電力を電力変換部7へ供給する。
この第1の実施の形態は、一般的なベクトル制御装置に対し電流指令加工部2と効率決定部12を加えたものである。一般的なベクトル制御装置では、トルク指令Teにしたがってそのトルクを実現する最も効率の良いdq軸電流指令値を求め、dq軸の実電流が指令値に追従するように制御する。これに対し第1の実施の形態では、効率決定部12の加工指令f_effにしたがってdq軸電流指令値id1、iq1を加工し、生成した最終dq軸電流指令値id0、iq0にdq軸の実電流id、iqを追従させる。
図2は電流指令加工部2と効率決定部12の動作を説明する図である。この図は、時刻t1において、効率決定部12が最高効率での駆動を指示している状態(f_eff=1)から、効率を低下させる駆動を指示している状態(f_eff=0)に変化した場合の動作を示す。時刻t1以前は、効率決定部12が最高効率での駆動を指示している状態(f_eff=1)であるから、トルク制御部1で演算された最高効率で駆動するためのdq軸電流指令値id1、iq1に加工がなされず、そのまま最終dq軸電流指令値id0*、iq1*として電流指令加工部2から出力される。その結果、最高効率でモーター9を駆動できる。
一方、時刻t1以降は、効率決定部12が効率を低下させる駆動を指示している状態(f_eff=0)であるから、次のように動作する。すなわち、電流指令加工部2において、dq軸電流指令値id1、iq1に対してその周波数よりも高い周波数の成分を重畳した最終dq軸電流指令値id0、iq0を生成する。この結果、モーター電流には高周波数成分が含まれ、高周波電流成分が大きくなることによって鉄損が増加し、モーター9が低い効率で運転される。
図3により、dq軸電流指令値の加工方法をさらに詳しく説明する。図3はモーター電流をdq座標上に表したものであり、図中のトルク一定ライン上のどこでも、その点におけるd軸電流とq軸電流をモーターに流せばトルクが一定になる。また、原点Oからの距離が電流の大きさを表している。トルク一定ライン上で原点Oからの距離が最も短い動作点(図中で“最高効率点”と記した点)では、銅損が最少となる。したがって、この近傍の動作点が最高効率点となる。
最高効率でモーター9を運転するためのdq軸電流指令値id1、iq1に高周波数電流を重畳させるには、トルク一定ライン上の任意の点、例えばA点を中心にd軸電流idとq軸電流iqを高い周波数で変化させる。このようにすれば、トルクを変化させずに鉄損を増加させることができる。また、電流最少となる最高効率点から離れた動作点を設定することによって、銅損と鉄損がともに増加し、大きく効率を低下させることができる。
次に、重畳する高周波数電流の周波数と大きさについて説明する。図4は、重畳する高周波電流成分の周波数fhと基本波電流成分の周波数fbとの比率fh/fb(高周波電流成分を一定にした場合)とモーター損失の関係を示す。この図から明らかなように、周波数比率fh/fbが大きくなるほど、高周波電流を重畳した場合のモーター損失が大きくなる。
図5は、重畳する高周波電流成分の大きさmhと基本波電流成分の大きさmbとの比率mh/mb(周波数比率fh/fbを一定にした場合)とモーター損失の関係を示す。この図から明らかなように、大きさの比率mh/mbが大きくなるほど、高周波数電流を重畳した場合のモーター損失が大きくなる。
以上から、効率を大きく低下させるためには、周波数比率fh/fbと大きさ比率mh/mbの両方を大きくすればよいことがわかる。しかし、実際には電流制御上の制限やトルクリップルなどの制限があるので、その制限の範囲内で周波数比率fh/fbと大きさ比率mh/mbを大きくすると良い。なお、電流制御上の制限は、PWMを行う周波数により電流制御可能な周波数の上限が決まるために生じる。例えば、高周波数電流の周波数をPWMを行う周波数の1/6以下にしておく必要がある。また、トルクリップルの制限は、そのモーターが適用されるシステムにより決まる。適用されるシステムで許容されるトルクリップルの範囲内となるように大きさ比率mh/mbを決定する。以上のように、諸条件を勘案した上で損失を増加させる高周波数電流成分の周波数と大きさを決定する。
ところで、効率決定部12から総合効率を低下させる加工指令(f_eff=0)を出力するのは、例えば、バッテリー11の充電状態SOCが高く、且つトルク指令値Teと回転速度指令値ωeとの積が負、すなわちモーター出力が負(回生)である場合に設定しておく。
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、交流モーターの電流検出値を電流指令値に一致させるための交流電圧指令値を演算し、この交流電圧指令値にしたがって交流電圧を交流モーターに印加するモーター制御装置において、低い効率で交流モーターを駆動する決定がなされたときに電流指令値に高周波数成分を重畳させ、交流モーターに流れる電流の高周波数成分を増加させるようにしたので、銅損だけでなく鉄損も増加させることができ、効率を大きく低下させることができる。その結果、回生電力を大きく低減することができ、インバーターのDCリンク電圧の上昇を抑制することができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、d軸電流指令値とq軸電流指令値の両方に高周波数成分を重畳させる例を示したが、いずれか一方の電流指令値に高周波数成分を重畳させてもよい。どちらの場合でも、ベクトル制御方式のモーター制御装置において高周波電流を増加させることができ、交流モーターの運転効率を低下させ、回生電力の低減によってインバーターのDCリンク電圧の上昇を抑制することができる。
また、上述した第1の実施の形態では、dq電流座標上のトルクが一定となるトルク一定ライン上でd軸電流指令値とq軸電流指令値とを変化させるようにしたので、モータートルクを一定に保ちながら、高周波電流を流して効率を低下させ、回生電力の低減によってインバーターのDCリンク電圧の上昇を抑制することができる。
《第2の実施の形態》
dq座標系で基本波電流を制御する基本波電流制御系の他に、特定次数の高調波をdhqh座標系で制御する高調波電流制御系を備えたマルチベクトル制御に対し、本願発明を適用した第2の実施の形態を説明する。なお、この第2の実施の形態では上述した第1の実施の形態と同様なIPMモーター9を用いた例を示す。
図6は第2の実施の形態の構成を示す。なお、図1に示す機器と同様な機器に対しては同一の符号を付して相違点を中心に説明する。トルク制御部1’は、トルク指令値Teとモーター回転速度ωeとからそのトルクを出力するのに必要なdq軸基本波電流指令値id、iqと、dhqh軸高調波電流指令値idh1、iqh1を演算する。通常は、dhqh軸高調波電流指令値idh1、iqh1は0またはその近傍の非常に小さい値である。
電流指令加工部2’は、トルク制御部1’から出力されたdhqh軸高調波電流指令値idh1、iqh1を効率決定部12の加工指令f_effにしたがって加工し、最終dhqh軸高調波電流指令値idh0、iqh0を生成する。
位相・速度計算部6’は、パルス発生器10により検出したモーター回転角θmに基づいて、3相交流座標系u、v、wから見たdq軸基本波電流座標系の電気的な位相θeと、dhqh軸高調波電流座標系の電気的な位相θehと、モーター回転速度ωeを計算する。
ハイパスフィルター20は、dq軸実電流id、iqに含まれている任意の次数の高調波成分を抽出する。dq/dhqh変換部6は、ハイパスフィルター20を通過した電流成分を特定次数の高調波電流に同期して回転するdhqh直交座標系の高調波電流に座標変換する。dhqh軸電流制御部22は、dhqh軸の実電流idh、iqhをそれらの指令値idh0、iqh0に一致させるためのdhqh軸電圧指令値vdh、vqhを演算する。
dhqh/dq変換部23は、dhqh軸電圧指令値vdh、vqhをdq軸電圧指令値vd_dhqh、vq_dhqhへ変換する。加算器24は、d軸電圧指令値vdとdh軸電圧指令値vd_dhqhとを加算して最終d軸電圧指令値vd0を演算するとともに、q軸電圧指令値vqとqh軸電圧指令値vq_dhqhとを加算して最終q軸電圧指令値vq0を演算する。
図6に示す構成要素の内、dq軸電流制御部3、dq/3相変換部4および3相/dq変換部5がdq軸基本波電流制御系を構成し、dhqh軸電流制御部22、ハイパスフィルター20、dq/dhqh変換部21およびdhqh/dq変換部23がdhqh軸高調波電流制御系を構成する。
この第2の実施の形態では、効率決定部12の加工指令f_effにしたがって電流指令加工部2’でdhqh軸電流指令値idh1、iqh1を加工し、生成した最終dhqh軸電流指令値idh0、iqh0にdhqh軸の実電流idh、iqhを追従させる。その結果、dq軸電流指令値id、iq通りの基本波電流id、iqと、dhqh軸電流指令値idh0、iqh0通りの高調波電流idh、iqhとがモーター9に流れる。
図7は、電流指令加工部2’と効率決定部12の動作を説明する図である。この図は、時刻t1において、効率決定部12が最高効率での駆動を指示している状態(f_eff=1)から、効率を低下させる駆動を指示している状態(f_eff=0)に変化した場合の動作を示す。
時刻t1以前は、効率決定部12が最高効率での駆動を指示している状態(f_eff=1)であるから、トルク制御部1’で0に設定されたdhqh軸電流指令値idh1、iqh1に加工がなされず、そのまま最終dhqh軸電流指令値idh0、iqh0として電流指令加工部2’から出力される。つまり、高調波電流成分を0にすることによって、最高効率でモーター9を駆動することができる。
一方、時刻t1以降は、効率決定部12が効率を低下させる駆動を指示している状態(f_eff=0)であるから、次のように動作する。すなわち、電流指令加工部2’において、dhqh軸電流指令値idh1、iqh1に絶対値が0より大きい任意の値を設定し、最終dhqh軸電流指令値idh0、iqh0として出力する。dhqh軸電流を大きくすることは高調波電流の振幅を大きくすることであるから、モーター9は非常に低い効率で運転されることになる。なお、dhqh軸電流指令値idh1、iqh1のいずれか一方に絶対値が0より大きい任意の値を設定するようにしてもよい。
以上説明したように、この第2の実施の形態では、交流モーターの回転に同期して回転するdq座標系において交流モーターの基本波電流を制御する基本波電流制御手段と、dq座標系よりも速い速度で回転するdhqh座標系において交流モーターの高調波電流を制御する高調波電流制御手段とを備え、通常はdh軸高調波電流指令値とqh軸高調波電流指令値に0またはその近傍値を設定し、低い効率で交流モーターを駆動する決定がなされたときには、dh軸高調波電流指令値とqh軸高調波電流指令値のいずれか一方または両方に絶対値が0より大きい任意の値を設定するようにしたもので、上述した第1の実施の形態よりも高い周波数の高調波電流を流すことが可能となり、モーター電流の増加を抑制しながら鉄損をより増加させることができ、効率を大きく低下させることができる。
《第3の実施の形態》
3相誘導モーターのベクトル制御に適用した第3の実施の形態を説明する。誘導モーターのベクトル制御においては、2次巻線に鎖交する磁束である2次磁束と同方向にd軸を設定するとともに、このd軸と直交する方向にq軸を設定し、3相交流座標系を2次磁束と同期して回転するdq座標系に座標変換して取り扱う。すなわち、3相誘導モーターに流れる3相交流電流を、磁界方向成分であるd軸電流と、トルク方向成分であるq軸電流とに座標変換する。なお、その他については上述した同期モーター(IPMモーター)のベクトル制御と同様である。
図8は第3の実施の形態の構成を示す。なお、図1に示す機器と同様な機器に対しては同一の符号を付して相違点を中心に説明する。トルク制御部1’は、3相誘導モーター9’のベクトル制御則にしたがって、トルク指令値Te、モーター速度ωeおよびモーター電気的回転角θreによりdq軸電流指令値id1、iq1を演算するとともに、誘導モーター9’に印加する交流電圧の周波数を演算するための電源位相θeを演算する。位相・速度計算部6は、パルス発生器10からのモータ回転角θmに基づいてモーター速度ωeとモーター電気的回転角θreを計算する。ここで、モーター9’の電気的回転角θreは、モーター9’の回転角θmにモーター9’の極対数pを乗じたもの(θre=p・θm)である。なお、モーター電気的回転角θreに、モーター9’のすべり周波数ωseの積分値を加えたものが電源位相θe(=θre+ωse)である。
図9は電流指令加工部2と効率決定部12の動作を説明する図である。この図は、時刻t1において、効率決定部12が最高効率での駆動を指示している状態(f_eff=1)から、効率を低下させる駆動を指示している状態(f_eff=0)に変化した場合の動作を示す。時刻t1以前は、効率決定部12が最高効率での駆動を指示している状態(f_eff=1)であるから、トルク制御部1’で演算された最高効率で駆動するためのdq軸電流指令値id1、iq1に加工がなされず、そのまま最終dq軸電流指令値id0*、iq1*として電流指令加工部2から出力される。その結果、最高効率でモーター9を駆動できる。
一方、時刻t1以降は、効率決定部12が効率を低下させる駆動を指示している状態(f_eff=0)であるから、次のように動作する。すなわち、電流指令加工部2において、d軸電流指令値id1に高周波数成分を重畳した最終d軸電流指令値id0を生成する。一方、q軸電流指令値id1には加工がなされず、id1を最終q軸電流指令値id0として出力する。この結果、モーター電流には高周波数成分が含まれ、高周波電流成分が大きくなることによって鉄損が増加し、誘導モーター9’が低い効率で運転される。
ところで、誘導モーターをベクトル制御した場合に、励磁電流であるd軸電流idと回転子に鎖交するd軸鎖交磁束(上述した2次磁束)Φdrとの間には次のような関係がある。
Φdr={M・(Rr/Lr)}/{s+(Rr/Lr)}・id ・・・・(1)
つまり、回転子のd軸回転子鎖交磁束Φdrは、d軸電流idに対しカットオフ周波数ωc=Rr/Lrの一次遅れ特性となる。なお、(1)式において、Rrは2次巻線抵抗、Lrは2次巻線インダクダンス、Mは1次、2次相互インダクダンス、Lr/Rrは2次時定数である。
(1)式において、Rr/Lrは誘導モーターの2次時定数の逆数である。したがって、誘導モーターの2次時定数の逆数Rr/Lrより大きい周波数の高周波数成分をd軸電流idに重畳した場合、d軸回転子鎖交磁束Φdrには高周波数成分がほとんど現れないことになる。誘導モーターのトルクは、次式に示すようにd軸回転子鎖交磁束Φdrとq軸電流iqの積に比例するので、d軸回転子鎖交磁束Φdrを変化させないような高い周波数、すなわち誘導モーターの2次時定数の逆数Rr/Lrより大きい周波数でd軸電流を振動させれば、トルクを一定としたままでd軸電流を変化させることができる。
Te=k・Φdr・iq ・・・・(2)
この場合、回転子の磁束は変化しないが固定子の磁束が変化するので、モーターの鉄損を増加させることができる。
このように、第3の実施の形態によれば、d軸電流指令値に誘導モーターの2次時定数の逆数より大きい周波数の高周波成分を重畳させて最終的なd軸電流指令値を生成するようにした。これにより、回転子鎖交磁束がほぼ一定に保たれ、モータートルクをほぼ一定に保ちながら、高周波電流を流して鉄損を増加させ、効率を大きく低下させることができる。
《第4の実施の形態》
上述した第1から第3の実施の形態では電流指令値に高周波数電流を重畳させてモーター制御系の効率を低下させる例を示したが、トルク指令に高周波数成分を重畳させてモーター制御系の効率を低下させる第4の実施の形態を説明する。なお、この第4の実施の形態では、モーターは同期モーターであっても誘導モーターであっても良い。
図10は第4の実施の形態の構成を示す。この第4の実施の形態では、図1に示す第1の実施の形態の構成に対し、図10に示すように、トルク制御部1の前段にトルク指令加工部13を付加するとともに、効率決定部12の加工指令f_effをトルク指令加工部13へ出力する。なお、これ以外の構成については図1に示す第1の実施の形態の構成と同様であり、図示と説明を省略する。
トルク指令加工部13は、加工指令f_effにしたがってトルク指令値Teを加工し、最終トルク指令値Te0を生成する。トルク制御部1は、最終トルク指令Te0とモーター回転速度ωeとに基づいて、dq軸電流指令値id、iqを生成する。
図11はトルク指令加工部13とトルク制御部1の動作を説明する図である。この図は、時刻t1において、効率決定部12が最高効率での駆動を指示している状態(f_eff=1)から、効率を低下させる駆動を指示している状態(f_eff=0)に変化した場合の動作を示す。時刻t1以前は、効率決定部12が最高効率での駆動を指示している状態(f_eff=1)であるから、トルク指令加工部13でトルク指令値Teを加工せず、そのまま最終トルク指令値Te0として出力する。時刻t1以降は、効率決定部12が効率を低下させる駆動を指示している状態(f_eff=0)であるから、トルク指令加工部13でトルク指令値Teに高周波数成分を重畳した最終トルク指令値Te0を生成する。
第4の実施の形態によれば、最終トルク指令値Te0に高周波数成分を重畳するようにしたので、これを基に生成されるdq軸電流指令値id、iqにも高周波数成分が重畳されることになり、モーターを低い効率で運転することができる。
ところで、この第4の実施の形態では、モーターの出力トルクに最終トルク指令値Te0に重畳された高周波数成分と同じトルクリップルが生じることになる。しかし、モーターの負荷の機械的時定数が大きいシステムの場合には、高い周波数のトルクリップルは問題にならない場合が多い。
《第5の実施の形態》
電力変換部7で正弦波PWMの生成に用いるキャリアー(変調用三角波電圧)の周波数を変更することによって、モーター駆動システムの総合効率を変化させるようにした第5の実施の形態を説明する。なお、この第5の実施の形態では、モーターは同期モーターであっても誘導モーターであっても良い。
図12は第5の実施の形態の構成を示す。この第5の実施の形態では、図1に示す第1の実施の形態の構成から電流指令加工部2を削除するとともに、効率決定部12の加工指令f_effを電力変換部7の三角波生成部7cへ出力する。なお、これ以外の構成については図1に示す第1の実施の形態の構成と同様であり、図示と説明を省略する。
電力変換部7は、パワー部7a、PWM電圧生成部7bおよび三角波生成部7cを備えている。三角波生成部7cはPWM波形生成用の三角波キャリアーを生成する。この三角波生成部7cは、効率決定部12からの加工指令f_effに応じて三角波キャリアーの周波数を変更する。PWM電圧生成部7bは、3相の電圧指令値vu、vv、vwと三角波キャリアーとを比較し、両者の交点で1→0または0→1へ信号レベルを変化させてPWMパルスを生成する。パワー部7aは、PWMパルス信号にしたがって駆動回路によりIGBTをオン、オフさせ、バッテリー11の直流電圧をスイッチングしてPWM電圧を生成し、モーターに印加する。
例えば、モーターが誘導モーターである場合には、効率を低下させる駆動を指示している状態(f_eff=0)では、三角波キャリアーの周波数を効率が低下する方に変化させる。三角波キャリアーの周波数を低くすると高周波数電流が増加して効率が低下するシステムでは、加工指令f_eff=0の場合にはf_eff=1の場合よりも三角波キャリアーの周波数を低くする。
このように、効率を低下させる必要がある場合には正弦波PWMの生成に用いるキャリアー(変調用三角波電圧)の周波数を変化させることによって、鉄損に大きく寄与する高周波数電流を増加させることができる。
特許請求の範囲の構成要素と一実施例の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、電流検出器8が電流検出手段を、dq軸電流制御部3とdq/3相変換部4が電流制御手段を、電力変換部7が駆動手段を、効率決定部12が効率決定手段を、電流指令加工部2およびトルク指令加工部13が高周波成分増加手段を、dq軸電流制御部3、dq/3相変換部4および3相/dq変換部5が基本波電流制御手段を、dhqh軸電流制御部22、dhqh/dq変換部23、dq/dhqh変換部21およびハイパスフィルター20が高調波電流制御手段を、位相・速度計算部6’およびパルス発生器10が速度検出手段を、トルク制御部1が電流指令値演算手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
第1の実施の形態の構成を示す図である。 第1の実施の形態の電流指令加工部と効率決定部の動作を説明する図である。 モーター電流をdq座標上に表した図である。 重畳する高周波電流成分の周波数fhと基本波電流成分の周波数fbとの比率fh/fbとモーター損失の関係を示す図である。 重畳する高周波電流成分の大きさmhと基本波電流成分の大きさmbとの比率mh/mbとモーター損失の関係を示す図である。 第2の実施の形態の構成を示す図である。 第2の実施の形態の電流指令加工部と効率決定部の動作を説明する図である。 第3の実施の形態の構成を示す図である。 第3の実施の形態の電流指令加工部と効率決定部の動作を説明する図である。 第4の実施の形態の構成を示す図である。 第4の実施の形態の電流指令加工部と効率決定部の動作を説明する図である。 第5の実施の形態の構成を示す図である。 回生電力によるインバーターのDCリンク電圧の上昇を説明する図である。 モーター電流をdq座標上に表した図である。
符号の説明
1、1’ トルク制御部
2、2’ 電流指令加工部
3 dq軸電流制御部
4 dq/3相変換部
5 3相/dq変換部
6、6’ 位相・速度計算部
7 電力変換部
7a パワー部
7b PWM電圧生成部
7c 三角波生成部
8 電流検出器
9 IPMモーター
10 パルス発生器
11 バッテリー
12 効率決定部
13 トルク指令加工部
20 ハイパスフィルター
21 dq/dhqh変換部
22 dhqh軸電流制御部
23 dhqh/dq変換部
24 加算器

Claims (8)

  1. 交流モーターに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記交流モーターの電流を制御する電流制御手段であって、前記電流検出値を電流指令値に一致させるための交流電圧指令値を演算する電流制御手段と、
    前記交流電圧指令値にしたがって交流電圧を前記交流モーターに印加する駆動手段とを備えたモーター制御装置において、
    前記交流モーターを低い効率で駆動するか否かを決定する効率決定手段と、
    前記効率決定手段で低い効率で前記交流モーターを駆動する決定がなされたときに、前記交流モーターに流れる電流の高周波数成分を増加させる高周波成分増加手段とを備えることを特徴とするモーター制御装置。
  2. 請求項1に記載のモーター制御装置において、
    前記高周波成分増加手段は、前記電流指令値に高周波数成分を重畳させることを特徴とするモーター制御装置。
  3. 請求項2に記載のモーター制御装置において、
    前記電流制御手段は、前記交流モーターの回転に同期して回転するdq座標上で前記交流モーターのd軸電流とq軸電流とを制御し、
    前記高周波成分増加手段は、d軸電流指令値とq軸電流指令値のいずれか一方または両方に高周波数成分を重畳させ、最終的なd軸電流指令値とq軸電流指令値とを生成することを特徴とするモーター制御装置。
  4. 請求項3に記載のモーター制御装置において、
    dq電流座標上のトルクが一定となるトルク一定ライン上で前記最終的なd軸電流指令値とq軸電流指令値とを変化させることを特徴とするモーター制御装置。
  5. 請求項3に記載のモーター制御装置において、
    前記交流モーターは誘導モーターであり、
    前記高周波成分増加手段は、前記d軸電流指令値に前記誘導モーターの2次時定数の逆数より大きい周波数の高周波成分を重畳させて前記最終的なd軸電流指令値を生成することを特徴とするモーター制御装置。
  6. 請求項1に記載のモーター制御装置において、
    前記電流制御手段は、前記交流モーターの回転に同期して回転するdq座標系において前記交流モーターの基本波電流を制御する基本波電流制御手段と、dq座標系よりも速い速度で回転するdhqh座標系において前記交流モーターの高調波電流を制御する高調波電流制御手段とを有し、
    前記高調波電流制御手段はdh軸高調波電流指令値とqh軸高調波電流指令値とを生成し、
    前記高調波成分増加手段は、通常は前記dh軸高調波電流指令値と前記qh軸高調波電流指令値に0またはその近傍値を設定し、前記効率決定手段で低い効率で前記交流モーターを駆動する決定がなされたときには、前記dh軸高調波電流指令値と前記qh軸高調波電流指令値のいずれか一方または両方に絶対値が0より大きい任意の値を設定することを特徴とするモーター制御装置。
  7. 請求項1に記載のモーター制御装置において、
    前記交流モーターの回転速度を検出する速度検出手段と、
    トルク指令値と前記回転速度検出値とに基づいて前記電流指令値を演算する電流指令値演算手段とを備え、
    前記高周波成分増加手段は、前記トルク指令値に高周波数成分を重畳させることを特徴とするモーター制御装置。
  8. 請求項1に記載のモーター制御装置において、
    前記駆動手段は前記交流電圧指令値にしたがって正弦波PWMの交流電圧を前記交流モーターに印加し、
    前記高周波成分増加手段は、前記交流モーターに流れる電流の高周波数成分が増加する方向に正弦波PWMの変調用三角波の周波数を変更することを特徴とするモーター制御装置。
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