JP2001091343A - 計量装置 - Google Patents

計量装置

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JP2001091343A
JP2001091343A JP26877899A JP26877899A JP2001091343A JP 2001091343 A JP2001091343 A JP 2001091343A JP 26877899 A JP26877899 A JP 26877899A JP 26877899 A JP26877899 A JP 26877899A JP 2001091343 A JP2001091343 A JP 2001091343A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】床振動周波数が計量セルおよび床振動検出セル
の固有振動数に近い高周波の場合であっても、床振動周
波数に応じて床振動補償を容易かつ正確に行うことがで
きる計量装置を提供する。 【解決手段】計量信号ym から抽出した直流成分から被
計量物の質量mを予測し、この予測された質量mから、
予め実測から得られた質量−固有振動数データに基づい
て、被計量物がのった計量セル2の固有振動数を求め、
計量セル2の伝達関数をこの固有振動数に基づいて演算
する。そして、この計量セル2の伝達関数と、既知の床
振動検出セル4の伝達関数との比に基づいて、床振動検
出信号を両セル2,4の伝達関数が一致するように補正
して、計量信号ym からこの補正した床振動検出信号y
c を減算して床振動補正済計量信号yを出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、計量セルからの計
量信号から、その計量セルを設置した床の振動成分によ
る計量誤差を除去するようにした計量装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、工場生産ラインにおいて、被計
量物を計量する際、計量装置の設置場所において地盤,
建屋,床,架台などの環境に起因して床振動が生じ、こ
れらの振動分が計量信号に重畳する。このため、計量装
置において、被計量物を計量してその重量に対応した計
量信号を出力する計量セルの近傍で該計量セルと同一の
床に、床振動検出信号を出力する床振動検出セルを設置
し、計量信号から床振動信号を減算することにより、計
量信号中の床振動成分を除去する床振動補償を行う場合
がある。
【0003】このとき、計量セルと床振動検出セルとで
は、ばね定数および負荷重量(風袋を含む)が相違する
ことに起因して、出力信号に対する入力信号のゲイン
(伝達関数)が異なる場合があり、このため、いずれか
一方のセルの出力感度を他方に合わせる感度補正を行っ
て、両セルの出力のゲインを合わせる必要がある。以
下、この感度補正について説明する。
【0004】図8の振動モデルにおいて、計量セルおよ
び床振動検出セルの運動方程式は、式(1)および式
(2)で示すようになる。両式(1),(2)におい
て、M0は床振動検出セルの自由端の質量、M1 は被計
量物が載置されていない状態での計量セルの自由端の質
量、mは被計量物の質量、k0 ,k1 は床振動検出セル
と計量セルのばね定数、x0 ,x1 は両セルの自由端の
変位、xB は床Fの変位である。
【0005】
【数1】
【0006】ここで、床側と荷重側の相対変位が各セル
の出力となるので、上記式(1)および式(2)は、式
(3)および式(4)のように変形することができる。
【0007】
【数2】
【0008】上記の両式(3)(4)を、床の変位を系
の入力、セルの出力を系の出力として、その入出力の関
係である伝達関数を求め、さらに、振幅の周波数特性G
1(jω)およびG0(jω)を求めると、式(5)および
式(7)となる。両式において、ωは床振動の周波数、
ω1 は被計量物がのった計量セルの固有振動数、ω0
床振動検出セルの固有振動数である。計量セルの固有振
動数ω1 は式(6)で示され、床振動検出セルの固有振
動数ω0 は式(8)で示される。
【0009】
【数3】
【0010】したがって、計量セル側と床振動検出セル
側の出力感度比αは、次の式(9)となる。
【0011】
【数4】
【0012】ここで、式(9)において、床振動の周波
数ωが両セルの固有振動数ω1 ,ω 0 より十分に低い周
波数、即ち、1 ≫(ω/ ωo )2、1 ≫(ω/ ω1 )2であ
る場合、式(10)が成立し、この簡易な式(10)で
計算された一定の出力感度比αに基づいて、例えば計量
セルの感度補正を行って、両セルの出力のゲインを合わ
せ、床振動補償を行う。すなわち、この場合、式(5)
および式(7)に基づいて、床振動の周波数ω、計量セ
ル,床振動検出セルの固有振動数ω1 ,ω0 から、両セ
ルの伝達関数を演算しなくとも、一定の出力感度比αを
用いることにより高精度の計量を確保できる。
【0013】
【数5】
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように、一定の出力感度比αを用いることができるの
は、床振動の周波数ωが十分に低い場合であり、図9に
示すように、両セルの固有振動数ωo ,ω1 は相違して
いるので、床振動の周波数ωが固有振動数ωo ,ω 1
近い高周波の場合には、床振動の周波数ωの変化に対し
て出力感度比は一定にならない。ここで、横軸は床振動
の周波数(Hz)で、縦軸は出力感度(gf/μm)で
ある。
【0015】したがって、床振動の周波数ωが高周波の
場合、式(10)で質量mの変化のみに基づいて一定の
出力感度比αで感度補正したのでは誤差が大きくなり、
床振動補償の正確性を欠き高精度の計量が図れない。
【0016】一方、式(5)および式(7)に基づいて
両セルの伝達関数を求め、式(9)に基づいて床振動周
波数に応じた出力感度比を演算する場合、式(5)の演
算に必要となる被計量物がのった計量セルの固有振動数
ω1 は、被計量物の質量mに依存するため、これを求め
るのが困難であるという問題があった。
【0017】さらに、両セルが同一形式のものでない場
合には、その動特性の相違によって、計量信号と床振動
検出信号の位相差による誤差も生じる。この誤差は、床
振動の周波数ωが固有振動数ωo ,ω1 に近い高周波に
なる程大きくなる。
【0018】本発明は、上記の問題点を解決して、床振
動周波数が計量セルおよび床振動検出セルの固有振動数
に近い高周波の場合であっても、床振動周波数に応じて
床振動補償を容易かつ正確に行うことができる計量装置
を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願請求項1の発明は、被計量物を計量して、その
重量に対応した計量信号を出力する計量セル、この計量
セルが設置された床の振動を検出して、床振動検出信号
を出力する床振動検出セル、計量信号に含まれる直流成
分を抽出し、この直流成分から被計量物の質量を予測す
る質量予測手段、被計量物の質量と被計量物がのった計
量セルの固有振動数との関係を示す、実測から得られた
質量−固有振動数データを記憶する記憶手段と、記憶さ
れた質量−固有振動数データに基づき、前記予測された
被計量物の質量から前記固有振動数を求める固有振動数
取得手段と、この固有振動数に基づいて計量セルについ
ての入力と出力の関係を示す伝達関数を演算する伝達関
数演算手段と、この計量セルの伝達関数と、床振動検出
セルの伝達関数とが一致するように信号を補正する伝達
関数補正手段とを有する補償処理手段、および、前記補
償処理手段による補正後に、計量信号から床振動検出信
号を減算して床振動補正済計量信号を出力する減算処理
手段を備えている。
【0020】上記構成によれば、計量信号から抽出した
直流成分から被計量物の質量を予測し、この予測された
質量から、予め実測から得られた質量−固有振動数デー
タに基づいて、被計量物がのった計量セルの固有振動数
を求め、計量セルの伝達関数をこの固有振動数に基づい
て演算する。そして、この計量セルの伝達関数と、既知
の床振動検出セルの伝達関数との比に基づいて、両セル
の伝達関数が一致するように信号を補正したうえで、計
量信号から床振動検出信号を減算して床振動補正済計量
信号を出力する。
【0021】したがって、床振動周波数が計量セルおよ
び床振動検出セルの固有振動数に近い高周波の場合であ
っても、実測による質量−固有振動数データに基づい
て、計量セルの伝達関数を容易かつ正確に演算し、両セ
ルの伝達関数が一致するように正確に補正できるので、
床振動周波数に応じて床振動補償を容易かつ正確に行う
ことができる。また、両セルの伝達関数を一致させるこ
とにより、両セルの動特性が相違することによって生じ
る計量信号と床振動検出信号の位相差による誤差も解消
されることとなり、床振動補償の正確性がさらに増し
て、高精度の計量が可能となる。しかも、本発明は、減
算処理手段の入力の計量信号から質量を予測し、補償処
理手段により、予め実測から得られた質量−固有振動数
データを用いて、計量セルの伝達関数を演算し、両セル
の伝達関数が一致するように補正した床振動検出信号
を、減算処理手段により、入力の計量信号からそのまま
減算して床振動補正済計量信号を得るフィードフォワー
ド型になっており、高速計量が可能になる。
【0022】本願請求項2の発明は、被計量物を計量し
て、その重量に対応した計量信号を出力する計量セル、
この計量セルが設置された床の振動を検出して、床振動
検出信号を出力する床振動検出セル、前記計量セルと床
振動検出セルの各入出力の関係を示す伝達関数が一致す
るように信号を補正する補償処理手段、前記補償処理手
段による補正後に、計量信号から床振動検出信号を減算
して床振動補正済計量信号を出力する減算処理手段、お
よび、前記床振動補正済計量信号に含まれる直流成分を
抽出し、この直流成分から被計量物の質量を予測する質
量予測手段を備え、前記補償処理手段は、被計量物の質
量と被計量物がのった計量セルの固有振動数との関係を
示す、実測から得られた質量−固有振動数データを記憶
する記憶手段と、記憶された質量−固有振動数データに
基づき、前記予測された被計量物の質量から前記固有振
動数を求める固有振動数取得手段と、この固有振動数に
基づいて計量セルの伝達関数を演算する伝達関数演算手
段と、この計量セルの伝達関数と床振動検出セルの伝達
関数とが一致するように信号を補正する伝達関数補正手
段とを備えている。
【0023】上記構成によれば、床振動補正済計量信号
から抽出した直流成分から被計量物の質量を予測し、こ
の予測された質量から、予め実測から得られた質量−固
有振動数データに基づいて、被計量物がのった計量セル
の固有振動数を求め、計量セルの伝達関数をこの固有振
動数に基づいて演算する。そして、この計量セルの伝達
関数と、既知の床振動検出セルの伝達関数との比に基づ
いて、両セルの伝達関数が一致するように信号を補正し
たうえで、計量信号から床振動検出信号を減算して床振
動補正済計量信号を出力する。
【0024】したがって、上記と同様に、床振動周波数
が計量セルおよび床振動検出セルの固有振動数に近い高
周波の場合であっても、実測による質量−固有振動数デ
ータに基づいて、計量セルの伝達関数を容易かつ正確に
演算し、両セルの伝達関数が一致するように正確に補正
できるので、床振動周波数に応じて床振動補償を容易か
つ正確に行うことができる。また、本発明は、減算処理
手段の出力の床振動補正済計量信号から質量を予測し、
補償処理手段により、予め実測から得られた質量−固有
振動数データを用いて、計量セルの伝達関数を演算し、
両セルの伝達関数が一致するように補正した床振動検出
信号を、減算処理手段の入力側へ戻し、入力の計量信号
からこの補正した床振動検出信号を減算して床振動補正
済計量信号を得るフィードバック型になっているので、
床振動成分が減算された後の計量信号を用いて伝達関数
を求めるから、被計量物の質量値のばらつきが減少し
て、その推定値がより一層正確になり、計量精度を向上
でき、より正確な床振動補償を行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1に、本発明の第1実施形態に係
る計量装置の構成を示す。本発明に係る計量装置は、被
計量物を計量して、その重量に対応した計量信号を出力
する計量セル2、この計量セル2が設置された床Fの振
動を検出して、床振動検出信号を出力する床振動検出セ
ル4、各信号を増幅するアンプ5、各信号について一定
周波数以上の信号を除去するアンチエイリアスフィルタ
(もしくはローパスフィルタ)6、各信号をディジタル
変換するA/Dコンバータ7、およびマイクロコンピュ
ータ20を備えている。
【0026】上記マイクロコンピュータ20は、ディジ
タル変換された計量信号をフィルタ処理して計量信号y
m を出力する第1フィルタ(ディジタルフィルタ)1
1、質量予測手段12、ディジタル変換された床振動検
出信号をフィルタ処理して床振動検出信号を出力する第
2フィルタ(ディジタルフィルタ)13、両セル2,4
の伝達関数の相違に基づく上記信号の補償処理を行うも
ので、例えば床振動検出信号を両セル2,4の伝達関数
が一致するように補正して床振動検出信号yc を出力さ
せる補償処理手段10、および減算処理手段18を備え
ている。
【0027】上記質量予測手段12は、計量信号ym に
含まれる直流成分を抽出し、この直流成分から被計量物
の質量mを予測する。計量信号ym に含まれる直流成分
を抽出する方法としては、例えば、第1ディジタルフィ
ルタ11で固有振動成分を除去した信号を移動平均や畳
み込み演算等により所定時間で平均化して使うような方
法が用いられる。
【0028】上記補償処理手段10は、被計量物の質量
mと被計量物がのった計量セル2の固有振動数との関係
を示す、実測から得られた質量−固有振動数データを記
憶する記憶手段17と、記憶された質量−固有振動数デ
ータに基づき、上記予測された被計量物の質量mから上
記固有振動数を求める固有振動数取得手段14と、この
固有振動数に基づいて、計量セル2の入出力の関係を示
す伝達関数を演算する伝達関数演算手段15と、この計
量セル2の伝達関数と、床振動検出セル4の伝達関数と
の比に基づいて、床振動検出信号を両セル2,4の伝達
関数が一致するように補正して、床振動検出信号yc を
出力する伝達関数補正手段16とを有する。
【0029】上記記憶手段17には、図3に一例を示す
質量−固有振動数データが記憶されている。このデータ
は、予め本装置の設置場所において、被計量物の質量
(真値)mと、その被計量物がのった計量セル2の固有
振動数fn との関係を実験によって求めたものである。
横軸は質量m(g)、縦軸は固有振動数fn (Hz)で
ある。質量mは、上述したように所定時間における平均
値である。同図における質量−固有振動数の関係式は、
例えば、固有振動数fn が質量mを変数とする2次関数
で表現されており、この関係式は、例えば実験データと
関数との差の二乗和を最小にする関数を求める最小二乗
法によって求められている。なお、固有振動数fn を質
量mの1次関数で表現してもよい。この実測から得られ
た質量−固有振動数データに基づいて、固有振動数取得
手段14により、上記予測された被計量物の質量mか
ら、固有振動数ω1 (=2πfn )の推定値が求められ
る。この被計量物がのった計量セル2の固有振動数ω1
は伝達関数演算手段15に入力されて、計量セル2の伝
達関数が演算され、伝達関数補正手段16により、床振
動検出信号を両セル2,4の伝達関数が一致するように
補正して、床振動検出信号yc が出力される。
【0030】上記減算処理手段18は、計量信号ym か
ら補償処理手段10により補正した床振動検出信号yc
を減算して床振動補正済計量信号yを出力する。つま
り、本装置は、減算処理手段18の入力の計量信号ym
から質量mを予測し、補償処理手段10により、予め実
測から得られた質量−固有振動数データを用いて、計量
セル2の伝達関数を演算し、両セルの伝達関数が一致す
るように補正して得られた床振動補正済信号yc を、減
算処理手段18により、入力の計量信号ym からそのま
ま減算して床振動補正済計量信号yを得るフィードフォ
ワード型になっている。
【0031】つぎに、上記構成を有する本装置の動作
を、図1、および、計量セル2と床振動検出セル4の伝
達関数の関係を示す図2を用いて説明する。本装置は、
主として、床振動周波数ωが、被計量物がのった計量セ
ル2,床振動検出セル4の固有振動数ω1 ,ω0 に近い
高周波の場合に適用される。
【0032】図2において、床振動に相当する系の入力
をXB (s) 、計量セル2の伝達関数をG1(s),出力をX
1B(s) ,アンプ5からの出力をYm (s) とし、床振動検
出セル4の伝達関数をG0(s),出力をX0B(s) ,補償処
理手段10の補償伝達関数をGX (s) 、補償処理手段1
0からの出力をYC (s) とし、系の出力をY(s) とす
る。ここで、s は複素数であり、周波数特性ではs=jω
である。
【0033】予め、床振動検出セル4における既知の自
由端の質量M0 とばね定数k0 から、上述した式(8)
で床振動検出セル4の固有振動数ω0 が求められ、これ
と床振動の周波数ωから、式(7)に基づいて、床振動
検出セル4側の伝達関数G0(jω) が求められている。
また、計量セル2における被計量物が載置されていない
状態での自由端の質量M1 およびばね定数k1 も既知で
ある。
【0034】まず、図1の計量セル2からの計量信号
は、アンプ5、アンチエイリアスフィルタ6、A/Dコ
ンバータ7を経て、第1ディジタルフィルタ11により
フィルタ処理されて、減算処理手段18に計量信号ym
として出力する。これとともに、質量予測手段12によ
り、計量信号ym に含まれる直流成分が抽出され、この
直流成分から被計量物の質量mが予測される。この質量
mは、補償処理手段10の記憶手段17に入力される。
【0035】一方、床振動検出セル4からの床振動検出
信号は、アンプ5、アンチエイリアスフィルタ6、A/
Dコンバータ7を経て、第2ディジタルフィルタ13に
よりフィルタ処理された後、補償処理手段10の伝達関
数補正手段16に入力される。
【0036】上記補償処理手段10において、固有振動
数取得手段14により、記憶手段17に記憶された被計
量物の質量mと被計量物がのった計量セル2の固有振動
数f n との関係を示す、実測から得られた質量−固有振
動数データに基づき、上記予測された質量mから被計量
物がのった計量セル2の固有振動数ω1 (=2πfn
が求められる。
【0037】つぎに、上記伝達関数演算手段15によ
り、上記求められた計量セル2の固有振動数ω1 と、床
振動の周波数ωから、式(5)に基づいて、計量セル側
の伝達関数G1(jω) が演算される。以下、G1(jω)
をG1(s)で、G0(jω) をG0(s)で示す。そして、この
伝達関数G1(s)と既知の床振動検出セル4側の伝達関数
0(s)から、図2の補償伝達関数GX (s) =G1(s)/G
0(s)(床振動周波数ωにおける出力感度比)が演算され
る。
【0038】そして、伝達関数補正手段16において、
床振動検出信号に上記補償伝達関数GX (s) を乗じて、
床振動検出セル4の伝達関数を計量セル2の伝達関数に
一致させるように補正し、この伝達関数補正手段16を
通して補正した床振動検出信号yc を出力する。すなわ
ち、図2において、補償処理手段10からの出力Y
C (s) は、床振動検出セル4の出力X0B(s) に補償伝達
関数GX (s) を乗ずることにより、次式のように、計量
セル2のアンプ5からの出力Ym (s) と等しくなる。 YC (s) =GX (s) X0B(s) =(G1(s)/G0(s))・G0(s)XB (s) =G1(s)XB (s) =Ym (s) (11) したがって、上式(11)から、系の出力Y(s) は、 Y(s) =Ym (s) −Yc (s) =0 (12) となり、両セル2,4の伝達関数G1(s),G0(s)は一致
した状態となる。
【0039】図4に、質量−固有振動数の実測値を用い
た場合において、被計量物の質量(真値)mに対して、
本装置で実際に被計量物をのせて測定した測定値ms と
質量mとの誤差e((ms −m)の所定時間における平
均値)の評価結果を示す。横軸は質量m(g)、縦軸は
誤差e(g)である。図4のように、この場合の誤差e
は0.2g以内である。
【0040】一方、図1の記憶手段17および固有振動
数取得手段14に代えて、固有振動数演算手段を設け、
上記予測された質量m、および既知のばね定数k1 ,質
量m 1 から、上記式(6)に基づいて、被計量物がのっ
た計量セル2の固有振動数ω 1 を演算して求めることが
考えられる(特願平10−204766号参照)。図5
に、この計算値を用いた場合において、上記と同様の質
量mに対する誤差eの評価結果を示す。図5のように、
この場合の誤差eは7.5g以内である。したがって、
質量−固有振動数の実測値を用いた場合、計算値を用い
た場合より誤差eが小さくなっており、正確な床振動補
正済計量信号yが得られる。
【0041】これにより、本装置は、予め実測された質
量−固有振動数データに基づいて、両セル2,4の伝達
関数G1(s),G0(s)を正確に一致させた状態で、計量信
号ym と床振動検出信号yc が出力され、減算処理手段
18により、計量信号ym から補正した床振動検出信号
yc を減算して、正確な床振動補正済計量信号yを出力
する。
【0042】こうして、本装置は、床振動周波数が計量
セル2および床振動検出セル4の固有振動数に近い高周
波の場合であっても、計量信号から抽出した直流成分か
ら被計量物の質量mを予測し、この予測された質量mか
ら、実測による質量−固有振動数データに基づいて被計
量物がのった計量セル2の固有振動数ω1 を求めるので
計量セル2の伝達関数G1(s)を容易かつ正確に演算で
き、これに基づいて床振動検出信号を両セル2,4の伝
達関数G1(s),G0(s)が一致するように正確に補正でき
るので、床振動周波数に応じて床振動補償を容易かつ正
確に行うことができる。また、減算処理手段18におい
て、入力の計量信号ym から、質量予測手段12および
補償処理手段10により得られた補正した床振動検出信
号yc をそのまま直ちに減算して床振動補正済計量信号
yを得るフィードフォワード型になっているので、高速
計量が可能になる。
【0043】なお、本発明では、計量セル2,床振動検
出セル4が同一型式のものでない場合であっても、補償
処理手段10により各伝達関数G1(s),G0(s)を一致さ
せることによって、両セル2,4の動特性も一致する。
したがって、両セル2,4の動特性が相違することによ
って生じる計量信号と床振動検出信号の位相差による誤
差も解消されることとなり、床振動補償の正確性がさら
に増して、高精度の計量が可能となる。
【0044】図6に、本発明の第2実施形態に係る計量
装置の構成を示す。本発明に係る計量装置は、第1実施
形態と以下の点で相違する。すなわち、本装置は、減算
処理手段18からの出力ラインにスイッチSを介して質
量予測手段12が接続されており、この質量予測手段1
2が、減算処理手段18からの床振動補正済計量信号y
に含まれる直流成分を抽出し、この直流成分から被計量
物の質量mを予測する。さらに、本装置は、減算処理手
段18の出力の床振動補正済計量信号yから質量mを予
測し、補償処理手段10により、予め実測から得られた
質量−固有振動数データを用いて、計量セル2の伝達関
数を演算し、両セル2,4の伝達関数が一致するように
補正して得られた床振動検出信号yc を、減算処理手段
18の入力側へ戻し、入力の計量信号ym からこの補正
した床振動検出信号yc を減算して床振動補正済計量信
号yを得るフィードバック型になっている。その他の構
成は図1と同様である。
【0045】本装置の場合、フィードバック効果を上げ
るために、例えば被計量物が計量セル2に載ったタイミ
ングを光電管のようなセンサで検知しておき、被計量物
の全体が計量セル2に載って安定状態に達したと予測さ
れる時点で、スイッチSをONして一定時間後にOFF
にし、その間に床振動補正済計量信号yを取り込むこと
により、床振動成分を平均化処理したデータを得て、こ
のデータによりフィードバックをかける。
【0046】本装置も、上述した第1実施形態と同様
に、予め実測された質量−固有振動数データに基づい
て、両セル2,4の伝達関数G1(s),G0(s)を正確に一
致させた状態で、計量信号ym と床振動検出信号yc が
出力され、減算処理手段18により、計量信号ym から
補正した床振動検出信号yc を減算して、正確な床振動
補正済計量信号yを出力する。
【0047】図7は、本発明に係る床振動補正済計量信
号yの振動特性を示す図である。横軸は時間t(s)、
縦軸は床振動補正済計量信号y(g)である。実線21
は第2実施形態におけるフィードバック型の場合、破線
22は第1実施形態におけるフィードフォワード型の場
合を示す。フィードバック型の場合、床振動成分が減算
された後の計量信号を用いて伝達関数を求めるから、同
図に示すように、被計量物の質量のばらつきが減少し
て、その推定値がより一層正確になり、計量精度を向上
でき、より正確な床振動補償を行うことができる。フィ
ードバックの時間を長くすると、床振動成分が平均化さ
れ、精度が向上するが、計量速度が低下する。なお、フ
ィードバックの回数は複数回行ってもよい。
【0048】なお、上記各実施形態では、単一の計量セ
ルおよび床振動検出セルを設けているが、被計量物の載
置面積の大きさに応じて、複数の計量セルおよび床振動
検出セルを設けてもよい。
【0049】また、上記各実施形態では、補償処理手段
10を床振動検出セル4の出力側に設けているが、これ
とは異なり、計量セル2の出力側に設けてもよく、また
両セル2,4の両方側に設けるようにしてもよい。
【0050】また、上記各実施形態では、1次元で床振
動が生じる場合に床振動補正を行うものであるが、2,
3次元で床振動を生じる場合であっても同様に適用でき
る。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明の一構成によれ
ば、床振動周波数が計量セルおよび床振動検出セルの固
有振動数に近い高周波の場合であっても、計量セルの伝
達関数を容易に演算し、実測による質量−固有振動数デ
ータに基づいて両セルの伝達関数が一致するように正確
に補正できるので、床振動周波数に応じて床振動補償を
容易かつ正確に行うことができる。また、両セルの伝達
関数を一致させることにより、両セルの動特性が相違す
ることによって生じる計量信号と床振動検出信号の位相
差による誤差も解消されることとなり、床振動補償の正
確性がさらに増して、高精度の計量が可能となる。しか
も、本発明は、入力の計量信号から質量を予測し、補償
処理手段により、予め実測から得られた質量−固有振動
数データを用いて、計量セルの伝達関数を演算し、両セ
ルの伝達関数が一致するように補正した床振動検出信号
を、減算処理手段により、入力の計量信号からそのまま
減算して床振動補正済計量信号を得るフィードフォワー
ド型になっており、高速計量が可能になる。
【0052】また、本発明の他の構成によれば、減算処
理手段の出力の床振動補正済計量信号から質量を予測
し、補償処理手段により、予め実測から得られた質量−
固有振動数データを用いて、計量セルの伝達関数を演算
し、両セルの伝達関数が一致するように補正した床振動
検出信号を、減算処理手段の入力側へ戻し、入力の計量
信号からこの補正した床振動検出信号を減算して床振動
補正済計量信号を得るフィードバック型になっているの
で、床振動成分が減算された後の計量信号を用いて伝達
関数を求めるから、被計量物の質量のばらつきが減少し
て、その推定値がより一層正確になり、計量精度を向上
でき、より正確な床振動補償を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る計量装置を示す構
成図である。
【図2】計量セルと床振動検出セルの伝達関数の関係を
示す図である。
【図3】実測値に基づく質量−固有振動数データを示す
特性図である。
【図4】実測値に基づく質量と誤差の評価結果を示す特
性図である。
【図5】計算値に基づく質量と誤差の評価結果を示す特
性図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る計量装置を示す構
成図である。
【図7】本発明に係る床振動補正済計量信号の振動特性
を示す図である。
【図8】計量セルと床振動検出セルの振動モデルを示す
図である。
【図9】計量セルと床振動検出セルの対床振動感度周波
数を示す特性図である。
【符号の説明】
2…計量セル、4…床振動検出セル、10…補償処理手
段、12…質量予測手段、14…固有振動数取得手段、
15…伝達関数演算手段、16…伝達関数補正手段、1
7…記憶手段、18…減算処理手段。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被計量物を計量して、その重量に対応
    した計量信号を出力する計量セル、 この計量セルが設置された床の振動を検出して、床振動
    検出信号を出力する床振動検出セル、 計量信号に含まれる直流成分を抽出し、この直流成分か
    ら被計量物の質量を予測する質量予測手段、 被計量物の質量と被計量物がのった計量セルの固有振動
    数との関係を示す、実測から得られた質量−固有振動数
    データを記憶する記憶手段と、記憶された質量−固有振
    動数データに基づき、前記予測された被計量物の質量か
    ら前記固有振動数を求める固有振動数取得手段と、この
    固有振動数に基づいて計量セルの入出力の関係を示す伝
    達関数を演算する伝達関数演算手段と、この計量セルの
    伝達関数と床振動検出セルの伝達関数とが一致するよう
    に信号を補正する伝達関数補正手段とを有する補償処理
    手段、および、 前記補償処理手段による補正後に、計量信号から床振動
    検出信号を減算して床振動補正済計量信号を出力する減
    算処理手段を備えた計量装置。
  2. 【請求項2】 被計量物を計量して、その重量に対応
    した計量信号を出力する計量セル、 この計量セルが設置された床の振動を検出して、床振動
    検出信号を出力する床振動検出セル、 前記計量セルと床振動検出セルの各入出力の関係を示す
    伝達関数が一致するように信号を補正する補償処理手
    段、 前記補償処理手段による補正後に、計量信号から床振動
    検出信号を減算して床振動補正済計量信号を出力する減
    算処理手段、および、 前記床振動補正済計量信号に含まれる直流成分を抽出
    し、この直流成分から被計量物の質量を予測する質量予
    測手段を備え、 前記補償処理手段は、 被計量物の質量と被計量物がのった計量セルの固有振動
    数との関係を示す、実測から得られた質量−固有振動数
    データを記憶する記憶手段と、記憶された質量−固有振
    動数データに基づき、前記予測された被計量物の質量か
    ら前記固有振動数を求める固有振動数取得手段と、この
    固有振動数に基づいて計量セルの伝達関数を演算する伝
    達関数演算手段と、この計量セルの伝達関数と床振動検
    出セルの伝達関数とが一致するように信号を補正する伝
    達関数補正手段とを備えた計量装置。
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