JP3720163B2 - 質量計量装置の零点設定方法及び質量計量装置 - Google Patents

質量計量装置の零点設定方法及び質量計量装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、振動する物体上で被計量物の質量を計量するための質量計量装置の風袋変化量、又はオフセット量を補正するための零点設定方法及びその方法を使用する質量計量装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、揺動する例えば床1上で被計量物2の質量Mを計量するための質量計量装置の一例として図3に示すものがある。図3は、その質量計量装置の正面図であり、図4は、質量計量装置の電気回路を示すブロック図である。この質量計量装置は、揺動する床1に設置されている計量用ロードセル3と補正用ロードセル4を備えており、この補正用ロードセル4は、計量用ロードセル3が床1から受ける振動と略同一の振動を受けるように床1に設置されている。この質量計量装置によると、計量用ロードセル3の計量信号e1 に含まれている振動成分を補正用ロードセル4の補正信号e2 を用いて補償して、床振動成分を含まない被計量物2の質量Mを出力することができる。
【0003】
次に、これを式を用いて説明する。例えば、被計量物2の質量をM、計量用ロードセル3の風袋(載置台13等)の質量をm1 、計量用ロードセル3の計量信号を増幅する増幅部5の利得をK1 、増幅部5が出力する計量信号をe1 とし、補正用ロードセル4の補正用分銅6と風袋の合計質量をm2 、補正用ロードセル4の補正信号を増幅する増幅部7の利得をK2 、増幅部7が出力する補正信号をe2 とすると、計量信号e1 及び補正信号e2 は、
1 =K1 (M+m1 )(g+a) ・・・・(1)
2 =K2 2 (g+a) ・・・・(2)
で表される。ただし、gは重力加速度、aは床振動による加速度である。そして、図4に示す8、9はアナログ・デジタル変換器(A/D変換器)である。10は計量信号e1 に含まれている床振動成分を補償するための質量演算記憶手段であり、CPUにより構成されている。そして、11、・・・は、計量用ロードセル3に設けられているブリッジ回路を構成する歪ゲージ、12、・・・は、補正用ロードセル4に設けられているブリッジ回路を構成する歪ゲージである。
【0004】
この床振動成分を補償する方法には、除算方法と減算方法があり、質量演算記憶手段10は、この除算方法又は減算方法を使用して演算処理を行って被計量物2の質量Mを出力することができる。
除算方法は、(1)、(2)式において
1 1 =K2 2 ・・・・(3)
となるように利得K1 、K2 を調整する。これによって、(1)、(2)、(3)式より、
(e1 −e2 )/e2 =K1 M/(K2 2 ) ・・・・(4)
の関係式が得られる。ここで、e1 は計量用ロードセル3の計量信号、e2 は補正用ロードセル4の補正信号であり、K1 、K2 、及びm2 は既知の値であるので、被計量物2の質量Mを(4)式により床振動による加速度aに影響されずに求めることができる。
【0005】
減算方法は、まず、補償係数k3
3 =e1 /e2 =K1 (M+m1 )/(K2 2 ) ・・・・(5)
の演算により求め、そして(1)、(2)、(5)式を用いて、
1 −k3 (e2 −m2 g)=K1 (M+m1 )g ・・・・(6)
の式を得ることができる。(6)式は、被計量物2の質量M以外のe1 、k3 、e2 、m2 、g、K1 、m1 は、既知であるので、被計量物2の質量Mを床振動による加速度aに影響されずに求めることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の質量計量装置の実際の使用状況では、被計量物2が計量用ロードセル3の載置台13に載せられる際の過衝撃、環境温度及び湿度の変化、粘着性を有する被計量物2が載置台13上に残留すること等の原因により、計量用ロードセル3の計量信号e1 及び補正用ロードセル4の補正信号e2 の各オフセット量mo1 、mo2 の変化、更に計量用ロードセル3の風袋の質量変化(この風袋質量変化量をmf1 とする。)がしばしば起こり、これらオフセット量mo1 、mo2 の変化、及び風袋質量変化量mf1 が原因することにより被計量物2の質量Mを正確に計量することができないという問題がある。
【0007】
ここで、オフセット量mo1 は、計量用ロードセル3そのものが有するオフセット量が増幅部5によりK1 倍されたオフセット量と増幅器5そのものが有するオフセット量の合計オフセット量を言い、オフセット量mo2 は、補正用ロードセル4そのものが有するオフセット量が増幅部7によりK2 倍されたオフセット量と増幅器7そのものが有するオフセット量の合計オフセット量を言う。
【0008】
上記各オフセット量mo1 、mo2 、及び風袋質量変化量mf1 を考慮すると、(1)、(2)式の計量用及び補正用ロードセル3、4の各計量及び補正信号e1 、e2 は、
1 =K1 (M+m1 +mf1 )(g+a)+mo1 ・・・・(7)
2 =K2 2 (g+a)+mo2 ・・・・(8)
の各式で表され、各オフセット量mo1 、mo2 の変化、及び風袋質量変化量mf1 は、被計量物2の質量Mの計量精度を低下させる要因となっている。
【0009】
次に、床振動がない場合に使用される質量計量装置の従来の零点設定(風袋引き)方法を、床振動がある場合に使用される質量計量装置の零点設定方法として使用しても、被計量物2の質量Mを正確に計量することができない理由を説明する。
床振動がない場合に使用される質量計量装置の載置台13に、被計量物2を載置すると、その計量信号e1 は、
1 =K1 (M+m1 +mf1 )g+mo1 ・・・・(9)
となる。そして、載置台13から被計量物2を除去した状態での風袋信号e0 は、
0 =K1 (m1 +mf1 )g+mo1 ・・・・(10)
となるので、風袋信号e0 が0となるように質量計量装置を調整することにより零点設定を行う。つまり、
1 −e0 =K1 Mg ・・・・(11)
の演算を行うことによりオフセット量mo1 の変化、及び風袋質量変化量mf1 の影響を除去することができ、これによって被計量物2の質量Mを正確に計量することができる。
【0010】
この(11)式の演算により零点設定を行う方法を床振動がある場合に使用される質量計量装置の零点設定に適用すると、(10)式に対応する風袋信号e0 は、
0 =K1 (m1 +mf1 )(g+a)+mo1 ・・・・(12)
となり、風袋信号e0 は、床振動の加速度aの変化により変動するので、この変動する風袋信号e0 を(11)式に代入しても、右辺を一定値として得られないので質量Mを正確に計量することができない。このように、床振動がない場合に使用される質量計量装置の従来の零点設定方法を床振動がある場合に使用される質量計量装置の零点設定方法に適用しても、被計量物2の質量Mを正確に計量することができない。
【0011】
ここで、(12)式の風袋信号e0 に含まれている振動成分を除去するために、遮断周波数が床振動周波数よりも低く設定されたローパスフィルタを用いて一定値の風袋信号e0 を得ることができるが、この風袋信号e0 を得るための演算は、載置台13に被計量物2が載置されていない計量の休止状態で行われるが、このローパスフィルタによる零点設定に要する時間分だけその休止時間が長くなり、高速計量を達成することができないという問題がある。
また、仮に、一定値の風袋信号e0
0 =K1 (m1 +mf1 )g+mo1 ・・・・(13)
が得られたとしても、この(13)式だけではオフセット量mo1 と風袋質量変化量mf1 をそれぞれ別個に求めることができないので、(7)式に含まれているオフセット量mo1 と風袋質量変化量mf1 を除去することができず、従って、被計量物2の質量Mを正確に計量することができない。
【0012】
本発明は、振動する物体上で被計量物の質量を計量するための質量計量装置の風袋質量変化量、オフセット量を補正するための零点設定方法及びその方法を使用する質量計量装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る質量計量装置の零点設定方法は、物体上に設置可能であり被計量物の重量を受けてこの重量に対応する計量信号を生成する計量用荷重変換手段と、上記物体上に設置可能であり既知の補正用質量に基づく重量を受けてこの重量に対応する補正信号を生成する補正用荷重変換手段と、上記計量信号と上記補正信号を演算して上記物体の振動により生じる振動成分を除去した上記被計量物の質量信号を生成する振動補正手段と、を具備する質量計量装置の零点設定方法において、上記計量用荷重変換手段が上記被計量物の重量を受けていない状態で2以上の各時点で風袋重量に対応する風袋信号を生成する段階と、上記補正用荷重変換手段が上記2以上の各時点で上記補正信号を生成する段階と、上記2以上の各時点における上記各風袋信号と上記各補正信号に基づいて上記計量用荷重変換手段の振動成分を含まない風袋変化量を風袋変化量演算手段が演算する段階と、上記被計量物の質量信号から上記風袋変化量を除去して振動成分を含まない風袋変化量補正済み質量信号を風袋補正手段が生成する段階と、を具備することを特徴とするものである。
【0014】
第2の発明に係る質量計量装置は、物体上に設置可能であり被計量物の重量を受けてこの重量に対応する計量信号を生成する計量用荷重変換手段と、上記物体上に設置可能であり既知の補正用質量に基づく重量を受けてこの重量に対応する補正信号を生成する補正用荷重変換手段と、上記計量信号と上記補正信号を演算して上記物体の振動により生じる振動成分を除去した上記被計量物の質量信号を生成する振動補正手段と、を具備する質量計量装置において、上記計量用荷重変換手段が上記被計量物の重量を受けていない状態で2以上の各時点で生成する風袋重量に対応する各風袋信号、及び上記2以上の各時点における上記各補正信号に基づいて上記計量用荷重変換手段の振動成分を含まない風袋変化量を演算する風袋変化量演算手段と、上記被計量物の質量信号から上記風袋変化量を除去して振動成分を含まない風袋変化量補正済み質量信号を生成する風袋補正手段と、を設けたことを特徴とするものである。
【0015】
第3の発明に係る質量計量装置は、物体上に設置可能であり被計量物の重量を受けてこの重量に対応する計量信号を生成する計量用荷重変換手段と、上記物体上に設置可能であり既知の補正用質量に基づく重量を受けてこの重量に対応する補正信号を生成する補正用荷重変換手段と、上記補正用荷重変換手段が生成する上記補正信号から上記物体の振動により生じる振動成分を除去する演算を行い振動除去済み補正信号を生成しこの生成した振動除去済み補正信号と上記補正用質量の重量とから上記補正用荷重変換手段の補正側オフセット量を演算する補正側オフセット演算手段と、上記計量用荷重変換手段が上記被計量物の重量を受けていない状態で生成する風袋重量に対応する風袋信号、及び上記補正信号に対して上記補正側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み補正信号に基づいて上記計量用荷重変換手段の計量側オフセット量を演算する計量側オフセット演算手段と、上記計量信号に対して上記計量側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み計量信号、及び上記オフセット補正済み補正信号を演算して上記物体の振動により生じる振動成分を除去した上記被計量物の質量信号を生成する補正手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0016】
第4の発明に係る質量計量装置は、物体上に設置可能であり被計量物の重量を受けてこの重量に対応する計量信号を生成する計量用荷重変換手段と、上記物体上に設置可能であり既知の補正用質量に基づく重量を受けてこの重量に対応する補正信号を生成する補正用荷重変換手段と、上記補正用荷重変換手段が生成する上記補正信号から上記物体の振動により生じる振動成分を除去する演算を行い振動除去済み補正信号を生成しこの生成した振動除去済み補正信号と上記補正用質量の重量とから上記補正用荷重変換手段の補正側オフセット量を演算する補正側オフセット演算手段と、上記計量用荷重変換手段が上記被計量物の重量を受けていない状態で2以上の各時点で生成する風袋重量に対応する風袋信号、及び上記2以上の各時点における上記補正信号に基づいて上記計量用荷重変換手段の風袋変化量を演算する風袋変化量演算手段と、上記計量用荷重変換手段が上記被計量物の重量を受けていない状態で生成する風袋重量に対応する風袋信号、上記補正信号に対して上記補正側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み補正信号、及び上記風袋変化量に基づいて上記計量用荷重変換手段の計量側オフセット量を演算する計量側オフセット演算手段と、上記計量信号に対して上記計量側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み計量信号、上記オフセット補正済み補正信号、及び上記風袋変化量を演算して上記物体の振動により生じる振動成分と上記風袋変化量を除去した上記被計量物の質量信号を生成する補正手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0017】
第1、及び第2の発明に係る質量計量装置の零点設定方法、及び質量計量装置によると、計量用荷重変換手段が被計量物の重量を受けていない状態で2以上の各時点で生成する風袋重量に対応する風袋信号と補正用荷重変換手段が上記2以上の各時点で生成する補正信号とに基づいて、計量用荷重変換手段の振動成分を含まない風袋変化量を風袋変化量演算手段が演算することができる。そして、風袋補正手段は、振動補正手段が生成した振動成分を含まない質量信号から振動成分を含まない風袋変化量を除去して振動成分を含まない風袋変化量補正済み質量信号を生成することができる。
【0018】
第3の発明に係る質量計量装置によると、計量側オフセット演算手段が計量用荷重変換手段の計量側オフセット量を演算し、補正側オフセット演算手段が補正用荷重変換手段の補正側オフセット量を演算し、補正手段が、計量信号に対して計量側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み計量信号、及び補正信号に対して補正側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み補正信号を演算して、計量側及び補正側オフセット量と物体の振動により生じる振動成分とを除去した被計量物の質量信号を生成することができる。
【0019】
第4の発明に係る質量計量装置によると、計量用荷重変換手段の風袋変化量、計量用荷重変換手段の計量側オフセット量、及び補正用荷重変換手段の補正側オフセット量をそれぞれ別個に演算して求め、計量信号に対して計量側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み計量信号、補正信号に対して補正側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み補正信号、及び風袋変化量を演算して、風袋変化量、計量側オフセット量、及び補正側オフセット量に基づく誤差と物体の振動により生じる振動成分を除去した被計量物の質量信号を補正手段が生成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施形態を図1、図3、及び図4を参照して説明する。この実施形態の質量計量装置は、図3に示す振動する物体、例えば振動している工場設備、又は船舶等の床1に据え付けられており、この場合、例えば8Hz(0.2〜10Hzの間)の周波数で上下に振動するものとする。そして、この振動する状態で、計量用ロードセル3の風袋変化量mf1 、計量用ロードセル3と増幅部5の計量側オフセット量mo1 、及び補正用ロードセル4と増幅部7の補正側オフセット量mo2 の補正を行うことができ、高速で高精度の計量を行うことができるものである。この実施形態の質量計量装置と図3及び図4に示す従来の質量計量装置とが相違するところは、従来の質量演算記憶手段10に代えて質量演算記憶手段14を設けたところであり、これ以外は同等であり、同等部分は同一の符号を使用して説明する。各図に示す3は、計量用ロードセル、4は補正用ロードセル、10は質量演算記憶手段である。
【0021】
計量用ロードセル3(計量用荷重変換手段)は、図3に示すように、一方の端部が振動物体1に固定され、他方の端部には被計量物2を載置するための載置台13が取り付けられている。そして、この計量用ロードセル3の表面の4箇所には、歪ゲージ11、・・・が貼着されている。この計量用ロードセル3は、振動を受ける状態で被計量物2の質量Mと載置台13(風袋)の質量m1 の重量に対応するアナログ計量信号を生成し、このアナログ計量信号は、増幅部5により増幅され、A/D変換器8によりデジタル計量信号e1 に変換される。即ち、計量信号e1 は、
1 =K1 (M+m1 +mf1 )(g+a)+mo1 ・・・・(7)
として表される。ただし、K1 は増幅部の利得、Mは被計量物2の質量、m1 は計量用ロードセル3の風袋(載置台13等)の質量、mf1 は計量用ロードセル3の風袋変化量、gは重力加速度、aは被計量物2及び風袋質量に掛かる床振動による鉛直方向の加速度、mo1 は計量側オフセット量である。そして、e1 のデジタル計量信号e1jは、
1j=K1 (M+m1 +mf1 )(g+aj )+mo1
として表される。ただし、jは計量信号e1 の時系列順番1、2、3、・・・を表している。被計量物2を載置台13に載置していない風袋のみのデジタル風袋信号e0jは、
0j=K1 (m1 +mf1 )(g+aj )+mo1 ・・・・(14)
として表される。ただし、jは風袋信号e0 の時系列順番1、2、3、・・・を表している。
【0022】
補正用ロードセル4(補正用荷重変換手段)は、物体の振動を検出するためのものであり、図3に示すように、計量用ロードセル3と同一の加速度を受けるように、一方の端部が振動物体1に固定され、他方の端部には既知質量m2 の分銅(補正用質量)6を取り付けて自由端としてある。そして、この補正用ロードセル4の表面の4箇所には、歪ゲージ12、・・・が貼着されている。この補正用ロードセル4は、振動を受ける状態で分銅6の質量m2 に基づく重量に対応するアナログ補正信号を生成し、このアナログ補正信号は、増幅部7により増幅され、A/D変換器9によりデジタル補正信号e2jに変換される。即ち、補正信号e2jは、
2j=K2 2 (g+aj )+mo2 ・・・・(15)
として表される。ただし、K2 は増幅部の利得、m2 は分銅6の質量、aj は分銅6に掛かる床振動による鉛直方向の加速度、mo2 は補正側オフセット量である。ただし、jは補正信号e2 の時系列順番1、2、3、・・・を表している。
【0023】
質量演算記憶手段14は、補正側オフセット演算手段15と、切換手段16と、風袋変化量及び計量側オフセット量演算手段17と、補正手段18と、減算器19を備えている。
補正側オフセット演算手段15は、図1に示すように、ローパスフィルタ20と減算手段21からなっている。ローパスフィルタ20は、遮断周波数が物体1の振動周波数より低く設定されているフィルタであり、補正用ロードセル4から出力された(15)式により表される補正信号e2jをフィルタ処理して振動成分を除去した振動除去済み補正信号e2
2 ’=K2 2 g+mo2 ・・・・(16)
を出力する。減算手段21は、この振動除去済み補正信号e2 ’から分銅6の質量m2 の重量と対応する既知の値K2 2 gを減算して補正側オフセット量mo2 を演算して出力する。即ち、補正側オフセット量mo2
mo2 =e2 ’−K2 2 g ・・・・(17)
の演算によって生成して記憶部(図示せず)に記憶することができる。
なお、補正側オフセット量mo2 は、補正用ロードセル4が被計量物2の衝撃を受けないので、主に環境の温度や湿度の変化の影響によって変化する。従って、補正側オフセット演算手段15は、計量のたびにオフセット量mo2 を演算する必要性が少ないために、予め設定されている例えば5分おきにオフセット量mo2 を演算することとしている。ただし、このオフセット量mo2 を演算するタイミングは、変更可能であり、環境の条件に応じてこれ以外の時間間隔で演算を行わせることができる。また、予め設定されている所定時間おきにmo2 を演算する代わりに、予め設定した所定の計量回数、例えば10回の計量回数ごとにmo2 を演算するようにしてもよい。
【0024】
減算器19は、(18)式に示すように、補正用ロードセル4側から出力される補正信号e2j((15)式参照)から補正側オフセット量mo2 を減算してオフセット補正済み補正信号e2 j を生成する。
2 j =e2j−mo2 =K2 2 (g+aj ) ・・・・(18)
jは補正信号e2 ’の時系列順番1、2、3、・・・を表している。
【0025】
切換手段16は、外部から入力する信号(図示せず)の指令により計量用ロードセル3の計量側オフセット量mo1 及び風袋変化量mf1 を計算するか否かを判定するための手段である。つまり、例えば載置台13の近傍に設けられている光センサ(図示せず)が載置台13上に載置された被計量物2を検出して、計量状態であることを示す所定信号を切換手段16に出力すると、計量信号e1jとオフセット補正済み補正信号e2 j を補正手段18に出力する。そして、載置台13上に被計量物2が載置されておらず上記光センサが上記所定信号を切換手段16に出力していない休止状態では、風袋信号e0j((14)式参照)とオフセット補正済み補正信号e2 j を風袋変化量及び計量側オフセット量演算手段17に出力する。
【0026】
風袋変化量及び計量側オフセット量演算手段17は、図1に示すように、減算手段22、減算手段23、演算記憶手段24、及び判定手段25を備えている。
減算手段22は、2つの計量時点における風袋信号e0(j+1)とe0jの差(e0(j+1)−e0j)を演算して演算結果を演算記憶手段24に出力する手段であり、減算手段23は、2つの計量時点におけるオフセット補正済み補正信号のe2 (j+1) とe2 j の差(e2 (j+1) −e2 j )を演算して演算結果を判定手段25を介して演算記憶手段24に出力する手段である。
演算記憶手段24は、(e0(j+1)−e0j)と(e2 (j+1) −e2 j )の演算結果に基づいて風袋変化量mf1 及び計量側オフセット量mo1 を演算する手段である。つまり、(14)式と(18)式の
(e0(j+1)−e0j)/(e2 (j+1) −e2 j )=K1 (m1 +mf1 )/(K2 2 ) ・・・・(19)
の関係より、計量用ロードセル3の風袋変化量mf1 を、
mf1 =((e0(j+1)−e0j)/(e2 (j+1) −e2 j ))(K2 2 /K1 )−m1 ・・・・(20)
の演算を行うことにより生成して記憶部(図示せず)に記憶することができる。更に、(18)式を(g+aj)=e2 j /(K2 2 )と変形して、これを(14)式に代入して得られた(21)式により、計量側オフセット量mo1
mo1 =e0j−e2 j 1 (m1 +mf1 )/(K2 2 )・・(21)
の演算を行うことにより生成して記憶部(図示せず)に記憶することができる。なお、e0jとe2 j は、切換手段16と減算手段22、23を介して演算記憶手段24に入力する。
【0027】
判定手段25は、e2 (j+1) =e2 j であるか否かを判定して、振動を受けており、e2 (j+1) ≠e2 j と判定したときに(e2 (j+1) −e2 j )の減算値を演算記憶手段24に出力する手段である。つまり、j=1においてe2 (j+1) =e2 j と判定した場合は、e2 (j+1) −e2 j =0となり、演算記憶手段24がmf1 及びmo1 を演算することができないので、j=2、3、・・・の時系列順に判定を繰り返して行い、
2 (j+1) ≠e2 j ・・・・(22)
を満足するときのjの時刻における(e2 (j+1) −e2 j )を演算記憶手段24に出力する手段である。
【0028】
補正手段18は、図1に示すように、計量側オフセット量mo1 を補正するmo1 補正手段26、振動補正手段27、及び風袋変化量mf1 を補正するmf1 補正手段28からなっている。
mo1 補正手段26は、計量用ロードセル3から出力された計量信号e1jから計量側オフセット量mo1 を減算してオフセット補正済み計量信号e1 j を生成して振動補正手段27に出力する手段である。(7)式より、
1 j =e1j−mo1 =K1 (M+m1 +mf1 )(g+aj ) ・・・(23)
を演算することによりオフセット補正済み計量信号e1 j を生成することができる。ただし、jは計量信号e1 ’の時系列順番1、2、3、・・・を表している。
【0029】
振動補正手段27は、計量側オフセット量mo1 が除去されたオフセット補正済み計量信号e1 j ((23)式参照)と、補正側オフセット量mo2 が除去されたオフセット補正済み補正信号e2 j ((18)式参照)と、を除算補償方法の(4)式のe1 、e2 にそれぞれ代入することにより風袋変化量mf1 を含む被計量物2の質量M’を演算する手段である。質量M’は、
M’=M+mf1 =K2 2 (e1 j −e2 j )/(K1 2 j )・・・(24)
によって得られる。
ただし、振動補正手段27は、(4)式の除算補償方法のプログラムによって風袋変化量mf1 を含む被計量物2の質量M’を演算する構成としたが、(6)式の減算方法のプログラムによって風袋変化量mf1 を含む被計量物2の質量M’を演算する構成としてもよい。この場合の質量M’は、
M’=M+mf1 =〔(e1 j −k3 (e2 j −m2 g))/(K1 g)〕−m1 ・・・(25)
によって得られる。なお、補償係数k3 は、
3 =e1 j /e2 j =(K1 (M+m1 +mf1 ))/(K2 2 )・・・・(26)
の演算より求める。
【0030】
mf1 補正手段28は、風袋変化量mf1 を含む被計量物2の質量M’から風袋変化量mf1 を減算して被計量物2の質量Mを演算する手段であり、質量Mを
M=M’−mf1 ・・・・(27)
の演算により求めることができる。
【0031】
次に、上記構成の零点設定方法を使用した質量計量装置の作用を説明する。今、計量用ロードセル3が被計量物2の重量を受けておらず、休止状態であるとする。計量用ロードセル3が生成する図1に示す風袋信号e0jは、切換手段16を通って風袋変化量及び計量側オフセット量演算手段(以下、「風袋変化量等の演算手段」ともいう。)17の減算手段22に入力する。そして、補正用ロードセル4が生成する補正信号e2jは、補正側オフセット演算手段15と減算器19に入力する。補正側オフセット演算手段15は、補正信号e2jに含まれている補正側オフセット量mo2 を演算してそのmo2 を減算器19に出力し、減算器19は、補正信号e2jから補正側オフセット量mo2 を減算してオフセット補正済み補正信号e2 j を風袋変化量等の演算手段17の減算手段23に出力する。風袋変化量等の演算手段17は、これら風袋信号e0jの時系列順に入力する2つの風袋信号e0j、e0(j+1)、及び時系列順に入力する2つのオフセット補正済み補正信号e2 j 、e2 (j+1) に基づいて、計量用ロードセル3の振動成分を含まない風袋変化量mf1 と計量側オフセット量mo1 を演算して補正手段18に出力する。
【0032】
このように、質量計量装置の休止状態において風袋変化量mf1 と計量側オフセット量mo1 をローパスフィルタを使用せずに演算により得ることができるので、計量と計量の間の毎回の休止状態に必要とする時間の短縮を図ることができる。そして、計量用ロードセル3の振動成分aj を含まない風袋変化量mf1 と計量側オフセット量mo1 、及び補正側オフセット量mo2 を演算により求めて、これらに基づく計量誤差を除去する零点設定を行うことができるので、計量状態において被計量物2の質量Mを正確に演算することができるし、前回以前に計量された被計量物2の残留分があっても、今回の被計量物2の質量Mを正確に演算することができる。また、補正側オフセット演算手段15には、ローパスフィルタ20が設けられているので、補正側オフセット量mo2 を生成するのに比較的時間を要するが、この補正側オフセット量mo2 は、計量側オフセット量mo1 と比較して変動し難いものであるので、予め設定した例えば5分おきにmo2 を演算することとしてあり、5分が経過するまでは直前に演算されて記憶されているmo2 を減算器19に出力しており、従って、休止状態の平均時間を長引かせないようにすることができる。
【0033】
次に、休止状態から計量用ロードセル3が被計量物2の重量を受けている計量状態となったときは、計量用ロードセル3が生成する図1に示す計量信号e1j、及び補正側オフセット量mo2 が除去されたオフセット補正済み補正信号e2 j は、切換手段16を通って補正手段18に入力する。補正手段18は、計量信号e1jから計量側オフセット量mo1 を除去してオフセット補正済み計量信号e1 j を演算する。そして、このオフセット補正済み計量信号e1 j とオフセット補正済み補正信号e2 j により計量用ロードセル3の振動成分を除去した風袋変化量mf1 を含む被計量物2の質量M’を演算し、質量M’から風袋変化量mf1 を減算して被計量物2の質量Mを生成することができる。
【0034】
このように、質量計量装置の計量状態において、計量信号e1jに対してローパスフィルタを使用せずに、計量側及び補正側オフセット量mo1 、mo2 、及び風袋変化量mf1 の零点設定を行い、被計量物2の質量Mを演算により得ることができるので、質量Mの演算時間の短縮を図ることができ、その結果、質量Mの高速計量を実現することができる。
【0035】
次に、本発明に係る零点設定方法を使用する質量計量装置の第2実施形態を図2を参照して説明する。第2実施形態の質量計量装置は、計量側オフセット量mo1 と補正側オフセット量mo2 が0であることが常に成立する場合、又はmo1 とmo2 に基づく計量誤差が計量精度に対して無視できる場合等に適用することができる。第1実施形態と第2実施形態の質量計量装置が相違するところは、第1実施形態では、計量側オフセット量mo1 、補正側オフセット量mo2 、及び風袋変化量mf1 を演算して求めてそれらの零点設定を行う構成としたのに対して、第2実施形態では、計量側オフセット量mo1 、及び補正側オフセット量mo2 の零点設定を行わずに風袋変化量mf1 の零点設定を行う構成としたところである。つまり、第2実施形態の質量計量装置の質量演算記憶手段(CPU)29の構成は、図2に示すように、第1実施形態の質量演算記憶手段14の構成のうちから、補正側オフセット演算手段15と、減算器19と、mo1 補正手段26と、を削除し、演算記憶手段24に代えて演算記憶手段30を設け、この演算記憶手段30が風袋変化量mf1 を演算する構成である。これ以外は第1実施形態と同等であり、同等部分は同一図面符号で示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0036】
第2実施形態の質量計量装置の作用を説明する。今、計量用ロードセル3が被計量物2の重量を受けておらず、休止状態であるとする。計量用ロードセル3が生成する図2に示す計量側オフセット量mo1 を含まない風袋信号e0j=K1 (m1 +mf1 )(g+aj )は、切換手段16を通って減算手段22に入力する。そして、補正用ロードセル4が生成する補正側オフセット量mo2 を含まない補正信号e2j=K2 2 (g+aj )は、切換手段16を通って減算手段23に入力する。減算手段22は、これら風袋信号e0jの時系列順に入力する2つの風袋信号e0jとe0(j+1)の差を演算し、減算手段23は、これら補正信号e2jの時系列順に入力する2つの補正信号e2jとe2(j+1)の差を演算する。演算記憶手段30は、判定手段25がe2(j+1)≠e2jであると判断して(e2(j+1)−e2j)が演算記憶手段30に入力したときに、
mf1 =((e0(j+1)−e0j)/(e2 (j+1) −e2 j ))(K2 2 /K1 )−m1 ・・・・(28)
の演算を行うことにより風袋変化量mf1 を生成して記憶部(図示せず)に記憶することができる。そして、この計量用ロードセル3の振動成分を含まない風袋変化量mf1 をmf1 補正手段28に出力する。
【0037】
このように、質量計量装置の休止状態において、風袋信号e0jに対してローパスフィルタを使用せずに風袋変化量mf1 を演算により得ることができるので、第1実施形態と同様に、計量と計量の間の毎回の休止状態に必要とする時間の短縮を図ることができる。そして、振動成分aj を含まない風袋変化量mf1 を演算により求めて、これに基づく計量誤差を除去する零点設定をすることができるので、被計量物2の質量Mを正確に演算することができるし、第1実施形態と同様に、前回以前に計量された被計量物2の残留分があっても、今回の被計量物2の質量Mを正確に演算することができる。
【0038】
次に、休止状態から計量用ロードセル3が被計量物2の重量を受けている計量状態となったときは、計量用ロードセル3が生成する図2に示す計量信号e1j=K1 (M+m1 +mf1 )(g+aj )、及び補正用ロードセル4が生成する補正信号e2jは、切換手段16を通って振動補正手段27に入力する。振動補正手段27は、第1実施形態と同様に、計量側オフセット量mo1 を含まない計量信号e1jと補正側オフセット量mo2 を含まない補正信号e2jを(24)式に代入して演算を行うことにより、計量用ロードセル3の振動成分を除去した風袋変化量mf1 を含む被計量物2の質量M’を生成し、mf1 補正手段28は質量M’から風袋変化量mf1 を減算して被計量物2の質量Mを生成することができる。
【0039】
このように、質量計量装置の計量状態において、計量信号e1jに対してローパスフィルタを使用せずに風袋変化量mf1 の零点設定を行い、被計量物2の質量Mを演算により得ることができるので、第1実施形態と同様に、質量Mの演算時間の短縮を図ることができ、その結果、質量Mの高速計量を実現することができる。
【0040】
ただし、第1実施形態では、時系列順の2つの時刻における風袋信号の(e0(j+1)−e0j)とオフセット補正済み補正信号の(e2 (j+1) −e2 j )を(20)式に代入して演算を行い風袋変化量mf1 を生成したが、時系列順の3つ以上の時刻における風袋信号の(e0(j+1)−e0j)とオフセット補正済み補正信号の(e2 (j+1) −e2 j )のサンプルデータを使用して風袋変化量mf1 を生成する構成としてもよい。つまり、(19)式を
(e0(j+1)−e0j)=〔K1 (m1 +mf1 )/(K2 2 )〕(e2 (j+1 ) −e2 j ) ・・・・(29)
と変形する。そして、3つ以上のサンプルj(j=1、2、3、・・・)のサンプルデータ、例えば(e02−e01)、(e03−e02)、(e04−e03)、・・・、及び(e2 2 −e2 1 )、(e2 3 −e2 2 )、(e2 4 −e2 3 )、・・・を(30)式にそれぞれ代入して、
(e0(j+1)−e0j)=C(e2 (j+1) −e2 j ) ・・・・(30)
(30)式のパラメータCを最小2乗法を内容とするプログラムによって演算して生成するようにする。次に、(29)式と(30)式より、
C=K1 (m1 +mf1 )/(K2 2 ) ・・・・(31)
の関係が得られ、(31)式を変形すると、風袋変化量mf1
mf1 =(CK2 2 /K1 )−m1 ・・・・(32)
の演算を行うことによって生成することができる。
このようにして風袋変化量mf1 を第1実施形態よりも更に正確に演算することができる。
【0041】
そして、演算記憶手段24は、上記のようにして得られた風袋変化量mf1 と時系列順に入力するe0j、e2 j とに基づいて(21)式の演算を2回以上行うことにより2以上の計量側オフセット量mo1jを生成し、これら2以上の計量側オフセット量mo1jの平均値mo1 を演算により求める構成とすることができる。これにより、第1実施形態よりも正確に計量側オフセット量mo1 を求めることができる。
【0042】
また、第2実施形態においても、上記と同様に、時系列順の3つ以上の時刻における風袋信号の(e0(j+1)−e0j)と補正信号の(e2 (j+1) −e2 j )のサンプルデータを使用してパラメータCを演算し、そして、(32)式の演算を行うことにより風袋変化量mf1 を生成する構成としてもよい。
【0043】
更に、第1実施形態では、計量側オフセット量mo1 、補正側オフセット量mo2 、及び風袋変化量mf1 を演算して求めて零点設定を行う構成としたが、風袋変化量mf1 を演算せずに、計量側オフセット量mo1 と補正側オフセット量mo2 を演算して求めてこれの零点設定を行う構成としてもよい。このように構成した質量計量装置は、被計量物2が例えば包装されたものである場合のように、前回に計量した被計量物2の一部が載置台13に残らない場合に適している。
【0044】
【発明の効果】
第1、及び第2の発明に係る質量計量装置の零点設定方法、及び質量計量装置は、計量用荷重変換手段が被計量物の重量を受けていない状態で2以上の各時点で生成する風袋重量に対応する風袋信号と補正用荷重変換手段が上記2以上の各時点で生成する補正信号とに基づいて、計量用荷重変換手段の振動成分を含まない風袋変化量を演算し、振動補正手段が生成した質量信号からその風袋変化量を除去して振動成分を含まない風袋変化量補正済み質量信号を生成する構成である。つまり、遮断周波数が床振動周波数よりも低く設定したローパスフィルタを用いて計量用荷重変換手段が生成する風袋信号((12)式)から物体の振動に基づく振動成分(振動加速度aを含む成分)を除去する構成を採用していないので、振動を受ける場所でも被計量物の質量を高速で計量することができるという効果がある。
そして、振動成分を含まない風袋変化量を演算により得ることができるので、計量用荷重変換手段の載置台上に前回までに計量した被計量物品の残留分等が存在している場合でも被計量物の質量を精度良く計量することができるという効果がある。
【0045】
第3の発明に係る質量計量装置によると、オフセット補正済み計量信号、及びオフセット補正済み補正信号を演算して、計量側及び補正側オフセット量と振動成分とを除去した被計量物の質量信号を生成する構成であるので、振動を受ける場所でも補正用荷重変換手段の補正側オフセット量、計量用荷重変換手段の計量側オフセット量、及び振動成分に基づく誤差を除去した被計量物の質量信号を得ることができる。これによって、振動を受ける場所でも被計量物の質量を高精度、高速で計量することができるという効果がある。この第3の発明は、前回までに計量した被計量物の残留分が載置台に残らないような被計量物の質量の計量に適している。
【0046】
第4の発明に係る質量計量装置によると、第1及び第2の発明と同様に、計量用荷重変換手段が被計量物の重量を受けていない状態で2以上の各時点で生成する風袋重量に対応する風袋信号と補正用荷重変換手段が上記2以上の各時点で生成する補正信号とに基づいて、計量用荷重変換手段の振動成分を含まない風袋変化量を風袋変化量演算手段が演算し、補正手段が生成した質量信号からその風袋変化量を除去して振動成分を含まない風袋変化量補正済み質量信号を生成する構成であり、遮断周波数が床振動周波数よりも低く設定したローパスフィルタを用いて計量用荷重変換手段が生成する風袋信号から振動成分を除去する構成を採用していないので、振動を受ける場所でも被計量物の質量を高速で計量することができるという効果がある。そして、風袋変化量を除去した風袋変化量補正済み質量信号が得られるので、被計量物が載置台等に付着して風袋質量の変化がある場合でも被計量物の質量を精度良く計量することができるという効果がある。
【0047】
また、第3の発明と同様に、振動を受ける場所でも、補正用荷重変換手段の補正側オフセット量、及び計量用荷重変換手段の計量側オフセット量に基づく誤差を含まない被計量物の質量信号を得ることができるので、被計量物の質量を高精度で計量することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係る質量計量装置の質量演算記憶手段の構成を示すブロック図である。
【図2】同発明の第2実施形態に係る質量計量装置の質量演算記憶手段の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明及び従来の質量計量装置の計量用ロードセル及び補正用ロードセルを示す正面図である。
【図4】従来の質量計量装置の電気回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 床
2 被計量物
3 計量用ロードセル
4 補正用ロードセル
14、29 質量演算記憶手段
15 補正側オフセット演算手段
17 風袋変化量及び計量側オフセット量演算手段
18 補正手段
19 減算器
21、22、23 減算手段
24、30 演算記憶手段
26 mo1 補正手段
27 振動補正手段
28 mf1 補正手段

Claims (4)

  1. 物体上に設置可能であり被計量物の重量を受けてこの重量に対応する計量信号を生成する計量用荷重変換手段と、上記物体上に設置可能であり既知の補正用質量に基づく重量を受けてこの重量に対応する補正信号を生成する補正用荷重変換手段と、上記計量信号と上記補正信号を演算して上記物体の振動により生じる振動成分を除去した上記被計量物の質量信号を生成する振動補正手段と、を具備する質量計量装置の零点設定方法において、
    上記計量用荷重変換手段が上記被計量物の重量を受けていない状態で2以上の各時点で風袋重量に対応する風袋信号を生成する段階と、上記補正用荷重変換手段が上記2以上の各時点で上記補正信号を生成する段階と、上記2以上の各時点における上記各風袋信号と上記各補正信号に基づいて上記計量用荷重変換手段の振動成分を含まない風袋変化量を風袋変化量演算手段が演算する段階と、上記被計量物の質量信号から上記風袋変化量を除去して振動成分を含まない風袋変化量補正済み質量信号を風袋補正手段が生成する段階と、を具備することを特徴とする質量計量装置の零点設定方法。
  2. 物体上に設置可能であり被計量物の重量を受けてこの重量に対応する計量信号を生成する計量用荷重変換手段と、上記物体上に設置可能であり既知の補正用質量に基づく重量を受けてこの重量に対応する補正信号を生成する補正用荷重変換手段と、上記計量信号と上記補正信号を演算して上記物体の振動により生じる振動成分を除去した上記被計量物の質量信号を生成する振動補正手段と、を具備する質量計量装置において、
    上記計量用荷重変換手段が上記被計量物の重量を受けていない状態で2以上の各時点で生成する風袋重量に対応する各風袋信号、及び上記2以上の各時点における上記各補正信号に基づいて上記計量用荷重変換手段の振動成分を含まない風袋変化量を演算する風袋変化量演算手段と、上記被計量物の質量信号から上記風袋変化量を除去して振動成分を含まない風袋変化量補正済み質量信号を生成する風袋補正手段と、を設けたことを特徴とする質量計量装置。
  3. 物体上に設置可能であり被計量物の重量を受けてこの重量に対応する計量信号を生成する計量用荷重変換手段と、上記物体上に設置可能であり既知の補正用質量に基づく重量を受けてこの重量に対応する補正信号を生成する補正用荷重変換手段と、上記補正用荷重変換手段が生成する上記補正信号から上記物体の振動により生じる振動成分を除去する演算を行い振動除去済み補正信号を生成しこの生成した振動除去済み補正信号と上記補正用質量の重量とから上記補正用荷重変換手段の補正側オフセット量を演算する補正側オフセット演算手段と、上記計量用荷重変換手段が上記被計量物の重量を受けていない状態で生成する風袋重量に対応する風袋信号、及び上記補正信号に対して上記補正側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み補正信号に基づいて上記計量用荷重変換手段の計量側オフセット量を演算する計量側オフセット演算手段と、上記計量信号に対して上記計量側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み計量信号、及び上記オフセット補正済み補正信号を演算して上記物体の振動により生じる振動成分を除去した上記被計量物の質量信号を生成する補正手段と、を具備することを特徴とする質量計量装置。
  4. 物体上に設置可能であり被計量物の重量を受けてこの重量に対応する計量信号を生成する計量用荷重変換手段と、上記物体上に設置可能であり既知の補正用質量に基づく重量を受けてこの重量に対応する補正信号を生成する補正用荷重変換手段と、上記補正用荷重変換手段が生成する上記補正信号から上記物体の振動により生じる振動成分を除去する演算を行い振動除去済み補正信号を生成しこの生成した振動除去済み補正信号と上記補正用質量の重量とから上記補正用荷重変換手段の補正側オフセット量を演算する補正側オフセット演算手段と、上記計量用荷重変換手段が上記被計量物の重量を受けていない状態で2以上の各時点で生成する風袋重量に対応する風袋信号、及び上記2以上の各時点における上記補正信号に基づいて上記計量用荷重変換手段の風袋変化量を演算する風袋変化量演算手段と、上記計量用荷重変換手段が上記被計量物の重量を受けていない状態で生成する風袋重量に対応する風袋信号、上記補正信号に対して上記補正側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み補正信号、及び上記風袋変化量に基づいて上記計量用荷重変換手段の計量側オフセット量を演算する計量側オフセット演算手段と、上記計量信号に対して上記計量側オフセット量を補正して得られたオフセット補正済み計量信号、上記オフセット補正済み補正信号、及び上記風袋変化量を演算して上記物体の振動により生じる振動成分と上記風袋変化量を除去した上記被計量物の質量信号を生成する補正手段と、を具備することを特徴とする質量計量装置。
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