JP2001081633A - カチオン可染性及びソフト感に優れた繊維及び繊維構造物 - Google Patents
カチオン可染性及びソフト感に優れた繊維及び繊維構造物Info
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- JP2001081633A JP2001081633A JP25443599A JP25443599A JP2001081633A JP 2001081633 A JP2001081633 A JP 2001081633A JP 25443599 A JP25443599 A JP 25443599A JP 25443599 A JP25443599 A JP 25443599A JP 2001081633 A JP2001081633 A JP 2001081633A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 天然繊維に似た良好な風合並びに吸湿性及び
吸水性を保持しつつ、発色性に優れ、ソフト感に富んだ
合成繊維を、ポリマー設計や繊維化工程、更には後加工
工程においてトラブルや繊維の望ましくない着色等を生
ずることなく簡単に得ること。 【解決手段】 基本骨格がエチレン含有量25〜70モ
ル%、ケン化度95%以上であるエチレン−ビニルアル
コール系共重合体であり、その主鎖中に、2-アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来する単位
が、0.05〜1.0モル%共重合された変性エチレン
−ビニルアルコール系共重合体とポリエステルとが交互
に貼り合わされている分割型複合繊維であり、分割処理
後の単繊維の繊度が0.05〜1.5デニール、断面形
状が20度以上120度以下の角度を少なくとも2つ以
上有する繊維断面である繊維。
吸水性を保持しつつ、発色性に優れ、ソフト感に富んだ
合成繊維を、ポリマー設計や繊維化工程、更には後加工
工程においてトラブルや繊維の望ましくない着色等を生
ずることなく簡単に得ること。 【解決手段】 基本骨格がエチレン含有量25〜70モ
ル%、ケン化度95%以上であるエチレン−ビニルアル
コール系共重合体であり、その主鎖中に、2-アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来する単位
が、0.05〜1.0モル%共重合された変性エチレン
−ビニルアルコール系共重合体とポリエステルとが交互
に貼り合わされている分割型複合繊維であり、分割処理
後の単繊維の繊度が0.05〜1.5デニール、断面形
状が20度以上120度以下の角度を少なくとも2つ以
上有する繊維断面である繊維。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風合が良好でソフ
ト感に優れ、且つカチオン染料に可染性のエチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体を用いた複合繊維、糸、布帛
等の繊維製品及びそれらの製造方法に関する。
ト感に優れ、且つカチオン染料に可染性のエチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体を用いた複合繊維、糸、布帛
等の繊維製品及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやポリアミド等の合成繊維
は、その単糸デニールや断面形状が単調であるために、
織物、編物、不織布等の繊維構造物にした場合に、綿や
麻等の天然繊維からなる繊維構造物に比較して、風合、
光沢等が単調で冷たく、品位の低い製品になりがちであ
った。また、溶融紡糸による合成繊維は、特有の鏡面光
沢があり、染色した場合も羊毛、絹などの天然繊維に比
べて鮮やかさや色の深みが得られにくいなどの欠点があ
った。
は、その単糸デニールや断面形状が単調であるために、
織物、編物、不織布等の繊維構造物にした場合に、綿や
麻等の天然繊維からなる繊維構造物に比較して、風合、
光沢等が単調で冷たく、品位の低い製品になりがちであ
った。また、溶融紡糸による合成繊維は、特有の鏡面光
沢があり、染色した場合も羊毛、絹などの天然繊維に比
べて鮮やかさや色の深みが得られにくいなどの欠点があ
った。
【0003】近年、合成繊維におけるそのような欠点を
改良するために、繊維横断面の異型化、捲縮加工、複合
繊維の形成やその他種々の方法が試みられており、その
ような従来技術の具体例としては、易溶解性ポリマー
とポリエステルの複合繊維を形成した後、後加工を施し
てドライタッチでキシミ感のある風合や独特の光沢を布
帛に付与する方法(特開昭56−165015号公報、
特開昭57−5921号公報、特開昭58−98425
号公報、特開昭61−239010号公報)、繊維の
長さ方向に太さ斑を設けて風合いを改良する方法(特公
昭51−7207号公報、特開昭58−70711号公
報、特開昭62−133118号公報)、合成繊維を
フイブリル化させて風合いを改良する方法(特公昭53
−35633号公報、特公昭56−16231号公報、
特開昭63−6161号公報)等がある。
改良するために、繊維横断面の異型化、捲縮加工、複合
繊維の形成やその他種々の方法が試みられており、その
ような従来技術の具体例としては、易溶解性ポリマー
とポリエステルの複合繊維を形成した後、後加工を施し
てドライタッチでキシミ感のある風合や独特の光沢を布
帛に付与する方法(特開昭56−165015号公報、
特開昭57−5921号公報、特開昭58−98425
号公報、特開昭61−239010号公報)、繊維の
長さ方向に太さ斑を設けて風合いを改良する方法(特公
昭51−7207号公報、特開昭58−70711号公
報、特開昭62−133118号公報)、合成繊維を
フイブリル化させて風合いを改良する方法(特公昭53
−35633号公報、特公昭56−16231号公報、
特開昭63−6161号公報)等がある。
【0004】更に別の例としては、仮撚・融着糸を作
成して麻様のシャリ感を付与する方法(特公昭45−1
8072号公報)、混繊融着加工糸を作成する方法
(特開昭63−6123号公報)、ポリエステル繊維
をカチオン染料可染性にする方法(特公昭34−104
79号公報)、繊維表面に超微細な凹凸を形成して鏡
面光沢を抑えて深みのある色にする方法(特公昭59−
24233号公報)を挙げることができる。
成して麻様のシャリ感を付与する方法(特公昭45−1
8072号公報)、混繊融着加工糸を作成する方法
(特開昭63−6123号公報)、ポリエステル繊維
をカチオン染料可染性にする方法(特公昭34−104
79号公報)、繊維表面に超微細な凹凸を形成して鏡
面光沢を抑えて深みのある色にする方法(特公昭59−
24233号公報)を挙げることができる。
【0005】しかしながら、上記したいずれの方法も、
合成繊維に天然繊維に似た風合いを付与し、しかもトリ
アセテート繊維やアクリル繊維等におけるような良好な
発色性と鮮明な色合いを付与するという点では充分満足
のいくものではなかった。しかも、ポリエステル等の合
成繊維は親水性および吸水性が不足しているため、着心
地の点からも木綿や麻等の天然繊維に劣っていた。
合成繊維に天然繊維に似た風合いを付与し、しかもトリ
アセテート繊維やアクリル繊維等におけるような良好な
発色性と鮮明な色合いを付与するという点では充分満足
のいくものではなかった。しかも、ポリエステル等の合
成繊維は親水性および吸水性が不足しているため、着心
地の点からも木綿や麻等の天然繊維に劣っていた。
【0006】我々は以前、これらの問題を解決すべく、
エチレン−ビニルアルコール共重合体の側鎖に、特定の
スルホン酸基又はスルホネート基を導入する方法を提案
した(特開平3−269110号公報、特開平5−71
011号公報)。
エチレン−ビニルアルコール共重合体の側鎖に、特定の
スルホン酸基又はスルホネート基を導入する方法を提案
した(特開平3−269110号公報、特開平5−71
011号公報)。
【0007】しかしながら、これらの方法によって、K
/S値の高い優れた発色性を有する染色物を得るために
は、特定のスルホン酸基又はスルホネート基を含む化合
物をエチレン−ビニルアルコール共重合体に対して多量
導入することが必要であり、これらの多量の官能基を共
重合体の側鎖に導入することにより、導入先であるエチ
レン−ビニルアルコール共重合体の水酸基が失われて、
かかる繊維の基本的且つ優れた特性である親水性、吸放
湿性が低下してしまうという問題が生じる。また、ソフ
ト感の付与という点においては、単繊維繊度が小さい繊
維、すなわち極細繊維を用いることが一般的となってい
る。しかしながら、極細繊維が丸断面であると、ソフト
感よりヌメリ感が強調されてしまい、風合いに劣るとい
う問題があった。
/S値の高い優れた発色性を有する染色物を得るために
は、特定のスルホン酸基又はスルホネート基を含む化合
物をエチレン−ビニルアルコール共重合体に対して多量
導入することが必要であり、これらの多量の官能基を共
重合体の側鎖に導入することにより、導入先であるエチ
レン−ビニルアルコール共重合体の水酸基が失われて、
かかる繊維の基本的且つ優れた特性である親水性、吸放
湿性が低下してしまうという問題が生じる。また、ソフ
ト感の付与という点においては、単繊維繊度が小さい繊
維、すなわち極細繊維を用いることが一般的となってい
る。しかしながら、極細繊維が丸断面であると、ソフト
感よりヌメリ感が強調されてしまい、風合いに劣るとい
う問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、天然
繊維に似た良好な風合並びに吸湿性及び吸水性を保持し
つつ、カチオン染料による染色後の発色性に優れ、ソフ
ト感に富んだ合成繊維を、ポリマー設計や繊維化工程、
更には後加工工程においてトラブルや繊維の望ましくな
い着色等を生ずることなく簡単に得ることである。
繊維に似た良好な風合並びに吸湿性及び吸水性を保持し
つつ、カチオン染料による染色後の発色性に優れ、ソフ
ト感に富んだ合成繊維を、ポリマー設計や繊維化工程、
更には後加工工程においてトラブルや繊維の望ましくな
い着色等を生ずることなく簡単に得ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、エチレン−
ビニルアルコール系共重合体の主鎖中に特定のスルホン
酸基又はスルホネート基を有する単量体が特定量共重合
された変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体と融
点が200℃以上の繊維形成性熱可塑性ポリマーとが交
互に貼り合わされている分割型貼合わせ形態であり、分
割処理後の単繊維繊度が0.1〜1.5デニールで、断
面形状が20度以上120度以下の角度を少なくとも2
つ以上有する断面にすることにより、上記課題を達成で
きることを見出し、本発明を完成した。
を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、エチレン−
ビニルアルコール系共重合体の主鎖中に特定のスルホン
酸基又はスルホネート基を有する単量体が特定量共重合
された変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体と融
点が200℃以上の繊維形成性熱可塑性ポリマーとが交
互に貼り合わされている分割型貼合わせ形態であり、分
割処理後の単繊維繊度が0.1〜1.5デニールで、断
面形状が20度以上120度以下の角度を少なくとも2
つ以上有する断面にすることにより、上記課題を達成で
きることを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、基本骨格がエチレン
含有量25〜70モル%、ケン化度95%以上であるエ
チレン−ビニルアルコール系共重合体であり、その主鎖
中にスルホン酸基又はスルホネート基を有する単位が、
基本骨格を構成するエチレン単位とビニルアルコール系
単位の合計モル数に対して0.05〜1.0モル%共重
合された変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体
(A)と、融点が200℃以上の繊維形成性熱可塑性ポ
リマー(B)とが交互に貼り合わされている分割型貼合
わせ複合形態であり、分割処理後の単繊維において、繊
度が0.05〜1.5デニールであり、断面形状が20
度以上120度以下の角度を少なくとも2つ以上有する
断面であることを特徴とする発色性及びソフト感に優れ
た繊維であり、また、該繊維を主体として構成された繊
維構造物であって、分割処理を施した後、分散染料およ
びカチオン染料にて染色処理したときの深色度(K/
S)が10以上である繊維構造物である。なお、本発明
でいう繊維構造物とは、上記繊維を主体構成成分として
含む、マルチフィラメント、紡績糸、織物、編物、不織
布等を意味するものである。
含有量25〜70モル%、ケン化度95%以上であるエ
チレン−ビニルアルコール系共重合体であり、その主鎖
中にスルホン酸基又はスルホネート基を有する単位が、
基本骨格を構成するエチレン単位とビニルアルコール系
単位の合計モル数に対して0.05〜1.0モル%共重
合された変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体
(A)と、融点が200℃以上の繊維形成性熱可塑性ポ
リマー(B)とが交互に貼り合わされている分割型貼合
わせ複合形態であり、分割処理後の単繊維において、繊
度が0.05〜1.5デニールであり、断面形状が20
度以上120度以下の角度を少なくとも2つ以上有する
断面であることを特徴とする発色性及びソフト感に優れ
た繊維であり、また、該繊維を主体として構成された繊
維構造物であって、分割処理を施した後、分散染料およ
びカチオン染料にて染色処理したときの深色度(K/
S)が10以上である繊維構造物である。なお、本発明
でいう繊維構造物とは、上記繊維を主体構成成分として
含む、マルチフィラメント、紡績糸、織物、編物、不織
布等を意味するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の繊維の一成分とする変性
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以後「変性E
t/VA系共重合体」と略称することがある)におい
て、基本骨格をなすエチレン−ビニルアルコール系共重
合体(以後「Et/VA系共重合体」と略称することが
ある)は、エチレン、酢酸ビニル及び所望により、その
他のビニル系単量体とから合成される共重合体が部分的
にケン化されたものであり、本発明の効果を損なわない
範囲であれば鎖状重合体であっても、架橋されたもので
あってもよい。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以後「変性E
t/VA系共重合体」と略称することがある)におい
て、基本骨格をなすエチレン−ビニルアルコール系共重
合体(以後「Et/VA系共重合体」と略称することが
ある)は、エチレン、酢酸ビニル及び所望により、その
他のビニル系単量体とから合成される共重合体が部分的
にケン化されたものであり、本発明の効果を損なわない
範囲であれば鎖状重合体であっても、架橋されたもので
あってもよい。
【0012】本発明においては、共重合体の重合時にス
ルホン酸基又はスルホネート基を有する単量体を特定量
共重合させ、Et/VA系共重合体の主鎖中にかかる単
量体を導入することが好ましい。本発明の繊維の変性E
t/VA系共重合体において、エチレン単位の割合は、
約25〜70モル%が好ましい。エチレン単位の割合が
25モル%よりも少ない、すなわちビニルアルコール単
位の割合が75モル%よりも多いと、繊維化する際の曳
糸性が不良となって紡糸または延伸時に単糸切れ、断糸
が多くなり、しかも柔軟性の欠けたものとなりやすい。
また、変性Et/VA系共重合体と他の熱可塑性重合体
とを複合紡糸又は混合紡糸する場合に、例えば、他の熱
可塑性重合体としてポリエチレンテレフタレートのよう
な高融点重合体を使用する場合、250℃以上の高い紡
糸温度を採用することとなり、その場合に変性Et/V
A系共重合体におけるエチレン単位の割合が25モル%
より少ないと重合体の耐熱性が不充分で、紡糸性が不良
となり良好な複合繊維が得られにくくなる。従って、か
かる観点からより好ましいエチレン単位の含有割合は3
0モル%以上である。
ルホン酸基又はスルホネート基を有する単量体を特定量
共重合させ、Et/VA系共重合体の主鎖中にかかる単
量体を導入することが好ましい。本発明の繊維の変性E
t/VA系共重合体において、エチレン単位の割合は、
約25〜70モル%が好ましい。エチレン単位の割合が
25モル%よりも少ない、すなわちビニルアルコール単
位の割合が75モル%よりも多いと、繊維化する際の曳
糸性が不良となって紡糸または延伸時に単糸切れ、断糸
が多くなり、しかも柔軟性の欠けたものとなりやすい。
また、変性Et/VA系共重合体と他の熱可塑性重合体
とを複合紡糸又は混合紡糸する場合に、例えば、他の熱
可塑性重合体としてポリエチレンテレフタレートのよう
な高融点重合体を使用する場合、250℃以上の高い紡
糸温度を採用することとなり、その場合に変性Et/V
A系共重合体におけるエチレン単位の割合が25モル%
より少ないと重合体の耐熱性が不充分で、紡糸性が不良
となり良好な複合繊維が得られにくくなる。従って、か
かる観点からより好ましいエチレン単位の含有割合は3
0モル%以上である。
【0013】一方、該共重合体におけるエチレン単位の
割合が70モル%を超えると、ビニルアルコール単位、
すなわち水酸基の割合が必然的に少なくなって、繊維の
親水性が低下して目的とする天然繊維様の風合が得られ
にくくなる。従って、エチレン単位の含量の好適な含量
は60モル%以下、さらに好ましくは55モル%以下で
ある。
割合が70モル%を超えると、ビニルアルコール単位、
すなわち水酸基の割合が必然的に少なくなって、繊維の
親水性が低下して目的とする天然繊維様の風合が得られ
にくくなる。従って、エチレン単位の含量の好適な含量
は60モル%以下、さらに好ましくは55モル%以下で
ある。
【0014】本発明で使用される変性Et/VA系共重
合体におけるケン化度は約95%以上であることが必要
であり、97%以上であることが好ましい。ケン化度が
低くなると共重合体の結晶性が低下して強度等の物性が
低下するだけでなく、共重合体が軟化し易くなり、繊維
化工程でトラブルが発生し、しかも得られる繊維の風合
いが劣ったものになり好ましくない。
合体におけるケン化度は約95%以上であることが必要
であり、97%以上であることが好ましい。ケン化度が
低くなると共重合体の結晶性が低下して強度等の物性が
低下するだけでなく、共重合体が軟化し易くなり、繊維
化工程でトラブルが発生し、しかも得られる繊維の風合
いが劣ったものになり好ましくない。
【0015】本発明において、Et/VA系共重合体の
主鎖に導入されるスルホン酸基又はスルホネート基を有
する単位(単量体)としては、たとえば、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムのご
ときアクリルアミド系スルホン酸塩モノマー、スチレン
スルホン酸カリウムのごときスチレン系スルホン酸塩モ
ノマー、アリルスルホン酸ナトリウムのごときアリル系
スルホン酸塩モノマー、またビニルスルホン酸ナトリウ
ムのごときビニルスルホン酸塩モノマー、あるいはこれ
らのアンモニウム塩モノマー、さらにはこれらの酸モノ
マー等が挙げられる。またこれらのスルホン酸のエステ
ルも、重合後エステルをその塩あるいは酸に変換するこ
とにより使用が可能である。なお、これらの単量体は単
独で使用することもまた併用することも可能である。上
記の単量体の中でも、本発明においては、特に下記式
(I)で示される単量体が好ましく使用される。
主鎖に導入されるスルホン酸基又はスルホネート基を有
する単位(単量体)としては、たとえば、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムのご
ときアクリルアミド系スルホン酸塩モノマー、スチレン
スルホン酸カリウムのごときスチレン系スルホン酸塩モ
ノマー、アリルスルホン酸ナトリウムのごときアリル系
スルホン酸塩モノマー、またビニルスルホン酸ナトリウ
ムのごときビニルスルホン酸塩モノマー、あるいはこれ
らのアンモニウム塩モノマー、さらにはこれらの酸モノ
マー等が挙げられる。またこれらのスルホン酸のエステ
ルも、重合後エステルをその塩あるいは酸に変換するこ
とにより使用が可能である。なお、これらの単量体は単
独で使用することもまた併用することも可能である。上
記の単量体の中でも、本発明においては、特に下記式
(I)で示される単量体が好ましく使用される。
【0016】
【化1】
【0017】ここで式中、R1は水素原子または低級ア
ルキル基であるが、水素原子またはメチル基が好まし
く、更に、共重合反応における重合速度が大である点で
水素原子であることが特に好ましい。R2はアルキル基
であることが必要であるが、その理由はアミド結合の安
定性が高く、共重合体のケン化反応において結合が切れ
ないこと、およびこの形の単量体はその合成が経済的に
有利であることの2点にある。R2、R3が共に水素原子
である単量体はアミド結合の安定性が低く、ケン化時に
結合が切れやすいため好ましくない。R3、R4、R5は
水素原子またはアルキル基であるが、このうちR3は水
素原子でなくアルキル基であることがアミド結合の安定
性が高いので好ましい。
ルキル基であるが、水素原子またはメチル基が好まし
く、更に、共重合反応における重合速度が大である点で
水素原子であることが特に好ましい。R2はアルキル基
であることが必要であるが、その理由はアミド結合の安
定性が高く、共重合体のケン化反応において結合が切れ
ないこと、およびこの形の単量体はその合成が経済的に
有利であることの2点にある。R2、R3が共に水素原子
である単量体はアミド結合の安定性が低く、ケン化時に
結合が切れやすいため好ましくない。R3、R4、R5は
水素原子またはアルキル基であるが、このうちR3は水
素原子でなくアルキル基であることがアミド結合の安定
性が高いので好ましい。
【0018】Mはアルカリ金属、すなわちNa、K、L
iあるいは類似物としてのNH4を示している。Mが水
素である場合、すなわちスルホン基が酸の状態でも酢酸
ビニルとの共重合は可能であるが、共重合系内のpHが
低下し、酢酸ビニルが分解する傾向が大となったり、ま
た、そのような共重合体を用いて溶融紡糸を行う際に共
重合体がゲル化して紡糸性が低下するため、スルホン基
をアルカリにより中和してアルカリ金属塩として酢酸ビ
ニルとの共重合を実施することが好ましい。ただし、本
発明の効果を損なわない程度であれば全てのスルホン酸
基がアルカリ金属塩になっている必要性はなく、一部の
Mが水素であってもよい。
iあるいは類似物としてのNH4を示している。Mが水
素である場合、すなわちスルホン基が酸の状態でも酢酸
ビニルとの共重合は可能であるが、共重合系内のpHが
低下し、酢酸ビニルが分解する傾向が大となったり、ま
た、そのような共重合体を用いて溶融紡糸を行う際に共
重合体がゲル化して紡糸性が低下するため、スルホン基
をアルカリにより中和してアルカリ金属塩として酢酸ビ
ニルとの共重合を実施することが好ましい。ただし、本
発明の効果を損なわない程度であれば全てのスルホン酸
基がアルカリ金属塩になっている必要性はなく、一部の
Mが水素であってもよい。
【0019】また、アルカリ金属塩の形ではスルホン基
含有単量体のアルコールに対する溶解度が向上する点で
も有利である。アルカリ金属のうち、NaあるいはKが
経済性および性能の上から特に好ましい。
含有単量体のアルコールに対する溶解度が向上する点で
も有利である。アルカリ金属のうち、NaあるいはKが
経済性および性能の上から特に好ましい。
【0020】上記のスルホン基を有する重合性単量体を
重合系に仕込む方法としてアルコール溶液として仕込む
ことが実用上有利であるが、この場合の仕込み液の調整
方法としては、単量体のアルカリ金属塩をアルコールに
溶解してもよく、あるいは酸形の単量体を中和当量ある
いは部分中和量の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウ
ムと共にアルコールに溶解する方法も採用され得る。
重合系に仕込む方法としてアルコール溶液として仕込む
ことが実用上有利であるが、この場合の仕込み液の調整
方法としては、単量体のアルカリ金属塩をアルコールに
溶解してもよく、あるいは酸形の単量体を中和当量ある
いは部分中和量の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウ
ムと共にアルコールに溶解する方法も採用され得る。
【0021】以上述べた構造上の特徴を満足する代表的
なスルホン基含有単量体の具体例としては、次のものが
挙げられる。2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸またはそのアルカリ金属塩、2−アクリルア
ミド−1−メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカ
リ金属塩、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸またはそのアルカリ金属塩、このうち2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそ
のアルカリ金属塩は工業的製造が比較的安価であるこ
と、ビニルエステル、ことに酢酸ビニルとの共重合速度
が高くまた高重合度の共重合体の合成が可能であるこ
と、アミド結合の安定性がとりわけ高いこと、さらにケ
ン化せしめた共重合体の目的とした性能が高いことなど
から特に本発明の目的に合致して好ましい。
なスルホン基含有単量体の具体例としては、次のものが
挙げられる。2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸またはそのアルカリ金属塩、2−アクリルア
ミド−1−メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカ
リ金属塩、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸またはそのアルカリ金属塩、このうち2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそ
のアルカリ金属塩は工業的製造が比較的安価であるこ
と、ビニルエステル、ことに酢酸ビニルとの共重合速度
が高くまた高重合度の共重合体の合成が可能であるこ
と、アミド結合の安定性がとりわけ高いこと、さらにケ
ン化せしめた共重合体の目的とした性能が高いことなど
から特に本発明の目的に合致して好ましい。
【0022】この単量体は、例えば、米国特許第298
3712号、同3332904号、同3547899号
あるいは同3709816号などで公知であり酢酸ビニ
ルなどのビニルエステルを含めた多くの単量体との共重
合体について実施例あるいは提案が示されている。ま
た、ビニルエステルとの共重合体をケン化することによ
り得られる共重合体、すなわちビニルアルコールとの共
重合体が特開昭62−33241号公報に示されてい
る。しかし、エチレン、酢酸ビニルとの3元共重合体の
ケン化物については知られておらず、本発明に示されて
いるような工業的に重要な優れた性能を有する共重合体
については全く知られていない。
3712号、同3332904号、同3547899号
あるいは同3709816号などで公知であり酢酸ビニ
ルなどのビニルエステルを含めた多くの単量体との共重
合体について実施例あるいは提案が示されている。ま
た、ビニルエステルとの共重合体をケン化することによ
り得られる共重合体、すなわちビニルアルコールとの共
重合体が特開昭62−33241号公報に示されてい
る。しかし、エチレン、酢酸ビニルとの3元共重合体の
ケン化物については知られておらず、本発明に示されて
いるような工業的に重要な優れた性能を有する共重合体
については全く知られていない。
【0023】本発明に用いる変性Et/VA系共重合体
の好適なメルトインデックス(MI)(190℃、21
60g荷重下で測定;ただし、融点が190℃付近ある
いは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以
上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆
数を横軸、メルトインデックスを縦軸(対数)としてプ
ロットし、190℃に外挿した値)は0.1〜200g
/10min.、最適には0.2〜100g/10mi
n.である。
の好適なメルトインデックス(MI)(190℃、21
60g荷重下で測定;ただし、融点が190℃付近ある
いは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以
上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆
数を横軸、メルトインデックスを縦軸(対数)としてプ
ロットし、190℃に外挿した値)は0.1〜200g
/10min.、最適には0.2〜100g/10mi
n.である。
【0024】以下に、変性Et/VA系共重合体の製造
方法を具体的に説明する。スルホン酸基又はスルホネー
ト基を有する単量体、エチレンと酢酸ビニルの重合は溶
液重合に限るものではなく、連続式、回分式のいずれで
あってもよい。例えば、回分式の溶液重合の場合の重合
条件は次の通りである。
方法を具体的に説明する。スルホン酸基又はスルホネー
ト基を有する単量体、エチレンと酢酸ビニルの重合は溶
液重合に限るものではなく、連続式、回分式のいずれで
あってもよい。例えば、回分式の溶液重合の場合の重合
条件は次の通りである。
【0025】溶媒としては、アルコール類が好ましい
が、そのほか上記単量体、エチレン、酢酸ビニルおよび
エチレン−酢酸ビニル共重合体を溶解し得る有機溶剤
(ジメチルスルホキシドなど)を用いることができる。
アルコール類としてはメチルアルコール、エチルアルコ
ール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t
−ブチルアルコール等を用いることができ、特にメチル
アルコールが好ましい。また、触媒は、2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2′−アソビス−(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス−
(4−メチル−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2′−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニ
トリル)等のアゾニトリル系開始剤およびイソブチリル
パーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、
ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロ
ピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ
ネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド等の有機過酸化物系開始剤等を用いることができる。
重合温度は、20〜90℃、さらに好ましくは40℃〜
70℃であり、重合時間としては2〜15時間、さらに
好ましくは3〜11時間である。また、重合率は、仕込
み酢酸ビニルに対し10〜90%、好ましくは30〜8
0%とするのがよい。
が、そのほか上記単量体、エチレン、酢酸ビニルおよび
エチレン−酢酸ビニル共重合体を溶解し得る有機溶剤
(ジメチルスルホキシドなど)を用いることができる。
アルコール類としてはメチルアルコール、エチルアルコ
ール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t
−ブチルアルコール等を用いることができ、特にメチル
アルコールが好ましい。また、触媒は、2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2′−アソビス−(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス−
(4−メチル−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2′−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニ
トリル)等のアゾニトリル系開始剤およびイソブチリル
パーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、
ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロ
ピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ
ネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド等の有機過酸化物系開始剤等を用いることができる。
重合温度は、20〜90℃、さらに好ましくは40℃〜
70℃であり、重合時間としては2〜15時間、さらに
好ましくは3〜11時間である。また、重合率は、仕込
み酢酸ビニルに対し10〜90%、好ましくは30〜8
0%とするのがよい。
【0026】エチレン、酢酸ビニル及びスルホン酸基を
有する単量体を、所定時間重合し、所定の重合率に達し
た後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチ
レンガスを蒸発除去した後、未反応酢酸ビニルを追い出
す。エチレンを蒸発除去した共重合体から未反応の酢酸
ビニルを追い出す方法としては、例えば、ラシヒリング
を充填した塔の上部から該共重合体溶液を一定速度で連
続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤蒸気
を吹き込み塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応
酢酸ビニルの混合蒸気を流出させ、塔底部より未反応酢
酸ビニルを除去した該共重合体溶液を取り出す方法など
が採用される。
有する単量体を、所定時間重合し、所定の重合率に達し
た後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチ
レンガスを蒸発除去した後、未反応酢酸ビニルを追い出
す。エチレンを蒸発除去した共重合体から未反応の酢酸
ビニルを追い出す方法としては、例えば、ラシヒリング
を充填した塔の上部から該共重合体溶液を一定速度で連
続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤蒸気
を吹き込み塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応
酢酸ビニルの混合蒸気を流出させ、塔底部より未反応酢
酸ビニルを除去した該共重合体溶液を取り出す方法など
が採用される。
【0027】次いで、未反応酢酸ビニルを除去した該共
重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、該共重合体中の酢
酸ビニル単位をケン化する。ケン化方法は連続式、回分
式いずれも可能である。アルカリ触媒としては水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラート
などが用いられる。例えば、回分式の場合のケン化条件
は次の通りである。 該共重合体溶液濃度;10〜50%。 反応温度;30〜60℃。 触媒使用量;0.02〜0.6当量(酢酸ビニル成分当
り)。 時間;1〜6時間。
重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、該共重合体中の酢
酸ビニル単位をケン化する。ケン化方法は連続式、回分
式いずれも可能である。アルカリ触媒としては水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラート
などが用いられる。例えば、回分式の場合のケン化条件
は次の通りである。 該共重合体溶液濃度;10〜50%。 反応温度;30〜60℃。 触媒使用量;0.02〜0.6当量(酢酸ビニル成分当
り)。 時間;1〜6時間。
【0028】反応後の該ケン化物は未反応モノマー、ア
ルカリ触媒、副生塩類、その他不純物等を含有するた
め、これらを必要に応じて中和、洗浄することにより除
去する。
ルカリ触媒、副生塩類、その他不純物等を含有するた
め、これらを必要に応じて中和、洗浄することにより除
去する。
【0029】このようにして得られる変性Et/VA系
共重合体において、スルホン酸基又はスルホネート基を
有する単量体の共重合量は、Et/VA系共重合体を構
成するエチレン単位とビニルアルコール系単位の合計モ
ル数に対して0.05〜1.0モル%であることが重要
である。単量体の共重合量が0.05モル%未満であれ
ば、発色性の低い染色性に劣ったものしか得られない。
また、モノマーの共重合量が1.0モル%より多くなる
と、共重合体の融点低下が大きく、乾燥時の膠着問題が
起こる。さらに、繊維化工程において、ゲル化物が生
じ、紡糸配管詰まり等のトラブルが多発するので好まし
くない。このような点から共重合量の下限値としては
0.1モル%が好ましく、上下値としては0.7モル%
が好ましい。
共重合体において、スルホン酸基又はスルホネート基を
有する単量体の共重合量は、Et/VA系共重合体を構
成するエチレン単位とビニルアルコール系単位の合計モ
ル数に対して0.05〜1.0モル%であることが重要
である。単量体の共重合量が0.05モル%未満であれ
ば、発色性の低い染色性に劣ったものしか得られない。
また、モノマーの共重合量が1.0モル%より多くなる
と、共重合体の融点低下が大きく、乾燥時の膠着問題が
起こる。さらに、繊維化工程において、ゲル化物が生
じ、紡糸配管詰まり等のトラブルが多発するので好まし
くない。このような点から共重合量の下限値としては
0.1モル%が好ましく、上下値としては0.7モル%
が好ましい。
【0030】さらに、本発明においては、特定量の25
℃でのpKaが2〜7の酸および/またはその金属塩を
変性Et/VA系共重合体に含有させることにより溶融
成形時のゲル化防止効果がさらに充分なものとなる。こ
こでpKaとは、酸の解離定数をKaとするとき、pK
a=−logKa出定義される値のことをいう。なお、
酸が多塩基酸である場合には、pKaが2〜7の酸基を
少なくとも1つ有すればよい。pKaの値はより好まし
くは3〜6である。
℃でのpKaが2〜7の酸および/またはその金属塩を
変性Et/VA系共重合体に含有させることにより溶融
成形時のゲル化防止効果がさらに充分なものとなる。こ
こでpKaとは、酸の解離定数をKaとするとき、pK
a=−logKa出定義される値のことをいう。なお、
酸が多塩基酸である場合には、pKaが2〜7の酸基を
少なくとも1つ有すればよい。pKaの値はより好まし
くは3〜6である。
【0031】pKaが2〜7である酸としては各種の無
機酸および有機酸が使用可能であり、特に限定されるも
のではないが、具体的にはリン酸、亜リン酸、酢酸、シ
ュウ酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸等が
あげられる。また、この酸は沸点115℃以上であるこ
とが、処理後にチップを乾燥する時に酸等が揮散するこ
とを防止できるのでより望ましい。
機酸および有機酸が使用可能であり、特に限定されるも
のではないが、具体的にはリン酸、亜リン酸、酢酸、シ
ュウ酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸等が
あげられる。また、この酸は沸点115℃以上であるこ
とが、処理後にチップを乾燥する時に酸等が揮散するこ
とを防止できるのでより望ましい。
【0032】これらの酸の金属塩としては、特に限定さ
れるものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチ
ウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等
があげられ、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カル
シウム等を用いることができる。多塩基酸を用いる場合
にはその金属塩が部分塩であってもよく、リン酸二水素
ナトリウムやリン酸二水素カリウムなども用いることが
できる。
れるものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチ
ウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等
があげられ、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カル
シウム等を用いることができる。多塩基酸を用いる場合
にはその金属塩が部分塩であってもよく、リン酸二水素
ナトリウムやリン酸二水素カリウムなども用いることが
できる。
【0033】25℃でのpKaが2〜7の酸および/ま
たはその金属塩の含有量は酸換算で10〜50000p
pmであることが好ましい。ここで酸換算とは、塩では
なく酸の形となっている場合の重量に換算したというこ
とである。10ppm未満の場合には、着色および溶融
安定性の改善効果が十分でなく、50000ppmを超
える場合には着色するという問題が生じやすい。25℃
でのpKaが2〜7の酸および/またはその金属塩の含
有量はより好ましくは20ppm以上であり、特に好ま
しくは50ppm以上である。また、より好ましくは1
0000ppm以下であり、特に好ましくは5000p
pm以下である。
たはその金属塩の含有量は酸換算で10〜50000p
pmであることが好ましい。ここで酸換算とは、塩では
なく酸の形となっている場合の重量に換算したというこ
とである。10ppm未満の場合には、着色および溶融
安定性の改善効果が十分でなく、50000ppmを超
える場合には着色するという問題が生じやすい。25℃
でのpKaが2〜7の酸および/またはその金属塩の含
有量はより好ましくは20ppm以上であり、特に好ま
しくは50ppm以上である。また、より好ましくは1
0000ppm以下であり、特に好ましくは5000p
pm以下である。
【0034】得られた変性Et/VA系共重合体に25
℃でのpKaが2〜7の酸および/またはその金属塩を
含有させる方法は特に限定されない。例えば、該共重合
体を25℃でのpKaが2〜7の酸および/またはその
金属塩が溶解している溶液に浸漬させる方法、該共重合
体を溶融させて25℃でのpKaが2〜7の酸および/
またはその金属塩を混合させる方法、または該共重合体
を適当な溶媒に溶解させて25℃でのpKaが2〜7の
酸および/またはその金属塩を混合させる方法等があ
る。
℃でのpKaが2〜7の酸および/またはその金属塩を
含有させる方法は特に限定されない。例えば、該共重合
体を25℃でのpKaが2〜7の酸および/またはその
金属塩が溶解している溶液に浸漬させる方法、該共重合
体を溶融させて25℃でのpKaが2〜7の酸および/
またはその金属塩を混合させる方法、または該共重合体
を適当な溶媒に溶解させて25℃でのpKaが2〜7の
酸および/またはその金属塩を混合させる方法等があ
る。
【0035】これらの方法のうちでも、溶融させること
によって生じる樹脂の劣化を防止でき、樹脂溶液から溶
剤を回収する必要がないこと等の理由から、溶液に浸漬
させて25℃でのpKaが2〜7の酸および/またはそ
の金属塩を含有させる方法が望ましい。この処理は、バ
ッチ方式、連続方式のいずれによる操作でも実施可能で
ある。また、その際該共重合体の形状は、粉末、粒状、
球状、円柱形チップ状等の任意の形状であってよい。
によって生じる樹脂の劣化を防止でき、樹脂溶液から溶
剤を回収する必要がないこと等の理由から、溶液に浸漬
させて25℃でのpKaが2〜7の酸および/またはそ
の金属塩を含有させる方法が望ましい。この処理は、バ
ッチ方式、連続方式のいずれによる操作でも実施可能で
ある。また、その際該共重合体の形状は、粉末、粒状、
球状、円柱形チップ状等の任意の形状であってよい。
【0036】変性Et/VA系共重合体を25℃でのp
Kaが2〜7の酸および/またはその金属塩の溶液に浸
漬させる場合、25℃でのpKaが2〜7の酸および/
またはその金属塩の濃度は、0.0001〜200g/
Lの範囲内が好ましく、最適には0.001〜50g/
Lである。浸漬させる溶液の溶媒は特に限定されない
が、安全性や25℃でのpKaが2〜7の酸および/ま
たはその金属塩の溶解性の点などから水溶液であること
が好ましい。該共重合体を浸漬する際、25℃でのpK
aが2〜7の酸および/またはその金属塩の溶液重量
が、乾燥時の該ケン化物重量に対して3倍以上、好まし
くは20倍以上であることが望ましい。浸漬時間は該共
重合体の形態によってその好適範囲は異なるが、1〜1
0mm程度のチップの場合には1時間以上、好ましくは
2時間以上が望ましい。
Kaが2〜7の酸および/またはその金属塩の溶液に浸
漬させる場合、25℃でのpKaが2〜7の酸および/
またはその金属塩の濃度は、0.0001〜200g/
Lの範囲内が好ましく、最適には0.001〜50g/
Lである。浸漬させる溶液の溶媒は特に限定されない
が、安全性や25℃でのpKaが2〜7の酸および/ま
たはその金属塩の溶解性の点などから水溶液であること
が好ましい。該共重合体を浸漬する際、25℃でのpK
aが2〜7の酸および/またはその金属塩の溶液重量
が、乾燥時の該ケン化物重量に対して3倍以上、好まし
くは20倍以上であることが望ましい。浸漬時間は該共
重合体の形態によってその好適範囲は異なるが、1〜1
0mm程度のチップの場合には1時間以上、好ましくは
2時間以上が望ましい。
【0037】上記のように25℃でのpKaが2〜7の
酸および/またはその金属塩の溶液に浸漬して処理した
場合、最後に乾燥し目的とする25℃でのpKaが2〜
7の酸および/またはその金属塩を含有するEt/VA
系共重合体組成物が得られる。
酸および/またはその金属塩の溶液に浸漬して処理した
場合、最後に乾燥し目的とする25℃でのpKaが2〜
7の酸および/またはその金属塩を含有するEt/VA
系共重合体組成物が得られる。
【0038】そして、本発明では上記した変性Et/V
A系共重合体(A)と融点が200℃以上の繊維形成性
熱可塑性ポリマー(B)を交互に貼り合せた分割型貼合わ
せ複合繊維を形成し、分割処理によってソフト感に富ん
だ繊維又は繊維製品を製造することができる。
A系共重合体(A)と融点が200℃以上の繊維形成性
熱可塑性ポリマー(B)を交互に貼り合せた分割型貼合わ
せ複合繊維を形成し、分割処理によってソフト感に富ん
だ繊維又は繊維製品を製造することができる。
【0039】上記の変性Et/VA系共重合体(A)と
融点が200℃以上の繊維形成性熱可塑性ポリマー
(B)の複合割合については、重量比率で約20:80
〜80:20にするのが望ましい。この範囲外である
と、複合比率がアンバランスになり、紡糸性が不良にな
り易い。
融点が200℃以上の繊維形成性熱可塑性ポリマー
(B)の複合割合については、重量比率で約20:80
〜80:20にするのが望ましい。この範囲外である
と、複合比率がアンバランスになり、紡糸性が不良にな
り易い。
【0040】融点が200℃以上の繊維形成性熱可塑性
ポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド等を挙げ
ることができる。
ポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド等を挙げ
ることができる。
【0041】例えば、ポリエステルとしては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン
酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)
エタン、4,4′−ジカルボキシジフェニール、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、
アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、また
はこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサ
ン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、
ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール等のジオール化合物
とから合成される繊維形成性のポリエステルを使用する
ことができ、構成単位の80モル%以上、特に90モル
%以上がエチレンテレフタレート単位及び/またはブチ
レンテレフタレート単位からなるポリエステルが好まし
い。また、ポリアミドとしては、ナイロン4、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン12等を使用することがで
きる。
ル酸、イソフタル酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン
酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)
エタン、4,4′−ジカルボキシジフェニール、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、
アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、また
はこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサ
ン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、
ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール等のジオール化合物
とから合成される繊維形成性のポリエステルを使用する
ことができ、構成単位の80モル%以上、特に90モル
%以上がエチレンテレフタレート単位及び/またはブチ
レンテレフタレート単位からなるポリエステルが好まし
い。また、ポリアミドとしては、ナイロン4、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン12等を使用することがで
きる。
【0042】本発明において、共重合体(A)と繊維形
成性熱可塑性ポリマー(B)とが交互に貼り合わされて
いる分割型貼合せ複合形態をもつ繊維は、分割処理によ
り極細繊維となり、該極細繊維は、単繊維繊度が0.0
5〜1.5デニール、かつ、単繊維断面が、20度以上
120度以下の角度を少なくとも2つ有する断面である
ことが重要である。従来の円形断面の極細繊維では、ソ
フト感はあるもののヌメリ感が大きいという問題があっ
たが、かかる角度を有する断面にすることによりヌメリ
感を減少させることが可能となる。好ましい角度は30
度以上110度以下である。
成性熱可塑性ポリマー(B)とが交互に貼り合わされて
いる分割型貼合せ複合形態をもつ繊維は、分割処理によ
り極細繊維となり、該極細繊維は、単繊維繊度が0.0
5〜1.5デニール、かつ、単繊維断面が、20度以上
120度以下の角度を少なくとも2つ有する断面である
ことが重要である。従来の円形断面の極細繊維では、ソ
フト感はあるもののヌメリ感が大きいという問題があっ
たが、かかる角度を有する断面にすることによりヌメリ
感を減少させることが可能となる。好ましい角度は30
度以上110度以下である。
【0043】また単繊維繊度が0.05〜1.5デニー
ルであることが重要であり、0.07〜1.0デニール
であることがより好ましい。分割処理により形成される
極細繊維の単繊維繊度が0.05デニール未満の場合に
は繊維強度が弱くなり過ぎて繊維が切断される問題が生
じやすくなる。一方、単繊維繊度が1.5デニールを越
えると十分なソフト感が得られにくい。
ルであることが重要であり、0.07〜1.0デニール
であることがより好ましい。分割処理により形成される
極細繊維の単繊維繊度が0.05デニール未満の場合に
は繊維強度が弱くなり過ぎて繊維が切断される問題が生
じやすくなる。一方、単繊維繊度が1.5デニールを越
えると十分なソフト感が得られにくい。
【0044】分割処理方法は通常用いられている方法で
よく、例えば、変性Et/VA系共重合体とポリエステ
ルからなる交互貼合せ型複合繊維の場合、仮撚捲縮加
工、インターレース等のエアー加工、ポリエステルの加
水分解剤であるアルカリ水溶液で処理するアルカリ減量
加工等が挙げられる。
よく、例えば、変性Et/VA系共重合体とポリエステ
ルからなる交互貼合せ型複合繊維の場合、仮撚捲縮加
工、インターレース等のエアー加工、ポリエステルの加
水分解剤であるアルカリ水溶液で処理するアルカリ減量
加工等が挙げられる。
【0045】さらに、本発明の繊維は、常法に従って例
えば、フィラメント加工糸、紡績糸、織物、編物、不織
布等各種の繊維構造物とすることができ、繊維構造物と
した後、分割処理を施し、分散染料およびカチオン染料
にて染色処理したときのクベルカムンクの式によって求
められる深色度(K/S値)が10以上、好ましくは1
2以上であり、従来の合成繊維の極細繊維では得られな
かった色の深みと鮮やかさが発現した極めて良好な発色
性を有し、かつ吸放湿性にも優れた繊維構造物である。
えば、フィラメント加工糸、紡績糸、織物、編物、不織
布等各種の繊維構造物とすることができ、繊維構造物と
した後、分割処理を施し、分散染料およびカチオン染料
にて染色処理したときのクベルカムンクの式によって求
められる深色度(K/S値)が10以上、好ましくは1
2以上であり、従来の合成繊維の極細繊維では得られな
かった色の深みと鮮やかさが発現した極めて良好な発色
性を有し、かつ吸放湿性にも優れた繊維構造物である。
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述するが、本
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお、実施例中の各測定値は以下の方法により測定
・算出された値である。
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお、実施例中の各測定値は以下の方法により測定
・算出された値である。
【0047】(1)極細繊維の断面における角度の測定 分割された繊維(極細繊維)の断面写真を電子顕微鏡に
より撮影し、任意の20本の繊維の断面を紙に写しと
り、単繊維の3つまたは4つの角度を測定し、20〜1
20度の範囲内の角度の数の平均値と、その個々の角度
の平均値を示した。
より撮影し、任意の20本の繊維の断面を紙に写しと
り、単繊維の3つまたは4つの角度を測定し、20〜1
20度の範囲内の角度の数の平均値と、その個々の角度
の平均値を示した。
【0048】(2)K/S値の測定 染色物について日立307型カラーアナライザー(日立
製作所製;自動記録式分光光度計)を用いて測定された
分光反射率より求めたKubelka−Munkの式に
よりK/S値[すなわちK/S=(1−R)2/2R;
ただしRは染色布の可視部反射率曲線よりの最大吸収波
長位置における反射率]を求めた。
製作所製;自動記録式分光光度計)を用いて測定された
分光反射率より求めたKubelka−Munkの式に
よりK/S値[すなわちK/S=(1−R)2/2R;
ただしRは染色布の可視部反射率曲線よりの最大吸収波
長位置における反射率]を求めた。
【0049】(3)吸湿率の測定 温度20℃、湿度90%の条件下で飽和状態に達したと
きのサンプルの重量を吸湿時の重量として、以下の式に
より求めた。 吸湿率(%)=〔(吸湿時のサンプル重量−絶乾時のサ
ンプル重量)/絶乾時のサンプル重量〕×100
きのサンプルの重量を吸湿時の重量として、以下の式に
より求めた。 吸湿率(%)=〔(吸湿時のサンプル重量−絶乾時のサ
ンプル重量)/絶乾時のサンプル重量〕×100
【0050】(4)ポリエステルの極限粘度[η](d
l/g) フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合溶媒を
用い、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて
測定した値である。
l/g) フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合溶媒を
用い、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて
測定した値である。
【0051】(5)繊維構造物の風合評価 ソフト感 ○:ソフト感に富む ×:ソフト感に欠ける ヌメリ感 ○:ヌメリ感無し ×:ヌメリ感有り
【0052】実施例1 重合溶媒としてメタノールを使用し、重合開始剤として
AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を使用して、
60℃、加圧下でエチレン、酢酸ビニルと2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(以
下、AMPSと略す)をラジカル重合させて、AMPS
含量0.2モル%、エチレン含量44モル%のAMPS
/エチレン/酢酸ビニル共重合体を製造した。次に、こ
のAMPS/エチレン/酢酸ビニル共重合体を苛性ソー
ダ含有メタノール液中でケン化処理し、続いて酢酸を少
量添加した純水の大過剰量を使用して洗浄を繰り返した
後、さらに大過剰の純水で洗浄を繰り返した。その後、
脱水機により共重合体から水を分離した後、100℃以
下の温度で真空乾燥により充分乾燥した。得られたAM
PS/エチレン/ビニルアルコール系共重合体(変性E
t/VA系共重合体)のケン化度は99.5モル%、メ
ルトインデックス(190℃、2160g荷重下)は2
g/10min.であった。
AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を使用して、
60℃、加圧下でエチレン、酢酸ビニルと2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(以
下、AMPSと略す)をラジカル重合させて、AMPS
含量0.2モル%、エチレン含量44モル%のAMPS
/エチレン/酢酸ビニル共重合体を製造した。次に、こ
のAMPS/エチレン/酢酸ビニル共重合体を苛性ソー
ダ含有メタノール液中でケン化処理し、続いて酢酸を少
量添加した純水の大過剰量を使用して洗浄を繰り返した
後、さらに大過剰の純水で洗浄を繰り返した。その後、
脱水機により共重合体から水を分離した後、100℃以
下の温度で真空乾燥により充分乾燥した。得られたAM
PS/エチレン/ビニルアルコール系共重合体(変性E
t/VA系共重合体)のケン化度は99.5モル%、メ
ルトインデックス(190℃、2160g荷重下)は2
g/10min.であった。
【0053】上記で得た変性Et/VA系共重合体とイ
ソフタル酸(IPA)8モル%共重合した極限粘度
〔η〕=0.65の共重合ポリエチレンテレフタレート
を用い、別々の押出機で溶融押出し、複合割合が変性E
t/VA系共重合体:IPA8モル共重合ポリエチレン
テレフタレート=33:67(重量比)となるようにそ
れぞれギャポンプで計量した後、紡糸パック内に供給
し、口金温度260℃で吐出し、速度1000m/分で
巻き取った。ついで倍率3.0倍で75℃のローラーヒ
ーターで延伸を施し、120℃のプレートヒーターで熱
セットして75デニール/24フィラメントの延伸糸を
得た。繊維断面は、図1に示すような縦割り分割型断面
(11層交互貼合せ型楕円断面)構造とした。続いて上
記で得たマルチフィラメントを経糸及び緯糸として使用
して1/1の平織物を製造し、通常の加工工程を経て、
水酸化ナトリウム濃度40g/l、85℃、20分間処
理条件によりアルカリ分割処理を行った。
ソフタル酸(IPA)8モル%共重合した極限粘度
〔η〕=0.65の共重合ポリエチレンテレフタレート
を用い、別々の押出機で溶融押出し、複合割合が変性E
t/VA系共重合体:IPA8モル共重合ポリエチレン
テレフタレート=33:67(重量比)となるようにそ
れぞれギャポンプで計量した後、紡糸パック内に供給
し、口金温度260℃で吐出し、速度1000m/分で
巻き取った。ついで倍率3.0倍で75℃のローラーヒ
ーターで延伸を施し、120℃のプレートヒーターで熱
セットして75デニール/24フィラメントの延伸糸を
得た。繊維断面は、図1に示すような縦割り分割型断面
(11層交互貼合せ型楕円断面)構造とした。続いて上
記で得たマルチフィラメントを経糸及び緯糸として使用
して1/1の平織物を製造し、通常の加工工程を経て、
水酸化ナトリウム濃度40g/l、85℃、20分間処
理条件によりアルカリ分割処理を行った。
【0054】分割処理後の単繊維繊度は平均0.28デ
ニールであった。また、平織物を構成する極細繊維の断
面形状は、平均84度の角度を平均3.6個有するもの
であった。
ニールであった。また、平織物を構成する極細繊維の断
面形状は、平均84度の角度を平均3.6個有するもの
であった。
【0055】上記で得られた平織物を下記に示した染液
組成物の染色液中に浸漬して、カチオン染色、分散染色
の順に染色処理を行った後、RC(還元洗浄)を施し
た。 (染液組成) (1)カチオン染色 Cathilon Red CD-FBLH(保土ヶ谷化学社製) 4%owf 酢酸(48%) 1%owf EDTA 0.4g/l 浴比 50:1 処理温度 85℃ 処理時間 40分
組成物の染色液中に浸漬して、カチオン染色、分散染色
の順に染色処理を行った後、RC(還元洗浄)を施し
た。 (染液組成) (1)カチオン染色 Cathilon Red CD-FBLH(保土ヶ谷化学社製) 4%owf 酢酸(48%) 1%owf EDTA 0.4g/l 浴比 50:1 処理温度 85℃ 処理時間 40分
【0056】 (2)分散染色 Dianix Red HBSL-FS(ダイスター・ジャパン社製) 8%owf 架橋剤(ビスエチレンジオキシノナン乳化液) 15%owf マレイン酸 1g/l 浴比 50:1 処理温度 100℃ 処理時間 40分
【0057】 (3)RC(還元洗浄) アンモニア水 1cc/l ハイドロサルファイトナトリウム 1g/l アミラジンD 1g/l 浴比 50:1 処理温度 80℃ 処理時間 20分 得られた平織物の深色度(K/S)は15、吸湿率は
2.3%であり、ヌメリ感がなくサラッとしており、ソ
フト感にも優れたものであった。
2.3%であり、ヌメリ感がなくサラッとしており、ソ
フト感にも優れたものであった。
【0058】実施例2,3 変性Et/VA系共重合体のエチレン共重合率およびA
MPSの共重合量を表1に見られるように変更したこと
以外は、実施例1と同様にして変性Et/VA系共重合
体を製造し、それに基づいて実施例1と同様に繊維化、
製織、アルカリ分割処理、染色、諸評価を行ったが、い
ずれも染色性、吸湿性に優れ、ヌメリ感がなくソフト感
も良好であった。その結果を表1に示す。
MPSの共重合量を表1に見られるように変更したこと
以外は、実施例1と同様にして変性Et/VA系共重合
体を製造し、それに基づいて実施例1と同様に繊維化、
製織、アルカリ分割処理、染色、諸評価を行ったが、い
ずれも染色性、吸湿性に優れ、ヌメリ感がなくソフト感
も良好であった。その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】実施例4 スルホン酸基含有単量体として、アリルスルホン酸ナト
リウム0.2モル%を用いること以外は実施例1と同様
に平織物を作成し、アルカリ分割処理、染色処理を行っ
た。得られた平織物のK/Sは15、吸湿率は2.2%
であり、良好な結果が得られた。また、この平織物はヌ
メリ感もなく、ソフト感に富むものであった。(表1参
照)
リウム0.2モル%を用いること以外は実施例1と同様
に平織物を作成し、アルカリ分割処理、染色処理を行っ
た。得られた平織物のK/Sは15、吸湿率は2.2%
であり、良好な結果が得られた。また、この平織物はヌ
メリ感もなく、ソフト感に富むものであった。(表1参
照)
【0061】実施例5 イソフタル酸(IPA)を8モル%共重合したポリエチ
レンテレフタレートの代わりにPBT(ポリブチレンテ
レフタレート)を使用すること以外は、実施例1と同様
に平織物を作成し、アルカリ分割処理、染色処理を行っ
た。この平織物は表1に示すように、良好な性能が得ら
れた。
レンテレフタレートの代わりにPBT(ポリブチレンテ
レフタレート)を使用すること以外は、実施例1と同様
に平織物を作成し、アルカリ分割処理、染色処理を行っ
た。この平織物は表1に示すように、良好な性能が得ら
れた。
【0062】実施例6 分割処理後の単繊維繊度を平均0.09デニール(延伸
糸で75デニール/72フィラメント)とすること以外
は実施例1と同様に染色処理を行った。この平織物は良
好な性能が得られた。(表1参照)
糸で75デニール/72フィラメント)とすること以外
は実施例1と同様に染色処理を行った。この平織物は良
好な性能が得られた。(表1参照)
【0063】比較例1 実施例1で用いた変性Et/VA系共重合体において、
AMPS含量を0.01モル%とすること以外は、実施
例1と同様に平織物を作成し、アルカリ分割処理、染色
処理を行った。得られた平織物においては吸湿率2.3
%と良好でヌメリ感もなく、ソフト感にも優れていた
が、K/Sが9と極めて染色性に乏しいものであった。
(表1参照)
AMPS含量を0.01モル%とすること以外は、実施
例1と同様に平織物を作成し、アルカリ分割処理、染色
処理を行った。得られた平織物においては吸湿率2.3
%と良好でヌメリ感もなく、ソフト感にも優れていた
が、K/Sが9と極めて染色性に乏しいものであった。
(表1参照)
【0064】比較例2 実施例1で用いた変性Et/VA系共重合体において、
AMPS含量を5モル%とする以外は実施例1と同様に
紡糸を行った。しかし、紡糸中にゲル化物が生じ、紡糸
パックのフィルター詰まりを起こして紡糸不可能であっ
た。(表1参照)
AMPS含量を5モル%とする以外は実施例1と同様に
紡糸を行った。しかし、紡糸中にゲル化物が生じ、紡糸
パックのフィルター詰まりを起こして紡糸不可能であっ
た。(表1参照)
【0065】比較例3 分割処理後の単繊維繊度を平均1.82デニール(延伸
糸で240デニール/12フィラメント)とする以外は
実施例1と同様に染色処理を行った。この平織物はK/
Sが18、吸湿率が2.2%と良好であり、ヌメリ感も
無かったが、ソフト感に欠けるものであった。(表1参
照)
糸で240デニール/12フィラメント)とする以外は
実施例1と同様に染色処理を行った。この平織物はK/
Sが18、吸湿率が2.2%と良好であり、ヌメリ感も
無かったが、ソフト感に欠けるものであった。(表1参
照)
【0066】比較例4 分割処理後の単繊維繊度を平均0.038デニール(延
伸糸で40デニール/96フィラメント)とする以外は
実施例1と同様に繊維化、平織物作成を行ったが、繊維
化及び製織時の断糸が頻発し、実用に耐えるものでなか
った。(表1参照)
伸糸で40デニール/96フィラメント)とする以外は
実施例1と同様に繊維化、平織物作成を行ったが、繊維
化及び製織時の断糸が頻発し、実用に耐えるものでなか
った。(表1参照)
【0067】比較例5 実施例1で用いた変性Et/VA系共重合体を単独で紡
糸し、丸断面の75デニール/96フィラメントの延伸
糸を得た(単繊維繊度は平均0.78デニール)。この
延伸糸を用いて、1/1の平織物を作成し、カチオン染
色を施した。得られた平織物はK/Sが20、吸湿度は
5.3%と良好でソフト感にも優れていたが、ヌメリ感
が強く満足いくものではなかった。(表1参照)
糸し、丸断面の75デニール/96フィラメントの延伸
糸を得た(単繊維繊度は平均0.78デニール)。この
延伸糸を用いて、1/1の平織物を作成し、カチオン染
色を施した。得られた平織物はK/Sが20、吸湿度は
5.3%と良好でソフト感にも優れていたが、ヌメリ感
が強く満足いくものではなかった。(表1参照)
【0068】比較例6 重合溶媒としてメタノールを使用し、重合開始剤として
アゾビス−4−メチロキシ−2,4−ジメチルバレロニ
トリルを使用して、60℃、加圧下でエチレンと酢酸ビ
ニルをラジカル重合させて、エチレン含量が44モル%
のエチレン/酢酸ビニルランダム共重合体(数平均重合
度約350)を製造した。次に、このエチレン/酢酸ビ
ニルランダム共重合体を苛性ソーダ含有メタノール液中
でケン化処理して、共重合体中の酢酸ビニル単位の99
モル%以上がケン化した湿潤状態のエチレン/ビニルア
ルコール系共重合体を製造した。この共重合体を酢酸を
少量添加した純水の大過剰量を使用して洗浄を繰り返し
た後、さらに大過剰の純水で洗浄を繰り返し、その後、
脱水機により共重合体から水を分離した後、100℃以
下の温度で真空乾燥により充分乾燥してエチレン/ビニ
ルアルコール系共重合体を得た。
アゾビス−4−メチロキシ−2,4−ジメチルバレロニ
トリルを使用して、60℃、加圧下でエチレンと酢酸ビ
ニルをラジカル重合させて、エチレン含量が44モル%
のエチレン/酢酸ビニルランダム共重合体(数平均重合
度約350)を製造した。次に、このエチレン/酢酸ビ
ニルランダム共重合体を苛性ソーダ含有メタノール液中
でケン化処理して、共重合体中の酢酸ビニル単位の99
モル%以上がケン化した湿潤状態のエチレン/ビニルア
ルコール系共重合体を製造した。この共重合体を酢酸を
少量添加した純水の大過剰量を使用して洗浄を繰り返し
た後、さらに大過剰の純水で洗浄を繰り返し、その後、
脱水機により共重合体から水を分離した後、100℃以
下の温度で真空乾燥により充分乾燥してエチレン/ビニ
ルアルコール系共重合体を得た。
【0069】上記のエチレン/ビニルアルコール系共重
合体を実施例1で用いた変性Et/VA系共重合体の代
わりに用いること以外は、実施例1と同様に平織物を作
成した。この平織物を常法で糊抜した後、化合物〔OH
C−(CH2)7−SO3Na〕を含有する0.4規定の
硫酸溶液中に入れて、浴比50:1で85℃の温度でア
セタール変性処理を行い、エチレン/ビニルアルコール
系共重合体成分にこの化合物を5モル%含有させた。得
られた平織物を実施例1と同様に分割処理、染色処理を
行い、諸性能を評価した。その結果、K/Sは18と染
色性に優れ、ヌメリ感も無く、ソフト感も良好であった
が、吸湿率が1.0%と乏しいものであった。(表1参
照)
合体を実施例1で用いた変性Et/VA系共重合体の代
わりに用いること以外は、実施例1と同様に平織物を作
成した。この平織物を常法で糊抜した後、化合物〔OH
C−(CH2)7−SO3Na〕を含有する0.4規定の
硫酸溶液中に入れて、浴比50:1で85℃の温度でア
セタール変性処理を行い、エチレン/ビニルアルコール
系共重合体成分にこの化合物を5モル%含有させた。得
られた平織物を実施例1と同様に分割処理、染色処理を
行い、諸性能を評価した。その結果、K/Sは18と染
色性に優れ、ヌメリ感も無く、ソフト感も良好であった
が、吸湿率が1.0%と乏しいものであった。(表1参
照)
【0070】比較例7 比較例6で使用した化合物〔OHC−(CH2)7−SO
3Na〕に代えて、オルト−ベンズアルデヒドスルホン
酸ナトリウム3モル%を使用すること以外は、比較例6
と同様に平織物を作成し、アルカリ分割処理、染色処理
をして評価を実施した。得られた平織物は、K/Sが1
7と染色性に優れ、ヌメリ感、ソフト感共に良好であっ
たが、吸湿率が1.1%と吸湿性に欠ける物であった。
(表1参照)
3Na〕に代えて、オルト−ベンズアルデヒドスルホン
酸ナトリウム3モル%を使用すること以外は、比較例6
と同様に平織物を作成し、アルカリ分割処理、染色処理
をして評価を実施した。得られた平織物は、K/Sが1
7と染色性に優れ、ヌメリ感、ソフト感共に良好であっ
たが、吸湿率が1.1%と吸湿性に欠ける物であった。
(表1参照)
【0071】
【発明の効果】本発明の繊維は、分割処理により優れた
吸放湿特性を維持しつつ、ソフト感に富んだものであ
り、従来の極細繊維には見られないような鮮やかで深い
色合いを有する染色物が得られ、合成繊維特有のヌメリ
感がなく、しかも天然繊維に似た良好な風合を有するも
のである。
吸放湿特性を維持しつつ、ソフト感に富んだものであ
り、従来の極細繊維には見られないような鮮やかで深い
色合いを有する染色物が得られ、合成繊維特有のヌメリ
感がなく、しかも天然繊維に似た良好な風合を有するも
のである。
【図1】 本発明の繊維の代表的な繊維断面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06P 1/16 D06P 1/41 1/41 3/54 Z 3/54 3/79 Z 3/79 3/82 Z 3/82 D06M 9/02 C // D06M 101:26 Fターム(参考) 4H057 AA01 BA03 BA08 DA01 DA31 DA33 4L031 AA16 AA18 AB01 AB09 BA11 CA01 DA05 DA09 4L041 AA07 AA20 BA04 BA05 BA11 BA34 BC02 BC20 BD14 CA08 CA12 CA44 CA61 DD01 DD06 DD09 DD14 EE06 EE08 EE15 EE20 4L048 AA21 AA22 AA30 AA35 AA54 AB07 AC07 AC15 BA01 BA02 CA00 CA07 CA12 EB00
Claims (4)
- 【請求項1】 基本骨格がエチレン含有量25〜70モ
ル%、ケン化度95%以上であるエチレン−ビニルアル
コール系共重合体であり、その主鎖中にスルホン酸基又
はスルホネート基を有する単位が、基本骨格を構成する
エチレン単位とビニルアルコール系単位の合計モル数に
対して0.05〜1.0モル%共重合された変性エチレ
ン−ビニルアルコール系共重合体(A)と、融点が20
0℃以上の繊維形成性熱可塑性ポリマー(B)とが交互
に貼り合わされている分割型貼合わせ複合形態であり、
分割処理後の単繊維において、繊度が0.05〜1.5
デニールであり、断面形状が20度以上120度以下の
角度を少なくとも2つ以上有する断面であることを特徴
とする発色性及びソフト感に優れた繊維。 - 【請求項2】 スルホン酸基又はスルホネート基を有す
る単位が、2-アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸又はそのアルカリ金属塩に基づく単位である請
求項1に記載の繊維。 - 【請求項3】 繊維形成性熱可塑性ポリマー(B)がポ
リエステルである請求項1又は2に記載の繊維。 - 【請求項4】 請求項3に記載の繊維を主体として構成
された繊維構造物であって、分割処理を施した後、分散
染料およびカチオン染料にて染色処理したときの深色度
(K/S)が10以上である繊維構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25443599A JP2001081633A (ja) | 1999-09-08 | 1999-09-08 | カチオン可染性及びソフト感に優れた繊維及び繊維構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25443599A JP2001081633A (ja) | 1999-09-08 | 1999-09-08 | カチオン可染性及びソフト感に優れた繊維及び繊維構造物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001081633A true JP2001081633A (ja) | 2001-03-27 |
Family
ID=17264963
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25443599A Pending JP2001081633A (ja) | 1999-09-08 | 1999-09-08 | カチオン可染性及びソフト感に優れた繊維及び繊維構造物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001081633A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014040683A (ja) * | 2012-08-22 | 2014-03-06 | Kuraray Co Ltd | カチオン可染分割型複合繊維 |
-
1999
- 1999-09-08 JP JP25443599A patent/JP2001081633A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014040683A (ja) * | 2012-08-22 | 2014-03-06 | Kuraray Co Ltd | カチオン可染分割型複合繊維 |
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