JPH11217724A - カチオン可染性繊維及び繊維製品 - Google Patents

カチオン可染性繊維及び繊維製品

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JPH11217724A
JPH11217724A JP10013792A JP1379298A JPH11217724A JP H11217724 A JPH11217724 A JP H11217724A JP 10013792 A JP10013792 A JP 10013792A JP 1379298 A JP1379298 A JP 1379298A JP H11217724 A JPH11217724 A JP H11217724A
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JP
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copolymer
fiber
acid
ethylene
mol
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Application number
JP10013792A
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English (en)
Inventor
Akihiro Hokimoto
明弘 保木本
Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
Seiji Hirakawa
清司 平川
Naoyuki Himi
直之 氷見
Takeshi Moriya
健 守谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な風合並びに吸湿性および吸水性を保持
しつつ、カチオン染料による染色後の発色性に優れ、そ
の呈色が鮮やかであって集光性が発現可能な合成繊維を
提供する。 【解決手段】 基本骨格がエチレン−ビニルアルコール
系共重合体であり、その主鎖中に2−アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムが0.05〜
1.0モル%共重合された変性エチレン−ビニルアルコ
ール系共重合体を鞘成分とし、他の熱可塑性重合体を芯
成分とする、カチオン染料で処理したときのK/Sが2
0以上である複合繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風合いが良好で且
つカチオン染料に可染性のエチレン−ビニルアルコール
系共重合体繊維、糸、布帛等の繊維製品およびそれらの
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやポリアミド等の合成繊維
は、その単糸デニールや断面形状が単調であるために、
織物、編物、不織布等の繊維構造物にした場合に、綿や
麻等の天然繊維からなる繊維構造物に比較して、風合、
光沢等が単調で冷たく、品位の低い製品になりがちであ
った。また、溶融紡糸による合成繊維は、特有の鏡面光
沢があり、染色した場合も羊毛、絹などの天然繊維に比
べて鮮やかさや色の深みが得られにくいなどの欠点があ
った。
【0003】近年、合成繊維におけるそのような欠点を
改良するために、繊維横断面の異形化、捲縮加工、複合
繊維の形成やその他種々の方法が試みられており、その
ような従来技術の具体例としては、易溶解性ポリマー
とポリエステルの複合繊維を形成した後、後加工を施し
てドライタッチでキシミ感のある風合や独特の光沢を布
帛に付与する方法(特開昭56−165015号、特開
昭57−5921号、特開昭58−98425号、特開
昭61−239010号)、繊維の長さ方向に太さ斑
を設けて風合いを改良する方法(特公昭51−7207
号、特開昭58−70711号、特開昭62−1331
18号)、合成繊維をフイブリル化させて風合いを改
良する方法(特公昭53−35633号、特公昭56−
16231号、特開昭63−6161号)等がある。
【0004】更に別の例としては、仮撚・融着糸を作
成して麻様のシャリ感を付与する方法(特公昭45−1
8072号)、混繊融着加工糸を作成する方法(特開
昭63−6123号)、ポリエステル繊維をカチオン
染料可染性にする方法(特公昭34−10479号)、
繊維表面に超微細な凹凸を形成して鏡面光沢を抑えて
深みのある色にする方法(特公昭59−24233号)
を挙げることができる。
【0005】しかしながら、上記したいずれの方法も、
合成繊維に天然繊維に似た風合いを付与し、しかもトリ
アセテート繊維やアクリル繊維等におけるような良好な
発色性と鮮明な色合いを付与するという点では充分満足
のいくものではなかった。しかも、ポリエステル等の合
成繊維は親水性および吸水性が不足しているため、着心
地の点からも木綿や麻等の天然繊維に劣っていた。
【0006】我々は以前、これらの問題を解決すべく、
エチレン−ビニルアルコール共重合体の側鎖に、特定の
スルホン酸基又はスルホネート基を導入する方法を提案
した(特開平3−269110号、特開平5−7101
1号)。
【0007】しかしながら、これらの方法によって、K
/S値の高い優れた発色性を有する染色物を得るために
は、特定のスルホン酸基又はスルホネート基を含む化合
物をエチレン−ビニルアルコール共重合体に対して多量
導入することが必要であり、これらの多量の官能基を共
重合体の側鎖に導入することにより、導入先であるエチ
レン−ビニルアルコール共重合体の水酸基が失われて、
かかる繊維の基本的且つ優れた特性である親水性、吸放
湿性が低下してしまうという問題が生じる。親水性及び
吸湿性の指標の一つとしては吸湿率があり、温度20℃、
湿度90%の条件下で飽和状態に達したときの吸湿率が2.
0%以上、特に2.3%以上であると、発汗時において蒸れ
にくい着心地となるが、上記の方法によって、2%以上
の吸湿率を確保するためには、共重合体中に多くの水酸
基を有する必要があり、該水酸基を潰してしまうよう
な、カチオン染料と親和性良好なモノマーを多量に導入
することはできない。その結果カチオン染料による染色
でのK/Sを20以上という良好なものを得ることができ
ず、高発色性と高度な親水性、吸放湿性を兼ね備えるた
めには改善の余地があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ソフ
トで嵩高感に優れた天然繊維に似た良好な風合並びに吸
湿性および吸水性を保持しつつ、カチオン染料による染
色後の発色性に優れ、その呈色が鮮やかであって集光性
が発現可能な合成繊維を、ポリマー設計や繊維化工程、
更には後加工工程においてトラブルや繊維の望ましくな
い着色等を生ずることなく簡単に得ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、エチレン−
ビニルアルコール共重合体の主鎖中に特定のスルホン酸
基又はスルホネート基を有する単量体を特定量共重合さ
せることで上記課題を達成できることを見出し本発明を
完成した。
【0010】すなわち、本発明は、基本骨格がエチレン
−ビニルアルコール系共重合体であり、その主鎖中に、
スルホン酸基又はスルホネート基を有する単位が、基本
骨格を構成するエチレン単位とビニルアルコール系単位
の合計モル数に対して0.05〜1.0モル%共重合さ
れた変性エチレン−ビニルアルコール系共重合体を少な
くとも1成分とすることを特徴とする繊維であり、好ま
しくは、カチオン染料で処理したときのK/Sが20以
上である上記繊維である。また、本発明は、上記の繊維
を一成分とする繊維製品を包含する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について説明する。
本発明の繊維の一成分とする変性エチレン−ビニルアル
コール系共重合体(以後「変性Et/VA系共重合体」
と略称)において、基本骨格をなすエチレン−ビニルア
ルコール系共重合体(以後「Et/VA系共重合体」と
略称)は、エチレン、酢酸ビニル及び所望により、その
他のビニル系単量体とから得られる共重合体が部分的に
ケン化されたものであり、本発明の効果を損なわない範
囲であれば鎖状重合体であっても、架橋されたものであ
ってもよいが、本発明においては、共重合体の重合時に
スルホン酸基又はスルホネート基を有する単量体を特定
量共重合させ、Et/VA系共重合体の主鎖中にかかる
単量体を導入することが重要である。本発明の繊維の変
性Et/VA系共重合体において、エチレン単位の割合
は、約10〜70モル%が好ましい。エチレン単位の割
合が10モル%よりも少ない、すなわちビニルアルコー
ル単位の割合が90モル%よりも多いと、繊維化する際
の曳糸性が不良となって紡糸または延伸時に単糸切れ、
断糸が多くなり、しかも柔軟性の欠けたものとなりやす
い。また、変性Et/VA系共重合体と他の熱可塑性重
合体とを複合紡糸又は混合紡糸する場合に、例えば、他
の熱可塑性重合体としてポリエチレンテレフタレートの
ような高融点重合体を使用する場合、250℃以上の高
い紡糸温度を採用することとなり、その場合に変性Et
/VA系共重合体におけるエチレン単位の割合が10モ
ル%より少ないと重合体の耐熱性が不充分で、紡糸性が
不良となり良好な複合繊維が得られにくくなる。従っ
て、かかる観点からより好ましいエチレン単位の含有割
合は30モル%以上である。
【0012】一方、該共重合体におけるエチレン単位の
割合が70モル%を超えると、ビニルアルコール単位、
すなわち水酸基の割合が必然的に少なくなって、繊維の
親水性が低下して目的とする天然繊維様の風合が得られ
にくくなる。従って、エチレン単位の含量の好適な含量
は60モル%以下、さらに好ましくは55モル%以下で
ある。
【0013】本発明で使用される変性Et/VA系共重
合体におけるケン化度は約95%以上が好ましく、さら
には97%以上であることが好ましい。ケン化度が低く
なると共重合体の結晶性が低下して強度等の物性が低下
するだけでなく、共重合体が軟化し易くなり、繊維化工
程でトラブルが発生し、しかも得られる繊維の風合いが
劣ったものになり好ましくない。
【0014】本発明において、Et/VA系共重合体の
主鎖に導入されるスルホン酸基又はスルホネート基を有
する単位(単量体)としては、たとえば、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムのご
ときアクリルアミド系スルホン酸塩モノマー、スチレン
スルホン酸カリウムのごときスチレン系スルホン酸塩モ
ノマー、アリルスルホン酸ナトリウムのごときアリル系
スルホン酸塩モノマー、またビニルスルホン酸ナトリウ
ムのごときビニルスルホン酸塩モノマー、あるいはこれ
らのアンモニウム塩モノマー、さらにはこれらの酸モノ
マー等が挙げられる。またこれらのスルホン酸のエステ
ルも、重合後エステルをその塩あるいは酸に変換するこ
とにより使用が可能である。なお、これらの単量体は単
独で使用することもまた併用することも可能である。上
記の単量体の中でも、本発明においては、特に下記式
(I)で示される単量体が好ましく使用される。
【0015】
【化1】
【0016】ここで式中、R1は水素原子または低級アル
キル基であるが、通常水素原子またはメチル基が好まし
く、更に、共重合反応における重合速度が大である点で
水素原子であることが特に好ましい。R2はアルキル基で
あることが必要であるが、その理由はアミド結合の安定
性が高く、共重合体のケン化反応において結合が切れな
いこと、およびこの形の単量体はその合成が経済的に有
利であることの2点にある。R2、R3が共に水素原子であ
る単量体はアミド結合の安定性が低く、ケン化時に結合
が切れやすいため好ましくない。R3、R4、R5は水素原子
またはアルキル基であるが、このうちR3は水素原子でな
くアルキル基であることがアミド結合の安定性が高いの
で好ましい。Mはアルカリ金属すなわちNa、K、Liあるい
は類似物としてのNH4を示している。Mが水素である場
合、すなわちスルホン基が酸の状態でも酢酸ビニルとの
共重合は可能であるが、共重合系内のpHが低下し、酢
酸ビニルが分解する傾向が大となったり、また、そのよ
うな共重合体を用いて溶融紡糸を行なう際に共重合体が
ゲル化して紡糸性が低下するため、スルホン基をアルカ
リにより中和してアルカリ金属塩として酢酸ビニルとの
共重合を実施することが好ましい。ただし、本発明の効
果を損なわない程度であれば全てのスルホン酸基がアル
カリ金属塩になっている必要性はなく、一部のMが水素
であってもよい。また、アルカリ金属塩の形ではスルホ
ン基含有単量体のアルコールに対する溶解度が向上する
点でも有利である。アルカリ金属のうち、NaあるいはK
が経済性および性能の上から特に好ましい。上記のスル
ホン基を有する重合性単量体を重合系に仕込む方法とし
てアルコール溶液として仕込むことが実用上有利である
が、この場合の仕込み液の調整方法としては、単量体の
アルカリ金属塩をアルコールに溶解してもよく、あるい
は酸形の単量体を中和当量あるいは部分中和量の水酸化
ナトリウムまたは水酸化カリウムと共にアルコールに溶
解する方法も採用され得る。
【0017】以上述べた構造上の特徴を満足する代表的
なスルホン基含有単量体の具体例としては、次のものが
挙げられる。2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸またはそのアルカリ金属塩、2−アクリルア
ミド−1−メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカ
リ金属塩、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸またはそのアルカリ金属塩、このうち2−ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそ
のアルカリ金属塩は工業的製造が比較的安価であるこ
と、ビニルエステル、ことに酢酸ビニルとの共重合速度
が高くまた高重合度の共重合体の合成が可能であるこ
と、アミド結合の安定性がとりわけ高いこと、さらにケ
ン化せしめた水溶性共重合体の目的とした性能が高いこ
となどから特に本発明の目的に合致して好ましい。
【0018】この単量体は、例えば、米国特許第298
3712号、同3332904号、同3547899号
あるいは同3709816号などで公知であり酢酸ビニ
ルなどのビニルエステルを含めた多くの単量体との共重
合体について実施例あるいは提案が示されている。ま
た、ビニルエステルとの共重合体をケン化することによ
り得られる共重合体、すなわちビニルアルコールとの共
重合体が特開昭62−33241号公報に示されてい
る。しかし、エチレン、酢酸ビニルとの3元共重合体の
ケン化物については知られておらず、本発明に示されて
いるような工業的に重要な優れた性能を有する共重合体
については全く知られていない。
【0019】本発明に用いる変性Et/VA系共重合体
の好適なメルトインデックス(MI)(190℃、21
60g荷重下で測定;ただし、融点が190℃付近ある
いは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以
上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆
数を横軸、メルトインデックスを縦軸(対数)としてプ
ロットし、190℃に外挿した値)は0.1〜200g
/10min.、最適には0.2〜100g/10mi
n.である。
【0020】以下に、変性Et/VA系共重合体の製造
方法を具体的に説明する。スルホン酸基又はスルホネー
ト基を有する単量体、エチレンと酢酸ビニルの重合は溶
液重合に限るものではなく、連続式、回分式のいずれで
あってもよい。例えば、回分式の溶液重合の場合の重合
条件は次の通りである。
【0021】溶媒としては、アルコール類が好ましい
が、そのほか上記単量体、エチレン、酢酸ビニルおよび
エチレン−酢酸ビニル共重合体を溶解し得る有機溶剤
(ジメチルスルホキシドなど)を用いることができる。
アルコール類としてはメチルアルコール、エチルアルコ
ール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t
−ブチルアルコール等を用いることができ、特にメチル
アルコールが好ましい。また、触媒は、2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−
(4−メチル−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2’−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニ
トリル)等のアゾニトリル系開始剤およびイソブチリル
パーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、
ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロ
ピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ
ネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド等の有機過酸化物系開始剤等を用いることができる。
重合温度は、20〜90℃、さらに好ましくは40℃〜
70℃であり、重合時間としては2〜15時間、さらに
好ましくは3〜11時間である。また、重合率は、仕込
み酢酸ビニルに対し10〜90%、好ましくは30〜8
0%とするのが良い。
【0022】エチレン、酢酸ビニル及びスルホン酸基を
有する単量体を、所定時間重合し、所定の重合率に達し
た後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチ
レンガスを蒸発除去した後、未反応酢酸ビニルを追い出
す。エチレンを蒸発除去した共重合体から未反応の酢酸
ビニルを追い出す方法としては、例えば、ラシヒリング
を充填した塔の上部から該共重合体溶液を一定速度で連
続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤蒸気
を吹き込み塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応
酢酸ビニルの混合蒸気を流出させ、塔底部より未反応酢
酸ビニルを除去した該共重合体溶液を取り出す方法など
が採用される。
【0023】次いで、未反応酢酸ビニルを除去した該共
重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、該共重合体中の酢
酸ビニル単位をケン化する。ケン化方法は連続式、回分
式いずれも可能である。アルカリ触媒としては水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラート
などが用いられる。例えば、回分式の場合のケン化条件
は次の通りである。 該共重合体溶液濃度;10〜50%。 反応温度;30〜60℃。 触媒使用量;0.02〜0.6当量(酢酸ビニル成分当
たり)。 時間;1〜6時間。 ケン化反応後のケン化度は、前述のように酢酸ビニル成
分の95%以上が好ましく、さらに好ましくは97%以
上である。ケン化度は条件によって任意に調整できる。
【0024】反応後の該ケン化物は未反応モノマー、ア
ルカリ触媒、副生塩類、その他不純物等を含有するた
め、これらを必要に応じて中和、洗浄することにより除
去する。
【0025】このようにして得られる変性Et/VA系
共重合体において、スルホン酸基又はスルホネート基を
有する単量体の共重合量は、Et/VA系共重合体を構
成するエチレン単位とビニルアルコール系単位の合計モ
ル数に対して0.05〜1.0モル%であることが重要
である。単量体の共重合量が0.05モル%未満であれ
ば、発色性の低い染色性に劣ったものしか得られない。
また、モノマーの共重合量が1.0モル%より多くなる
と、共重合体の融点低下が大きく、乾燥時の膠着問題が
起こる。さらに、繊維化工程において、ゲル化物が生
じ、紡糸配管詰まり等のトラブルが多発するので好まし
くない。このような点から共重合量の下限値としては
0.1モル%が好ましく、上限値としては0.7モル%
が好ましい。
【0026】さらに、本発明においては、特定量の25
℃でのpKaが2〜7の酸および/またはその金属塩を
変性Et/VA系共重合体に含有させることにより溶融
成形時のゲル化防止効果がさらに充分なものとなる。こ
こでpKaとは、酸の解離定数をKaとするとき、pK
a=−logKaで定義される値のことをいう。なお、
酸が多塩基酸である場合には、pKaが2〜7の酸基を
少なくとも1つ有すればよい。pKaの値はより好まし
くは3〜6である。pKaが2〜7である酸としては各
種の無機酸および有機酸が使用可能であり、特に限定さ
れるものではないが、具体的にはリン酸、亜リン酸、酢
酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、クエン
酸等があげられる。また、この酸は沸点115℃以上で
あることが、処理後にチップを乾燥する時に酸等が揮散
することを防止できるのでより望ましい。
【0027】これらの酸の金属塩としては、特に限定さ
れるものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチ
ウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等
があげられ、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カル
シウム等を用いることができる。多塩基酸を用いる場合
にはその金属塩が部分塩であってもよく、リン酸二水素
ナトリウムやリン酸二水素カリウムなども用いることが
できる。
【0028】25℃でのpKaが2〜7の酸および/ま
たはその金属塩の含有量は酸換算で10〜50000p
pmであることが好ましい。ここで酸換算とは、塩では
なく酸の形となっている場合の重量に換算したというこ
とである。10ppm未満の場合には、着色および溶融
安定性の改善効果が十分でなく、50000ppmを超
える場合には着色するという問題が生じやすい。25℃
でのpKaが2〜7の酸および/またはその金属塩の含
有量はより好ましくは20ppm以上であり、特に好ま
しくは50ppm以上である。また、より好ましくは1
0000ppm以下であり、特に好ましくは5000p
pm以下である。
【0029】得られた変性Et/VA系共重合体に25
℃でのpKaが2〜7の酸および/またはその金属塩を
含有させる方法は特に限定されない。例えば、該共重合
体を25℃でのpKaが2〜7の酸および/またはその
金属塩が溶解している溶液に浸漬させる方法、該共重合
体を溶融させて25℃でのpKaが2〜7の酸および/
またはその金属塩を混合させる方法、または該共重合体
を適当な溶媒に溶解させて25℃でのpKaが2〜7の
酸および/またはその金属塩を混合させる方法等があ
る。
【0030】これらの方法のうちでも、溶融させること
によって生じる樹脂の劣化を防止でき、樹脂溶液から溶
剤を回収する必要がないこと等の理由から、溶液に浸漬
させて25℃でのpKaが2〜7の酸および/またはそ
の金属塩を含有させる方法が望ましい。この処理は、バ
ッチ方式、連続方式のいずれによる操作でも実施可能で
ある。また、その際該共重合体の形状は、粉末、粒状、
球状、円柱形チップ状等の任意の形状であってよい。
【0031】変性Et/VA系共重合体を25℃でのp
Kaが2〜7の酸および/またはその金属塩の溶液に浸
漬させる場合、25℃でのpKaが2〜7の酸および/
またはその金属塩の濃度は、0.0001〜200g/
Lの範囲内が好ましく、最適には0.001〜50g/
Lである。浸漬させる溶液の溶媒は特に限定されない
が、安全性や25℃でのpKaが2〜7の酸および/ま
たはその金属塩の溶解性の点などから水溶液であること
が好ましい。該共重合体を浸漬する際、25℃でのpK
aが2〜7の酸および/またはその金属塩の溶液重量
が、乾燥時の該ケン化物重量に対して3倍以上、好まし
くは20倍以上であることが望ましい。浸漬時間は該共
重合体の形態によってその好適範囲は異なるが、1〜1
0mm程度のチップの場合には1時間以上、好ましくは
2時間以上が望ましい。
【0032】上記のように25℃でのpKaが2〜7の
酸および/またはその金属塩の溶液に浸漬して処理した
場合、最後に乾燥し目的とする25℃でのpKaが2〜
7の酸および/またはその金属塩を含有するEt/VA
系共重合体組成物が得られる。
【0033】本発明の繊維は、上記で述べた変性Et/
VA系共重合体を少なくとも一成分とするものであっ
て、カチオン染料で染色処理したときのクベルカムンク
の式によって求められるK/S値が20以上、好ましく
は23以上、さらに好ましくは25以上であり、従来の
合成繊維では得られなかった色の深みと鮮やかさが発現
した極めて良好な発色性を有し、かつ吸放湿性にも優れ
た繊維である。
【0034】本発明の繊維は、変性Et/VA系共重合
体単独からなる繊維であってもよいし、該変性Et/V
A系共重合体と他の熱可塑性重合体からなる複合繊維で
あってもよい。本発明の繊維は、従来公知の紡糸装置、
延伸装置を使用し長繊維、短繊維を製造することができ
る。ただし、変性Et/VA系共重合体はポリエステル
に比べ耐熱性が低いので紡糸ヘッド温度は250〜290℃程
度におさえることが好ましい。紡糸速度としては500m/m
in〜5000m/min程度である。また、延伸は必要に応じて
行ない、3.5〜4.5倍程度の倍率で延伸する。複合繊維に
する場合は、上記変性Et/VA系共重合体:他の熱可
塑性重合体の複合割合を、重量比率で、約10:90〜
90:10にするのが望ましい。この範囲外であると、
複合比率がアンバランスになり紡糸性が不良になり易
い。複合繊維に使用する他の熱可塑性重合体としては、
耐熱性、寸法安定性の点から、融点が150℃以上の結
晶性の熱可塑性重合体を用いるのが好ましく、その代表
例として繊維形成性のポリエステル、ポリアミド、ポリ
オレフィン、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。
【0035】例えば、ポリエステルとしては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン
酸、フタル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)
エタン、4,4′−ジカルボキシジフェニール、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、
アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、また
はこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6―ヘ
キサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキ
サン―1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコー
ル、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール化
合物とから合成される繊維形成性のポリエステルを使用
することができ、構成単位の80モル%以上、特に90
モル%以上がエチレンテレフタレート単位および/また
はブチレンテレフタレート単位からなるポリエステルが
好ましい。また、ポリアミドとしては、ナイロン4、ナ
イロン6、ナイロン66、ナイロン12等を使用するこ
とができ、更にポリオレフィンとしてはポリプロピレ
ン、エチレン/プロピレン共重合体等を使用することが
できる。
【0036】また、変性Et/VA系共重合体とポリエ
ステルとからなる複合繊維では、高温高圧下での染色処
理において、変性Et/VA系共重合体部分に収縮が発
生する場合があるので、そのようなときは染色液中に強
酸または強塩基の塩およびホウ酸の1種または2種以上
を存在させて染色を行うと、収縮を防止することができ
る。
【0037】複合繊維における複合形態は、芯鞘型、海
島型、貼合型、それらの混在型等の任意の形態にするこ
とができる。芯鞘型の場合は2層芯鞘型および3層以上
の多層芯鞘型のいずれでもよい。また海島型の場合は、
島の形状、数、分散状態を任意に選ぶことができ、島の
一部が繊維表面に露出していてもよい。更に、貼合型の
場合は、繊維の長さ方向に直角な繊維断面において、貼
合面が直線状、円弧状またはその他任意のランダムな曲
線状のいずれの状態になっていてもよく、更に複数の貼
合部分が互いに平行になっていても、放射線状になって
いても、その他任意の形状であってもよい。
【0038】また、本発明の複合繊維では、変性Et/
VA系共重合体と複合させる他の熱可塑性重合体は、1
種類であってもまたは2種以上であってもよい。いずれ
の場合も、複合繊維に良好なカチオン染料可染性を付与
するためには、繊維表面の一部または全部に変性Et/
VA系共重合体が露出して存在するのが好ましく、特に
繊維表面の10%以上が変性Et/VA系共重合体から
なっているのがよい。それに対して、繊維表面の全部が
上記した他の繊維で覆われている場合には、カチオン染
料可染性が付与されにくくなる。
【0039】本発明の繊維の断面形状はどのようなもの
であってもよく、円形、異形、中空など目的に合った形
状とすることができる。異形断面の場合は、例えば偏平
形、楕円形、三角形〜八角形等の角形、C字形、T字
形、H字形、3〜8葉形等の多葉形、多枝形等の任意の
形状とすることができる。さらに、繊維の太さがその長
さ方向に沿って変化するシックアンドシンの形態をなす
ことも可能である。更に、本発明の繊維は、繊維形成性
重合体において通常使用されている蛍光増白剤、安定
剤、難燃剤、着色剤等の任意の添加剤を必要に応じて含
有することができる。また、本発明の繊維は、モノフィ
ラメント等の長繊維、ステープル等の短繊維、マルチフ
ィラメント糸、紡績糸等に適宜使用でき、さらに本発明
の繊維と天然繊維、半合成繊維、他の合成繊維との混繊
糸や混紡糸、合撚糸等として応用が可能である。また、
本発明の繊維は、仮撚捲縮加工、交絡処理等の任意の処
理を施してあってもよい。更に本発明の繊維製品は、そ
れらの繊維や糸からなる編織物、不織布、最終的な衣類
等のいずれでもよく、特に衣類として最適である。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述するが、本
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお、実施例の各測定値は、以下の方法により、測
定された値である。
【0041】(1)染着率の測定 染料溶液の染色による吸光度の変化により次式によって
染着量を求めた。 染着率=100×(B−A)/B B:染料溶液の染色前の最大吸収波長における吸光度 A:染料溶液の染色後の最大吸収波長における吸光度
【0042】(2)K/S値の測定 得られた染色物について日立307型カラーアナライザ
ー(日立製作所製;自動記録式分光光度計)を用いて測
定された分光反射率より求めたKubelka−Mun
kの式によりK/S値[すなわちK/S=(1−R)2
/2R;ただしRは染色布の可視部反射率曲線よりの最
大吸収波長位置における反射率]を求めた。 (3)吸湿率の測定 温度20℃、湿度90%の条件下で飽和状態に達したときの
サンプルの重量を吸湿時の重量として、以下の式より求
めた。 吸湿率(%)=〔(吸湿時のサンプル重量−絶乾時のサンプ
ル重量)/絶乾時のサンプル重量〕×100 (4)ポリエステルの極限粘度[η](d1/g) フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合溶媒を
用い、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて
測定した値である。 (5)着用感 平織物よりシャツを作成し、着心地を評価して合否を決
定した。 ○:合格(発汗時に蒸れない) ×:不合格(発汗時に蒸れる)
【0043】実施例1 重合溶媒としてメタノールを使用し、重合開始剤として
AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を使用して、6
0℃、加圧下でエチレン、酢酸ビニルと2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(以
下、AMPSと略す)をラジカル重合させて、AMPS
含量0.2モル%、エチレン含量44モル%のAMPS
/エチレン/酢酸ビニル共重合体を製造した。次に、こ
のAMPS/エチレン/酢酸ビニル共重合体を苛性ソー
ダ含有メタノール液中でケン化処理し、続いて酢酸を少
量添加した純水の大過剰量を使用して洗浄を繰り返した
後、さらに大過剰の純水で洗浄を繰り返した。その後、
脱水機により共重合体から水を分離した後、100℃以
下の温度で真空乾燥により充分乾燥した。得られたAM
PS/エチレン/ビニルアルコール系共重合体(変性E
t/VA系共重合体)のケン化度は99.5モル%、メ
ルトインデックス(190℃、2160g荷重下)は2
g/10min.であった。
【0044】上記で得た変性Et/VA系共重合体を口
金温度260℃で溶融紡糸し、紡糸速度1000m/分
で巻き取った。その後、常法により延伸して75デニー
ル/24フィラメントのマルチフィラメントを得た。上
記における繊維化工程は良好でトラブルが発生しなかっ
た。ついで上記で得たマルチフィラメントを経糸および
緯糸として使用して1/1の平織物を製造した。上記の
生機平織物を、水酸化ナトリウムを1g/リットル、そ
してアクチノールR−100(界面活性剤:松本油脂社
製)を0.5g/リットルの割合で含有する水溶液で8
0℃で30分間処理して糊抜した。
【0045】上記で得られた平織物を下記に示した染液
組成物の染色液中に浸漬して90℃で40分間染色処理
した。染液組成 Cathilon Brill Red 4GH(保土ヶ谷化学社製) 2 % owf 硫酸ナトリウム 3g/リットル 酢酸(48%) 1 % owf 酢酸ナトリウム 0.5%owf 浴比50:1 得られた平織物の染着率は96%、K/Sは28、吸湿率は
5.2%であり、染色性、風合ともに優れたものであった。
またこの平織物からシャツを作成し、着用テストを行な
ったところ発汗時の蒸れがなく、非常に着心地の良いも
のであった。(表1参照)
【0046】
【表1】
【0047】実施例2、3 AMPSの共重合量を表1に見られるように変更したこ
と以外は、実施例1と同様にして変性Et/VA系共重
合体を製造し、それに基づいて実施例1と同様に繊維
化、製織、染色、シャツ作成、諸評価等を行なったが、
いずれも染色性、吸湿性に優れ、着心地も良好であっ
た。その時の結果を表1に示す。
【0048】実施例4 スルホン酸基含有単量体として、アリルスルホン酸ナト
リウム0.2モル%を用いる以外は、実施例1と同様に平織
物を作成し、染色処理を行った。得られた平織物の染着
率は94%、K/Sは27、吸湿率は5.2%であり良好な結果
が得られた。また、この平織物からシャツを作成し、着
用テストを行なったところ発汗時もべとつかず、着心地
の良いものであった。(表1参照)
【0049】実施例5 実施例1で用いた変性Et/VA系共重合体と〔η〕=
0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(PE
T)を重量比1/1で常法により複合紡糸・延伸を行
い、その断面形状が真円形で且つ変性Et/VA系共重
合体が鞘部を構成し、ポリエチレンテレフタレートが芯
部を構成する2層同心芯鞘型の複合繊維からなる75デニ
ール/24フィラメントの複合フィラメント糸を製造し
た。その後、実施例1と同様に平織物を作成し、染色処
理を実施した。得られた平織物の染着率は87%、K/S
は25、吸湿率は2.8%であり、染色性及び吸湿性は良好で
あった。また、この平織物でシャツを作成し、着用テス
トをしたところ、着心地の良いものであった。(表1参
照)
【0050】実施例6 ポリエチレンテレフタレートの代わりに〔η〕=0.9
6dl/gのポリブチレンテレフタレート(PBT)を用
いること以外は、実施例5と同様にして、繊維化、製
織、染色処理を行なった。得られた平織物の染着率は88
%、K/Sは26、吸湿率は2.9%と良好であった。ま
た、この平織物から作成されたシャツの着用テストで
は、発汗時に蒸れることなく快適であった。(表1参
照)
【0051】比較例1 実施例1で用いた変性Et/VA系共重合体において、
AMPS含量を0.01モル%とする以外は実施例1と
同様に平織物を作成し、染色処理を行った。得られた平
織物においては吸湿率5.3%と良好であったが、染着率
10%、K/Sが3と極めて染色性に乏しいものであっ
た。(表1参照)
【0052】比較例2 実施例1で用いた変性Et/VA系共重合体において、
AMPS含量を5モル%とする以外は実施例1と同様に紡
糸を行った。しかし、紡糸中にゲル化物が生じ、紡糸パ
ックのフィルター詰まりを起こして紡糸不可能であっ
た。(表1参照)
【0053】比較例3 重合溶媒としてメタノールを使用し、重合開始剤として
アゾビス−4−メチロキシ−2,4−ジメチルバレロニ
トリルを使用して、60℃、加圧下でエチレンと酢酸ビ
ニルをラジカル重合させて、エチレン含量が44モル%
のエチレン/酢酸ビニルランダム共重合体(数平均重合
度約350)を製造した。次に、このエチレン/酢酸ビ
ニルランダム共重合体を苛性ソーダ含有メタノール液中
でケン化処理して、共重合体中の酢酸ビニル単位の99
モル%以上がケン化した湿潤状態のエチレン/ビニルア
ルコール系共重合体を製造した。この共重合体を酢酸を
少量添加した純水の大過剰量を使用して洗浄を繰り返し
た後、さらに大過剰の純水で洗浄を繰り返し、その後、
脱水機により共重合体から水を分離した後、100℃以
下の温度で真空乾燥により充分乾燥してエチレン/ビニ
ルアルコール系共重合体を得た。
【0054】上記で得た共重合体を、口金温度260℃
で溶融紡糸し、紡糸速度1000m/分で巻き取った。
その後、常法により延伸して75デニール/24フィラ
メントのマルチフィラメントを得た。上記における繊維
化工程は良好でトラブルが発生しなかった。上記で得マ
ルチフィラメントを経糸および緯糸として使用して1/
1の平織物を製造した。上記の生機平織物を、水酸化ナ
トリウムを1g/リットル、そしてアクチノールR-100
(界面活性剤:松本油脂社製)を0.5g/リットルの
割合で含有する水溶液で80℃で30分間処理して糊抜
した後、化合物[OHC-(CH2)7-SO3Na]を含有する0.4規
定の硫酸溶液中に入れて、浴比50:1で90℃の温度
でアセタール変性処理を行い、この化合物を5モル%含
有するエチレン/ビニルアルコール系共重合体フィラメ
ントからなる平織物を得た。その後、実施例1と同様に
して染色処理を行ない同様な評価を行なった。その結
果、平織物の染着率は80%、K/S35と染色性は良好で
あったが、吸湿率が1.4%と不良で、シャツを作成して
行なった着用テスト結果も、発汗時に蒸れて着心地の点
で満足できなかった。(表1参照)
【0055】比較例4 比較例3で使用した化合物[OHC-(CH2)7-SO3Na]に代え
て、オルト-ベンズアルデヒドスルホン酸ナトリウム3モ
ル%を使用すること以外は比較例3と同様にして平織物
を作成し、染色して評価を行なった。得られた平織物
は、染着率70%、K/S30と染色性に優れていたが、吸
湿率が1.8%と吸湿性に乏しかった。また、この平織物
でシャツを作成して着用テストを実施したが、発汗時に
べとついて肌にまとわりつき、着心地の悪いものであっ
た。(表1参照)
【0056】
【発明の効果】本発明の繊維は優れた吸放湿特性を維持
しつつ、カチオン染料染色性が極めて良好であり、カチ
オン染料で染色した場合には、従来の合成繊維には見ら
れないような鮮やかで深い色合いを有する染色物が得ら
れ、しかも天然繊維に似た良好な風合並びに吸湿性およ
び吸水性を有するため、発汗時のべとつきがなく内外衣
ともに適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 氷見 直之 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 守谷 健 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基本骨格がエチレン−ビニルアルコール
    系共重合体であり、その主鎖中に、スルホン酸基又はス
    ルホネート基を有する単位が、基本骨格を構成するエチ
    レン単位とビニルアルコール系単位の合計モル数に対し
    て0.05〜1.0モル%共重合された変性エチレン−
    ビニルアルコール系共重合体を少なくとも1成分とする
    ことを特徴とする繊維。
  2. 【請求項2】 カチオン染料で処理したときのK/Sが
    20以上である請求項1に記載の繊維。
  3. 【請求項3】 繊維形態が、請求項1に記載の変性エチ
    レン−ビニルアルコール系共重合体と他の熱可塑性重合
    体からなる複合繊維である請求項2に記載の繊維。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の繊
    維を含む繊維製品。
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