JP2001081455A - 化学発光試薬の製造方法 - Google Patents

化学発光試薬の製造方法

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JP2001081455A JP26102899A JP26102899A JP2001081455A JP 2001081455 A JP2001081455 A JP 2001081455A JP 26102899 A JP26102899 A JP 26102899A JP 26102899 A JP26102899 A JP 26102899A JP 2001081455 A JP2001081455 A JP 2001081455A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ペルオキシダーゼ酵素量に依存して過
酸化物等により化学発光し、ペルオキシダーゼ酵素活性
の測定が可能であり、かつ、変異原性を有する副生物を
含有しない、ルシゲニン電荷移動錯体を主成分とする化
学発光試薬の製造方法を提供する。 【解決手段】 N,N'−ジ置換−9,9'−ビスアクリジニ
ウム塩類(ルシゲニン等)及び N,N−ジ置換カルボン酸
アミド化合物の混合物に光照射してN,N'−ジ置換−9,9'
−ビスアクリジニウム塩類の電荷移動錯体を生成させた
後、該反応混合物をクロマトグラフィーに付して精製す
ることを特徴とする、変異原性を有する不純物を含有し
ない、安全性の高いN,N'−ジ置換−9,9'−ビスアクリジ
ニウム塩類の電荷移動錯体を主成分とする化学発光試薬
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学発光試薬の製
造方法に関するものであり、さらに詳しくは、ペルオキ
シダーゼ酵素量に依存して過酸化物等の水素受容体によ
り化学発光し、ペルオキシダーゼ酵素活性を利用して種
々の物質を高感度に測定することができ、かつ、変異原
性を有する不純物を含有しない、安全性の高い改良され
た化学発光試薬の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】化学発光試薬として、古くから用いられ
ているルシゲニン(N,N'−ジメチル−9,9'−ビスアクリ
ジニウムジナイトレート)は、アルカリ性水溶液中で微
光を呈し、過酸化水素を加えると強く発光することが知
られており、種々の微量分析に利用されている。しかし
ながら、ルシゲニンは過酸化水素とアルカリの存在で定
量的に発光するので、過酸化水素の定量には利用するこ
とができるが、この反応による発光を制御して発光量で
酵素活性を測定する化学発光酵素免疫測定法(CLEI
A)等には利用し難いという問題点がある。この問題点
を解決する手段として、標識酵素にグルコースオキシダ
ーゼを用いて、グルコースの酸化反応により生成する過
酸化水素をアルカリ存在下にルシゲニンに作用させるこ
とにより、測定対象物質の濃度に依存した化学発光を行
なう方法等が行なわれている。しかしながら、グルコー
スオキシダーゼを標識酵素とするCLEIAは、試薬の
調製及び発光系の操作が煩雑である。また、安定性にも
優れ、取り扱いが比較的に容易なペルオキシダーゼを標
識酵素とするCLEIAに利用できる化学発光試薬とし
てルミノールが用いられているが、発光促進剤を併用し
ても感度の点で必ずしも充分とは云えない。そこで、本
発明者等は試薬の調製及び発光系の操作が容易で、かつ
高感度測定が可能な、ペルオキシダーゼを標識酵素とす
るCLEIAに利用できる化学発光試薬としてルシゲニ
ン電荷移動錯体を主成分とする新規化学発光試薬を開発
した。しかし、該化学発光試薬は製造時に変異原性を有
する不純物を副生する場合があり、変異原性を有する不
純物を副生しない化学発光試薬の製造方法の開発が望ま
れていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、過酸
化水素等の過酸化物を基質とするペルオキシダーゼのモ
ル数に依存して化学発光し、ペルオキシダーゼ酵素活性
を利用して種々の物質をより高感度に測定することがで
き、変異原性を有する不純物を含有しない、安全性の高
い改良された化学発光試薬の製造方法の開発を目的とす
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記課題を達成するために鋭意検討を行なった結果、N,
N'−ジ置換−9,9'−ビスジアクリジニウム塩類を N,N−
ジ置換カルボンアミド化合物の存在下に光照射してN,N'
−ジ置換−9,9'−ビスジアクリジニウム塩類の電荷移動
錯体を生成させた後に、該反応混合物をクロマトグラフ
ィーに付して精製することにより、変異原性を有する不
純物を容易に除去することができることを見い出し、本
発明に到達したものである。従って、本発明は、下記一
般式(1)
【0005】
【化5】 (上記一般式(1)において、R1 及びR2 は、アルキ
ル基、アリール基及びハロゲン化アリール基からなる群
より選択され、互いに同一でも又は異なるものでもよ
く、R3、R4、R5 及びR6 は、水素原子、アルキル基、
アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲ
ン基からなる群より選択され、互いに同一でも又は異な
るものでもよく、Xはn価の陰イオンであり、nは1又
は2である。)で表わされるN,N'−ジ置換−9,9'−ビス
アクリジニウム塩類を、下記一般式(2)
【0006】
【化6】 (上記一般式(2)において、R1 は、炭素数1〜10
のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び炭素
数6〜20のアリール基からなる群より選択され、アリ
ール基は、アルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、水酸基
及びアミノ基等で置換されていてもよく、R2 は、メチ
ル基及びエチル基からなる群より選択され、R3 は、炭
素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニ
ル基及び炭素数6〜20のアリール基からなる群より選
択され、アリール基は、アルキル基、ハロゲン基、ニト
ロ基、水酸基及びアミノ基等で置換されていてもよく、
また、R1 及びR3 は、互いに結合して、それぞれが結
合しているカルボニル基の炭素原子及びアミド基の窒素
原子と共に環を形成していてもよい。)で表わされるN,
N−ジ置換カルボン酸アミド化合物の存在下において光
照射下に反応させることにより、下記一般式(3)
【0007】
【化7】 (上記一般式(3)において、R1 及びR2 は、アルキ
ル基、アリール基及びハロゲン化アリール基からなる群
より選択され、互いに同一でも又は異なるものでもよ
く、R3、R4、R5 及びR6 は、水素原子、アルキル基、
アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲ
ン基からなる群より選択され、互いに同一でも又は異な
るものでもよく、X・は、前駆体ビスアクリジニウム塩
の対アニオンから電子が移動した残基である酸ラジカル
を示す。)で表わされるN,N'−ジ置換−9,9'−ビスアク
リジニウム塩類の電荷移動錯体を生成させた後に、該反
応混合物をクロマトグラフィーに付して精製し、次いで
活性画分を分離してから、下記一般式(4)
【0008】
【化8】 (上記一般式(4)において、Rは、炭素数1〜5の二
価の脂肪族炭化水素を表わし、mは、1〜3の整数を表
わす。)で表わされるアミノアルコール化合物を添加す
ることを特徴とする変異原性を有する不純物を含有しな
い化学発光試薬の製造方法である。
【009】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき更に詳しく説
明する。本発明の化学発光試薬の製造方法は、N,N'−ジ
置換−9,9'−ビスジアクリジニウム塩類を N,N−ジ置換
カルボンアミド化合物の存在下に光照射してN,N'−ジ置
換−9,9'−ビスジアクリジニウム塩類の電荷移動錯体を
生成させる反応から始まるが、該反応に用いるN,N'−ジ
置換−9,9'−ビスアクリジニウム塩類は、一般式(1)
で表される。一般式(1)において、R1 及びR2 は、
各々、アルキル基、アリール基及びハロゲン化アリール
基からなる群より選択され、互いに同一でも異なるもの
でもよい。アルキル、アリール基及びハロゲン化アリー
ル基は、炭素数1〜20を有するものであり、好ましい
アルキル基は炭素数1〜10のものである。例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及
びデシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基を挙げるこ
とができる。また、アリール基は、炭素数6〜20のも
のが好ましく、フェニル基、トリール基、キシリル基等
を挙げることができ、さらにアルキル基で置換されたも
のでもよい。アリール基としては、特に、フェニル基が
好ましい。ハロゲン化アリール基としてはハロゲン化フ
ェニル基、ハロゲン化トリル基、ハロゲン化キシリル基
等を挙げることができ、特に、クロロフェニル基が好ま
しい。
【0010】一般式(1)において、R3、R4、R5 及び
6 は、各々、水素原子、アルキル基、アリール基、ア
ルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲン原子からなる
群より選択され、互いに同一でも又は異なるものでよ
い。これらの炭化水素基としては、炭素数1〜20、好
ましくは、1〜10のものを挙げることができる。例え
ば、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、ア
ルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、アリーロキ
シ基を挙げることができ、アリール基、アリーロキシ基
にはアルキル基が置換されたものでもよい。
【0011】また、一般式(1)において、Xn-はn価
の陰イオンであり、nは1又は2である。陰イオンとし
ては、特に限定されるものではなく、塩素イオン、臭素
イオン、沃素イオン等のハロゲンイオン、硝酸イオン、
炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、カルボン酸イ
オン等を挙げることができる。これらの陰イオンのなか
で、特に硝酸イオンが好ましい。
【0012】N,N'−ジ置換−9,9'−ビスアクリジニウム
塩類の具体例としては、N,N'−ジメチル−9,9'−ビスア
クリジニウム塩、N,N'−ジエチル−9,9'−ビスアクリジ
ニウム塩、N,N'−ジフェニル−9,9'−ビスアクリジニウ
ム塩、N,N'−ジ−m−クロロフェニル−9,9'−ビスアク
リジニウム塩などが挙げられるが、特に、N,N'−ジメチ
ル−9,9'−ビスアクリジニウムジ硝酸塩(ルシゲニン)
を好適に用いることができる。勿論これらに限定される
ものではない。
【0013】本発明の化学発光試薬の製造方法における
原料の一つである N,N−ジ置換カルボン酸アミド化合物
は、一般式(2)で表される。一般式(2)において、
1は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数2〜10のアルケニル基及び炭素数6〜20のアリー
ル基からなる群より選択され、該アリール基はアルキル
基、ハロゲン基、ニトロ基、水酸基及びアミノ基等から
なる群より選択される基で置換されていてもよい。R2
は、メチル基及びエチル基からなる群より選択される。
3 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10
のアルケニル基及び炭素数6〜20のアリール基からな
る群より選択される。該アリール基は、アルキル基、ハ
ロゲン基、ニトロ基、水酸基及びアミノ基等からなる群
より選択される基で置換されていてもよい。また、R1
及びR3 は互いに結合して、それぞれが結合しているカ
ルボニル基の炭素原子及びアミド基の窒素原子と共に環
を形成していてもよい。
【0014】N,N−ジ置換カルボン酸アミド化合物の具
体的な例としては、 N,N−ジメチルホルムアミド、 N,N
−ジメチルアセトアミド、 N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、 N,N−ジメチル
ベンズアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が非限定
的に挙げられる。また、光照射反応におけるN,N'−ジ置
換−9,9'−ビスアクリジニウム塩類と N,N−ジ置換カル
ボン酸アミド化合物との混合比は、N,N'−ジ置換−9,9'
−ビスアクリジニウム塩類の電荷移動錯体に対して N,N
−ジ置換カルボン酸アミド化合物を1〜1万倍モル、好
ましくは1〜5千倍モルの割合で用いることができる。
【0015】本発明の化学発光試薬の製造方法に用いら
れる光照射用の光線としては、波長領域が約 290〜800
nmの範囲の紫外可視部が用いられ、特に、約 400〜80
0 nmの範囲の可視光が望ましい。これらの光源として
は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、殺菌灯、蛍光灯及び白熱
電灯等を非限定的に用いることができるが、白熱電灯が
好ましく用いられる。
【0016】該光照射反応により得られる反応生成物
は、N,N'−ジ置換−9,9'−ビスアクリジニウム塩類の電
荷移動錯体であり、一般式(3)で表されるが、この化
合物の生成は電子スピン共鳴スペクトルによるラジカル
の存在の確認、及び紫外線吸収スペクトルにおいて、反
応の進行に伴って、370 nmのN,N'−ジ置換−9,9'−ビ
スアクリジニウム塩類に特異的な吸収が減少し、500 n
m以上に新たな吸収が出現し増大して行くこと等により
同定される。
【0017】一般式(3)において、R1 及びR2 は、
それぞれアルキル基、アリール基及びハロゲン化アリー
ル基からなる群より選択され、互いに同一でも又は異な
るものでもよい。アルキル基、アリール基及びハロゲン
化アリール基は、それぞれ炭素数1〜20を有するもの
であり、好ましいアルキル基は炭素数1〜10のもので
ある。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基及びデシル基等の直鎖状アルキル基又はこ
れらの分岐状アルキル基を挙げることができる。また、
アリール基は炭素数6〜20のものが好ましく、例え
ば、フェニル基、トリール基、キシリル基等を挙げるこ
とができ、さらにアルキル基で置換されたものでもよ
い。アリール基としては、特にフェニル基が好ましい。
ハロゲン化アリール基としてはハロゲン化フェニル基、
ハロゲン化トリル基、ハロゲン化キシリル基等を挙げる
ことができ、特にクロロフェニル基が好ましい。
【0018】一般式(3)において、R3、R4、R5 及び
6 は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、
アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲン原子からな
る群より選択され、互いに同一でも又は異なるものでよ
い。これらの炭化水素基としては、炭素数1〜20、好
ましくは1〜10のものを挙げることができる。例え
ば、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基、ア
ルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、アリーロキ
シ基を挙げることができ、アリール基、アリーロキシ基
にはアルキル基が置換されたものでもよい。また、一般
式(3)において、X・は前駆体ビスアクリジニウム塩
の対アニオンから電子が移動した残基である酸ラジカル
を示す。
【0019】本発明の化学発光試薬の製造方法におい
て、光照射反応の副生物として変異原性を有する物質の
生成が生成物の変異原性試験によって認められる場合が
あるが、これは光照射反応によって生成したN,N'−ジ置
換−9,9'−ビスアクリジニウム塩類の電荷移動錯体の一
部がそのバイラジカルによる環化反応を起こしてジハイ
ドロフェナンスレン型の中間体を経て、変異原性を有す
ると考えられる下記一般式(5)
【0020】
【化9】 で表わされる 7,6−ジ置換ベンゾ[1,2,3-kl:6,5,4-k'
l' ]ジアクリジン誘導体を生成するためと考えられ
る。そこで変異原性を有すると考えられる該副生物の除
去を目的としてクロマトグラフィーによる精製を行なっ
た処、製造された化学発光試薬は変異原性試験において
常に陰性を示すことが確認された。
【0021】上記一般式(5)において、R1 及びR2
は、アルキル基、アリール基及びハロゲン化アリール基
からなる群より選択され、互いに同一でも又は異なるも
のでもよい。アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリ
ール基としては炭素数1〜20を有するものであり、ア
ルキル基としては炭素数1〜10、特に1〜5のものが
挙げられる。また、アリール基、ハロゲン化アリール基
は炭素数6〜20を有するものである。例えば、フェニ
ル基、トリール基、ハロゲン化アリール基としてはハロ
ゲン化フェニル基、具体的にはクロロフェニル基が挙げ
られる。また、R3、R4、R5 及びR6 は、水素原子、ア
ルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基
及びハロゲン基からなる群より選択され、互いに同一で
も又は異なるものでもよい。これらの炭化水素基として
は炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、炭素数
6〜20のアリール基、アリーロキシ基を挙げることが
できる。アリール基、アリーロキシ基にはアルキル基が
置換されたものでもよい。
【0022】上記クロマトグラフィー処理としては、薄
層クロマトグラフィー(TLC)または高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)等を好適に用いることができ
る。TLCとしては、固定層の薄層にシリカゲル、アル
ミナ、セルロース、ポリアミド等を用い、移動層の展開
溶媒にメタノール、エタノール、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、 N,N−
ジメチルホルムアミド、 N,N−ジメチルアセトアミド、
クロロホルム等を用いることができる。HPLCとして
は、固定層のカラム充填剤に表面をオクタデシル基、オ
クチル基、フェニル基等で修飾したシリカゲル等を用
い、移動層にアセトニトリル、メタノール、アセトン、
ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコ
ール等を用いる逆相クロマトグラフィーが好適に用いら
れる。
【0023】本発明の化学発光試薬の製造方法において
は、N,N'−ジ置換−9,9'−ビスアクリジニウム塩類の電
荷移動錯体のクロマトグラフィーによる精製の後に、安
定剤としてアミノアルコール化合物を添加するが、該ア
ミノアルコール化合物の添加は該化学発光試薬の発光反
応時において、ブランク値を低下させる効果及びペルオ
キシダーゼの高濃度領域における発光強度を上昇させる
効果を有し、また、化学発光試薬の保存時において、そ
の発光性能の低下を防ぐ保存安定性を改善する効果等を
有し、化学発光試薬の感度や安定性等の性能の向上に寄
与する処が大きい。アミノアルコール化合物の具体的な
例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノール
アミン等を非限定的に挙げることができる。上記アミノ
アルコール化合物の添加量は、N,N'−ジ置換−9,9'−ビ
スアクリジニウム塩類の電荷移動錯体量に対して1〜1
万倍モルの量で用いることができる。
【0024】本発明の製造方法で製造された化学発光試
薬は、pH 4.5〜13、好ましくはpH 6〜9 の条件下に
おいて、過剰の過酸化水素の存在下、ペルオキシダーゼ
の濃度に依存した量で発光する。この発光はフェノール
性化合物等の発光促進剤によって増強することが認めら
れる。このようなフェノール性化合物としては、p−ヒ
ドロキシ桂皮酸、p−フェニルフェノール、p−(4−
クロロフェニル)フェノール、p−(4−ブロモフェニ
ル)フェノール、p−(4−ヨードフェニル)フェノー
ル、p−ヨードフェノール、p−ブロモフェノール、p
−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、p
−クマル酸、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、2−ナ
フトール、ホタルルシフェリン等が非限定的に挙げられ
る。
【0025】本発明の製造方法で製造された化学発光試
薬を用いて化学発光分析を行なう場合には、10-8〜1
M、好ましくは10-6〜10-2Mの範囲の濃度で用いら
れ、その使用量は10〜 500μl、好ましくは50〜 300μ
lの範囲で用いるのが望ましい。また、発光促進剤の使
用量は、化学発光試薬の0.01〜100 倍モル、好ましくは
0.1〜10倍モルの範囲で用い、その濃度は10-6〜1
M、好ましくは10-4〜10-2Mの範囲で用いるのが望
ましい。また、化学発光反応に用いる過酸化水素の量は
化学発光試薬に対して充分に過剰な量で用いることが必
要であり、その使用量は化学発光試薬に対して3〜1万
倍モル、好ましくは10〜1000倍モルの範囲で用いるのが
望ましい。また、ペルオキシダーゼを標識物質として抗
体、核酸等を標識して種々の物質を定量する場合には、
特に限定されるものではないが、ペルオキシダーゼとし
て、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)が好ましく
用いられる。化学発光反応に用いる緩衝液としては、ト
リス緩衝液、リン酸緩衝液、ほう酸緩衝液、炭酸緩衝
液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液等を任意に用い
ることができる。これらの緩衝液の濃度は1mM〜1M
の範囲で用いるのが望ましい。また、反応時に界面活性
剤、キレート剤等の添加剤を任意に用いることができ
る。
【0026】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではな
い。
【0027】〔実施例1〕N,N'−ジメチル−9,9'−ビスアクリジニウムジ硝酸塩の
電荷移動錯体を含む化学発光試薬の調製I ルシゲニン 1.5mgを試験管に採り、これに N,N−ジメチ
ルアセトアミド1mlを加えて溶解させた後、30℃の温度
の水浴中で 250 Wのコピーランプを7時間照射すること
によりN,N'−ジメチル−9,9'−ビスアクリジニウムジ硝
酸塩の電荷移動錯体を含有する反応混合物溶液を得た。
尚、電荷移動錯体の生成は、紫外吸収スペクトルにおけ
る 550nm付近に極大をもつ幅広い吸収帯の出現を分光光
度計を用いる方法で測定して確認した。次いで、この反
応混合物溶液を分取型高速液体クロマトグラフィーにか
けて分画した。使用した装置は日本分光(株)製分取型
HPLC装置でカラムは内径 20mm 長さ 250mmの YMC-P
ack ODS SH-343-5((株)ワイエムシー製)で、移動相
はアセトニトリルを用い、カラム温度は40℃、流速1ml
/分で、サンプル量1mlの条件で行ない、活性画分を採
取しアセトニトリルを減圧下に留去した後、 N,N−ジメ
チルアセトアミド1mlを加えて再溶解させ、次いで、こ
の溶液に 500μlのトリエタノールアミンを添加するこ
とにより化学発光試薬を得た。この化学発光試薬の安全
性を確認するために労働安全衛生法に則った微生物を用
いる変異原性試験を行なった処、結果は陰性であった。
【0028】〔参考例1〕ペルオキシダーゼ活性の測定 化学発光測定用マイクロプレートの複数のウェルに西洋
ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の種々の濃度水準の
75mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)溶液 100μl、及び10
mMp−ヨードフェノール溶液 800μlと上記化学発光試
薬40μlとを75mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)溶液9.16
mlに添加して調製した発光試薬溶液 100μlを加えた
後、これに0.0017重量%の過酸化水素水溶液50μlを加
え、ルミノメーター(ダイアヤトロン社製ルミナス CT-
9000 D)で1〜5秒間発光量を積算した結果、表1に示
すような発光強度が得られ、HRPを1×10-19mol/
assay まで測定することが可能であった。
【0029】
【表1】
【0030】〔実施例2〕N,N'−ジメチル−9,9'−ビスアクリジニウムジ硝酸塩の
電荷移動錯体を含む化学発光試薬の調製II ルシゲニン 1.5 mg を試験管に採り、これに N,N−ジメ
チルアセトアミド1mlを加えて溶解させた後、30℃の温
度の水浴中で 250 Wのコピーランプを7時間照射するこ
とによりN,N'−ジメチル−9,9'−ビスアクリジニウムジ
硝酸塩の電荷移動錯体を含有する反応混合物溶液を得
た。尚、電荷移動錯体の生成は、紫外吸収スペクトルに
おける 550nm付近に極大をもつ幅広い吸収帯の出現を分
光光度計を用いる方法で測定して確認した。次いで、こ
の反応混合物溶液を薄層クロマトグラフィーにかけて分
画した。使用した薄層プレートは幅 200 mm ×長さ 200
mm の Polyamide 11 F254(MERCK社製)で、展開溶媒
としてメタノールを用い、サンプル量 100μlの条件で
展開した。展開終了後に光を照射してスポットを確認
し、スポット部分を鋏で切り出してメタノールで抽出
し、発光する活性画分を集めて減圧下にメタノールを留
去した後、 N,N−ジメチルアセトアミド1mlを加えて再
溶解させ、次いで、この溶液に 500μlのトリエタノー
ルアミンを添加することにより化学発光試薬を得た。こ
の化学発光試薬の安全性を確認するために労働安全衛生
法に則った微生物を用いる変異原性試験を行なった処、
結果は陰性であった。
【0031】〔参考例2〕ペルオキシダーゼ活性の測定 化学発光測定用マイクロプレートの複数のウェルに西洋
ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の種々の濃度水準の
75mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)溶液100 μl、及び10
mMp−ヨードフェノール溶液 800μlと上記化学発光試
薬40μlとを75mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.4)溶液9.16
mlに添加して調製した発光試薬溶液 100μlを加えた
後、これに0.0017重量%の過酸化水素水溶液50μlを加
え、ルミノメーター(ダイアヤトロン社製ルミナス CT-
9000 D)で1〜5秒間発光量を積算した結果、表2に示
すような発光強度が得られ、HRPを1×10-19mol/
assay まで測定することが可能であった。
【0032】
【表2】
【0033】〔比較例1〕ルシゲニン 1.5 mg を試験管
に採り、これに N,N−ジメチルアセトアミド1mlを加え
て溶解させた後、30℃の温度の水浴中で 250 Wのコピー
ランプを7時間照射することによりN,N'−ジメチル−9,
9'−ビスアクリジニウムジ硝酸塩の電荷移動錯体を含有
する反応混合物溶液を得た。尚、電荷移動錯体の生成
は、紫外吸収スペクトルにおける 550nm付近に極大をも
つ幅広い吸収帯の出現を分光光度計を用いる方法で測定
して確認した。次いで、この化学発光試薬について労働
安全衛生法に則った微生物を用いる変異原性試験を行な
った処、結果は陽性であった。
【0034】
【発明の効果】本発明の製造方法により提供される化学
発光試薬は、変異原性を有する不純物を含有することが
なく高い安全性を有している。また、安価な製造原料を
用いて比較的に短時間で容易に製造でき、過酸化水素と
ペルオキシダーゼの存在下に、ペルオキシダーゼの濃度
に依存して化学発光する性質を利用して、ペルオキシダ
ーゼ酵素を高感度で検出することができる。更に、ペル
オキシダーゼを標識物質として抗原、抗体、核酸等を標
識した酵素標識物を用いて、酵素免疫測定法により抗
原、抗体等を、ウェスタンブロット法により蛋白質を、
サザーン及びノーザンブロット法によりDNA及びRN
Aを、そして酵素標識核酸プローブを用いて核酸を夫々
特異的に且つ高感度で測定することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒谷 弦一郎 東京都足立区堀之内一丁目9番4号 大日 精化工業株式会社技術研究センター内 (72)発明者 葛城 寿史 東京都足立区堀之内一丁目9番4号 大日 精化工業株式会社技術研究センター内 (72)発明者 細越 未央 東京都足立区堀之内一丁目9番4号 大日 精化工業株式会社技術研究センター内 Fターム(参考) 4B063 QA01 QQ22 QR41 QR66 QS02 QX02

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (上記一般式(1)において、R1 及びR2 は、アルキ
    ル基、アリール基及びハロゲン化アリール基からなる群
    より選択され、互いに同一でも又は異なるものでもよ
    く、R3、R4、R5 及びR6 は、水素原子、アルキル基、
    アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲ
    ン基からなる群より選択され、互いに同一でも又は異な
    るものでもよく、Xはn価の陰イオンであり、nは1又
    は2である。)で表わされるN,N'−ジ置換−9,9'−ビス
    アクリジニウム塩類を、下記一般式(2) 【化2】 (上記一般式(2)において、R1 は、炭素数1〜10
    のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基及び炭素
    数6〜20のアリール基からなる群より選択され、アリ
    ール基は、アルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、水酸基
    及びアミノ基等で置換されていてもよく、R2 は、メチ
    ル基及びエチル基からなる群より選択され、R3 は、炭
    素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニ
    ル基及び炭素数6〜20のアリール基からなる群より選
    択され、アリール基は、アルキル基、ハロゲン基、ニト
    ロ基、水酸基及びアミノ基等で置換されていてもよく、
    また、R1 及びR3 は、互いに結合して、それぞれが結
    合しているカルボニル基の炭素原子及びアミド基の窒素
    原子と共に環を形成していてもよい。)で表わされるN,
    N −ジ置換カルボン酸アミド化合物の存在下において光
    照射下に反応させることにより、下記一般式(3) 【化3】 (上記一般式(3)において、R1 及びR2 は、アルキ
    ル基、アリール基及びハロゲン化アリール基からなる群
    より選択され、互いに同一でも又は異なるものでもよ
    く、R3、R4、R5 及びR6 は、水素原子、アルキル基、
    アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基及びハロゲ
    ン基からなる群より選択され、互いに同一でも又は異な
    るものでもよく、X・は、前駆体ビスアクリジニウム塩
    の対アニオンから電子が移動した残基である酸ラジカル
    を示す。)で表わされるN,N'−ジ置換−9,9'−ビスアク
    リジニウム塩類の電荷移動錯体を生成させた後に、該反
    応混合物をクロマトグラフィーに付して精製し、次いで
    活性画分を分離してから、下記一般式(4) 【化4】 (上記一般式(4)において、Rは、炭素数1〜5の二
    価の脂肪族炭化水素を表わし、mは、1〜3の整数を表
    わす。)で表わされるアミノアルコール化合物を添加す
    ることを特徴とする変異原性を有する不純物を含有しな
    い化学発光試薬の製造方法。
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