JP2001053269A - シリサイドを用いた電子素子およびその製造方法 - Google Patents

シリサイドを用いた電子素子およびその製造方法

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JP2001053269A
JP2001053269A JP22377799A JP22377799A JP2001053269A JP 2001053269 A JP2001053269 A JP 2001053269A JP 22377799 A JP22377799 A JP 22377799A JP 22377799 A JP22377799 A JP 22377799A JP 2001053269 A JP2001053269 A JP 2001053269A
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electronic device
silicide
tunnel junction
barrier layer
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Akira Saito
晶 齊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコンプロセスとの整合性が良い金属/半
導体系トンネル接合を有する電子素子を提供する。 【解決手段】 シリコン基板1上にマスクパターン2を
形成し、更にその上にニッケル薄膜3を形成する。そし
て、650℃の温度でアニール処理を施すことによっ
て、3nm幅のシリコン5を障壁層とし、その両側に形成
されたシリサイド4,4を電極とするシリサイド/シリコ
ン系トンネル接合が形成される。こうして、シリコンプ
ロセスとの整合性のよい金属/シリコン系トンネル接合
を提供できる。したがって、このトンネル接合を用いて
電子素子(単一電子素子)を形成すれば、代表的なシリコ
ン素子であるMOS素子と単一電子素子との混合回路の
構成が可能となり、従来のMOS素子と比べてより低消
費電力の電子素子が実現可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シリコンプロセ
スとの整合性が良い金属/半導体系のトンネル接合を有
するシリサイドを用いた電子素子、および、その製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、薄膜形成技術を応用したトン
ネル効果が、電子素子の試作に利用されてきている。こ
のトンネル効果は、素子動作における原理的な物理現象
として重要なものである。
【0003】特に、近年、微細加工技術を駆使した微小
なキャパシタンスを有するトンネル接合が試作され、こ
のようなトンネル接合で見られる単一電子トンネリング
に関する研究が盛んに行われるようになってきている。
上記単一電子トンネリング現象を利用すれば、従来の電
子素子に比べて高速且つ低消費電力の電子素子が実現可
能になる。その実現に向けて、アルミニウム・ガリウム
砒素を始めとする化合物半導体系や酸化アルミニウムと
アルミニウムとからなる材料系による単一電子素子の試
作研究が随所で行われている。
【0004】最近、シリコン系プロセスを用いた単一電
子素子形成方法が、特開平6‐252417号公報や特
開平7‐335839号公報に開示されている。これら
の単一電子素子形成方法では、シリコン基板を用いた酸
化プロセスとエッチングとの組み合わせによって単一電
子素子を形成している。また、特開平7‐202165
号公報には、SOI(シリコン・オン絶縁体)基板を用い
たシリコン系の単一電子素子の試作が開示されている。
上述の単一電子素子の形成方法においては、半導体であ
るシリコンを微細トンネル接合の電極として使用してい
る。
【0005】一方において、上記単一電子トンネリング
現象では、トンネル方向,動作温度や動作速度のトレー
ドオフや多重トンネリングと言つた問題が残されてい
る。これらの問題に対処するために、特開平8‐264
752号公報においては、図11に示すような複合障壁
構造を有するトンネル接合を形成している。このような
構造においては、障壁の厚さが障壁間の電位差に依存す
るのでトンネル抵抗Rを電位差の関数として変化させる
ことができる。したがって、図11中に示すようなAか
らBに向う方向への電子のトンネリングを考えた場合
は、異なる電圧状態に応じて夫々異なるトンネル抵抗R
を示すようになっている。この場合、トンネル接合の接
合容量は、図11中に示すT1〜Tnの何れの経路を通過
する電子に対しても変化はしない。また、図12中に示
すようにBからAに向う方向への電子のトンネリングを
考えた場合、トンネル抵抗Rは電圧の状態に依存せずに
一定の値を示す。
【0006】また、図11に示すようなAからBに向う
方向に電子がトンネルした場合のトンネル抵抗Rを、図
12に示すようなBからAに向う方向に電子がトンネル
した場合のトンネル抵抗Rよりも小さな値となるように
すれば、電子がトンネルした場合のトンネル抵抗に方向
性を持たせることが可能となる。
【0007】このように、上記特開平8‐264752
号公報によれば、トンネル抵抗Rと接合容量とを独立に
設計し、同時に電子のトンネル方向に方向性を持たせる
ことができる。したがって、上述のような複合障壁構造
を有するトンネル接合を電子素子(特に、単一電子素子)
に応用した場合に、動作温度および動作速度を夫々独立
に決定することができ、漏れ電流の抑制が可能となり、
さらに、素子自体に方向性を持たせることが可能にな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の微細加工技術を駆使した微小なキャパシタンスを有
するトンネル接合には、以下のような問題がある。
【0009】微細構造における電子状態は、その微細構
造の大きさと電子のフェルミ波長の大小関係で決定され
る。金属における電子のフェルミ波長は数Å程度であ
る。具体的には、N.W.Ashcroft等による「Solid State P
hysics」(1976,W.B.Saunders)によると、アルミニウム
のフェルミ波長は約5.7Åであり、金は約8.3Åであ
り、銅は約7.4Åである。一方、半導体では数百Å程
度であり、シリコンでは室温において約90Åとなる。
【0010】したがって、数十〜百Å程度の半導体微細
構造においては、電子の状態密度は離散化されることに
なる。ところが、同程度のサイズの金属微細構造におけ
る電子の状態密度は、略連続準位と見なすことができる
のである。そのために、半導体による微細トンネル構造
における単一電子トンネル現象の起り方は、状態密度の
離散化によって変化を受ける。これに対して、金属によ
る微細トンネル構造では、そのような変化はない。
【0011】金属による微細トンネル接合や単一電子素
子としては、上述したように、アルミニウム/アルミニ
ウム酸化膜系によるトンネル接合や単一電子素子が報告
されている。
【0012】しかしながら、今日の半導体産業の主流は
シリコン系素子であり、微細加工技術も一番進んだ材料
系であると言える。したがって、上述のような単一電子
素子を微細に一つのチップに大量に形成するためには、
シリコンとの相性が良い材料によって構成される微細ト
ンネル接合や単一電子素子を作製する必要がある。しか
しながら、上記アルミニウム/アルミニウム酸化膜系
は、シリコンプロセスとの相性は良くないという問題が
ある。すなわち、この場合は、アルミニウム/アルミニ
ウム酸化膜系による微細構造が、アルミニウムとは異な
る格子定数,結晶構造を有する結晶あるいは非結晶性の
基板上に形成されることになる。したがって、微細構造
を形成するアルミニウムの結晶性も良くないのである。
【0013】また、上記特開平6‐252417号公報
や特開平7‐335839号公報や特開平7‐2021
65号公報に開示されているように、半導体であるシリ
コンを電極とする微細トンネル接合の試作や提案はあ
る。ところが、その場合には、上述したことから障壁層
と電極層との状態密度が共に離散化されることになり、
電極の状態密度の準位も考慮した制御が必要となるため
制御が複雑になってしまう。尚、金属を電極とする微細
トンネル接合についての提案や試作は未だ無い。
【0014】さらに、上記特開平8‐264752号公
報に開示されているごとく、複合トンネル障壁を用いた
電子素子が試作され動作が確認されている。ところが、
この電子素子は、アルミニウム・ガリウム砒素によるト
ンネル構造に微細加工が施されたものである。エネルギ
ーバンドギャップが制御可能な代表的なシリコン系混晶
としてシリコンゲルマニウムがある。しかしながら、シ
リコンとゲルマニウムとは格子定数が異なるので、両者
の混晶は歪みを伴うなどの欠点がある。したがって、そ
のまま上記特開平8‐264752号公報を適用して、
シリコン系材料で複合トンネル障壁を有する電子素子を
形成することはできない。
【0015】すなわち、シリコン系材料で、トンネル障
壁の構造が制御された微細トンネル接合の形成技術を確
立することは重要な問題なのである。
【0016】そこで、この発明の目的は、シリコンプロ
セスとの整合性が良い金属/半導体系のトンネル接合を
有するシリサイドを用いた電子素子、および、その製造
方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明の電子素子は、ソースと,ドレインと,上
記ソースおよびドレインの間に配置された金属領域と,
上記金属領域の電位を制御するゲートと,上記金属領域
に隣接して設けられた半導体または絶縁体から成る障壁
層で構成されて,上記障壁層に起こる電子または正孔の
トンネル効果を利用する電子素子において、上記金属領
域はシリサイドであることを特徴としている。
【0018】上記構成によれば、シリサイドで形成され
た金属領域を電極とし、半導体あるいは絶縁体を障壁層
とするトンネル接合が構成される。すなわち、上記障壁
層をシリコンで形成することによって、シリコンプロセ
スとの整合性のよいシリサイド/シリコン系トンネル接
合を用いた電子素子が得られる。さらに、上記障壁層に
対する電極が金属系であるため電極の状態密度を略連続
準位と見なすことができ、制御が容易になる。
【0019】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
障壁層を半導体および絶縁体から成る複合障壁層とする
ことが望ましい。
【0020】上記構成によれば、シリサイドで形成され
た金属領域を電極とし、半導体および絶縁体の積層体を
複合障壁層とするトンネル接合が構成される。すなわ
ち、上記複合障壁層をシリコンおよびシリコン酸化膜で
形成することによって、シリコンプロセスとの整合性の
よいシリサイド/シリコン系トンネル接合を用いた電子
素子が得られる。さらに、上記障壁層を複合障壁層とす
ることによって、トンネル抵抗と接合容量とを独立に設
計し、電子のトンネル方向に方向性を持たせることが可
能になる。
【0021】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
障壁層をシリコンで成すことが望ましい。
【0022】上記構成によれば、シリサイドで形成され
た金属領域を電極とし、シリコンを障壁層とするトンネ
ル接合が構成される。すなわち、シリコンプロセスとの
整合性のよいシリサイド/シリコン系トンネル接合を用
いた電子素子が得られる。
【0023】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
障壁層をシリコン酸化膜で成すことが望ましい。
【0024】上記構成によれば、シリサイドで形成され
た金属領域を電極とし、シリコン酸化膜を障壁層とする
トンネル接合が構成される。すなわち、シリコンプロセ
スとの整合性のよいシリサイド/シリコン酸化膜系トン
ネル接合を用いた電子素子が得られる。
【0025】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
複合障壁層をシリコン/シリコン酸化膜で成すことが望
ましい。
【0026】上記構成によれば、シリサイドで形成され
た金属領域を電極とし、シリコン/シリコン酸化膜を複
合障壁層とするトンネル接合が構成される。すなわち、
シリコンプロセスとの整合性のよいシリサイド/シリコ
ン/シリコン酸化膜系トンネル接合を用いた電子素子が
得られる。
【0027】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
ソースおよびドレインの少なくとも―方をシリサイドで
成すことが望ましい。
【0028】上記構成によれば、上記シリサイドで成る
ソースあるいはドレインと金属領域との間に上記障壁層
を設けた場合には、当該障壁層はシリサイド電極によっ
て挟まれることになる。したがって、制御がさらに容易
になる。
【0029】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
ソースおよびドレインの間に配置された金属領域を複数
存在させ、一つの金属領域を経由する電子または正孔に
おけるトンネル効果の閾値電圧を、他の金属領域に電子
または正孔が存在するか否かによって制御可能に成すこ
とが望ましい。
【0030】上記構成によれば、複数の金属領域の上記
他方に電子または正孔が存在する場合と存在しない場合
とに情報「0」と情報「1」との何れかを割り当てれば、複
数の金属領域の上記一方を経由する電子または正孔にお
けるトンネル効果の閾値電圧を検出することによって、
上記他方の金属領域に電子または正孔が存在するか否
か、つまり情報「0」であるか情報「1」であるかを知るこ
とができる。すなわち、メモリとして機能させることが
可能となる。
【0031】また、第2の発明の電子素子の製造方法
は、上記第1の発明の電子素子における上記シリサイド
を、シリコン基板あるいはSOI基板におけるシリコン
層の一部をシリサイド化して形成することを特徴として
いる。
【0032】上記構成によれば、上記シリサイドを、固
相エピタキシャル成長によって作成されたシリコン基板
あるいはSOI基板を用いて形成することが可能であ
る。したがって、高品質なシリサイドが得られる。
【0033】また、第3の発明の電子素子の製造方法
は、上記第1の発明の電子素子における上記シリサイド
を、SOI基板におけるシリコン層の一部を酸化した後
に、非酸化部を自己整合的にシリサイド化して形成する
ことを特徴としている。
【0034】上記構成によれば、二つのシリサイド間に
上記障壁層を形成する場合のように狭い間隔で両シリサ
イド領域を形成する場合に、両シリサイド領域の間隔を
精度良く設定できる。
【0035】また、上記第2あるいは第3の発明の電子
素子の製造方法は、上記シリサイド化を、タンタル,ニ
オブ,クロム,イットリウム,エルビウム,チタン,タング
ステン,コバルト,ニッケル,ジルコニア,バナジウム,ハ
フニウム,モリブデンおよび白金のうち少なくとも一つ
の金属を用いて行うのが望ましい。
【0036】上記構成によれば、公知のシリサイド材料
を用いて、容易にシリサイドが形成される。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。先ず、基本構造である金属/
シリコン半導体または金属/シリコン酸化膜構造による
微細トンネル接合の形成方法について説明する。次に、
この基本構造を用いた電子素子の形成方法について説明
する。
【0038】<第1実施の形態>本実施の形態において
は、上記基本構造としての微細トンネル接合の形成方法
について説明する。
【0039】〔トンネル接合形成方法1〕ここでは、シ
リコン基板を用いたトンネル接合形成方法について説明
する。図1は、本実施の形態のシリコン基板を用いたト
ンネル接合形成方法における手順を示す。図1(a)に示
すように、シリコン基板1上に、膜厚30nmのシリコン
窒化膜/シリコン酸化膜積層膜(図示せず)を形成する。
そして、この積層膜上にPMMA(ポリメチルメタアク
リレート)からなる電子線レジスト(図示せず)を膜厚5
00nmで塗布し、電子ビームによって所望のパターン形
状を露光し、現像を行ってレジストパターンを形成す
る。次に、ドライエツチング法によって上記積層膜のみ
をエッチングした後レジストを除去する。こうして、シ
リコン窒化膜/シリコン酸化膜積層膜でなるマスクパタ
ーン2を形成する。
【0040】次に、図1(a)に示すように、上記マスク
パターン2が形成されたシリコン基板1上に、膜厚5nm
でニッケル薄膜3を形成する。そして、650℃の温度
でアニール処理を施すことによって、図1(b)に示すよ
うに、シリコン基板1におけるマスクパターン2で覆わ
れていない部分のみが選択的にシリサイド化される。こ
こで、このシリサイド化の時間や温度等の条件は、2つ
の隣り合うシリサイド4,4が結合することがなく、間
に3nm幅の未反応シリコン領域が存在するように調整す
る。
【0041】その後、例えば硫酸,硝酸あるいは酢酸混
合液等によって未反応のニッケルを除去する。さらに、
ドライエッチング法によってマスクパターン2を総て除
去する。このようにして、図1(c)に示すようなシリサ
イド4を電極とし、3nm幅のシリコン5を障壁層とする
トンネル接合が形成される。
【0042】このように、シリコン基板1上にマスクパ
ターン2を形成し、更にその上にニッケル薄膜3を形成
する。そして、650℃の温度でアニール処理を施すこ
とによって、3nm幅のシリコン5を障壁層とし、その両
側に形成されたシリサイド4,4を電極とするシリサイ
ド/シリコン系トンネル接合が形成される。すなわち、
シリコンプロセスとの整合性のよい金属系トンネル接合
を提供できるのである。
【0043】したがって、こうして形成されたトンネル
接合を用いて電子素子(単一電子素子)を形成することに
よって、代表的なシリコン素子であるMOS(金属酸化
膜半導体)素子と単一電子素子との混合回路の構成が可
能となる。すなわち、従来のMOS素子と比べてより低
消費電力の電子素子が、従来のシリコンプロセスによっ
て実現可能となる。
【0044】その場合、上記シリサイド4は、シリコン
基板1の一部をシリサイド化して形成しているので、固
相エピタキシャル成長によって作成されたシリコン基板
1を用いて形成することができる。したがって、高品質
なシリサイドを得ることができるのである。また、障壁
層(シリコン)5の電極(シリサイド)4,4は金属系であ
るため、電極4の状態密度を略連続準位と見なすことが
できる。したがって、制御の際に電極4の状態密度の準
位を考慮する必要がなく、制御が非常に容易になる。
【0045】〔トンネル接合形成方法2〕次に、SOI
基板を用いたトンネル接合形成方法について説明する。
図2は、SOI基板を用いたトンネル接合形成方法にお
ける手順を示す。図2において、11は下地のシリコン
基板、12はSOI構造の埋め込みシリコン酸化膜、1
3は埋め込みシリコン酸化膜12上のSOI層である。
シリコン基板11,埋め込みシリコン酸化膜12および
SOI層13で、SOI基板14を構成する。
【0046】先ず、図2(a)に示すように、上記SOI
層13と同じ膜厚のシリコン窒化膜/シリコン酸化膜積
層膜(図示せず)を、SOI基板14上に形成する。そし
て、この積層膜上にPMMAからなる電子線レジスト
(図示せず)を膜厚500nmで塗布し、電子ビームによっ
て所望のパターン形状を露光し、現像を行ってレジスト
パターンを形成する。次に、ドライエッチング法によっ
て上記積層膜のみをエッチングした後レジストを除去す
る。こうして、シリコン窒化膜/シリコン酸化膜積層膜
でなるマスクパターン15を形成する。
【0047】次に、図2(a)に示すように、上記マスク
パターン15が形成されたSOI基板14上に、SOI
層13と同じ膜厚のニッケル薄膜16を形成する。そし
て、600℃の温度でアニール処理を施すことによっ
て、図2(b)に示すように、SOI層13上におけるマ
スクパターン15に覆われていない部分のみが選択的に
シリサイド化される。ここで、このシリサイド化の時間
や温度等の条件は、下の埋め込みシリコン酸化膜12と
の界面までSOI層13がシリサイド化され、且つ、2
つの隣り合うシリサイド17,17が結合することがな
く、間に3nm幅の未反応のシリコン領域が存在するよう
に調整する。
【0048】その後、例えば硫酸,硝酸あるいは酢酸混
合液等によって未反応のニッケルを除去する。さらに、
ドライエッチング法によってマスクパターン15を総て
除去する。このようにして、図2(c)に示すようなシリ
サイド17を電極とし、3nm幅のシリコン18を障壁層
とするトンネル接合が形成される。
【0049】〔トンネル接合形成方法3〕図3は、SO
I基板を用いたトンネル接合形成方法における他の手順
を示す。先ず、図2に示す「トンネル接合形成方法2」と
同様の手順によって、埋め込みシリコン酸化膜22上の
SOI層23に3nm間隔で2つのシリサイド25,25
を形成する。尚、21は下地のシリコン基板である。ま
た、シリコン基板21,埋め込みシリコン酸化膜22お
よびSOI層23で、SOI基板24を構成する。
【0050】次に、図3(a)に示すように、SOI層2
3と同じ膜厚のシリコン窒化膜/シリコン酸化膜積層膜
(図示せず)をSOI基板24上に形成する。そして、こ
の積層膜上にPMMAからなる電子線レジスト(図示せ
ず)を膜厚500nmで塗布し、シリサイド領域25,25
上にパターンが残るように電子ビームによって露光し、
現像を行ってレジストパターンを形成する。次に、ドラ
イエッチング法によって上記積層膜のみをエッチングし
た後レジストを除去する。こうして、シリコン窒化膜/
シリコン酸化膜積層膜でなるマスクパターン26,26
を形成する。
【0051】次に、図3(b)に示すように、上記マスク
パターン26が形成されたSOI基板24をウエット酸
化あるいはドライ酸化することによって、SOI層23
におけるマスクパターン26で覆われていない領域(シ
リサイド25以外の領域)27を酸化する。この酸化の
温度や時間等の条件は、SOI層23のシリサイド25
以外の領域27の総てが酸化されるように調整する。
【0052】最後に、ドライエッチング法によって、マ
スクパターン26を総て除去する。このようにして、図
3(c)に示すようなシリサイド25を電極とし、3nm幅
のシリコン酸化膜28を障壁層とするトンネル接合が形
成される。
【0053】〔トンネル接合形成方法4〕図4および図
5は、SOI基板を用いたトンネル接合形成方法におけ
る他の手順を示す。図4において、31は下地のシリコ
ン基板、32はSOI構造における埋め込みシリコン酸
化膜、33は埋め込みシリコン酸化膜32上のSOI層
である。シリコン基板31,埋め込みシリコン酸化膜3
2およびSOI層33で、SOI基板34を構成する。
【0054】先ず、図4(a)に示すように、上記SOI
層33と同じ膜厚のシリコン窒化膜/シリコン酸化膜積
層膜(図示せず)をSOI基板34上に形成する。そし
て、上記積層膜上に上記PMMAからなる電子線レジス
ト(図示せず)を膜厚500nmで塗布し、電子ビームによ
って所望のパターン形状を露光した後、現像を行ってレ
ジストパターンを形成する。次に、ドライエッチング法
によって上記積層膜のみをエッチングした後レジストを
除去する。こうして、シリコン窒化膜/シリコン酸化膜
積層膜でなるマスクパターン35を形成する。
【0055】次に、図4(b)に示すように、上記マスク
パターン35が形成されたSOI基板34に対して、ウ
エット酸化あるいはドライ酸化を施して、SOI層33
におけるマスクパターン35で覆われていない領域3
6,38を酸化する。この酸化の温度や時間等の条件
は、埋め込みシリコン酸化膜32との界面までSOI層
33が酸化され、且つ、2つの隣り合う未酸化領域37
が結合することがなく、間に3nm幅のシリコン酸化膜3
8を挟むようように調整する。その後、図4(c)に示す
ように、ドライエッチング法によってマスクパターン3
5を総て除去する。
【0056】次に、図5(d)に示すように、上記SOI
層33における酸化領域36,38上に、SOI層33
と同じ膜厚のシリコン窒化膜/シリコン酸化膜の積層膜
(図示せず)を形成する。そして、この積層膜上にPMM
Aからなる電子線レジスト(図示せず)を下地の積層膜の
膜厚に応じた膜厚で塗布する。尚、本実施の形態におい
ては膜厚500nmに塗布した。そして、電子ビームによ
って所望のパターン形状を露光し、現像を行ってレジス
トパターンを形成する。次に、ドライエッチング法によ
って上記積層膜のみをエッチングした後レジストを除去
する。こうして、シリコン窒化膜/シリコン酸化膜積層
膜でなるマスクパターン39を形成する。
【0057】次に、図5(d)に示すように、上記マスク
パターン39が形成されたSOI基板34上に膜厚が5
nmのニッケル薄膜40を形成する。そして、600℃の
温度でアニール処理を施すことによって、図5(e)に示
すように、SOI層33におけるマスクパターン39で
覆われていない未酸化領域37のみが選択的にシリサイ
ド化される。ここで、このシリサイド化の温度や時間等
の条件は、SOI層33における未酸化領域37を総て
シリサイド化されるように調整する。
【0058】その後、例えば硫酸,硝酸あるいは酢酸混
合液等によって未反応のニッケルを除去する。さらに、
ドライエッチング法によってマスクパターン39を総て
除去する。このようにして、図5(f)に示すようなシリ
サイド37'を電極とし、3nm幅のシリコン酸化膜38
を障壁層とするトンネル接合が形成されるのである。
【0059】〔トンネル接合形成方法5〕図6は、SO
I基板を用いたトンネル接合形成方法における他の手順
を示す。先ず、図4に示す「トンネル接合形成方法4」と
同様の手順によって、埋め込みシリコン酸化膜42上の
SOI層43を部分的にウエット酸化あるいはドライ酸
化して酸化領域45を形成する。尚、41は下地のシリ
コン基板である。また、シリコン基板41,埋め込みシ
リコン酸化膜42およびSOI層43で、SOI基板4
4を構成する。
【0060】次に、図6(a)に示すように、上記SOI
層43上にこのSOI層43と同じ膜厚のニッケル薄膜
46を形成し、600℃の温度でアニール処理を施すこ
とによって、図6(b)に示すように、SOI層43にお
ける未酸化領域47のみが自己整合的にシリサイド化さ
れる。ここで、このシリサイド化の温度や時間等の条件
は、SOI層43における未酸化領域47の全体がシリ
サイド化されるように調整する。
【0061】その後、例えば硫酸,硝酸あるいは酢酸混
合液等によって未反応のニッケルを除去する。こうし
て、図6(c)に示すようなシリサイド47'を電極とし、
3nm幅のシリコン酸化膜48を障壁層とするトンネル接
合が形成される。
【0062】上述のように、本トンネル接合形成方法に
おいては、上記SOI層43における未酸化領域47の
みに自己整合的にシリサイド化を行っている。したがっ
て、二つのシリサイド47',47'間に幅の狭い障壁層
48を形成する場合に、精度良く両シリサイド47',4
7'の間隔を制御できる。
【0063】〔トンネル接合形成方法6〕図7は、SO
I基板を用いたトンネル接合形成方法における他の手順
を示す。先ず、図4に示す「トンネル接合形成方法4」と
同様の手順によって、埋め込みシリコン酸化膜52上の
SOI層53を部分的にウエット酸化あるいはドライ酸
化して酸化領域55を形成する。尚、51は下地のシリ
コン基板である。また、シリコン基板51,埋め込みシ
リコン酸化膜52およびSOI層53で、SOI基板5
4を構成する。
【0064】次に、図7(a)に示すように、上記SOI
層53上に、このSOI層53と同じ膜厚のシリコン窒
化膜/シリコン酸化膜の積層膜(図示せず)を形成する。
そして、この積層膜上にPMMAからなる電子線レジス
ト(図示せず)を膜厚500nmで塗布し、電子ビームによ
って所望のパターン形状を露光し、その後現像を行って
レジストパターンを形成する。次に、ドライエッチング
法によって上記積層膜のみをエッチングした後レジスト
を除去する。こうして、シリコン窒化膜/シリコン酸化
膜積層膜でなるマスクパターン56を形成する。
【0065】次に、図7(a)に示すように、上記マスク
パターン56が形成されたSOI基板54上に、SOI
層53と同じ膜厚のニッケル薄膜57を形成する。そし
て、600℃の温度でアニール処理を施すことによっ
て、図7(b)に示すように、SOI層53におけるマス
クパターン56で覆われていない未酸化領域58がシリ
サイド化される。ここで、このシリサイド化の温度や時
間等の条件は、上記SOI構造における埋め込みシリコ
ン酸化膜52までシリサイド化され、且つ、未酸化領域
58aに2nm幅のシリサイド化されていないシリコン5
9が同時に形成されるように調整する。
【0066】その後、例えば硫酸,硝酸あるいは酢酸混
合液等によって未反応のニッケルを除去する。さらに、
ドライエッチング法によってマスクパターン56を総て
除去する。このようにして、図7(c)に示すようなシリ
サイド58'を電極とし、2nm幅のシリコン59と3nm
幅のシリコン酸化膜60とを障壁層とするトンネル接合
が形成される。
【0067】この場合、上記シリコン59とシリコン酸
化膜60とは共にシリサイド58'中の電子に対してト
ンネル障壁となり、複合障壁が2つのシリサイド領域5
8',58'の間に形成されたことになる。したがって、
トンネル抵抗と接合容量とを独立に設計し、電子のトン
ネル方向に方向性を持たせることが可能になる。
【0068】尚、上記〔トンネル接合形成方法1〕〜
〔トンネル接合形成方法6〕で述べたトンネル接合形成
方法は一例であり、部分的なシリサイド化による金属/
半導体系の微細トンネル接合を形成することができるな
らば、上記トンネル接合形成方法に限定される必要はな
い。
【0069】また、部分的酸化および部分的シリサイド
化が行い得るならば、マスクパターン2,15,26,3
5,39,56を形成するためのレジストおよび上記マス
クパターンの材料や膜厚は、上記各トンネル接合形成方
法で述べた材料や膜厚に限定されるのもではない。さら
に、パターニングの方法は、電子ビーム露光の代わり
に、エキシマレーザ,X線レーザやシンクロトロン放射
光を光源とするフォトリソグラフィでパターニングする
ことも可能である。
【0070】上記SOI基板は絶縁体の上に形成された
シリコン単結晶あるいはシリコン多結晶であり、下地に
シリコン基板11,21,31,41,51があって埋め込
みシリコン酸化膜12,22,32,42,52とSOI層
13,23,33,43,53からなるSOI基板14,2
4,34,44,54だけでなく、ガラス基板上に形成さ
れたSOI層など、下地や絶縁体は特に限定されるもの
ではない。
【0071】ここで、上記トンネル接合を形成する2電
極間の距離は、トンネル効果が起これば上記値に限定さ
れるものではない。さらに、トンネル障壁層も、シリコ
ンやシリコン酸化膜およびそれら複合膜に限定されるも
のではない。
【0072】また、〔トンネル接合形成方法6〕におい
て、上記シリコン59とシリコン酸化膜60とからなる
複合障壁を形成する目的が達成されるならば、シリコン
59の幅は2nmでなくてもよい。逆に、所望のトンネル
確率とトンネル接合の容量とから逆算して、両シリサイ
ド58',58'間の距離とシリコン59の厚さとが決ま
る。
【0073】基本的には、直列に形成された2つのシリ
サイドを有するトンネル接合を上記6通りのトンネル接
合形成方法の何れかによって形成すれば、このトンネル
接合を用いて単一電子素子を形成することが可能であ
る。以下においては、上記第1実施の形態のトンネル接
合形成方法によって形成されたトンネル接合を用いた単
一電子素子の形成方法とその動作について説明する。
【0074】<第2実施の形態>本実施の形態において
は、〔トンネル接合形成方法5〕によって形成されたト
ンネル接合を用いた場合の単一電子素子について述べ
る。
【0075】〔単一電子素子1〕上記SOI基板に対し
て上記〔トンネル接合形成方法5〕を施して、図8に示
すように、シリコン酸化膜(図6におけるSOI層43
の酸化領域45に相当)71中に、ニッケルシリサイド
(図6におけるシリサイド47'に相当)によるゲート7
2,ソース73,金属領域74およびドレイン75を形成
する。但し、金属領域74の電位を制御するためのゲー
ト72と金属領域74との間隔は、動作時に金属領域7
4とゲート72との間でトンネル効果が起こらない程度
に設定する。
【0076】次に、上記SOI基板上に、例えばCVD
(化学蒸着)法によって、膜厚10nmのシリコン酸化膜
(図示せず)を形成する。そして、このシリコン酸化膜に
コンタクトホールを形成し、ゲート72,ソース73お
よびドレイン75に上記コンタクトホールを介して接続
する金属配線をポリシリコンやアルミニウムによって形
成することによって、サイドゲート型の単一電子トラン
ジスタが形成される。
【0077】尚、クーロン・ブロッケード現象が起こる
ようにトンネル接合が形成されるならば、ソース73と
ドレイン75との間の金属領域の数は2個以上でも差し
支えない。
【0078】〔単一電子素子2〕上記SOI基板に対し
て上記〔トンネル接合形成方法5〕を施して、図9に示
すように、シリコン酸化膜81中に、ニッケルシリサイ
ドによるソース82,金属領域83およびドレイン84
を形成する。
【0079】次に、上記SOI基板上に、例えばCVD
法によって、膜厚10nmのシリコン酸化膜85を形成す
る。さらに、シリコン酸化膜85にコンタクトホール8
6,87を形成し、ドープしたポリシリコンやアルミニ
ウム等によってソース82に接続するソース電極88と
ドレイン84に接続するドレイン電極89とを形成す
る。また、シリコン酸化膜85上における金属領域83
の位置に、ドープしたポリシリコンやアルミニウム等に
よってゲート電極90を形成し、金属領域83の電位を
制御できるようにする。このようにして、単一電子トラ
ンジスタが形成される。
【0080】尚、上記シリコン酸化膜85の膜厚は10
nmに限定されるものではなく、アイランド(金属領域)8
3とゲート90との間で動作時にトンネル効果が起こら
ない厚さであればよい。また、ソース82とドレイン8
4との間の金属領域83の数は、1個に限定されるもの
ではなく2個以上であっても構わない。
【0081】〔単一電子素子3〕図10は本単一電子素
子の平面図である。上記SOI基板に対して上記〔トン
ネル接合形成方法5〕を施して、図10に示すように、
シリコン酸化膜95中にニッケルシリサイドによるソー
ス91およびドレイン94を形成する。また、ソース9
1とドレイン94との間には金属領域92,93を形成
する。その場合の両金属領域92,93は、ソース91
あるいはドレイン94との間ではトンネル効果が起こ
り、お互いの間にはクーロン相互作用のみが起こるよう
に他との間隔を設定する。次に、上記SOI基板上に、
例えばCVD法によって、膜厚10nmのシリコン酸化膜
(図示せず)を形成する。そして、このシリコン酸化膜に
コンタクトホールを形成し、このコンタクトホールを介
して、ドープしたポリシリコンやアルミニウム等によっ
て上記シリコン酸化膜上に形成されたソース電極および
ドレイン電極(共に図示せず)をソース91あるいはドレ
イン94に接続する。さらに、上記シリコン酸化膜上
に、金属領域92,93の電位を制御するためのゲート
電極(図示せず)を形成する。このようにして、単一電子
トランジスタが形成される。
【0082】上記構成の単一電子トランジスタは、以下
のように動作する。すなわち、クーロン・ブロッケード
現象によって、ソース91から一方の金属領域92に電
子を1個移動させる。ここで、金属領域92と金属領域
93との間には容量Cが存在する。したがって、金属領
域92に電子が一個存在することによって、ソース91
から他方の金属領域93を経由してドレイン94へ電子
がトンネル効果によって移動する場合の閾値電圧が、e
を電気素量として、V=e/Cの電位だけシフトする。
【0083】このように、本単一電子トランジスタにお
いては、上記両金属領域92,93の何れか一方に電子
が存在するか否かによって、他方の金属領域を経由して
ソース91からドレイン94へ電子を移動させるための
ゲート電圧が変化することになる。そこで、両金属領域
92,93の上記一方に電子が存在する場合と存在しな
い場合とに情報「0」と情報「1」との何れかを割り当てれ
ば、所定のゲート電位を与えた場合に上記他方の金属領
域を経由してソース91からドレイン94に電子が移動
するか否かを検出することによって、上記一方の金属領
域に電子が存在するか否か、つまり情報は「0」であるか
「1」であるかを知ることができる。すなわち、本単一電
子トランジスタは、メモリ機能を持った単一電子素子で
あると言うことができる。
【0084】尚、本単一電子トランジスタは、互いの間
にトンネル効果が起こるように両金属領域92,93を
配置しても動作可能である。その場合には、上記ゲート
電極に対する電圧操作がより複雑になる。
【0085】上記〔単一電子素子1〕〜〔単一電子素子
3〕において述べた単一電子素子は一例であり、シリサ
イドを用いた微細トンネル接合を利用した単一電子素子
が形成されるならば、上記構造の単一電子素子に限定さ
れるものではない。
【0086】また、MOSデバイスには動作時のキャリ
アとして電子と正孔との2通りがあるように、上述した
3つの単一電子素子についても、動作時のキャリアとし
て電子と正孔との2通りが考えられる。
【0087】上記第2実施の形態の特徴は、シリサイド
という金属を微細トンネル接合の電極としてシリコン系
単一電子素子に用いることである。したがって、上記シ
リサイドはニッケルシリサイドに限定されるものではな
く、タンタル,ニオブ,クロム,イットリウム,エルビウ
ム,チタン,タングステン,コバルト,ニッケル,ジルコニ
ア,バナジウム,ハフニウム,モリブデンおよび白金等の
公知のシリサイド材料は総て適用可能である。また、ソ
ースとドレインとの間における金属領域の数は、上記
〔単一電子素子1〕及び〔単一電子素子2〕においては
2個以上、上記〔単一電子素子3〕においては3個以上
であっても、同様のデバイス動作を行うことができる。
【0088】また、上記第2実施の形態における上記ソ
ース73,82,91およびドレイン75,84,94とし
ては、量子サイズ効果が起こらない程度に大きい場合に
はシリサイドに限定されるものではなく、例えばドープ
したシリコンであっても構わない。但し、半導体によっ
て形成された10nm程度の微細ソースやドレインの場合
には量子サイズ効果が起こるので、デバイス動作特性が
複雑になる。尚、その場合でも、金属領域74,83,9
2,93にはシリサイドを用いる必要がある。さらに、
〔単一電子素子2〕および〔単一電子素子3〕におい
て、ゲートと金属領域との間のトンネル効果等の不必要
な効果を起こさなければ、シリコン酸化膜の膜厚は10
nmに限定されるものではない。
【0089】
【発明の効果】以上より明らかなように、第1の発明の
電子素子は、ソースおよびドレインの間に配置された金
属領域をシリサイドで成し、上記金属領域に隣接する障
壁層を半導体あるいは絶縁体で成したので、シリサイド
で形成された金属領域を電極とし、半導体あるいは絶縁
体を障壁層とするトンネル接合を構成できる。したがっ
て、上記障壁層をシリコンで形成することによって、シ
リコンプロセスとの整合性のよいシリサイド/シリコン
系トンネル接合を用いた電子素子を得ることができる。
さらに、上記障壁層に対する電極を金属系で構成したの
で、電極の状態密度を略連続準位と見なすことができ、
制御を容易にすることができる。
【0090】すなわち、この発明によれば、上記トンネ
ル接合を有する高速且つ低消費電力な電子デバイスを、
従来のシリコンプロセスによって形成することができる
のである。
【0091】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
障壁層を半導体及び絶縁体から成る複合障壁層とすれ
ば、シリサイドで形成された金属領域を電極とし、半導
体および絶縁体の積層体を複合障壁層とするトンネル接
合を構成できる。したがって、上記複合障壁層をシリコ
ンおよびシリコン酸化膜で形成することによって、シリ
コンプロセスとの整合性のよいシリサイド/シリコン系
トンネル接合を用いた電子素子を得ることができる。さ
らに、上記障壁層を複合障壁層とすることによって、ト
ンネル抵抗と接合容量とを独立に設計し、電子のトンネ
ル方向に方向性を持たせることを可能にする。
【0092】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
障壁層をシリコンで形成すれば、シリサイドで形成され
た金属領域を電極とし、シリコンを障壁層とするトンネ
ル接合を構成できる。したがって、シリコンプロセスと
の整合性のよいシリサイド/シリコン系トンネル接合を
用いた電子素子を得ることができるのである。
【0093】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
障壁層をシリコン酸化膜で形成すれば、シリサイドで形
成された金属領域を電極とし、シリコン酸化膜を障壁層
とするトンネル接合を構成できる。すなわち、シリコン
プロセスとの整合性のよいシリサイド/シリコン酸化膜
系トンネル接合を用いた電子素子を得ることができるの
である。
【0094】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
複合障壁層をシリコン/シリコン酸化膜で形成すれば、
シリサイドで形成された金属領域を電極とし、シリコン
/シリコン酸化膜を複合障壁層とするトンネル接合を構
成できる。すなわち、シリコンプロセスとの整合性のよ
いシリサイド/シリコン/シリコン酸化膜系トンネル接合
を用いた電子素子を得ることができるのである。
【0095】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
ソースおよびドレインの少なくとも―方をシリサイドで
成せば、上記シリサイドで成るソースあるいはドレイン
と上記金属領域との間に上記障壁層を設けた場合には、
当該障壁層をシリサイド電極によって挟むことができ
る。したがって、制御をさらに容易にできる。
【0096】また、上記第1の発明の電子素子は、上記
ソースおよびドレインの間に配置された金属領域を複数
存在させ、一つの金属領域を経由する電子または正孔に
おけるトンネル効果の閾値電圧を、他の金属領域に電子
または正孔が存在するか否かによって制御可能に成せ
ば、複数の金属領域の上記他方に電子または正孔が存在
する場合と存在しない場合とに情報「0」と情報「1」との
何れかを割り当てれば、メモリとして機能させることが
できる。
【0097】また、第2の発明の電子素子の製造方法
は、上記第1の発明におけるシリサイドを、シリコン基
板あるいはSOI基板におけるシリコン層の一部をシリ
サイド化して形成するので、固相エピタキシャル成長さ
れるシリコン基板あるいはSOI基板を利用して上記シ
リサイドを形成できる。したがって、高品質なシリサイ
ドを得ることができる。
【0098】また、第3の発明の電子素子の製造方法
は、上記第1の発明におけるシリサイドを、SOI基板
におけるシリコン層の一部を酸化した後に、非酸化部を
自己整合的にシリサイド化して形成するので、二つのシ
リサイド間に上記障壁層を形成する場合等に、両シリサ
イド領域の間隔を精度良く制御できる。
【0099】また、上記第2あるいは第3の発明の電子
素子の製造方法は、上記シリサイド化を、タンタル,ニ
オブ,クロム,イットリウム,エルビウム,チタン,タング
ステン,コバルト,ニッケル,ジルコニア,バナジウム,ハ
フニウム,モリブデンおよび白金のうち少なくとも一つ
の金属を用いて行えば、公知のシリサイド材料を用い
て、容易にシリサイドを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のシリサイドを用いたトンネル接合
形成方法における手順を示す図である。
【図2】 図1とは異なるトンネル接合形成方法におけ
る手順を示す図である。
【図3】 図1および図2とは異なるトンネル接合形成
方法における手順を示す図である。
【図4】 図1〜図3とは異なるトンネル接合形成方法
における手順を示す図である。
【図5】 図4に続く手順を示す図である。
【図6】 図1〜図5とは異なるトンネル接合形成方法
における手順を示す図である。
【図7】 図1〜図6とは異なるトンネル接合形成方法
における手順を示す図である。
【図8】 図6に示すトンネル接合形成方法を用いて形
成されたサイドゲート型の単一電子トランジスタの平面
図である。
【図9】 図6に示すトンネル接合形成方法を用いて形
成された単一電子トランジスタの断面図である。
【図10】 図6に示すトンネル接合形成方法を用いて
形成された図9とは異なる単一電子トランジスタの平面
図である。
【図11】 従来の複合障壁構造を有するトンネル障壁
において一方向へのトンネリングの場合の説明図であ
る。
【図12】 図11に示す複合障壁構造を有するトンネ
ル障壁において他方向へのトンネリングの場合の説明図
である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41,51…シリコン基板、2,1
5,26,35,39,56…マスクパターン、3,16,4
0,46,57…ニッケル薄膜、4,17,25,37',4
7',58'…シリサイド、12,22,32,42,52…
埋め込みシリコン酸化膜、13,23,33,43,53…
SOI層、14,24,34,44,54…SOI基板、
5,18,59障壁層(シリコン)、28,38,48,60
…障壁層(シリコン酸化膜)、72,90…ゲート、
73,82,91…ソース、74,83,9
2,93…金属領域、 75,84,94…ドレイン、
81,85,95…シリコン酸化膜、 86,87…コ
ンタクトホール。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソースと、ドレインと、上記ソースおよ
    びドレインの間に配置された金属領域と、上記金属領域
    の電位を制御するゲートと、上記金属領域に隣接して設
    けられた半導体あるいは絶縁体から成る障壁層で構成さ
    れて、上記障壁層に起こる電子あるいは正孔のトンネル
    効果を利用する電子素子において、 上記金属領域はシリサイドであることを特徴とする電子
    素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子素子において、 上記障壁層は、半導体および絶縁体から成る複合障壁層
    であることを特徴とする電子素子。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の電子素子において、 上記障壁層は、シリコンで成ることを特徴とする電子素
    子。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の電子素子において、 上記障壁層は、シリコン酸化膜で成ることを特徴とする
    電子素子。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の電子素子において、 上記複合障壁層は、シリコン/シリコン酸化膜で成るこ
    とを特徴とする電子素子。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の電子素子において、 上記ソースおよびドレインの少なくとも―方は、シリサ
    イドであることを特徴とする電子素子。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の電子素子において、 上記ソースおよびドレインの間に配置された金属領域は
    複数存在し、一つの金属領域を経由する電子あるいは正
    孔におけるトンネル効果の閾値電圧が、他の金属領域に
    電子あるいは正孔が存在するか否かによって制御可能で
    あることを特徴とする電子素子。
  8. 【請求項8】 請求項1あるいは請求項6に記載の電子
    素子の製造方法であって、 上記シリサイドを、シリコン基板あるいはシリコン・オ
    ン絶縁体基板におけるシリコン層の一部をシリサイド化
    して形成することを特徴とする電子素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1あるいは請求項6に記載の電子
    素子の製造方法であって、 上記シリサイドを、シリコン・オン絶縁体基板における
    シリコン層の一部を酸化した後に、非酸化部を自己整合
    的にシリサイド化して形成することを特徴とする電子素
    子の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8あるいは請求項9に記載の電
    子素子の製造方法において、 上記シリサイド化は、タンタル,ニオブ,クロム,イット
    リウム,エルビウム,チタン,タングステン,コバルト,ニ
    ッケル,ジルコニア,バナジウム,ハフニウム,モリブデン
    および白金のうち少なくとも一つの金属を用いて行うこ
    とを特徴とする電子素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101185563B1 (ko) 2007-12-24 2012-09-24 삼성전자주식회사 쇼트키 배리어 트랜지스터 제조방법

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