JP2001048732A - 化粧品用乳化剤およびその製造方法 - Google Patents

化粧品用乳化剤およびその製造方法

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JP2001048732A
JP2001048732A JP11222965A JP22296599A JP2001048732A JP 2001048732 A JP2001048732 A JP 2001048732A JP 11222965 A JP11222965 A JP 11222965A JP 22296599 A JP22296599 A JP 22296599A JP 2001048732 A JP2001048732 A JP 2001048732A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多量の油性物質を容易に水中油型乳化物に乳
化でき、しかも乳化対象となる油性物質に合わせてシラ
ン化合物を適宜選択することにより、各種の油性物質に
合わせて好適に対応できる化粧品用乳化剤を提供する。 【解決手段】 ケイ素原子に直結する水酸基を2個有す
るシリル化ペプチドの1種以上と、加水分解によってケ
イ素原子に直結する水酸基が2個以上生じるシラン化合
物の1種以上とを水溶液中で縮重合させて製造したシリ
ル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物で化粧品用乳
化剤を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧品用乳化剤お
よびその製造方法に関するものであり、さらに詳しく
は、ケイ素原子に直結する水酸基を2個有するシリル化
ペプチドの1種以上と、加水分解によってケイ素原子に
直結する水酸基が2個以上生じるシラン化合物の1種以
上とを縮重合させて得られたシリル化ペプチド−シラン
化合物共重合組成物からなる化粧品用乳化剤およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、水系に油性物質を乳化させた
り、その逆に疎水性溶媒に親水性物質を乳化させて乳化
化粧品を調製する際には、一般に乳化剤として陰イオン
性、陽イオン性、両イオン性、非イオン性などの界面活
性剤が用いられているが、合成界面活性剤では、皮膚に
対する刺激性を有するものが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】それらの中でも非イオ
ン性界面活性剤が最も皮膚刺激性が少ないと言われてい
るが、この非イオン性界面活性剤でも、人によっては刺
激を感じるなどの問題もあり、そのため、アシル化アミ
ノ酸、アシル化ペプチド、糖脂肪酸エステルなど、天然
由来の原料を用いた界面活性剤の使用(例えば、特開昭
63−122611号公報、特開昭59−26130号
公報、特開昭63−44509号公報、特開平1−20
3036号公報など)や、より安全性を重視して蛋白質
の加水分解物を乳化剤として利用することも提案されて
いる(例えば、特開昭57−125673号公報、特開
昭59−231007号公報など)。
【0004】しかしながら、アシル化アミノ酸、アシル
化ペプチドなどの蛋白質系界面活性剤、糖脂肪酸エステ
ル系界面活性剤、蛋白質の加水分解物は合成界面活性剤
に比べると乳化力が劣り、そのため、多価アルコールを
併用したり、リン脂質と複合体を形成することによって
乳化力を高める試みもなされているが(例えば、特開平
6−279254号公報、特公平1−50720号公
報、特開平5−70323号公報など)、乳化の対象と
なる油性物質は多種多様のため、充分な乳化効果が得ら
れない場合がある。
【0005】また、化粧品に使用する乳化剤としては、
単に乳化力のみでなく、使用後の感触や安全性も重視す
る必要があり、乳化化粧品の処方設計の上で、好適な乳
化剤を選択することは難しいため、乳化力が優れ、しか
も乳化対象となる油性物質に合わせて好適に対応できる
乳化剤が要望されている。
【0006】従って、本発明は、多量の油性物質を容易
に水中油型乳化物に乳化でき、しかも乳化対象となる油
性物質に合わせて容易に製造できる化粧品用乳化剤を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ケイ素原子に直
結する水酸基を2個有するシリル化ペプチドの1種以上
と、加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が2
個以上生じるシラン化合物の1種以上とを水溶液中で縮
重合させて得られるシリル化ペプチド−シラン化合物共
重合組成物が多量の油性物質を容易に乳化し、しかも該
シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を乳化の
対象となる油性物質に合った乳化剤として容易に製造で
きることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0008】
【発明の実施の形態】上記のケイ素原子に直結する水酸
基を2個有するシリル化ペプチドとしては、その合成時
からケイ素原子に直結する2個の水酸基を有し、下記一
般構造式(I)
【0009】
【化1】
【0010】〔式中、R1 、R2 、R3 のうち2個は水
酸基で、残りは炭素数1〜3のアルキル基を示し、R4
は側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性アミノ酸の末端
アミノ基を除く側鎖の残基を示し、R5 はR4 以外のア
ミノ酸側鎖を示し、Aは結合手で−CH2 −、−(CH
2 3 −および−(CH2 3 OCH2 CH(OH)C
2 −よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基を表
し、mは0〜500、nは0〜500、m+nは1〜5
00である(ただし、mおよびnはアミノ酸の数を示す
のみで、アミノ酸配列の順序を示すものではない)〕で
表される状態で得られるものと、下記の一般構造式(I
I)
【0011】
【化2】
【0012】〔式中、R6 〜R8 はそれぞれ水酸基、ア
ルコキシ基、ハロゲン基、水素原子または炭素数1〜3
のアルキル基を表し、R6 〜R8 は同一でもよく、それ
ぞれ異なっていてもよいが、R6 〜R8 のうち2個はア
ルコキシ基またはハロゲン基であり、R4 、R5 、A、
mおよびnは前記一般構造式(I)に同じである〕で表
されるシラン化合物を加水分解して得られるものとがあ
り、上記一般構造式(I)および一般構造式(II)で表
されるシリル化ペプチドは、特開平8−59424号公
報、特開平8−67608号公報、特開平7−2239
21号公報、特開平7−228508号公報などに開示
の方法で水溶液中で容易に合成できる。
【0013】上記一般構造式(I)で表されるシリル化
ペプチドにおいて、R4 は側鎖の末端にアミノ基を有す
る塩基性アミノ酸の末端アミノ基を除く側鎖の残基であ
るが、上記のような側鎖の末端にアミノ基を有する塩基
性アミノ酸としては、例えば、リシン、アルギニン、ヒ
ドロキシリシンなどが挙げられる。また、R5 はR4
外のアミノ酸側鎖を示すが、そのようなアミノ酸として
は、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニ
ン、セリン、トレオニン、バリン、メチオニン、ロイシ
ン、イソロイシン、チロシン、フェニルアラニン、プロ
リン、ヒドロキシプロリンなどが挙げられる。
【0014】一般構造式(I)で表されるシリル化ペプ
チドにおいて、mは0〜500、好ましくは0より大き
く200以下(0<m≦200)、より好ましくは0よ
り大きく50以下(0<m≦50)、さらに好ましくは
0より大きく10以下(0<m≦10)であり、nは0
〜500、好ましくは0より大きく200以下(0<n
≦200)、より好ましくは1〜100、さらに好まし
くは2〜40であり、m+nは1〜500、好ましくは
1〜200、より好ましくは2〜100、さらに好まし
くは3〜50である。
【0015】すなわち、mが上記範囲より大きくなる
と、側鎖のアミノ基に結合するシリル官能基が増え、ペ
プチド本来の毛髪への収着作用が減少し、nが上記範囲
より大きくなると、ペプチド部分に対するシリル官能基
部分の割合が少なくなって、シリル官能基部分が有する
特性を充分に発揮することができなくなり、m+nが上
記範囲より大きくなると、ペプチドとしての毛髪への収
着性や浸透性が低分子量のペプチドに比べて減少する上
に、保存中に凝集しやすくなり、保存安定性が低下す
る。なお、上記のm、nやm+nは、理論的には整数で
あるが、ペプチド部分が後述するような加水分解ペプチ
ドである場合は、該加水分解ペプチドが分子量の異なる
ものの混合物として得られるため、測定値は平均値にな
る。
【0016】上記一般構造式(I)で表されるシリル化
ペプチドに使用されるペプチド類にはアミノ酸、ペプチ
ドなどが含まれ、アミノ酸としては、例えば、アラニ
ン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロ
リン、フェニルアラニン、チロシン、セリン、トレオニ
ン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、ア
スパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン
酸、シスチン、システイン、システイン酸、トリプトフ
ァン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、O−ホ
スホセリン、シトルリンなどが挙げられる。
【0017】上記ペプチドとしては、天然ペプチド、合
成ペプチド、タンパク質(蛋白質)を酸、アルカリ、酵
素またはそれらの併用で部分加水分解して得られる加水
分解ペプチドなどが挙げられる。
【0018】天然ペプチドとしては、例えば、グルタチ
オン、バシトラシンA、インシュリン、グルカゴン、オ
キシトシン、バソプレシンなどが挙げられ、合成ペプチ
ドとしては、例えば、ポリグリシン、ポリリシン、ポリ
グルタミン酸、ポリセリンなどが挙げられる。
【0019】加水分解ペプチドとしては、例えば、コラ
ーゲン(その変成物であるゼラチンも含む)、ケラチ
ン、絹フィブロイン(シルク)、セリシン、カゼイン、
コンキオリン、エラスチン、鶏、あひるなどの卵の卵黄
タンパク(蛋白)、卵白タンパク、大豆タンパク、小麦
タンパク、トウモロコシタンパク、米(米糠)タンパ
ク、ジャガイモタンパクなどの動植物由来のタンパク、
あるいは、サッカロミセス属、カンディダ属、エンドミ
コプシス属の酵母菌や、いわゆるビール酵母、清酒酵母
といわれる酵母菌より分離した酵母タンパク、キノコ類
(担子菌)より抽出したタンパク、クロレラより分離し
たタンパクなどの微生物由来のタンパクを酸、アルカ
リ、酵素またはそれらの併用で部分的に加水分解して得
られるペプチドが挙げられる。
【0020】本発明の乳化剤であるシリル化ペプチド−
シラン化合物共重合組成物は、上記一般構造式(I)で
表されるシリル化ペプチドの1種以上に、加水分解によ
ってケイ素原子に直結する水酸基が2個以上生じるシラ
ン化合物の1種以上を縮重合させて得られるが、このよ
うに加水分解によってケイ素原子に直結する水酸基が2
個以上生じるシラン化合物としては、例えば、下記の一
般構造式(III) R9 pSiX(4−p) (III) 〔式中、pは0から2の整数で、R9 は炭素原子がケイ
素原子に直接結合する有機基であり、p個のR9 は同じ
でもよく、異なっていてもよい。(4−p)個のXは水
酸基、アルコキシ基およびハロゲン基よりなる群から選
ばれる少なくとも1種の基である〕で表されるシラン化
合物が挙げられ、このシラン化合物は加水分解によって
下記の一般構造式(IV) R10pSi(OH)qY(4−q−p) (IV) 〔式中、pは0から2の整数で、qは2から4の整数、
p+q≦4で、R10は炭素原子がケイ素原子に直接結合
する有機基であり、p個のR10は同じでもよく、異なっ
ていてもよい。(4−q−p)個のYはアルコキシ基、
水素原子およびシロキシ基よりなる群から選ばれる少な
くとも1種の基である〕で表されるシラン化合物にな
る。なお、上記一般構造式(III)および(IV)における
p、(4−p)、q、(4−q−p)は下付け文字であ
る。
【0021】このような一般構造式(III)で表されるシ
ラン化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシ
シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジメトキシ
シラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ヘキシルト
リメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルトリメ
トキシシラン、3−メタクロキシプロピルメチルジメト
キシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)
−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−
アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピ
ルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメ
トキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、3−グリコシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−グリコシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルオクタデシル〔3−(トリメトキシシリ
ル)プロピル〕アンモニウムクロライド、3−(トリメ
トキシシリル)プロピルポリオキシエチレン(10)エ
ーテル、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクロ
キシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクロキシプ
ロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエ
トキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロ
ロプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリコシドキ
シプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネー
トプロピルトリエトキシシラン、メチルジクロロシラ
ン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラ
ン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシ
ラン、ビニルトリクロロシラン、3−クロロプロピルメ
チルジクロロシランなど、および、N−(2−アミノエ
チル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロ
ロプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、3−グリコシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、3−グリコシドキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルトリ
エトキシシラン、3−メタクロキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロ
ピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジ
エトキシシラン、3−グリコシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエト
キシシランなどのシランカップリング剤に、蛋白質、ア
ルキル基、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシプ
ロピレンエーテル、アクリル系ポリマー、ポリエステ
ル、樹脂酸、染料、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、ア
ルキルアンモニウム、芳香環などを結合させたものなど
が挙げられる。
【0022】つぎに、ケイ素原子に直結する水酸基を2
個有するシリル化ペプチドと、加水分解によってケイ素
原子に直結する水酸基が2個以上生じるシラン化合物と
の縮重合反応について説明するが、その説明にあたり、
上記ケイ素原子に直結する水酸基を2個有するシリル化
ペプチドとしては一般構造式(I)で表されるシリル化
ペプチドまたは一般構造式(II)で表されるシリル化ペプ
チドを代表させて説明し、加水分解によってケイ素原子
に直結する水酸基が2個以上生じるシラン化合物として
は一般構造式(III)で表されるシラン化合物を代表させ
て説明する。
【0023】上記一般構造式(I)で表されるシリル化
ペプチドと一般構造式(III)で表されるシラン化合物と
の反応は、例えば、まず、上記一般構造式(I)で表さ
れるシリル化ペプチドの水溶液を塩酸や硫酸で酸性側に
調整するか、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム
水溶液で塩基性側に調整し、その中に一般構造式(III)
で表されるシラン化合物を滴下することにより、上記シ
ラン化合物のアルコキシ基やハロゲン基などが加水分解
してケイ素原子に直結する水酸基を少なくとも2個有す
る一般構造式(IV)で表されるシラン化合物になり、そ
の後、中和することによって、一般構造式(I)で表さ
れるシリル化ペプチドの水酸基と一般構造式(IV)で表
されるシラン化合物の水酸基とが縮重合して共重合組成
物が得られる。上記のように、一般構造式(III)で表さ
れるシラン化合物から一般構造式(IV)で表されるシラ
ン化合物への加水分解は、一般構造式(I)で表される
シリル化ペプチドとの縮重合時に行われるので、上記一
般構造式(III)で表されるシラン化合物の加水分解を上
記縮重合系とは別の系で行う必要はない。
【0024】また、一般構造式(II)で表されるシリル
化ペプチドは、前記のように、加水分解によって一般構
造式(I)で表されるシリル化ペプチドになるものであ
るが、反応に際しては、この一般構造式(II)で表され
るシリル化ペプチドを用いる場合は、一般構造式(II)
で表されるシリル化ペプチドの水溶液を塩酸や硫酸で酸
性側に調整するか、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カ
リウム水溶液で塩基性側に調整すると、シリル基に結合
するアルコキシ基やハロゲン基が加水分解を起こして水
酸基になり、一般構造式(I)で表されるシリル化ペプ
チドになるので、その後は上記と同様にその中に上記一
般構造式(III)で表されるシラン化合物を滴下すること
により、上記一般構造式(III)で表されるシラン化合物
のアルコキシ基やハロゲン基などが加水分解して一般構
造式(IV)で表されるシラン化合物になり、その後、中
和することによって、シリル化ペプチドの水酸基と一般
構造式(IV)で表されるシラン化合物の水酸基とが縮重
合して共重合組成物が得られる。上記のように、一般構
造式(II)で表されるシリル化ペプチドを用いる場合
も、その加水分解は酸性側に調整するか、または塩基性
側に調整することによって行うことができるので、一般
構造式(II)で表されるシリル化ペプチドから一般構造
式(I)で表されるシリル化ペプチドへの加水分解も、
上記のシリル化ペプチドと一般構造式(III)で表される
シラン化合物とを縮重合させるときの反応系と同じ系で
行うことができ、別の系で行う必要はない。
【0025】加水分解反応は、一般にpH2〜3で良好
に進行するが、一般構造式(I)で表されるシリル化ペ
プチドによっては酸性側で不溶物が生じやすいものがあ
り、その際にはpH10〜11で行うのが好ましい。一
般構造式(III)で表されるシラン化合物としてアルコキ
シシラン化合物を用いるときはpH調整は該シラン化合
物の滴下前のみでよいが、一般構造式(III)で表される
シラン化合物としてハロゲン化シラン化合物やカルボキ
シシラン化合物を用いて塩基性側で反応する場合は反応
中にpHが下がるので、水酸化ナトリウム水溶液や水酸
化カリウム水溶液などを添加してpHを10〜11に保
つ必要がある。また、一般構造式(III)で表されるシラ
ン化合物としてアミノシラン化合物を用いて酸性側で反
応する場合は反応中にpHが上がるので、希塩酸や希硫
酸などを添加してpHを2〜3に保つ必要がある。
【0026】反応温度は低すぎると反応が進行しにく
く、高すぎると上記一般構造式(III)で表されるシリル
化合物のアルコキシ基やハロゲン基が急激に加水分解す
るので、30〜60℃が好ましい。また、反応時間は、
反応量によっても異なるが、上記一般構造式(III)で表
されるシラン化合物を30分〜2時間かけて滴下し、そ
の後1〜6時間攪拌を続けるのが好ましい。
【0027】加水分解反応の終了時点では、反応溶液が
酸性または塩基性のため一般構造式(I)で表されるシ
リル化ペプチドや一般構造式(III)で表されるシラン化
合物は解離しているので、反応溶液が酸性側の場合は水
酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などのア
ルカリ水溶液を添加し、反応溶液が塩基性側の場合は希
塩酸や希硫酸などの酸水溶液を添加し攪拌して溶液を中
和する。この中和によって縮重合が進み目的とするシリ
ル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物が得られる
が、中和後の攪拌は2〜20時間程度が好ましい。
【0028】本発明の化粧品用乳化剤を構成するシリル
化ペプチド−シラン化合物共重合組成物は上記のように
製造されるが、水酸基を2個有するシリル化ペプチドと
の反応に際して、水酸基を2個以上生じるシラン化合物
の種類や反応量を適宜選択することにより、乳化対象と
なる油性物質に合った乳化剤を製造することができる。
【0029】すなわち、例えば、乳化対象となる油性物
質が高級脂肪酸のような炭素鎖長が長い場合には、一般
構造式(III)で表されるシラン化合物においてR9 に炭
素鎖長の長い有機基が結合したシラン化合物、例えば、
上記に例示したシラン化合物の中では、ヘキシルトリメ
トキシシラン、デシルトリメトキシシランなどを使用す
るとより充分な乳化力が得られる。また、乳化対象とな
る油性物質が芳香環を含む化合物である場合には、一般
構造式(III)で表されるシラン化合物においてR9 に芳
香環を含む有機基が結合したシラン化合物、例えば、上
記に例示したシラン化合物の中では、ジフェニルクロロ
シラン、フェニルトリメトキシシランなどを用いればよ
い。
【0030】また、水酸基を2個有するシリル化ペプチ
ドと水酸基を2個以上生じるシラン化合物の1種以上と
の反応に際して、両者の反応比(モル比)を調整するこ
とによっても乳化対象となる油性物質に合った乳化剤と
することもできる。すなわち、例えば、乳化対象の油性
物質の疎水性が強い場合は、シリル化ペプチドに対する
水酸基を2個以上生じるシラン化合物の反応比を大きく
することで、より疎水性の強い油性物質を乳化させ得る
乳化剤とすることができる。
【0031】水酸基を2個有するシリル化ペプチドと水
酸基を2個以上生じるシラン化合物の反応比(水酸基を
2個以上生じるシラン化合物を2種以上使用する場合は
その合計量)は、乳化対象物が一般に乳化化粧品に使用
されるシリコーンオイルや高級脂肪酸などの油剤、紫外
線吸収剤などの油性物質では、モル比で1:2以上1:
300以下、特に1:2以上1:200以下が好まし
い。すなわち、水酸基を2個有するシリル化ペプチドと
水酸基を2個以上生じるシラン化合物の反応比が上記範
囲以下では、一般に乳化化粧品に使用される油性物質を
充分に乳化させる力が得られず、乳化後油層が分離して
くるおそれがあり、また、水酸基を2個有するシリル化
ペプチドと水酸基を2個以上生じるシラン化合物の反応
比が上記範囲以上では反応比に見合う乳化力の増大が認
めらないだけでなく、シリル化ペプチド−シラン化合物
共重合組成物が高粘度となり取り扱いが難しくなるおそ
れがあるからである。しかし、上記のように、油性物質
が芳香環を含む紫外線吸収剤のような場合、水酸基を2
個以上生じるシラン化合物の一部に芳香環を有するシラ
ン化合物を使用すると上記反応比以下でも容易に乳化が
可能となり、上記反応比の範囲は厳密なものではない。
【0032】上記のようにして得られたシリル化ペプチ
ド−シラン化合物共重合組成物はそのままで化粧品用の
乳化剤として使用できるが、共重合組成物の末端のシリ
ル基には水酸基が残っているので、シリル化ペプチド−
シラン化合物共重合組成物同士が凝集して高分子化する
おそれがあるため、さらに加水分解によって水酸基が1
個生じるシラン化合物を付加させるのが好ましい。
【0033】加水分解によって水酸基が1個生じるシラ
ン化合物としては、例えば、下記の一般構造式(V) R11 3 Si Z (V) 〔式中、3個のR11は炭素原子がケイ素原子に直接結合
する有機基であり、3個のR11は同じでもよく、異なっ
ていてもよい。Zは水酸基、アルコキシ基およびハロゲ
ン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基であ
る〕で表されるシラン化合物が挙げられ、このシラン化
合物は加水分解によって下記の一般構造式(VI) R11 3Si (OH) (VI) 〔式中、3個のR11は炭素原子がケイ素原子に直接結合
する有機基であり、3個のR11は同じでもよく、異なっ
ていてもよい〕で表されるシラン化合物になる。
【0034】このように加水分解によってケイ素原子に
直結する水酸基が1個生じる一般構造式(V)で表され
るシラン化合物としては、例えば、ジメチルビニルクロ
ロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、tert
−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジフ
ェニルクロロシラン、オクタデシルジメチルクロロシラ
ン、メチルジフェニルクロロシラン、トリ−n−ブチル
クロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリメチルク
ロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリフ
ェニルクロロシラン、トリメチルシリルアイオダイド、
ジメチルエトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラ
ン、ジメチルビニルメトキシシラン、トリメチルエトキ
シシラン、トリメチルメトキシシラン、トリフェニルエ
トキシシランなどが挙げられる。
【0035】また、上記以外にも、ヘキサメチルジシラ
ザンやヘキサメチルジシロキサンのようなケイ素原子を
2個有するシリル化合物も、加水分解によってケイ素原
子に直結する水酸基が1個生じるので使用することがで
きる。
【0036】このようなシラン化合物は一般構造式
(V)から明らかなように、ケイ素原子に直結する反応
基が一つであるため、それを加水分解して得られる一般
構造式(VI)で表されるシラン化合物は、シリル化ペプ
チド−シラン化合物共重合組成物中に存在する水酸基と
反応して、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成
物中の水酸基を減少させ、シリル化ペプチド−シラン化
合物共重合組成物同士が凝集するのを防止する。すなわ
ち、この一般構造式(V)で表されるシラン化合物を加
水分解して得られる一般構造式(VI)で表されるシラン
化合物を反応させることによって、保存安定性のよいシ
リル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物にすること
ができる。
【0037】ただ、上記一般構造式(V)で表されるシ
ラン化合物において、加水分解によって水酸基を生じる
官能基がハロゲン基のシラン化合物は加水分解性がよい
ので、上記一般構造式(I)と上記一般構造式(III)の
縮重合によって得られたシリル化ペプチド−シラン化合
物共重合組成物の水溶液中に上記一般構造式(V)で表
されるシラン化合物を直接滴下することによって反応は
進行するが、上記一般構造式(V)で表されるシラン化
合物で加水分解によって水酸基を生じる官能基がアルコ
キシ基のものや、ヘキサメチルジシロキサンなどのケイ
素原子が2個のシラン化合物では、あらかじめpH2〜
3の水溶液中で加水分解して一般構造式(VI)で表され
るシラン化合物とし、その後、上記一般構造式(I)と
上記一般構造式(III )の縮重合によって得られたシリ
ル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の水溶液中に
滴下する必要がある。
【0038】上記一般構造式(I)と上記一般構造式
(III)の縮重合によって得られたシリル化ペプチド−シ
ラン化合物共重合組成物と上記一般構造式(V)で表さ
れるシラン化合物との反応温度は30〜60℃が好まし
い。また、反応時間は、反応量によっても異なるが、一
般構造式(V)で表されるシラン化合物の滴下に30分
〜2時間、その後の攪拌に1〜6時間程度が好ましい。
【0039】攪拌終了後、反応溶液を水酸化ナトリウム
水溶液や水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液で
中和し、さらに2〜10時間程度攪拌を続けて反応を完
結させることによって、凝集防止処理されたシリル化ペ
プチド−シラン化合物共重合組成物が得られ、化粧品の
乳化剤として使用に供される。
【0040】本発明のシリル化ペプチド−シラン化合物
共重合組成物からなる化粧品用乳化剤は、一般に水中油
型乳化化粧品、特に油性物質を多量に含むクリームや乳
液などの水中油型乳化化粧品を調製する際に従来の乳化
剤に代えて、あるいは併用して使用されるが、シリル化
ペプチド−シラン化合物共重合組成物は単独で用いても
よいし、2種以上を併用してもよい。ただ、このシリル
化ペプチド−シラン化合物共重合組成物からなる化粧品
用乳化剤は、多量の油性物質を少量の水に乳化させる作
用は大きいが、多量の水中に少量の油性物質を乳化させ
る力は弱いため、水が多量に含まれる乳化化粧品には向
かない。
【0041】本発明のシリル化ペプチド−シラン化合物
共重合組成物からなる化粧品用乳化剤の使用量として
は、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物を製
造する際のシラン化合物の種類や量および乳化対象の油
性物質の種類や量によっても異なるが、化粧品中好まし
くは0.1〜50重量%、より好ましくは0.5〜30
重量%、さらに好ましくは1〜15重量%である。すな
わち、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物よ
りなる化粧品用乳化剤の使用量が上記範囲より少ない場
合は充分な乳化力が得られなくなるおそれがあり、ま
た、シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物から
なる化粧品用乳化剤の使用量が上記範囲より多くなると
乳化性には問題はないが、乳化剤を構成するシリル化ペ
プチド−シラン化合物共重合組成物において、シリル化
ペプチドの割合が多い共重合組成物ではべたつき感を生
じるおそれがあり、シラン化合物の割合が多い共重合組
成物ではシリコーンオイル感が生じるおそれがある。
【0042】乳化対象となる油性物質としては、化粧品
に使用されるものなら特に制限はなく、例えば、高級脂
肪酸類、炭化水素類、エステル油類、動植物油類、ロウ
類、高級アルコール類、シリコーン油類、紫外線吸収剤
類などが挙げられる。
【0043】高級脂肪酸類としては、例えば、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪
酸、イソステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、リノ
レン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸な
どが挙げられ、炭化水素類としては、例えば、流動パラ
フィン、イソパラフィン、スクワラン、セレシン、ワセ
リンなどが挙げられ、エステル油類としては、例えば、
ミリスチン酸イソプロピル、パルミテン酸イソプロピ
ル、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ヘキシルデ
シル、ステアリン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸
グリセリル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸
−2−ヘキシルデシルなどが挙げられる。
【0044】動植物油類としては、例えば、オリーブ
油、アーモンド油、アボカド油、ナタネ油、ひまし油、
パーム油、大豆油、ヤシ油、ミンク油、牛脂、タラ肝
油、鯨油、魚油などが挙げられ、ロウ類としては、例え
ば、ミツロウ、カルナバロウなどが挙げられ、高級アル
コール類としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリ
スチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアル
コール、べヘニルアルコール、オレイルアルコール、イ
ソステアリルアルコールなどが挙げられ、シリコーン油
類としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチル
フェニルポリシロキサン、ポリオキシエチレン・メチル
ポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキ
シプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などが
挙げられる。
【0045】また、紫外線吸収剤類としては、例えば、
フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシ
レートなどのサリチル酸の誘導体、2,4−ジヒドロキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノンなどのベンゾフェノンの誘導体、パラメトキ
シ桂皮酸−2−エチルヘキシルのようなパラメトキシ桂
皮酸の誘導体またはそのエステル、パラアミノ安息香酸
エチル、パラジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキ
シルのようなパラアミノ安息香酸の誘導体またはそのエ
ステル、桂皮酸ベンジルのような桂皮酸の誘導体または
そのエステル、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルのよ
うなウロカニン酸またはそのエステルなどが挙げられ
る。
【0046】
【発明の効果】本発明のシリル化ペプチド−シラン化合
物共重合組成物からなる化粧品用乳化剤は、多量の油性
物質を容易に水中油型乳化物に乳化でき、しかも乳化対
象となる油性物質に合わせてシラン化合物を適宜選択す
ることにより、各種の油性物質に合わせて好適に対応で
きる化粧品用乳化剤を容易に提供することができる。
【0047】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに
限定されるものではない。なお、以下の実施例などにお
いて溶液や分散液の濃度を示す%は重量%である。
【0048】実施例1 N−〔2−ヒドロキシ−3−(3'-メチルジヒドロキシ
シリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン−ジ
メチルジエトキシシラン−ヘキサトリエトキシシラン共
重合組成物〔1:60:1(モル比)〕の製造 内径12cm、容量2リットルの丸底円筒形ガラス製反
応容器に、あらかじめ水270gとN−〔2−ヒドロキ
シ−3−(3'-メチルジヒドロキシシリル)プロポキ
シ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水分解コラーゲン
の分子量は数平均分子量で約1500)30gと18%
塩酸10.5gを入れ、そこへジメチルジエトキシシラ
ン(信越シリコーン社製KBE−22)170.6gと
ヘキシルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製A−1
37)5.3gの混合物を30分かけて滴下した後、5
5℃で2時間攪拌した。つぎに、攪拌しながら室温まで
冷却し、20%水酸化ナトリウム水溶液8.8gを滴下
してpHを7に調整し、50℃にして15時間攪拌を続
けた。さらに、この反応液を50℃で、400rpmで
攪拌しながらトリメチルクロロシラン(信越シリコーン
社製KA−31)4.2gを加えて1時間攪拌した後、
20%水酸化ナトリウム水溶液7.2gを滴下して50
℃で1時間攪拌し、ついで反応液の温度を80℃に上げ
て1時間攪拌して反応を完結させた。反応後、反応液を
減圧濃縮して濃度を調整し、N−〔2−ヒドロキシ−3
−(3'-メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロ
ピル加水分解コラーゲン−ジメチルジエトキシシラン−
ヘキシルトリエトキシシラン共重合組成物の20%水分
散液を280g得た。
【0049】実施例2 N−〔2−ヒドロキシ−3−(3'-メチルジヒドロキシ
シリル)プロポキシ〕プロピル加水分解セリシン−ジメ
チルジエトキシシラン−ヘキサトリエトキシシラン共重
合組成物〔1:30:2(モル比)〕の製造 内径12cm、容量2リットルの丸底円筒形ガラス製反
応容器に、あらかじめ水270gとN−〔2−ヒドロキ
シ−3−(3'-メチルジヒドロキシシリル)プロポキ
シ〕プロピル加水分解セリシン(加水分解セリシンの分
子量は数平均分子量で約2000)30gと18%塩酸
11.5gを入れ、そこへジメチルジエトキシシラン
(信越シリコーン社製KBE−22)61.4gとヘキ
シルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製A−13
7)7.6gの混合物を30分かけて滴下した後、55
℃で2時間攪拌した。つぎに、攪拌しながら室温まで冷
却し、20%水酸化ナトリウム水溶液11.8gを滴下
してpHを7に調整し、50℃にして15時間攪拌を続
けた。さらに、この反応液を50℃で、400rpmで
攪拌しながらトリメチルクロロシラン(信越シリコーン
社製KA−31)3.0gを加えて1時間攪拌した後、
20%水酸化ナトリウム水溶液5.0gを滴下して50
℃で3時間攪拌し、ついで反応液の温度を80℃に上げ
て1時間攪拌して反応を完結させた。反応後、反応液を
減圧濃縮して濃度を調整し、N−〔2−ヒドロキシ−3
−(3'-メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロ
ピル加水分解セリシン−ジメチルジエトキシシラン−ヘ
キシルトリエトキシシラン共重合組成物の20%水分散
液を270g得た。
【0050】実施例3 N−〔2−ヒドロキシ−3−(3'-メチルジヒドロキシ
シリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン−ジ
メチルジエトキシシラン共重合組成物〔1:1:1(モ
ル比)〕の製造 内径12cm、容量2リットルの丸底円筒形ガラス製反
応容器に、あらかじめ水450gとN−〔2−ヒドロキ
シ−3−(3'-メチルジヒドロキシシリル)プロポキ
シ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水分解コラーゲン
の分子量は数平均分子量で約1500)50gと18%
塩酸18.2gを入れ、そこへジメチルジエトキシシラ
ン(信越シリコーン社製KBE−22)5.0gとヘキ
シルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製A−13
7)9.4gの混合物を30分かけて滴下した後、55
℃で2.5時間攪拌した。つぎに、攪拌しながら室温ま
で冷却し、20%水酸化ナトリウム水溶液17.8gを
滴下してpHを7に調整し、室温で15時間攪拌を続け
た。さらに、この反応液を室温で、250rpmで攪拌
しながらトリメチルクロロシラン(信越シリコーン社製
KA−31)3.7gを加えた後、直ちに20%水酸化
ナトリウム水溶液6.7gを滴下し、室温で3時間攪拌
し、反応液の温度を80℃に上げて1時間攪拌して反応
を完結させた。反応後、反応液を減圧濃縮して濃度を調
整し、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3'-メチルジヒド
ロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲ
ン−ジメチルジエトキシシラン共重合組成物の20%水
分散液を320g得た。
【0051】実施例4 N−〔2−ヒドロキシ−3−(3'-メチルジヒドロキシ
シリル)プロポキシ〕プロピル加水分解コラーゲン−ジ
メチルジエトキシシラン共重合組成物〔1:150(モ
ル比)〕の製造 内径12cm、容量2リットルの丸底円筒形ガラス製反
応容器に、あらかじめ水180gとN−〔2−ヒドロキ
シ−3−(3'-メチルジヒドロキシシリル)プロポキ
シ〕プロピル加水分解コラーゲン(加水分解コラーゲン
の分子量は数平均分子量で約1500)20gと18%
塩酸7.2gを入れ、そこへジメチルジエトキシシラン
(信越シリコーン社製KBE−22)300.9gを加
えた後、55℃で2.5時間攪拌した。つぎに、攪拌し
ながら室温まで冷却し、20%水酸化ナトリウム水溶液
6.5gを滴下してpHを7に調整し、室温で15時間
攪拌を続けた。さらに、この反応液を室温で、250r
pmで攪拌しながらトリメチルクロロシラン(信越シリ
コーン社製KA−31)3.0gを加えた後、直ちに2
0%水酸化ナトリウム水溶液5.4gを滴下し、室温で
3時間攪拌し、次いで反応液の温度を80℃に上げて1
時間攪拌して反応を完結させた。反応後、反応液を減圧
濃縮して濃度を調整し、N−〔2−ヒドロキシ−3−
(3'-メチルジヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピ
ル加水分解コラーゲン−ジメチルジエトキシシラン共重
合組成物の20%水分散液を260g得た。
【0052】実施例5〜7 前記実施例1〜2で製造したシリル化ペプチド−シラン
化合物共重合組成物を用いて表1に示す組成の乳化クリ
ームを調製し、性状、粘度、保存安定性などを調べた。
【0053】実施例5は実施例1で製造したシリル化ペ
プチド−シラン化合物共重合組成物とエステル油のイソ
ステアリン酸ヘキシルデシルの乳化クリームであり、実
施例6は同じ実施例1で製造したシリル化ペプチド−シ
ラン化合物共重合組成物と鉱物油の流動パラフィンとの
乳化クリームであって、実施例7は実施例2で製造した
シリル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物と植物油
であるオリーブ油との乳化クリームである。
【0054】
【表1】
【0055】乳化クリームの調製は、いずれも、シリル
化ペプチド−シラン化合物共重合組成物の水分散液を室
温でホモミキサーで5000rpmで攪拌し、その中に
油性物質を約10分間かけて滴下し、その後さらに10
分間攪拌することによって行った。調製後の乳化組成物
の外観を目視で観察し、粒径は顕微鏡で測定し、粘度は
ブルックフィールド粘度計で25℃、回転数5rpm、
測定時間2分で測定した。なお、粒径は、顕微鏡観察で
1/4以上を占める粒子の平均粒径であり、粘度はそれ
ぞれ5回の測定の平均値である。
【0056】さらに各乳化物は室温で1カ月間保存し、
1カ月保存後の外観を観察し、粘度を測定した。それら
の結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】表2に示すように、実施例5〜7の乳化ク
リームは、いずれも乳化粒子の大きさがほぼ1μm前後
の均一な粒子で構成される乳化クリームであり、液層の
分離や不溶物の沈降などはまったく認められなかった。
また、実施例5〜7の乳化クリームは、いずれも1カ月
室温に保存しても液層の分離や、沈殿の生成などが認め
られず、また粘度も1カ月保存しても調製直後と大差は
なく、保存安定性が優れていた。
【0059】実施例8〜9 前記実施例3〜4で製造したシリル化ペプチド−シラン
化合物共重合組成物を用いて表3に示す組成のローショ
ンを調製し、性状、保存安定性などを調べた。
【0060】実施例8は実施例3で製造したシリル化ペ
プチド−シラン化合物共重合組成物と油溶性紫外線吸収
剤であるメトキシ桂皮酸−2−エチルヘキシル〔BAS
Fアクチンゲセルシャフト社製、ユビナールMC80N
(商品名)〕とのローションであり、実施例9は実施例
4で製造したシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組
成物とシリコーン油のジメチルポリシロキサンとのロー
ションである。
【0061】
【表3】
【0062】ローションの調製は、いずれも、シリル化
ペプチド−シラン化合物共重合組成物の水分散液を室温
でホモミキサーで5000rpmで攪拌し、その中に油
性物質を約10分間かけて滴下してクリーム状物質を
得、その中に滅菌イオン交換水を約5分間かけて滴下
し、その後さらに10分間攪拌することによって行っ
た。調製後の乳化組成物の外観を目視で観察し、粒径を
顕微鏡で測定した。さらに各乳化物は室温で1カ月間保
存し、1カ月保存後の外観を観察した。それらの結果を
表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】表4に示すように、実施例8〜9のローシ
ョンは、いずれも乳化粒子の大きさがほぼ0.5〜1.
5μmと均一な粒子で構成され、液層の分離や不溶物の
沈降などはまったく認められなかった。また、実施例8
〜9のローションは、いずれも1カ月室温に保存しても
液層の分離や沈殿の生成などがまったく認められず、保
存安定性が優れていた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ素原子に直結する水酸基を2個有す
    るシリル化ペプチドの1種以上と、加水分解によってケ
    イ素原子に直結する水酸基が2個以上生じるシラン化合
    物の1種以上とを水溶液中で縮重合させて得られたシリ
    ル化ペプチド−シラン化合物共重合組成物からなること
    を特徴とする化粧品用乳化剤。
  2. 【請求項2】 ケイ素原子に直結する水酸基を2個有す
    るシリル化ペプチドの1種以上と、加水分解によってケ
    イ素原子に直結する水酸基が2個以上生じるシラン化合
    物の1種以上とを水溶液中で縮重合させて製造すること
    を特徴とするシリル化ペプチド−シラン化合物共重合組
    成物からなる化粧品用乳化剤の製造方法。
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