JP2001030434A - 耐摩耗性化粧材 - Google Patents

耐摩耗性化粧材

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JP2001030434A
JP2001030434A JP11203237A JP20323799A JP2001030434A JP 2001030434 A JP2001030434 A JP 2001030434A JP 11203237 A JP11203237 A JP 11203237A JP 20323799 A JP20323799 A JP 20323799A JP 2001030434 A JP2001030434 A JP 2001030434A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化粧材の表面に無機質の硬質粒子を添加した
樹脂を用いて保護層を形成した場合、表面にザラツキが
生じて滑り性が悪くなり、化粧材に接触する物体を損傷
したり、表面の手触り感が悪くなる等の問題があった。 【解決手段】 紙、プラスチックシート等の基材11に印
刷等によりベタ印刷層17及び絵柄層16を形成して印刷シ
ート2 を作製し、その絵柄層12の上に、高密度の硬質粒
子14と低密度の硬質粒子15を含有する未硬化の電離放射
線硬化性樹脂13a を硬化させて、硬化した電離放射線硬
化性樹脂13b からなる保護層12を有する耐摩耗性化粧材
1 を作製する。保護層12は高密度の硬質粒子14が下側に
分布し、低密度の硬質粒子15が表面側に分布するように
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の床面、壁
面、天井等の内装、家具並びに各種キャビネット等の表
面装飾材料、建具の表面化粧、車両内装等に用いる表面
化粧材として利用させれる化粧材に関し、特に表面の耐
摩耗性が要求される用途に使用される化粧材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物の内装や家具、キャビネッ
ト等の装飾用の表面に使用される化粧シートとして、基
材シートの片面に絵柄層又はベタ印刷層等の印刷インキ
層を設け、このインキ層を保護するために、トップコー
ト層として、熱硬化型のウレタン樹脂等を塗布し、熱乾
燥、熱硬化させて熱硬化性樹脂層を形成する方法、又は
電離放射線硬化性樹脂を塗布し、電離放射線を照射して
塗膜を硬化して、表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂
層を形成する方法がある。特に、架橋密度の高い電離放
射線硬化性樹脂を用いて硬化した電離放射線硬化性樹脂
層は、表面硬度、耐薬品性、耐汚染性等の物性に優れた
ものである。
【0003】上記の如くバインダー樹脂として硬い樹脂
を使用することで、確かに耐摩耗性は向上する。従来か
ら、建築物の内層や家具、キャビネット等の装飾用の材
料として、メラミン化粧板、ダップ化粧板、ポリエステ
ル化粧板、プリント合板、塩化ビニル化粧板等の各種化
粧材が用いられている。メラミン化粧板等のように硬質
の基材を用いた化粧材の場合は、表面樹脂層の柔軟性は
あまり問題にならないので、耐摩耗性を改良する方法と
して、表面に硬い樹脂を使用することは有効な手段であ
る。しかし、基材として、厚みの薄い紙やプラスチック
シートのような柔軟性を有する基材を使用する場合は、
樹脂の架橋密度を高くすると樹脂層の柔軟性が損なわれ
て、表面樹脂層が衝撃によって割れたり、亀裂が発生し
易くなる等の問題が生じる。従って、表面樹脂の架橋密
度を上げて、耐摩耗性を改良しようとしても、柔軟性を
要求される場合は限界があった。
【0004】そのため、樹脂層の柔軟性を低下させずに
耐摩耗性を改良する方法として、樹脂層に無機材料を添
加する方法が、従来から行われている。例えば、特開昭
60ー23642号公報には、サンドブラスト法やブラ
シ研磨法等の研磨剤として使用されている平均粒径が1
〜50μmのシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2
3 )を主成分とする天然ガラスの粉末を配合した塗料
を用いて、表面保護層を形成することが開示されてい
る。上記塗料によって形成された表面保護層は、従来品
に比べて、硬度が硬く、且つ柔軟性を有し、耐摩耗性や
耐擦傷性に優れた物性を示した。
【0005】また、転写シートの場合は、転写後の被転
写体の表面の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させる目的で、
表面保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂に、平均粒
径1〜50μmのアルミナ粉末を、電離放射線硬化性樹
脂100重量部に対して10〜30重量部添加し、この
アルミナ含有電離放射線硬化性樹脂を用いて転写シート
の保護層を形成することが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記アルミナ
や天然ガラスの粉末等の無機フィラーを添加した塗料を
用いて化粧材の保護層を形成した場合、無機フィラーを
添加しないものより化粧材の耐摩耗性は向上するが、無
機フィラーの添加により、保護層の表面に無機フィラー
が突出して、表面のザラツキが生じ、感触を重視するも
のには利用できなった。特に、床材に使用したとき、履
物等のように、この化粧材に直接接触する場合は、その
物体を摩耗させたり、損傷させるという問題もあった。
また、上記無機フィラーを添加した塗料を用いて、グラ
ビアロールコート法により基材にコートする場合、無機
フィラーのアルミナや天然ガラスの粉末は角が尖った多
角形状であるため、グラビアロールやドクターブレード
を摩耗させたり、傷つけたりして、加工上大きな問題で
あった。
【0007】更に、紙などの含浸性基材を用いて電離放
射線硬化性樹脂等の粘度の低い塗工液を塗布した場合、
電離放射線硬化性樹脂が紙に含浸して無機フィラーを保
持している電離放射線硬化性樹脂が少なくなり、無機フ
ィラーが電離放射線硬化性樹脂層に十分保持されなくな
り、十分な耐摩耗性を発揮できなくなる問題もあった。
特に、塗工液を塗布後、乾燥及び樹脂を硬化させるため
加熱した場合、加熱により塗工液の粘度が低下して基材
に浸透し、バインダー樹脂が少なくなって、フィラーの
保持力が弱くなり、十分な耐摩耗性を発揮できなくなる
こともあった。
【0008】本発明は、表面保護層を形成するバインダ
ー樹脂に添加するフィラーとして、硬化後のバインダー
樹脂の硬度より固い硬質粒子で、且つ密度の異なる二種
類の硬質粒子を選定し、該硬質粒子を含有するバインダ
ー樹脂で表面保護層を形成する際に、低密度の硬質粒子
が保護層の表面側に分布し、高密度の硬質粒子が保護層
の下側(基材側)に分布するようにして、上記問題の解
決を図った。即ち、高密度の硬質粒子として球状のアル
ミナ(α−Al2 3 )、低密度の硬質粒子として不定
形シリカ(SiO2 )を用い、また、バインダー樹脂と
して電離放射線硬化性樹脂を用いることにより、表面の
感触がよく、且つ耐摩耗性に優れていて、これに接触す
る物体を摩耗させることもない化粧材を得ることができ
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、化粧材の構成を以下のようにした。基材の上に、バ
インダー樹脂の中に硬質粒子を含有する塗膜を積層した
化粧材において、該硬質粒子が、密度の異なる二種類の
硬質粒子からなり、且つ硬質粒子の硬度がバインダー樹
脂の硬度より固い硬度を有していることを特徴とする耐
摩耗性化粧材とした。また、前記二種類の硬質粒子を含
有する塗膜において、前記硬質粒子の中で、低密度の硬
質粒子が塗膜の表面側に分布し、高密度の硬質粒子が塗
膜の下側(基材側)に分布していることを特徴とする耐
摩耗性化粧材とした。更に、前記二種類の硬質粒子を含
有する塗膜において、前記高密度の硬質粒子の最大直径
より塗膜を厚くして、高密度の硬質粒子が塗膜の表面に
突出しないように塗膜を形成したことを特徴とする耐摩
耗性化粧材とした。そして、前記高密度の硬質粒子が球
状のα−アルミナからなり、前記低密度の硬質粒子が不
定形シリカからなることを特徴とする耐摩耗性化粧材と
した。
【0010】即ち、基材の表面に、絵柄層を設け、その
上にフィラーを含有する電離放射線硬化性樹脂、熱硬化
性樹脂、熱可塑性樹脂等からなる保護層を形成して耐摩
耗性化粧材を作製する際に、電離放射線硬化性樹脂に添
加するフィラーとして、硬化した電離放射線硬化性樹脂
より硬度の高い硬質粒子で、且つ密度の異なる二種類の
硬質粒子を用い、低密度硬質粒子が保護層の表面側に分
布し、高密度硬質粒子が保護層の下側(基材側)に分布
するように保護層を形成したものである。また、電離放
射線硬化性樹脂からなる保護層の厚さを高密度硬質粒子
の最大直径より厚くして、高密度硬質粒子が保護層の表
面に突出しないようにして、化粧材表面のザラツキを防
止した。そして、高密度硬質粒子として球状のアルミナ
(粒径15〜23μm)を用い、低密度の硬質粒子とし
て不定形シリカ(粒径10〜15μm)及び微粉末のシ
リカ(粒径2μm以下)を用いて、保護層形成の際に、
低密度の硬質粒子が保護層の表面側に分布し、高密度硬
質粒子が保護層の下側(基材側)に分布するようにし
た。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照にしながら本
発明を詳細に説明する。図1は本発明の耐摩耗性化粧材
の一例を示した模式断面図である。図2は本発明の耐摩
耗性化粧材の別の態様で、基材にベタ印刷層及び絵柄層
を形成し、その上に保護層を形成して耐摩耗性化粧材と
したときの模式断面図である。図3は本発明の耐摩耗性
化粧材を作製するときの説明図である。図4は本発明の
耐摩耗性化粧材を作製する際に、高密度の粒子と低密度
の粒子を上下に分布させるときの説明図である。図5は
基材に紙を用いて耐摩耗性化粧材を作製するとき、プラ
イマー層を設けて樹脂の浸透を抑制する場合の説明図で
ある。図6は実施例1により耐摩耗性化粧材を作製する
ときの説明図である。図7は実施例2により耐摩耗性化
粧材を作製するときの説明図である。図8は比較例1に
より耐摩耗性化粧材を作製するときの説明図である。
【0012】本発明の耐摩耗性化粧材1は、図1に示す
ように、基本的には、基材11の片面に、バインダー樹
脂より硬度が固い硬質粒子で、密度の異なる二種類の硬
質粒子、即ち高密度の硬質粒子14と低密度の硬質粒子
15を含有するバインダー樹脂13からなる保護層12
を形成したものである。そして、その保護層12は、低
密度の硬質粒子15が表面側に分布し、高密度の硬質粒
子14が下側(基材11側)に分布するように塗膜を形
成したものである。更に、保護層の厚さを、高密度の硬
質粒子14の最大直径より厚くして、高密度の硬質粒子
14が保護層12の表面に突出しないように保護層12
を形成したものである。また、図2に示すように、基材
11に、ベタ印刷層17及び絵柄層16を形成して装飾
層を設けた後、その上に高密度の硬質粒子14及び低密
度の硬質粒子15を含有するバインダー樹脂13からな
る保護層12を形成して耐摩耗性化粧材1としたもので
ある。
【0013】即ち、本発明の特徴は、バインダー樹脂と
して電離放射線硬化性樹脂を用い、その電離放射線硬化
性樹脂に高密度の硬質粒子14として球状のアルミナ、
及び低密度の硬質粒子15として不定形シリカを添加し
た塗工液を作成し、その塗工液を基材11に塗布して保
護層12を形成する際に、保護層12の下側(基材11
側)に高密度の硬質粒子14(球状アルミナ)が分布
し、保護層12の表面側に低密度の硬質粒子15(不定
形シリカ)が分布するようにしたものである。また、電
離放射線硬化性樹脂層(保護層)の厚さを球状アルミナ
の最大直径より厚くして、球状アルミナが電離放射線硬
化性樹脂層の表面に突出しないようにした。耐摩耗性化
粧材の構成を以上のようにすることにより、耐摩耗性が
向上すると共に、表面のザラツキがなくなり、滑り性が
よく、感触がソフトな化粧材が得られた。即ち、硬度の
高い球状アルミナを塗膜(保護層)の表面に出ないよう
にすることにより表面のザラツキをなくし、粒子の小さ
い不定形シリカを表面側に分布させることにより表面平
滑性が得られるようにしたものである。
【0014】高密度の硬質粒子14(球状アルミナ)が
保護層12の下側に分布し、低密度の硬質粒子15(不
定形シリカ)が保護層12の表面側に分布させるには、
塗工液の粘度を調整することにより達成される。塗工
液、即ち電離放射線硬化性樹脂の粘度を調整することに
より、高密度の硬質粒子14と低密度の硬質粒子15の
沈降速度が変えられるので、高密度の硬質粒子14と低
密度の硬質粒子15の所定の分布状態が得られる。
【0015】以下に、本発明の耐摩耗性化粧材の製造方
法について説明する。先ず、図3(a)に示すように、
基材11として、含浸紙やプラスチックシートを用い
て、この基材11に、グラビア印刷等により着色不透明
なベタ印刷層17及び絵柄層16を印刷して、印刷シー
ト2を作製する。次に、図3(b)に示すように、前記
ベタ印刷層17及び絵柄層16を設けた印刷シート2の
絵柄層16側に、バインダー樹脂として電離放射線硬化
性樹脂を用い、これにに球状アルミナ等の高密度の硬質
粒子14と不定形シリカやプラスチック製粒子等の低密
度の硬質粒子15を添加して樹脂組成物を調製し、この
高密度の硬質粒子14と低密度の硬質粒子15を含む樹
脂組成物をグラビアロールコート法等によりコーティン
グして未硬化の電離放射線硬化性樹脂13aからなる塗
膜、即ち保護層12を形成する。次いで、この未硬化の
電離放射線硬化性樹脂13aの上から電子線や紫外線等
の電離放射線18を照射して未硬化の電離放射線硬化性
樹脂13aを硬化させて、図3(c)に示すように、硬
化した電離放射線硬化性樹脂13bからなる保護層12
を有する耐摩耗性化粧材1を作製する。
【0016】上記のように、高密度の硬質粒子14と低
密度の硬質粒子15を添加した樹脂組成物を用いて、印
刷シート2にグラビアロールコート法等によりコーティ
ングして保護層12を形成したとき、樹脂組成物の粘度
を調製することにより、高密度の硬質粒子14は未硬化
の電離放射線硬化性樹脂13aの下側(印刷シート2の
絵柄層16側)に分布し、低密度の硬質粒子15を未硬
化の電離放射線硬化性樹脂13aの表面側に分布させる
ことができる。即ち、印刷シート2の上に形成された未
硬化の電離放射線硬化性樹脂13aの粘度がある範囲の
中では、時間の経過と伴に、高密度の硬質粒子14は低
密度の硬質粒子15より沈降速度が速いので、未硬化の
電離放射線硬化性樹脂13aの下側に移行して多く分布
するようになる。
【0017】これ対して、低密度の硬質粒子15は沈降
速度が遅いので、コーティング初期は未硬化の電離放射
線硬化性樹脂13aの上側に多く分布することになる。
時間が経過すれば低密度の硬質粒子15も未硬化の電離
放射線硬化性樹脂13aの下側に移行するが、低密度の
硬質粒子15が未硬化の電離放射線硬化性樹脂13aの
下側に移行する前に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂1
3aに電離放射線を照射して硬化させれば、表面側に低
密度の硬質粒子15が分布し、印刷シート側に高密度の
硬質粒子14が分布した保護層12を形成させることが
できる。
【0018】しかし、印刷シート2の上に形成された未
硬化の電離放射線硬化性樹脂13aの粘度が低い場合
は、高密度の硬質粒子14と一緒に低密度の硬質粒子1
5も未硬化の電離放射線硬化性樹脂13aの下側に移動
し、表面側に残らなくなるので、高密度の硬質粒子14
と低密度の硬質粒子15の分布状態を分けることができ
なくなる。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂13a
の粘度が高過ぎる場合は、高密度の硬質粒子14も未硬
化の電離放射線硬化性樹脂13aの中を移動できなくな
るので、未硬化の電離放射線硬化性樹脂13aの下側に
分布させることができなくなる。
【0019】また、印刷シート2の上に形成された未硬
化の電離放射線硬化性樹脂13aの中の高密度の硬質粒
子14と低密度の硬質粒子15を上下に分布させる方法
として以下のような方法がある。即ち、図4(a)に示
すように、前記印刷シートに高密度の硬質粒子14と低
密度の硬質粒子15を含有する電離放射線硬化性樹脂を
コーティングして未硬化の電離放射線硬化性樹脂13a
からなる保護層12を形成する。この場合は、比較的高
粘度の樹脂組成物を用いてコーティングし、未硬化の電
離放射線硬化性樹脂13aの中で高密度の硬質粒子14
と低密度の硬質粒子15が移動できない状態にする。
【0020】次に、図4(b)に示すように、未硬化の
電離放射線硬化性樹脂13aを熱風又はヒータ等により
加熱して、未硬化の電離放射線硬化性樹脂13aの温度
を上昇させる。未硬化の電離放射線硬化性樹脂13aは
温度を上昇させることにより、粘度は低下して流動性が
よくなるので、高密度の硬質粒子14と低密度の硬質粒
子15は未硬化の電離放射線硬化性樹脂13aの中を移
動できるようになる。そのため、高密度の硬質粒子14
は沈降速度が速いので低密度の硬質粒子15より速く下
方に移動し、図4(b)に示すように、未硬化の電離放
射線硬化性樹脂13aの下方に多く分布するようにな
り、また、低密度の硬質粒子15は沈降速度が遅いので
未硬化の電離放射線硬化性樹脂13aの表面側に多く分
布するようになる。この状態で、未硬化の電離放射線硬
化性樹脂13aに電離放射線18を照射して電離放射線
硬化性樹脂を硬化させ、図4(c)に示すように、硬化
した電離放射線硬化性樹脂13bからなる保護層12を
有する耐摩耗性化粧材1を作製する。
【0021】また、前記加熱工程において、基材が紙の
場合は、図5(a)に示すように、未硬化の電離放射線
硬化性樹脂13aは、粘度の低下に伴って紙に浸透する
ため、下方(Z方向)に移動すると共に、X及びY方向
にも流動して、コーティング時に生じた表面の僅かな凹
凸又は波打ちは平らになり平滑な表面になる。未硬化の
電離放射線硬化性樹脂13aが紙への浸透が多くなり過
ぎると、電離放射線硬化性樹脂層が薄くなり、高密度の
硬質粒子14や低密度の硬質粒子15が保護層の表面に
突出するようになり、本発明の保護層の目的が達成され
なくなる。そのため、図5(b)に示すように、紙にプ
ライマー層23を設けて、未硬化の電離放射線硬化性樹
脂13aの紙への浸透を抑制する場合がある。プライマ
ー層23として、分子量1000程度の不飽和ポリエス
テルウレタンからなるプライマー液を紙に塗布すること
により、電離放射線硬化性樹脂の紙への浸透を抑制する
ことができる。プライマー層23としては、この他にも
アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビ
ニル共重合体系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の
樹脂を溶媒に溶解した塗工液が使用される。
【0022】本発明に用いられる高密度の硬質粒子とし
ては、無機の粒子で、真球状、或いは球を偏平にした楕
円球状、又はこれらに類似した形状で、表面が滑らかな
曲面を有する球状の粒子が使用される。特に、粒子表面
に突起や角のない、所謂カッテングエッジにないことが
必要である。球状粒子は、表面樹脂層に添加した場合、
同じ材質の不定形の粒子と比較して、樹脂層の耐摩耗性
を大きく向上させると共に、塗工の際に塗工装置を摩耗
させることが少なくなる。
【0023】そのため、高密度の硬質粒子としては、非
常に硬度が高く、耐摩耗性に優れており、球状のものが
比較的容易に得られるα−アルミナが好適である。球形
のα−アルミナは、特開平2ー55269号公報に記載
されているように、アルミナ水和物、ハロゲン化合物、
硼素化合物等の鉱化剤或いは結晶剤を電融アルミナ或い
は焼結アルミナの粉砕品に少量添加し、1400℃以上
の温度で2時間以上熱処理することにより、アルミナ中
のカッティングエッジが減少して球状のものが得られ
る。このような球状アルミナは、昭和電工(株)より
「球状アルミナ(SphericalAlumina)AS−10、AS
−20、AS−30、AS−40、AS−50」として
各種の平均粒径のものが市販されている。また、高密度
の硬質粒子としては、上記α−アルミナの他に、硫酸バ
リウム、酸化チタン等も使用できる。
【0024】本発明においては、球状アルミナの粒子径
は平均粒径10〜23μmのものが使用される。粒子径
が10μm未満では塗膜の耐摩耗性が低下して好ましく
ない。また、粒子径が23μmを超える場合は、球状ア
ルミナを添加した保護層の厚さを粒子径の23μmより
更に厚くする必要があるので、コスト高となり、経済的
に不利となる。また、球状アルミナの粒子径が23μm
を超えると、コーティング作業が困難になり、又塗膜の
柔軟性が損なわれる。
【0025】また、電離放射線硬化性樹脂への球状アル
ミナの添加量は、電離放射線硬化性樹脂の塗膜を電離放
射線照射により硬化後、その硬化塗膜に対して、5〜5
0重量%になるように添加することが必要である。硬化
塗膜に対する球状アルミナの含有量が、5重量%未満の
場合は、耐摩耗性が不十分で、球状アルミナの添加効果
が十分発揮されない。また、含有量が50重量%を超え
る場合は、球状アルミナと一緒に添加する低密度の硬質
粒子も含めてフィラー全体の添加量が多くなり過ぎて、
フィラーに対するバインダー樹脂の保持力が低下すると
共に、コーティング液の粘度が高くなりコーティングが
困難になる。
【0026】本発明に用いられる低密度の硬質粒子は、
保護層の樹脂より硬度が固いものであれば、無機物又は
有機物のいずれでも使用可能である。低密度の硬質粒子
の具体的な例としては、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸
カルシウム、ダイヤモンド、ガラス粉末等の無機物粒
子、又は有機質の粒子として、ウレタン樹脂、ポリカー
ボネート、メラミン樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂ビ
ーズ等が挙げられる。低密度の硬質粒子の粒子形状は球
形、鱗片状、多角形、針状、羽状等いずれの形状も使用
できるが、針状又は羽状のものが好ましい。特に、本発
明においては、針状又は不定形のシリカが好適である。
【0027】不定形シリカの粒子径は平均粒径は、2μ
m以下の微粉末から10〜15μmの粒子まで広範囲の
粒径のものが使用できる。また、本発明においては、不
定形シリカの粒子径は、球状アルミナの粒子径より小さ
くすることが重要である。これによって、化粧材は耐摩
耗性に優れた物性を発揮すると共に、表面のザラツキが
なくなり、滑り性のよい化粧材を得ることができる。そ
のため、不定形シリカの粒子径としては、球状アルミナ
の粒子径が20〜23μmのときは、10〜15μmと
2μm以下の微粉末の二種類の粒径のものを添加するの
が好ましい。
【0028】不定形シリカの添加量は、球状アルミナと
同様、電離放射線硬化性樹脂の硬化塗膜に対する含有量
が、5〜50重量%になるようにすることが必要であ
る。そして、不定形シリカと球状アルミナの添加量の合
計が60重量%以下にすることが必要である。硬化塗膜
に対する不定形シリカの含有量が、5重量%未満の場合
は、耐摩耗性が不十分で、不定形シリカの添加効果が十
分発揮されない。また、含有量が50重量%を超える場
合は、電離放射線硬化性樹脂のバインダーとしての作用
が十分発揮されなくなり、塗膜の可撓性が損なわれると
共に、コーティング作業が困難となる。
【0029】上記球状アルミナ及び不定形シリカは保護
層となる電離放射線硬化性樹脂との接着性や分散性等の
物性改善のために、表面処理をすることがある。例え
ば、ステアリン酸等の脂肪酸で処理すると分散性が向上
する。また、表面をシランカップリング剤で処理する
と、バインダーとしての電離放射線硬化性樹脂のと密着
性や粒子の分散性が向上する。シランカップリング剤と
しては、分子中にビニル基やアクリル基等のラジカル重
合性不飽和結合を有するアルコキシシランや分子中にエ
ポキシ基、アミノ基、メルカプト基等の官能基を有する
アルコキシシランが挙げられる。本発明において、バイ
ンダー樹脂として電離放射線硬化性樹脂が使用される場
合は、シランカップリング剤はラジカル重合性不飽和結
合を有するアルコキシシランが好適である。
【0030】ラジカル重合性不飽和結合を有するアルコ
キシシランの具体例としては、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
ジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
ジメチルエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジ
メトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルジメチルメ
トキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエキシシラ
ン、γ−アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン等がある。
【0031】球状アルミナ及び不定形シリカの表面をシ
ランカップリング剤で処理する方法は特に制限はなく、
公知の方法が使用できる。例えば、乾式法として球状粒
子を激しく攪拌しながら所定のシランカップリング剤を
吹きつける方法や、湿式法としてトルエン等の溶媒中に
球状粒子を分散させた後、所定量のシランカップリング
剤を加えて反応させる方法が挙げられる。球状アルミナ
及び不定形シリカに対するシランカップリング剤の処理
量(所要量)は、球状粒子の比表面積100に対してシ
ランカップリング剤の最小被覆面積が10以上となるよ
うにすることが好ましい。球状粒子の比表面積100に
対してシランカップリング剤の最小被覆面積が10未満
の場合はあまり表面処理効果がない。
【0032】本発明に用いられるバインダー樹脂として
は、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、セルロ
ース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱可
塑性樹脂、二液硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メ
ラミン樹脂等の熱又は二液反応型硬化性樹脂、電離放射
線硬化性樹脂が使用できる。その中でも、本発明におい
ては電離放射線硬化性樹脂が好ましい。
【0033】電離放射線硬化性樹脂としては、具体的に
は、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリ
ロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ
基等のカチオン重合性官能基又はチオールを2個以上有
する単量体、プレポリマー、オリゴマー、及び/又はポ
リマーを適宜混合した組成物で、電離放射線により硬化
可能な組成物が使用される。尚、ここで、(メタ)アク
リロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイル
基の意味で用いおり、以下同様の意味で用いるものとす
る。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線の
中で分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有す
るものを意味し、通常、電子線又は紫外線が用いられ
る。
【0034】前記プレポリマー、オリゴマーの例として
は、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の
不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、
ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレー
ト、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポ
リエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレ
タンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオ
ールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレ
ート類、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられ
る。分子量としては、通常250〜10,000程度の
ものが用いられる。ラジカル重合性不飽和基を有するポ
リマーとしては、上記ポリマーの重合度を10,000
程度以上としたものが用いられる。
【0035】カチオン重合性官能基を有するプレポリマ
ーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボ
ラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビ
ニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエー
テル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。
【0036】カチオン重合性官能基を有する単量体の例
としては、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリ
マーの単量体が利用できる。チオール基を有する単量体
の例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコ
レート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコレー
ト等がある。
【0037】ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の
例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量
体、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単
量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】電離放射線硬化性樹脂に用いられる単量体
の例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチ
レン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エ
チルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸
ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキ
シブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル
類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタク
リル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタク
リル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル
酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)エチル、メタクリ
ル酸−2−(N、N−ジメチルアミノ)エチル、アクリ
ル酸−2−(N、N−ジベンジルアミノ)エチル、メタ
クリル酸(N、N−ジメチルアミノ)メチル、アクリル
酸−2−(N、N−ジジエチルアミノ)プロピル等の不
飽和酸の置換アミノアルコールエステル類、アクリルア
ミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、
エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコ
ールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジ
エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリ
コールジアクリート等の化合物、ジプロピレングリコー
ルジアクリレート、エチレングリコールアクリレート、
プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレング
リコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/
又は、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオ
ール化合物、例えば、トリメチロールプロパントリチオ
グリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピ
レート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等
がある。
【0040】以上の化合物を必要に応じ1種もしくは2
種以上混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂に通常
の塗工適性を付与するために、前記プレポリマー又はオ
リゴマーを5重量%以上、前記単量体及び/又はポリチ
オールを95重量%以下とすることが好ましい。
【0041】単量体の選定に際しては、硬化物の可撓性
が要求される場合は塗工適性上支障の無い範囲で単量体
の量を少なめにしたり、1官能又は2官能アクリレート
単量体を用い比較的低架橋密度の構造とする。又、硬化
物の耐熱性、硬度、耐溶剤性等を要求される場合には塗
工適性上支障の無い範囲で単量体の量を多めにしたり、
3官能以上のアクリレート系単量体を用い高架橋密度の
構造とするのが好ましい。1、2官能単量体と3官能以
上の単量体を混合し塗工適性と硬化物の物性とを調整す
ることも出来る。
【0042】以上の様な1官能アクリレート系単量体と
しては、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルア
クリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙げら
れる。2官能アクリレート系単量体としては、エチレン
グリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジアクリレート等が、3官能以上のアクリレート系単量
体としてはトリメチロールプロパントリアクリレート、
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0043】電離放射線硬化性樹脂として紫外線又は可
視光線にて硬化させる場合には、電離放射線硬化型樹脂
中に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基
を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセト
フェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベ
ンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合
して用いることができる。また、カチオン重合性官能基
を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族
ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨード
ニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エ
ステル等を単独又は混合物として用いることができる。
尚、これらの光重合開始剤の添加量としては、該電離放
射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重
量部程度である。
【0044】本発明に使用される基材の材質としては、
紙、プラスチック、金属箔、板等が用いられる。例え
ば、紙、プラスチックシート、不織布等のシート状のも
の、或いは金属板、木質板、プラスチック板等の板状の
もの等のいずれも使用できるが、柔軟性を有するシート
状のものが、製造工程において、巻取状態で連続生産が
可能であるので好ましい。通常、シート状のものを使用
する場合、シートの厚さは5〜200μmが好ましい。
また、基材の表面に凹凸を有するものや立体形状を有す
るものも使用可能である。
【0045】基材として用いられる紙としては、薄葉
紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボ
ード紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾル又はドライラミ
ネートした所謂ビニル壁紙原反、上質紙、コート紙、硫
酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和
紙等が挙げられる。また、紙類似シートとしては、ガラ
ス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、
シリカ繊維、炭素繊維、等の無機繊維質、ポリエステ
ル、ビニロン等の合成樹脂等の繊維からなる不織布又は
織布等がある。
【0046】基材として用いられるプラスチックシート
としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチル
ペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル
・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合
体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ビニロン等
のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート・イ
ソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリメタ
クリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリ
ル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹
脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、三
酢酸セルロース、セロハン等のセルロース系樹脂、ポリ
スチ、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド
等の合成樹脂シート、又は、フィルムの単体又積層体が
挙げられる。また、金属箔としては、アルミニウム、
鉄、銅、ステンレス等の金属箔若しくはシート;並びに
以上の各素材の複合体、等が挙げられる。
【0047】基材として用いられる板としては、木板単
体、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(M
DF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄板、アル
ミニウム板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗工
鋼板、銅板等の金属板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏
系板、硅酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コ
ンクリート板、中空押出しセマメント板等のセメント
板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント
板等の繊維セメント板、陶器、磁気、石器、土器、ガラ
ス、ホウロウ等のセラミック板、アクリル、ポリカーボ
ネート、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンビニ
ルアセテート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレ
フィン、ABS、フェノール樹脂塩化ビニル、セルロー
ス系樹脂、ゴム等の熱可塑性樹脂板が挙げられる。
【0048】また、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、
メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂板、フェンノール樹脂、
尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート
樹脂等の樹脂をガラス繊維不織布、布帛、紙、その他の
各種繊維質基材に含浸硬化して複合化した、所謂FRP
等の樹脂板が挙げられる。更に、本発明に用いる基材と
しては、上記各種基材の2種以上の基材を接着剤、又
は、熱融着等の公知の方法によって積層した複合基材を
使用することもできる。
【0049】本発明に用いられる基材(シート基材)の
表面には、印刷インキ、保護層(電離放射線硬化性樹脂
層)、接着剤との接着力を向上するために、コロナ放電
処理、プラズマ処理、易接着層の形成等の易接着性処理
が施される。易接着層(プライマー層或いはアンカー層
ともいう)としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹
脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩
素化ポリプロピレン等の樹脂を溶媒に溶解した塗工液が
使用されるが、特にポリウレタン樹脂を用いたものが望
ましい。上記樹脂を溶媒に溶解した塗工液を、公知の方
法で塗布、乾燥して易接着層とする。
【0050】基材には、片面に印刷等により絵柄層が形
成される。絵柄層としては、印刷による印刷模様、エン
ボス加工によるエンボス模様、ヘアライン加工による凹
凸模様があり、更に、凹凸模様の凹部に公知のワイピン
グ加工法によって着色インキを充填して絵柄層を形成す
ることもできる。印刷絵柄層とては、木目柄、石目柄、
布目柄、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、各種抽象
模様、或いは全面ベタ印刷等がある。全面ベタ印刷の隠
蔽層は化粧シートを貼付する被着体の表面状態によって
省略されることがある。
【0051】絵柄印刷のインキとしては、基材の材質や
形態によって異なるが、一般的には、硝化綿、酢酸セル
ロース、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニル
ブチラール、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステ
ル樹脂等の単独重合体、又は他のモノマーとの重合体を
ビヒクルとし、これと通常の顔料、染料等の着色剤、体
質顔料、硬化剤、添加剤、溶剤等からなるインキが使用
される。
【0052】絵柄の印刷としては、グラビア印刷、凹版
印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シル
クスクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷等通
常の印刷方式が使用できる。もしくは、別に離型性シー
ト上に一旦絵柄模様を形成して転写シートを作成し、得
られた転写シートからの転写印刷方式によって模様印刷
を転写して設けてもよい。また、印刷模様の代りに、ア
ルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を真空蒸着、
スパッタリング等によって、基材に、金属薄膜を全面又
は部分的に形成して絵柄層とすることもできる。
【0053】基材の表面には、上記のように、絵柄層を
形成した後、球状アルミナ及び不定形シリカを含有した
電離放射線硬化性樹脂を用いて、公知のコーティング方
法にて保護層を形成する。球状アルミナ及び不定形シリ
カを添加した電離放射線硬化性樹脂には、必要に応じ
て、熱可塑性樹脂、充填剤、光重合開始剤、溶剤等を加
えて塗工組成物を調製し、この塗工組成物を用いて基材
の表面に、直接コーティング法、又は転写コーティング
法にてコーティングする。一般に、基材の材質として、
塗工組成物が浸透しない材質を使用した場合は、直接コ
ーティング法、又は転写コーティング法のいずれを使用
してもよいが、塗工組成物が浸透する基材や表面に凹凸
のある基材、又は、塗膜厚みに均一性を出す必要がある
場合や、保護層の耐摩耗性を均一にする必要がある場合
は、転写コーティング法の方が望ましい。
【0054】直接コーティング法としては、グラビアコ
ート、グラビアリバースコート、グラビアリオフセット
コート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロ
ールコート、キスコート、ディップコート、シルクスク
リーンコートによるベタコート、ワイヤーバーコート、
コンマコート、スプレーコート、フロートコート、かけ
流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いること
ができる。その中でもグラビアコートが好ましい。
【0055】転写コーティング法としては、前記塗工組
成物を用いて、一旦、薄いシート(フィルム)に塗膜を
形成し、この塗膜を電子線又は紫外線等の電離放射線で
硬化せしめ、而る後に、該硬化塗膜を下記の〜に示
す方法で、基材の表面に転写する方法である。尚、薄い
シート(フィルム)に塗膜を形成する方法は、上記直接
コーティング法と同様に、各種のコーティング法を用い
ることができる。 特公平2ー42080号公報、特公平4ー1992
4号公報等に開示されているような射出成形同時転写
法。或いは特公昭50ー19132号公報に開示されて
いるような射出成形同時ラミネート法。 特開平4ー288214号公報、特開平5ー577
86号公報に開示されているような真空成形同時転写
法。或いは特公昭56ー45768号公報に開示されて
いるような真空成形同時ラミネート法。 特公昭56ー51900号公報、特公昭61ー58
95号公報、特公平3ー2666号公報等に開示されて
いるように、ラッピング同時転写法、又は、ラッピング
同時ラミネート法。 特公昭56ー7866号公報等に開示されているよ
うなVカット加工同時転写法。或いは実公大15ー31
122号公報等に開示されているようなVカット加工同
時ラミネート法。
【0056】また、上記塗工組成物を用いて、特開平2
ー26673号公報に開示されているように、下記の工
程で、基材に保護層(電離放射線硬化性樹脂からなる硬
化塗膜)を形成することもできる。 非吸収性且つ離型性の合成樹脂シート(フィルム)
に、塗工組成物を塗布して未硬化状態の塗膜を形成する
工程。 前記未硬化状態の塗膜が基材に接触するようにして
基材とラミネートする工程。 前記積層シートの離型性合成樹脂シート側より電離
放射線を照射して塗膜を架橋させ、完全に硬化させる工
程。尚、基材が比較的薄くて電離放射線を透過する場合
は、基材側から電離放射線を照射してもよい。 次に、離型性合成樹脂シートを剥離、除去して基材
の表面に保護層を形成する工程。上記の方法によれば、
基材として紙のような浸透性の高い材質でも、樹脂が基
材の裏側まで抜ける、所謂、「裏抜け」を確実に防止し
て、基材表面に耐摩耗性に優れた保護層を形成すること
ができる。
【0057】電離放射線硬化性樹脂を硬化させる電離放
射線照射装置としては、紫外線照射装置や電子線照射装
置が用いられる。紫外線照射装置としては、例えば、超
高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアー
ク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の
光源が使用される。電子線照射装置としては、コックロ
フトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コ
ア変圧器型或いは直線型、ダイナミトロン型、高周波型
等の各種電子線加速器を用いられる。
【0058】そして、電子線を照射する場合、加速電圧
100〜1000KeV、好ましくは100〜300K
eVで照射し、吸収線量としては、通常、1〜300k
Gy程度である。吸収線量が1kGy未満では、塗膜の
硬化が不十分となり、又、照射量が300kGyを超え
ると硬化した塗膜及び基材が黄変したり、損傷したりす
る。また、紫外線照射の場合、その照射量は50〜10
00mJ/cm2 の範囲が好ましい。紫外線照射量が5
0mJ/cm2 未満では、塗膜の硬化が不十分となり、
また、照射量が1000mJ/cm2 を超えると硬化し
た塗膜が黄変したりする。電離放射線の照射方法とし
て、先ず紫外線を照射して電離放射線硬化性樹脂を少な
くとも表面が指触乾燥する程度以上に硬化させ、而る後
に、電子線を照射して塗膜を完全に硬化させる方法もあ
る。
【0059】本発明の耐摩耗性化粧材は、他の被着体
(又は裏打材)に積層することもできる。被着体として
は各種素材の平板、曲面板等の板材、シート(或いはフ
ィルム)、或いは各種立体形状物品(成形品)が対象と
なる。本発明の耐摩耗性化粧材は、各種被着体に積層
し、所定の成形加工等を施して、各種の用途に使用され
る。例えば、壁、天井、床等の建築物の内装、浴室、洗
面所、厨房等で用いる住設機器、窓枠、扉、手すり等の
建具の表面化粧、机、食卓、箪笥等の家具又は弱電・O
A機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車
両の内装、航空機の内装、窓硝子の化粧等に利用でき
る。そのために、耐摩耗性化粧材が直接被着体に接着で
きない場合は、適当な易接着層又は接着剤層を介して被
着体に接着する。しかし、耐摩耗性化粧材が熱融着等で
被着体に接着可能な場合は、易接着層又は接着剤層は省
略してもよい。
【0060】被着体として、板材或いはシート(フィル
ム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、
木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MD
F)等の木材板、木質繊維板等の水質板、鉄、アルミニ
ウム等の金属、アクリル、ポリカーボネート、エチレン
・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポ
リエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS、
フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、
ゴム等の樹脂が挙げられる。
【0061】被着体として専ら板材、或いは立体形状物
品として用いられる素材としては、ガラス、陶磁器等の
セラミックス、ALC(発砲軽量コンクリート)等のセ
メント、硅酸カルシウム、石膏等の被セメント窯業系材
料が挙げられる。
【0062】被着体として専らシート(或いはフィル
ム)として用いられる素材としては、上質紙、和紙等の
紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、ガラス、合成樹脂
等の繊維からなる不織布又は織布等が挙げられる。
【0063】これら各種被着体への積層方法としては、
例えば、次の〜の方法を挙げることができる。即
ち、 接着剤層を間に介して板状基材に加圧ローラーで加
圧して積層する方法、 特公昭50−19132号公報、特公昭43−27
488号公報等に記載されるように、化粧シートを射出
成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型の
ゲートから溶融樹脂を射出充填した後、冷却して樹脂成
形品の成形と同時にその表面に化粧シートを接着積層す
る、いわゆる射出成形同時ラミネート法、 特公昭56−45768号公報、特公昭60−58
014号公報等に記載されるように、化粧シートを成形
品の表面に接着剤を介して対向なしいは載置し、成形品
側からの真空吸引による圧力差により化粧シートを成形
品表面に積層する、いわゆる真空プレス積層方法、 特公昭61−5895号公報、特公平3−2666
号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基
材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して供
給しつつ、多数の向きの異なるローラーにより、柱状体
を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して
積層してゆく、いわゆるラッピング加工方法、 実公大15−31122号公報、特開昭48−47
972号公報等に記載されるように、先ず化粧シートを
板状基材に接着剤層を介して積層し、次いで板状基材の
化粧シートとは反対側の面に、化粧シートと板状基材と
の界面に到達する、断面がV字状、又はU字状溝を切削
し、次いで該溝内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り
曲げ、箱体又は柱状体を成形するいわゆる、Vカット又
はUカット加工方法等が挙げられる。
【0064】特に、本発明の耐摩耗性化粧材を凹凸立体
物に貼り合わせる方法としては、前記方法の中で、ラッ
ピング加工法、Vカット加工法、射出成形同時ラミネー
ト法、真空成形同時ラミネート法等が好ましい。
【0065】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細
に説明する。 (実施例1)先ず、基材として、坪量60g/m2 の含
浸紙11a((株)興人製「GF-601」)を用いて、グラ
ビア印刷によりベタ印刷と木目柄を印刷して、図6
(a)に示すように、含浸紙11aに着色不透明なベタ
印刷層17と絵柄層16を形成して印刷シート2を作製
した。尚、ベタ印刷用インキはアクリル樹脂と硝化綿を
ブレンドしたバインダ樹脂に弁柄、カーボンブラック、
チタン白、黄鉛を主成分とする顔料を添加したインキ
(ザ・インクテック(株)製)を用い、絵柄用インキは
硝化綿とアルキッド樹脂からなるバインダ樹脂に弁柄、
カーボンブラックを主成分とする顔料を添加したインキ
(ザ・インクテック(株)製)を用いた。
【0066】次いで、図6(b)に示すように、前記印
刷シート2の絵柄層16側に、電子線硬化性樹脂に球状
アルミナ14aと不定形シリカ15a及び微粉末シリカ
15bを添加した下記の塗工用樹脂組成物(A)を用い
て、グラビアリバース方式によりコーティングして、未
硬化の電子線硬化性樹脂13cからなる塗布量25g/
2 の保護層12を形成した。
【0067】 塗工用樹脂組成物(A)の組成 ・ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート 57重量部 ・トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート 18重量部 ・両末端メタクリレート変性シリコーン 1重量部 ・不定形シリカ(平均粒径12μ) 15重量部 ・微粉末シリカ(平均粒径0.1μ) 2重量部 ・球状α−アルミナ(最大粒径23μ) 7重量部
【0068】次に、図6(b)に示すように、上記未硬
化の電子線硬化性樹脂13cからなる保護層12の上
に、電子線照射装置を用いて、加速電圧175keVに
て、吸収線量が50kGy(キログレイ)になるように
電子線18aを照射し、電子線硬化性樹脂を完全に硬化
させて、表面に硬化した電子線硬化性樹脂13dからな
る保護層12を形成し、図6(c)に示すような耐摩耗
性化粧材1を作製した。得られた耐摩耗性化粧材は、電
子線硬化性樹脂に添加した硬質の球状アルミナが保護層
の表面に突出していないので、表面は感触がソフトであ
り、耐摩耗性の優れたものとなった。
【0069】(実施例2)基材として、厚さ100μm
の着色ポリオレフィン系樹脂シート(タツノ化学(株)
製「タフパー」)(以下着色POシート11bという)
を用いて、これにウレタン系インキ(昭和インク工業
(株)製)にてグラビア印刷し、図7(a)に示すよう
に、着色POシート11bに着色不透明なベタ印刷層1
7と絵柄層16を形成して印刷シート2を作製した。次
いで、図7(b)に示すように、前記印刷シート2の絵
柄層16側に、実施例1と同様に、グラビアリバース方
式によりコーティングして、塗布量25g/m2 の保護
層12を形成した。更に、実施例1と同様に、電子線1
8aを照射して未硬化の電子線硬化性樹脂13cを硬化
させて、図7(c)に示すような耐摩耗性化粧シート1
aを作製した。次に、図7(d)に示すように、この耐
摩耗性化粧シート1aの着色POシート11b側に、ウ
レタン系接着剤を塗布して接着剤層21を形成した。こ
の接着剤層21を介して、被着体22として厚さ200
μmのABS板に積層し、図7(d)に示すような耐摩
耗性化粧材1を作製した。
【0070】(比較例1)実施例1と同様に、含浸紙に
着色不透明なベタ印刷層17及び絵柄層16を形成し
て、図8(a)に示すように、印刷シート2を作製し
た。次に、前記印刷シート2の絵柄層16側の全面に、
図8(b)に示すように、グラビア印刷により二液硬化
型のウレタン系トップコート剤(ザ・インクテック
(株)製)を塗布して、厚さ3μmの未硬化のトップコ
ート層24aを形成した。更に、この未硬化のトップコ
ート層24aを形成した化粧材を60℃3日間保管し
て、トップコート層19aの塗膜を完全に硬化させて、
図8(c)に示すように、表面に硬化したトップコート
層24を有する化粧材3を作製した。
【0071】(比較例2)実施例1と同様に、含浸紙1
1aに着色不透明なベタ印刷層17及び絵柄層16を形
成して、図6(a)に示すように、印刷シート2を作製
した。次いで、図6(b)に示すように、前記印刷シー
ト2の絵柄層16側に、電子線硬化性樹脂に球状アルミ
ナ14aと不定形シリカ15a及び微粉末シリカ15b
を添加した下記の塗工用樹脂組成物(B)を用いて、グ
ラビアリバース方式によりコーティングして未硬化の電
子線硬化性樹脂13cからなる塗布量23g/m2 の保
護層12を形成した。
【0072】 塗工用樹脂組成物(B)の組成 ・ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート 50重量部 ・トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート 20重量部 ・両末端メタクリレート変性シリコーン 1重量部 ・不定形シリカ(平均粒径12μ) 8重量部 ・微粉末シリカ(平均粒径0.1μ) 1重量部 ・球状α−アルミナ(最大粒径25μ) 20重量部
【0073】次に、上記未硬化の電子線硬化性樹脂13
cからなる保護層12の上に、実施例1と同様に、電子
線18aを照射し、電子線硬化性樹脂を完全に硬化させ
て、表面に硬化した電子線硬化性樹脂13dからなる保
護層12を形成し、図6(c)に示すような耐摩耗性化
粧材1を作製した。得られた耐摩耗性化粧材は、硬化し
た電子線硬化性樹脂からなる保護層の上に添加した硬質
の球状アルミナが突出しているので、耐摩耗性は優れて
いたが、表面にザラツキが見られソフトな感触は得られ
なかった。
【0074】(耐摩耗性試験)実施例1、2作製した耐
摩耗性化粧材及び比較例1、2で作製した化粧材につい
て、JIS K6902に準拠して耐摩耗性試験を行っ
た。 (表面滑り性試験)実施例1、2作製した耐摩耗性化粧
材及び比較例1、2で作製した化粧材に対して、荷重3
00g/cm2 で綿布を押し当てた状態で、10cmの
距離を10往復擦り付けて綿布の損傷具合を目視にて判
定した。
【0075】耐摩耗性試験及び表面滑り性試験の結果を
表1に示す。表1の結果から分かるように、実施例1、
2で作製した耐摩耗性化粧材はいずれも、球状アルミナ
及び不定形のシリカと微粉末シリカを使用しない比較例
1の化粧材より耐摩耗性に優れていた。
【0076】また、実施例1、2で作製した耐摩耗性化
粧材は、保護層表面に硬質の球状のアルミナが突出して
いないので、表面のザラツキがなく、滑り性もよくソフ
トな感触が得られた。これに対して、比較例2で作製し
た耐摩耗性化粧材は、硬質の球状アルミナの直径が保護
層の膜厚より大きく、保護層の表面に突出しているの
で、表面にザラツキが見られ、表面滑り性試験では綿布
の損傷が激しかった。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】本発明の耐摩耗性化粧材は、球状アルミ
ナ(高密度の硬質粒子)と、不定形シリカ及び微粉末シ
リカ(低密度の硬質粒子)を含有する電離放射線硬化性
樹脂を用いて表面の保護層を形成し、更に密度の相違を
利用して球状のアルミナが保護層の下側に分布し、不定
形シリカ及び微粉末シリカが保護層の表面側に分布する
ようにしたので、耐摩耗性を有すると共に、表面のザラ
ツキがなくなり、手触り感が非常にソフトになる。ま
た、硬質の球状のアルミナの直径よりも保護層を厚く
し、球状のアルミナが保護層の表面に突出しないように
したので、表面の滑り性がよくなり、化粧材が物体に直
接接触する場合でも、その物体を摩耗させたり、損傷す
ることがない。そのため、床材などのように高い耐摩耗
性が要求され、且つ接触する物体を損傷しないような分
野で使用することができる。更に、ロールコート法等に
より基材にコートする場合、粒子の大きいアルミナが球
状であるため、グラビアロールやドクターブレードを摩
耗させたり、傷つけたりすることがないので、作業能率
の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐摩耗性化粧材の一例を示した模式断
面図である。
【図2】図2は本発明の耐摩耗性化粧材の別の態様で、
基材にベタ印刷層及び絵柄層を形成し、その上に保護層
を形成して耐摩耗性化粧材としたときの模式断面図であ
る。
【図3】本発明の耐摩耗性化粧材を作製するときの説明
図である。
【図4】本発明の耐摩耗性化粧材を作製する際に、高密
度の硬質粒子と低密度の硬質粒子を上下に分布させると
きの説明図である。
【図5】基材に紙を用いて耐摩耗性化粧材を作製すると
きとき、プライマー層を設けて樹脂の浸透を抑制する場
合の説明図である。
【図6】実施例1により耐摩耗性化粧材を作製するとき
の説明図である。
【図7】実施例2により耐摩耗性化粧材を作製するとき
の説明図である。
【図8】比較例1により耐摩耗性化粧材を作製するとき
の説明図である。
【符号の説明】
1 耐摩耗性化粧材 1a 耐摩耗性化粧シート 2 印刷シート 3 化粧材 11 基材 11a 含浸紙 11b 着色POシート 12 保護層 13 バインダー樹脂 13a 未硬化の電離放射線硬化性樹脂 13b 硬化した電離放射線硬化性樹脂 13c 未硬化の電子線硬化性樹脂 13d 硬化した電子線硬化性樹脂 14 高密度の硬質粒子 14a 球形アルミナ 15 低密度の硬質粒子 15a 不定形シリカ 15b 微粉末シリカ 16 絵柄層 17 ベタ印刷層 18 電離放射線 18a 電子線 19 加熱 21 接着剤層 22 被着体 23 プライマー層 24 硬化したトップコート層 24a 未硬化のトップコート層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の上に、バインダー樹脂の中に硬質
    粒子を含有する塗膜を積層した化粧材において、該硬質
    粒子が、密度の異なる二種類の硬質粒子からなり、且つ
    硬質粒子の硬度がバインダー樹脂の硬度より固い硬度を
    有していることを特徴とする耐摩耗性化粧材。
  2. 【請求項2】 前記二種類の硬質粒子を含有する塗膜に
    おいて、前記硬質粒子の中で、低密度の硬質粒子が塗膜
    の表面側に分布し、高密度の硬質粒子が塗膜の下側に分
    布していることを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性
    化粧材。
  3. 【請求項3】 前記二種類の硬質粒子を含有する塗膜に
    おいて、前記高密度の硬質粒子の最大直径より塗膜を厚
    くして、該高密度の硬質粒子が塗膜の表面に突出しない
    ように塗膜を形成したことを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載の耐摩耗性化粧材。
  4. 【請求項4】 前記高密度の硬質粒子が球状のα−アル
    ミナからなり、前記低密度の硬質粒子が不定形シリカか
    らなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれ
    かに記載の耐摩耗性化粧材。
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