JP2001026654A - 含フッ素重合体の硬化方法 - Google Patents
含フッ素重合体の硬化方法Info
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Abstract
優れた透明性フッ素樹脂を与え、室温で実施できる含フ
ッ素重合体の硬化方法を提供する。 【解決手段】 一般式: 【化1】 (式中、X、Y及びZは各々H、F、Cl、Br又はI。ただし、
X、Y及びZの少なくとも一つはF。Rは、酸素原子を含ん
でいてよい直鎖又は分岐含フッ素アルキレン基。x及び
yはモル%を表し、xは1〜100モル%である。A
は、−CN、−NCO、−COOR'(R'はH又はアルキル基)、
酸無水物基又は不飽和炭化水素基。Mは、共重合可能な
単量体から誘導される繰り返し単位。)で示される構造
を有する重合体を、アンモニア、ジアミンおよびポリオ
ールから選択される架橋剤により処理して該重合体の側
鎖官能基を介して架橋させる。
Description
硬化方法に関し、さらに詳しくは、室温で硬化すること
ができる側鎖に官能基を有する硬化性含フッ素重合体の
硬化方法に関する。
特許第3978030号、特公平5−49692号公
報、特開平5−117418号公報、特開昭63−23
8111号公報、特開昭63−238115号公報など
には、環状構造を有する透明性フッ素樹脂の開示がある
が、いずれも熱可塑性樹脂であり、その耐熱性には自ず
から制限があった。また、米国特許第3546186
号、同第3933767号などには側鎖にフッ素化シア
ノ基を導入し、その三量化によって架橋ゴムを得る方法
が開示されている。しかし、室温で硬化でき、また付加
的に熱硬化もできる透明性フッ素樹脂は知られていなか
った。
性熱可塑性樹脂に比べて耐熱性が優れた透明性フッ素樹
脂を与え、室温で実施できる含フッ素重合体の架橋方法
を提供しようとするものである。
に、本発明は、一般式:
子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子
を表す。ただし、X、YおよびZの少なくとも一つはフ
ッ素原子である。Rは、酸素原子を含んでいてよい炭素
数1〜20の直鎖または分岐含フッ素アルキレン基を表
す。xおよびyはモル%を表し、xは1〜100モル%
である。Aは、−CN、−NCO、−COOR'(ここ
で、R'は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基
である。)、酸無水物基または不飽和炭化水素基を表
す。Mは、共重合可能な単量体から誘導される繰り返し
単位を表す。)で示される構造を有する含フッ素重合体
を、アンモニア、ジアミンおよびポリオール化合物から
なる群から選択される少なくとも一種の架橋剤により処
理して該重合体の側鎖官能基を介して架橋させることを
特徴とする重合体の硬化方法、並びに一般式:
独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子ま
たはヨウ素原子を表す。ただし、X、YおよびZの少な
くとも一つはフッ素原子である。R1およびR2は、それ
ぞれ独立に、酸素原子を含んでいてよい炭素数1〜20
の直鎖または分岐含フッ素アルキレン基を表す。zおよ
びwはモル%を表し、zは1〜100モル%である。E
は、−CN以外の有機基を表す。)で示される構造を有
する含フッ素重合体を、塩基の存在下に硬化させること
を特徴とする重合体の硬化方法を提供する。
る一方の単量体(III):
る。)の内、Aが−CNであり、Rが酸素を含む含フッ
素アルキレン基である含フッ素アリルエーテルニトリル
は既知の化合物であって、その合成方法と共に、特開平
10−237130号公報に記載されている。Aが−C
N以外の官能基、すなわち−NCO、−COOR'、酸
無水物基または不飽和炭化水素基である単量体(II)
は、既知化合物であるか、既知の合成方法により容易に
製造することができる。
水物基の好ましい例は、
F=CF2、−CF=CF2、−CH=CH2などであ
る。Rで表される含フッ素アルキレン基の好ましい例
は、−[CF2OCF(CF3)] a、−(CF2OCF2CF2)
a(ここでaは1〜5の数である。)、−(CF2)b(こ
こでbは1〜20の数である。)などである。
体Mとしては、上記単量体(II)と共重合可能な単量体
ならいずれも使用できる。好ましい共単量体の例は、フ
ッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフル
オロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化
ビニル、トリフルオロエチレン、テトラフルオロプロピ
レン、トリフルオロプロピレン、エチレン、プロピレン
などである。
は、分子内に−CN、−NCO、−COOR'、酸無水
物基および不飽和炭化水素基からなる群から選択される
少なくとも1種の官能基、好ましくは−CN(シアノ
基)を有する。例えばシアノ基は容易にアンモニアと反
応し、アミジンやイミドイルアミジンを形成すること
は、J.Org.Chem.,Vol.32,2237頁に記載さ
れている。本発明は、この反応を応用して、一般式
(I)で示される含フッ素重合体を硬化するものであ
る。
温で容易に進むので、シアノ基を含む重合体をガス状の
アンモニアと常温で接触させるだけで、無色透明の弾力
性のある硬化物を得ることができる。
または不飽和炭化水素基である場合、−NCOに対する
アルコールまたはアミンの付加、−COOR'とアミン
の反応によるアミン化、酸無水物とアミンの反応による
アミド化またはイミド化、または不飽和炭化水素基への
アルコールまたはアミンの付加により、硬化反応は進行
する。
2N−R"−NH2(ここで、R"は炭素数1〜20のアル
キレン基である。)、
ある。)などである。
ミンの場合、官能基Aの半当量であり、ポリオールの場
合、水酸基と官能基Aとが当量になるように選択する。
架橋剤がアンモニアの場合、さらに加熱することにより
トリアジン環等を形成し、硬化がさらに進み、硬化重合
体の耐熱性も向上する。
基、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリ
ジンなどの存在下に、室温で硬化する。この場合、塩基
は、重合体に練り込むことでもよく、あるいは、重合体
のキャスト膜に塩基を接触させてもよい。このようにし
て得られた硬化物も無色透明であり、塩基の使用量を調
節することにより、硬化物の硬度を自由に調節できる。
このようにして得られた硬化物も、上記の場合と同様、
加熱によりトリアジン環を形成しさらに硬化が進み、耐
熱性が向上する。
れる含フッ素アルキレン基の例は、上記で示したRの場
合と同様である。Eで表される−CN以外の有機基の例
としては、上記のAで表される官能基の内シアノ基以外
の官能基、さらに炭素数1〜20の直鎖または分岐アル
キル基(水素原子の一部または全部が塩素原子またはフ
ッ素原子により置換されていてよく、またアルキル鎖中
に酸素を含んでいてもよい。)などの有機基が挙げられ
る。
は150℃以上である。加熱温度は、一般に300℃を
越えない。加熱雰囲気は、特に限定されず、加熱は、空
気中、または窒素などの不活性ガス雰囲気中で行うこと
ができる。
電子工業分野、光学関連分野において、たとえば光ファ
イバの鞘材、反射防止膜、層間絶縁膜などを製造する材
料として使用することができる。
説明する。実施例1 容量50mlのナス型フラスコに、CH2=CFCF2OCF(CF3)C
F2OCF(CF3)CN5.01gと、ラジカル重合開始剤として
[H(CF2CF2)3COO]2(以下、「DHP」と略す。)の8wt%
パーフルオロヘキサン溶液0.5gを入れ、ドライアイ
スアセトン混合液で冷却し、フラスコ内雰囲気の脱気・
窒素置換を3回繰り返し、最後に窒素により大気圧まで
加圧し、フラスコを密閉し、内容物を20℃で24時間
攪拌して、重合を行った。重合終了後、フラスコ内雰囲
気を大気に解放し、50℃にて残存モノマーを減圧下に
除去した。フラスコには、柔らかい重合体4.22gが
残った。IRにより、重合体はCH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OC
F(CF3)CNの単独重合体であることが確認された。この単
独重合体のジクロロペンタフルオロエタン溶液の、35
℃での[η]は0.067であった。ガラス転移温度
は、DSCによれば7.5℃であった。
プロパン溶液(濃度10%)を調製し、溶液を岩塩板上
にキャストし、ガラス容器中でアンモニアガスと室温で
3日間接触させた。形成された重合体膜についてのIR
チャートでは、2250cm-1のシアン基による吸収が減
少し、1640cm-1、1605cm-1、1520cm-1、3
490cm-1、3340cm-1付近にイミドイルアミジンに
よる吸収が確認された。形成された膜を岩塩板からはが
すと、無色透明の堅く、弾力性のある膜が得られた。
日間加熱すると、IRチャートでは2250cm-1のシア
ノ基の吸収はさらに減少し、新たに1550cm -1付近に
トリアジン環による吸収が現れた。さらに250℃で2
日間加熱すると、2250cm-1付近のシアノ基の吸収は
ほとんど消滅し、1550cm-1付近のトリアジン環によ
る吸収が増大した。こうして得られた膜は、無色透明
で、硬さが増していた。この硬化膜の空気中での熱分解
開始温度は302.1℃であり、10%分解温度は35
6℃、50%分解温度は392℃であった。
ロプロパン5mlに溶解し、溶液を水平板上に置いた直
径約4.3cmのシャーレに流し込み、溶媒を蒸発させる
ことにより、厚さ約100μの重合体の膜を得た。これ
を実施例1と同様に、アンモニアガスで処理することに
より、無色透明の堅く、弾力性のあるフイルムが得られ
た。この硬化膜に対する水の接触角は98.5度であっ
た。DMA(Dynamic Mechanical Analysis)測定によ
ると、弾性率は33.7℃で1.45×1010dyn/cm2、
254.6℃で1.97×107dyn/cm2、226.8℃で
1.50×107dyn/cm2であった。この硬化膜を空気
中,250℃で2時間処理することにより、室温に冷却
後にはさらに硬い無色透明の膜が得られた。この、加熱
後の硬化膜に対する水の接触角は99.2度であった。
ンを加え、スパチュラで練り混ぜた。これを室温で1日
放置したところ、硬化体が得られた。実施例3で得た硬
化前の重合体膜(厚さ約100μm)の上に、トリエチ
ルアミンを塗布して一日静置したところ、無色透明の硬
化膜が得られた。
2OCF(CF3)CN5gとラジカル重合開始剤としてDHPの
8wt%トリクロロトリフルオロエタン溶液0.5gを加
え、重合させた。重合終了後、フラスコ雰囲気を大気に
解放し、50℃にて残存モノマーを真空で除去した。フ
ラスコには4.11gの柔らかい重合体が残った。この
重合体のガラス転移温度は、DSCによれば−34.5
℃であった。
フルオロプロパンに溶解し、水平台に置いた直径約4.
3cmのシャーレに流し込み、常温、大気中で溶媒を蒸発
させた。これにより厚さ約100μの共重合体の膜が得
られた。これを実施例1と同様に、アンモニアガスで処
理することにより、無色透明の堅く、弾力性のあるフイ
ルムが得られた。
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式: 【化1】 (式中、X、YおよびZは、それぞれ独立に、水素原
子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子
を表す。ただし、X、YおよびZの少なくとも一つはフ
ッ素原子である。Rは、酸素原子を含んでいてよい炭素
数1〜20の直鎖または分岐含フッ素アルキレン基を表
す。xおよびyはモル%を表し、xは1〜100モル%
である。Aは、−CN、−NCO、−COOR'(ここ
で、R'は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基
である。)、酸無水物基または不飽和炭化水素基を表
す。Mは、共重合可能な単量体から誘導される繰り返し
単位を表す。)で示される構造を有する含フッ素重合体
を、アンモニア、ジアミンおよびポリオール化合物から
なる群から選択される少なくとも一種の架橋剤により処
理して該重合体の側鎖官能基を介して架橋させることを
特徴とする重合体の硬化方法。 - 【請求項2】 一般式: 【化2】 (式中、X、Y,Z、X'、Y'およびZ'は、それぞれ
独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子ま
たはヨウ素原子を表す。ただし、X、YおよびZの少な
くとも一つはフッ素原子である。R1およびR2は、それ
ぞれ独立に、酸素原子を含んでいてよい炭素数1〜20
の直鎖または分岐含フッ素アルキレン基を表す。zおよ
びwはモル%を表し、zは1〜100モル%である。E
は、−CN以外の有機基を表す。)で示される構造を有
する含フッ素重合体を、塩基の存在下に硬化させること
を特徴とする重合体の硬化方法。 - 【請求項3】 XおよびYは水素原子であり、Zはフッ
素であり、R1は式:−CF2ORf− (式中、Rfは炭素数1〜20の、酸素を含んでいてよ
いフッ素化アルキレン基を表す。)で示される基である
請求項2に記載の硬化方法。 - 【請求項4】 硬化させた重合体をさらに100℃以上
に加熱する請求項1〜3のいずれかに記載の硬化方法。
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