JPH05230151A - 含フッ素ポリマーおよび硬化物 - Google Patents

含フッ素ポリマーおよび硬化物

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JPH05230151A
JPH05230151A JP22465592A JP22465592A JPH05230151A JP H05230151 A JPH05230151 A JP H05230151A JP 22465592 A JP22465592 A JP 22465592A JP 22465592 A JP22465592 A JP 22465592A JP H05230151 A JPH05230151 A JP H05230151A
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JP
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monomer
formula
fluorine
fluoropolymer
copolymer
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JP22465592A
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Atsushi Watakabe
淳 渡壁
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】従来の含フッ素ポリマーの持つ耐熱性、耐薬品
性等の優れた特性を有し、硬化可能な新しい含フッ素ポ
リマー、特には硬化性パーフルオロポリマーを提供す
る。 【構成】式(1)で表される5つ以上の炭素原子または
酸素原子を介して反応性の異なる二つの二重結合を有す
るパーフルオロジエン単量体と少なくとも一種の他の単
量体との共重合することにより、側鎖末端に二重結合を
有する含フッ素ポリマーを得る。 CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mCF=CF2 式(1) (ただし、n、mはそれぞれ独立に1〜3の整数)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な硬化性含フッ素
ポリマーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、耐熱性や耐薬品性の優れた含フッ
素ポリマーとして、樹脂の分野ではポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE樹脂)、テトラフルオロエチレン/
ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP樹脂)、ポ
リクロロトリフルオロエチレン(PCTFE樹脂)、テ
トラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合体(PFA樹脂)、エチレン/テトラフル
オロエチレン共重合体(ETFE樹脂)等が知られてい
るが、一般に含フッ素ポリマーは物理的に柔らかいもの
が多い。
【0003】その一つの理由として、これらの(共)重
合体が線状構造を有していることが挙げられる。また、
線状構造を有しているため、ある温度以上になるとそれ
までの形状を保てなくなり、流れてしまうという短所を
有している。
【0004】一方、含フッ素ゴムの分野では、ポリアミ
ン架橋、過酸化物架橋やポリオール架橋による架橋が行
われているが、これらの適用はプロピレン/テトラフル
オロエチレン共重合体やフッ化ビニリデン/ヘキサフル
オロプロピレン共重合体のようなC−H結合を有するポ
リマーに限られていた。パーフルオロゴムの製造におい
ては、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキル
ビニルエーテルとシアノ基含有パーフルオロモノマーの
三元共重合体が用いられているが、この場合には、特殊
なシアノ基含有パーフルオロモノマーを用いる必要があ
り、またテトラフェニル錫のような架橋助剤を添加する
必要があった。
【0005】また、含フッ素ポリマーの側鎖に二重結合
を導入した例は、特開昭56−79142号公報、およ
び特開昭56−84711号公報に見られるが、二重結
合の導入方法および加硫方法において本発明とは異なる
ものである。これらの発明においては式(3)の単量体
の共重合体の熱分解または式(4)の単量体の共重合に
よる方法が記載されている。 CF2=CFOCF2CF2CO2Na 式(3) CF2=CFOCF2CF=CF2 式(4)
【0006】前者の方法は本発明とは物質も手法も異な
るものであり、後者の方法は特開平1−131215号
公報に見られるように、このような二重結合の間隔が小
さいジエンモノマーは環化重合が優先的に起こるので側
鎖に二重結合を導入する方法としては得策ではない。
【0007】また加硫にはポリヒドロキシ芳香族化合物
や、パーオキシ化合物および多アリル化合物からなる加
硫剤が用いられており、耐熱性や化学的安定性のさらに
優れた含フッ素またはパーフルオロ共重合体を得るため
には、加硫剤を必要としない加硫方法が望まれる。
【0008】一方で、重合時に架橋されたパーフルオロ
ポリマーを得る方法はパーフルオロジビニルエーテル単
量体の重合に関して米国特許3,310,606号明細
書および特開昭62−59610号公報に開示されてい
るが、単量体の二つの二重結合がいずれも重合反応性が
大きいので、このポリマーは重合時に架橋が起こってし
まい、溶融成形し得る樹脂状物を製造することが困難で
あるという短所を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述のよう
な課題を克服するため、従来の含フッ素ポリマーの持つ
優れた特性を損なうことなく、成形性と優れた機械的特
性を合わせ有する含フッ素ポリマーを新規に提供するこ
とを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明は反応
性の異なる二つの二重結合を有する単量体を共重合する
ことにより、ポリマーの側鎖に二重結合を導入し、その
ポリマーを成形加工したのち、熱処理や放射線処理等の
後処理により、従来の含フッ素ポリマーの持つ優れた特
性を損なうことなく、成形性と優れた機械的特性を合わ
せ有する含フッ素ポリマーを新規に提供するものであ
る。
【0011】すなわち、式(1)のパーフルオロジエン
単量体および他のラジカル重合性単量体をラジカル重合
開始源の存在下に共重合することを特徴とする含フッ素
ポリマーの製造方法、およびこれにより得られる含フッ
素ポリマーを提供するものである。 CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mCF=CF2 式(1) (ただし、n、mはそれぞれ独立に1〜3の整数)
【0012】本発明に用いられるパーフルオロジエン単
量体は二つの二重結合の間に連結鎖を構成する5個以上
の炭素または酸素原子を有するものである。例えば特開
平1−131215号公報に開示されているように二つ
の二重結合の間の連結鎖を構成する炭素原子または酸素
原子の数が2〜4個の場合には5〜6員環を生成する環
化重合が支配的になるために、二重結合の側鎖部への導
入は効率よく起こらない。
【0013】また、本発明に用いられるパーフルオロジ
エン単量体は二つの二重結合の重合反応性が異なるた
め、含フッ素ポリマー側鎖中に容易に二重結合を導入す
ることが可能である。
【0014】本発明に用いられる単量体は例えば式
(5)(ただし、n、mはそれぞれ独立に1〜3の整
数、Mはアルカリ金属)の化合物を熱分解することによ
り得ることができる(特開昭55−15410号)。 CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mCF2CF2COOM 式(5) また、特開平1−143844号公報に記載されている
式(1)でn=1〜3、m=2の化合物の製造方法を以
下に示す。
【0015】
【化1】
【0016】本発明に用いられるパーフルオロジエン単
量体は、合成副生成物であるヘキサフルオロプロピレン
オキシドが逆向きに付加した例えば式(6)のような化
合物を含有していてもよい。 CF2=CFO(CF(CF3)CF2O)n(CF2)mCF=CF2 式(6) (ただし、n、mはそれぞれ独立に1〜3の整数)
【0017】本発明に用いられるパーフルオロジエン単
量体と共重合する単量体はラジカル重合性単量体であれ
ば特に特定する必要はない。
【0018】かかるラジカル重合性単量体としては、テ
トラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パ
ーフルオロ(アリルビニルエーテル)、パーフルオロ
(ブテニルビニルエーテル)、パーフルオロ(2,2−
ジメチル−1,3−ジオキソール)、クロロトリフルオ
ロエチレン、フッ化ビニリデン、1,1−ジフルオロ−
2,2−ジクロロエチレン、1,1−ジフルオロ−2−
クロロヘキサフルオロプロピレン、1,1,1,3,3
−ペンタフルオロプロピレン、エチレン、塩化ビニル、
パーフルオロニトロソメタン、パーフルオロ(アルキル
ビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン
などが例示される。
【0019】また、イオン交換能を付与したり表面エネ
ルギーを調整するために式(7)、(8)(nは0〜3
の整数、mは1〜3の整数、Rはアルキル基)に示した
パーフルオロモノマーやアクリル酸、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、含フッ素アルキルアクリレ
ート、含フッ素アルキルメタクリレート等を用いること
もできる。 CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mCO2R 式(7) CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mSO2F 式(8)
【0020】上記パーフルオロジエン単量体以外のラジ
カル重合性単量体は、一種の単独使用であってもよいし
二種以上の混合物を使用してもよい。
【0021】耐熱性、耐薬品性に優れた含フッ素弾性体
または含フッ素樹脂を提供するという観点からは、ラジ
カル重合性単量体の少なくとも一種として含フッ素単量
体を含んでいることが好ましい。特に、式(2)で表さ
れる含フッ素単量体が好ましい。 CF2=CFX 式(2) (Xは、フッ素、塩素、炭素数1〜3のパーフルオロア
ルキル基または炭素数1〜3のパーフルオロアルコキシ
基)
【0022】重合方法としてはラジカル重合が用いられ
る。即ち、重合方法としては、ラジカル的に進行するも
のであれば手段は何ら制限されないが、バルク重合、溶
液重合、懸濁重合または乳化重合を用いることができ
る。
【0023】また、重合は、ラジカル重合開始源の存在
下に行われる。ラジカル重合開始源としては、電離性放
射線などの活性エネルギー線や重合開始剤が通常に使用
される。重合開始剤としては遊離ラジカル重合開始剤が
好ましく、例えばジ(フルオロアシル)パーオキシド
類、ジ(クロロフルオロアシル)パーオキシド類、ジア
ルキルパーオキシジカーボネート類、ジアシルパーオキ
シド類、パーオキシエステル類、アゾビス化合物類、過
硫酸塩類などが挙げられる。
【0024】また、重合媒体としては、溶液重合ではト
リクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタ
ンなどのクロロフルオロカーボン類、tert- ブタノール
などが挙げられ、懸濁重合、乳化重合では水または前述
のような他の溶媒との混合媒体が用いられる。
【0025】重合温度は0〜100℃の範囲から選択す
ることができる。重合圧力は使用するモノマーによって
異なるが、例えばテトラフルオロエチレンとの共重合で
は0.5〜30kg/cm2 Gの範囲から選択すること
ができる。
【0026】このようにして得られた含フッ素ポリマー
は側鎖に反応性の高い二重結合を有するので、熱処理に
よって共重合体を硬化させることが可能である。熱処理
温度は100〜500℃が適当であり、好ましくは15
0〜450℃の範囲から選択される。また電子線、紫外
線、γ線等の放射線により硬化させることも可能であ
り、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。紫外線
硬化の場合には必要に応じて光重合開始剤を添加しても
よい。放射線処理の手法は、含フッ素ポリマーによる電
線被覆の分野において有用であり、電子線照射が好んで
用いられる。
【0027】硬化は側鎖に導入された二重結合の環化付
加反応(四員環の形成)や重合、オリゴメリゼーション
によって進行すると考えられる。
【0028】また、空気中における熱処理では上述の反
応による機構だけでなく、二重結合の酸化反応に伴うカ
ルボキシル基の生成による硬化機構も考えられる。即
ち、カルボキシル基の会合、イオン的な架橋やカルボキ
シル基の分解により生成したラジカルのカップリングに
よる架橋等が起こっていると考えられる。酸化により生
成したカルボン酸フルオリドと二重結合との環化付加反
応によるオキセタン構造の形成も考えられる。二重結合
はこのように空気中高温では反応性が高いので、真空中
または不活性ガス雰囲気で硬化させた共重合体中に二重
結合が残存している場合には、再度空気中で熱処理する
ことにより物性を安定化させることもできる。
【0029】また、ガス状ハロゲン、例えばフッ素ガス
で硬化物を処理することにより未反応の二重結合を安定
化させることもできる。フッ素ガスは必要に応じて窒素
ガス等の不活性ガスで希釈して用いてもよい。
【0030】本発明の含フッ素ポリマーにおいて、パー
フルオロジエン単量体に基づく重合単位が、0.01モ
ル%以上の割合で含有するものが好ましい。この重合単
位の割合が少な過ぎると本発明の目的である硬化物を得
ることが難しくなる。また、上限は特に設定されない
が、40モル%も含有していれば十分である。
【0031】また、残部は、ラジカル重合性単量体に基
づく単位であるが、含フッ素単量体に基づく単位が60
〜99.99モル%であることが耐薬品性、耐熱性に優
れた含フッ素ポリマーまたはその硬化物が得られること
から好ましい。
【0032】また、本発明において、含フッ素ポリマー
の分子量は特に限定されることなく、室温で液状のもの
から、室温で固体であるが高温で溶融流動性を示す程度
のものや、室温および高温において流動性を示さない高
分子量体まで適用できる。低分子量体はゴムの原料とし
て用いることができ、室温で固体であるが高温で溶融流
動性を示すものは熱可塑性と熱硬化性とを合わせ有する
成形性の優れた成形材料を提供する。また、溶融温度が
高く高温で溶融するとすぐに硬化してしまうものは粉体
塗装用または焼結成形用の材料として好適である。高温
でも流動性を示さないものは焼結成形により硬化物を得
ることができる。また、室温で液状の低分子量体は、そ
れ自体で塗料用として使用することができる。
【0033】本発明は、共重合組成の選択によりゴムか
ら樹脂まで幅広く適用することができる。硬化されたゴ
ムを作成するには、従来知られている重合組成に本発明
に用いられるパーフルオロジエン単量体を適当量添加し
て共重合し、次いで熱処理や放射線処理等で硬化させる
ことが可能である。例えばパーフルオロ(アルキルビニ
ルエーテル)を10〜40モル%、パーフルオロジエン
単量体を0.01〜20モル%含有し、テトラフルオロ
エチレン(残部)との三元共重合体を硬化させることに
より弾性体を得ることができる。
【0034】一方、樹脂の分野では、組成、分子量の選
択により熱硬化温度よりも低い温度範囲では熱可塑性を
示すような、熱可塑性と熱硬化性の両方を備えた共重合
体の調製が可能である。また熱硬化温度付近に融点を有
するような共重合体を調製すれば、溶融するとすぐに硬
化するような粉体塗装に適した共重合体を調製すること
が可能である。ただし、このような場合には実際に溶融
したかどうかを熱分析から判断するのは困難である。す
なわち、熱分析からは同じ温度範囲で溶融による吸熱と
硬化に伴う発熱があるために熱分析ピークの同定が困難
である。
【0035】溶融したかどうかは熱処理前後で外観を比
較することによりわかる。即ち熱処理前では白い共重合
体の粉、粉体塗装膜または圧縮成形品が熱処理後には半
透明もしくは透明な樹脂に変化する。非常に分子量の大
きい共重合体の場合にはポリテトラフルオロエチレンの
ように熱処理した後も不透明の場合もあるが、このよう
な場合でも熱処理により硬化させることができる。
【0036】そして、ゴム、樹脂のいずれにおいてもラ
ジカル重合性単量体として完全フッ素置換の単量体を選
択すれば、パーフルオロの硬化性ポリマーおよび硬化物
を合成できるという特徴を有する。ただし、ここでパー
フルオロコポリマーとは共重合体の中に含まれる炭素原
子と酸素原子を除いた全ての原子数に対するフッ素原子
数の割合が95%以上である共重合体を指すものとす
る。このようなパーフルオロコポリマーを十分に硬化さ
せると非常に優れた耐熱性および耐薬品性を有するパー
フルオロの硬化物が得られる。
【0037】特に、式(1)のパーフルオロジエン単量
体とテトラフルオロエチレンであってそれぞれに基づく
単位を0.01〜40モル%、99.99〜60モル%
で含有する場合に硬化体はバランスのとれた機械的物性
および各種薬品に対する耐性等が得られる。この場合、
未硬化状態の含フッ素ポリマーが常温において固体であ
り、高温で流動性を示す程度の分子量を有することが好
ましい。常温で固体でないものは成形作業時、輸送時等
の取扱いが煩雑になり、好ましくない。また、高温で流
動性を示さないものは成形作業性に劣り、また、硬化体
にしたときに期待通りの機械的強度が達成されないこと
もある。溶融成形する上で好ましい分子量は、成形条件
にも依存するが、容量流速(実施例に示す方法に従って
測定)が、5〜50kg重の荷重を用いて20〜300
℃の間のある温度において0.1〜1000mm3 /秒
となる値である。
【0038】さらに、式(1)のパーフルオロジエン単
量体に基づく単位が0.5〜30モル%であることが好
ましい。この単位の量が少な過ぎると、架橋硬化物は得
られるが、機械的物性の向上が十分に達成されないこと
がある。また、この単位の量が多いと、より硬い硬化体
が得られるが、多過ぎると硬化体が脆くなることがあっ
たり、硬化時の収縮により精密成形品の製造が難しくな
ったり、取扱いの容易な高分子量体を得るのが困難にな
ったりするため好ましくない。
【0039】
【実施例】
実施例1 100cm3 のオートクレーブにCF2 =CFOCF2
CF(CF3 )OCF2 CF2 CF=CF2 (以下PG
BVという)24.4g、1,1,2−トリクロロトリ
フルオロエチレン(以下R113という)を20.6
g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートを45m
g、メタノールを0.45g仕込み、液体窒素で冷却し
て脱気したのち40℃にてテトラフルオロエチレンを逐
次添加しつつ圧力を7kg/cm2 Gに保持した。15
時間反応したのち四塩化炭素で3回再沈を繰り返し60
℃で真空乾燥をして含フッ素ポリマー7.0gを得た。
赤外吸収スペクトルには1788cm-1に側鎖の二重結
合による強い吸収が観測された。
【0040】得られた含フッ素ポリマーの容量流速をフ
ローテスタ(島津製作所製)を用いて測定した。100
℃、荷重10kg重で1mmφ、長さ2mmのダイを用
いて測定したところ、容量流速は19mm3 /秒であっ
た。
【0041】この含フッ素ポリマーを200℃、空気中
で16時間熱処理した後同様にして容量流速を測定した
ところ、100℃および200℃のいずれの温度でも容
量流速は0であった。
【0042】19F−NMR(CFCl3 基準)にて重合
で得られた含フッ素ポリマーの組成を調べたところPG
BVの割合は14モル%であった。
【0043】実施例2 仕込のメタノールを90mgにした以外は実施例1と同
様にして重合を行った。16時間の重合で6.8gの含
フッ素ポリマーが得られた。170℃、10kg重で他
の条件は実施例1と同じにして容量流速を測定したとこ
ろ4.7mm3/秒であった。19F−NMR(CFCl3
基準)で含フッ素ポリマーの組成を調べたところPG
BVの割合は14モル%であった。赤外吸収スペクトル
の図を図1に示す。
【0044】200℃、空気中で16時間熱処理すると
含フッ素ポリマーは硬化し、170℃の容量流速は0に
なった。200℃、真空中で16時間処理した場合には
定性的には硬化が認められなかったが、300℃、真空
中で16時間の熱処理では明かな硬化が認められ、17
0℃および300℃の容量流速は0になった。重合上が
りの含フッ素ポリマーを160℃で溶融した塊の室温に
おけるデュロメーター硬度はD20で、それを空気中2
00℃で硬化させるとD60になった。
【0045】実施例3 100cm3 のオートクレーブにPGBV24.4g、
R113を20.6g、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート45mgを添加し、40℃でテトラフルオロ
エチレンを逐次添加しつつ圧力を7kg/cm2 Gに保
持した。0.5時間反応したのち四塩化炭素で3回再沈
を繰り返し60℃で真空乾燥をして含フッ素ポリマー
6.4gを得た。熱分析によって得られた含フッ素ポリ
マーの融点は344℃であり、350℃でプレスすると
脆い薄膜が得られた。この薄膜を再度380℃で10分
プレスすると強靭なフイルムが得られた。380℃のプ
レスの前後で赤外吸収スペクトルを測定すると、178
8cm-1の二重結合の吸光度と1788cm-1の−CF
2 −の吸光度との比は、プレス前後で1.8から1.2
になった。
【0046】実施例4 100cm3 のオートクレーブにパーフルオロプロピル
ビニルエーテル1.66g、PGBV1.38g、R1
13を117.3g、メタノール45mg、パーフルオ
ロブタノイルパーオキシド5%溶液(溶媒R113)
4.0gを添加し、25℃でテトラフルオロエチレンを
逐次添加しつつ圧力を2kg/cm2 Gに保持した。
2.5時間反応したのちn−ヘキサンで3回再沈を繰り
返し60℃で真空乾燥をして含フッ素ポリマー9.6g
を得た。得られた含フッ素ポリマーを室温で圧縮成形
し、380℃で10分加熱すると半透明な樹脂が得ら
れ、室温でデュロメーター(D型)を用いて硬さを測定
したところD65であって、市販のPFA樹脂(D6
0)よりも硬いことが確かめられた。
【0047】実施例5 1000cm3 のオートクレーブにPGBVを45g、
R113を955g、メタノールの4%R113溶液を
52g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートを
1.0g添加し、40℃でテトラフルオロエチレンを逐
次添加しつつ圧力を3.0kg/cm3 Gに保持した。
8.5時間反応した後ヘキサンで3回再沈を繰り返し6
0℃で真空乾燥し含フッ素ポリマー78gを得た。この
ポリマーを320℃でプレスしてフィルムを作成し、弾
性率を測定した。室温弾性率は7×109 dyn/cm
2 、200℃弾性率は6×108 dyn/cm2 であっ
た。電子線を50Mrad照射した後の200℃弾性率
は1.2×109 dyn/cm2 になった。
【0048】比較例1 PGBVの代わりにそれと等モルのCF2 =CFO(C
F2 )5 OCF=CF2 を用いたほかは実施例1と同様
にして共重合体を合成した。この共重合体について、2
0、100、200、300℃にて実施例1と同様にし
て測定した容量流速はいずれも0mm3 /秒であった。
【0049】比較例2 PGBVの代わりにそれと等モルのCF2 =CFO(C
F2 )5 OCF=CF2 を用いたほかは実施例2と同様
にして共重合体を合成した。この共重合体は、比較例2
と同様に溶融流動性を示さなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、優れた耐熱性および耐
薬品性を有し、成形性に優れ、硬化させることにより機
械的強度の優れた含フッ素ポリマーを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の含フッ素ポリマーの赤外吸収スペク
トルの図
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】含フッ素ポリマーおよび硬化物
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な硬化性含フッ素
ポリマーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、耐熱性や耐薬品性の優れた含フッ
素ポリマーとして、樹脂の分野ではポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE樹脂)、テトラフルオロエチレン/
ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP樹脂)、ポ
リクロロトリフルオロエチレン(PCTFE樹脂)、テ
トラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエ
ーテル共重合体(PFA樹脂)、エチレン/テトラフル
オロエチレン共重合体(ETFE樹脂)等が知られてい
るが、一般に含フッ素ポリマーは物理的に柔らかいもの
が多い。
【0003】その一つの理由として、これらの(共)重
合体が線状構造を有していることが挙げられる。また、
線状構造を有しているため、ある温度以上になるとそれ
までの形状を保てなくなり、流れてしまうという短所を
有している。
【0004】一方、含フッ素ゴムの分野では、ポリアミ
ン架橋、過酸化物架橋やポリオール架橋による架橋が行
われているが、これらの適用はプロピレン/テトラフル
オロエチレン共重合体やフッ化ビニリデン/ヘキサフル
オロプロピレン共重合体のようなC−H結合を有するポ
リマーに限られていた。パーフルオロゴムの製造におい
ては、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキル
ビニルエーテルとシアノ基含有パーフルオロモノマーの
三元共重合体が用いられているが、この場合には、特殊
なシアノ基含有パーフルオロモノマーを用いる必要があ
り、またテトラフェニル錫のような架橋助剤を添加する
必要があった。
【0005】また、含フッ素ポリマーの側鎖に二重結合
を導入した例は、特開昭56−79142号公報、およ
び特開昭56−84711号公報に見られるが、二重結
合の導入方法および加硫方法において本発明とは異なる
ものである。これらの発明においては式(3)の単量体
の共重合体の熱分解または式(4)の単量体の共重合に
よる方法が記載されている。 CF2=CFOCF2CF2CO2Na 式(3) CF2=CFOCF2CF=CF2 式(4)
【0006】前者の方法は本発明とは物質も手法も異な
るものであり、後者の方法は特開平1−131215号
公報に見られるように、このような二重結合の間隔が小
さいジエンモノマーは環化重合が優先的に起こるので側
鎖に二重結合を導入する方法としては得策ではない。
【0007】また加硫にはポリヒドロキシ芳香族化合物
や、パーオキシ化合物および多アリル化合物からなる加
硫剤が用いられており、耐熱性や化学的安定性のさらに
優れた含フッ素またはパーフルオロ共重合体を得るため
には、加硫剤を必要としない加硫方法が望まれる。
【0008】一方で、重合時に架橋されたパーフルオロ
ポリマーを得る方法はパーフルオロジビニルエーテル単
量体の重合に関して米国特許3,310,606号明細
書および特開昭62−59610号公報に開示されてい
るが、単量体の二つの二重結合がいずれも重合反応性が
大きいので、このポリマーは重合時に架橋が起こってし
まい、溶融成形し得る樹脂状物を製造することが困難で
あるという短所を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述のよう
な課題を克服するため、従来の含フッ素ポリマーの持つ
優れた特性を損なうことなく、成形性と優れた機械的特
性を合わせ有する含フッ素ポリマーを新規に提供するこ
とを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明は反応
性の異なる二つの二重結合を有する単量体を共重合する
ことにより、ポリマーの側鎖に二重結合を導入し、その
ポリマーを成形加工したのち、熱処理や放射線処理等の
後処理により、従来の含フッ素ポリマーの持つ優れた特
性を損なうことなく、成形性と優れた機械的特性を合わ
せ有する含フッ素ポリマーを新規に提供するものであ
る。
【0011】すなわち、式(1)のパーフルオロジエン
単量体および他のラジカル重合性単量体をラジカル重合
開始源の存在下に共重合することを特徴とする含フッ素
ポリマーの製造方法、およびこれにより得られる含フッ
素ポリマーを提供するものである。 CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mCF=CF2 式(1) (ただし、n、mはそれぞれ独立に1〜3の整数)
【0012】本発明に用いられるパーフルオロジエン単
量体は二つの二重結合の間に連結鎖を構成する5個以上
の炭素または酸素原子を有するものである。例えば特開
平1−131215号公報に開示されているように二つ
の二重結合の間の連結鎖を構成する炭素原子または酸素
原子の数が2〜4個の場合には5〜6員環を生成する環
化重合が支配的になるために、二重結合の側鎖部への導
入は効率よく起こらない。
【0013】また、本発明に用いられるパーフルオロジ
エン単量体は二つの二重結合の重合反応性が異なるた
め、含フッ素ポリマー側鎖中に容易に二重結合を導入す
ることが可能である。
【0014】本発明に用いられる単量体は例えば式
(5)(ただし、n、mはそれぞれ独立に1〜3の整
数、Mはアルカリ金属)の化合物を熱分解することによ
り得ることができる(特開昭55−15410号)。 CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mCF2CF2COOM 式(5) また、特開平1−143844号公報に記載されている
式(1)でn=1〜3、m=2の化合物の製造方法を以
下に示す。
【0015】
【化1】
【0016】本発明に用いられるパーフルオロジエン単
量体は、合成副生成物であるヘキサフルオロプロピレン
オキシドが逆向きに付加した例えば式(6)のような化
合物を含有していてもよい。 CF2=CFO(CF(CF3)CF2O)n(CF2)mCF=CF2 式(6) (ただし、n、mはそれぞれ独立に1〜3の整数)
【0017】本発明に用いられるパーフルオロジエン単
量体と共重合する単量体はラジカル重合性単量体であれ
ば特に特定する必要はない。
【0018】かかるラジカル重合性単量体としては、テ
トラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パ
ーフルオロ(アリルビニルエーテル)、パーフルオロ
(ブテニルビニルエーテル)、パーフルオロ(2,2−
ジメチル−1,3−ジオキソール)、クロロトリフルオ
ロエチレン、フッ化ビニリデン、1,1−ジフルオロ−
2,2−ジクロロエチレン、1,1−ジフルオロ−2−
クロロヘキサフルオロプロピレン、1,1,1,3,3
−ペンタフルオロプロピレン、エチレン、塩化ビニル、
パーフルオロニトロソメタン、パーフルオロ(アルキル
ビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン
などが例示される。
【0019】また、イオン交換能を付与したり表面エネ
ルギーを調整するために式(7)、(8)(nは0〜3
の整数、mは1〜3の整数、Rはアルキル基)に示した
パーフルオロモノマーやアクリル酸、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、含フッ素アルキルアクリレ
ート、含フッ素アルキルメタクリレート等を用いること
もできる。 CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mCO2R 式(7) CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mSO2F 式(8)
【0020】上記パーフルオロジエン単量体以外のラジ
カル重合性単量体は、一種の単独使用であってもよいし
二種以上の混合物を使用してもよい。
【0021】耐熱性、耐薬品性に優れた含フッ素弾性体
または含フッ素樹脂を提供するという観点からは、ラジ
カル重合性単量体の少なくとも一種として含フッ素単量
体を含んでいることが好ましい。特に、式(2)で表さ
れる含フッ素単量体が好ましい。 CF2=CFX 式(2) (Xは、フッ素、塩素、炭素数1〜3のパーフルオロア
ルキル基または炭素数1〜3のパーフルオロアルコキシ
基)
【0022】重合方法としてはラジカル重合が用いられ
る。即ち、重合方法としては、ラジカル的に進行するも
のであれば手段は何ら制限されないが、バルク重合、溶
液重合、懸濁重合または乳化重合を用いることができ
る。
【0023】また、重合は、ラジカル重合開始源の存在
下に行われる。ラジカル重合開始源としては、電離性放
射線などの活性エネルギー線や重合開始剤が通常に使用
される。重合開始剤としては遊離ラジカル重合開始剤が
好ましく、例えばジ(フルオロアシル)パーオキシド
類、ジ(クロロフルオロアシル)パーオキシド類、ジア
ルキルパーオキシジカーボネート類、ジアシルパーオキ
シド類、パーオキシエステル類、アゾビス化合物類、過
硫酸塩類などが挙げられる。
【0024】また、重合媒体としては、溶液重合ではト
リクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタ
ンなどのクロロフルオロカーボン類、tert- ブタノール
などが挙げられ、懸濁重合、乳化重合では水または前述
のような他の溶媒との混合媒体が用いられる。
【0025】重合温度は0〜100℃の範囲から選択す
ることができる。重合圧力は使用するモノマーによって
異なるが、例えばテトラフルオロエチレンとの共重合で
は0.5〜30kg/cm2 Gの範囲から選択すること
ができる。
【0026】このようにして得られた含フッ素ポリマー
は側鎖に反応性の高い二重結合を有するので、熱処理に
よって共重合体を硬化させることが可能である。熱処理
温度は100〜500℃が適当であり、好ましくは15
0〜450℃の範囲から選択される。また電子線、紫外
線、γ線等の放射線により硬化させることも可能であ
り、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。紫外線
硬化の場合には必要に応じて光重合開始剤を添加しても
よい。放射線処理の手法は、含フッ素ポリマーによる電
線被覆の分野において有用であり、電子線照射が好んで
用いられる。
【0027】硬化は側鎖に導入された二重結合の環化付
加反応(四員環の形成)や重合、オリゴメリゼーション
によって進行すると考えられる。
【0028】また、空気中における熱処理では上述の反
応による機構だけでなく、二重結合の酸化反応に伴うカ
ルボキシル基の生成による硬化機構も考えられる。即
ち、カルボキシル基の会合、イオン的な架橋やカルボキ
シル基の分解により生成したラジカルのカップリングに
よる架橋等が起こっていると考えられる。酸化により生
成したカルボン酸フルオリドと二重結合との環化付加反
応によるオキセタン構造の形成も考えられる。二重結合
はこのように空気中高温では反応性が高いので、真空中
または不活性ガス雰囲気で硬化させた共重合体中に二重
結合が残存している場合には、再度空気中で熱処理する
ことにより物性を安定化させることもできる。
【0029】また、ガス状ハロゲン、例えばフッ素ガス
で硬化物を処理することにより未反応の二重結合を安定
化させることもできる。フッ素ガスは必要に応じて窒素
ガス等の不活性ガスで希釈して用いてもよい。
【0030】本発明の含フッ素ポリマーにおいて、パー
フルオロジエン単量体に基づく重合単位が、0.01モ
ル%以上の割合で含有するものが好ましい。この重合単
位の割合が少な過ぎると本発明の目的である硬化物を得
ることが難しくなる。また、上限は特に設定されない
が、40モル%も含有していれば十分である。
【0031】また、残部は、ラジカル重合性単量体に基
づく単位であるが、含フッ素単量体に基づく単位が60
〜99.99モル%であることが耐薬品性、耐熱性に優
れた含フッ素ポリマーまたはその硬化物が得られること
から好ましい。
【0032】また、本発明において、含フッ素ポリマー
の分子量は特に限定されることなく、室温で液状のもの
から、室温で固体であるが高温で溶融流動性を示す程度
のものや、室温および高温において流動性を示さない高
分子量体まで適用できる。低分子量体はゴムの原料とし
て用いることができ、室温で固体であるが高温で溶融流
動性を示すものは熱可塑性と熱硬化性とを合わせ有する
成形性の優れた成形材料を提供する。また、溶融温度が
高く高温で溶融するとすぐに硬化してしまうものは粉体
塗装用または焼結成形用の材料として好適である。高温
でも流動性を示さないものは焼結成形により硬化物を得
ることができる。また、室温で液状の低分子量体は、そ
れ自体で塗料用として使用することができる。
【0033】本発明は、共重合組成の選択によりゴムか
ら樹脂まで幅広く適用することができる。硬化されたゴ
ムを作成するには、従来知られている重合組成に本発明
に用いられるパーフルオロジエン単量体を適当量添加し
て共重合し、次いで熱処理や放射線処理等で硬化させる
ことが可能である。例えばパーフルオロ(アルキルビニ
ルエーテル)を10〜40モル%、パーフルオロジエン
単量体を0.01〜20モル%含有し、テトラフルオロ
エチレン(残部)との三元共重合体を硬化させることに
より弾性体を得ることができる。
【0034】一方、樹脂の分野では、組成、分子量の選
択により熱硬化温度よりも低い温度範囲では熱可塑性を
示すような、熱可塑性と熱硬化性の両方を備えた共重合
体の調製が可能である。また熱硬化温度付近に融点を有
するような共重合体を調製すれば、溶融するとすぐに硬
化するような粉体塗装に適した共重合体を調製すること
が可能である。ただし、このような場合には実際に溶融
したかどうかを熱分析から判断するのは困難である。す
なわち、熱分析からは同じ温度範囲で溶融による吸熱と
硬化に伴う発熱があるために熱分析ピークの同定が困難
である。
【0035】溶融したかどうかは熱処理前後で外観を比
較することによりわかる。即ち熱処理前では白い共重合
体の粉、粉体塗装膜または圧縮成形品が熱処理後には半
透明もしくは透明な樹脂に変化する。非常に分子量の大
きい共重合体の場合にはポリテトラフルオロエチレンの
ように熱処理した後も不透明の場合もあるが、このよう
な場合でも熱処理により硬化させることができる。
【0036】そして、ゴム、樹脂のいずれにおいてもラ
ジカル重合性単量体として完全フッ素置換の単量体を選
択すれば、パーフルオロの硬化性ポリマーおよび硬化物
を合成できるという特徴を有する。ただし、ここでパー
フルオロコポリマーとは共重合体の中に含まれる炭素原
子と酸素原子を除いた全ての原子数に対するフッ素原子
数の割合が95%以上である共重合体を指すものとす
る。このようなパーフルオロコポリマーを十分に硬化さ
せると非常に優れた耐熱性および耐薬品性を有するパー
フルオロの硬化物が得られる。
【0037】特に、式(1)のパーフルオロジエン単量
体とテトラフルオロエチレンであってそれぞれに基づく
単位を0.01〜40モル%、99.99〜60モル%
で含有する場合に硬化体はバランスのとれた機械的物性
および各種薬品に対する耐性等が得られる。この場合、
未硬化状態の含フッ素ポリマーが常温において固体であ
り、高温で流動性を示す程度の分子量を有することが好
ましい。常温で固体でないものは成形作業時、輸送時等
の取扱いが煩雑になり、好ましくない。また、高温で流
動性を示さないものは成形作業性に劣り、また、硬化体
にしたときに期待通りの機械的強度が達成されないこと
もある。溶融成形する上で好ましい分子量は、成形条件
にも依存するが、容量流速(実施例に示す方法に従って
測定)が、5〜50kg重の荷重を用いて20〜300
℃の間のある温度において0.1〜1000mm3 /秒
となる値である。
【0038】さらに、式(1)のパーフルオロジエン単
量体に基づく単位が0.5〜30モル%であることが好
ましい。この単位の量が少な過ぎると、架橋硬化物は得
られるが、機械的物性の向上が十分に達成されないこと
がある。また、この単位の量が多いと、より硬い硬化体
が得られるが、多過ぎると硬化体が脆くなることがあっ
たり、硬化時の収縮により精密成形品の製造が難しくな
ったり、取扱いの容易な高分子量体を得るのが困難にな
ったりするため好ましくない。
【0039】
【実施例】 実施例1 100cm3 のオートクレーブにCF2 =CFOCF2
CF(CF3 )OCF2 CF2 CF=CF2 (以下PG
BVという)24.4g、1,1,2−トリクロロトリ
フルオロエチレン(以下R113という)を20.6
g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートを45m
g、メタノールを0.45g仕込み、液体窒素で冷却し
て脱気したのち40℃にてテトラフルオロエチレンを逐
次添加しつつ圧力を7kg/cm2 Gに保持した。15
時間反応したのち四塩化炭素で3回再沈を繰り返し60
℃で真空乾燥をして含フッ素ポリマー7.0gを得た。
赤外吸収スペクトルには1788cm-1に側鎖の二重結
合による強い吸収が観測された。
【0040】得られた含フッ素ポリマーの容量流速をフ
ローテスタ(島津製作所製)を用いて測定した。100
℃、荷重10kg重で1mmφ、長さ2mmのダイを用
いて測定したところ、容量流速は19mm3 /秒であっ
た。
【0041】この含フッ素ポリマーを200℃、空気中
で16時間熱処理した後同様にして容量流速を測定した
ところ、100℃および200℃のいずれの温度でも容
量流速は0であった。
【0042】19F−NMR(CFCl3 基準)にて重合
で得られた含フッ素ポリマーの組成を調べたところPG
BVの割合は14モル%であった。
【0043】実施例2 仕込のメタノールを90mgにした以外は実施例1と同
様にして重合を行った。16時間の重合で6.8gの含
フッ素ポリマーが得られた。170℃、10kg重で他
の条件は実施例1と同じにして容量流速を測定したとこ
ろ4.7mm3/秒であった。19F−NMR(CFCl3
基準)で含フッ素ポリマーの組成を調べたところPG
BVの割合は14モル%であった。赤外吸収スペクトル
の図を図1に示す。
【0044】200℃、空気中で16時間熱処理すると
含フッ素ポリマーは硬化し、170℃の容量流速は0に
なった。200℃、真空中で16時間処理した場合には
定性的には硬化が認められなかったが、300℃、真空
中で16時間の熱処理では明かな硬化が認められ、17
0℃および300℃の容量流速は0になった。重合上が
りの含フッ素ポリマーを160℃で溶融した塊の室温に
おけるデュロメーター硬度はD20で、それを空気中2
00℃で硬化させるとD60になった。
【0045】実施例3 100cm3 のオートクレーブにPGBV24.4g、
R113を20.6g、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート45mgを添加し、40℃でテトラフルオロ
エチレンを逐次添加しつつ圧力を7kg/cm2 Gに保
持した。0.5時間反応したのち四塩化炭素で3回再沈
を繰り返し60℃で真空乾燥をして含フッ素ポリマー
6.4gを得た。熱分析によって得られた含フッ素ポリ
マーの融点は344℃であり、350℃でプレスすると
脆い薄膜が得られた。この薄膜を再度380℃で10分
プレスすると強靭なフイルムが得られた。380℃のプ
レスの前後で赤外吸収スペクトルを測定すると、178
8cm-1の二重結合の吸光度と1788cm-1の−CF
2 −の吸光度との比は、プレス前後で1.8から1.2
になった。
【0046】実施例4 100cm3 のオートクレーブにパーフルオロプロピル
ビニルエーテル1.66g、PGBV1.38g、R1
13を117.3g、メタノール45mg、パーフルオ
ロブタノイルパーオキシド5%溶液(溶媒R113)
4.0gを添加し、25℃でテトラフルオロエチレンを
逐次添加しつつ圧力を2kg/cm2 Gに保持した。
2.5時間反応したのちn−ヘキサンで3回再沈を繰り
返し60℃で真空乾燥をして含フッ素ポリマー9.6g
を得た。得られた含フッ素ポリマーを室温で圧縮成形
し、380℃で10分加熱すると半透明な樹脂が得ら
れ、室温でデュロメーター(D型)を用いて硬さを測定
したところD65であって、市販のPFA樹脂(D6
0)よりも硬いことが確かめられた。
【0047】実施例5 1000cm3 のオートクレーブにPGBVを45g、
R113を955g、メタノールの4%R113溶液を
52g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートを
1.0g添加し、40℃でテトラフルオロエチレンを逐
次添加しつつ圧力を3.0kg/cm3 Gに保持した。
8.5時間反応した後ヘキサンで3回再沈を繰り返し6
0℃で真空乾燥し含フッ素ポリマー78gを得た。この
ポリマーを320℃でプレスしてフィルムを作成し、弾
性率を測定した。室温弾性率は7×109 dyn/cm
2 、200℃弾性率は6×108 dyn/cm2 であっ
た。電子線を50Mrad照射した後の200℃弾性率
は1.2×109 dyn/cm2 になった。
【0048】比較例1 PGBVの代わりにそれと等モルのCF2 =CFO(C
25 OCF=CF2 を用いたほかは実施例1と同様
にして共重合体を合成した。この共重合体について、2
0、100、200、300℃にて実施例1と同様にし
て測定した容量流速はいずれも0mm3 /秒であった。
【0049】比較例2 PGBVの代わりにそれと等モルのCF2 =CFO(C
25 OCF=CF2 を用いたほかは実施例2と同様
にして共重合体を合成した。この共重合体は、比較例2
と同様に溶融流動性を示さなかった。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、優れた耐熱性および耐
薬品性を有し、成形性に優れ、硬化させることにより機
械的強度の優れた含フッ素ポリマーを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の含フッ素ポリマーの赤外吸収スペク
トルの図

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1)のパーフルオロジエン単量体およ
    び他のラジカル重合性単量体をラジカル重合開始源の存
    在下に共重合することを特徴とする含フッ素ポリマーの
    製造方法。 CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mCF=CF2 式(1) (ただし、n、mはそれぞれ独立に1〜3の整数)
  2. 【請求項2】ラジカル重合性単量体の全部または少なく
    とも一種が含フッ素単量体である請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】ラジカル重合性単量体が式(2)で表され
    る含フッ素単量体の少なくとも一種である請求項1の製
    造方法。 CF2=CFX 式(2) (Xは、フッ素、塩素、炭素数1〜3のパーフルオロア
    ルキル基または炭素数1〜3のパーフルオロアルコキシ
    基)
  4. 【請求項4】式(1)のパーフルオロジエン単量体と少
    なくとも一種の他のラジカル重合性単量体との共重合体
    であって、他のラジカル重合性単量体の全部または少な
    くとも一種が含フッ素単量体であることを特徴とする含
    フッ素ポリマー。 CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mCF=CF2 式(1) (ただし、n、mはそれぞれ独立に1〜3の整数)
  5. 【請求項5】請求項4において含フッ素ポリマー中の式
    (1)の単量体に基づく単位の割合が0.01〜40モ
    ル%であり、共重合させた他の含フッ素単量体に基づく
    単位の割合が60〜99.99モル%であることを特徴
    とする含フッ素ポリマー。
  6. 【請求項6】式(1)のパーフルオロジエン単量体とテ
    トラフルオロエチレンとの共重合体であって、式(1)
    の単量体に基づく単位の割合が0.01〜40モル%で
    あり、テトラフルオロエチレンに基づく単位の割合が6
    0〜99.99モル%である含フッ素ポリマー。 CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)n(CF2)mCF=CF2 式(1) (ただし、n、mはそれぞれ独立に1〜3の整数)
  7. 【請求項7】請求項4〜6のいずれかの含フッ素ポリマ
    ーを加熱処理または放射線処理することを特徴とする含
    フッ素ポリマーの硬化方法。
  8. 【請求項8】請求項4〜6のいずれかの含フッ素ポリマ
    ーを加熱処理または放射線処理して得られる硬化物。
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