JP2001025360A - W/o/w型エマルジョン組成物およびその製造方法 - Google Patents
W/o/w型エマルジョン組成物およびその製造方法Info
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Abstract
のW/O/W比において乳化安定性が良く、安全性が高
いW/O/W型エマルジョン組成物を提供する。 【解決手段】内水相中に下記(a)成分、油相中に下記
(b)成分、および、外水相中に下記(c)成分を含有
する。 (a)成分;脂肪酸と多価アルコールとのエステルから
成るHLB7以上の親水性乳化剤。 (b)成分;不飽和脂肪酸を50重量%以上含む炭素数
16〜22の脂肪酸または縮合オキシ脂肪酸と炭素数4
以上の多価アルコールとのエステルから成る親油性乳化
剤。 (c)成分;HLB5以上の親水性乳化剤。
Description
下「W/O/W型」と記載する)エマルジョン組成物お
よびその製造方法に関し、詳しくは、特に、医薬品、化
粧品、食品などに機能性エマルジョン組成物として使用
するのに適したW/O/W型の複合エマルジョン組成物
およびその製造方法に関する。
性成分中に油中水型(以下「W/O型」と記載する)エ
マルジョンを含む複合エマルジョン組成物であり、W/
O型エマルジョンの特性を有すると共に、外相が水性で
あることから水に親和性のある種々の系に適用すること
が出来るため、医薬・化粧品などに使用した場合、機能
性エマルジョン組成物として特に有用である。しかしな
がら、反面、乳化安定性の低さが問題となっている。
常、先ず、W/O型エマルジョンを調製し、それを水中
に乳化することで得られる。W/O/W型エマルジョン
組成物の乳化安定性が低い理由としては、内相であるW
/O型エマルジョンの安定性が充分でないことに起因す
ると考えられる。一般に、W/O型エマルジョンは、親
油性界面活性剤を添加した油性成分に水性成分を添加し
て製造され、親油性界面活性剤としては、ソルビタンセ
スキオレート、グリセロールモノオレート、ラノリン、
コレステロール等が使用される。しかしながら、これら
のW/O型エマルジョンの安定性は、製品の流通期間な
ど含めた長期の保存安定性としては充分なものではな
く、これを使用して得られるW/O/W型エマルジョン
組成物の保存安定性も同様に充分ではない。
マルジョンを実現するため、種々の試みがなされてい
る。例えば、親油性界面活性剤にアミノ酸またはそれら
の塩の水溶液を混合してゲル状相を生成し、このゲルを
油相に分散させ、更に水相を加えてW/O型エマルジョ
ンを得る方法が報告されている(Y.Kumano, S.Nakamur
a, S.Tahara, S.Ohta: J.Soc.Cosmet.Chem, 28, 2
85(1977))。しかしながら、この方法では、使用する
界面活性剤に関し、室温で液体であること、有機性無機
性比(IOB)が0.4〜0.7の範囲にあること、そ
れ自身がラメラ構造を有していること等の細かい条件が
要求され、幅広い用途への適用は困難である。
鑑みなされたものであり、その目的は、医薬、化粧品、
食品分野で利用可能な、広範囲のW/O/W比において
乳化安定性が良く、安全性が高いW/O/W型エマルジ
ョン組成物、および、その製造方法を提供することにあ
る。
の要旨は、内水相中に下記(a)成分、油相中に下記
(b)成分、および、外水相中に下記(c)成分を含有
することを特徴とするW/O/W型エマルジョン組成物
に存する。 (a)成分;脂肪酸と多価アルコールとのエステルから
成るHLB7以上の親水性乳化剤。 (b)成分;不飽和脂肪酸を50重量%以上含む炭素数
16〜22の脂肪酸または縮合オキシ脂肪酸と炭素数4
以上の多価アルコールとのエステルから成る親油性乳化
剤。 (c)成分;HLB5以上の親水性乳化剤。
(a)成分を含む水性成分を上記の(b)成分が含まれ
た油性成分中に乳化分散してW/O型エマジョンを調製
し、次いで、当該W/O型エマルジョンを上記の(c)
成分が含まれた水性成分中に乳化分散することを特徴と
するW/O/W型エマルジョンの製造方法に存する。
明のW/O/W型エマルジョンにおいては、各相の比率
は特には限定されないが、通常、外水相と内相エマルジ
ョンとの容積比率は90:10〜5:95であり、内相
エマルジョン中の内水相と油相との容積比率は0.1:
99.9〜90:10の範囲である。内水相には、目的
に応じて水溶性の各種の物質が添加される。
分の親水性乳化剤は、脂肪酸と多価アルコールとのHL
B7以上のエステルから選ばれる。構成脂肪酸は、直
鎖、分岐、飽和、不飽和を問わないが、その炭素数は1
0〜24であることが好ましい。一方、多価アルコール
としては、ショ糖、ポリグリセリン、ソルビトール及び
ソルビタンが好ましく、ショ糖およびポリグリセリンが
特に好ましい。
LB11以上のショ糖脂肪酸エステルが好ましい。ポリ
グリセリン脂肪酸エステルとしては、5重量%食塩水溶
液中で測定した曇点が50℃以上であるポリグリセリン
脂肪酸エステルが好ましい。曇点はポリオキシエチレン
系の界面活性剤ではよく知られている物性値である。ポ
リグリセリン脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン系
の界面活性剤と比較すると、全般に曇点が高く水の沸点
を超えるものが多い。斯かる曇点は、適当な塩水溶液を
使用することにより簡易に測定することが出来る(特開
平9−157386号公報参照)。通常、親水性が強い
ほど曇点は高くなる。また、同じエステル化率ではモノ
エステル含量が多いエステル組成の方が親水性が高く曇
点も高くなる。
テルの曇点は、上記の通り、5重量%食塩水溶液中で測
定した値である。すなわち、5重量%食塩水溶液中にポ
リグリセリン脂肪酸エステルを1重量%溶解した水溶液
について、0〜100℃の範囲の任意の温度で、例えば
2〜5℃刻みで昇温し、振盪攪拌後に靜置し、ポリグリ
セリン脂肪酸エステルが油状またはゲル状として分離し
て不均一水溶液となる状態を観測することにより、測定
する。この不均一状態を呈する温度が曇点と呼ばれる。
は、HLB16のショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖
ステアリン酸エステル、5重量%食塩水溶液中での曇点
が90℃以上であるデカグリセリンステアリン酸エステ
ル等が挙げられる。親水性乳化剤は、水相中に、水性成
分と親水性乳化剤との合計量に対する割合として、通常
0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%含
有される。親水性乳化剤は、夫々2種以上を組合せて使
用してもよく、この場合、両者の組合せは、適宜に選択
することが出来る。
るHLB7以上の親水性乳化剤を使用しない場合は、W
/O乳化が不可能であるか、または、内相となるW/O
型エマルジョンの安定性が著しく悪化し、ひいては、W
/O/W型エマルジョン組成物の安定性が悪化する。
乳化剤の他に、必要に応じて水溶性の各種の物質を添加
することが出来る。化粧品として使用する場合は、炭素
数1〜3のアルコール類、グルコース、フラクトース、
キシロース、エリスリトール、キシリトール、ショ糖な
どの糖類、グリセロール、ソルビトール、エチレングリ
コール、マルチトールや還元オリゴ糖などの多価アルコ
ール類が添加される。中でも、グリセリン、ソルビトー
ル、ショ糖、乳糖が好ましい。これらの多価アルコール
は、内水相成分の総量に対し、通常2〜50重量%の範
囲で含有される。
めとする各種の有機酸塩、ヒアルロン酸塩、水溶性コラ
ーゲン、ローヤルゼリーエキス、プラセンタエキス、コ
ンドロイチン酸等の各種保湿剤、キサンタンガム、カル
ボキシメチルセルロース塩、カルボキシルビニルポリマ
ー等の各種増粘剤、ポリビニルアルコール等の皮膜剤、
紫外線防止剤、毛根賦活剤、抗酸化剤、美白剤、収れん
剤、栄養剤、香料、色素、防腐剤、キレート剤などの各
種成分を添加できる。
い範囲から選択可能であり、特に限定されず、例えば、
炭化水素、エステル、ロウ、ワックス、シリコン油、お
よび、それらの1種または2種以上の混合物などが適用
可能である。油性成分の具体例としては、n−ヘプタ
ン、n−オクタン、n−デカン、シクロヘキサン、ヘキ
サデカン、流動パラフィン、ワセリン、スクアレン、ス
クアラン等の炭化水素類、ジヘプチルエーテル等のエー
テル類、エチレングリコールジブチルエーテル等のジエ
ーテル類、スフィンゴシン等の長鎖アミノアルコール、
長鎖アルデヒド、長鎖ケトン、テルペノイド、ステロイ
ド、カロチノイド、ワックス、アシルグリセロール、エ
ーテルグリセリド、セラミド、リン脂質、糖脂質、リン
糖脂質、硫脂質、アミノ酸脂質などが挙げられる。
植物油脂、鉱物油などの混合物でも差支えない。更に、
ジメチルシリコン、環状シリコン、メチルフェニルシリ
コン、ポリエーテル変性シリコン等のシリコーン系油剤
も使用することが出来る。
性乳化剤の一つ、すなわち、不飽和脂肪酸を50重量%
以上含む炭素数16〜22の脂肪酸と炭素数4以上の多
価アルコールとのエステルにおいて、疎水部となる上記
の不飽和脂肪酸としては、パルミトオレイン酸、オレイ
ン酸、エルカ酸などが挙げられ、中でも、エルカ酸が好
ましい。親水部となる多価アルコールとしては、ショ
糖、乳糖、ブドウ糖、ポリグリセリン、ソルビトール、
ソルビタンが挙げられ、中でも、ショ糖、ポリグリセリ
ン、ソルビトール、ソルビタンが好ましい。ポリグリセ
リンとしては重合度4〜20のポリグリセリンが好まし
い。
性乳化剤の他の一つ、すなわち、縮合オキシ脂肪酸と炭
素数4以上の多価アルコールとのエステルとしては、例
えば、縮合リシノール酸エステルが挙げられる。縮合リ
シノール酸としては、平均縮合度2〜10モルのものが
好ましく、2〜5モルのものが更に好ましい。また、ポ
リグリセリン又はショ糖とのエステルが好ましい。
酸エステルにおいてはHLB3以下であること、ポリグ
リセリン脂肪酸エステルにおいては鹸化価(日本油脂化
学協会編「基準油脂分析試験法」に準拠)90〜150
(特に100〜140)であること、ソルビタン脂肪酸
エステルにおいては置換度が1〜3であることが好まし
い。これらの乳化剤は、油性成分に溶け易く、内相W/
O型エマルジョンの安定性が優れるため、本発明のW/
O/W型エマルジョン組成物に好適に使用される。
(1−鹸化価/中和価)により計算される値である(幸
書房 日高 徹著「食品用乳化剤 第2版」等)。鹸化
価は上記により、また、中和価は一般的な油脂分析の方
法により求められる(丸善株式会社 日本油化学協会編
油脂化学便覧など)。
は、ショ糖エルカ酸エステル又はショ糖オレイン酸エス
テルであって且つHLB3以下のもの、ヘキサグリセリ
ンエルカ酸エステル又はデカグリセリンエルカ酸エステ
ルであって且つ鹸化価が90〜150のものの他、ソル
ビタンセスキオレート、ソルビタンモノオレート等が挙
げられる。
量に対し、通常0.1〜30重量%、好ましくは1〜1
0重量%含有される。親油性乳化剤は、夫々2種以上を
組合せて使用してもよく、この場合、両者の組合せは、
適宜に選択することが出来る。
分の親水性乳化剤は、HLB5以上であれば特に限定さ
れない。好適に使用される親水性乳化剤は脂肪酸と多価
アルコールとのエステルである。脂肪酸と多価アルコー
ルとのエステルの構成脂肪酸は、直鎖、分岐、飽和、不
飽和を問わないが、その炭素数は10〜24であること
が好ましい。一方、多価アルコールとしては、各種のポ
リオールから選ぶことが出来る。好ましいポリオールと
して、例えば、ポリエチレングリコール、ショ糖、ポリ
グリセリン、ソルビトール及びソルビタン等が挙げられ
る。
乳化剤の他に、必要に応じて水溶性の各種の物質を添加
してもよい。外水相中における親水性乳化剤の量は、水
性媒体の総量に対し、通常0.05〜10重量%、好ま
しくは0.1〜5重量%含有される。親水性乳化剤は、
夫々2種以上を組合せて使用してもよく、この場合、両
者の組合せは、適宜に選択することが出来る。
のW/O/W型エマルジョン組成物の製造方法は、上記
の(a)成分を含む水性成分を上記の(b)成分が含ま
れた油性成分中に乳化してW/O型エマルジョンを調製
し、次いで、当該W/O型エマルジョンを(c)成分が
含まれた水性成分中に乳化分散することを特徴とする。
は、(b)成分の親油性乳化剤を所定量添加溶解した油
性成分に、攪拌下、(a)成分が所定量添加溶解された
水性成分を滴下し乳化してW/O型エマルジョンを調製
し、得られたW/O型エマルジョンを所定量の(c)成
分が含れた水性成分液中に滴下し、内相エマルジョンと
して乳化分散することにより、容易に製造することが出
来る。
各相に完全に溶解していることが好ましく、従って、必
要に応じて加熱攪拌を行うのがよい。また、乳化方法と
しては、一度に所望の組成を量り採って乳化する方法よ
り、最初は、乳化する水性成分またはW/O型エマルジ
ョンの半量から70%程度の量を使用して乳化を開始
し、それ以降、徐々に残余の成分を添加する方法を採用
するのが好ましい。
の一般に使用される撹拌機で行うことが出来る。回転数
は、容量により異なるため一概には言えないが、通常2
0〜10000rpmの範囲であり、攪拌時の温度は6
0〜70℃の範囲である。分散滴の粒径は、撹拌強度
(=動力×時間)を調節することにより、0.1〜50
ミクロンの間で制御することが出来る。
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例で使
用した原材料は次の表1及び表2に示す通りである。表
中、ポリグリセリン脂肪酸エステルの曇点は、5重量%
食塩水中で測定した値である。保存テストは、5℃、室
温、40℃の各温度条件下にエマルジョン組成物を保存
し、その際の乳化安定性を目視観察し、表3に示す4段
階の基準で評価した。
を表1に示す乳化剤を使用して次の手順で調製した。先
ず、親油性乳化剤(b)が均一溶解された油性成分中
に、親水性乳化剤(a)が均一溶解されたイオン交換水
を、外部攪拌装置を使用して攪拌下に滴下し、W/O型
エマルジョン組成物を得た。次いで、イオン交換水に親
水性乳化剤(c)が均一溶解された水性成分中に上記の
W/O型エマルジョンを攪拌下に滴下してW/O/W型
エマルジョン組成物を得た。組成物が水相を連続相とす
るW/O/W型エマルジョンであることの確認は、組成
物の水への拡散試験により行った。そして、保存テスト
を行い、その結果を表5に示した。
W型エマルジョン組成物が提供され、しかも、本組成物
に使用される乳化剤は、安全性が高く入手が容易なもの
である。そして、本発明の組成物には各種の水溶性成分
や油溶性成分を添加することが出来、更に、本発明の組
成物は、その外相が水であることから水に親和性のある
種々の系に適用することが出来るため、極めて利用価値
が高い。特に、化粧品では、皮膚外用剤、エモリエント
クリーム、マッサージクリーム等の各種スキンケア関連
商品、医薬ではDDS等の薬剤投与剤形の一つとして、
また、食品では比重を調整した油分離の少ないエマルジ
ョンや低カロリークリーム等、各種の応用が可能であ
る。
Claims (10)
- 【請求項1】 内水相中に下記(a)成分、油相中に下
記(b)成分、および、外水相中に下記(c)成分を含
有することを特徴とするW/O/W型エマルジョン組成
物。 (a)成分;脂肪酸と多価アルコールとのエステルから
成るHLB7以上の親水性乳化剤。 (b)成分;不飽和脂肪酸を50重量%以上含む炭素数
16〜22の脂肪酸または縮合オキシ脂肪酸と炭素数4
以上の多価アルコールとのエステルから成る親油性乳化
剤。 (c)成分;HLB5以上の親水性乳化剤。 - 【請求項2】(a)成分の構成脂肪酸の炭素数が10〜
24である請求項1記載のエマルジョン組成物。 - 【請求項3】(a)成分を構成する多価アルコールが、
ショ糖、ポリグリセリン、ソルビトール及びソルビタン
の群から選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の
エマルジョン組成物。 - 【請求項4】(a)成分を構成する多価アルコールがシ
ョ糖および/またはポリグリセリンである請求項3に記
載のエマルジョン組成物。 - 【請求項5】(b)成分を構成する不飽和脂肪酸が、パ
ルミトオレイン酸、オレイン酸およびエルカ酸の群から
選ばれる1種以上である請求項1〜4の何れかに記載の
エマルジョン組成物。 - 【請求項6】(b)成分を構成する多価アルコールが、
ショ糖、ポリグリセリン、ソルビトール及びソルビタン
の群から選ばれる1種以上である請求項1〜5の何れか
に記載のエマルジョン組成物。 - 【請求項7】 内水相中に内水相の2〜60重量%の範
囲で炭素数3〜6の多価アルコール、単糖類および二糖
類の群から選ばれるポリオールを含む請求項1〜6の何
れかに記載のエマルジョン組成物。 - 【請求項8】 外水相と内相エマルジョンとの容積比率
が90:10〜5:95の範囲である請求項1〜7の何
れかに記載のエマルジョン組成物。 - 【請求項9】 内相エマルジョン中の内水相と油相との
容積比率が0.1:99.9〜90:10の範囲である
請求項1〜8の何れかに記載のエマルジョン組成物。 - 【請求項10】請求項1記載の(a)成分を含む水性成
分を請求項1記載の(b)成分が含まれた油性成分中に
乳化分散してW/O型エマルジョンを調製し、次いで、
当該W/O型エマルジョンを請求項1記載の(c)成分
が含まれた水性成分中に乳化分散することを特徴とする
W/O/W型エマルジョンの製造方法。
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