JP2711541B2 - 多価アルコール中油型乳化組成物及び水中油型乳化組成物 - Google Patents

多価アルコール中油型乳化組成物及び水中油型乳化組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はショ糖脂肪酸エステル、多価アルコール、水
及び油とを含有する多価アルコール中油型乳化組成物及
びこの乳化組成物にさらに水を加えて得られる水中油型
乳化組成物に関するものである。 (従来の技術) 従来、ショ糖脂肪酸エステルはその乳化力が弱いため
にその利用範囲が極めて限定されたものになっていた。
そこで、ショ糖脂肪酸エステルと多価アルコールの加熱
混合物に油分を加えてなる多価アルコール中油型乳化組
成物及びそれに水を加えてなる水中油型乳化組成物が考
案された。このように形成されたエマルジョン粒径は非
常に微細になる。 産業上の利用においては、エマルジョン粒径を制御し
適度な大きさに調整することにより、白色度や硬度、粘
度を所定のものとする必要がある。従来の技術によるエ
マルジョンの調製では、簡単に非常に微細な粒径を得る
ことはできても、それを制御することができない欠点が
あった。また、ショ糖脂肪酸エステルと多価アルコール
を加熱混合するため、環状シリコーンなどの揮発油分や
熱変化しやすい薬剤の添加が困難である。しかも、この
多価アルコール中油型乳化組成物の安定性は悪く、経済
的に油分のにじみだしなど組織破壊が進行するため、多
価アルコール中油型乳化組成物を貯蔵し適時水中油型エ
マルジョンを作製する等の手法を用いることができなか
った。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明者らは、このような事情に鑑み、所定の粘度・
白度を得るためにエマルジョン粒子を調製できる方法を
鋭意研究を行った結果、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオ
ール、水を混合しそれに適当量の油を加え、これを多価
アルコール中油型乳化組成物とし、エマルジョン作成に
際しては、これに水を加える又は水に分散することで上
記目的を達成できることを見いだした。 また、驚くべきことに一般に乳化を行うところの70−
80℃まで加熱を必ずしも行う必要はなく、室温付近の温
度でも油の添加により充分多価アルコール中油型乳化組
成物を形成することができる。それにより今まで加熱に
注意を要した熱に対して不安定な成分の配合、酸化され
やすい不飽和鎖を有したオイルや揮発性シリコーン等、
または沸点以下で調製するならば、n−ヘキサン、ベン
ゼン等の有機溶媒でも多価アルコール中油型乳化組成物
を作り、エマルション組成物を作ることができた。 更に、上記方法により獲られた本発明物は多価アルコ
ール中油型乳化組成物自体を長期安定に貯蔵でき、適時
エマルションを調製できることを見いだし、この知見に
基づいて本発明を成すに至った。 (発明の構成) 本発明は、ショ糖脂肪酸エステルと分子内に2個以上
の水酸基を有する多価アルコール及び水を混合して得ら
れるゲル化組成物に油分を加えてなる多価アルコール中
油型乳化組成物及びそれに水を加えてなる水中油型乳化
組成物を提供することを目的とするものである。 本発明におけるショ糖脂肪酸エステルはモノエステル
含量20%以上のものが好ましく、ショ糖1分子当たりの
脂肪酸のエステル置換度は2.2以下のもの全てが含まれ
る。また、構成脂肪酸は炭素数8−22の飽和又は不飽和
の単独又は混合脂肪酸である。 また、ショ糖脂肪酸エステルとしては、置換度1.8以
下が、モノエステル含量約30%以上がより好ましい。 ショ糖脂肪酸エステルの量はショ糖脂肪酸エステル、
ポリオール、水で構成される一次ゲル組成物の合計を10
0とした組成比率では、0.1%−50%、好ましくは0.5%
−30%が調製しやすい。 また、ゲル化組成物中に形成調整剤の目的で非イオン
界面活性剤を加えることができる。この非イオン界面活
性剤の量や種類は添加する油分の種類やショ糖脂肪酸エ
ステルのモノエステル含量やショ糖脂肪酸エステルの量
により影響される。つまり、モノエステル含量が高い場
合は高いHLBの非イオン界面活性剤を使用し、逆にモノ
エステル含量の低いショ糖脂肪酸エステルを使用する場
合はHLBの高いものを使用することにより、ゲル化組成
物から油をゲル化できる。 非イオン界面活性剤は必ずしも常温で液状を呈する必
要はなく、固体であっても、必要に応じて加熱又は加温
し、かかる非イオン界面活性剤を溶解し、ショ糖脂肪酸
エステル、ポリオール、水と混合後できたゲル化組成物
がゲル状を呈することができれば油分と加え、多価アル
コール中油型乳化組成物を形成することができる。 本発明における多価アルコールは、分子内に2個以上
の水酸基を有する水溶性多価アルコールで、プロピレン
グリコール、1、3ブチレングリコール、エチレングリ
コール、アルキレングリコール、それ以上のポリアルキ
レングリコール、グリセリン、ジグリセリン、それ以上
のポリグリセリン、トリメチロールエタン、エリスリト
ール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、グルコー
ス、ソルビトール、マルチトール、シュークロース、ラ
フィノース、トテハロース等の1種又は2種以上からな
る混合物である。上記多価アルコールのゲル化組成物の
組成比は5−99%であり、好ましくは15%以上が必要で
ある。また、ショ糖脂肪酸エステルとの重量比1:1以下
にするとゲル化組成物、及びそれに油分を加えてなる多
価アルコール中油型乳化組成物を形成するのが困難にな
る。 本発明における水の量は、ゲル化組成物の組成比が0.
1−70%で、目的とする最終組成物の使用感触、活性、
白度などを得るために調整できる。ゲル化組成物中の水
は形成される水中油型乳化組成物の粒子径を大きくする
ために50%以下が好ましい。また、70%を越える量をと
ると、形成される乳化粒子は大きくなりすぎ、経時的不
安定さを招き、本発明の目的とする最終組成物を得る事
はできない。 本発明の用いられる油の種類は、非常に広範囲であ
り、1種又は2種以上の混合油が100℃以下で液状又は
ペースト状になるものであれば、ほとんどすべてのもの
が可能である。例えば流動パラフィン、スクワラン等の
炭化水素類、ミンク油、ホホバ油、アボガド油等の動植
物油、セチルイソオクタノエート、イソプロピルミリス
テート、イソセチルミリステート等のエステル類、セチ
ルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルア
ルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、パルミ
チン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸類、メチルポリシロ
キサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチル
ポリシロキサン、その他のシリコーン誘導体等で、化粧
品、医薬品、食品等の業界で一般に利用されるものであ
る。 本発明により得られる多価アルコール中油型乳化組成
物は、加えられる油の量が多くなるほど粘性は増加し、
油の添加量によって自由に調節できる。また油はショ糖
脂肪酸エステル、ポリオール、水からなるゲル化組成物
の総重量に対して約10〜50倍量まで均一に加えることが
できる。 本発明の調製方法は、ショ糖脂肪酸エステル又はゲル
化組成物の調整剤の目的で加えた非イオン界面活性剤が
常温で個体ならば、まず一部又は全量の多価アルコール
又はそれに水を加えた混合物に予め分散後、加熱又は加
温しショ糖脂肪酸エステルを混和させ均一にし、所定の
温度にして残量の多価アルコール及び水を加えゲル化組
成物とする。また、ゲル化組成物中に固形物がない場合
は全構成成分をよく混和しながら所定の温度にする。形
成されるゲル化組成物がゲル性を保つ必要があり、固形
では、次に加える油分を均一に内包させることはできな
い。この場合は加熱又は加温し、ゲル化組成物がゲル性
を保つ状態にする必要がある。このようにして、形成さ
れたゲル化組成物に油分を撹拌しながら徐々に添加する
ことによって多価アルコール中油型乳化組成物を得るこ
とができる。この時、形成される多価アルコール中油型
乳化組成物及び油分の温度は、ともにゲル性、液性を保
つ温度以上でなければならない。ここに得られた多価ア
ルコール中油型乳化組成物は均一で透明もしくは半透明
の粘調な液体又はゲルで、このままで例えば、エモリエ
ントゼリー、マッサージゼリー、オイルパック、マッサ
ージクリーム、クレンジングクリームとして化粧品に、
薬用ゼリーとして医薬品に、食用ゼリーとして食品等に
利用することができる。 本発明の水中油型乳化組成物を得るには前述の多価ア
ルコール中油型組成物を水に分散又は水を加えれば得ら
れる。ここに得られる水中油型乳化組成物は、極めて広
範囲に粒子径を調整でき、目的に応じたエマルジョンを
得ることができる。また、この水中油型乳化組成物には
目的に応じて保湿剤、薬剤、防腐剤、顔料、水溶性高分
子等を添加することもできる。多価アルコール中油型組
成物に対する水の量によりクリーム、乳液等の化粧品、
尿素クリーム、アクネクリームなどの医薬品、ドレッシ
ング、マヨネーズ等の食品等に利用することができる。 本発明における多価アルコール中油型乳化組成物の外
観、油のにじみ出しからみた安定性について、実施例1
−5、比較例A−Bに示す。また、多価アルコール中油
型乳化組成物について、外観、粘度、粒子径、エマルシ
ョンの安定性について、実施例6−10、比較例Cを示
す。 次ぎに、実施例により本発明をさらに詳細に説明す
る。 表1−3においては、〜を調整温度50℃、25℃に
て混合し、ゲル化組成物を形成し、同温度にて徐々に
を加え、多価アルコール中油型乳化組成物を形成した結
果を示す。表中A、Bは比較例である。 上記実施例、比較例は実施例1−5と同様の操作によ
り50℃で調整した多価アルコール中油型乳化組成物に水
を加えて作製した水中型乳化組成物であり、その粒子
径、エマルションの安定性を表8に示す。 (実施例11)乳液 a)ショ糖パルミチン酸ステアリン酸 混合エステル 2.5% 濃グリセリン 3.0% 精製水 4.0% b)流動パラフィン 10.0% ビーズワックス 0.5% MOD 1.0% ステアリルアルコール 0.5% 固形パラフィン 1.5% 香料 適量 防腐剤 適量 ワセリン 3.0% c)精製水 74.0% a)を混合後50℃まで加熱し、同温のb)を徐々に加
え多価アルコール中油型乳化組成物を作製し、これに常
温のc)を加えてエマルションを調製する。 (実施例12)乳液 a)ショ糖パルミチン酸ステアリン酸 混合エステル 3.5% ソルビトール 3.5% 精製水 8.0% b)流動パラフィン 5.0% ビーズワックス 2.0% マイクロクリスタリンワックス 3.0% ステアリルアルコール 1.5% 固形パラフィン 2.5% 香料 適量 防腐剤 適量 ワセリン 5.0% スクワラン 10.0% c)精製水 55.7% カーボポール940 0.2% 水酸化カリウム 0.1% a)を混合後70℃まで加熱し、同温のb)を徐々に加
え多価アルコール中油型乳化組成物を作製し、これに常
温のc)を加えてエマルションを調製する。 (実施例13)透明ゲル軟膏 a)ショ糖オレイン酸エステル 2.8% 1,3−B.G 5.0% 濃グリセリン 4.0% 精製水 6.0% b)流動パラフィン 60.0% ビーズワックス 2.0% マイクロクリスタリンワックス 3.0% 固形パラフィン 2.2% 香料 適量 ワセリン 5.0% スクワラン 10.0% a)を常温にて混合後、70℃で溶解したb)を60℃に
冷却しa)に徐々に加え多価アルコール中油型乳化組成
物を調製する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 野田 直人 (56)参考文献 特開 昭56−55306(JP,A) 特開 昭59−141510(JP,A) 特開 昭59−1405(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.(A)ショ糖脂肪酸エステルと(B)分子内に2個
    以上の水酸基を有する多価アルコール及び(C)水を混
    合して得られるゲル化組成物に油分を加えてなる多価ア
    ルコールや中油型乳化組成物。 2.ショ糖脂肪酸エステルが炭素数8−22の飽和又は不
    飽和脂肪酸からなり、エステル置換度が2.2以下の化合
    物で、その含有量が0.5−30%である特許請求の範囲第
    (1)項記載の多価アルコール中油型乳化組成物。 3.多価アルコールがアルキレングリコール類、ポリア
    ルキレングリコール類、グリセリン、ポリグリセリン
    類、トリメチロールエタン、エリスリトール、ペンタエ
    リスリトール、糖アルコール類、糖類の1種又は2種以
    上からなり、その組成比が5−99%である特許請求の範
    囲第(1)項記載の多価アルコール中油型乳化組成物。 4.油が炭化水素類、動植物油類、エステル類、高級ア
    ルコール類、高級脂肪酸類、シリコン類あるいはこれら
    の混合物である特許請求の範囲第(1)項記載の多価ア
    ルコール中油型乳化組成物 5.ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコール、水及び油
    を含有する多価アルコール中油型乳化組成物に水を加え
    てなる水中油型乳化組成物
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