JP2001006897A - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法

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JP2001006897A JP11303116A JP30311699A JP2001006897A JP 2001006897 A JP2001006897 A JP 2001006897A JP 11303116 A JP11303116 A JP 11303116A JP 30311699 A JP30311699 A JP 30311699A JP 2001006897 A JP2001006897 A JP 2001006897A
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典幸 田口
Yoshiyuki Nakazono
佳幸 中園
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結希子 猪岡
Masaharu Yasuda
正治 安田
Kazuya Kitayama
和也 喜多山
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康輔 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極の寿命を長くすることができ、しかも、
長期間の使用によっても被処理物の汚染が発生せず、さ
らに、放射高周波ノイズを低減することができるプラズ
マ処理装置を提供する。 【解決手段】 片側が吹き出し口1として開放された筒
状の反応管2と一対の電極3、4とを具備して構成され
る。該反応管2にプラズマ生成用ガスを導入する。一対
の電極3、4の間に交流電界を印加することにより、大
気圧下で反応管2内にグロー状の放電を発生させる。反
応管2の吹き出し口1からジェット状のプラズマ5を吹
き出して、流出するプラズマ5にて被処理物6をプラズ
マ処理するプラズマ処理装置に関する。反応管2の外側
に一対の電極3、4を互いに対向させて設ける。電極
3、4の両方がプラズマ5に直接曝されることが無くな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被処理物の表面に
存在する有機物等の異物のクリーニング、レジストの剥
離、有機フィルムの密着性の改善、金属酸化物の還元、
製膜、表面改質などのプラズマ処理に利用されるプラズ
マを発生させるためのプラズマ処理装置、及びこれを用
いたプラズマ処理方法に関するものであり、特に、精密
な接合が要求される電子部品の表面のクリーニングに好
適に応用されるものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、大気圧下でプラズマ処理を行
うことが試みられている。例えば、特開平2−1517
1号公報や特開平3−241739号公報や特開平1−
306569号公報には、反応容器内の放電空間に一対
の電極を配置すると共に電極の間に誘電体を設け、放電
空間をHe(ヘリウム)やAr(アルゴン)などの希ガ
スを主成分とするプラズマ生成用ガスで充満し、反応容
器に被処理物を入れると共に電極の間に交流電界を印加
するようにしたプラズマ処理方法が開示されており、誘
電体が配置された電極の間に交流電界を印加することに
より安定的にグロー放電を発生させ、このグロー放電に
よりプラズマ生成用ガスを励起して反応容器内にプラズ
マを生成し、このプラズマにより被処理物の処理を行う
ようにしたものである。
【0003】また、特開平4−334543号公報や特
開平5−202481号公報にも大気圧下でプラズマ処
理を行うことが記載されており、これら公報には、円筒
状の反応管の外周に複数の電極を設け、電極間に交流電
圧を印加して反応管内にプラズマを発生させ、プラズマ
が発生した反応管内に被処理物を導入して被処理物の処
理を行うようにしたものである。
【0004】しかし、上記のいずれの方法でも被処理物
の特定の部分にのみプラズマ処理を行いにくく、また、
処理時間も長くかかるという問題があった。そこで、大
気圧下でグロー放電により生成したプラズマ(特にプラ
ズマの活性種)を被処理物にジェット状に吹き出してプ
ラズマ処理を行うことが提案されている(例えば、特開
平4−358076号公報、特開平3−219082号
公報、特開平4−212253号公報、特開平6−10
8257号公報、特願平10−344735号)。
【0005】図10にジェット状のプラズマを吹き出し
てプラズマ処理を行うプラズマ処理装置Aの一例を示
す。このプラズマ処理装置Aは、外側電極40を備えた
筒状の反応管2、及び反応管2の内部に配置される内側
電極41を具備して構成されており、反応管2に不活性
ガスまたは不活性ガスと反応ガスの混合気体を導入する
(矢印で示す)と共に外側電極40と内側電極41の
間に電源15から交流電界を印加することにより大気圧
下で反応管2の内部にグロー放電を発生させ、反応管2
の吹き出し口1から被処理物6に向かってジェット状の
プラズマ5を吹き出すものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記のプラズマ
処理装置Aでは、反応管2の内部に内側電極41が配設
されているために、内側電極41がプラズマ5や反応ガ
スに直接曝されており、このために、プラズマ5により
スパッタリングを受けたり反応ガスにより腐食されたり
してダメージを受けることになり、内側電極41の寿命
が短いという問題があった。しかも、スパッタリングや
腐食により生じた不純物がプラズマやガス流とともに吹
き出し口1から吹き出されることになり、長期間の使用
によって被処理物を汚染する恐れがあった。さらに、内
側電極41は反応管2の長さ方向に沿った形で配置する
必要があるため、反応管2の長さと同程度の長さが必要
になる。このため、内側電極41がアンテナのように作
用して高周波ノイズを放射し、周辺の機器を誤動作させ
る恐れがあった。
【0007】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、電極の寿命を長くすることができ、しかも、長期
間の使用によっても被処理物の汚染が発生せず、さらに
は放射高周波ノイズを低減することができるプラズマ処
理装置及びプラズマ処理方法を提供することを目的とす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
プラズマ処理装置Aは、片側が吹き出し口1として開放
された筒状の反応管2と一対の電極3、4とを具備して
構成され、該反応管2にプラズマ生成用ガスを導入し、
一対の電極3、4の間に交流電界を印加することによ
り、大気圧下で反応管2内にグロー状の放電を発生さ
せ、反応管2の吹き出し口1からジェット状のプラズマ
5を吹き出して、流出するプラズマ5にて被処理物6を
プラズマ処理するプラズマ処理装置において、反応管2
の外側に一対の電極3、4を互いに対向させて設けて成
ることを特徴とするものである。
【0009】また本発明の請求項2に係るプラズマ処理
装置Aは、請求項1の構成に加えて、電極3、4を環状
に形成し、プラズマ生成用ガスの導入方向と略平行方向
に電極3、4を対向させて配置して成ることを特徴とす
るものである。
【0010】また本発明の請求項3に係るプラズマ処理
装置Aは、請求項1又は2の構成に加えて、吹き出し口
1側に近い位置に配置される一方の電極4を接地して成
ることを特徴とするものである。
【0011】また本発明の請求項4に係るプラズマ処理
装置Aは、請求項1乃至3のいずれかの構成に加えて、
反応管2の吹き出し口1側の端部に一方の電極4を設け
て成ることを特徴とするものである。
【0012】また本発明の請求項5に係るプラズマ処理
装置Aは、請求項1乃至4のいずれかの構成に加えて、
電極3、4の少なくとも一方を冷媒で冷却することを特
徴とするものである。
【0013】また本発明の請求項6に係るプラズマ処理
装置Aは、請求項1乃至5のいずれかの構成に加えて、
反応管2の内径を0.1〜10mmに形成して成ること
を特徴とするものである。
【0014】また本発明の請求項7に係るプラズマ処理
装置Aは、請求項1乃至5のいずれかの構成に加えて、
一対の電極3、4の間に形成される反応管2内の放電空
間7の体積を減少させるための体積減少具8を反応管2
内に設けて成ることを特徴とするものである。
【0015】また本発明の請求項8に係るプラズマ処理
装置Aは、請求項7の構成に加えて、体積減少具8を反
応管2とほぼ同軸に配設して成ることを特徴とするもの
である。
【0016】また本発明の請求項9に係るプラズマ処理
装置Aは、請求項7又は8の構成に加えて、体積減少具
8を絶縁材料で形成して成ることを特徴とするものであ
る。
【0017】また本発明の請求項10に係るプラズマ処
理装置Aは、請求項7乃至9のいずれかの構成に加え
て、体積減少具8を冷媒で冷却することを特徴とするも
のである。
【0018】また本発明の請求項11に係るプラズマ処
理装置Aは、請求項5乃至10のいずれかの構成に加え
て、冷媒がイオン交換水であることを特徴とするもので
ある。
【0019】また本発明の請求項12に係るプラズマ処
理装置Aは、請求項5乃至11のいずれかの構成に加え
て、冷媒が不凍性及び絶縁性を有することを特徴とする
ものである。
【0020】また本発明の請求項13に係るプラズマ処
理装置Aは、請求項1乃至12のいずれかの構成に加え
て、一対の電極3、4の間に印加する交流電界の周波数
が1kHz〜200MHzであることを特徴とするもの
である。
【0021】また本発明の請求項14に係るプラズマ処
理装置Aは、請求項1乃至13のいずれかの構成に加え
て、電極3、4は反応管2と接触する側の表面粗度が1
0〜1000μmであることを特徴とするものである。
【0022】また本発明の請求項15に係るプラズマ処
理装置Aは、請求項1乃至14のいずれかの構成に加え
て、反応管2を吹き出し口1側に向かって絞り込んで成
ることを特徴とするものである。
【0023】また本発明の請求項16に係るプラズマ処
理装置Aは、請求項1乃至15のいずれかの構成に加え
て、プラズマ5を点灯させるための高電圧パルス発生器
50を具備して成ることを特徴とするものである。
【0024】本発明の請求項17に係るプラズマ処理方
法は、請求項1乃至16のいずれかに記載のプラズマ処
理装置Aでプラズマ処理を行うことを特徴とするもので
ある。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0026】図1に本発明のプラズマ処理装置Aの一例
を示す。このプラズマ処理装置Aは、一対の電極3、4
を反応管2の外周にそれぞれ接触させて設けると共に電
極3と電極4を上下に対向させて配置することによって
形成されており、反応管2の内部において電極3と電極
4の間に放電空間7が形成されている。一対の電極3、
4のうち、一方の電極3は高周波を発生する電源15と
接続されて高電圧が印加される高圧電極として形成され
ており、他方の電極4は接地されて低電圧となる接地電
極として形成されている。
【0027】反応管2は高融点の絶縁材料(誘電体材
料)で円筒状に形成されるものであって、その上端はガ
ス導入口90として開放されている。また、反応管2の
下部には直径が下側ほど小さくなるような先細り形状に
絞り込まれたテーパー構造の集束部20が形成されてい
ると共に反応管2の下端面である集束部20の下面には
吹き出し口1が設けられている。集束部20以外の部分
における反応管2の直径(内径)は10〜50mmに形
成されるが、集束部20を設けないで吹き出し口1の口
径を反応管2の上記の直径とほぼ同じに形成した場合、
吹き出し口1から吹き出されるジェット状のプラズマ5
の流速を加速するのが難しいが、上記のように反応管2
の下部を小径となるように絞り込んだ集束部20として
形成することによって、放電空間7の体積を小さくする
ことなくジェット状のプラズマ5の流速を加速すること
ができ、短寿命のラジカルなどの反応性ガス活性粒子が
消滅する前に、被処理物6にプラズマ5を到達させるこ
とができて被処理物6のプラズマ処理を効率よく行うこ
とができるものである。被処理物6の表面のクリーニン
グに適したプラズマ5の流速を得るためには、集束部2
0の外周面と集束部20以外の反応管2の外周面との間
に形成されるテーパー角αが10〜30°であることが
好ましい。
【0028】また、吹き出し口1の開口面積は直径が
0.1〜5mmの真円の面積に相当する大きさに形成さ
れている。吹き出し口1の開口面積が上記の範囲よりも
小さすぎると、吹き出されるプラズマ5の処理範囲が小
さくなりすぎて、被処理物6のプラズマ処理に長時間を
要することになり、逆に、吹き出し口1の開口面積が上
記の範囲よりも大きすぎると、吹き出されるプラズマ5
の処理範囲が大きくなりすぎて、被処理物に局所的なプ
ラズマ処理を施すことができなくなる恐れがある。
【0029】反応管2を形成する絶縁材料の誘電率は放
電空間7における低温化の重要な要素であって、具体的
には絶縁材料として、石英、アルミナ、イットリア部分
安定化ジルコニウムなどのガラス質材料やセラミック材
料などを例示することができる。
【0030】電極3と電極4は、その冷却効率を高くす
るために熱伝導性の高い金属材料、例えば、銅、アルミ
ニウム、真鍮、耐食性の高いステンレス鋼(SUS30
4など)などで形成されており、図2に示すように電極
3と電極4は同形であって、環状(リング状)に形成さ
れている。電極3と電極4の略中央部には上下に貫通す
る挿着孔10が形成されており、挿着孔10の孔径は反
応管2の外径とほぼ同一に形成されている。また、電極
3と電極4の内部は冷媒が流通可能な流通部11として
形成されており、電極3と電極4の外周面には流通部1
1と連通する供給管12と排出管13が突設されてい
る。
【0031】電極3と電極4の内周面(挿着孔10を構
成する面)は反応管2と接触する接触面14として形成
されており、接触面14の算術平均粗さで表した表面粗
度は10〜1000μmに設定されている。このように
接触面14の表面粗度を10〜1000μmに設定する
ことによって、放電空間7における放電の均一化を図る
ことができ、グロー状の放電を発生することができる。
グロー状の放電とはミクロ的に見た場合に、非常に微細
なマイクロディスチャージの集合体と考えられ、電極
3、4の表面に上記のような微細な凹凸を形成すること
によって、アークへの移行が阻害されるのである。電極
3と電極4の接触面14の表面粗度が10μm未満であ
れば、放電しにくくなる恐れがあり、電極3と電極4の
接触面14の表面粗度が1000μmを超えると、放電
の不均一化が生じる恐れがある。このように電極3と電
極4の接触面14を粗面化する加工としては、サンドブ
ラストなどの物理的手段を採用することができる。尚、
表面粗さをy=f(x)の形に表した場合の算術平均粗
さRa(μm)はJIS B 0601で以下の式
(1)で定義されている。
【0032】
【数1】
【0033】そして、反応管2を挿着孔10に差し込む
ことによって、電極3と電極4を反応管2の外周に取り
付けると共に電極3と電極4の内周面の接触面14を反
応管2の外周面に接触させるように配置する。また、電
極3は交流電界を発生させる電源15と接続されると共
に電極4は接地される。電極4は電極3の下側で集束部
20の上側に位置するように、すなわち、吹き出し口1
と電極3の間に位置するように配置される。このこと
で、電極4が電極3よりも被処理物6に近くに位置する
ことになり、すなわち、高電圧となる電極3が電極4よ
りも被処理物6から遠くに位置することになり、電極3
から被処理物6にアーク放電が飛びにくくなって、アー
ク放電による被処理物6の破損を防止することができる
ものである。
【0034】電極3と電極4の間隔L(電極3の下端と
電極4の上端の間隔L)は3〜20mmに設定するのが
好ましい。電極3と電極4の間隔Lが3mm未満であれ
ば、反応管2の外部で電極3と電極4の間で短絡が起こ
って放電空間7で放電が起こらなくなる恐れがあり、し
かも、放電空間7が狭くなって、効率よくプラズマ5を
生成することが難しくなる恐れがある。また、電極3と
電極4の間隔Lが20mmを超えると、放電空間7で放
電が起こりにくくなって、効率よくプラズマ5を生成す
ることが難しくなる恐れがある。
【0035】上記の電極3と電極4は冷媒により冷却さ
れるが、冷媒としてはイオン交換水や純水も使用するこ
とができる。イオン交換水や純水を用いることによっ
て、冷媒中に不純物が含まれることがなく、電極3と電
極4が冷媒で腐食されにくくなるものである。また、冷
媒としては0℃で不凍性を有し、且つ電気絶縁性及び不
燃性や化学安定性を有する液体であることが好ましく、
例えば、電気絶縁性能は0.1mm間隔での耐電圧が1
0kV以上であることが好ましい。この範囲の絶縁性を
有する冷媒を用いる理由は、高電圧が印加される電極か
らの漏電を防止するためである。このような性質を有す
る冷媒としては、パーフルオロカーボン、ハイドロフル
オロエーテル等を例示することができ、また純水にエチ
レングリコールを5〜60重量%添加した混合液であっ
てもよい。さらに冷媒は空気であってもよい。
【0036】上記のように形成されるプラズマ処理装置
Aでは、プラズマ生成用ガスとして不活性ガス(希ガ
ス)あるいは不活性ガスと反応ガスの混合気体を用い
る。不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、ネオ
ン、クリプトンなどを使用することができるが、放電の
安定性や経済性を考慮すると、アルゴンやヘリウムを用
いるのが好ましい。また反応ガスの種類は処理の内容に
よって任意に選択することができる。例えば、被処理物
の表面に存在する有機物のクリーニング、レジストの剥
離、有機フィルムのエッチングなどを行う場合は、酸
素、空気、CO2、N2Oなどの酸化性ガスを用いるのが
好ましい。また反応ガスとしてCF4などのフッ素系ガ
スも適宜用いることができ、シリコンなどのエッチング
を行う場合にはこのフッ素系ガスを用いるのが効果的で
ある。また金属酸化物の還元を行う場合は、水素、アン
モニアなどの還元性ガスを用いることができる。反応ガ
スの添加量は不活性ガスの全量に対して10重量%以
下、好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。反応ガ
スの添加量が0.1重量%未満であれば、処理効果が低
くなる恐れがあり、反応ガスの添加量が10重量%を超
えると、放電が不安定になる恐れがある。
【0037】上記のように形成されるプラズマ処理装置
Aを用いてプラズマ処理を行うにあたっては、まず、矢
印で示すようにガス導入口90から反応管2の内部に
プラズマ生成用ガスを上から下に向かって流して導入す
ると共に電極3に電源15から高周波電圧を印加して、
電極3と電極4の間の放電空間7に高周波の交流電界を
印加する。この交流電界の印加により大気圧下で放電空
間7にグロー放電を発生させ、グロー放電でプラズマ生
成用ガスをプラズマ化してプラズマ活性種を含むプラズ
マ5を生成した後、プラズマ5を吹き出し口1から下方
にジェット状(連続的)に流出させ、吹き出し口1の下
側に配置された被処理物6の表面にプラズマ5を吹き付
けるようにする。このようにして被処理物6のプラズマ
処理を行うことができる。
【0038】本発明において、印加される交流電界の周
波数は1kHz〜200MHzに設定するのが好まし
い。交流の周波数が1kHz未満であれば、放電空間7
での放電を安定化させることができなくなり、プラズマ
処理を効率よく行うことができなくなる恐れがある。交
流の周波数が200MHzを超えると、放電空間7での
プラズマ5の温度上昇が著しくなり、反応管2や電極
3、4の寿命が短くなる恐れがあり、しかも、プラズマ
処理装置が複雑化及び大型化する恐れがある。
【0039】また本発明において、放電空間7に印加さ
れる印加電力は20〜3500W/cm3に設定するの
が好ましい。放電空間7に印加される印加電力が20W
/cm3未満であれば、プラズマを充分に発生させるこ
とができなくなり、逆に、放電空間7に印加される印加
電力が3500W/cm3を超えると、安定した放電を
得ることができなくなる恐れがある。尚、印加電力の密
度(W/cm3)は、(印加電力/放電空間体積)で定
義される。
【0040】また上記のようにプラズマ5を発生させて
いる間、電極3と電極4は冷媒により冷却されている。
つまり、矢印で示すように供給管12を通じて電極3
と電極4の内部の流通部11に冷媒を供給することによ
って、電極3と電極4が冷却される。流通部11に供給
された冷媒は、矢印で示すように排出管13を通じて
排出される。そして、電極3と電極4を冷媒により冷却
するので、大気圧下で周波数の高い交流でプラズマを生
成しても、電極3と電極4の両方の温度上昇をより抑え
ることができ、よってプラズマ5の温度(ガス温度)が
より高くならないようにすることができて被処理物6の
熱的損傷をより少なくすることができるものである。ま
た電極3と電極4の両方を冷却することによって、放電
空間7の局所的な加熱をより防ぐことができ、より均質
なグロー放電を生成してストリーマー放電の生成を抑え
ることができて被処理物6のストリーマー放電による損
傷をより少なくすることができるものである。これは、
電極3と電極4の両方を冷却することによって、電極3
と電極4の両方からの部分的な電子の放出が抑えられる
ためであると考えられる。
【0041】そして本発明では、放電空間7に交流電界
を印加するための電極3と電極4の両方を反応管2の外
側に設けるので、電極3と電極4の両方がプラズマ5に
直接曝されることが無くなって、プラズマ5によりスパ
ッタリングを受けないようにすることができると共に反
応ガスにより腐食されないようにすることができ、電極
3と電極4がダメージを受けなくなって寿命を長くする
ことができるものである。しかも、スパッタリングや腐
食により不純物が生じないので、長期間の使用であって
も被処理物6が不純物より汚染されないようにすること
ができるものである。
【0042】また、電極3と電極4をプラズマ生成用ガ
スの導入方向と略平行に並ぶように、すなわち、電極3
と電極4を上下に並べて対向させて配置するので、放電
空間7に生成される交流電界の方向とプラズマ生成用ガ
ス及びプラズマ5の流れ方向とをほぼ一致させることが
でき、プラズマ5の活性種を効率よく生成することがで
きるものであり、しかも、電極3と電極4の間隔Lを変
えることによって、放電空間7の大きさを簡単に変える
ことができ、プラズマ5の生成量を容易に調整すること
ができるものである。
【0043】さらに、電極3と電極4の大きさも不必要
に長くしたりすることが無く放電空間7の大きさに対応
した形状に設計することができるので、高周波ノイズの
放射源である電極3、4をコンパクトにすることがで
き、その結果、放射高周波ノイズを低減することができ
るものであり、周辺の機器の誤動作を防止することがで
きるものである。
【0044】また、集束部20の絞りの度合いを変える
ことによって、吹き出し口1からのプラズマ5の吹き出
し速度(流速)を容易に変更することができるものであ
り、さらに、吹き出し口1の口径を変えることによっ
て、容易に処理面積を広げたり狭めたりすることができ
るものである。
【0045】図3に他の実施の形態を示す。このプラズ
マ処理装置Aは図1に示す実施の形態のものにおいて、
接地される電極4の形状及び電極4の配置位置を変えた
ものであり、その他の構成や使用方法は図1に示す実施
の形態のものと同様である。尚、図3において電極3、
4のそれぞれの供給管12と排出管13は図示省略され
ている。電極4は挿着孔10の直径を下側ほど小さくな
るように絞り込んで形成した以外は図2に示すものと同
様に形成されている。すなわち、電極4の挿着孔10の
形状は集束部20の外周形状と合致させて形成されてい
る。そして、反応管2の集束部20を電極4の挿着孔1
0に差し込むことによって、電極4を反応管2の集束部
20の外周に取り付けると共に電極4の内周面の接触面
14を反応管2の集束部20の外周面に接触させるよう
に配置する。このようにして電極4は反応管2の吹き出
し口1側の端部である下端部に設けられている。すなわ
ち、電極4の下面が反応管2の吹き出し口1の外側開口
縁部と略位置するように電極4は反応管2に取り付けら
れている。
【0046】このプラズマ処理装置Aにおいて、電極3
と電極4の間隔Lは図1のものと同様に形成されてい
る。従って、電極3と電極4の間に形成される放電空間
7は図1のものの放電空間よりも下側に位置して吹き出
し口1に近づくことになり、放電空間7は吹き出し口1
の近くで直上に形成されることになる。そして、このよ
うに電極4を反応管2の吹き出し口1側の端部に設けて
放電空間7を吹き出し口1の近くで直上に形成すること
によって、放電空間7で生成されたプラズマ5のプラズ
マ活性種が反応管2内で死滅しにくなって、多くの活き
たプラズマ活性種を吹き出し口1から吹き出して被処理
物6に供給することができ、図1のものに比べてプラズ
マ処理の処理効率を向上させることができるものであ
る。
【0047】図4に他の実施の形態を示す。このプラズ
マ処理装置Aは図1に示す実施の形態において、反応管
2の内部に体積減少具8を設けて形成されている。体積
減少具8の下部は放電空間7内に位置しており、体積減
少具8で放電空間7の体積が図1のものよりも減少して
いる。その他の構成は図1に示す実施の形態と同様に形
成されている。このように放電空間7の体積を減少させ
るための体積減少具8を設けることによって、放電空間
7における単位体積あたりの投入電力(交流電界)を増
加させることができ、プラズマ5の生成の効率を向上さ
せることができるものである。
【0048】体積減少具8は中身が詰まった棒体で形成
してもよいが、図5に示すように、冷媒で冷却可能な二
重管構造に形成するのが好ましい。二重管構造の体積減
少具8は円筒状の冷却管31と導入管32から構成され
ており、冷却管31の内周面と導入管32の外周面の間
が冷媒の通る冷媒流路33として形成されている。そし
て矢印で示すように、導入管32の上端開口から導入
管32内に冷媒を供給すると共に、導入管32内の冷媒
を導入管32の下端開口から吐出して冷媒流路33に冷
媒を供給し、矢印で示すように、冷媒流路33内の冷
媒を冷却管31の上部に突設した導出管34から排出す
るようにして冷媒を流通させることによって、体積減少
具8を冷却することができる。
【0049】そしてこのように体積減少具8を冷却する
ことによって、体積減少具8の熱による劣化を低減する
ことができ、体積減少具8の長寿命化を図ることができ
るものであり、しかも、体積減少具8の周囲の放電空間
7で生成されるプラズマ5の温度を低下させることがで
き、被処理物6の熱によるダメージを少なくすることが
できるものである。
【0050】体積減少具8(特に、冷却管31)は反応
管2と同様の絶縁材料で形成するのが好ましく、このこ
とで体積減少具8からスパッタリングや腐食により不純
物が生じないようにすることができ、長期間の使用であ
っても被処理物6が不純物より汚染されないようにする
ことができるものである。また、体積減少具8はステン
レス鋼等の金属材料で形成することもできるが、この場
合、体積減少具8(特に、冷却管31)の表面は、絶縁
材料で保護膜でコーティングするのが好ましい。
【0051】この保護膜に使用する絶縁材料としては、
石英、アルミナ、イットリア部分安定化ジルコニウムな
どのガラス質材料やセラミック材料などを例示すること
ができる。さらに、アルミナ(Al23)、酸化チタン
(チタニアでTiO2)、SiO2、AlN、Si3N、
SiC、DLC(ダイヤモンド様炭素被膜)、チタン酸
バリウム、PZT(チタン酸鉛ジルコネート)などの誘
電体材質のものを例示することができる。またマグネシ
ア(MgO)単体あるいはマグネシアを含む絶縁材料を
用いることもできる。
【0052】また、保護膜を形成するにあたっては、絶
縁材料で円筒体(セラミック管やガラス管)を形成し、
これの内側に体積減少具8を挿着して密着させる方法、
及びアルミナ、チタン酸バリウム、酸化チタン、PZT
などの粉末をプラズマ中で分散させ、体積減少具8の表
面に吹き付けるようにするプラズマ溶射法、及びシリ
カ、酸化スズ、チタニア、ジルコニア、アルミナなどの
無機質粉末を溶剤などにより分散し、体積減少具8の表
面にスプレーなどで吹き付けて被覆した後、600℃以
上の温度で溶融させるいわゆる琺瑯被覆方法、及びゾル
ゲル法によるガラス質膜の形成方法などを採用すること
ができる。さらに気相蒸着法(CVD)もしくは物理蒸
着法(PVD)により体積減少具8の表面を保護膜でコ
ーティングすることもでき、これらの方法を採用するこ
とによって、極めて緻密で平滑な吸着性の乏しい保護膜
で体積減少具8の表面をコーティングすることができ、
放電の安定化をより促進することができる。現実的な処
理時間及びコストを考慮すると、上記の溶射法を用いる
のが好ましい。
【0053】また、保護膜の厚みは10〜500μmに
設定するのが好ましい。保護膜の厚みが10μm未満で
あれば、体積減少具8の劣化防止の効果が小さく、体積
減少具8の長寿命化を図りにくくなる恐れがあり、保護
膜の厚みが500μmを超えても体積減少具8の劣化防
止の効果は大きく向上せず、保護膜に使用する絶縁材料
の消費量が無駄に多くなって経済的に不利になる恐れが
ある。
【0054】また、体積減少具8の表面と保護膜の間に
は、ニッケル、クロム、アルミニウム、イットリウムを
含む合金膜で形成されるアンダーコートを介在させるの
が好ましい。アンダーコートは合金の溶射により形成す
ることができ、具体的な合金としては、Ni−Cr、N
i−Al、Ni−Cr−Al−Yなどを例示することが
できる。体積減少具8は室温と高温のプラズマ下の繰り
返しによる熱応力負荷環境に置かれることになり、この
熱応力で保護膜が剥離してしまう恐れがある。そこで、
保護膜にかかる熱応力負荷の衝撃を緩和させるためにア
ンダーコートを設けるようにする。金属である体積減少
具8と合金であるアンダーコートと絶縁材料である保護
膜の熱膨張率の関係は、金属の膨張率>合金の膨張率>
絶縁材料の膨張率となり、体積減少具8の熱による伸縮
がアンダーコートの介在によって保護膜に伝わりにくく
なり、このことで、保護膜が剥離しにくくなって体積減
少具8の長寿命化を図ることができるものである。
【0055】また、保護膜には封孔処理を施すのが好ま
しい。封孔処理は保護膜の欠陥部分を埋める処理であっ
て、SiO2、TiO2、Al23などの誘電体を含む溶
液に浸漬して行う。この封孔処理を行うことによって、
電極3と金属製の体積減少具8の間でアーク放電を起こ
りにくくすることができ、プラズマ5の加熱による体積
減少具8の劣化を防止して体積減少具8の長寿命化を図
ることができるものである。
【0056】体積減少具8は反応管2の中心を上下に貫
くように配置されている。つまり、反応管2の長手方向
(上下方向)に長い中心線と体積減少具8の長手方向
(上下方向)に長い中心線とがほぼ合致するように、反
応管2と体積減少具8はほぼ同軸(同心円状)に配置さ
れている。このように反応管2と体積減少具8をほぼ同
軸に配置することによって、反応管2の内周面と体積減
少具8の外周面の間に形成される放電空間7の体積を均
一化することができ、放電空間7における交流電界の密
度が均一化されて、プラズマ5を効率よく生成すること
ができるものであり、しかも、生成されるプラズマ5が
均質化されて高品質のプラズマ処理を行うことができる
ものである。
【0057】図6に他の実施の形態を示す。このプラズ
マ処理装置Aは体積減少具8以外は図4のものとほぼ同
様に形成されている。体積減少具8の下部は放電空間7
内に位置する暴露部51として形成されていると共に体
積減少具8の上部は放電空間7よりも上側に位置する非
暴露部52として形成されている。非暴露部52は上記
の絶縁材料で形成されている。また、暴露部51はステ
ンレス鋼などの耐腐食(酸化)性に優れる金属材料で形
成するか、もしくは上記の絶縁材料でコーティングされ
た金属材料(すなわち、暴露部51は上記の保護膜で覆
われている)で形成されている。尚、暴露部51の金属
材料としては電極3、4と同様の金属材料を用いること
ができる。
【0058】このプラズマ処理装置Aでは、放電空間7
内に位置する体積減少具8の暴露部51を金属材料もし
くは絶縁材料でコーティングされた金属材料で形成する
ので、絶縁材料よりも耐熱衝撃性、耐熱繰り返し疲労性
が向上し、体積減少具8の信頼性、耐久性が向上するも
のである。特に、体積減少具8を冷却する場合に有効で
ある。
【0059】図7に他の実施の形態を示す。このプラズ
マ処理装置Aは図1に示す実施の形態のものにおいて、
反応管2を真っ直ぐな円筒状に形成すると共に反応管2
の内径を0.1〜10mmに形成したものである。その
他の構成や使用方法は図1に示す実施の形態のものと同
様である。尚、図7において電極3と電極4のそれぞれ
の供給管12と排出管13は図示省略されている。ま
た、電極3の幅寸法(反応管2の長手方向と平行方向の
長さ)は電極4の幅寸法よりも長く形成されている。
【0060】このプラズマ処理装置Aでは、反応管2の
内径を0.1〜10mmに形成したので、放電空間7の
体積が比較的小さくなって、低電力化及び少ガス流量化
を図ることができるものであり、また、放電空間7の体
積を小さくするための体積減少具8を用いる必要が無く
なって、構造を簡素化することができるものであり、さ
らに、反応管2に集束部20のような絞り構造を形成す
るための加工が不要となって、反応管2の形成を容易に
してコストの削減を図ることができるものである。反応
管2の内径が0.1mm未満であると、吹き出し口1が
小さくなり過ぎてプラズマ5の吹き出し範囲が狭くな
り、プラズマ処理をすることができる範囲が小さくなる
恐れがあり、また、反応管2の強度が低下する恐れがあ
る。一方、反応管2の内径が10mmより大きくなる
と、吹き出し口1が大きくなり過ぎて吹き出し口1から
吹き出されるジェット状のプラズマ5の流速が小さくな
り、プラズマ処理の速度が遅くなる恐れがあり、また、
放電空間7の体積が大きくなり過ぎて放電空間7におけ
る単位体積あたりの投入電力(交流電界)が小さくなっ
てプラズマ5の生成の効率が低下し、プラズマ処理の速
度が遅くなる恐れがある。そして、これらの問題点を解
決するためには、ガス流量や電力を増やすしかないが、
この結果、ガス及び電力を多量に消費し、コストパフォ
ーマンスが低下する恐れがある。従って、反応管2の内
径を0.1〜10mmに形成するのである。
【0061】図8に他の実施の形態を示す。このプラズ
マ処理装置Aは図7に示す実施の形態のものにおいて、
接地電極である電極4の配置位置を変えたものであり、
その他の構成や使用方法は図7に示す実施の形態のもの
と同様である。すなわち、電極4は反応管2の吹き出し
口1側の端部である下端部に設けられており、電極4の
下面が反応管2の吹き出し口1の外側開口縁部と略位置
するように電極4は反応管2に取り付けられている。
【0062】このプラズマ処理装置Aにおいて、電極3
と電極4の間隔は図7のものと同様に形成されている。
従って、電極3と電極4の間に形成される放電空間7は
図7のものの放電空間よりも下側に位置して吹き出し口
1に近づくことになり、放電空間7は吹き出し口1の近
くで直上に形成されることになる。そして、このように
電極4を反応管2の吹き出し口1側の端部に設けて放電
空間7を吹き出し口1の近くで直上に形成することによ
って、放電空間7で生成されたプラズマ5のプラズマ活
性種が反応管2内で死滅しにくなって、多くの活きたプ
ラズマ活性種を吹き出し口1から吹き出して被処理物6
に供給することができ、図7のものに比べてプラズマ処
理の処理効率を向上させることができるものである。
【0063】図9に他の実施の形態を示す。このプラズ
マ処理装置Aは図7のものに高電圧パルス発生器50を
設けたものである。高電圧パルス発生器50は高電圧パ
ルス発生回路を内蔵し、且つ高電圧パルス発生回路で発
生させた高電圧パルスを放つ放射電極55を備えて形成
されている。放射電極55としては電極3や電極4と同
様の金属材料で形成される導体棒を用いることができ、
放射電極55の先端は高電圧パルスが放ち易いように鋭
利に形成されている。また、放射電極55の先端が吹き
出し口1の真下(下流)に位置する状態と吹き出し口1
の真下に位置しない状態との間で移動するように、放射
電極55は移動自在に形成されている。放射電極55の
移動手段としてはエアーシリンダなどを用いることがで
きる。
【0064】この高電圧パルス発生器50はプラズマ処
理装置Aの始動時において放電空間7にプラズマ5を点
灯させるために用いるものである。高電圧パルス発生器
50を用いた点灯方法は、放射電極55を移動させるこ
とによって放射電極55の先端を吹き出し口1の真下に
位置させると共に上記と同様に電極3と電極4の間への
高周波電界の印加及び反応管2へのプラズマ生成用ガス
の導入を行った後、放射電極55の先端から高電圧パル
スを放つようにする。このように放射電極55の先端か
ら高電圧パルスを放つことにより、放電空間7に予備電
離プラズマが発生し、この予備電離プラズマが電極3と
電極4の間に印加された電圧(本来であれば、反応管2
内を絶縁破壊させることができない低い電圧)によって
増幅されてプラズマ5が点灯するのである。そしてプラ
ズマ5を点灯させた後、放射電極55の先端を吹き出し
口1の真下に位置させないように、すなわち、プラズマ
処理の妨げとならない位置に放射電極55を移動させ、
この後、上記と同様にしてプラズマ処理を行うのであ
る。尚、高電圧パルス発生器50で発生させる高電圧パ
ルスの電圧や発生時間はプラズマ生成用ガスの種類など
によって異なるが、高電圧パルスの電圧はプラズマ5の
生成時に電源15で電極3と電極4に印加する電圧の3
倍以上にするのが好ましく、また、高電圧パルスの発生
時間は任意に設定することができる。
【0065】大気圧近傍の圧力条件下で放電させる本発
明のプラズマ処理装置Aでは、放電開始時に放電空間7
に大きな電圧(約1kV以上)をかけてプラズマ5を点
灯させる必要がある。また、放電空間7に印加する電力
(電源)の周波数も13.56MHzに代表されるよう
な高周波であるために、電源15とプラズマ5が発生す
る部分との間にインピーダンス整合が必要である。従っ
て、プラズマ5を点灯させてプラズマ処理装置Aを始動
させるために、高電圧を電極3に印加すると、上記のイ
ンピーダンス整合のために設けたインピーダンス整合器
内の可変コンデンサ内でアークが発生してしまい、プラ
ズマ処理装置Aを始動させることができないことがあっ
た。そこで、電源15とは別にプラズマ5の点灯用の高
電圧パルス発生器50を設けることによって、電源15
で高電圧を電極3に印加することなくプラズマ5を確実
に点灯させることができ、プラズマ処理装置Aを始動不
良無く素早く始動させることができるものである。尚、
このような高電圧パルス発生器50は図1、図3、図
4、図6、図8に示すプラズマ処理装置Aに設けること
ができる。
【0066】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
る。
【0067】(実施例1)図4に示す構造のプラズマ処
理装置Aを形成した。反応管2としては石英ガラス管を
用い、外径を16mm、内径を13mmに形成した。ま
た、集束部20のテーパー角αは20°とした。電極3
と電極4は銅製であって、接触面14の算術平均粗さは
100μmに形成した。また、電極3と電極4を冷却す
る冷媒としては純水を用いた。さらに、反応管2の内部
には体積減少具8として外径が8mmの石英管を挿入し
て設けた。
【0068】被処理物6としては、OMPAC(Over Mo
lded Pad Array Carrier)型BGA(Ball Grid Array)基
板を使用した。これは、0.5mm厚のBT(ビスマレ
イミドトリアジン)基板(サイズは50×200mm)
に、太陽インキ社製のレジスト(PSR−4000AU
S5)を40μm厚に塗布して形成したものである。ま
た、この被処理物6の一部には、ボンディングパッドを
含む金メッキ回路が形成されていると共にICチップが
搭載されている。このICチップは、プラズマ処理によ
るチャージアップダメージ(給電時における損傷)を評
価するために、シリコン基板の上に厚み10nmのSi
2層と厚み300nmのポリシリコンを形成したもの
である。
【0069】プラズマ生成用ガスはヘリウムを1リット
ル/分、アルゴンを3リットル/分、酸素を0.06リ
ットル/分の割合で混合して流して反応管2に供給し
た。そして放電空間7に300Wで13.56MHzの
高周波電界を印加してプラズマ5を発生させ、これを吹
き出し口1からジェット状に吹き出して被処理物6の表
面に5秒間供給してプラズマ処理(被処理物6の表面の
改質処理及びクリーニング処理)を行った。
【0070】この結果、処理の前後でレジスト部分の水
の接触角が80度から8度に低下し、表面の親水性が改
善された。また、金メッキ回路のボンディングパッドと
ICチップとをワイヤボンディングした結果、ワイヤボ
ンディングの強度が処理前では5.1gであったのに対
して、処理後では12.1gに向上し、著しい性能(ワ
イヤボンディングの強度)の向上が見られた。また、ボ
ンディングパッド部をXPS分析した結果、表面におけ
る炭素原子と金原子の組成比率(C/Au)は、処理の
前後で約3から約0.5にまで減少しており、ボンディ
ングパッド部の炭素除去が行われていた。このように炭
素除去が行われたために、ワイヤボンディングの強度が
向上したと考えられる。また、炭素原子と金原子以外の
他の不純物は検出されなかった。
【0071】さらに、プラスコン社製の封止樹脂(SM
T−B−1)を用いて被処理物6の表面に底面積1cm
2のプリン状の封止樹脂を形成し、封止樹脂と被処理物
6の剪断剥離強度を測定した結果、処理前では2MPa
であったのに対して、処理後では10MPaと大きく強
度が向上していた。また、被処理物6に搭載したICチ
ップのチャージアップダメージも無かった。
【0072】(実施例2)図1に示す構造のプラズマ処
理装置Aを形成した。反応管2としては石英ガラス管を
用い、外径を16mm、内径を13mmに形成した。ま
た、テーパー角は20°とした。電極3と電極4は銅製
であって、接触面14の算術平均粗さは100μmに形
成した。また、電極3と電極4を冷却する冷媒としては
純水を用いた。
【0073】被処理物6としては、ネガ型レジストを1
μmで塗布したシリコン基板を用いた。プラズマ生成用
ガスはヘリウムを0.5リットル/分、アルゴンを1.
5リットル/分、酸素を0.02リットル/分の割合で
混合して流して反応管2に供給した。そして放電空間7
に250Wで13.56MHzの高周波電界を印加して
プラズマ5を発生させ、これを吹き出し口1からジェッ
ト状に吹き出して被処理物6の表面に供給してプラズマ
処理(レジストのエッチング処理)を行った。
【0074】その結果、約7μm/分のエッチング速度
が得られ、極めて均一な形状にレジストをエッチングす
ることができた。また、XPS分析の結果、レジスト成
分以外の不純物は検出されなかった。
【0075】(実施例3)図4に示す構造のプラズマ処
理装置Aを形成した。反応管2としては石英ガラス管を
用い、外径を16mm、内径を13mmに形成した。ま
た、テーパー角は20°とした。電極3と電極4は銅製
であって、接触面14の算術平均粗さは100μmに形
成した。また、電極3と電極4を冷却する冷媒としては
純水を用いた。さらに、反応管2の内部には体積減少具
8として外径が8mmの石英管を挿入して設けた。この
体積減少具8は図7に示すような二重管構造を有するも
のであり、プラズマ処理中に純水を冷媒として用いて冷
却した。
【0076】被処理物6としては、アルミナ基板に銀パ
ラジウムペーストをスクリーン印刷し、これを焼き付け
してボンディングパッド部を含む回路を形成したものを
使用した。プラズマ生成用ガスはヘリウムを1リットル
/分、アルゴンを3リットル/分、水素を0.03リッ
トル/分の割合で混合して流して反応管2に供給した。
そして放電空間7に250Wで13.56MHzの高周
波電界を印加してプラズマ5を発生させ、これを吹き出
し口1からジェット状に吹き出して被処理物6の表面に
5秒間供給してプラズマ処理(被処理物6の表面の改質
処理及びクリーニング処理)を行った。
【0077】ボンディングパッド部をXPS分析した結
果、処理前では酸化銀のピークが確認されたが、処理後
にはこのピークは金属銀に変化しており、ボンディング
パッド部に酸化銀は認められなかった。また、プラズマ
処理中に吹き出し口1より5mm離れた位置でのプラズ
マ5の温度を測定した結果、体積減少具8を冷媒で冷却
した場合は冷媒で冷却しない場合に比べて、約200℃
低下していた。
【0078】(実施例4)放電空間7に5kHzの高周
波電界を印加した以外は実施例3と同様にしてプラズマ
処理を行った。ボンディングパッド部のXPS分析及び
プラズマ5の温度は実施例3と同様の結果となった。
【0079】(実施例5)放電空間7に150MHzの
高周波電界を印加した以外は実施例3と同様にしてプラ
ズマ処理を行った。ボンディングパッド部のXPS分析
及びプラズマ5の温度は実施例3と同様の結果となっ
た。
【0080】(実施例6)図7に示すプラズマ処理装置
Aを作製した。反応管2としては外径5mm、内径3m
mの石英ガラス管を用いた。電極3と電極4は鋼製であ
って、金メッキが施されており、反応管2との接触面1
4の算術平均粗さは100μmに形成した。各電極の幅
(反応管2に対して平行方向の長さ)は、高圧電極とな
る電極3が30mm、接地電極となる電極4が15mm
とし、電極3と電極4の間隔Lを5mmに設定した。ま
た、各電極を冷却する冷媒としては純水を用いた。
【0081】そして上記の反応管2に、ヘリウムを0.
25リットル/分、アルゴンを1.25リットル/分、
酸素を0.022リットル/分の割合で混合したプラズ
マ生成用ガスを供給し、100Wで13.56MHzの
高周波を印加し、プラズマ5を発生させ、これを吹き出
し口1からジェット状に吹き出して被処理物6の表面に
供給してプラズマ処理を行った。被処理物6としては、
ネガ型レジストを1μm塗布したシリコン基板を用い
た。その結果、約8μm/分のエッチング速度が得られ
た。処理面積は実施例1のプラズマ処理装置を用いてエ
ッチングした場合の約半分となり、処理範囲を有効に絞
ることができることを確認した。また、XPS分析の結
果、レジスト成分以外の不純物は検出されなかった。
【0082】(実施例7)図6に示すプラズマ処理装置
を作製した。反応管2としては外径15mm、内径13
mmの石英ガラス管を用いた。また、集束部20のテー
パー角αは17°とした。電極3と電極4は鋼製であっ
て、金メッキが施されており、反応管2との接触面14
の算術平均粗さは100μmに形成した。各電極の幅
(反応管2の長手方向に対して平行方向の長さ)は、高
圧電極となる電極3が30mm、接地電極となる電極4
が15mmとし、電極3と電極4の間隔Lを5mmに設
定した。また、各電極を冷却する冷媒としては純水を用
いた。さらに、反応管2の内部に体積減少具8として、
外径が8mmの石英の管と、外径が8mmのインコネル
600(ニッケル合金)の管とから構成されたものを挿
入して設けた。上記体積減少具8は、放電に曝される部
分である暴露部51のみ(体積減少具8の下端部から約
50mm)が上記のニッケル合金で形成されており、そ
の表面に溶射法で80Ni−20Crが50μmの厚み
でコーティングされ、さらにその上層に酸化チタンが5
0μmの厚みでコーティングされている。それ以外の部
分は石英で構成されている。
【0083】そして上記の反応管2に、ヘリウムを0.
7リットル/分、アルゴン3.3リットル/分、酸素を
0.06リットル/分の割合で混合したプラズマ生成用
ガスを供給し、350Wで13.56MHzの高周波を
印加し、プラズマ5を発生させ、これを吹き出し口1か
らジェット状に吹き出して被処理物6の表面に供給して
プラズマ処理を行った。被処理物6としては、ネガ型レ
ジストを1μm塗布したシリコン基板を用いた。その結
果、約6μm/分のエッチング速度が得られた。また、
高周波を印加した瞬間にプラズマ5が発生し、点灯し
た。また、XPS分析の結果、レジスト成分以外の不純
物は検出されなかった。
【0084】(実施例8)図3に示すプラズマ処理装置
Aを作製した。反応管2としては外径16mm、内径1
3mmの石英ガラス管を用いた。また、集束部20のテ
ーパー角αは20°とした。電極3と電極4は銅製であ
って、金メッキが施されており、反応管2との接触面1
4の算術平均粗さは100μmに形成した。各電極の幅
(反応管2の長手方向に対して平行方向の長さ)は、高
圧電極となる電極3が15mm、接地電極となる電極4
が15mmとし、電極3と電極4の間隔を5mmに設定
した。さらに、電極4の挿着孔10の形状を反応管2の
集束部20の外周形状と対応するように加工して、電極
4を反応管2の吹き出し口1側の端部である集束部20
の外周に配置した。また、各電極を冷却する冷媒として
は純水を用いた。
【0085】そして上記の反応管2に、ヘリウムを0.
5リットル/分、アルゴンを1.5リットル/分、酸素
を0.02リットル/分の割合で混合したガスを供給
し、250Wで13.56MHzの高周波を印加し、プ
ラズマ5を発生させ、これを吹き出し口1からジェット
状に吹き出して被処理物6の表面に供給してプラズマ処
理を行った。被処理物6としては、ネガ型レジストを1
μm塗布したシリコン基板を用いた。その結果、約11
μm/分のエッチング速度が得られた。また、XPS分
析の結果、レジスト成分以外の不純物は検出されなかっ
た。
【0086】(実施例9)図9に示すプラズマ処理装置
Aを作製した。これは実施例6のプラズマ処理装置Aに
高電圧パルス発生器50を付加したものである。高電圧
パルス発生器50の高電圧を放つ部分である放射電極5
5は、鋭利な先端を有する金属製の棒で形成されてい
る。また、この放射電極55は高周波を印加してプラズ
マ5を発生させる時のみ、反応管2の吹き出し口1の下
流に移動できるように駆動系に連結されている。そし
て、この放射電極55の先端から約18kVの高電圧パ
ルスが反応管2の内部を経由して接地電極である電極4
に向けて短時間(0.7秒間)、放電されるようになっ
ている。このプラズマ処理装置Aを用いて、放電を試み
たところ、プラズマ5が瞬時に発生した。
【0087】(比較例)図10に示す従来のプラズマ処
理装置Aを用いてプラズマ処理を行った。反応管2及び
被処理物6及びプラズマ生成用ガスは実施例1と同様の
ものを用いた。また、外側電極40及び内部電極41と
してはステンレス鋼製のものを用いた。そして実施例1
と同様にして被処理物6をプラズマ処理した後、ボンデ
ィングパッド部のXPS分析を行ったところ、内側電極
41の材質である鉄成分が微量検出された。また、放射
電界強度を測定したところ、特に、150MHz〜30
0MHz帯域での電界強度が実施例1で用いたプラズマ
処理装置に比べて、約20dBμV/m大きかった。
【0088】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1の発明
は、片側が吹き出し口として開放された筒状の反応管と
一対の電極とを具備して構成され、該反応管にプラズマ
生成用ガスを導入し、電極の間に交流電界を印加するこ
とにより、大気圧下で反応管内にグロー状の放電を発生
させ、反応管の吹き出し口からジェット状のプラズマを
吹き出して、流出するプラズマにて被処理物をプラズマ
処理するプラズマ処理装置において、反応管の外側に一
対の電極を互いに対向させて設けたので、両方の電極が
プラズマに直接曝されることが無くなって、プラズマに
よりスパッタリングを受けないようにすることができる
と共に反応ガスにより腐食されないようにすることがで
き、両方の電極がダメージを受けなくなって寿命を長く
することができるものである。しかも、スパッタリング
や腐食により不純物が生じないので、長期間の使用であ
っても被処理物が不純物より汚染されないようにするこ
とができるものである。さらに、高周波ノイズの放射源
である一対の電極を反応管の外側に設けることにより、
電極を不必要に長くすることが無くコンパクトに形成す
ることができ、放射高周波ノイズを低減することができ
るものである。
【0089】また本発明の請求項2の発明は、電極を環
状に形成し、プラズマ生成用ガスの導入方向と略平行方
向に電極を対向させて配置したので、交流電界の方向と
プラズマ生成用ガスの流れ方向とをほぼ一致させること
ができ、プラズマの活性種を効率よく生成することがで
きるものである。
【0090】また本発明の請求項3の発明は、吹き出し
口側に近い位置に配置される一方の電極を接地したの
で、電極から被処理物にアーク放電が飛びにくくなっ
て、アーク放電による被処理物の破損を防止することが
できるものである。
【0091】また本発明の請求項4の発明は、反応管の
吹き出し口側の端部に一方の電極を設けたので、一対の
電極の間に形成される放電空間で生成されたプラズマの
プラズマ活性種が反応管内で死滅しにくなって、多くの
活きたプラズマ活性種を吹き出し口から吹き出して被処
理物に供給することができ、プラズマ処理の処理効率を
向上させることができるものである。
【0092】また本発明の請求項5の発明は、電極の少
なくとも一方を冷媒で冷却するので、プラズマの温度が
高くならないようにすることができ、被処理物の熱的損
傷を少なくすることができるものである。
【0093】また本発明の請求項6の発明は、反応管2
の内径を0.1〜10mmに形成するので、一対の電極
の間に形成される放電空間の体積が小さくなって放電空
間の単位体積あたりの電力が向上してプラズマ処理の生
成効率を向上させることができ、低電力化及び少ガス流
量化を図ることができるものである。
【0094】また本発明の請求項7の発明は、一対の電
極の間に形成される反応管内の放電空間の体積を減少さ
せるための体積減少具を反応管内に設けたので、体積減
少具により放電空間の体積を減少させることによって、
一対の電極の間の放電空間における単位体積あたりの投
入電力(交流電界)を増加させることができ、プラズマ
の生成の効率を向上させることができるものである。
【0095】また本発明の請求項8の発明は、体積減少
具を反応管とほぼ同軸に配設したので、反応管の内周面
と体積減少具の外周面の間に形成される放電空間の体積
を均一化することができ、放電空間における交流電界の
密度が均一化されて、プラズマを効率よく生成すること
ができるものであり、しかも、生成されるプラズマが均
質化されて高品質のプラズマ処理を行うことができるも
のである。
【0096】また本発明の請求項9の発明は、体積減少
具を絶縁材料で形成したので、体積減少具からスパッタ
リングや腐食により不純物が生じないようにすることが
でき、長期間の使用であっても被処理物が不純物より汚
染されないようにすることができるものである。
【0097】また本発明の請求項10の発明は、体積減
少具を冷媒で冷却するので、体積減少具の熱による劣化
を低減することができ、体積減少具の長寿命化を図るこ
とができるものであり、しかも、体積減少具の周囲の放
電空間で生成されるプラズマの温度を低下させることが
でき、被処理物の熱によるダメージを少なくすることが
できるものである。
【0098】また本発明の請求項11の発明は、冷媒が
イオン交換水であるので、冷媒による体積減少具の劣化
を少なくすることができ、体積減少具の長寿命化を図る
ことができるものである。
【0099】また本発明の請求項12の発明は、冷媒が
不凍性及び絶縁性を有するので、高電圧が印加される電
極からの漏電を防止することができるものである。
【0100】また本発明の請求項13の発明は、一対の
電極の間に印加する交流電界の周波数が1kHz〜20
0MHzであるので、放電空間での放電を安定化させる
ことができ、プラズマ処理を効率よく行うことができる
ものであり、しかも、放電空間でのプラズマの温度上昇
を抑えることができ、反応管や高圧電極や接地電極の長
寿命化を図ることができるものであり、さらに、プラズ
マ処理装置の複雑化及び大型化を防止することができる
ものである。
【0101】また本発明の請求項14の発明は、電極は
反応管と接触する側の表面粗度が10〜1000μmで
あるので、放電空間における放電の均一化を図ることが
できるものである。
【0102】また本発明の請求項15の発明は、反応管
を吹き出し口側に向かって絞り込んだので、放電空間の
体積を小さくすることなくジェット状のプラズマの流速
を加速することができ、短寿命のラジカルなどの反応性
ガス活性粒子が消滅する前に、被処理物にプラズマを到
達させることができて被処理物のプラズマ処理を効率よ
く行うことができるものである。
【0103】また本発明の請求項16の発明は、プラズ
マを点灯させるための高電圧パルス発生器を具備するの
で、高電圧パルス発生器で高電圧パルスを発生してプラ
ズマを点灯させることによって、電極に高電圧を印加せ
ずにプラズマを点灯させることができ、始動不良無く素
早く始動させることができるものである。
【0104】本発明の請求項17の発明は、請求項1乃
至14のいずれかに記載のプラズマ処理装置でプラズマ
処理を行うので、高圧電極と接地電極の両方がプラズマ
に直接曝されることが無くなって、プラズマによりスパ
ッタリングを受けないようにすることができると共に反
応ガスにより腐食されないようにすることができ、高圧
電極と接地電極がダメージを受けなくなって寿命を長く
することができるものである。しかも、スパッタリング
や腐食により不純物が生じないので、長期間の使用であ
っても被処理物が不純物より汚染されないようにするこ
とができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す正面図であ
る。
【図2】同上の高圧電極と接地電極の一例を示す斜視図
である。
【図3】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面
図である。
【図4】同上の他の実施の形態の一例を示す正面図であ
る。
【図5】同上の体積減少具を示す概略の断面図である。
【図6】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面
図である。
【図7】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面
図である。
【図8】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面
図である。
【図9】同上の他の実施の形態の一例を示す概略の断面
図である。
【図10】従来例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 吹き出し口 2 反応管 3 電極 4 電極 5 プラズマ 6 被処理物 7 放電空間 8 体積減少具 50 高電圧パルス発生器 A プラズマ処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田口 典幸 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 中園 佳幸 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 猪岡 結希子 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 安田 正治 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 喜多山 和也 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 中村 康輔 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 清 三喜男 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 北村 啓明 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 4E001 LH09 LH10 ME05 ME06 5F004 AA14 AA15 AA16 BA06 BA20 BB11 BB13 BC08

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片側が吹き出し口として開放された筒状
    の反応管と一対の電極とを具備して構成され、該反応管
    にプラズマ生成用ガスを導入し、電極の間に交流電界を
    印加することにより、大気圧下で反応管内にグロー状の
    放電を発生させ、反応管の吹き出し口からジェット状の
    プラズマを吹き出して、流出するプラズマにて被処理物
    をプラズマ処理するプラズマ処理装置において、反応管
    の外側に一対の電極を互いに対向させて設けて成ること
    を特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 【請求項2】 電極を環状に形成し、プラズマ生成用ガ
    スの導入方向と略平行方向に電極を対向させて配置して
    成ることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装
    置。
  3. 【請求項3】 吹き出し口側に近い位置に配置される一
    方の電極を接地して成ることを特徴とする請求項1又は
    2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 【請求項4】 反応管の吹き出し口側の端部に一方の電
    極を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいず
    れかに記載のプラズマ処理装置。
  5. 【請求項5】 電極の少なくとも一方を冷媒で冷却する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプ
    ラズマ処理装置。
  6. 【請求項6】 反応管の内径を0.1〜10mmに形成
    して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに
    記載のプラズマ処理装置。
  7. 【請求項7】 一対の電極の間に形成される反応管内の
    放電空間の体積を減少させるための体積減少具を反応管
    内に設けて成ることを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れかに記載のプラズマ処理装置。
  8. 【請求項8】 体積減少具を反応管とほぼ同軸に配設し
    て成ることを特徴とする請求項7に記載のプラズマ処理
    装置。
  9. 【請求項9】 体積減少具を絶縁材料で形成して成るこ
    とを特徴とする請求項7又は8に記載のプラズマ処理装
    置。
  10. 【請求項10】 体積減少具を冷媒で冷却することを特
    徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のプラズマ処
    理装置。
  11. 【請求項11】 冷媒がイオン交換水であることを特徴
    とする請求項5乃至10のいずれかに記載のプラズマ処
    理装置。
  12. 【請求項12】 冷媒が不凍性及び絶縁性を有すること
    を特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載のプラ
    ズマ処理装置。
  13. 【請求項13】 一対の電極の間に印加する交流電界の
    周波数が1kHz〜200MHzであることを特徴とす
    る請求項1乃至12のいずれかに記載のプラズマ処理装
    置。
  14. 【請求項14】 電極は反応管と接触する側の表面粗度
    が10〜1000μmであることを特徴とする請求項1
    乃至13のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  15. 【請求項15】 反応管を吹き出し口側に向かって絞り
    込んで成ることを特徴とする請求項1乃至14のいずれ
    かに記載のプラズマ処理装置。
  16. 【請求項16】 プラズマを点灯させるための高電圧パ
    ルス発生器を具備して成ることを特徴とする請求項1乃
    至15のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  17. 【請求項17】 請求項1乃至16のいずれかに記載の
    プラズマ処理装置でプラズマ処理を行うことを特徴とす
    るプラズマ処理方法。
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