JP2000348867A - 有機電界発光素子 - Google Patents
有機電界発光素子Info
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Abstract
有する化合物を用いて正孔阻止層を形成することによ
り、駆動安定性、発光効率および色純度がいずれも向上
した有機電界発光素子を提供する。 【解決手段】 すくなくとも基板上に、陽極及び陰極に
より挟持された発光層を有する有機電界発光素子におい
て、陰極と発光層との間に、下記一般式(I)で表さ
れ、かつガラス転移温度(Tg)が80℃以上である化合
物を少なくとも1種含む層を有することを特徴とする、
有機電界発光素子。 【化1】
Description
に関するものであり、詳しくは、有機化合物から成る発
光層に電界をかけて光を放出する薄膜型デバイスに関す
るものである。
としては、無機材料のII−VI族化合物半導体であるZn
S、CaS、SrS等に、発光中心であるMnや希土類
元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープしたものが
一般的であるが、上記の無機材料から作製したEL素子
は、 1)交流駆動が必要(50〜1000Hz)、 2)駆動電圧が高い(〜200 V)、 3)フルカラー化が困難(特に青色)、 4)周辺駆動回路のコストが高い、 という問題点を有している。
有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになっ
た。特に、発光効率を高めるため、電極からのキャリア
ー注入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行
い、芳香族ジアミンから成る正孔輸送層と8−ヒドロキ
シキノリンのアルミニウム錯体から成る発光層とを設け
た有機電界発光素子の開発(Appl. Phys. Lett., 51
巻, 913 頁,1987年)により、従来のアントラセン等の
単結晶を用いたEL素子と比較して発光効率の大幅な改
善がなされている。また、例えば、8−ヒドロキシキノ
リンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン
等のレーザ用蛍光色素をドープすること(J. Appl. Phy
s.,65巻,3610頁,1989年)で、発光効率の向上や発光
波長の変換等も行われている。
子の他にも、発光層の材料として、ポリ(p-フェニレン
ビニレン)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオ
キシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ(3-アルキルチ
オフェン)等の高分子材料を用いた電界発光素子の開発
や、ポリビニルカルバゾール等の高分子に低分子の発光
材料と電子移動材料を混合した素子の開発も行われてい
る。
ラットパネル・ディスプレイの分野に応用する際の大き
な課題の一つとして、発光効率の向上が挙げられる。こ
れまでに報告されている有機電界発光素子では、基本的
には正孔輸送層と電子輸送層の組み合わせにより発光を
行っている。陽極から注入された正孔は正孔輸送層を移
動し、陰極から注入されて電子輸送層を移動してくる電
子と、両層の界面近傍で再結合をし、正孔輸送層及び/
または電子輸送層を励起させて発光させるのが原理であ
る。この基本的素子構造において、特に、正孔が電子輸
送層を通過して、再結合せずに陰極に到達するのが、従
来の素子の発光効率を制限している一つの要因となって
いた。
としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミ錯体、オキ
サジアゾール誘導体(Appl. Phys. Lett., 55 巻, 1489
頁,1989 年)やそれらをポリメタクリル酸メチル(PM
MA)等の樹脂に分散した系(Appl. Phys. Lett. ,61
巻,2793頁, 1992年)、フェナントロリン誘導体(特開
平5−331459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,N'- ジシア
ノアントラキノンジイミン(Phys. Stat. Sol. (a),14
2 巻, 489 頁, 1994年)等が報告されているが、いずれ
の場合も正孔輸送層からの正孔を阻止する能力の点では
充分ではなかった。
るように、正孔阻止能力の高い材料からなる層(正孔阻
止層)を設けることが提案されている。正孔阻止層に関
しては、発光層と陰極との間に、発光層の第一酸化電位
よりも 0.1eV以上大きな第一酸化電位を有する層とし
て、トリス(5,7-ジクロル-8- ヒドロキシキノリノ)ア
ルミニウム(特開平2−195683号公報)を用いた層が挙
げられているが、発光効率の改善効果は不充分であり、
実用には遠かった。同様の正孔阻止層材料として、シラ
シクロペンタジエンも提案されているが(特開平9− 8
7616号公報)、駆動安定性は十分ではない。1,2,4-トリ
アゾール誘導体についても同様の正孔阻止機能が開示さ
れているが、結晶化等の熱的不安定性を有している(特
開平7− 41759号公報)。
再結合に寄与しない電流量を減らすことが必要であり、
高発光効率かつ安定な素子を作製するための素子構造及
び材料に対して、更なる改良検討が望まれていた。なお
本発明者らは、先にビス(2−メチル−8−キノリノラ
ト)(トリフェニルシノラノト)アルミニウムを用いた
正孔阻止層に関する発明につき、特許出願済みである
(特開平11−40367号公報参照)。しかし今般、
更に正孔阻止性能に優れ、かつ駆動安定性の向上した有
機電界発光素子をもたらす化合物として、シラノール誘
導体と8−ヒドロキシキノリン誘導体が配位した、特定
のアルミニウムキレート化合物を見いだし、本発明に至
った。
は、すくなくとも基板上に、陽極及び陰極により挟持さ
れた発光層を有する有機電界発光素子において、陰極と
発光層との間に、下記一般式(I)で表され、ガラス転
移温度(Tg)が80℃以上である化合物を少なくとも1
種含む層を有することを特徴とする、有機電界発光素子
に存する。
芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表し、環A
は下記で表される環構造
々独立に置換基を有していてもよい。)
前記一般式(I)で表され、かつガラス転移温度(T
g)が80℃以上、より好ましくは100℃以上の化合
物を含む層を有することを特徴とする。Tgが80℃未
満の場合、この様な化合物を含む層は耐熱性が低く、素
子駆動時の発熱等による温度上昇で結晶化や凝集等を起
こして層が劣化するため、素子の駆動寿命低下の一因と
なる。
して好ましくは、各々独立して、フェニル基、ナフチル
基などの芳香族炭化水素環基、またはピリジル基、トリ
アジル基、ピラジル基、キノキサリル基、チエニル基な
どの芳香族複素環基を示し、これらはいずれも置換基を
有していてもよい。製造の容易さの点からは、芳香族複
素環基より芳香族炭化水素環基の方が好ましいと考えら
れる。
ン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキ
ル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル
基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキ
シカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1
〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基
などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチル
アミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のアシ
ル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シア
ノ基等が挙げられる。これらのうち特に好ましくは、炭
素数1〜6のアルキル基および炭素数1〜6のアルコキ
シ基が挙げられ、最も好ましくはメチル基およびメトキ
シ基が挙げられる。一般式(I)において、好ましくは
環Aが
子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケ
ニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカ
ルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキル
スルホニル基、アリールスルホニル基、水酸基、アミド
基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素環基または芳香
族複素環基を表し、これらは更に置換されていてもよ
い。なお、R1 とR2 、R 3 とR4 、R5 とR6 は、そ
れぞれ結合して環を形成していてもよい。)で表され
る。
独立して、水素原子;フッ素原子等のハロゲン原子;メ
チル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シク
ロヘキシル基などのシクロアルキル基;ベンジル基、フ
ェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等の
アルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボ
ニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;メ
トキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ
基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオ
キシ基;ベンゼンスルホニル基等のアリールスルホニル
基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等の炭素
数1〜6のアルキルスルホニル基;アミノ基;ジメチル
アミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;
アミド基;ジメチルアミド基、ジエチルアミド基等のア
ルキルアミド基;ベンジルアミド基、ジベンジルアミド
基等のアリールアミド;アセチル基等のアシル基;シア
ノ基;カルボキシル基;水酸基;フェニル基、ビフェニ
ル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、
ピレニル基などの芳香族炭化水素環;カルバゾリル基、
ピリジル基、トリアジル基、ピラジル基、キノキサリル
基、チエニル基などの芳香族複素環等が挙げられ、これ
らは更に置換基されていても良い。
ン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキ
ル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル
基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキ
シカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1
〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基
などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチル
アミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のアシ
ル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シア
ノ基等が挙げられる。これらのうち特に好ましくは、メ
チル基、フェニル基、メトキシ基が挙げられる。
R4 、R5 とR6 は、それぞれ結合して環を形成してい
てもよい。この場合、形成される環として好ましくは、
ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられ
る。一般式(I)で表される化合物の8−ヒドロキシキ
ノリン誘導体からなる配位子として、特に好ましいの
は、R1 の位置に各々独立に炭素数1〜6のアルキル基
を有するもの、中でも
々独立に炭素数1〜6のアルキル基を有するもの、中で
も
は、例えば下記一般式(II)
ウムイソプロポシキシドと室温で攪拌し、下記一般式
(III )
られる。以下に、前記一般式で表される化合物の具体例
をしめすが、本発明はこれによって限定されるものでは
ない。
て、図面を参照しながら説明する。図1は本発明に用い
られる一般的な有機電界発光素子の構造例を模式的に示
す断面図であり、1は基板、2は陽極、4は正孔輸送
層、5は発光層、6は正孔阻止層、8は陰極を各々表わ
す。基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであ
り、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチック
フィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、
ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネー
ト、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好まし
い。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留
意する必要がある。基板のガスバリヤ性が小さすぎる
と、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化
することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂
基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設け
てガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つで
ある。
2は正孔輸送層への正孔注入の役割を果たすものであ
る。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケ
ル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/また
はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロ
ゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3-メ
チルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導
電性高分子などにより構成される。 陽極2の形成は通
常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われる
ことが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅など
の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒
子、導電性高分子微粉末を、適当なバインダー樹脂溶液
に分散し、基板1上に塗布することにより陽極2を形成
することもできる。さらに、導電性高分子の場合は電解
重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上
に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもでき
る(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
形成することも可能である。陽極2の厚みは、必要とす
る透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、
可視光の透過率を、通常、60%以上、好ましくは80%以
上とすることが望ましく、この場合、厚みは、通常5〜
1000nm、 好ましくは10〜500nm 程度である。不透明でよ
い場合は、陽極2は基板1と同じ厚みでもよい。また、
さらには上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層する
ことも可能である。
る。正孔輸送層の材料に要求される条件としては、陽極
からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効
率よく輸送することができる材料であることが必要であ
る。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可
視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大
きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製
造時や使用時に発生しにくいことが要求される。上記の
一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素
子にはさらに耐熱性が要求される。従って、ガラス転移
温度(Tg)として85℃以上の値を有する材料が望まし
い。
ば、1,1-ビス(4-ジ-p- トリルアミノフェニル)シクロ
ヘキサン、4,4'- ビス[N-(1-ナフチル)-N- フェニル
アミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミン
を含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳
香族アミン(特開平5−234681号公報)、トリフェニル
ベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族
トリアミン(米国特許第4,923,774 号)、N,N'- ジフェ
ニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)ビフェニル-4,4'-
ジアミン、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換
した化合物、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特
開平4−290851号公報)、チオフェン基で芳香族3級ア
ミンユニットを連結したもの(特開平4−304466号公
報)、スターバースト型芳香族トリアミン(特開平4−
308688号公報)、フルオレン基で3級アミンを連結した
もの(特開平5− 25473号公報)、トリアミン化合物
(特開平5−239455号公報)、ビスジピリジルアミノビ
フェニル、N,N,N-トリフェニルアミン誘導体(特開平6
−1972号公報)、フェノキサジン構造を有する芳香族ジ
アミン(特開平7−138562号公報)、ジアミノフェニル
フェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報)、
シラザン化合物(米国特許第 4,950,950号公報)、シラ
ナミン誘導体(特開平6− 49079号公報)、ホスファミ
ン誘導体(特開平6− 25659号公報)等が挙げられる。
これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じ
て、各々、混合して用いてもよい。
として、ポリビニルカルバゾールやポリシラン、ポリフ
ォスファゼン(特開平5−310949号公報)、ポリアミド
(特開平5−310949号公報)、ポリビニルトリフェニル
アミン(特開平7− 53953号公報)、トリフェニルアミ
ン骨格を有する高分子(特開平4−133065号公報)、芳
香族アミンを含有するポリメタクリレート等の高分子材
料が挙げられる。上記の正孔輸送材料を塗布法あるいは
真空蒸着法により前記陽極2上に積層することにより正
孔輸送層4を形成する。塗布法の場合は、正孔輸送材料
を1種または2種以上と、必要により正孔のトラップに
ならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を
添加し、溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法な
どの方法により陽極2上に塗布し、乾燥することにより
正孔輸送層4を形成する。バインダー樹脂としては、ポ
リカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙
げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度
を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50重
量%以下が好ましい。
空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当
な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを
加熱して正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向き合って
置かれた、陽極が形成された基板1上に蒸着させること
により正孔輸送層4を形成させる。正孔輸送層4の膜厚
は、通常10〜300nm 、好ましくは30〜100nm である。こ
の様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸
着法がよく用いられる。正孔輸送層4の上には発光層5
が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間に
おいて、陽極から注入されて正孔輸送層4中を移動する
正孔と、陰極から注入されて正孔阻止層6中を移動する
電子との再結合により励起されて強い発光を示す蛍光性
化合物より形成される。
は、安定な薄膜形状を有し、固体状態で高い蛍光収率を
示し、正孔および/または電子を効率よく輸送すること
ができる化合物であることが必要である。さらに電気化
学的かつ化学的に安定であり、トラップとなる不純物が
製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求
される。
トラフェニルブタジエンなどの芳香族化合物(特開昭57
− 51781号公報)、8−ヒドロキシキノリンのアルミニ
ウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、
10- ヒドロキシベンゾ[h] キノリンの金属錯体(特開平
6−322362号公報)、混合配位子型アルミニウム錯体
(J. SID, 5巻, 11頁, 1997年)、シクロペンタジエン
誘導体(特開平2−289675号公報)、ペリノン誘導体
(特開平2−289676号公報)、オキサジアゾール誘導体
(特開平2−216791号公報)、ジスチリルアリーレン誘
導体(Appl. Phys.Lett., 67巻、3853頁、1995年)、希
土類錯体(特開平1−256584号公報)、ジスチリルピラ
ジン誘導体(特開平2−252793号公報)、ビススチリル
ベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−2224
84号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−189890号公
報、同3− 791号公報)、クマリン化合物(特開平2−
191694号公報、同3− 792号公報)、p−フェニレン化
合物(特開平3− 33183号公報)、チアジアゾロピリジ
ン誘導体(特開平3− 37292号公報)、ピロロピリジン
誘導体(特開平3− 37293号公報)、ナフチリジン誘導
体(特開平3−203982号公報)シロール誘導体(ディス
プレイアンドイメージング、5巻、 317頁、1997年)な
どが挙げられる。
性を有する芳香族アミン系化合物も発光層材料として用
いることが出来る。発光層5の膜厚は、通常3 〜200 n
m、好ましくは5 〜100 nmである。発光層も正孔輸送層
と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸
着法が用いられる。素子の発光効率を向上させるととも
に発光色を変える目的で、発光層材料である蛍光性化合
物、例えば8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体
をホスト材料として、クマリン等のレーザ用蛍光色素を
ドープすること(J. Appl. Phys.,65巻, 3610頁, 1989
年)等が提案されている。このドーピング手法は、本発
明の有機電界発光素子における発光層5にも適用でき、
ドープ用材料としては、クマリン以外にも各種の蛍光色
素が使用できる。青色発光を与える蛍光色素としては、
ペリレン、ピレン、アントラセンおよびそれらの誘導体
等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン
誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素
としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられ
る。赤色蛍光色素としては、DCM等のベンゾピラン誘
導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導
体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
材料に応じて、レーザー研究,8巻, 694頁, 803頁,
958頁(1980年);同9巻,85頁(1981年)、に列挙さ
れている蛍光色素が発光層用のドープ材料として使用す
ることができる。ホスト材料に対して上記蛍光色素がド
ープされる量は、10-3〜10重量%が好ましい。上述の蛍
光色素を発光層のホスト材料にドープする方法を以下に
説明する。塗布の場合は、前記発光層ホスト材料と、ド
ープ用蛍光色素、さらに必要により、電子のトラップや
発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング
剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布
溶液を調整し、スピンコート法などの方法により正孔輸
送層4上に塗布し、乾燥して発光層5を形成する。バイ
ンダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添
加量が多いと正孔/電子移動度を低下させるので、少な
い方が望ましく、50重量%以下が好ましい。
真空容器内に設置されたるつぼに入れ、ドープする蛍光
色素を別のるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポン
プで10-6Torr程度にまで排気した後、各々のるつぼを同
時に加熱して蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基
板上に層を形成する。また、他の方法として、上記の材
料を予め所定比で混合したものを同一のるつぼを用いて
蒸発させてもよい。上記各ドーパントが発光層中にドー
プされる場合、通常発光層の膜厚方向において均一にド
ープされるが、膜厚方向において濃度分布があっても構
わない。例えば、正孔輸送層4との界面近傍にのみドー
プしたり、逆に、正孔阻止層6との界面近傍にドープし
てもよい。
表される化合物を含む、正孔阻止層6が設けられる。正
孔阻止層6とは、発光層5の陰極側の界面に接するよう
に設けられた層のことであり、正孔輸送層4から移動し
てくる正孔が、発光層5を通り抜けて陰極に到達するの
を阻止する役割と、陰極8から注入された電子を効率よ
く発光層5の方向に輸送する役割を果たすことができる
化合物により形成される。また、発光層5で再結合によ
る生成するエキシトンを発光層内に閉じこめるために、
発光層材料よりは広いバンドギャップを有することが必
要である。この場合のバンドギャップは、電気化学的に
決定される酸化電位−還元電位の差、または、光吸収端
から求められる。正孔阻止層は電荷キャリアとエキシト
ンの両方を発光層内に閉じこめて、発光効率を向上させ
る機能を有する。
融点かつ広い光学的バンドギャップを有するため、この
ような条件を充分に満たし、正孔阻止層材料として特に
有用である。一般式(I)で表される化合物を正孔阻止
層に用いることで、発光色の純度、耐熱性が大幅に改善
された。正孔阻止層6の膜厚は、通常0.3 〜 100nm、好
ましくは 0.5〜50nmである。正孔阻止層も正孔輸送層と
同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着
法が用いられる。
役割を果たす。陰極8として用いられる材料は、前記陽
極2に使用される材料と同様のものを挙げることが可能
であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の
低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウ
ム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属また
はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネ
シウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アル
ミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げ
られる。さらに、陰極と発光層または電子輸送層の界面
にLiF 、MgF2、Li 2O等の極薄絶縁膜(0.1 〜5nm )を挿
入することも、素子の効率を向上させる有効な方法であ
る(Appl. Phys. Lett., 70 巻,152 頁,1997年;特開
平10− 74586号公報;IEEETrans. Electron. Devices,
44巻,1245頁,1997年)。陰極8の膜厚は通常、陽極2
と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する
目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して
安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。こ
の目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、ク
ロム、金、白金等の金属が使われる。
極2から正孔を受けとる(正孔注入)機能と、受けとっ
た正孔を発光層5へ運ぶ(正孔輸送)機能を果たしてお
り、正孔阻止層6は、発光層5中で電子と再結合しなか
った正孔が、陰極側へ抜けてしまうのを阻止する(正孔
阻止)機能の他に、陰極8から受け取った電子を発光層
5へ運ぶ(電子輸送)機能をも果たしている。しかし本
発明の素子の、更なる発光特性や駆動安定性の向上のた
めに、例えば図2に示す様に、正孔阻止層6と陰極8の
間に電子輸送層7を設けたり、図3に示す様に陽極2と
正孔輸送層4の間に陽極バッファ層3を設けるなど、機
能毎に層を分ける構造、すなわち機能分離型の素子にす
ることも可能である。
いて、本発明の一般式(I)で表される化合物を含む層
を電子輸送層7の位置に設け、正孔阻止層6は別途設け
てもよい。しかし前述したように、一般式(I)で表さ
れる化合物は高融点かつ広いバンドギャップを有するた
め、正孔阻止層6の材料として用いた方が、その長所が
より有効に働くため好ましい。図2に示すように、正孔
阻止層6と陰極8の間に電子輸送層7を設けることによ
り、素子の発光効率をさらに向上させることが可能であ
る。電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において
陰極から注入された電子を効率よく正孔阻止層6の方向
に輸送することができる化合物より形成される。電子輸
送層は、発光層での再結合により生成するエキシトンが
拡散して陰極8で消光されるのを防ぐ効果を有する。
物としては、陰極8からの電子注入効率が高く、かつ、
高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送す
ることができる化合物であることが必要である。このよ
うな条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリ
ンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−1943
93号公報)、10- ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属
錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル
誘導体、シロール誘導体、3-または5-ヒドロキシフラボ
ン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチア
ゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン
(米国特許第 5,645,948号)、キノキサリン化合物(特
開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特
開平5−331459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,N'- ジシ
アノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シ
リコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げら
れる。電子輸送層6の膜厚は、通常、5 〜200nm 、好ま
しくは10〜100 nmである。
て塗布法あるいは真空蒸着法により発光層5上に積層す
ることにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いら
れる。また図3に示す様に、陽極バッファ層3を設ける
ことにより陽極2と正孔輸送層4のコンタクトが向上
し、陽極2からの正孔注入がスムーズになるため、素子
の駆動電圧の低下と駆動安定性の向上を図ることができ
る。陽極バッファ層3に用いられる材料に要求される条
件としては、陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が形
成でき、熱的に安定、すなわち、融点及びガラス転移温
度が高く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度と
しては 100℃以上が要求される。さらに、イオン化ポテ
ンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔
移動度が大きいことが挙げられる。
ン誘導体やフタロシアニン化合物(特開昭63−295695号
公報)、スターバスト型芳香族トリアミン(特開平4−
308688号公報)、ヒドラゾン化合物(特開平4−320483
号公報)、アルコキシ置換の芳香族ジアミン誘導体(特
開平4−220995号公報)、p-(9-アントリル)-N,N-ジ-
p- トリルアニリン(特開平3−111485号公報)、ポリ
チエニレンビニレンやポリ−p−フェニレンビニレン
(特開平4−145192号公報)、ポリアニリン(Appl. Ph
ys. Lett., 64 巻,1245 頁, 1994年参照)等の有機化合
物や、スパッタ・カーボン膜や、バナジウム酸化物、ル
テニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(第
43回応用物理学関係連合講演会,27a-SY-9,1996年)が
報告されている。上記陽極バッファ層材料としてよく使
用される化合物としては、ポルフィリン化合物またはフ
タロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中
心金属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。
好ましいこれらの化合物の具体例としては、以下の化合
物が挙げられる:
ルト(II) 5,10,15,20- テトラフェニル-21H,23H- ポルフィン銅
(II) 5,10,15,20- テトラフェニル-21H,23H- ポルフィン亜鉛
(II) 5,10,15,20- テトラフェニル-21H,23H- ポルフィンバナ
ジウム(IV)オキシド 5,10,15,20- テトラ(4-ピリジル)-21H,23H- ポルフィ
ン 29H,31H-フタロシアニン 銅(II)フタロシアニン 亜鉛(II)フタロシアニン チタンフタロシアニンオキシド マグネシウムフタロシアニン 鉛フタロシアニン 銅(II)4,4',4'',4'''-テトラアザ-29H,31H- フタロシ
アニン
にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、さら
に、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法
が用いられる。この様にして形成される陽極バッファ層
3の膜厚は、通3 〜100nm 、好ましくは10〜50nmであ
る。尚、図1とは逆の構造、すなわち、基板上に陰極
8、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の
順に積層することも可能であり、既述したように少なく
とも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機
電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2
および図3に示した前記各層構成とは逆の構造に積層す
ることも可能である。
子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰
極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれに
おいても適用することができる。 本発明の有機電界発
光素子によれば、高い融点を有する特定の骨格を有する
化合物を正孔阻止層に用いているため、素子の耐熱性が
向上し、色純度のよい青色発光を得ることも可能とな
り、フルカラーあるいはマルチカラーの青色のサブ画素
として機能するばかりでなく、蛍光変換色素と組み合わ
せることによりフルカラー表示素子を作製することも可
能である。
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例の記載に限定されるものではない。 合成例1 (表−1中の例示化合物(1 )の合成)8-ヒドロキシキ
ナルジン0.2g、アルミニウムイソプロポキシド0.25gを
トルエン300ml に溶かし、室温で10分攪拌した。トリ
(オルトートリル)シラノールを0.2gのトルエン10mlに
溶かした溶液を滴下後、3 時間還流攪拌した。反応終了
後、放冷し、生じた白色沈殿をトルエンで洗浄し、乾燥
後、昇華精製を行い、0.23gの白色粉末を得た(収率56
%)。この化合物の質量分析を行ったところ、分子量が
660であり目的化合物であることを確認した。この化合
物(1)の粉末試料についてセイコーインスツルメンツ
(株)社製TG/DTA-320により示差熱分析測定したとこ
ろ、融点は 297℃と高い値を示した。また、セイコーイ
ンスツルメンツ(株)社製DSC-20により示差走査熱量測
定したところ、Tg(ガラス転移温度)は103℃と高い値
を示した。
ヒドロキシキノリノール1.2g、アルミニウムイソプロポ
キシド0.8 gをトルエン300ml に溶かし、室温で10分攪
拌した。トリフェニルシラノールを0.2gのトルエン10ml
に溶かした溶液を滴下後、2 時間還流攪拌した。反応終
了後、放冷し、生じた白色沈殿をトルエンで洗浄し、乾
燥後、昇華精製を行い、0.63gの白色粉末を得た(収率
23%)。この化合物の質量分析を行ったところ、分子量
が 660であり目的化合物であることを確認した。この化
合物(14)の粉末試料についてセイコーインスツルメン
ツ(株)社製TG/DTA-320により示差熱分析測定したとこ
ろ、融点は 297℃と高い値を示した。また、セイコーイ
ンスツルメンツ(株)社製DSC-20により示差走査熱量測
定したところ、Tg(ガラス転移温度)は 86 ℃と高い値
を示した。
で作製した。ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物
(ITO)透明導電膜を 120nm堆積したもの(ジオマテ
ック社製;電子ビーム成膜品;シート抵抗15Ω)を通常
のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて 2
mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。
パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波
洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる
超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後
に紫外線オゾン洗浄を行って、真空蒸着装置内に設置し
た。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、
装置内の真空度が1.6 ×10-6Torr(約2.1 ×10-4Pa)以
下になるまで液体窒素トラップを備えた油拡散ポンプを
用いて排気した。正孔輸送層4の材料として、下記に示
す構造式の4,4'- ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミ
ノ]ビフェニル(H−1)
のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時
のるつぼの温度は、252 〜284 ℃の範囲で制御した。蒸
着時の真空度は1.4 ×10-6Torr(約1.8 ×10-4Pa)で、
蒸着速度0.1nm /秒で膜厚60nmの正孔輸送層4を得た。
次に、発光層5の材料として、下記に示す構造式の4,4'
- ビス[N-(9-フェナントリル)-N- フェニルアミノ]
ビフェニル(EM−1)
を行なった。この時のるつぼの温度は267 〜282 ℃の範
囲で制御した。蒸着時の真空度は1.1 ×10-6Torr(約1.
4 ×10 -4Pa)で、蒸着速度 0.1nm/秒で、膜厚は30nm
であった。次に、正孔阻止層6の材料として、合成例1
にて得られた例示化合物(1)を発光層5の上に蒸着を
行なった。正孔阻止層形成時のるつぼの温度は 257〜28
0℃の範囲で制御し、真空度は2.6 ×10-6Torr(約3.5
×10-4Pa)で、蒸着速度 0.2nm/秒で、膜厚は20nmであ
った。続いて、電子輸送層7の材料として以下に示すア
ルミニウムの8−ヒドリキシキノリン錯体(E−2)
行った。この時のるつぼの温度は313〜328 ℃の範囲で
制御した。蒸着時の真空度は1.0 ×10-7Torr(約1.3 ×
10-4Pa)で、蒸着速度0.1nm /秒で、膜厚は25nmであっ
た。上記の正孔輸送層4から電子輸送層7までを真空蒸
着により形成する時の、基板温度は室温に保持した。
素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出し
て、陰極蒸着用のマスクとして 2mm幅のストライプ状シ
ャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交す
るように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置
し、有機層と同様にして装置内の真空度が2×10-6Torr
(約2.7 ×10-4Pa)以下になるまで排気した。陰極8と
して、先ず、フッ化マグネシウム(MgF2)をモリブデン
ボートを用いて、蒸着速度0.1nm /秒、真空度6.0 ×10
-6Torr(約8.0 ×10-4Pa)で、1.5nmの膜厚で電子輸送
層7の上に成膜した。次に、アルミニウムを同様にモリ
ブデンボートにより加熱して、蒸着速度 0.4nm/秒、真
空度1.0 ×10-5Torr(約1.3 ×10-3Pa)で膜厚40nmのア
ルミニウム層を形成した。
ために銅を、同様にモリブデンボートを用いて加熱し
て、蒸着速度 0.5nm/秒、真空度8.0 ×10-6Torr(約1.
1 ×10 -3Pa)で膜厚40nmの銅層を形成して陰極8を完成
させた。以上の3層型陰極8の蒸着時の基板温度は室温
に保持した。
光面積部分を有する有機電界発光素子を作製した。この
素子の発光特性を表−2に示す。表−2において、発光
輝度は250mA /cm2 の電流密度での値、発光効率は 100
cd/m2での値、輝度/電流は輝度−電流密度特性の傾き
を、電圧は 100cd/m2での値を各々示す。またELスペ
クトルのピーク極大波長とCIE色度座標値(JIS Z870
1 )を表−3に示す。この素子は長期間保存後も、駆動
電圧の顕著な上昇はみられず、発光効率や輝度の低下も
なく、安定した素子の保存安定性が得られた。
で作製した。ガラス基板上にインジウム・スズ酸化物
(ITO)透明導電膜を 120nm堆積したもの(ジオマテ
ック社製;電子ビーム成膜品;シート抵抗15Ω)を通常
のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて 2
mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。
パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波
洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる
超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後
に紫外線オゾン洗浄を行って、真空蒸着装置内に設置し
た。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、
装置内の真空度が2.2 ×10-6Torr(約1.6 ×10-4Pa)以
下になるまで液体窒素トラップを備えた油拡散ポンプを
用いて排気した。
じく4,4'- ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビ
フェニル(H- 1)をセラミックるつぼに入れ、るつぼ
の周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。
この時のるつぼの温度は、270 〜268 ℃の範囲で制御し
た。蒸着時の真空度は1.8 ×10-6Torr(約1.3 ×10-4P
a)で、蒸着速度0.1nm /秒で膜厚60nmの正孔輸送層4
を得た。次に、発光層5の材料としても、実施例1と同
じく4,4'- ビス[N-(9-フェナントリル)-N- フェニル
アミノ]ビフェニル(EM- 1)を上記正孔輸送層4の
上に同様にして蒸着を行なった。この時のるつぼの温度
は271 〜280 ℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は4.
0 ×10-6Torr(約3.0 ×10-4Pa)で、蒸着速度 0.1nm/
秒で、膜厚は30nmであった。
2にて得られた例示化合物(14)を発光層5の上に蒸着
を行なった。正孔阻止層形成時のるつぼの温度は 243〜
252℃の範囲で制御し、真空度は1.2 ×10-6Torr(約1.0
×10-4Pa)で、蒸着速度 0.2nm/秒で、膜厚は20nmで
あった。続いて電子輸送層7の材料として、実施例1と
同じアルミニウムの8−ヒドリキシキノリン錯体(E-
2)を上記正孔阻止層の上に同様にして蒸着を行った。
この時のるつぼの温度は292 〜304 ℃の範囲で制御し
た。蒸着時の真空度は1.0×10-7Torr(約1.3 ×10-4P
a)で、蒸着速度0.1nm /秒で、膜厚は25nmであった。
を真空蒸着にて形成する時の、基板温度は室温に保持し
た。ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を一
度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸
着用のマスクとして 2mm幅のストライプ状シャドーマス
クを、陽極2のITOストライプとは直交するように素
子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層
と同様にして装置内の真空度が2 ×10-6Torr(約2.7 ×
10-4Pa)以下になるまで排気した。
(MgF2)をモリブデンボートを用いて、蒸着速度0.1nm
/秒、真空度6.0 ×10-6Torr(約8.0 ×10-4Pa)で、1.
5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、アル
ミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸
着速度 0.4nm/秒、真空度1.0 ×10-5Torr(約1.3 ×10
-3Pa)で膜厚40nmのアルミニウム層を形成した。さら
に、その上に、陰極の導電性を高めるために銅を、同様
にモリブデンボートを用いて加熱して、蒸着速度0.5nm
/秒、真空度8.0 ×10-6Torr(約1.1 ×10-3Pa)で膜厚
40nmの銅層を形成して陰極8を完成させた。以上の3層
型陰極8の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
光面積部分を有する有機電界発光素子を作製した。この
素子の発光特性を表−2に示す。表−2において、発光
輝度は250mA /cm2 の電流密度での値、発光効率は 100
cd/m2での値、輝度/電流は輝度- 電流密度特性の傾き
を、電圧は 100cd/m2での値を各々示す。ELスペクト
ルのピーク極大波長とCIE色度座標値(JIS Z8701 )
を表−3に示す。この素子は長期間保存後も、駆動電圧
の顕著な上昇はみられず、発光効率や輝度の低下もな
く、安定した素子の保存安定性が得られた。また、温度
60℃、湿度90% の条件で96時間放置後も、発光特性の変
化は実用上問題とならないものであった。
は実施例1と同様に素子を作製した。この素子の発光特
性を表−2に示す。目的とする青色発光は得られず、電
子輸送層として用いたアルミニウムの8−ヒドリキシキ
ノリン錯体からの緑色発光が観測された。 比較例2 正孔阻止層として、以下の構造式に示すビス(2-メチル
-8- キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミ
ニウム
と同様にして素子を作製した。実施例1 とこの素子の色
度座標を表−3にしめす。実施例1 は比較例2 と比較し
て色純度のよい青色発光を示した。
定の芳香族アミン化合物を含有する正孔輸送層を有する
ために、青色発光を達成でき、また安定性の向上した素
子を得ることができる。従って、本発明による有機電界
発光素子はフラットパネル・ディスプレイ(例えばOA
コンピュータ用や壁掛けテレビ)やマルチカラー表示素
子、あるいは面発光体としての特徴を生かした光源(例
えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバッ
クライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、
特に、高耐熱性が要求される車載用、屋外用表示素子と
しては、その技術的価値は大きいものである。
断面図。
式断面図。
式断面図。
Claims (7)
- 【請求項1】 すくなくとも基板上に、陽極及び陰極に
より挟持された発光層を有する有機電界発光素子におい
て、陰極と発光層との間に、下記一般式(I)で表さ
れ、かつガラス転移温度(Tg)が80℃以上である化合
物を少なくとも1種含む層を有することを特徴とする、
有機電界発光素子。 【化1】 (式中、Ar1 〜Ar3 は、各々独立に、芳香族炭化水
素環基または芳香族複素環基を表し、Aは下記構造で示
される環 【化2】 を表す。Ar1 〜Ar3 および環Aは、各々独立に、置
換基を有していてもよい。) - 【請求項2】 一般式(I)において、環Aが 【化3】 (式中、R1 〜R6 は各々独立に、水素原子、ハロゲン
原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シア
ノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、
カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、水酸基、アミド基、アリー
ルオキシ基、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基
を表し、これらは更に置換されていてもよい。なお、R
1 とR2 、R 3 とR4 、R5 とR6 は、それぞれ結合し
て環を形成していてもよい。)で表されることを特徴と
する、請求項1記載の有機電界発光素子。 - 【請求項3】 一般式(I)におけるAr1 〜Ar3 が
各々独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素環基
を表す、請求項1または2記載の有機電界発光素子。 - 【請求項4】 一般式(I)において、Ar1 〜Ar3
が有する置換基が、各々独立に炭素数1〜6のアルキル
基である、請求項1ないし3のいずれかに記載の有機電
界発光素子。 - 【請求項5】 一般式(I)において、R1 が各々独立
に炭素数1〜6のアルキル基である、請求項2ないし4
のいずれかに記載の有機電界発光素子。 - 【請求項6】 一般式(I)において、R1 およびR3
が各々独立に炭素数1〜6のアルキル基である、請求項
2ないし4のいずれかに記載の有機電界発光素子。 - 【請求項7】 一般式(I)で表される化合物を含む層
が、発光層の陰極側の界面に接する位置に形成されてい
ることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記
載の有機電界発光素子。
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