JPH11354284A - 有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子

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JPH11354284A
JPH11354284A JP10162244A JP16224498A JPH11354284A JP H11354284 A JPH11354284 A JP H11354284A JP 10162244 A JP10162244 A JP 10162244A JP 16224498 A JP16224498 A JP 16224498A JP H11354284 A JPH11354284 A JP H11354284A
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aromatic
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JP10162244A
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Inventor
Yoshiharu Sato
佳晴 佐藤
Tomoyuki Ogata
朋行 緒方
Yukichi Murata
勇吉 村田
Kyoko Endo
恭子 遠藤
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、駆動特性の安定性に優れ、青色純度
が改善された有機電界発光素子を提供する。 【解決手段】 基板1上に、陽極2及び陰極7で挟持さ
れた正孔輸送層4及び電子輸送層6を設けた有機電界発
光素子。該正孔輸送層4がトリジアン骨格を有する特定
の芳香族トリアミン化合物を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機電界発光素子に
関するものであり、詳しくは、有機化合物からなる発光
層に電界をかけて光を放出する薄膜型デバイスに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、薄膜型の電界発光(EL)素子と
しては、無機材料のII−VI族化合物半導体であるZn
S、CaS、SrS等に、発光中心であるMnや希土類
元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープしたものが
一般的であるが、上記の無機材料から作製したEL素子
は、 1)交流駆動が必要(一般に50〜1000Hz)、 2)駆動電圧が高い(一般に〜200V程度)、 3)フルカラー化が困難(特に青色に問題がある)、 4)周辺駆動回路のコストが高い、 という問題点を有している。
【0003】しかし、近年、上記問題点の改良のため、
有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになっ
た。特に、発光効率を高めるため、電極からのキャリア
ー注入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行
い、芳香族ジアミンからなる正孔輸送層と8−ヒドロキ
シキノリンのアルミニウム錯体からなる発光層とを設け
た有機電界発光素子の開発(Appl.Phys.Le
tt.,51巻,913頁,1987年)により、従来
のアントラセン等の単結晶を用いたEL素子と比較して
発光効率の大幅な改善がなされている。また、例えば、
8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材
料として、クマリン等のレーザ用蛍光色素をドープする
こと(J.Appl.Phys.,65巻,3610
頁,1989年)で、発光効率の向上や発光波長の変換
等も行われている。
【0004】上記の様な低分子材料を用いた電界発光素
子の他にも、発光層の材料として、ポリ(p-フェニレ
ンビニレン)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキ
シルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ(3-
アルキルチオフェン)等の高分子材料を用いた電界発光
素子の開発や、ポリビニルカルバゾール等の高分子に低
分子の発光材料と電子移動材料を混合した素子の開発も
行われている。
【0005】有機電界発光素子をフラットパネル・ディ
スプレイ等の表示素子に応用するためには、素子の信頼
性を十分に確保する必要がある。
【0006】しかしながら、従来の有機電界発光素子で
は耐熱性が不十分であり、素子の環境温度やプロセス温
度の上昇により電流−電圧特性が高電圧側にシフトした
り、素子駆動時の局所的なジュール発熱により寿命が低
下したり、非発光部分(ダークスポット)の発生及び増
加等の劣化が避けられなかった。
【0007】また、青色発光素子に関しては、8−ヒド
ロキシキノリンのアルミニウム錯体を用いた緑色発光素
子と比較して、更に素子の安定性が劣っているのが現状
である。
【0008】上記の素子劣化の主原因は、有機層の薄膜
形状の劣化である。この薄膜形状の劣化は、素子駆動時
の発熱等による有機非晶質薄膜の結晶化(又は凝集)等
に起因すると考えられている。この耐熱性の低さは材料
のガラス転移温度(以下「Tg」と略す。)の低さに由
来すると考えられる。Tgは一般的に融点と直線的な相
関があり、青色発光素子に関しては、パイ電子共役を拡
げられないとい制約から、発光層に用いられる化合物に
は、分子量が小さく融点及びTgが低いものが多い。ま
た、化学的にも十分安定とは言えないのが現状である。
【0009】従来、高いTgを有する正孔輸送材料とし
て、一群のスターバースト型の芳香族トリアミン化合物
が報告されている。代表的なものを以下に示す。
【0010】
【化9】
【0011】上記芳香族トリアミン化合物のうち、m−
MTDATAのイオン化ポテンシャルは5.1eVと低
く、陽極からの正孔注入も起きやすいが、Tgが75℃
であり、車載用等の応用に必要とされる85℃の耐熱性
の要求からみると低く、素子の駆動寿命も300時間と
十分ではない(Appl.Phys.Lett.,65
巻,807頁,1994年)。TCTAのTgは、15
1℃と改良されているが、イオン化ポテンシャルが5.
7eVと高い(Adv.Mater.,6巻,677
頁,1994年)。m−MTDAPBでもTgは105
℃と耐熱性の要求は満たしているが、このものもイオン
化ポテンシャルが5.7eVと高く実用上問題があった
(Mol.Crsyt.,Liq.Crsyt.,28
0巻,331頁,1996年)。なお、上記のいずれの
化合物についても発光層としての報告はなされていな
い。
【0012】ところで、従来、青色有機電界発光素子に
用いられた化合物としては、アントラセン、テトラフェ
ニルブタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、
ジスチリルベンゼン誘導体、オキサジアゾール誘導体、
アゾメチン亜鉛錯体、ベンズアゾール金属錯体(特開平
8−81472号公報)、混合配位子アルミニウム錯体
(特開平5−198377号公報;特開平5−1983
78号公報;特開平5−214332号公報;特開平6
−172751号公報)、N,N'-ジフェニル-N,N'-
(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジ
アミン(Jpn.J.Appl.Phys.,32巻,L9
17頁,1993年)、ポリビニルカルバゾール、1,
2,4-トリアゾール誘導体、アミノピレン二量体(J
pn.J.Appl.Phys.,35巻,4819頁,1
996年)、ジスチリルビフェニル誘導体(Appl.
Phys.Lett.,67巻,3853頁,1995
年)、シロール誘導体等が報告されている。
【0013】上記の青色発光材料のなかで、素子特性が
よく検討されている代表的化合物を以下に示す。
【0014】
【化10】
【0015】
【化11】
【0016】
【化12】
【0017】これらの青色発光材料のうち、ジスチリル
ビフェニル誘導体(B−1)は、蛍光強度が強く素子に
用いた時にもエキサイプレックスを形成せず、青色発光
が報告されているが(Appl.Phys.Lett.,
67巻,3853頁,1995年)、薄膜状態でのイオ
ン化ポテンシャルが5.9eVと高く、正孔輸送層から
正孔が注入されにくく、また、ELスペクトルでは48
0nm付近に発光極大を有するブロードなピークを示
し、青色の色純度がよくないとう問題がある。この色純
度はドーピングを行っても改善されていない。
【0018】ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(p-
フェニルフェノラト)アルミニウム錯体(B−2)も青
色の色純度が不十分で、ペリレンをドープすることで色
純度は改善されるものの、駆動時の安定性が実用レベル
には達していない(特開平5−198377号公報)。
【0019】芳香族ジアミンであるN,N'-ジフェニル-
N,N'-(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-
4,4'-ジアミン(通常「TPD」と称される。)(B
−3)は、正孔阻止層としてのトリアゾール誘導体と組
み合わせた時に464nmに発光ピークを有するELス
ペクトルを示すが(Jpn.J.Appl.Phy
s.,32巻,L917頁,1993年)、TPDのT
gは63℃と低いために結晶化等の熱的不安定性を有す
る。この他に、4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-
フェニルアミノ]ビフェニルを発光層として用いること
が報告されているが、青色発光は得られていない(電子
情報通信学会技術研究報告,OME97−69,199
7年;月刊ディスプレイ,7月号,62頁,1996
年)。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、有機電界
発光素子は実用化に向けて、素子の耐熱性、更には青色
発光の色純度に大きな問題を抱えているのが実状であ
る。
【0021】有機電界発光素子の耐熱性が低く、駆動特
性が不安定で、青色純度が劣ることは、フルカラー化を
目指すフラットパネル・ディスプレイ等の表示素子とし
て望ましくない。
【0022】本発明は上記従来の問題点を解決し、耐熱
性、駆動特性の安定性に優れ、青色純度が改善された有
機電界発光素子を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の有機電界発光素
子は、基板上に、陽極及び陰極により挟持された、正孔
輸送層及び電子輸送層有する有機電界発光素子であっ
て、該正孔輸送層が、下記一般式(A)で表わされるト
リアジン骨格を有する芳香族アミン化合物を含有するこ
とを特徴とする。
【0024】
【化13】
【0025】(式中、Ara〜Arfは、各々独立して置換
基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を
有していてもよい芳香族複素環基を表し、Xa〜Xcは各
々独立して置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化
水素環基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複
素環基を表す。) 即ち、本発明者らは、上記従来の実状に鑑み、高い耐熱
性を有し、駆動特性に優れ、更には、色純度のよい青色
発光を示す有機電界発光素子を提供するべく鋭意検討し
た結果、基板上に、陽極及び陰極により挟持された正孔
輸送層及び電子輸送層を有する有機電界発光素子におい
て、正孔輸送層の材料として特定のトリアジン骨格を有
する芳香族アミン化合物を用いることで、上記従来の問
題を解決することができることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0026】本発明では、85℃以上のTgを有するト
リアジン骨格を有する芳香族アミン化合物を正孔輸送層
材料として用いることで、素子の発光特性と耐熱性を同
時に改善する。即ち、前記一般式(A)で表されるトリ
アジン骨格を有する芳香族アミン化合物は、Tg85℃
以上の化合物であり、この化合物を採用することにより
容易には結晶化しない非晶質薄膜を与えることが可能で
あり、電子輸送層等との間における分子の相互拡散を8
5℃以上の高温下でも十分に抑制することができる。し
かも、本発明に係る芳香族アミン化合物は、高いTgを
有することに加えて強い蛍光性を示すものが多く、本発
明においては、これらの化合物を用いて400〜600
nmの波長領域に蛍光極大を有する正孔輸送性の発光層
とすることもできる。更には適切な分子設計により、青
色の発光を示す化合物も合成可能であり、青色発光素子
も作製することができる。
【0027】本発明において、前記芳香族アミン化合物
としては下記一般式(I)で表されるものが好ましい。
【0028】
【化14】
【0029】(式中、Ar1及びAr2は、各々独立して置
換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基
を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Xは置換基
を有していてもよい2価の芳香族炭化水素環基又は置換
基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表す。) 本発明においては、正孔輸送層は複数の単位層からなる
積層構造を有し、少なくとも一つの単位層が前記芳香族
アミン化合物を含有することが好ましい。
【0030】更に、本発明では正孔輸送層と電子輸送層
との間に、下記一般式(II)で表される金属錯体、下記
一般式(III)で表される金属錯体、下記一般式(IV)
で表わされるスチリル化合物、下記式(V)で表される
構造を含むトリアゾール誘導体、及び下記式(VI)で表
される構造を含むフェナントロリン誘導体よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する正孔阻止
層が設けられていることが好ましい。
【0031】
【化15】
【0032】(式中、R1〜R6は、各々独立して水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケ
ニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、ア
ルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ
基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸
基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有し
ていてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有してい
てもよい芳香族複素環基を表し、MはAl原子又はGa
原子を示し、Lは以下に示す一般式(IIa)、(II
b)、(IIc)のいずれかで表される。)
【0033】
【化16】
【0034】(式中、YはSi、Ge、Snのいずれか
の原子を表し、Ar3〜Ar7は、各々独立して置換基を有
していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有して
いてもよい芳香族複素環基を表す。)
【0035】
【化17】
【0036】(式中、R1〜R12は、各々独立して水素
原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アル
ケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、
アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ
基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸
基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有し
ていてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有してい
てもよい芳香族複素環基を表し、MはAl原子又はGa
原子を示す。)
【0037】
【化18】
【0038】(式中、Zは置換基を有していてもよい2
価の芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい
2価の芳香族複素環基を表し、Ar8〜Ar11は、各々独
立して置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又
は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。)
【0039】
【化19】
【0040】
【化20】
【0041】この正孔阻止層の膜厚は0.5〜30nm
の範囲にあることが好ましい。
【0042】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の有機
電界発光素子の実施の形態を詳細に説明する。
【0043】図1〜4は本発明の有機電界発光素子の実
施の形態を示す模式的な断面図であり、1は基板、2は
陽極、3は陽極バッファ層、4は正孔輸送層、5は正孔
阻止層、6は電子輸送層、7は陰極を各々表わす。
【0044】基板1は有機電界発光素子の支持体となる
ものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラ
スチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラ
ス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカー
ボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好
ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性
に留意する必要がある。基板のガスバリヤ性が小さすぎ
ると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣
化することがあるので好ましくない。このため、合成樹
脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設
けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つ
である。
【0045】基板1上には陽極2が設けられる。陽極2
は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものであ
る。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケ
ル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又は
スズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲ
ン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3-メチ
ルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電
性高分子などにより構成される。陽極2の形成は通常、
スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われること
が多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微
粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、
導電性高分子微粉末などを用いる場合には、これを適当
なバインダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布するこ
とにより陽極2を形成することもできる。更に、導電性
高分子の場合は電解重合により直接基板1上に薄膜を形
成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を
形成することもできる(Appl.Phys.Let
t.,60巻,2711頁,1992年)。陽極2は異
なる物質で積層して形成することも可能である。陽極2
の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必
要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以
上、好ましくは80%以上とすることが望ましく、この
場合、厚みは、通常、5〜1000nm、好ましくは1
0〜500nm程度である。不透明でよい場合は陽極2
は基板1と同一でもよい。また、上記の陽極2の上に異
なる導電材料を積層することも可能である。
【0046】陽極2の上には正孔輸送層4が設けられ
る。正孔輸送層4の材料に要求される条件としては、陽
極2からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔
を効率よく輸送することができる材料であることが挙げ
られる。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さ
く、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動
度が大きく、更に安定性に優れ、トラップとなる不純物
が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。上
記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場
合、素子には更に耐熱性が要求され、正孔輸送層4の材
料には、Tgとして85℃以上の値を有する高耐熱性材
料が望ましい。
【0047】本発明の有機電界発光素子では、正孔輸送
層4の構成材料として前記一般式(A)で表わされるト
リアジン骨格を有する芳香族アミン化合物を用いる。
【0048】即ち、本発明においては、このような85
℃以上のTgを有する化合物を用いることで、素子の発
光特性と耐熱性を同時に改善する。
【0049】前記一般式(A)、好ましくは前記一般式
(I)で表されるトリアジン骨格を有する芳香族アミン
化合物は、Tg85℃以上の化合物であり、この化合物
を採用することにより容易には結晶化しない非晶質薄膜
を与えることが可能であり、電子輸送層等との間におけ
る分子の相互拡散を85℃以上の高温下でも十分に抑制
することができる。しかも、本発明に係る芳香族アミン
化合物は、高いTgを有することに加えて強い蛍光性を
示すものが多く、本発明においては、これらの化合物を
用いて400〜600nmの波長領域に蛍光極大を有す
る正孔輸送性の発光層とすることもできる。更には適切
な分子設計により、青色の発光を示す化合物も合成可能
であり、青色発光素子も作製することができる。
【0050】前記一般式(A)におけるAra〜Arf、特
に前記一般式(I)において、Ar1及びAr2は、好まし
くは、各々独立して置換基を有していてもよいフェニル
基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナ
ントリル基、ピレニル基、ピリジル基、トリアジル基、
ピラジル基、キノキサリル基、チエニル基であり、前記
置換基としてはフッ素原子等のハロゲン原子;メチル
基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基
等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカ
ルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル
基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコ
キシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のアリール
オキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジ
アルキルアミノ基、アセチル基等のアシル基、トリフル
オロメチル基等のハロアルキル基、シアノ基が挙げられ
る。前記置換基としては、特に好ましくは、フッ素原
子、メチル基、フェニル基、メトキシ基、トリフルオロ
メチル基が挙げられる。
【0051】Xa、Xb、Xc或いはXは、好ましくは、
置換基を有していてもよい2価のベンゼン環、ナフタレ
ン環、アントラセン環、ビナフチル環、フルオレン環、
フェナントレン環、ピレン環、アクリジン環、フェナジ
ン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、ビピ
リジル環、ビフェニル環であり、前記置換基としてはハ
ロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のア
ルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボ
ニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアル
コキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素
数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキ
シ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイ
ソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基が挙げられ
る。前記置換基としては、特に好ましくは、メチル基、
フェニル基、メトキシ基が挙げられる。
【0052】一般式(I)で表される化合物は、例え
ば、下記一般式(VII)で表されるアミノ化合物と下記
一般式(VIII)で表わされるヨード化合物をUllma
nn反応(Organic Synthesis,1
巻,544頁)にて反応させ、生成した下記一般式(I
X)で表される1置換体をカラムクロマトグラフィで分
離した後、下記一般式(X)で表されるヨード化合物
と、同様にUllmann反応させることにより得るこ
とができる。
【0053】
【化21】
【0054】
【化22】
【0055】
【化23】
【0056】
【化24】
【0057】本発明に係る芳香族アミン化合物の好まし
い具体例を表1、2に示すが、これらに限定するもので
はない。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】これらの化合物は、1種を単独で用いても
よいし、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよ
い。
【0061】正孔輸送層4は、上記の正孔輸送材料を塗
布法或いは真空蒸着法により前記陽極2上に積層するこ
とにより形成される。
【0062】塗布法の場合は、正孔輸送材料の1種又は
2種以上と、必要により正孔のトラップにならないバイ
ンダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤とを添加し、溶
解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法に
より陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成す
る。ここでバインダー樹脂としては、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バ
インダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させる
ので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好
ましい。
【0063】真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真
空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当
な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツ
ボを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向き
合って置かれた基板1上の陽極2上に正孔輸送層4を形
成させる。
【0064】このようにして形成される正孔輸送層4の
膜厚は、通常10〜300nm、好ましくは30〜10
0nmである。このように薄い膜を一様に形成するため
には、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
【0065】陽極2と正孔輸送層4のコンタクトを向上
させるために、これらの層間に図2に示すように、陽極
バッファ層3を設けてもよい。陽極バッファ層3に用い
られる材料に要求される条件としては、陽極2とのコン
タクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、即
ち、融点及びTgが高く、融点としては300℃以上、
Tgとしては100℃以上が要求される。更に、イオン
化ポテンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこ
と、正孔移動度が大きいことが挙げられる。ような陽極
バッファ層材料としては、従来、ポルフィリン誘導体や
フタロシアニン化合物(特開昭63−295695号公
報)、スターバスト型芳香族トリアミン(特開平4−3
08688号公報)、ヒドラゾン化合物、アルコキシ置
換の芳香族ジアミン誘導体、p-(9-アントリル)-
N,N-ジ-p-トリルアニリン、ポリチエニレンビニレ
ンやポリ−p−フェニレンビニレン、ポリアニリン等の
有機化合物や、スパッタ・カーボン膜や、バナジウム酸
化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸
化物が報告されている。
【0066】上記陽極バッファ層材料としてよく使用さ
れる化合物としては、ポルフィリン化合物又はフタロシ
アニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金属
を有していてもよいし、無金属のものでもよい。
【0067】好ましい陽極バッファ層材料の具体例とし
ては、以下の化合物が挙げられる ポルフィン 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H
-ポルフィン 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H
-ポルフィンコバルト(II) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H
-ポルフィン銅(II) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H
-ポルフィン亜鉛(II) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H
-ポルフィンバナジウム(IV)オキシド 5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)-21
H,23H-ポルフィン 29H,31H-フタロシアニン 銅(II)フタロシアニン 亜鉛(II)フタロシアニン チタンフタロシアニンオキシド マグネシウムフタロシアニン 鉛フタロシアニン 銅(II)4,4',4'',4'''-テトラアザ-29H,31H
-フタロシアニン陽極バッファ層3の場合も、正孔輸送
層4と同様にして薄膜形成可能であるが、陽極バッファ
層材料が無機物の場合には、更に、スパッタ法や電子ビ
ーム蒸着法、プラズマCVD法を用いることができる。
【0068】陽極バッファ層3の膜厚は、通常3〜10
0nm、好ましくは10〜50nmである。
【0069】正孔輸送層4の上には電子輸送層6が設け
られる。電子輸送層6は、電界を与えられた電極間にお
いて陰極7から注入された電子を効率よく正孔輸送層4
の方向に輸送し、正孔との再結合を効率よく行うことが
できる化合物で形成される。
【0070】本発明においては、発光機能はこの電子輸
送層6が有していてもよいし、既述したように、正孔輸
送層4が有していてもよい。
【0071】電子輸送層6に用いられる電子輸送性化合
物としては、陰極7からの電子注入効率が高く、かつ、
高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送す
ることができる化合物であることが必要である。
【0072】このような条件を満たす材料としては、8
−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯
体(特開昭59−194393号公報)、10-ヒドロ
キシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール
誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導
体、3-又は5-ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオ
キサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリ
スベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,64
5,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−20
7169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5
−331459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,
N'-ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶
質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛など
が挙げられる。
【0073】電子輸送層6は、正孔輸送層4と同様にし
て塗布法或いは真空蒸着法により正孔輸送層4上に積層
することにより形成される。但し、塗布法の場合にはす
でに薄膜形成されている正孔輸送層4を溶解させない溶
媒を使用する必要がある。
【0074】電子輸送層6の膜厚は、通常5〜200n
m、好ましくは10〜100nmである。
【0075】なお、素子の発光効率を向上させるととも
に発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノ
リンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン
等のレーザ用蛍光色素をドープすること(J.App
l.Phys.,65巻,3610頁,1989年)等が
行われている。この方法の利点は、 1)高効率の蛍光色素により発光効率が向上、 2)蛍光色素の選択により発光波長が可変、 3)濃度消光を起こす蛍光色素も使用可能、 4)薄膜性のわるい蛍光色素も使用可能、 等である。
【0076】このように素子の発光効率を向上させると
同時に色純度を改善し、更に素子の駆動寿命を改善する
ために、発光機能を有する正孔輸送層及び/又は電子輸
送層に使用される材料をホストとして、蛍光色素をドー
プすることは有効な方法である。
【0077】例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミ
ニウム錯体などの金属錯体をホスト材料として、ルブレ
ンに代表されるナフタセン誘導体(特開平4−3350
87号公報)、キナクリドン誘導体(特開平5−707
73号公報)、ペリレン等の縮合多環芳香族環(特開平
5−198377号公報)を、ホスト材料に対して0.
1〜10重量%ドープすることにより、素子の発光特
性、特に駆動安定性を大きく向上させることができる。
ホスト材料に上記ナフタセン誘導体、キナクリドン誘導
体、ペリレン等の蛍光色素をドープする方法としては、
共蒸着による方法と蒸着源を予め所定の濃度で混合して
おく方法がある。
【0078】上記各ドーパントが正孔輸送層及び/又は
電子輸送層中にドープされる場合、一般的には膜厚方向
において均一にドープされるが、膜厚方向において濃度
分布があっても構わない。例えば、正孔輸送層と電子輸
送層の界面近傍にのみドープしてもよい。
【0079】本発明においては、正孔輸送層4を複数の
正孔輸送材料からなる単位層の積層構造としてもよい。
図3は正孔輸送層4を2つの単位層4a,4bからなる
積層構造とした例を示すものである。
【0080】この場合、前述の本発明に係るトリアジン
骨格を有する芳香族アミン化合物はこれら単位層4a,
4bのいずれか一方の層にのみ使用してもよい。この場
合、他方の正孔輸送単位層に使用される材料としては、
正孔を効率よく輸送することができる材料であることが
必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小
さく、しかも正孔移動度が大きく、更に安定性に優れ、
トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい
ことが要求される。
【0081】このような正孔輸送材料としては、例え
ば、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シ
クロヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した
芳香族ジアミン化合物、4,4'-ビス[N-(1-ナフチ
ル)-N-フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個
以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素
原子に置換した芳香族アミン(特開平5−234681
号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバー
スト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許第4,9
23,774号)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス
(3-メチルフェニル)ビフェニル-4,4'-ジアミン等
の芳香族ジアミン、分子全体として立体的に非対称なト
リフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公
報)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した
化合物(特開平4−175395号公報)、エチレン基
で3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン
(特開平4−264189号公報)、スチリル構造を有
する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公
報)、チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結
したもの(特開平4−304466号公報)、スターバ
ースト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号
公報)、ベンジルフェニル化合物(特開平4−3641
53号公報)、フルオレン基で3級アミンを連結したも
の(特開平5−25473号公報)、トリアミン化合物
(特開平5−239455号公報)、ビスジピリジルア
ミノビフェニル(特開平5−320634号公報)、
N,N,N-トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1
972号公報)、フェノキサジン構造を有する芳香族ジ
アミ(特開平7−138562号公報)、ジアミノフェ
ニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474
号公報)、シラザン化合物(米国特許第4,950,9
50号公報)、シラナミン誘導体(特開平6−4907
9号公報)、ホスファミン誘導体(特開平6−2565
9号公報)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で
用いてもよいし、必要に応じて2種以上を混合して用い
てもよい。
【0082】また、上記の化合物以外に、正孔輸送材料
として、ポリビニルカルバゾールやポリシラン、ポリフ
ォスファゼン、ポリアミド、ポリビニルトリフェニルア
ミン、トリフェニルアミン骨格を有する高分子(特開平
4−133065号公報)、芳香族アミンを含有するポ
リメタクリレート等の高分子材料も用いることができ
る。
【0083】上記の正孔輸送材料についても前述のトリ
アジン骨格を有する芳香族アミン化合物と同様の方法
で、正孔輸送層4の単位層4a又は4bを形成すること
ができる。
【0084】本発明において、前記トリアジン骨格を有
する芳香族アミン化合物が発光機能を有する場合、更に
素子の発光効率を高めるために、電子輸送層6との間に
正孔阻止層5を設けることは極めて有効である。図4
に、このような正孔阻止層5を設けた素子の構造例を示
す。この場合、正孔輸送層の単位層4bに発光性のトリ
アジン骨格を有する芳香族アミン化合物を使用してい
る。この素子構造においては、特に、発光性正孔輸送単
位層4bが青色発光する場合に正孔阻止層5の効果が大
きく現れる。
【0085】正孔阻止層5は、正孔輸送層4から移動し
てくる正孔が陰極7に到達するのを阻止する役割と、陰
極7から注入された電子を効率よく発光性正孔輸送層4
又は単位層4bの方向に輸送することができる化合物よ
り形成される。正孔阻止層5を構成する材料に求められ
る物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこ
と、及び、正孔を効率的に発光性正孔輸送層4又は単位
層4b内に閉じこめるために、発光性正孔輸送層4又は
単位層4bのイオン化ポテンシャルより大きいイオン化
ポテンシャルの値を有する必要がある。即ち、正孔輸送
層4は電子輸送能力を持たない材料で構成されることか
ら、正孔阻止層5は正孔と電子を発光性正孔輸送層4又
は単位層4b内に閉じこめて、発光効率を向上させる機
能を有する。
【0086】このような条件を満たす正孔阻止層材料と
しては、例えば、次の〜が挙げられる。
【0087】 以下の一般式(II)で表わされる混合
配位子錯体
【0088】
【化25】
【0089】(式中、R1〜R6は、各々独立して水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケ
ニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、ア
ルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ
基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸
基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有し
ていてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有してい
てもよい芳香族複素環基を表し、MはAl原子又はGa
原子を示し、Lは以下に示す一般式(IIa)、(II
b)、(IIc)のいずれかで表される。)
【0090】
【化26】
【0091】(式中、YはSi、Ge、Snのいずれか
の原子を表し、Ar3〜Ar7は、各々独立して置換基を有
していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有して
いてもよい芳香族複素環基を表す。) 以下の一般式(III)で表される二核金属錯体
【0092】
【化27】
【0093】(式中、R1〜R12は、各々独立して水素
原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アル
ケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、
アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ
基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸
基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有し
ていてもよい芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を
表し、MはAl原子又はGa原子を示す。) 以下の一般式(IV)で示されるスチリル化合物
【0094】
【化28】
【0095】(式中、Zは置換基を有していてもよい2
価の芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい
2価の芳香族複素環基を表し、Ar8〜Ar11は、各々独
立して置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又
は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。) 以下の構造式(V)で示される1,2,4-トリア
ゾール環を少なくとも1個有する化合物
【0096】
【化29】
【0097】 以下の構造式(VI)で示されるフェナ
ントロリン環を少なくとも1個有する化合物が挙げられ
る。
【0098】
【化30】
【0099】前記一般式(II)で示される混合配位子錯
体の具体例としては、ビス(2-メチル-8-キノリノラ
ト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8
-キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウ
ム、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(メタ−クレ
ゾラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノ
ラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム、ビス(2-
メチル-8-キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラ
ト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラ
ト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム、ビス
(2-メチル-8-キノリノラト)(パラ−フェニルフェ
ノラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノ
ラト)(2,3-ジメチルフェノラト)アルミニウム、ビ
ス(2-メチル-8-キノリノラト)(2,6-ジメチルフ
ェノラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリ
ノラト)(3,4-ジメチルフェノラト)アルミニウム、
ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(3,5-ジメチル
フェノラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノ
リノラト)(3,5-ジ-tert-ブチルフェノラト)ア
ルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(2,
6-ジフェニルフェノラト)アルミニウム、ビス(2-メ
チル-8-キノリノラト)(2,4,6-トリフェニルフェ
ノラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノ
ラト)(2,4,6-トリメチルフェノラト)アルミニウ
ム、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(2,3,6-ト
リメチルフェノラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-
8-キノリノラト)(2,3,5,6-テトラメチルフェノ
ラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラ
ト)(1-ナフトラト)アルミニウム、ビス(2-メチル
-8-キノリノラト)(2-ナフトラト)アルミニウム、
ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(トリフェニルシ
ラノラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリ
ノラト)(トリフェニルゲルマノラト)アルミニウム、
ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(トリス(4,4-
ビフェニル)シラノラト)アルミニウム、ビス(2,4-
ジメチル-8-キノリノラト)(オルト−フェニルフェノ
ラト)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリ
ノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム、
ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラト)(メタ−フェ
ニルフェノラト)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル
-8-キノリノラト)(3,5-ジメチルフェノラト)アル
ミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノリノラト)
(3,5-ジ-tert-ブチルフェノラト)アルミニウ
ム、ビス(2-メチル-4-エチル-8-キノリノラト)
(パラ−クレゾラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-
4-メトキシ-8-キノリノラト)(パラ−フェニルフェ
ノラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-5-シアノ-8
-キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウ
ム、ビス(2-メチル-6-トリフルオロメチル-8-キノ
リノラト)(2-ナフトラト)アルミニウム、ビス(2-
メチル-8-キノリノラト)(フェノラト)ガリウム、ビ
ス(2-メチル-8-キノリノラト)(オルト−クレゾラ
ト)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)
(パラ−フェニルフェノラトガリウム、ビス(2-メチ
ル-8-キノリノラト)(1-ナフトラト)ガリウム、ビ
ス(2-メチル-8-キノリノラト)(2-ナフトラト)ガ
リウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(トリフ
ェニルシラノラト)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キ
ノリノラト)(トリス(4,4-ビフェニル)シラノラ
ト)ガリウム等が挙げられる。
【0100】これらのうち特に好ましくは、ビス(2-
メチル-8-キノリノラト)(2-ナフトラト)アルミニ
ウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(トリフェ
ニルシラノラト)アルミニウムが挙げられる。
【0101】前記一般式(III) で表される二核金属錯
体の具体例としては、ビス(2-メチル-8-キノラト)
アルミニウム-μ-オキソ−ビス−(2-メチル-8-キノ
リラト)アルミニウム、ビス(2,4-ジメチル-8-キノ
ラト)アルミニウム-μ-オキソ−ビス−(2,4-ジメチ
ル-8-キノリラト)アルミニウム、ビス(4-エチル-2
-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム-μ-オキソ−
ビス−(4-エチル-2-メチル-8-キノリノラト)アル
ミニウム、ビス(2-メチル-4-メトキシキノリノラ
ト)アルミニウム-μ-オキソ−ビス−(2-メチル-4-
メトキシキノリノラト)アルミニウム、ビス(5-シア
ノ-2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム-μ-オキ
ソ−ビス−(5-シアノ-2-メチル-8-キノリノラト)
アルミニウム、ビス(5-クロロ-2-メチル-8-キノリ
ノラト)アルミニウム-μ-オキソ−ビス−(5-クロロ-
2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム、ビス(2-
メチル-5-トリフルオロメチル-8-キノリノラト)アル
ミニウム-μ-オキソ−ビス−(2-メチル-5-トリフル
オロメチル-8-キノリノラト)アルミニウム等が挙げら
れる。特に好ましくは、ビス(2-メチル-8-キノラ
ト)アルミニウム-μ-オキソ−ビス−(2-メチル-8-
キノリラト)アルミニウムが挙げられる。
【0102】前記一般式(VI)で表されるスチリル化合
物の具体例としては、従来の青色発光材料で例示したジ
スチリルビフェニル化合物(B−1)が挙げられる。
【0103】前記構造式(V)で表される1,2,4-ト
リアゾール環を少なくとも1個有する化合物の具体例と
しては以下に示すものがある。
【0104】
【化31】
【0105】前記構造式(VI)で表されるフェナントロ
リン環を少なくとも1個有する化合物の具体例としては
以下に示すものがある。
【0106】
【化32】
【0107】正孔阻止層5も正孔輸送層4と同様の方法
で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いら
れる。正孔阻止層6の膜厚は、通常、0.3〜100n
m、好ましくは0.5〜10nmである。
【0108】陰極7は、電子輸送層6に電子を注入する
役割を果たす。陰極7として用いられる材料は、前記陽
極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効
率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好
ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウ
ム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金
が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合
金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リ
チウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
【0109】陰極7の膜厚は通常、陽極2と同様であ
る。
【0110】低仕事関数金属からなる陰極を保護する目
的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定
な金属層を積層することは素子の安定性を増す上で有効
である。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニ
ッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
【0111】更に、陰極と電子輸送層6の界面にLi
F、MgF2、Li2O等の極薄絶縁膜(0.1〜5n
m)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な
方法である(Appl.Phys.Lett.,70
巻,152頁,1997年;特開平10− 74586
号公報;IEEE Trans.Electron.D
evices,44巻,1245頁,1997年)。
【0112】図1〜4は、本発明で採用される素子構造
の一例であって、本発明は何ら図示のものに限定される
ものではない。例えば、図1とは逆の構造、即ち、基板
1上に陰極7、電子輸送層6、正孔輸送層4、陽極2の
順に積層することも可能であり、既述したように少なく
とも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機
電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図
2、図3及び図4に示したものについても、前記各層構
成を逆の構造に積層することも可能である。
【0113】本発明の有機電界発光素子によれば、高い
Tgを有する前記特定のトリアジン骨格を有する芳香族
アミン化合物を正孔輸送層に用いているため、素子の耐
熱性が向上し、色純度のよい青色発光を得ることも可能
となり、フルカラー或いはマルチカラーの青色のサブ画
素として機能するばかりでなく、蛍光変換色素と組み合
わせることによりフルカラー表示素子を作製することも
可能である(特開平3−152897号公報)。
【0114】
【実施例】次に、本発明を実験例、実施例及び比較例に
よって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超
えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものでは
ない。
【0115】実験例1 ガラス基板を、アセトンで超音波洗浄した後、純水で水
洗し、次いでイソプロピルアルコールで超音波洗浄した
後、乾燥窒素で乾燥し、更に、紫外線/オゾン洗浄を行
った。このガラス基板を真空蒸着装置内に設置して、装
置内の真空度が2×10-6Torr以下になるまで油拡
散ポンプを用いて排気した。
【0116】前述の表1の例示化合物(1)をセラミッ
クルツボに入れ、ルツボの周囲のタンタル線ヒーターで
加熱して蒸着を行った。この時のルツボの温度は、33
0〜350℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は3.
0×10-6Torr(約4.0×10-4Pa)で、蒸着
速度0.1nm/秒で膜厚88nmの一様な透明膜を得
た。
【0117】この薄膜試料のイオン化ポテンシャルを理
研計器(株)製の紫外線電子分析装置「AC−1」を用
いて測定したところ、5.09eVの値を示した。この
蒸着膜を水銀ランプ(波長 350nm)で励起して測
定した蛍光波長の極大は476nmで、青色の蛍光であ
った。
【0118】この化合物(1)の粉末試料についてセイ
コー電子社製「DSC−20」により示差熱分析測定し
たところ、融点は362℃、Tgは 113℃と高い値
を示した。
【0119】同様にして、他の例示化合物(3)、
(5)、(7)、(9)、(11)について同様の評価
を行った結果を表3に示す。
【0120】なお、表3には従来、比較的高いTgを有
するとされる公知のm−MTDATA、TCTA、m−
MTDATAPBのTgとイオン化ポテンシャルを併記
する。
【0121】表3より、本発明に係るトリジアン骨格を
有する芳香族アミン化合物が従来のものに比べて、とり
わけTgが高く、イオン化ポテンシャルは比較的低く、
高耐熱性正孔輸送材料として好適であることが分かる。
【0122】
【表3】
【0123】実施例1 図3に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法
で作製した。
【0124】ガラス基板1上にインジウム・スズ酸化物
(ITO)透明導電膜を120nm堆積したもの(ジオ
マテック社製;電子ビーム成膜品;シート抵抗15Ω)
を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用
いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を
形成した。このパターン形成したITO基板を、アセト
ンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルア
ルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで
乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行って、真空蒸着
装置内に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプに
より行った後、装置内の真空度が2×10-6Torr
(約2.7×10-4Pa)以下になるまで液体窒素トラ
ップを備えた油拡散ポンプを用いて排気した。
【0125】正孔輸送単位層4aの材料として、下記に
示す構造式の4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニ
ルアミノ]ビフェニル(H−1)をセラミックルツボに
入れ、ルツボの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸
着を行った。この時のルツボの温度は、255〜270
℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は1.0×10-6
Torr(約1.3×10-4Pa)で、蒸着速度0.4n
m/秒で膜厚60nmの正孔輸送単位層4aを得た。
【0126】
【化33】
【0127】次に、正孔輸送単位層4bの材料として、
例示化合物(1)を用い、上記正孔輸送単位層4aの上
に同様にして蒸着を行なった。この時のルツボの温度は
340〜350℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は
1.1×10-6Torr(約1.5×10-4Pa)で、蒸
着速度0.4nm/秒で、膜厚は30nmであった。
【0128】続いて、電子輸送層6の材料として以下に
示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(E−
1)を用い、上記正孔輸送単位層4bの上に同様にして
蒸着を行った。この時のルツボの温度は310〜330
℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は8.0×10-7
Torr(約1.1×10-4Pa)で、蒸着速度0.4n
m/秒で、膜厚は45nmであった。
【0129】
【化34】
【0130】なお、上記の正孔輸送単位層4aから電子
輸送層6を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持し
た。
【0131】ここで、電子輸送層6までの蒸着を行った
素子を一旦前記真空蒸着装置内より大気中に取り出し
て、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状
シャドーマスクを、陽極2のITOストライプと直交す
るように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置
して有機層形成時と同様にして装置内の真空度が2×1
-6Torr(約2.7×10-4Pa)以下になるまで
排気した。
【0132】陰極7として、先ず、フッ化マグネシウム
(MgF2)をモリブデンボートを用いて、蒸着速度0.
1nm/秒、真空度3.2×10-6Torr(約4.3×
10-4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸送層6の上
に成膜した。次に、アルミニウムを同様にモリブデンボ
ートにより加熱して、蒸着速度0.5nm/秒、真空度
1.0×10-5Torr(約1.3×10-3Pa)で膜厚
40nmのアルミニウム層を形成した。更に、その上
に、陰極の導電性を高めるために、銅を同様にモリブデ
ンボートを用いて加熱して、蒸着速度0.7nm/秒、
真空度8.0×10-6Torr(約1.1×10-3Pa)
で膜厚40nmの銅層を形成して陰極7を完成させた。
以上の3層型陰極7の蒸着時の基板温度は室温に保持し
た。
【0133】以上の様にして、2mm×2mm のサイ
ズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られ
た。この素子の発光特性を表4に示す。表4において、
発光輝度は250mA/cm2の電流密度での値、発光
効率は100cd/m2での値、輝度/電流は輝度−電
流密度特性の傾きを、電圧は100cd/m2での値を
各々示す。また、電流密度−電圧特性を図5に、ELス
ペクトルを図6に示す。そのピーク極大波長とCIE色
度座標値(JIS Z8701)を表4に示す。この素
子の発光色は530nmに極大を有する緑色であり、電
子輸送層6として用いたアルミニウムの8−ヒドロキシ
キノリン錯体からの発光が観測された。
【0134】この素子は長期間保存後も、駆動電圧の顕
著な上昇はみられず、発光効率や輝度の低下もなく、安
定した素子の保存安定性が得られた。
【0135】実施例2 正孔輸送単位層4bの材料として例示化合物(1)に代
えて例示化合物(9)を用いた他は、実施例1と同様に
して素子を作製した。この素子の発光特性を表4に示
す。この素子では、緑色の発光が観測されたが、スペク
トルの形状から例示化合物(9)からの発光であること
が確認された。
【0136】比較例1 正孔輸送層単位4bを設けず、電子輸送層6の膜厚を7
5nmとした他は実施例1と同様にして素子を作製し
た。この素子の電流密度−電圧特性を図5に、ELスペ
クトルを図6に示す。また、発光特性を表4に示す。こ
の素子では、駆動電圧が実施例1、2に比較して増加し
た。
【0137】実施例3 正孔阻止層5の材料として、下記構造式のビス(2−メ
チル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)
アルミニウム錯体(HB−1)を用い、正孔阻止層5を
正孔輸送単位層4bの上に形成して、図4に示す素子構
造とした他は実施例1と同様にして素子を作製した。
【0138】
【化35】
【0139】なお、正孔阻止層5形成時のルツボの温度
は245℃とし、真空度は2.3×10-6Torr(約
3.1×10-4Pa)で、蒸着速度0.2nm/秒で、膜
厚20nmの正孔阻止層5を形成した。
【0140】この素子のELスペクトルを図6に、発光
特性を表4に示す。この素子では青色発光が得られた
が、発光は正孔輸送単位層4bからのものと確認され
た。
【0141】実施例4 正孔輸送単位層4bの材料として例示化合物(3)を例
示化合物(1)の代わりに用いた他は実施例2と同様に
して素子を作製し、得られた素子の発光特性を表4に示
した。この素子では青色発光が得られた。
【0142】実施例5 正孔輸送単位層4bの材料として例示化合物(5)を例
示化合物(1)の代わりに用いた他は実施例2と同様に
して素子を作製し、得られた素子の発光特性を表4に示
した。この素子では青色発光が得られた。
【0143】実施例6 正孔輸送単位層4bの材料として例示化合物(7)を例
示化合物(1)の代わりに用いた他は実施例2と同様に
して素子を作製し、得られた素子の発光特性を表4に示
した。この素子では青色発光が得られた。
【0144】実施例7 正孔輸送単位層4bの材料として例示化合物(11)を
例示化合物(1)の代わりに用いた他は実施例2と同様
にして素子を作製し、得られた素子の発光特性を表4に
示した。この素子では青色発光が得られた。
【0145】
【表4】
【0146】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の有機電界発
光素子によれば、特定の芳香族アミン化合物を含有する
正孔輸送層を設けることで、青色発光を達成でき、耐熱
性に優れ、駆動安定性の向上した素子を得ることができ
る。
【0147】従って、本発明による有機電界発光素子
は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピ
ュータ用や壁掛けテレビ)やマルチカラー表示素子、或
いは面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複
写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト
光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、特に、高
耐熱性が要求される車載用、屋外用表示素子として、そ
の技術的価値は大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の一例
を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の他の
例を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の別の
例を示す模式的な断面図である。
【図4】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の異な
る例を示す模式的な断面図である。
【図5】実施例1及び比較例1で作製した素子の電流密
度−電圧特性を示すグラフである。
【図6】実施例1、3及び比較例1で作製した素子のE
Lスペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板 2 陽極 3 陽極バッファ層 4 正孔輸送層 4a、4b 正孔輸送単位層 5 正孔阻止層 6 電子輸送層 7 陰極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 恭子 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、陽極及び陰極により挟持され
    た、正孔輸送層及び電子輸送層を有する有機電界発光素
    子において、該正孔輸送層が、下記一般式(A)で表わ
    されるトリアジン骨格を有する芳香族アミン化合物を含
    有することを特徴とする有機電界発光素子。 【化1】 (式中、Ara、Arb、Arc、Ard、Are及びArfは、各
    々独立して置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環
    基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表
    し、Xa、Xb、Xcは各々独立して置換基を有していて
    もよい2価の芳香族炭化水素環基又は置換基を有してい
    てもよい2価の芳香族複素環基を表す。)
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記芳香族アミン化
    合物が下記一般式(I)で表わされることを特徴とする
    有機電界発光素子。 【化2】 (式中、Ar1及びAr2は、各々独立して置換基を有して
    いてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を有していて
    もよい芳香族複素環基を表し、Xは置換基を有していて
    もよい2価の芳香族炭化水素環基又は置換基を有してい
    てもよい2価の芳香族複素環基を表す。)
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記正孔輸送
    層が複数の単位層からなる積層構造を有し、少なくとも
    一つの単位層が前記芳香族アミン化合物を含有すること
    を特徴とする有機電界発光素子。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
    て、前記正孔輸送層と電子輸送層との間に、下記一般式
    (II)で表される金属錯体、下記一般式(III)で表さ
    れる金属錯体、下記一般式(IV)で表わされるスチリル
    化合物、下記式(V)で表される構造を含むトリアゾー
    ル誘導体、及び下記式(VI)で表される構造を含むフェ
    ナントロリン誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも
    1種の化合物を含有する正孔阻止層が設けられているこ
    とを特徴とする有機電界発光素子。 【化3】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、各々独立し
    て水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル
    基、アルケニル基、アリル基、シアノ基、アミノ基、ア
    シル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ア
    ルコキシ基、アルキルスルホニル基、α−ハロアルキル
    基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換
    基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基を
    有していてもよい芳香族複素環基を表し、MはAl原子
    又はGa原子を示し、Lは以下に示す一般式(IIa)、
    (IIb)、(IIc)のいずれかで表される。) 【化4】 (式中、YはSi、Ge、Snのいずれかの原子を表
    し、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7は、各々独立して置
    換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又は置換基
    を有していてもよい芳香族複素環基を表す。) 【化5】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R
    9、R10、R11、R12は、各々独立して水素原子、ハロ
    ゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、
    アリル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシ
    カルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキ
    ルスルホニル基、α−ハロアルキル基、水酸基、置換基
    を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよ
    い芳香族炭化水素環基又は置換基を有していてもよい芳
    香族複素環基を表し、MはAl原子又はGa原子を示
    す。) 【化6】 (式中、Zは置換基を有していてもよい2価の芳香族炭
    化水素環基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族
    複素環基を表し、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11は、各々独
    立して置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基又
    は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。) 【化7】 【化8】
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記正孔阻止層の膜
    厚が0.5〜30nmの範囲にあることを特徴とする有
    機電界発光素子。
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