JP2000243571A - 有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子

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JP2000243571A
JP2000243571A JP11128659A JP12865999A JP2000243571A JP 2000243571 A JP2000243571 A JP 2000243571A JP 11128659 A JP11128659 A JP 11128659A JP 12865999 A JP12865999 A JP 12865999A JP 2000243571 A JP2000243571 A JP 2000243571A
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Japan
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light emitting
layer
organic electroluminescent
hole blocking
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JP11128659A
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English (en)
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Akiko Ichinosawa
晶 子 市野澤
Yoshiharu Sato
藤 佳 晴 佐
Tomoyuki Ogata
方 朋 行 緒
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/18Carrier blocking layers

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 優れた発光効率を有し、特に青色発光素子に
おいては、色純度にも優れた素子を得ることが出来る。 【解決手段】 基板上に、陽極および陰極により挟持さ
れた発光層を少なくとも有する有機電界発光素子であっ
て、上記発光層と上記陰極との間に正孔阻止層が設けら
れており、この正孔阻止層が下記一般式(I) 具体的には例えば で表される化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物
を含んでなることを特徴とする、有機電界発光素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機電界発光素子
に関するものであり、さらに詳しくは、有機化合物から
成る発光層に電界をかけて光を放出する薄膜型デバイス
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、薄膜型の電界発光(EL)素子と
しては、無機材料のII−VI族化合物半導体、例えばZn
S、CaS、SrS等に、発光中心としてMnや希土類
元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープしたものが
一般的に知られている。しかし、このような無機材料か
ら作製したEL素子はそれなりに有用なものであるが、
(1)交流駆動が必要(50〜1000Hz)、(2)駆動電
圧が高い(〜200V)、(3)フルカラー化が困難(特
に青色)および(4)周辺駆動回路のコストが高い、と
いう点で更なる性能向上が求められている。
【0003】近年、上記問題点の改良のため、有機薄膜
を用いたEL素子の開発が行われるようになった。特
に、発光効率を高めるために、電極からのキャリアー注
入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行い、
芳香族ジアミンから成る正孔輸送層と8−ヒドロキシキ
ノリンのアルミニウム錯体から成る発光層とを設けた有
機電界発光素子の開発(Appl. Phys. Lett., 51巻, 913
頁,1987年)により、従来のアントラセン等の単結晶を
用いたEL素子と比較して発光効率の大幅な改善がなさ
れている。また、例えば、8−ヒドロキシキノリンのア
ルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレー
ザ用蛍光色素をドープすること(J. Appl.Phys.,65
巻,3610頁,1989年)で、発光効率の向上や発光波長の
変換等も行われている。
【0004】上記の様な低分子材料を用いた電界発光素
子の他にも、発光層の材料として、ポリ(p-フェニレン
ビニレン)、ポリ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオ
キシ)-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ(3-アルキルチ
オフェン)等の高分子材料を用いた電界発光素子の開発
や、ポリビニルカルバゾール等の高分子材料に低分子の
発光材料と電子移動材料を混合した素子の開発も行われ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】有機電界発光素子をフ
ラットパネル・ディスプレイの分野に応用する際の大き
な課題の一つとして、発光効率の向上が挙げられる。携
帯機器の表示素子への応用においては、特に、低消費電
力がポイントとなる。また、小型文字表示素子への応用
においては、主として、単純マトリクス駆動法が採用さ
れるが、この方法では、高デューティ比で素子を極めて
短時間に高輝度で光らせる必要があり、そのために電圧
が高くなって、電力発光効率が低下するという問題が指
摘されている。
【0006】これまでに報告されている有機電界発光素
子では、基本的には正孔輸送層と電子輸送層との組み合
わせにより発光を行っている。これは陽極から注入され
た正孔が正孔輸送層を移動し、これが陰極から注入され
て電子輸送層を移動してくる電子と、両層の界面近傍で
再結合をし、正孔輸送層および/または電子輸送層を励
起させて発光させる原理を利用したものである。しか
し、この種の有機電界発光素子は発光効率の点で必ずし
も満足できるものとは言えなかった。すなわち、この基
本的素子構造においては、正孔が電子輸送層を通過して
電子と再結合せずに陰極に到達することがあって、これ
が従来の素子の発光効率を制限している一つの要因とな
っていた。
【0007】従来、電子の輸送能力が高い電子輸送材料
としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯
体、オキサジアゾール誘導体(Appl. Phys. Lett., 55
巻, 1489頁,1989年)やそれらをポリメタクリル酸メチ
ル(PMMA)等の樹脂に分散させた系(Appl. Phys.
Lett.,61巻,2793頁, 1992年)、フェナントロリン誘
導体(特開平5−331459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,
N'-ジシアノアントラキノンジイミン(Phys. Stat. So
l. (a),142巻, 489頁, 1994年)等が報告されている
が、いずれの場合も電子輸送層の正孔の通過を阻止する
という点では不充分であった。
【0008】正孔阻止層に関しては、発光層と陰極との
間に、発光層の第一酸化電位よりも0.1eV以上大きな第
一酸化電位を有する正孔阻止層として、トリス(5,7-ジ
クロル-8-ヒドロキシキノリノ)アルミニウム (特開平
2−195683号公報)の使用が挙げられているが、発光効
率の改善効果は実用には遠かった。同様の正孔阻止層材
料として、シラシクロペンタジエンも提案されているが
(特開平9− 87616号公報)、駆動安定性が十分である
とは言えなかった。1,2,4-トリアゾール誘導体について
も同様の正孔阻止機能が開示されているが、結晶化等の
熱的安定性が充分でないようである(特開平7− 41759
号公報)。上述の理由から、正孔を完全に阻止して再結
合に寄与しない電流量を減らすことが必要であり、高発
光効率かつ安定な素子を作製するための素子構造および
材料に対して、更なる改良検討が望まれていた。
【0009】〔発明の概要〕 <要旨>本発明は、上記実状に鑑み、高発光効率で発光
させ、安定に駆動させることができる有機電界発光素子
を提供することを目的とするものであって、発光層と陰
極の間に、特定の化合物を含んでなる正孔阻止層を設け
ることによって、上記の課題に解決を与えようとするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の有機
電界発光素子は、基板上に、陽極および陰極により挟持
された発光層を少なくとも有する有機電界発光素子であ
って、上記発光層と上記陰極との間に正孔阻止層が設け
られており、この正孔阻止層が下記一般式(I)で表さ
れる化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物を含ん
でなること、を特徴とするものである。
【0011】
【化2】 (式中、R1 〜R6 は、それぞれ独立して、水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニ
トロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキ
シル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、水酸
基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。な
お、R1 とR2とが、またはR2とR3とが、結合して環
を形成していてもよく、また、R1〜R6のいずれかがア
ルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、2級若しくは3級アミノ基、アミド基、アシル基、
アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルスル
ホニル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表
す場合には、このものは更にその炭化水素部分に置換基
を有していてもよい。R7〜R9は、それぞれ独立して、
置換基を有していてもよい、アルキル基、アラルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、アミノ
基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カ
ルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、
芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、R7
9はすべてが同じ基になることはない。MはAl原子
またはGa原子を表す。)
【0012】<効果>本発明による有機電界発光素子に
よれば、特定の化合物を含有する正孔阻止層を有するた
めに、発光効率が向上し、色純度のよい発光を達成する
ことができ、また安定性の向上した素子を得ることがで
きる。従って、本発明による有機電界発光素子は、フラ
ットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用
や壁掛けテレビ)やマルチカラー表示素子、あるいは面
発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の
光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光
源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的
価値が大きいものである。
【0013】
【発明の実態の形態】〔有機電界発光素子〕本発明によ
る有機電界発光素子は、基板上に、陽極および陰極によ
り挟持された発光層を少なくとも有する有機電界発光素
子であって、上記発光層と上記陰極との間に正孔阻止層
が設けられており、この正孔阻止層が下記一般式(I)
で表される化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物
を含んでなること、を特徴とするものである。ここで、
「含んでなる」ということは、該層が一般式(I)の化
合物のみからなるものの外に、この式(I)の化合物と
この化合物以外の合目的的な成分ないし化合物とからな
るものをも意味する。そのような合目的的な成分ないし
化合物の代表的なものとしては、例えば各種の蛍光色素
(詳細後記)がある。
【0014】<一般式(I)の化合物>本発明に有機電
界発光素子の正孔阻止層は、下記の一般式(I)で表さ
れる化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物を含ん
でなるものである。この一般式(I)において、R1
6が表す置換基の詳述は下記の通りである。R1〜R6
が表すハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨ
ウ素原子などが挙げられる。アルキル基としては、例え
ば炭素数1〜10のアルキル基、好ましくはメチル基、
エチル基、ターシャリーブチル基など、が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば炭素数1〜7のアルコキ
シ基、好ましくはメトキシ基、エトキシ基など、が挙げ
られる。アルコキシカルボニル基としては、例えばアル
キル基の炭素数が1〜7のアルコキシカルボキシル基、
好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基など、が挙げられる。アラルキル基としては、アリル
部分がフェニル基であり、アルキル部分が炭素数1〜4
程度のもの、好ましくはベンジル基、フェネチル基、フ
ェニルプロピル基、ジフェニルメチル基など、が挙げら
れる。アルケニル基としては、例えば炭素数2〜10の
低級アルケニル基、好ましくはビニル基、アリル基な
ど、が挙げられる。アルキニル基としては、例えば炭素
数2〜10の低級アルケニル基、好ましくはエチニル
基、プロピニル基など、が挙げられる。アシル基として
は、炭素数1〜4のモノカルボン酸またはベンゼンカル
ボン酸由来のもの、好ましくはホルミル基、アセチル
基、プロピオニル基、ベンゾイル基など、が挙げられ
る。芳香族炭化水素基としては、好ましくはフェニル基
やビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。芳香族
複素環基としては、ピリジル基、キノリル基、チエニル
基、カルバゾリル基などが挙げられる。2級または3級
アミノ基としては、例えば炭素数1〜7のアルキル基や
アリール基を有するもの、好ましくはメチルアミノ基、
エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ
基、ジフェニルアミノ基など、が挙げられる。アミド基
としてはアセチルアミノ基が、アルキルスルホニル基と
してはメチルスルホニル基が、それぞれ挙げられる。
【0015】また、上記のR1〜R6が表す置換基の炭化
水素部分には更に他の置換基が結合していてもよく、こ
のような置換基としてはハロゲン原子、水酸基、アルコ
キシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族
複素環基などが挙げられる。置換基を有するものの好ま
しい具体例としては、例えばクロロメチル基、フェニル
エチニル基、メトキシフェニル基などが挙げられる。ま
た、R1〜R6が表す置換基がアラルキル基、芳香族炭化
水素基または芳香族複素環基などである場合には、これ
らに結合する置換基としては、上記したもの以外にもア
ルキル基や1級ないし3級のアミノ基なども挙げられ
る。また、R1とR2 とが、またはR2とR 3とが、結合
して環を形成していてもよい。そのようなものの典型例
は、R1とR 2 とが(またはR2とR3とが)結合して縮
合六員環、特にベンゼン環、を形成しているものが挙げ
られる。
【0016】一般式(I)において、R7〜R9がアルキ
ル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ア
ルコキシ基、2級若しくは3級アミノ基、アミド基、ア
ルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、芳香族
炭化水素基、芳香族複素環基を表す場合には、これらは
上記したR1〜R6と同様のものを表わす。また、これら
に更に置換する置換基も上記したR1〜R6に結合する置
換基と同様のものが挙げられる。中でも、R7〜R9とし
ては、それぞれ、アルキル基、アミノ基、アルコキシ
基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基が好まし
い。R7〜R9はすべてが同じ基になることはないが、R
7〜R9のうち少なくとも1つは芳香族炭化水素基あるい
は芳香族複素環基であることが好ましく、2つが芳香族
基あるいは芳香族複素環であれば、なお好ましい。芳香
族炭化水素基は炭素数6〜20のものが好ましい。一般
式(I)において、R7〜R9はある程度かさ高い基が好
ましいため、従って、例えばアルキル基、アルコキシ基
等である場合には直鎖のものより分岐のものが好まし
い。
【0017】好ましくは、R1はアミノ基、アルキル基
またはアルコキシ基のいずれかであり、R2およびR
3は、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基または水素
原子のいずれかである。また、R4〜R6は、水素原子、
シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキ
ル基、アルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていても
よいアルキル基またはアルコキシ基(即ち、好ましくは
α−ハロアルキル基、α−ハロアルコキシ基)、アミド
基、アルキルスルホニル基、カルボキシル基またはアル
コキシカルボニル基のいずれかであるのが好ましい。M
は、Al原子またはGa原子、好ましくはAl原子、を
表す。
【0018】本発明で用いられる化合物として特に好ま
しいものは、一般式(II)で表されるもの、特に一般
式(III)で表されるもの、である。
【0019】
【化3】 (式中、R1 は、アミノ基、アルキル基またはアルコキ
シ基を表す。R2 およびR3 は、それぞれ独立して、ア
ミノ基、アルキル基、アルコキシ基または水素原子を表
し、R4〜R6は、それぞれ独立して、シアノ基、ニトロ
基、ハロゲン原子、アミノ基、ハロゲン原子で置換され
ていてもよい、アルキル基またはアルコキシ基、アミド
基、アルキルスルホニル基、カルボキシル基、アルコキ
シカルボニル基または水素原子を表す。R7〜R9は、そ
れぞれ独立して、アルキル基、アミノ基、アルコキシ
基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。R
7〜R9はすべてが同じ基になることはない。MはAl原
子またはGa原子を表す。)
【0020】
【化4】 (式中、R1 は、メチル基またはエチル基を表し、R7
〜R9は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、炭
素数3〜6の分岐状アルキル基または−AR10(Aは直
接結合または炭素数1〜4のアルキレン基、R10 は炭
素数1〜3のアルキル基かジアルキルアミノ基で置換さ
れていてもよい、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を
表す)を表す。R7〜R9はすべてが同じ基になることは
ない。) 一般式(I)の化合物は、例えば下記式に従って一般式
(IV)で表わされる化合物をアニリン存在下で加水分
解(J.Am.Chem.Soc.,81巻,2359頁,1959年)して一般
式(V)で表わされる化合物とし、これを、一般式(V
I)で表わされるキノリン化合物および金属アルコキシ
ドと反応させることによって、製造することができる。
【0021】
【化5】 下記は、前記一般式(I)で表わされる化合物の好まし
い具体例を示すものである。これらは例であり、よって
これらに限定されるものではない。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】
【表7】
【0029】
【表8】
【0030】
【表9】
【0031】
【表10】
【0032】
【表11】
【0033】
【表12】
【0034】
【表13】
【0035】
【表14】
【0036】
【表15】
【0037】
【表16】 上記の各化合物は分散状態において蛍光強度が強くて発
光効率、色純度が高く、かつ結晶化しにくいものであ
る。これは錯体のシアノール部分が非対称であって構造
の対称性が小さいことによるものと考えられる。このよ
うな化合物およびその効果は従来未知であったと考えら
れる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要
に応じて、各々、混合して用いてもよい。
【0038】<有機電界発光素子>図1は、本発明によ
る有機電界発光素子の典型的な構造例を模式的に示す断
面図である。1は基板、2は陽極、4は正孔輸送層、5
は発光層、6は正孔阻止層、8は陰極を各々表わす。基
板1、陽極2、正孔輸送層4、発光層5および陰極8
は、従来この種のEL素子において用いられてきたもの
のなかから合目的的なものを用いることができる。本発
明において好ましいものは次の通りである。
【0039】基板1は、有機電界発光素子の支持体とな
るものであり、例えば石英やガラスの板、金属板や金属
箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。
特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、
ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂
の板が好ましい。なお、本発明による有機電界発光素子
の耐久性を向上させるために、例えば外気、水分、熱等
による性能劣化を防止するために、各種の合目的的な資
材ないし層構成を加えることもできる。例えば基板の少
なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバ
リア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。こ
れは、基板としてガスバリア性が十分でない合成樹脂を
用いた場合に特に有用である。
【0040】基板1上には陽極2が設けられている。陽
極2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすもので
ある。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッ
ケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/
またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などの
ハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ
(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン
等の導電性高分子などにより構成される。陽極2の形成
は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行
われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化
銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化
物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、これら
の微粒子を適当なバインダー樹脂溶液に分散させた状態
で、基板1上に塗布することにより陽極2を形成させる
こともできる。さらに、導電性高分子の場合は電解重合
により直接基板1上に薄膜を形成させたり、基板1上に
導電性高分子を塗布して陽極2を形成させることもでき
る(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。陽
極2は異なる物質を積層させたものとして形成させるこ
とも可能である。陽極2の厚みは、必要とする透明性に
より異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透
過率を、通常、60%以上、好ましくは80%以上、とする
ことが望ましく、この場合、厚みは、通常、5〜1000nm
程度、好ましくは10〜500nm、である。不透明でよい場合
は陽極2は基板1と同一でもよい。また、さらには上記
の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能で
ある。
【0041】陽極2の上には正孔輸送層4が設けられ
る。正孔輸送層の材料に要求される条件としては、陽極
2からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を
効率よく輸送することができる材料であることが必要で
ある。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、
可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が
大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が
製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。上記
の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、
素子にはさらに耐熱性が要求される。従って、Tgとして
85℃以上の値を有する材料が望ましい。
【0042】このような正孔輸送材料としては、例え
ば、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロ
ヘキサン、4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルア
ミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを
含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香
族アミン(特開平5−234681号公報)、トリフェニルベ
ンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族ト
リアミン(米国特許第4,923,774号明細書)、N,N'-ジフ
ェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)ビフェニル-4,
4'-ジアミン、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個
置換した化合物、スチリル構造を有する芳香族ジアミン
(特開平4−290851号公報)、チオフェン基で芳香族3
級アミンユニットを連結したもの(特開平4−304466号
公報)、スターバースト型芳香族トリアミン(特開平4
−308688号公報)、フルオレン基で3級アミンを連結し
たもの(特開平5− 25473号公報)、トリアミン化合物
(特開平5−239455号公報)、ビスジピリジルアミノビ
フェニル、N,N,N-トリフェニルアミン誘導体(特開平6
−1972号公報)、フェノキサジン構造を有する芳香族ジ
アミン(特開平7−138562号公報)、ジアミノフェニル
フェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報)、
シラザン化合物(米国特許第 4,950,950号明細書)、シ
ラナミン誘導体(特開平6− 49079号公報)、ホスファ
ミン誘導体(特開平6− 25659号公報)等が挙げられ
る。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に
応じて、各々、混合して用いてもよい。
【0043】上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料
として、ポリビニルカルバゾールやポリシラン、ポリフ
ォスファゼン(特開平5−310949号公報)、ポリアミド
(特開平5−310949号公報)、ポリビニルトリフェニル
アミン(特開平7− 53953号公報)、トリフェニルアミ
ン骨格を有する高分子材料(特開平4−133065号公
報)、芳香族アミンを含有するポリメタクリレート等の
高分子材料が挙げられる。
【0044】上記の正孔輸送材料を塗布法あるいは真空
蒸着法により前記陽極2上に積層することにより正孔輸
送層4を形成させることができる。塗布法の場合は、正
孔輸送材料を1種または2種以上と、必要により正孔の
トラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤など
の添加剤とを添加し、溶解して塗布溶液を調製し、スピ
ンコート法などの方法により陽極2上に塗布し、乾燥し
て正孔輸送層3bを形成させる。バインダー樹脂として
は、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル
等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔
移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、
50重量%以下が好ましい。
【0045】真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真
空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当
な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを
加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向き合っ
て置かれた、陽極が形成された基板1上に正孔輸送層4
を形成させる。正孔輸送層4の膜厚は、通常、10〜300n
m、好ましくは30〜100nm、である。この様に薄い膜を一
様に形成させるためには、一般に真空蒸着法がよく用い
られる。
【0046】素子の駆動電圧の低下と駆動安定性の向上
を図るためには、図3に示される様に、陽極2と正孔輸
送層4のコンタクト性を向上させるために、陽極バッフ
ァ層3を設けること好ましい。陽極バッファ層に用いら
れる材料に要求される条件としては、陽極とのコンタク
トがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、すなわ
ち、融点およびガラス転移温度が高く、融点としては 3
00℃以上、ガラス転移温度としては 100℃以上が要求さ
れる。さらに、イオン化ポテンシャルが低く陽極からの
正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げ
られる。この目的のために、これまでにポルフィリン誘
導体やフタロシアニン化合物、スターバスト型芳香族ト
リアミン、ヒドラゾン化合物、アルコキシ置換の芳香族
ジアミン誘導体、p-(9-アントリル)-N,N-ジ-p-トリル
アニリン、ポリチエニレンビニレンやポリ−p−フェニ
レンビニレン、ポリアニリン等の有機化合物や、スパッ
タ・カーボン膜や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化
物、モリブデン酸化物等の金属酸化物が報告されてい
る。
【0047】上記陽極バッファ層材料としてよく使用さ
れる化合物としては、ポルフィリン化合物またはフタロ
シアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金
属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。
【0048】好ましいこれらの化合物の具体例として
は、以下の化合物が挙げられる。 ポルフィン 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンコバル
ト(II) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン銅(I
I) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン亜鉛
(II) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンバナジ
ウム(IV)オキシド 5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)-21H,23H-ポルフィン 29H,31H-フタロシアニン 銅(II)フタロシアニン 亜鉛(II)フタロシアニン チタンフタロシアニンオキシド マグネシウムフタロシアニン 鉛フタロシアニン 銅(II)4,4',4'',4'''-テトラアザ-29H,31H-フタロシ
アニン 陽極バッファ層の場合も、正孔輸送層と同様にして薄膜
形成可能であるが、無機物の場合には、さらに、スパッ
タ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法が用いられ
る。
【0049】以上の様にして形成される陽極バッファ層
3の膜厚は、通常、3〜100nm、好ましくは10〜50nm、で
ある。
【0050】正孔輸送層4の上には発光層5が設けられ
る。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽
極から注入されて正孔輸送層を移動する正孔と、陰極か
ら注入されて正孔阻止層6を移動する電子との再結合に
より励起されて強い発光を示す蛍光性化合物より形成さ
れる。
【0051】一般に、発光層5に用いられる蛍光性化合
物としては、安定な均一な薄膜形状を有し、固体状態で
高い蛍光収率を示し、正孔および/または電子を効率よ
く輸送することができる化合物が有効である。さらに電
気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなる不純
物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが
要求される。
【0052】このような条件を満たす材料としては、8
−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯
体、10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、混合
配位子型アルミニウム錯体(J. SID, 5巻, 11頁, 1997
年)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公
報)、ジスチリルアリーレン誘導体(Appl. Phys.Let
t., 67巻、3853頁、1995年)、希土類錯体、ジスチリル
ピラジン誘導体(特開平2−252793号公報)、p−フェ
ニレン化合物(特開平3− 33183号公報)、シロール誘
導体(ディスプレイアンドイメージング、5巻、 317
頁、1997年)などが挙げられる。
【0053】また、前述の正孔輸送層材料のうち、蛍光
性を有する芳香族アミン系化合物も発光層材料として用
いることが出来る。
【0054】発光層5の膜厚は、通常、3〜200 nm、好
ましくは5〜100 nm、である。
【0055】発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成す
ることができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
【0056】素子の発光効率を向上させるとともに発光
色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノリンの
アルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレ
ーザ用蛍光色素をドープすること(J. Appl. Phys., 65
巻, 3610頁, 1989年)等が行われている。このドーピン
グ手法は、発光層5にも適用でき、ドープ用材料として
は、クマリン以外にも各種の蛍光色素が使用できる。青
色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、
アントラセンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑
色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘
導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレ
ン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素と
しては、DCM等のベンゾピラン誘導体、ローダミン誘
導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキ
サンテン等が挙げられる。
【0057】上記のドープ用蛍光色素以外にも、ホスト
材料に応じて、レーザー研究,8巻, 694頁, 803頁,
958頁(1980年);同9巻,85頁(1981年)、に列挙さ
れている蛍光色素が発光層用のドープ材料として使用す
ることができる。ホスト材料に対して上記蛍光色素がド
ープされる量は、10-3〜10重量%が好ましい。
【0058】上述の蛍光色素を発光層のホスト材料にド
ープする方法は以下の通りである。塗布の場合は、前記
発光層ホスト材料と、ドープ用蛍光色素、さらに必要に
より、電子のトラップや発光の消光剤とならないバイン
ダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加
剤を添加し溶解した塗布溶液を調製し、スピンコート法
などの方法により正孔輸送層4上に塗布し、乾燥させて
発光層5を形成させる。バインダー樹脂としては、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げ
られる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔/電子移
動度を低下させるので、少ない方が望ましく、50重量%
以下が好ましい。
【0059】真空蒸着法の場合には、前記ホスト材料を
真空容器内に設置されたるつぼに入れ、ドープする蛍光
色素を別のるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポン
プで10-6Torr程度にまで排気した後、各々のるつぼを同
時に加熱して蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基
板上に層を形成させる。また、他の方法として、上記の
材料を予め所定比で混合したものを同一のるつぼを用い
て蒸発させてもよい。上記各ドーパントが発光層中にド
ープされる場合、発光層の膜厚方向において均一にドー
プされるのが普通であるが、膜厚方向において濃度分布
があっても構わない。例えば、正孔輸送層との界面近傍
にのみドープしたり、逆に、正孔阻止層界面近傍にドー
プしてもよい。
【0060】発光層5の上には正孔阻止層6が設けられ
る。正孔阻止層6は、正孔輸送層から移動してくる正孔
を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入さ
れた電子を効率よく発光層5の方向に輸送することがで
きる化合物より形成される。また、発光層5で再結合に
よる生成するエキシトンを発光層内に閉じこめるため
に、発光層材料よりは広いバンドギャップを有すること
が必要である。この場合のバンドギャップは、電気化学
的に決定される酸化電位−還元電位の差、または、光吸
収端から求められる。正孔阻止層は電荷キャリアとエキ
シトンの両方を発光層内に閉じこめて、発光効率を向上
させる機能を有する。
【0061】このような条件を満たす正孔阻止層材料と
して、本発明においては、前記一般式(I)で表される
広い光学的バンドギャップを有する化合物を用いること
で、素子の発光効率、発光色の純度を改善した。
【0062】正孔阻止層6の膜厚は、通常、0.3〜 100n
m、好ましくは 0.5〜50nm、である。正孔阻止層も正孔
輸送層と同様の方法で形成させることができるが、通常
は真空蒸着法が用いられる。
【0063】素子の発光効率をさらに向上させることを
目的として、正孔阻止層6と陰極8との間に必要に応じ
て電子輸送層7を設けることが好ましい(図2および図
3)。電子輸送層7は、電界を与えられた電極間におい
て陰極から注入された電子を効率よく正孔阻止層6の方
向に輸送することができる化合物より形成される。電子
輸送層は、発光層での再結合により生成するエキシトン
が拡散して陰極8で消光されるのを防ぐ効果を有する。
【0064】電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合
物としては、陰極8からの電子注入効率が高く、かつ、
高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送す
ることができる化合物であることが必要である。
【0065】このような条件を満たす材料としては、8
−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯
体(特開昭59−194393号公報)、10-ヒドロキシベンゾ
[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジ
スチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3-または
5-ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金
属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミ
ダゾリルベンゼン(米国特許第 5,645,948号明細書)、
キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェ
ナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2-t-
ブチル-9,10-N,N'-ジシアノアントラキノンジイミン、
n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セ
レン化亜鉛などが挙げられる。電子輸送層6の膜厚は、
通常、5〜200nm、好ましくは10〜100 nm、である。
【0066】電子輸送層7は、正孔輸送層4と同様にし
て塗布法あるいは真空蒸着法により発光層5上に積層す
ることにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いら
れる。
【0067】陰極8は、電子輸送層7に電子を注入する
役割を果たす。陰極8として用いられる材料は、前記陽
極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効
率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好
ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウ
ム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合
金が用いられる。特に好ましい具体例としては、マグネ
シウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アル
ミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げ
られる。さらに、陰極と発光層または電子輸送層の界面
にLiF 、MgF2、Li 2O等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入
することも、素子の効率を向上させる有効な方法である
(Appl. Phys. Lett., 70巻,152頁,1997年;特開平10
− 74586号公報;IEEE Trans. Electron. Devices,44
巻,1245頁,1997年)。陰極8の膜厚は通常、陽極2と
同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目
的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安
定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この
目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロ
ム、金、白金等の金属が使われる。
【0068】尚、図1とは逆の構造、すなわち、基板上
に陰極8、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、陽
極2の順に積層することも可能であり、既述したように
少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明
の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様
に、図2および図3に示される前記各層構成とは逆の構
造に積層することも可能である。
【0069】本発明は、有機電界発光素子が、単一の素
子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰
極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれに
おいても適用することができる。
【0070】本発明の有機電界発光素子によれば、特定
の骨格を有する化合物を正孔阻止層に用いているため、
色純度のよい発光素子を得ることができる。特に色純度
の向上が望まれている青色発光についても色純度が良好
であるため、本発明による有機電界発光素子からの青色
素子はフルカラーあるいはマルチカラーの青色のサブ画
素として機能するばかりでなく、蛍光変換色素と組み合
わせることによりフルカラー表示素子を作製することも
可能である。
【0071】
【実施例】以下の実施例は、本発明を更に具体的に説明
するためのものである。したがって、本発明はその要旨
を越えない限り、以下の実施例の具体的記載の範囲内の
みに限定されるものではない。
【0072】<実験例1>ガラス基板をアセトンで超音
波洗浄、純水で水洗、イソプロピルアルコールで超音波
洗浄、乾燥窒素で乾燥、UV/オゾン洗浄を行った後、
真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が2×10-6T
orr以下になるまで油拡散ポンプを用いて排気した。例
示化合物(1)をセラミックるつぼに入れ、るつぼの周
囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この
時のるつぼの温度は、167〜187℃の範囲で制御した。蒸
着時の真空度は2.7×10-6Torr(約3.6×10-4Pa)で、蒸
着速度0.3nm/秒で膜厚73nmの一様で透明な膜を得た。
この薄膜試料のイオン化ポテンシャルを理研計器(株)
製の紫外線電子分析装置(「AC−1」)を用いて測定
したところ、5.40eVの値を示した。可視吸収端から求め
た光学的バンドギャップは2.74eVと大きな値を示した。
【0073】<実験例2>実験例1と同様にして例示化
合物(23)の薄膜試料を得た。この薄膜試料のイオン
化ポテンシャルを理研計器(株)製の紫外線電子分析装
置(「AC−1」)を用いて測定したところ、5.50eVの
値を示した。可視吸収端から求めた光学的バンドギャッ
プは2.90eVと大きな値を示した。
【0074】<実施例1>図2に示される構造を有する
有機電界発光素子を以下の方法で作製した。ガラス基板
上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を 1
20nm堆積したもの(ジオマテック社製;電子ビーム成膜
品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術
と塩酸エッチングを用いて 2mm幅のストライプにパター
ニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基
板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イ
ソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、
窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行っ
て、真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気を油
回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が2×10-6T
orr(約2.7×10-4Pa)以下になるまで液体窒素トラップ
を備えた油拡散ポンプを用いて排気した。正孔輸送層4
の材料として、下記に示される構造式の4,4'-ビス[N-(1
-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(H−1)
【化6】 をセラミックるつぼに入れ、るつぼの周囲のタンタル線
ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のるつぼの温
度は、255〜270℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は
1.5×10-6Torr(約2.0x10-4Pa)で、蒸着速度0.4nm/秒
で膜厚60nmの正孔輸送層4を得た。
【0075】次に、発光層5の材料として、下記に示さ
れる構造式の4,4'-ビス[N-(9-フェナントリル)-N-フ
ェニルアミノ]ビフェニル(EM−1)
【化7】 を上記正孔輸送層4の上に同様にして蒸着を行なった。
このEM−1の色座標は(x,y)=(0.15,0.
11)であり、水銀ランプで励起させて測定した蛍光波
長の極大は450nmであり、青色の蛍光を示した。蒸
着時のるつぼの温度は290〜310℃の範囲で制御した。蒸
着時の真空度は1.2×10-6Torr(約1.6×10-4Pa)で、蒸
着速度 0.3nm/秒で、膜厚は30nmであった。
【0076】次に、正孔阻止層6の材料として、例示化
合物(1)を発光層5の上に蒸着を行なった。正孔阻止
層形成時のるつぼの温度は 180〜190℃の範囲で制御
し、真空度は1.8×10-6Torr(約2.4×10-4Pa)で、蒸着
速度 0.2nm/秒で、膜厚は20nmであった。
【0077】続いて、電子輸送層7の材料として以下に
示されるアルミニウムの8−ヒドリキシキノリン錯体
(E−2)を上記正孔阻止層の上に同様にして蒸着を行
った。
【化8】 この時のるつぼの温度は270〜280℃の範囲で制御した。
蒸着時の真空度は9.0×10-7Torr(約1.2×10-4Pa)で、
蒸着速度0.3nm/秒で、膜厚は25nmであった。
【0078】上記の正孔輸送層4から電子輸送層7を真
空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。ここで、電
子輸送層7までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着
装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクと
して 2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2の
ITOストライプとは直交するように素子に密着させ
て、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして
装置内の真空度が2×10-6Torr(約2.7×10-4Pa)以下に
なるまで排気した。陰極8として、先ず、フッ化マグネ
シウム(MgF2)をモリブデンボートを用いて、蒸着速度
0.1nm/秒、真空度6.0×10-6Torr(約8.0×10-4Pa)
で、1.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次
に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱
して、蒸着速度 0.4nm/秒、真空度1.0×10-5Torr(約
1.3×10-3Pa)で膜厚40nmのアルミニウム層を形成させ
た。さらに、その上に、陰極の導電性を高めるために銅
を、同様にモリブデンボートを用いて加熱して、蒸着速
度 0.5nm/秒、真空度8.0×10-6Torr(約1.1×10-3Pa)
で膜厚40nmの銅層を形成させて陰極8を完成させた。以
上の3層型陰極8の蒸着時の基板温度を室温に保持し
た。
【0079】以上の様にして、2mm×2mm のサイズの発
光面積部分を有する有機電界発光素子を作製した。この
素子のCIE色度座標(JIS Z8701)でのx、
yの値は表2に示される通りである。電子注入層7のア
ルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(E−1)の
発光は確認されなかった。
【0080】<実施例2>正孔阻止層6を化合物(2
3)にした他は、実施例1と同様にして素子を作製し
た。この素子のCIE色度座標(JIS Z8701)
でのx、yの値は表2に示される通りである。電子注入
層7のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(E
−1)の発光は確認されなかった。
【0081】<比較例1>正孔阻止層6を以下に示され
る化合物にした他は、実施例1と同様にして素子を作製
した。
【化9】 この素子のCIE色度座標(JIS Z8701)での
x、yの値は表2に示される通りである。電子注入層7
に用いたアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体
(E−1)は、色座標が(x,y)=(0.35,0.
55)であり、水銀ランプで励起させて測定した蛍光波
長の極大は537nmであり、緑色の蛍光を示した。比
較例は、実施例と同じ発光層であるにもかかわらず、比
較例1の素子の色座標が(E−1)の値に大きく近づい
ている(緑側に移動している)ことが表2からわかる。
つまり、これは陽極で発生した正孔が正孔阻止層を通過
し、電子輸送層に達して電子と結合していることを示
し、正孔阻止性能が不充分であることがわかる。
【0082】ちなみに、理研計器製の大気下光電子分光
装置(「AC−1」)を用いて決定した上記の化合物の
イオン化ポテンシャルは5.58eVであった。正孔阻止層の
効果は、イオン化ポテンシャルの値だけでは決まらない
ことは明らかである。
【0083】
【表17】
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、有機電界発光素子によ
れば、特定の芳香族アミン化合物を含有する正孔輸送層
を有するために、青色発光を達成でき、また安定性の向
上した素子を得ることができる。
【0085】従って、本発明による有機電界発光素子は
フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュー
タ用や壁掛けテレビ)やマルチカラー表示素子、あるい
は面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写
機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光
源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的
価値は大きいものであることは、「発明の概要」の項に
おいて前記した通りである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による有機電界発光素子の一例を示す模
式断面図。
【図2】本発明による有機電界発光素子の別の例を示す
模式断面図。
【図3】本発明による有機電界発光素子の別の例を示す
模式断面図。
【符号の説明】
1 基板 2 陽極 3 陽極バッファ層 4 正孔輸送層 5 発光層 6 正孔阻止層 7 電子輸送層 8 陰極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 緒 方 朋 行 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 3K007 AB03 AB04 CA01 CA02 CA05 CA06 CB01 DA00 DB03 EB00 FA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、陽極および陰極により挟持され
    た発光層を少なくとも有する有機電界発光素子であっ
    て、上記発光層と上記陰極との間に正孔阻止層が設けら
    れており、この正孔阻止層が下記一般式(I)で表され
    る化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物を含んで
    なることを特徴とする、有機電界発光素子。 【化1】 (式中、R1 〜R6 は、それぞれ独立して、水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル
    基、アルキニル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、ニ
    トロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキ
    シル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、水酸
    基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。な
    お、R1 とR2とが、またはR2とR3とが、結合して環
    を形成していてもよく、また、R1〜R6のいずれかがア
    ルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル
    基、2級若しくは3級アミノ基、アミド基、アシル基、
    アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルスル
    ホニル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表
    す場合には、このものは更にその炭化水素部分に置換基
    を有していてもよい。R7〜R9は、それぞれ独立して、
    置換基を有していてもよい、アルキル基、アラルキル
    基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、アミノ
    基、アミド基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カ
    ルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、
    芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、R7
    9はすべてが同じ基になることはない。MはAl原子
    またはGa原子を表す。)
  2. 【請求項2】正孔阻止層と陰極との間に電子輸送層が設
    けられたものであることを特徴とする、請求項1記載の
    有機電界発光素子。
  3. 【請求項3】正孔阻止層の膜厚が、0.5〜50nmの範囲に
    あることを特徴とする、請求項1〜2いずれかに記載の
    有機電界発光素子。
JP11128659A 1998-12-22 1999-05-10 有機電界発光素子 Pending JP2000243571A (ja)

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