JP2000336768A - 外壁パネル取付用ブラケットおよび外壁パネル取付用ブラケットの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造加工が容易な外壁パネル取付用ブラケッ
トを提供することにある。 【解決手段】 本発明の外壁パネル取付用ブラケット２
０は、梁３に接合される第１の取付部２２および外壁パ
ネル１０に接合される第２の取付部２６を含み、これら
第１の取付部２２および第２の取付部２６に、ともに対
向した第１のリブ２３および第２のリブ２７がそれぞれ
形成され、平板状の形材を簡単な折り曲げ加工すること
によって製造される。従って、従来必要となっていた溶
接作業を省略することができ、外壁パネル取付用ブラケ
ット２０の製造コストを低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、外壁を梁に取り付
けるための外壁パネル取付用ブラケットおよび外壁パネ
ル取付用ブラケットの製造方法に関する。

【０００２】

【背景技術】従来より、予め工場で製造した各種の建物
ユニットを建築現場で相互に接合することにより建築さ
れるユニット式建物が利用されている。このようなユニ
ット式建物によれば、建物の内外装に係る殆どの作業が
工場で完了するので、建築現場での作業が軽減され、短
期間で施工できる。ユニット式建物としては、直方体状
に形成された建物ユニットを複数組合わせるものがあ
る。建物ユニットは、四隅の柱の上下端をそれぞれ天井
梁および床梁で連結した直方体状の骨組みを有するもの
である。そして、この骨組みに内壁などの内装部品や外
壁などの外装部品が取り付けられ建築現場に輸送され
る。

【０００３】このような建物ユニットの側面では、図６
に示されるように、軽量気泡コンクリート製の外壁パネ
ル１０が設けられている。外壁パネル１０は、特開平９
−４１０１号公報に示されるように、上端側がブラケッ
ト４０を介して、骨組みである天井梁３に接合され、下
端側がブラケット４１を介して、骨組みである床梁４に
接合されている。

【０００４】このうち、外壁パネル１０の上端側の取付
けを行うブラケット４０は、図７（Ａ）にも示されるよ
うに、矩形状のプレート４２の角部を切り欠いて、この
切欠き４２Ａに接する２箇所の矩形領域４２Ｂを直角に
起こした後、図７（Ｂ）に示されるように、側辺４２Ｃ
同士を突き合わせて形成される継ぎ目に沿って溶接を施
して形成された略箱形状のものが一般的に用いられてい
る。また、ブラケット４０の下端の近傍部分には、この
ブラケット４０を貫通するボルト挿通孔４４が設けられ
ている。一方、上梁に接合される一方の矩形領域４２Ｂ
には、当該矩形領域４２Ｂを貫通するボルト挿通孔４５
が設けられている。図６に戻って、ブラケット４０は、
ボルト挿通孔４５に挿通されたボルト４６を、天井梁３
の裏面に溶接されたナット４７に螺合させることで、上
梁３に固定されている。そして、外壁パネル１０は、上
梁３に固定されたブラケット４０の側面に沿わせた状態
で、ブラケット４０のボルト挿通孔４４に挿通されたボ
ルト４８を、外壁パネル１０に埋め込まれたナット４９
に螺合させることで、ブラケット４０を介して上梁３に
固定されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このようなブラケット
４０では、矩形領域４２Ｂが互いに折り曲げられ、側辺
４２Ｃが突き合わされて形成された隅角部分の継ぎ目を
溶接することによって、ブラケット４０の剛性が高めら
れている。しかし、この溶接作業は、前記継ぎ目に沿っ
て、ブラケット４０の熱変形を防止しつつ、前記継ぎ目
に溶融材を供給しながら進めなけらばならない熟練を要
する作業のため、この溶接作業に手間がかかり、このブ
ラケット４０を製造するコストを押し上げる要因となっ
ていた。

【０００６】本発明の目的は、製造加工が容易な外壁パ
ネル取付用ブラケットおよび外壁パネル取付用ブラケッ
トの製造方法を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の外壁パネル取付
用ブラケットは、図面を参照して説明すると、外壁を形
成する外壁パネル１０を梁３に取り付けるための外壁パ
ネル取付用ブラケット２０であって、前記梁３に設けら
れる梁側延出部２１と、この梁側延出部２１の一端Ｑか
ら折り曲げられて前記外壁パネル１０に設けられる外壁
パネル側延出部２５とを含んで構成され、前記梁側延出
部２１は、前記梁３に接する第１の取付部２２と、この
第１の取付部２２に設けられ互いに対向する第１のリブ
２３とを含んで構成され、前記外壁パネル側延出部２５
は、前記第１の取付部２２の一端Ｑに連なって延びる第
２の取付部２６と、端部２７Ａが前記第１のリブ２３と
突き合わされながら前記第２の取付部２６に設けられる
第２のリブ２７とを含んで構成され、前記第１のリブ２
３、前記第２のリブ２７、前記第１の取付部２２および
前記第２の取付部２６は、１枚の平板状部材を折り曲げ
加工することで形成されていることを特徴とする。

【０００８】このような本発明では、ブラケット４０の
側面に設けられる矩形領域４２Ｂの側辺４２Ｃを接合す
るのに必要であった溶接作業を省略しながら、外壁パネ
ル取付用ブラケット２０を簡易な折り曲げ加工のみで製
造加工できるので、外壁パネル取付用ブラケット２０の
製造コストを低減できる。

【０００９】この場合、前記第１のリブ２３と前記第１
の取付部２２、前記第２のリブ２７と前記第２の取付部
２６および前記第１の取付部２２と前記第２の取付部２
６は、互いに垂直に折り曲げられていることが好まし
い。

【００１０】前記第１の取付部２２および前記第２の取
付部２６は垂直に折り曲げられているので、通常直角を
なして設けられる梁３のフランジ３Ａおよび外壁パネル
１０の裏面１０Ａに対して、前記第１の取付部２２およ
び前記第２の取付部２６を隙間なく当接させることがで
きる。従って、外壁パネル取付用ブラケット２０を確実
に、梁３および外壁パネル１０に取付固定できる。ま
た、前記第１のリブ２３および前記第２のリブ２７は、
前記第１の取付部２２および前記第２の取付部２６にそ
れぞれ垂直に折り曲げられて形成され、それぞれの端縁
２３Ａ、２７Ａが互いに突き合わされている。従って、
前記第２の取付部２６に対して垂直をなす方向に沿って
力が加えられても、端縁２３Ａ、２７Ａ同士の突き合わ
せによって、外壁パネル取付用ブラケット２０には十分
な剛性が確保され、結果的には、外壁パネル１０に加わ
る側圧に対して、十分な耐力を確保することができる。

【００１１】このような外壁パネル取付用ブラケット２
０は、前記梁３は、断面コ字形状のチャンネル材から形
成され、前記外壁パネル１０は軽量気泡コンクリートで
形成され、前記梁側延出部２１および前記外壁パネル側
延出部２５には、接合具４６を挿通させるための孔２２
Ａ、２６Ａがそれぞれ形成されていることが好ましい。

【００１２】外壁パネル取付用ブラケット２０が取り付
けられる部材ついて、天井梁３としては広範に使用され
ている断面コ字形状のチャンネル材が使用され、外壁パ
ネル１０としては多孔質の軽量気泡コンクリートが使用
されている。従って、建物の建築コストや室内の断熱効
果を高めることができる。

【００１３】また、断面コ字形状の梁３には、水平なフ
ランジ３Ａが形成され、前記軽量気泡コンクリートは、
所定の厚さが維持されているので、前記梁側延出部２１
に形成された孔２２Ａに対応してフランジ３Ａにも孔を
形成するとともに、前記外壁パネル側延出部２５に形成
された長孔２６Ａに対応して接合具を埋設する孔を設け
ることによって、例えばボルトおよびナットなどの接合
具によって、外壁パネル取付用ブラケット２０を容易に
取り付けることができる。

【００１４】この場合、外壁パネル取付用ブラケット２
０は、建物ユニットで構成される建物の最上階部分にお
ける天井梁３に取り付けられ、この最上階部分の外壁パ
ネル１０を支持していることが好ましい。

【００１５】下階に設けられる外壁に比べて、建物の最
上階に設けられる外壁パネル１０には、風圧などの大き
な側圧が加わるものの、前記第１のリブ２３および前記
第２のリブ２７によって前記外壁パネル取付用ブラケッ
ト２０には十分な剛性が確保されるので、大きな側圧に
対しても確実に外壁パネル１０を支持できる。

【００１６】また、本発明の外壁パネル取付用ブラケッ
トの製造方法は、矩形状の形材の互いに対向する２辺に
沿った両側部に、当該２辺と垂直に頂角が向かい合うよ
うにして、それぞれ直角二等辺三角形の切欠き２４を設
け、これら二等辺三角形の各々の頂角を通って前記２辺
に平行な線Ｐを折り目として、前記両側部を互いに向き
合うように垂直に曲折した後、前記頂角同士を結ぶ線Ｑ
を折り目として、当該折り目Ｑの両側部分２２、２６を
直角に曲折して製造されることを特徴とする。

【００１７】このような本発明では、安価な１枚の長方
形状の金属製板材から、外壁パネル取付用ブラケット２
０を展開した略長方形の外形形状を型取り、短辺方向の
両側部分に前記切欠き２４を形成し、折り目Ｐ、Ｑに沿
って直角に曲折することで外壁パネル取付用ブラケット
２０を製造できる。従って、従来必要であった側縁４２
Ｃが突き合わせられて形成された継ぎ目の溶接を省略し
ながら、形材の折り曲げ加工のみで製造できるので、外
壁パネル取付用ブラケット２０の製造コストを低減でき
る。

【００１８】また、本発明の外壁パネル取付用ブラケッ
ト６０の製造方法は、矩形状の金属板材の互いに対向す
る２辺６０Ａから内側に所定の幅寸法Ｋに渡って設けら
れる側部６１内に、互いに対向するように切欠き６３を
それぞれ形成し、互いに向かい合う前記側部の内側縁Ｐ
を折り目として、前記側部を折り曲げた後、互いに対向
する前記切欠き同士を結ぶ線Ｑを折り目として、この折
り目の両側部分６２が略直角になるようにプレス成形す
ることを特徴とする。

【００１９】このような本発明では、矩形状の金属製板
材の対向する側部６１の折り曲げと、対向する切欠きを
結ぶ折り目の両側部分の折り曲げとをプレス機によって
行うので、従来の溶接作業が不要になるとともに、これ
らの折り曲げ作業自体の効率も向上させることができ
る。従って、外壁パネル取付用ブラケットの製造を効率
化できる。

【００２０】また、前記切欠きは、金属製板材の側部内
に納められて形成される。すなわち所定の幅寸法を有す
る前記側部は、前記切欠きによって完全には分断されな
いので、外壁パネル取付用ブラケットが外壁および梁に
取りつけられた際に、この側部に直交する方向の外力に
対する剛性を十分に確保することができる。従って、外
壁パネル取付用ブラケットの剛性をより高めることがで
きる。

【００２１】この場合、前記折り目の両側部分を折り曲
げて形成された金属製板材を、前記第１のリブ６４、前
記第２のリブ６５、前記第１の取付部６６および第２の
取付部６７の表面の形状に応じて凹形状とされた雌金型
７１と、前記第１のリブ、前記第２のリブ、前記第１の
取付部および第２の取付部の裏面の形状に応じて凸形状
とされた雄金型７２との間に、挟んで押圧することが好
ましい。

【００２２】対向する切欠き６３を結ぶ折り目Ｑの両側
部分６２が折り曲げられた段階では、側部６１の切欠き
６３周囲の突き合わせ部分で、折り曲げによるしわや、
側部のずれなどが生じやすい。そこで、外壁パネル取付
用ブラケット６０の表面の形状に応じて凹形状とされた
雌金型７１および裏面の形状に応じて凸形状とされた雄
金型７２によって、折り曲げられた金属製板材を最終的
に押圧することで、側部６１に生じたしわや食い違いを
なくすことができる。従って、外壁パネル取付用ブラケ
ット６０の加工精度を向上させることができる。

【００２３】また、一定形状の金型面７１Ａ、７２Ａに
よる成形であるので、同一形状の外壁パネル取付用ブラ
ケット６０を、大量に、かつ確実に製造することがで
き、外壁パネル取付用ブラケット６０の加工精度を向上
させることができる上に、製造コストも低減できる。

【００２４】

【発明の実施の形態】（第１実施形態）以下に、本発明
の第１実施形態を図面に基づいて説明する。図１には、
本実施形態の外壁パネル取付用ブラケット２０が、建物
の最上階の天井梁３および外壁パネル１０によって区画
される隅角部分に設けられている様子が示されている。
この外壁パネル取付用ブラケット２０は、大きくは天井
梁３に沿って設けられる梁側延出部２１と、この梁側延
出部２１の一端から直角に折り曲げられて外壁パネル１
０の裏面１０Ａに沿って設けられる外壁パネル側延出部
２５とから構成されている。

【００２５】さらに、梁側延出部２１は、天井梁３のフ
ランジ３Ａに接して水平に延びる第１の取付部２２と、
この第１の取付部２２の両側に直交して設けられる第１
のリブ２３から構成され、全体として略コ字形の断面形
状をなしている。また、外壁パネル側延出部２５は、第
１の取付部２２の一端から鉛直下方に延びて外壁パネル
１０の裏面１０Ａに当接する第２の取付部２６と、この
第２の取付部２６の両側に直交して設けられる第２のリ
ブ２７とから構成され、全体として略コ字形の断面形状
をなしている。さらに、前記第１のリブおよび前記第２
のリブは、端部同士が互いに突き合わされいる。

【００２６】梁側延出部２１を構成する第１の取付部２
２には、図１および図３に示されるように、フランジ３
Ａに設けられた孔（図示省略）に対応して、ボルト４６
を挿通する孔２２Ａが形成されている。また、図１に戻
って、梁側延出部２１の両側には、台形状の第１のリブ
２３が図中鉛直に設けられている。

【００２７】外壁パネル側延出部２５を構成する第２の
取付部２６にも、図１に示されるように、下部には外壁
パネル１０を接合するボルト４６を挿通する長孔２６Ａ
が形成され、上部には、パラペット（図示省略）を取り
付けるボルト（図示省略）を挿通する孔２６Ｂが形成さ
れている。また、外壁パネル側延出部２５の両側にも、
長手方向に沿って、台形状の第２のリブ２７が設けられ
ている。なお、長孔２６Ａは、地震などの揺れの際に生
じる外壁パネル１０のずれを吸収するために、図中左右
に伸びた開口とされている。さらに、外壁パネル１０の
下端側には、従来と同じブラケット４１が設けられてい
る。

【００２８】このような外壁パネル取付用ブラケット２
０は、以下に述べるようにして製造される。まず、図２
（Ｂ）に示されるように、梁側延出部２１および外壁パ
ネル側延出部２５の長手方向（図中上下方向および左右
方向の２方向のうち、上下方向に沿って対向する２辺）
の長さに対応して切り出して得られた金属製板材の形材
の両側部分に、直角二等辺三角形状の切欠き２４を頂角
が向かい合うように形成する。その後、第１の取付部２
２および第２の取付部２６に、ボルトを挿通する孔２２
Ａ、２６Ｂおよび長孔２６Ａを形成してから、図中にお
ける形材の左右端縁から幅Ｗだけ内側に入って前記頂角
を通る線Ｐを折り目として両側部分を直角に折り曲げ、
第１のリブ２３および第２のリブ２７を形成する。さら
に、図２（Ａ）に示されるように、前記頂角同士を結ぶ
線Ｑを折り目として、形材の上下部分を図中手前に折り
曲げ、外壁パネル取付用ブラケット２０の製造を完成す
る。

【００２９】このようにして製造された外壁パネル取付
用ブラケット２０は、図３に示されるように、ボルト４
６を使用して、天井梁３および外壁パネル１０に取り付
けられる。すなわち、外壁パネル取付用ブラケット２０
の第１の取付部２２の上面を、別途ボルト挿通孔が形成
されたフランジ３Ａの所定箇所にあてがった後、フラン
ジ３Ａの上面に設けられたナット４７に、座金５０を介
して、ボルト４６を螺合させることで、外壁パネル取付
用ブラケット２０を天井梁３に固定する。

【００３０】その後、外壁パネル１０に埋設されたナッ
ト４９の位置に、第２の取付部２６の長孔２６Ａを対応
させながら、座金５０を介してボルト４６をナット４９
に螺合させ、外壁パネル１０を外壁パネル取付用ブラケ
ット２０に固定する。なお、この外壁パネル１０の上方
に、パラペット（図示省略）を設ける場合には、第２の
取付部２６の上部に形成されている孔２６Ｂに、前記パ
ラペットを固定するボルト（図示省略）を挿通させる。

【００３１】このようにして取り付けられた外壁パネル
取付用ブラケット２０では、以下に述べるような効果が
得られる。 外壁パネル取付用ブラケット２０を構成する第１およ
び第２の取付部２２、２６と、第１および第２のリブ２
３、２７は、矩形状に切り出された形材を折り曲げ加工
することで簡単に製造できるので、従来必要となってい
た溶接作業を省略でき、外壁パネル取付用ブラケット２
０の製造コストを低減できる。

【００３２】断面Ｌ字形に直交して形成された第１の
取付部２２および第２の取付部２６の両側縁に、それぞ
れ第１のリブ２３および第２のリブ２７が直交して形成
されるとともに、これら第１のリブ２３および第２のリ
ブ２７同士が突き合わされているので、外壁パネル１０
に加わる側圧に十分抵抗できる剛性が確保された状態
で、天井梁３のフランジ３Ａ下面と外壁パネル１０の裏
面１０Ａに隙間なく確実にボルト４６によって固定され
る。従って、外壁パネル１０の接合作業を確実に行うこ
とができる。

【００３３】外壁パネル取付用ブラケット２０が取り
付けられる部材としては、天井梁３には広範に使用され
ている断面コ字形状のチャンネル材を使用し、外壁パネ
ル１０には多孔質の軽量気泡コンクリートを使用してい
る。従って、建物の建築コストや室内の断熱効果を高め
ることができる。

【００３４】天井梁３のフランジ３Ａにボルト挿通孔
が設けられるとともに、外壁パネル１０にもナットが埋
設されている。また、第１の取付部２２および第２の取
付部２６にも、ボルトを挿通させる孔２２Ａおよび長孔
２６Ａが形成されている。従って、これらの孔にボルト
４６を挿通させて、ナット４７、４９に螺合させるのみ
で、容易に外壁パネル１０および天井梁３に外壁パネル
取付用ブラケット２０を取り付けることができ、外壁パ
ネル１０の施工が容易にできる。

【００３５】下階に比べて風圧などの側圧が大きく加
わる最上階の外壁パネル１０は、第１および第２のリブ
２３、２７を形成して剛性を高めた外壁パネル取付用ブ
ラケット２０を介して天井梁３に固定されている。従っ
て、大きな側圧が加わっても確実に外壁パネル１０を支
持できる。

【００３６】（第２実施形態）以下に、本発明の第２実
施形態を述べる。なお、以下の実施の形態および変形例
において、前記第１実施形態における外壁パネル取付用
ブラケット２０と同様の構成部については、同一の符号
を用いて、その説明を省略あるいは簡略する。図４およ
び図５には、外壁パネル取付用ブラケット６０の製造工
程が示されている。ここで、この外壁パネル取付用ブラ
ケット６０が、前記第１実施形態における外壁パネル取
付用ブラケット２０と異なる点は、以下の２点である。 （１）折り目Ｐの外側に、高さ寸法Ｈ、幅寸法Ｊの略三
角形状の切欠き６３が、金属製板材の両側に形成される
側部６１内に設けられている。 （２）金属製板材が折り曲げられた後、最終的に雌金型
７１および雄金型７２から構成される金型７０によっ
て、金属製板材が押圧される。なお、この金属製板材
は、側縁６０Ａから幅寸法Ｋ分内側まで形成される側部
６１と、この側部６１に連続して中央に形成される中央
部６２とを含んで構成されている。そして、この金属製
板材が外壁パネル取付用ブラケット６０に加工される
と、前記第１実施形態と同様、図５（Ａ）に示されるよ
うに、側部６１は、第１のリブおよび第２のリブを構成
し、中央部６２は、第１の取付部および第２の取付部を
構成する。

【００３７】具体的には、図４（Ａ）に示されるよう
に、金属板を矩形状に切り出した金属製板材に、プレス
機を使って、孔２２Ａおよび長孔２６Ａを形成する。そ
の後、金属製板材の側縁６０Ａから幅寸法Ｋだけ内側に
渡る側部６１内に、高さ寸法Ｈおよび幅寸法Ｊの略三角
形状の切欠き６３を対向して形成する。ここで、切欠き
の高さ寸法Ｈおよび幅寸法Ｊは、加工される金属製板材
の板厚によって異なるが、板厚が３．２ｍｍの場合で
は、高さ寸法Ｈは、５ｍｍ程度が、また幅寸法Ｊは、２
０ｍｍ程度が好ましい。

【００３８】その後、金属製板材の側縁６０Ａから内側
に所定の幅寸法Ｋの位置に、側縁６０Ａに平行に折り目
Ｐが設定されるとともに、対向する切欠き６３を結んで
折り目Ｐに直交して折り目Ｑが設定される。この際、切
欠き６３の内側端よりもさらに内側に設定されている折
り目Ｐによって区画される側部６１と、これら側部６１
に挟まれた中央部６２とによって形材６０が形成され
る。

【００３９】そして、図４（Ｂ）に示されるように、プ
レス機を使って、折り目Ｐに沿って、側部６１を対向す
るように曲折した後、図５（Ａ）に示されるように、折
り目Ｑに沿って、中央部６２を略垂直に曲折する。な
お、この段階で、切欠き６３を挟んだ側部６１の突き合
わせ部分Ｃには、突き合わせ面のずれや側部６１表面の
しわが生じることがある。

【００４０】そこで、図５（Ｂ）に示されるように金属
製板材の第１のリブ、第２のリブ、第１の取付部および
第２の取付部の表面形状に応じて凹形状とされた成形面
７１Ａを有する雌金型７１と、第１のリブ、第２のリ
ブ、第１の取付部および第２の取付部の裏面形状に応じ
て凸形状とされた成形面７２Ａを有する雄金型７２とか
ら構成される金型７０に、金属製板材を挟んで押圧する
ことで、しわやずれを修正して、外壁パネル取付用ブラ
ケット６０が仕上げられる。

【００４１】このような実施形態によって、前記第１実
施形態で得られた効果〜の他に、以下に述べる効果
が得られる。 折り目Ｐの外側に形成された切欠き６３によって、側
部６１は分断されていないので、外壁パネル取付用ブラ
ケット６０が外壁および梁に取り付けられた際に、この
側部６１に直交する方向から加えられる外力に対する十
分な剛性を、外壁パネル取付用ブラケット６０に与える
ことができる。従って、外壁パネル取付用ブラケット６
０の剛性をより高めることができる。

【００４２】曲折によるしわやずれが生じやすい切欠
き６３の突き合わせ部分Ｃに対して、外壁パネル取付用
ブラケット６０の最終形状が象られた金型７０による押
圧が加えられるので、側部６１に生じたしわやずれをな
くして、外壁パネル取付用ブラケット６０の加工精度を
高めることができる。

【００４３】金型面７１Ａ、７２Ａは一定の形状をな
しているので、同一形状の外壁パネル取付用ブラケット
６０を大量に、かつ確実に製造することができ、外壁パ
ネル取付用ブラケット６０の仕上げ精度を向上させると
ともに、製造コストも低減することができる。

【００４４】本発明は、前記各実施形態に限定されるも
のではなく、本発明の目的を達成できる他の構成も含
み、以下に示すような変形なども本発明に含まれる。

【００４５】例えば、外壁パネル取付用ブラケット２０
の展開図上での形状は、両側に二等辺三角形の切欠き２
４が形成された矩形状をなしていたが、これに限らな
い。すなわち、正方形でも楕円形状でも構わない。ま
た、材質についても、金属に限らず、繊維強化金属材料
などの複合材料などでもよい。

【００４６】前記実施形態では、外壁パネル取付用ブラ
ケット２０は、建物の最上階に設けられる天井梁３およ
び外壁パネル１０に取り付けられていたが、これに限ら
ず、１階、２階などの下層階や中層階の上梁と外壁パネ
ルとによって区画される隅部に取り付けられていても構
わない。また、外壁パネル１０の下端側に設けられてい
ても構わない。

【００４７】また、外壁パネル取付用ブラケット２０が
取り付けられる外壁材や梁材の種類についても、軽量気
泡コンクリートやチャンネル材に限らない。例えば、外
壁材としては、ＡＬＣ板、ＰＣ板、金属パネル、サイデ
ィング材、プラスター、セラミックタイルなどでも構わ
ず、梁材としては、Ｉ形鋼やＨ形鋼などの鋼材や、製材
なども含まれる。

【００４８】さらに、梁側延出部２１や外壁パネル側延
出部２５に形成される孔２２Ａ、２６Ｂおよび長孔２６
Ａの形状も、前記実施形態のものに限らず、実施の状況
に応じて適宜選択されることが好ましい。また、これら
の孔２２Ａ、２６Ｂおよび長孔２６Ａは省略されて、梁
材および外壁材に係合する係止部が別途設けられても構
わない。

【００４９】第１および第２のリブ２３、２７は、第１
および第２の取付部２２、２６に直角に曲折されて形成
されていたが、これに限らず、鋭角もしくは鈍角に曲折
されて形成されていても構わない。

【００５０】また、前記第２実施形態では、プレス機を
使って、側部６１および中央部６２を折り曲げていた
が、このような曲折加工における加工手段は、プレス機
に限らず、所定の工具などを用いて加工してもよい。

【００５１】このような外壁パネル取付用ブラケット２
０は、一戸建て住宅に限らず、アパート等の賃貸住宅
や、店舗兼住宅、および店舗や倉庫などの商業施設など
にも適用できる

【００５２】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の外壁パネル
取付用ブラケットによれば、以下に述べるような効果が
得られる。すなわち、請求項１に記載の外壁パネル取付
用ブラケットによれば、梁に設けられる梁側延出部と、
この梁側延出部の一端から折り曲げられて外壁パネルに
設けられる外壁パネル側延出部とを含んで構成される。
そして、梁側延出部は、梁に接する第１の取付部と、こ
の第１の取付部に設けられ互いに対向する第１のリブと
を含んで構成され、外壁パネル側延出部は、第１の取付
部の一端に連なって延びる第２の取付部と、端部が第１
のリブと突き合わされながら第２の取付部に設けられる
第２のリブとを含んで構成される。そして、これら第１
のリブ、第２のリブ、第１の取付部および第２の取付部
は、１枚の平板状部材を折り曲げ加工することで形成さ
れている。従って、従来必要であった溶接作業を省略し
ながら、外壁パネル取付用ブラケットを簡易な折り曲げ
加工のみで製造加工できるので、外壁パネル取付用ブラ
ケットの製造コストを低減できる。

【００５３】以上において、請求項２に記載の外壁パネ
ル取付用ブラケットによれば、第１のリブと第１の取付
部、第２のリブと第２の取付部および第１の取付部と第
２の取付部は、互いに垂直に折り曲げられている。従っ
て、通常直角をなして設けられる梁のフランジおよび外
壁パネルの裏面に対して、第１の取付部および第２の取
付部を隙間なく当接させることができるので、外壁パネ
ル取付用ブラケットを確実に、梁および外壁パネルに取
付固定できる。また、第２の取付部に対して垂直をなす
方向に沿って力が加えられても、端縁同士の突き合わせ
によって、外壁パネル取付用ブラケットには十分な剛性
が確保され、結果的には、外壁パネルに加わる側圧に対
して、十分な耐力を確保することができる。

【００５４】さらに、請求項３に記載の外壁パネル取付
用ブラケットによれば、梁は、断面コ字形状のチャンネ
ル材から形成され、外壁パネルは軽量気泡コンクリート
で形成され、梁側延出部および外壁パネル側延出部に
は、接合具を挿通させるための孔がそれぞれ形成されて
いる。ここで、外壁パネル取付用ブラケットと接合する
部材には、通常、天井梁では広範に使用されている断面
コ字形状のチャンネル材が使用され、外壁パネルでは多
孔質の軽量気泡コンクリートが使用されている。従っ
て、建物の建築コストや室内の断熱効果を高めることが
できる。また、梁側延出部に形成された孔に対応して梁
のフランジにも孔を形成するとともに、外壁パネル側延
出部に形成された長孔に対応して接合具を埋設する孔を
設けることによって、例えばボルトおよびナットなどの
接合具によって、外壁パネル取付用ブラケットを容易に
取り付けることができる。

【００５５】そして、請求項４に記載の外壁パネル取付
用ブラケットによれば、建物ユニットで構成される建物
の最上階部分における天井梁に取り付けられ、この最上
階部分の外壁パネルを支持している。ここで、地上部分
に立地する種々の障害物から離れるほど流速抵抗が減少
ため、下階に設けられる外壁に比べて、建物の最上階に
設けられる外壁パネル１０には、風圧などの大きな側圧
が加わる。しかし、このような最上階の外壁パネルに外
壁パネル取付用ブラケットを取りつけることで、大きな
側圧に対しても確実に外壁パネルを支持できる。

【００５６】また、請求項５に記載の外壁パネル取付用
ブラケットの製造方法によれば、矩形状の形材の互いに
対向する２辺に沿った両側部に、この２辺と垂直に頂角
が向かい合うようにして、それぞれ直角二等辺三角形の
切欠きを設け、これら二等辺三角形の各々の頂角を通っ
て前記２辺に平行な線を折り目として、前記両側部を互
いに向き合うように垂直に曲折した後、前記頂角同士を
結ぶ線を折り目として、この折り目の両側部分を直角に
曲折して、外壁パネル取付用ブラケットが製造される。
従って、従来必要であった継ぎ目の溶接を省略しなが
ら、金属製板材の折り曲げ加工のみで製造できるので、
外壁パネル取付用ブラケットの製造コストを低減でき
る。

【００５７】さらに、請求項６に記載の外壁パネル取付
用ブラケットの製造方法によれば、矩形状の金属製板材
の互いに対向する２辺から内側に所定の幅寸法に渡って
設けられる側部内に、互いに対向するように切欠きをそ
れぞれ形成し、互いに向かい合う前記側部の内側縁を折
り目として、前記側部を折り曲げた後、互いに対向する
前記切欠き同士を結ぶ線を折り目として、この折り目の
両側部分を略直角になるようにプレス成形することで、
外壁パネル取付用ブラケットが成形される。従って、外
壁パネル取付用ブラケットの製造に高度な技術を必要と
しなくても、外壁パネル取付用ブラケットが製造できる
ので、外壁パネル取付用ブラケットの製造を容易にでき
る。切欠きは、金属製板材の側部内に納められて形成さ
れるので、この側部に直交する方向の外力に対する剛性
を十分に確保することができる。従って、外壁パネル取
付用ブラケットの剛性をより高めることができる。

【００５８】請求項７に記載の外壁パネル取付用ブラケ
ットの製造方法によれば、折り目の両側部分を折り曲げ
て形成された金属製板材を、この金属製板材の第１のリ
ブ、第２のリブ、第１の取付部および第２の取付部の表
面形状に応じて凹形状とされた雌金型と、前記金属製板
材の第１のリブ、第２のリブ、第１の取付部および第２
の取付部形材の裏面形状に応じて凸形状とされた雄金型
との間に、金属製板材を挟んで押圧する。このため、側
部の突き合わせ部が、金型の成形面によって押圧される
ので、この突き合わせ部に生じたしわや食い違いをなく
すことができる。従って、外壁パネル取付用ブラケット
の加工精度を向上させることができる。また、一定形状
の金型面による成形であるので、同一形状の外壁パネル
取付用ブラケットを、大量に、かつ確実に製造すること
ができ、外壁パネル取付用ブラケットの仕上げ精度を向
上させることができる上に、製造コストも低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る第１実施形態における外壁パネル
取付用ブラケットの取付構造を示す斜視図である。

【図２】（Ａ）は、前記実施形態における外壁パネル取
付用ブラケットを示す斜視図であり、（Ｂ）はその組立
を示す展開図である。

【図３】前記実施形態における外壁パネル取付用ブラケ
ットを取り付ける方法を示す断面図ある。

【図４】（Ａ）本発明の第２実施形態において、形材を
切り出す工程を示す斜視図であり、（Ｂ）は、側部を折
り曲げる工程を示す斜視図である。

【図５】（Ａ）は、前記実施形態における中央部を折り
曲げる工程を示す斜視図であり、（Ｂ）は、金型によっ
て、形材をプレスする工程を示す斜視図である。

【図６】本発明の従来例におけるブラケットの取付構造
を示す断面図である。

【図７】（Ａ）は、本発明の従来例であるブラケットの
組立を示す展開図であり、（Ｂ）はその斜視図である。

【符号の説明】 ３ 梁としての天井梁 １０ 外壁パネル ２１ 梁側延出部 ２２ 第１の取付部 ２３ 第１のリブ ２５ 外壁パネル側延出部 ２６ 第２の取付部 ２７ 第２のリブ ４６ 接合具としてのボルト ４７、４９ 接合具としてのナット ５０ 接合具としての座金 ６０ 外壁パネル取付用ブラケット ６１ 外壁パネル取付用ブラケットの側部 ６２ 外壁パネル取付用ブラケットの中央部 ６３ 切欠き ６４ 側部を形成する第１のリブ ６５ 側部を形成する第２のリブ ６６ 中央部を形成する第１取付部 ６７ 中央部を形成する第２の取付部 ７０ 金型 ７１ 雌金型 ７２ 雄金型 Ｋ 所定の幅寸法 Ｐ 折り目 Ｑ 折り目

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2E002 NA01 NB06 PA04 PA08 RA03 RB01 TA02 2E125 AA13 AA66 AB05 AC15 AE02 AG04 AG08 AG12 AG41 AG60 BB05 BB09 BB22 BB35 BC02 CA03 CA05 4E063 AA01 BA01 CA01 CA05 DA03 KA14 MA30

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外壁を形成する外壁パネルを梁に取り付
   けるための外壁パネル取付用ブラケットであって、 前記梁に設けられる梁側延出部と、この梁側延出部の一
   端から折り曲げられて前記外壁パネルに設けられる外壁
   パネル側延出部とを含んで構成され、 前記梁側延出部は、前記梁に接する第１の取付部と、こ
   の第１の取付部に設けられ互いに対向する第１のリブと
   を含んで構成され、 前記外壁パネル側延出部は、前記第１の取付部の一端に
   連なって延びる第２の取付部と、端部が前記第１のリブ
   と突き合わされながら前記第２の取付部に設けられる第
   ２のリブとを含んで構成され、 前記第１のリブ、前記第２のリブ、前記第１の取付部お
   よび前記第２の取付部は、１枚の平板状部材を折り曲げ
   加工することで形成されていることを特徴とする外壁パ
   ネル取付用ブラケット。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の外壁パネル取付用ブラ
   ケットにおいて、 前記第１のリブと前記第１の取付部、前記第２のリブと
   前記第２の取付部および前記第１の取付部と前記第２の
   取付部は、互いに垂直に折り曲げられていることを特徴
   とする外壁パネル取付用ブラケット。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載の外壁パネル取
   付用ブラケットにおいて、 前記梁は、断面コ字形状のチャンネル材から形成され、 前記外壁パネルは軽量気泡コンクリートで形成され、 前記梁側延出部および前記外壁パネル側延出部には、接
   合具を挿通させるための孔がそれぞれ形成されているこ
   とを特徴とする外壁パネル取付用ブラケット。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれかに記載の外壁パ
   ネル取付用ブラケットにおいて、 当該外壁パネル取付用ブラケットは、建物ユニットで構
   成される建物の最上階部分における天井梁に取り付けら
   れ、この最上階部分の外壁パネルを支持していることを
   特徴とする外壁パネル取付用ブラケット。
5. 【請求項５】 請求項１〜４のいずれかに記載の外壁パ
   ネル取付用ブラケットの製造方法において、 矩形状の形材の互いに対向する２辺に沿った両側部分
   に、当該２辺と直交して頂角が向かい合うようにして、
   それぞれ直角二等辺三角形状の切欠きを設け、 これら二等辺三角形の各頂角を通って前記２辺に平行な
   線を折り目として、互いに向き合うように前記両側部を
   垂直に曲折した後、 前記頂角同士を結ぶ線を折り目として、当該折り目の両
   側部分を直角に曲折して製造されることを特徴とする外
   壁パネル取付用ブラケットの製造方法。
6. 【請求項６】 請求項１〜４のいずれかに記載の外壁パ
   ネル取付用ブラケットの製造方法において、 矩形状の金属板材の互いに対向する２辺から内側に所定
   の幅寸法に渡って設けられる側部内に、互いに対向する
   ように切欠きをそれぞれ形成し、 互いに向かい合う前記側部の内側縁を折り目として、前
   記側部を折り曲げた後、 互いに対向する前記切欠き同士を結ぶ線を折り目とし
   て、この折り目の両側部分が略直角になるようにプレス
   成形することを特徴とする外壁パネル取付用ブラケット
   の製造方法。
7. 【請求項７】 請求項６に記載の外壁パネル取付用ブラ
   ケットの製造方法において、 前記折り目の両側部分を折り曲げて形成された金属製板
   材を、前記第１のリブ、前記第２のリブ、前記第１の取
   付部および第２の取付部の表面の形状に応じて凹形状と
   された金型と、前記第１のリブ、前記第２のリブ、前記
   第１の取付部および前記第２の取付部の裏面の形状に応
   じて凸形状とされた雄金型との間に、挟んで押圧するこ
   とを特徴とする外壁パネル取付用ブラケットの製造方
   法。