JP2000327792A - 熱可塑性樹脂顆粒物の生成方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂顆粒物の生成方法

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JP2000327792A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 嵩密度が大きい熱可塑性樹脂顆粒物を提供す
る。 【解決手段】 複数の原料を重合させ、これを乾燥させ
て得られた熱可塑性樹脂の粉末原料を、40℃以上の温
度状態で、微小な間隙を存して平行に配置された二本の
ロール間で圧縮成形し、得られた成形物を粒径10mm
以下の顆粒物に解砕することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、造粒機や二次加工
成形機に供給される熱可塑性樹脂顆粒物の生成方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂の製造工程では、複数の原
料を重合させ、これを乾燥させて得られた熱可塑性樹脂
の粉末原料を冷却し、可塑剤等の補助原料、あるいは他
の樹脂原料を混合し、スクリュー式押出機で粒径が略1
0mm以下のペレットに造粒している。得られたペレッ
トは射出成形機やブロー成形機等の二次加工成形機に供
給され、最終製品形状に加工される。
【0003】上述したような乾燥、冷却後の熱可塑性樹
脂の粉末原料は嵩密度が小さく、輸送、貯蔵設備を大き
くするという問題点が有った。また、スクリュー式押出
機では、粉末原料の嵩密度が小さいので、スクリューと
ケーシングの間の滑りが大きく、圧縮比も大きいことか
ら、駆動時の消費動力が大きくなるという問題点が有っ
た。
【0004】そこで、粉末原料を、微小な間隙を存して
平行に配置された二本のロール間でフレーク状に圧縮成
形し、得られた成形物を解砕して粒径10mm以下の顆
粒物を生成するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな顆粒物も嵩密度はそれほど大きくなく、所望の強度
が得られにくいという問題点が有った。また、狭い範囲
で粒度が揃った顆粒物を生成しようとする場合に歩留ま
り率が低くなるという問題点が有った。
【0006】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
のであって、第1の目的は、嵩密度が大きい熱可塑性樹
脂顆粒物を提供することにある。また、第2の目的は、
粒度が揃った熱可塑性樹脂顆粒物を効率良く提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために第1の発明は、複数の原料を重合させ、これを乾
燥させて得られた熱可塑性樹脂の粉末原料を、40℃以
上の温度状態で、微小な間隙を存して平行に配置された
二本のロール間で圧縮成形し、得られた成形物を粒径1
0mm以下の顆粒物に解砕することを特徴とする熱可塑
性樹脂顆粒物の生成方法である。
【0008】また、第2の発明は、複数の原料を重合さ
せ、これを乾燥させて得られた熱可塑性樹脂の粉末原料
を、40℃以上の温度状態で補助原料と混合した後、微
小な間隙を存して平行に配置された二本のロール間で圧
縮成形し、得られた成形物を粒径10mm以下の顆粒物
に解砕することを特徴とする熱可塑性樹脂顆粒物の生成
方法である。
【0009】また、第3の発明は、第1の発明または第
2の発明において、前記各ロールの外周面に多数の同形
同大の凹部が全周にわたって穿設され、これらの凹部
は、開口形状が長径10mm以下の楕円状で長径方向が
前記ロールの外周面の周方向に一致するとともに該周方
向に平行する断面の形状が円弧状を成すように曲面状に
形成され、さらに互いに隣接する凹部間の最小距離が
0.5mm以下となるとともに前記二本のロール間の最
小間隙を介して前記各ロールの凹部が互いに対向するよ
うに配列されていることを特徴とするものである。
【0010】また、第4の発明は、第3の発明におい
て、二本のロール間の間隙が0.5mm以上1.0mm
以下であることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施形態
を図面を参照しながら説明する。図1、2は本発明の熱
可塑性樹脂顆粒物の生成方法を含む樹脂ペレットの製造
工程のブロック図、図3は本発明に用いられるロールプ
レス機の正面断面図、図4は図3の要部拡大図、図5は
図4のA方向矢視図である。
【0012】図1に示す樹脂ペレットの製造工程では、
複数の原料を重合させ、これを乾燥させて得られた熱可
塑性樹脂の粉末原料を、冷却せずに40℃以上、好まし
くは50℃以上の温度状態で、微小な間隙を存して平行
に配置された二本のロール間で板状に圧縮成形し、得ら
れた成形物を粒径10mm以下の顆粒物に解砕し、得ら
れた顆粒物を補助原料と混合し、スクリュー式押出機で
ペレットに造粒する。
【0013】一方、図2に示す樹脂ペレットの製造工程
では、重合、乾燥後の熱可塑性樹脂の粉末原料を、冷却
せずに40℃以上、好ましくは50℃以上の温度状態で
補助原料と混合し、二本のロール間で板状に圧縮成形
し、得られた成形物を粒径10mm以下の顆粒物に解砕
し、得られた顆粒物をスクリュー式押出機でペレットに
造粒する。
【0014】熱可塑性樹脂の種類は特に限定されない
が、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリスチレン、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリ
アミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェ
ニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエ
ーテルエーテルケトン、ポリスルホン、フッソ樹脂、ポ
リブチレンテレフタレート、等である。
【0015】また、添加される補助原料は、例えば、可
塑剤、安定剤(塩ビ安定剤、軟質安定剤、硬質安定
剤)、難燃剤、抗酸化剤(酸化防止剤)、紫外線吸収
剤、着色剤、帯電防止剤、強化剤(ガラス繊維、炭素繊
維、アラミド繊維、ボロン繊維、合成繊維(ビニロン、
ポリエステル))、充填剤(補強効果、遮蔽効果、導電
効果、滑性効果、吸着効果、流下防止効果、耐候性、熱
膨張係数の調節、印刷・接着性の改良、増量等を目的と
するもの)等である。
【0016】得られたペレットは二次加工成形機に供給
され、最終製品形状に加工される。二次加工成形機とし
ては、例えば、圧縮成形機、カレンダ加工機、押出成形
機、吹込成形機、真空・圧空成形機、発泡成形機、射出
成形機等が挙げられる。なお、顆粒物をペレットに造粒
せずにそのまま二次加工成形機に供給するようにしても
良い。
【0017】熱可塑性樹脂は高温では可塑性が有るた
め、乾燥後の粉末原料を冷却せずに40℃以上の温度状
態でロール間で圧縮成形することにより、嵩密度の大き
な顆粒物を得ることができる。
【0018】図6は、重合、乾燥後の嵩密度0.21g
/cm2のポリカーボネートの粉末原料を、二本のロー
ル間で、ロールの軸方向の幅1cmあたりの圧縮力4t
で厚み4mmのフレーク状に圧縮成形し、これを解砕し
て篩い分け、粒径3〜5mmの顆粒物にした場合の嵩密
度と粉末原料の温度との関係を示す表であり、粉末原料
の温度上昇とともに顆粒物の嵩密度が大きくなっている
ことが判る。
【0019】また、ポリフェニリンサルファイド系樹脂
等の耐熱性の高い熱可塑性樹脂の場合は、常温の25℃
では1t/cm2の成形圧では硬い成形物が得られず、
空気輸送の衝撃に耐えられずに砕けてしまうが、粉末原
料の温度が100℃以上であると硬い成形物が得られる
ので、粉末原料の温度を100℃以上にすることが好ま
しい。
【0020】図7は、ポリフェニリンサルファイド系樹
脂の粉末原料を直径25mm、高さ25mmのシリンダ
に充填し、ピストンで1t/cm2の圧力をかけて圧縮
成形した場合の成形物の圧壊強度と密度とを、粉末原料
の温度が25℃の場合と100℃の場合について示した
データである。
【0021】また、ロールは、外周面が平滑なもの、外
周面に細い溝を軸方向または周方向に刻設したもの、あ
るいは外周面が波形に形成されたもの等が使用され、ロ
ール間隙は2〜5mm程度に設定されるが、可塑性の大
きい樹脂の場合には、解砕物は不定形で切断面が著しく
ぎざぎざした形状となり、そのために嵩密度が大きくな
らない場合が有る。また、解砕物の粒度分布は広い範囲
になり、粒の大きさの揃った顆粒物にする場合には、解
砕物を篩い分け、粒の大きさが希望する値より大きいも
のは、再度解砕し、粒の大きさが希望する値より小さい
ものは、循環させてロール間で圧縮成形し、解砕すると
いう方法がとられるが、歩留まり率が低い。
【0022】そこで、可塑性の大きい樹脂の場合には、
図3〜図5に示すように、外周面に全周にわたって多数
の同形同大の凹部1a、1a、・・・が穿設されたブリ
ケットロール1、1を用い、ロール1、1間の間隙dを
0.5mm以上1.0mm以下として圧縮成形を行う。
なお、凹部1a、1a、・・・は、開口形状が長径10
mm以下の楕円状で長径方向がロール1の外周面の周方
向に一致するように形成され、ロール1、1間の最小間
隙d(図4参照)を介して各ロール1の凹部1aが互い
に対向するように配列されている。
【0023】ロール1、1の外周面に凹部1aを設けた
ことで、成形物は、多数のブリケットがつながった状態
となり、これを解砕機で、ブリケットとブリケットの境
界部、即ち、ロール1の外周面における凹部1aが設け
られていないラウンド状の部分1bによって形成される
薄肉部で分断し、個々のブリケットとする。このブリケ
ットは扁平状でなく、また、表面は平滑で、上述したよ
うなフレークを解砕した不定形の顆粒物に比較して嵩密
度が大きいとともに流動性が良好で、ホッパからの排出
あるいはスクリュー式押出機への供給を均一にすること
ができる。
【0024】なお、樹脂粉末原料の特性で、ロール外周
面との摩擦抵抗が大きいことから、最も大きな成形圧が
かかる位置(図4のpの位置)で、凹部1aの表面と成
形物との間での摩擦抵抗による過大な剪断力によって成
形物にクラックが発生して壊れる傾向が有る。そこで、
凹部1aは、ロール1の外周面の周方向に平行する断面
の形状が円弧状を成すように曲面状に形成されており、
これによって成形物は凹部1aの表面で滑るため、成形
物内部に大きな剪断力が生じない。また、解砕時にブリ
ケットが薄肉部で分断されるようにラウンド状の部分1
bは小さくする必要が有り、凹部1a、1a、・・・
は、互いに隣接する凹部1a、1a間の最小距離hが
0.5mm以下となるように配列されている。
【0025】なお、ロール間隙dは、ラウンド状の部分
1bの近くで過大圧縮力によりブリケットにクラックが
入ったり、ブリケットが分割して凹部1aに付着するの
を防ぐために0.5mm以上にしてあり、また、ラウン
ド状の部分1b、1b間で成形される薄肉部が厚くなる
と、解砕時に薄肉部が分断しないでブリケットが分断す
るため、1.0mm以下にしてある。
【0026】原料投入口2を介してホッパ3に投入され
た原料はスクリュー4によってロール1、1間に供給さ
れ、矢印方向に回転するロール1、1によって圧縮成形
されるが、成形物は、ロール1、1間の間隙が最小とな
るp点において凹部1aの表面で滑るため、成形物内部
に大きな剪断力が発生しない。また、凹部1a、1a間
のラウンド状の部分1bが小さいため、成形物は多数の
ブリケットが薄肉部を介してつながった状態となり、解
砕時にはブリケットが薄肉部で分断される。
【0027】
【実施例】重合、乾燥後のポリフェニリンサルファイド
系樹脂の粉末原料を、75℃の高温で、4mmの間隙を
おいて平行に配置され外周面が平滑な一対のロールによ
って軸方向に4t/cmの圧縮力をかけてフレーク状に
圧縮成形し、これを解砕し、3〜5mmの粒径の不定形
顆粒物に篩い分けた。その嵩密度は0.42g/ccで
あった。
【0028】これに対し、外周面に、周方向の長径が5
mm、軸方向の短径が4mm、深さ1.5mmの多数の
凹部1a、1a、・・・を、互いに隣接する凹部1a、
1a間の最小距離が0.3mmとなるように設けた一対
のロールを、1mmの間隙をおいて平行に配置し、同じ
原料、同じ温度で4t/cmの圧縮力をかけて圧縮成形
を行って多数のブリケットがつながった成形物をつく
り、これを解砕して長さ5mm、幅4mm、厚さ4mm
のブリケット状の顆粒物を生成したところ、その嵩密度
は0.56g/ccであった。
【0029】また、粒径4〜6mmの顆粒物のみを生成
しようとする場合、粉末原料を外周面が平滑なロールで
フレーク状に圧縮成形し、これを解砕し、篩い分けて粒
径4〜6mmのものを回収し、粒径が6mmより大きい
ものは再度解砕し、粒径が4mmより小さいものは循環
させて再度圧縮成形する場合には、歩留まり率は約30
%であるが、外周面に、長径が6mm、短径が4mmの
凹部を穿ったロールを用いて長さ6mm、幅4.5m
m、厚さ4.5mmのブリケットを生成し、ブリケット
間のわずかなバリ部、ロール両側から漏れた微粉を4m
m目の篩で除去するようにした場合には、歩留まり率は
90%以上であった。
【0030】なお、本発明は上述した実施形態に限定さ
れるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々
の変形例が考えられる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱可塑性
樹脂顆粒物の生成方法によるときは、嵩密度の大きな熱
可塑性樹脂顆粒物を得ることができ、これによって熱可
塑性樹脂顆粒物の輸送、貯蔵設備を小さくし、スクリュ
ー式押出機の消費動力を少なくすることができる。
【0032】請求項3の熱可塑性樹脂顆粒物の生成方法
によるときは、可塑性の高い熱可塑性樹脂の場合、圧縮
成形時に成形物が凹部の表面で滑るため、成形物内部に
大きな剪断力が生じず、成形物にクラックが生じるのを
低減することができる。また、互いに隣接する凹部間の
距離が小さいため、ブリケットをつなぐ薄肉部が薄く形
成され、成形物の解砕時にブリケットが分断するのを低
減することができる。さらに、粒度の揃った熱可塑性樹
脂顆粒物を効率良く提供することが可能となる。
【0033】また、請求項4の熱可塑性樹脂顆粒物の生
成方法によるときは、過大圧縮力によりブリケットにク
ラックが入ったり、ブリケットが分割して凹部に付着す
るのが低減するとともに、成形物の解砕時にブリケット
が分断するのをより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱可塑性樹脂顆粒物の生成方法を含
む樹脂ペレットの製造工程のブロック図。
【図2】 本発明の熱可塑性樹脂顆粒物の生成方法を含
む樹脂ペレットの製造工程のブロック図。
【図3】 本発明に用いられるロールプレス機の正面断
面図。
【図4】 図3の要部拡大図。
【図5】 図4のA方向矢視図。
【図6】 ポリカーボネートの粉末原料の温度とこの原
料によって得られた熱可塑性樹脂顆粒物の嵩密度との関
係を示すデータ。
【図7】 ポリカーボネートの粉末原料の温度とこの原
料によって得られた圧縮成形物の圧壊強度及び密度との
関係を示すデータ。
【符号の説明】
1 ロール 2 原料投入口 3 ホッパ 4 スクリュー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の原料を重合させ、これを乾燥させ
    て得られた熱可塑性樹脂の粉末原料を、40℃以上の温
    度状態で、微小な間隙を存して平行に配置された二本の
    ロール間で圧縮成形し、得られた成形物を粒径10mm
    以下の顆粒物に解砕することを特徴とする熱可塑性樹脂
    顆粒物の生成方法。
  2. 【請求項2】 複数の原料を重合させ、これを乾燥させ
    て得られた熱可塑性樹脂の粉末原料を、40℃以上の温
    度状態で補助原料と混合した後、微小な間隙を存して平
    行に配置された二本のロール間で圧縮成形し、得られた
    成形物を粒径10mm以下の顆粒物に解砕することを特
    徴とする熱可塑性樹脂顆粒物の生成方法。
  3. 【請求項3】 前記各ロールの外周面に多数の同形同大
    の凹部が全周にわたって穿設され、これらの凹部は、開
    口形状が長径10mm以下の楕円状で長径方向が前記ロ
    ールの外周面の周方向に一致するとともに該周方向に平
    行する断面の形状が円弧状を成すように曲面状に形成さ
    れ、さらに互いに隣接する凹部間の最小距離が0.5m
    m以下となるとともに前記二本のロール間の最小間隙を
    介して前記各ロールの凹部が互いに対向するように配列
    されていることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の熱可塑性樹脂顆粒物の生成方法。
  4. 【請求項4】 前記二本のロール間の間隙が0.5mm
    以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項3に
    記載の熱可塑性樹脂顆粒物の生成方法。
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