JP2000312062A - 厚膜回路基板とその製造方法 - Google Patents

厚膜回路基板とその製造方法

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JP2000312062A
JP2000312062A JP11121168A JP12116899A JP2000312062A JP 2000312062 A JP2000312062 A JP 2000312062A JP 11121168 A JP11121168 A JP 11121168A JP 12116899 A JP12116899 A JP 12116899A JP 2000312062 A JP2000312062 A JP 2000312062A
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浩 春日井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】絶縁性を確保し、高い信頼性を得るための厚膜
回路基板を提供する。 【解決手段】アルミナ基板1には、所定の位置にスルー
ホール2が設けられ、アルミナ基板1の表裏両面並びに
スルーホール2の壁面には導体層3が設けられている。
アルミナ基板1上には、導体層3を覆うように保護ガラ
ス層4a,4bが設けられると共に、スルーホール閉塞
用の保護ガラス層4cが設けられている。保護ガラス層
4b,4cの下面には、金属ケース7との絶縁のための
樹脂層5が設けられている。スルーホール閉塞部分での
保護ガラス層4cの凹みは少なく、スルーホール開口部
近くではそのガラス層表面が自ずと平坦化される。そし
て、その平坦化された保護ガラス層4b,4c上に、絶
縁層としての役割を持つ樹脂層5が形成されるので、該
樹脂層5の厚さが均一となる。それ故、冷熱耐久時にも
クラックが発生する等の不具合は生じない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック等から
なる絶縁基材の両面に電気回路を設けると共に、該両面
の電気回路を電気的に導通するためのスルーホールを設
けた厚膜回路基板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、この種の厚膜回路基板の従来技
術を示す断面図であり、同図には金属放熱板上に厚膜回
路基板を載置した状態を示す。図5において、絶縁基材
31には、直径0.2〜1mm程度のスルーホール32
が設けられ、同絶縁基材31の両面には、スルーホール
32を通じて電気的に導通された導体層33が形成され
ている。絶縁基板31上には、導体層33を保護するた
めの2層の保護ガラス層34a,34bが設けられると
共に、スルーホール閉塞用の保護ガラス層34cが設け
られている。また、保護ガラス層34b,34cの下方
には接着剤35を挟んで金属放熱板36が接着固定され
ている。
【0003】上記構成によれば、接着剤35により厚膜
回路基板側と金属放熱板36との間の絶縁性が確保され
る。また、保護ガラス層34cによりスルーホール32
が閉塞されるため、該スルーホール32を介して基板表
面に接着剤35が漏れ出てくるといった不具合が解消さ
れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成の厚膜回路基板では、スルーホール32内における保
護ガラス層34cの焼成収縮によりスルーホール閉塞部
分の同ガラス層34cが大きく凹み、保護ガラス層34
cが凹形状となる。それ故、保護ガラス層34の凹状部
分が接着剤35のボイドとなり、ひいては絶縁性が低下
したり、放熱性が低下したりするといった不具合が発生
する。絶縁性が低下すると特性不良が生ずる。
【0005】本発明は上記問題に着目してなされたもの
であって、その目的とするところは、絶縁性を確保し、
高い信頼性を得ることができる厚膜回路基板とその製造
方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の厚膜回路基板
は、所定の回路パターンに応じた導体層を絶縁基材の両
面に形成すると共に、該両面をスルーホールにて電気的
に導通しており、何れか一方の面が金属製の放熱板上に
載置されることを前提とする。
【0007】そして請求項1に記載の発明では、放熱板
への載置面側の開口部近くでスルーホールを閉塞するよ
うにして導体層を保護するための保護ガラス層が印刷形
成され、該保護ガラス層上に、放熱板との絶縁のための
樹脂層が形成されることを特徴とする。
【0008】上記構成によれば、スルーホール閉塞部分
での保護ガラス層の凹みは少なく、スルーホールの開口
部近くではそのガラス層表面が自ずと平坦化される。そ
して、その平坦化された保護ガラス層上に、絶縁層とし
ての役割を持つ樹脂層が形成されるので、該樹脂層の厚
さが均一となる。樹脂層の厚さが均一化されることによ
り、冷熱耐久時にもクラックが発生する等の不具合はな
く、ひいては絶縁性を確保し、高い信頼性を得ることが
できる。
【0009】また、請求項2に記載したように、放熱板
との絶縁のための樹脂層に代えて、絶縁性接着剤を用い
る場合にも同様に、絶縁性を確保し、高い信頼性が得ら
れる。すなわち、保護ガラス層に形成される凹み部分が
接着剤のボイドとなって絶縁性が低下したり、放熱性が
低下したりするといった不具合が防止できる。
【0010】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
2に記載の発明において、絶縁基材の両面から各々印刷
形成される保護ガラス層が、スルーホール内における放
熱板への載置面近くで重なり合わせられ、その重なり部
にスルーホール閉塞用の保護ガラス層が印刷形成され
る。
【0011】この場合、スルーホール閉塞用の保護ガラ
ス層が前記重なり部よりも深く入り込むことはなく、当
該保護ガラス層が所望の位置に形成される。これによ
り、既述の通りスルーホール閉塞部分での保護ガラス層
の凹みを少なくし、そのガラス層表面を平坦化すること
が可能となる。
【0012】また、請求項4に記載の発明では、放熱板
への載置面側から樹脂材料が印刷されて樹脂層が形成さ
れ、該樹脂層により、スルーホールが閉塞されると共に
接着剤による接着面が形成される。
【0013】つまり、樹脂材料の硬化収縮はガラス材料
の焼成収縮よりも少ないため、スルーホール閉塞部分に
おいて表面(接着剤による接着面)の平坦化が可能とな
る。それ故、接着剤のボイド発生が抑制され、ひいては
絶縁性を確保し、高い信頼性を得ることができる。ま
た、ガラス材料を繰り返し印刷・焼成してスルーホール
を閉塞する場合に比べ、製造コストを低減することがで
きる。
【0014】請求項5に記載の発明では、請求項1又は
4に記載の発明において、スルーホール上の樹脂層の厚
さと、それ以外の樹脂層の厚さとの差を200μm以下
とする。仮に、樹脂層の厚さが大きく異なると、冷熱耐
久時にスルーホール部分の樹脂層にクラックが発生する
が、樹脂層の厚さの差が200μm以下であれば、当該
樹脂層でのクラック発生が確実に防止できる。
【0015】請求項6に記載の発明では、請求項1又は
4に記載の発明において、Cu系導体材料を用いて前記
導体層を形成したので、耐マイグレーション性に優れた
厚膜回路基板が提供できる。つまり、樹脂材料を用いて
絶縁性を確保する場合、高温高湿環境下での樹脂の吸水
による絶縁性低下を考慮する必要があるが、上記の通り
Cu系導体材料を用いることにより、マイグレーション
に起因する各種の不具合が解消される。
【0016】他方、従来既存の技術では、金属製の放熱
板側に樹脂材料を印刷してその上に厚膜回路基板を接着
させるものが知られているが、これでは基板の加圧、基
板の反りにより樹脂厚が不均一になる。これに対し、請
求項7に記載の発明では、放熱板への載置面に、該放熱
板との絶縁のための樹脂層が印刷形成される。この場
合、厚膜印刷技術等を用いて前記樹脂層を印刷形成する
ことで、樹脂層の厚さの均一化が可能となり、ひいては
絶縁性を確保し、高い信頼性を得ることができる。
【0017】以下、請求項8〜11に記載の発明は、厚
膜回路基板の製造方法に関するものであり、請求項8に
記載の厚膜回路基板の製造方法によれば、スルーホール
を通じ絶縁基材の両面に導体層を保護するための保護ガ
ラス層を印刷し、更にその後、放熱板への載置面側の開
口部近くでスルーホールを閉塞するようにして別の保護
ガラス層を印刷し、これら保護ガラス層を焼成する。そ
の後、該保護ガラス層上に、放熱板との絶縁のための樹
脂層を形成する。
【0018】上記製造方法によれば、スルーホール閉塞
部分での保護ガラス層の凹みは少なく、スルーホールの
開口部近くではそのガラス層表面が自ずと平坦化され
る。そして、その平坦化された保護ガラス層上に、絶縁
層としての役割を持つ樹脂層が形成されるので、該樹脂
層の厚さが均一となる。樹脂層の厚みが均一化されるこ
とにより、冷熱耐久時にもクラックが発生する等の不具
合はなく、ひいては絶縁性を確保し、高い信頼性を得る
ことができる。
【0019】請求項9に記載の厚膜回路基板の製造方法
では、絶縁基材の両面に保護ガラス層を印刷する際、ス
ルーホールを介して空気吸引しながら該ガラス層を印刷
してその重なり部をスルーホール内における放熱板への
載置面に近づけ、同保護ガラス層の重なり部にスルーホ
ール閉塞用の保護ガラス層を印刷形成する。
【0020】この場合、スルーホール閉塞用の保護ガラ
ス層が前記重なり部よりも深く入り込むことはなく、当
該保護ガラス層が所望の位置に形成される。これによ
り、既述の通りスルーホール閉塞部分での保護ガラス層
の凹みを少なくし、そのガラス層表面を平坦化すること
が可能となる。
【0021】また、請求項10に記載の厚膜回路基板の
製造方法によれば、スルーホールを通じ絶縁基材の両面
に導体層を保護するための保護ガラス層を印刷・焼成す
る。その後、放熱板への載置面側から樹脂材料を印刷し
てスルーホールを閉塞し、それと同時に放熱板との絶縁
のための樹脂層を形成する。
【0022】上記製造方法によれば、樹脂材料の硬化収
縮はガラス材料の焼成収縮よりも少ないため、スルーホ
ール閉塞部分において表面(接着剤による接着面)の平
坦化が可能となる。それ故、接着剤のボイド発生が抑制
され、ひいては絶縁性を確保し、高い信頼性を得ること
ができる。また、ガラス材料を繰り返し印刷・焼成して
スルーホールを閉塞する場合に比べ、製造コストを低減
することができる。
【0023】請求項11に記載の厚膜回路基板の製造方
法では、紫外線硬化型の樹脂材料を用いて前記樹脂層を
形成する。この場合、例えば熱硬化型の樹脂材料を用い
た場合と比較して、樹脂硬化に要する時間が短縮でき
る。それ故、製造コストを削減することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体化した第
1,第2の実施の形態を図面に従って説明する。本実施
の形態における厚膜回路基板は、絶縁基材の両面に所定
の回路パターンを有してそれらをスルーホールを通じて
電気的に導通する、いわゆるスルーホール両面回路基板
であり、放熱板としての役割を担う金属ケース内に、絶
縁性を保ちつつ収容されることを前提とする。
【0025】(第1の実施の形態)図1は、本実施の形
態における厚膜回路基板の構成を示す断面図である。な
お、本実施の形態の説明では便宜上、図1中の基板上面
を「基板表面」、基板下面を「基板裏面」と称すること
とし、基板裏面側が金属ケース上に載置されるようにな
っている。
【0026】同図1において、絶縁材料からなるアルミ
ナ基板1には、所定の位置にスルーホール2が設けら
れ、アルミナ基板1の表裏両面並びにスルーホール2の
壁面には導体層3が設けられている。導体層3は、アル
ミナ基板1の表面及び裏面にて所定の回路パターンに応
じて形成され、基板両面がスルーホール2を介して電気
的に導通されている。本実施の形態では、導体配線材料
として、従来一般的に用いられるAg−Pd系、Ag−
Pt系導体材料に代えてCu系導体材料を用いている。
【0027】アルミナ基板1上には、導体層3を覆うよ
うに表面側及び裏面側の保護ガラス層4a,4bが設け
られると共に、スルーホール2を閉塞するための別の保
護ガラス層4cが設けられている。ここで、表面側及び
裏面側の保護ガラス層4a,4bは、スルーホール2内
における裏面側の開口部近くで重なり合い、その重なり
部(図のA部)よりも更に裏面側に保護ガラス層4cが
形成される。また、保護ガラス層4b,4cの下面に
は、紫外線硬化型の樹脂材料からなる樹脂層5が所定厚
さで設けられ、樹脂層5の下面は接着剤6により金属ケ
ース7の内壁面に接着固定されている。この樹脂層5に
より、厚膜回路基板と金属ケース7との間の絶縁性が確
保される。
【0028】保護ガラス層4cは、スルーホール2内の
比較的浅い領域で形成されるため、焼成収縮による同保
護ガラス層4cの下面の凹みは比較的小さく、樹脂層5
との境界面における平坦化が図られる。それ故、樹脂層
5の厚みのばらつきは小さく、スルーホール部の樹脂厚
T1とそれ以外の部位の樹脂厚T2との差は200μm
以下に抑えられる。
【0029】なお、上記アルミナ基板1の表面側におい
て、導体層3に設けられた電極接続部上には、はんだ接
合材8が配置され、このはんだ接合材8により例えばフ
リップチップのような電子部品9が基板上に載置固定さ
れている。
【0030】次に、上記厚膜回路基板の製造工程を、図
2を参照しながら順を追って説明する。図2(a)のよ
うに、アルミナ基板1の表裏両面並びにスルーホール2
壁面に、Cu系配線材料からなる導体層3を形成する。
その順序としては、先ずアルミナ基板1の表面及びスル
ーホール2の壁面に、表面側からCu系導体ペーストを
印刷して120℃×10分で乾燥し、不活性雰囲気で9
00℃×10分の焼成を行う。続いて、アルミナ基板1
の裏面側から同様にCu系導体ペーストを印刷して12
0℃×10分で乾燥し、不活性雰囲気で900℃×10
分の焼成を行う(但し、図面では表面及び裏面の導体層
を一層に示す)。また、図示は省略するが、配線形成後
には、導体層3上に抵抗体ペーストを印刷して120℃
×10分で乾燥し、不活性雰囲気で900℃×10分の
焼成を行い、所望の抵抗体を形成する。
【0031】その後、図2(b)のように、基板表面及
びスルーホール2内の導体層3上に、アルミナ基板1の
裏面側から空気を吸引しながらガラスペースト(保護ガ
ラス層4a)を印刷し、120℃×10分で乾燥する。
また、図2(c)のように、基板裏面及びスルーホール
2内の導体層3上に、図2(b)で印刷したガラスペー
ストと一部重なり合うようにしてガラスペースト(保護
ガラス層4b)を印刷し、120℃×10分で乾燥す
る。そしてその後、上記図2(a),(b)で印刷・乾
燥したガラスペーストを、不活性雰囲気670℃×10
分で焼成する。
【0032】要するに、図2(b),(c)の工程で
は、スルーホール2内の表面から裏面近くまでの範囲で
保護ガラス層4aが形成された後、保護ガラス層4a,
4bの重なり部A、すなわち、一部だけ穴径の狭まった
部位がアルミナ基板1の裏面近くで形成される。
【0033】その後、図2(d)のように、アルミナ基
板1の裏面側からガラスペースト(保護ガラス層4c)
を再度印刷してスルーホール2を完全に閉塞し、120
℃×10分で乾燥した後、不活性雰囲気670℃×10
分で焼成する。
【0034】この図2(d)の工程では、保護ガラス層
4cが重なり部Aよりも深く入り込むことはなく、スル
ーホール2内の比較的浅い領域で保護ガラス層4cが形
成される。そのため、スルーホール閉塞部分での保護ガ
ラス層4cの焼成収縮の量は少なく、同ガラス層4cの
凹みが比較的小さくなり保護ガラス層4b,4cの下面
が自ずと平坦化される。
【0035】更に図2(e)の通り、基板の裏面側にお
いて、保護ガラス層4b,4c上に紫外線硬化型の樹脂
材料を印刷した後、硬化処理を行い樹脂層5を形成す
る。このとき、上述した保護ガラス層4cの平坦化によ
り、同ガラス層4cの上に印刷される樹脂層5はその厚
みが均一化される。樹脂層5の形成に際しては、所望の
厚みになるまで樹脂材料の印刷及び硬化処理を繰り返し
行う。
【0036】その後、図示しない別工程において、樹脂
層5の下面全体に接着剤6を塗布して厚膜回路基板を金
属ケース7上に接着する。以上一連の工程により、図1
に示す厚膜回路基板が完成する。
【0037】ここで、樹脂厚と冷熱耐久時におけるクラ
ック発生との関係について、冷熱耐久評価の試験結果を
示す表1を用いて説明する。
【0038】
【表1】
【0039】上記表1によれば、スルーホール部と配線
部との樹脂厚の差(図1のT1,T2の差)が250μ
m,300μmとなる場合、クラック発生率が高くなる
ことが確認される。つまり、仮に保護ガラス層の焼成収
縮に伴いスルーホール部でのガラス表面に大きな凹みが
できると、その上に形成される樹脂層の厚みがばらつ
く。この場合、冷熱耐久時にクラックが発生し、絶縁性
低下の原因となる。
【0040】これに対し、スルーホール部と配線部との
樹脂厚の差が200μm以下となることにより、クラッ
ク発生率が0に抑えられ、良好なる結果が得られること
が確認できる。
【0041】以上詳述した本実施の形態によれば、以下
に示す効果が得られる。 (イ)基板裏面側の開口部近くでスルーホール2を閉塞
するように保護ガラス層4cを印刷形成し、該保護ガラ
ス層4c上に樹脂層5が形成されるので、該樹脂層5の
厚さが均一となる。それ故、本実施の形態の厚膜回路基
板では、冷熱耐久時にもクラックが発生する等の不具合
はなく、ひいては絶縁性を確保し、高い信頼性を得るこ
とができる。高い絶縁信頼性が得られることにより、厚
膜回路基板の特性が良好に保たれる。
【0042】(ロ)上記の通り樹脂層5の厚さが均一化
されるので、各部における樹脂厚の差が許容範囲内(2
00μm以下)となり、当該樹脂層5でのクラック発生
が確実に防止できる。
【0043】(ハ)Cu系導体材料を用いて導体層3を
形成したので、耐マイグレーション性に優れた厚膜回路
基板が提供できる。つまり、樹脂材料を用いて絶縁性を
確保する場合、高温高湿環境下での樹脂の吸水による絶
縁性低下を考慮する必要があるが、上記の通りCu系導
体材料を用いることにより、マイグレーションに起因す
る各種の不具合が解消される。
【0044】(ニ)紫外線硬化型の樹脂材料を用いて樹
脂層5を形成したので、例えば熱硬化型の樹脂材料を用
いた場合と比較して、樹脂硬化に要する時間が短縮でき
る。それ故、製造コストを削減することが可能となる。
【0045】(第2の実施の形態)次に、本発明におけ
る第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を
中心に説明する。
【0046】図3は、本実施の形態における厚膜回路基
板の構成を示す断面図である。同図3において、絶縁材
料からなるアルミナ基板11には、所定の位置にスルー
ホール12が設けられ、アルミナ基板11の表裏両面並
びにスルーホール12の壁面には、Cu系導体材料から
なる導体層13が設けられている。
【0047】アルミナ基板11上には、導体層13を覆
うように表面側及び裏面側の保護ガラス層14a,14
bが設けられている。また、保護ガラス層14bの下面
には、紫外線硬化型の樹脂材料からなる樹脂層15が所
定厚さで設けられ、この樹脂層15によりスルーホール
12が閉塞されている。樹脂層15の下面は接着剤16
により金属ケース17の内壁面に接着固定されている。
この樹脂層15により、厚膜回路基板と金属ケース17
との間の絶縁性が確保される。
【0048】次に、上記厚膜回路基板の製造工程を、図
4を参照しながら順を追って説明する。図4(a)〜
(c)は、前記図2(a)〜(c)と同様の工程であ
り、それを略述すれば、 ・図4(a)では、アルミナ基板11の表裏両面並びに
スルーホール12壁面に、Cu系配線材料からなる導体
層13を形成する。 ・図4(b)では、基板表面及びスルーホール12内の
導体層13上に、アルミナ基板11の裏面側(図の下
方)から空気を吸引しながらガラスペースト(保護ガラ
ス層14a)を印刷し、120℃×10分で乾燥する。 ・図4(c)では、基板裏面及びスルーホール12内の
導体層13上に、図4(b)で印刷したガラスペースト
と一部重なり合うようにしてガラスペースト(保護ガラ
ス層14b)を印刷し、120℃×10分で乾燥する。
そしてその後、上記図4(a),(b)印刷・乾燥した
ガラスペーストを、不活性雰囲気670℃×10分で焼
成する。
【0049】図4(a)〜(c)の終了後、図4(d)
のように、アルミナ基板11の裏面側から紫外線硬化型
の樹脂材料を印刷し、更にその後、硬化処理を行い樹脂
層15を形成する。このとき、スルーホール12が樹脂
層15により閉塞される。樹脂層15の形成に際して
は、所望の厚みになるまで樹脂材料の印刷及び硬化処理
を繰り返し行う。ここで、樹脂材料の硬化収縮はガラス
材料の焼成収縮よりも少ないため、スルーホール閉塞部
分において樹脂表面(接着剤16による接着面)の平坦
化が可能となる。
【0050】その後、図示しない別工程において、樹脂
層15の下面全体に接着剤16を塗布して厚膜回路基板
を金属ケース17上に接着する。以上一連の工程によ
り、図3に示す厚膜回路基板が完成する。
【0051】以上第2の実施の形態によれば、硬化時の
収縮量が比較的小さい樹脂層15により、スルーホール
12を閉塞すると共に接着剤16の接着面を形成したの
で、樹脂表面の平坦化が可能となる。それ故、本実施の
形態の厚膜回路基板では、接着剤16のボイド発生が抑
制され、ひいては絶縁性を確保し、高い信頼性を得るこ
とができる。また、ガラス材料を繰り返し印刷・焼成し
てスルーホール12を閉塞する場合に比べ、保護ガラス
層の印刷・焼成の工程が減るため、製造コストを低減す
ることができる。
【0052】本第2の実施の形態では、上記第1の実施
の形態と比較して、スルーホール部とそれ以外の部位と
の樹脂厚の差が大きくなるが、その樹脂厚の差を200
μm以下で制限すれば、樹脂層15でのクラック発生が
防止できる。実際には、表面側及び裏面側の保護ガラス
層14a,14bの重なり部(図のA部)をできるだけ
アルミナ基板11の裏面に近づける等の処置を施せばよ
い。
【0053】なお本発明は、上記以外に次の形態にて具
体化できる。上記第1の実施の形態では、基板裏面側
(放熱板への載置面側)において、保護ガラス層4b,
4cと金属ケース7との間に樹脂層5と接着剤6とを配
置する構成としたが、これを変更する。例えば、樹脂層
5及び接着剤6に代えて、絶縁性接着剤を用いる。この
場合にも保護ガラス層4cの凹みが比較的小さいこと
で、上記実施の形態と同様に絶縁性を確保し、高い信頼
性が得られる。すなわち、保護ガラス層4cに形成され
る凹み部分が接着剤のボイドとなって絶縁性が低下した
り、放熱性が低下したりするといった不具合が防止でき
る。
【0054】上記第1の実施の形態では、保護ガラス層
4a〜4cの形成に際し、保護ガラス層4a,4bを印
刷・乾燥・焼成した後、新たに別の保護ガラス層4cを
印刷・乾燥・焼成したが、この工程を変更する。例え
ば、保護ガラス層4a〜4cを個々に印刷・乾燥した
後、同時に焼成してもよい。
【0055】上記図2(b),図4(b)の工程におい
て、保護ガラス層4a,14aを形成する際、例えば空
気吸引量を調節するなどして、同保護ガラス層4a,1
4aの下端部分に膨らみを形成する。そして、それに続
く図2(c),図4(c)の工程において、表面側及び
裏面側の保護ガラス層の重なり部分を大きくする。これ
により、スルーホール閉塞部分での保護ガラス層4cや
樹脂層15の凹みがより確実に防止される。
【0056】本発明の厚膜回路基板は、放熱板への載置
面に該放熱板との絶縁のための樹脂層を印刷形成するこ
とを一特徴とするが、その実現に際しては、スルーホー
ル両面回路基板であることを必ずしも要件としない。こ
の場合、放熱板側に樹脂材料を印刷してその上に厚膜回
路基板を接着させるといった既存の技術に比べ、厚膜印
刷技術等を用いて前記樹脂層を印刷形成することで、樹
脂層の厚さの均一化が可能となり、ひいては絶縁性を確
保し、高い信頼性を得ることができる。
【0057】上記各実施の形態では、金属ケース7,1
7との絶縁のための樹脂層5,15として紫外線硬化型
の樹脂材料を用いたが、これに代えて熱硬化型の樹脂材
料を用いることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における厚膜回路基板を示す
断面図。
【図2】厚膜回路基板の製造過程を示す断面図。
【図3】第2の実施の形態における厚膜回路基板を示す
断面図。
【図4】厚膜回路基板の製造過程を示す断面図。
【図5】従来技術における厚膜回路基板を示す断面図。
【符号の説明】
1…絶縁基材としてのアルミナ基板、2…スルーホー
ル、3…導体層、4a〜4c…保護ガラス層、5…樹脂
層、6…接着剤、7…放熱板としての金属ケース、11
…絶縁基材としてのアルミナ基板、12…スルーホー
ル、13…導体層、14a,14b…保護ガラス層、1
5…樹脂層、16…接着剤、17…放熱板としての金属
ケース。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E317 AA24 BB04 BB12 CC22 CD21 CD23 CD27 GG05 GG09 GG12 GG17 5E338 AA02 AA15 AA18 BB02 BB13 BB23 BB25 BB63 BB71 CC10 EE02 EE12 EE27 EE28 EE30 EE32

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の回路パターンに応じた導体層を絶縁
    基材の両面に形成すると共に、該両面をスルーホールに
    て電気的に導通しており、何れか一方の面が金属製の放
    熱板上に載置される厚膜回路基板において、 放熱板への載置面側の開口部近くでスルーホールを閉塞
    するようにして導体層を保護するための保護ガラス層が
    印刷形成され、該保護ガラス層上に、放熱板との絶縁の
    ための樹脂層が形成されることを特徴とする厚膜回路基
    板。
  2. 【請求項2】放熱板との絶縁のための樹脂層に代えて、
    絶縁性接着剤を用いる請求項1に記載の厚膜回路基板。
  3. 【請求項3】絶縁基材の両面から各々印刷形成される保
    護ガラス層が、スルーホール内における放熱板への載置
    面近くで重なり合わせられ、その重なり部にスルーホー
    ル閉塞用の保護ガラス層が印刷形成される請求項1又は
    2に記載の厚膜回路基板。
  4. 【請求項4】所定の回路パターンに応じた導体層を絶縁
    基材の両面に形成すると共に、該両面をスルーホールに
    て電気的に導通しており、何れか一方の面が金属製の放
    熱板上に接着剤により接着固定される厚膜回路基板にお
    いて、 放熱板への載置面側から樹脂材料が印刷されて樹脂層が
    形成され、該樹脂層により、スルーホールが閉塞される
    と共に接着剤による接着面が形成されることを特徴とす
    る厚膜回路基板。
  5. 【請求項5】スルーホール上の樹脂層の厚さと、それ以
    外の樹脂層の厚さとの差を200μm以下とする請求項
    1又は4に記載の厚膜回路基板。
  6. 【請求項6】Cu系導体材料を用いて前記導体層を形成
    した請求項1又は4に記載の厚膜回路基板。
  7. 【請求項7】金属製の放熱板上に載置される厚膜回路基
    板において、 放熱板への載置面に、該放熱板との絶縁のための樹脂層
    が印刷形成されることを特徴とする厚膜回路基板。
  8. 【請求項8】所定の回路パターンに応じた導体層を絶縁
    基材の両面に形成すると共に、該両面をスルーホールに
    て電気的に導通しており、何れか一方の面が金属製の放
    熱板上に載置される厚膜回路基板の製造方法において、 スルーホールを通じ絶縁基材の両面に導体層を保護する
    ための保護ガラス層を印刷し、更にその後、放熱板への
    載置面側の開口部近くでスルーホールを閉塞するように
    して別の保護ガラス層を印刷し、これら保護ガラス層を
    焼成する工程と、 該保護ガラス層上に、放熱板との絶縁のための樹脂層を
    形成する工程と、を有することを特徴とする厚膜回路基
    板の製造方法。
  9. 【請求項9】絶縁基材の両面に保護ガラス層を印刷する
    際、スルーホールを介して空気吸引しながら該ガラス層
    を印刷してその重なり部をスルーホール内における放熱
    板への載置面に近づけ、同保護ガラス層の重なり部にス
    ルーホール閉塞用の保護ガラス層を印刷形成する請求項
    8に記載の厚膜回路基板の製造方法。
  10. 【請求項10】所定の回路パターンに応じた導体層を絶
    縁基材の両面に形成すると共に、該両面をスルーホール
    にて電気的に導通しており、何れか一方の面が金属製の
    放熱板上に載置される厚膜回路基板の製造方法におい
    て、 スルーホールを通じ絶縁基材の両面に導体層を保護する
    ための保護ガラス層を印刷・焼成する工程と、 その後、放熱板への載置面側から樹脂材料を印刷してス
    ルーホールを閉塞し、それと同時に放熱板との絶縁のた
    めの樹脂層を形成する工程と、を有することを特徴とす
    る厚膜回路基板の製造方法。
  11. 【請求項11】紫外線硬化型の樹脂材料を用いて前記樹
    脂層を形成する請求項8〜10の何れかに記載の厚膜回
    路基板の製造方法。
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