JP2000297279A - 蛍光体の製造方法、それを用いて製造した蛍光体、ならびに前記蛍光体を用いたデバイス、電子機器および蛍光体使用物品 - Google Patents

蛍光体の製造方法、それを用いて製造した蛍光体、ならびに前記蛍光体を用いたデバイス、電子機器および蛍光体使用物品

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JP2000297279A
JP2000297279A JP10698799A JP10698799A JP2000297279A JP 2000297279 A JP2000297279 A JP 2000297279A JP 10698799 A JP10698799 A JP 10698799A JP 10698799 A JP10698799 A JP 10698799A JP 2000297279 A JP2000297279 A JP 2000297279A
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phosphor
adherend
adhered
producing
fluorescent substance
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JP10698799A
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English (en)
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Shozo Oshio
祥三 大塩
Teruaki Shigeta
照明 重田
Tomizo Matsuoka
富造 松岡
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 目的の粒径である蛍光体を効率よく製造でき
る蛍光体の製造方法。 【解決手段】 被凝着体2を形成する被凝着体原料4と
蛍光体1を形成する小粒子原料3とを含む蛍光体出発原
料を混合し、前記蛍光体出発原料を反応させることによ
り、被凝着体2に凝着した状態の蛍光体1を形成し、前
記被凝着体2から前記凝着した蛍光体1を剥離した後、
前記剥離した蛍光体1を前記被凝着体2から選別するこ
とにより、目的の粒径である蛍光体1を得ることができ
る。前記小粒子原料3としては、実質的に破砕面を持た
ない単結晶のα−アルミナが好ましく、その中心粒径
は、0.1〜20μmの範囲であることが好ましい。前
記被凝着体2は、その中心粒径が、凝着した蛍光体1の
中心粒径よりも大きくかつ50cm以下であることが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネル等の表示装置や細管型蛍光ランプ等の照明装
置等のデバイス、電子機器および各種蛍光体使用物品に
幅広く使用できる蛍光体の製造方法、前記製造方法によ
り製造した蛍光体ならびに前記蛍光体を用いたデバイ
ス、電子機器および蛍光体使用物品に関する。
【0002】
【従来の技術】蛍光体は、励起線(紫外線、可視光、赤
外線、熱線、電子線、X線および放射線等)を照射する
ことにより、前記励起線のエネルギーを光(紫外線、可
視光および赤外線等)に変換する材料である。前記蛍光
体を用いたデバイスとしては、蛍光ランプ、電子管、冷
陰極ディスプレイ、蛍光表示管、プラズマディスプレ
イ、エレクトロルミネッセンスパネル、シンチレーショ
ン検出器、X線イメージインテンシファイア、熱蛍光線
量計およびイメージングプレート等が挙げられる(例え
ば、「蛍光体ハンドブック」、蛍光体同学会編、オーム
社参照)。これらのデバイスは、いずれも、電気エネル
ギーを前記励起線のエネルギーに変換し、さらに、前記
励起線のエネルギーを前記光に変換するデバイスであ
る。このようなデバイスと、電子回路または機器部品
(照明器具、コンピュータ、キーボード、蛍光体を用い
ていない電子機器等)とを組み合わせた電子機器は、照
明装置や表示装置等として広く用いられている。また、
蛍光体を用いた蛍光体使用物品としては、粉末状の蛍光
体と、水もしくは有機溶媒等の液体、樹脂、プラスチッ
ク、金属またはセラミクス材料等の蛍光体以外の物質と
を組み合わせた蛍光体含有物があり、これらは、例え
ば、蛍光体塗料等の液状物やペースト状物、灰皿などの
固形物、案内板や誘導物等の表示物、シール、文房具、
アウトドア用品、安全標識等として広く用いられてい
る。
【0003】従来、前記蛍光体の一般的な製造方法とし
ては、蛍光体の出発原料を混合する混合工程と、前記出
発原料を化学反応させて蛍光体を合成する反応工程とを
含む製造方法(前記「蛍光体ハンドブック」参照)が広
く採用されていた。
【0004】しかしながら、近年、前記蛍光体を用いた
デバイスや電子機器に対して、さらなる性能の向上、例
えば、表示装置の高精細化、蛍光面の発光の均一化、プ
ラズマディスプレイパネル(PDP)や細管型蛍光ラン
プ(ガラス管の直径が1cm以下の蛍光ランプ)の高輝
度化(蛍光膜表面の平滑化や放電空間の改善による放電
効率の高効率化による)等が要望されている。また、前
記蛍光体使用物品に対して、その小型化、薄型化が要望
されている。これらの要望に伴い、蛍光体についても、
その小粒子化が求められている。
【0005】また、紫外線を励起線とするデバイスや電
子機器(蛍光ランプ、プラズマディスプレイパネル等
や、これらを用いた照明装置、表示装置等)には、通
常、(Ba,Eu)MgAl1017や(Ce,Tb)M
gAl1119等の化学式で表されるアルミネート蛍光体
が広く用いられており、このような蛍光体およびデバイ
ス等は、その市場規模が広く、かつ市場が成長中であ
る。また、前記アルミネート蛍光体の中でも、長残光を
有する蛍光体として、ディスプロシウムやネオジウムを
添加した(Mg,Ca,Sr,Ba,Eu)Al24
の化学式で表されるアルミネート蛍光体が注目されてお
り、このような性質のアルミネート蛍光体およびこれを
用いた蛍光体使用物品等の市場も急速に拡大しつつあ
る。このような市場の動きに伴い、蛍光体の中でも特に
前記アルミネート蛍光体について、その小粒子化が求め
られている。
【0006】このように、さらなる蛍光体の小粒子化が
求められることから、現在では、以下に示すような蛍光
体の製造方法が広く用いられている。この方法は、例え
ば、蛍光体出発原料を加熱により化学反応させて蛍光体
を合成する反応工程と、前記反応工程により得られる反
応物を解砕する解砕工程と、前記解砕工程により得られ
る蛍光体破片をふるい分けるふるい分け工程とを含む製
造方法である。そして、目的の粒径である蛍光体を得る
ために、前記目的の粒径に適した蛍光体原料を主体とす
る出発原料を用いている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな方法には、前記中心粒径が小さい蛍光体原料を使用
しても、実際には、得られる蛍光体の歩留まりが悪いと
いう問題があった。つまり、前記目的の粒径に適した小
粒子原料を使用しても、反応工程における高温処理によ
って、形成される蛍光体同士が凝集するため、結果とし
て大きな粒子となった蛍光体も形成されてしまうという
問題があった。また、このように従来よりも小粒子化さ
れた蛍光体を得ることが困難であることから、前述のよ
うな蛍光体を用いたデバイス等に対する要望も抱えられ
たままになっている。
【0008】そこで、本発明は、目的の粒径である工業
的に有効な蛍光体を効率よく製造できる製造方法、前記
製造方法により製造される蛍光体ならびに前記蛍光体を
用いたデバイス、電子機器および蛍光体使用物品を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の蛍光体の製造方法は、被凝着体に凝着した
状態の蛍光体を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0010】このように、蛍光体は被凝着体に凝着した
状態であるため、蛍光体同士が凝集することを防止で
き、目的の粒径である蛍光体を効率よく製造することが
可能となる。また、本発明の製造方法によると、製品の
歩留まりに優れ、従来の蛍光体製造工程や製造設備をそ
のまま利用することもできるため、低コスト化を図るこ
とが可能である。
【0011】本発明の製造方法において、被凝着体に凝
着した蛍光体を前記被凝着体から剥離して、前記被凝着
体から選別する工程をさらに含むことが好ましい。この
ようにして前記被凝着体を除去すれば、前記蛍光体のみ
を高い収集効率で回収でき、目的の粒径である蛍光体を
供給できる。
【0012】本発明の製造方法において、前記被凝着体
の形状は特に制限されないが、前記被凝着体の体積は、
蛍光体の体積よりも大きいことが好ましく、より好まし
くは、前記被凝着体の体積が、前記蛍光体の体積の10
2〜1015倍であり、特に好ましくは、104〜109
である。これにより、被凝着体に凝着した状態で蛍光体
を形成させることがさらに容易になり、蛍光体同士が凝
集することをさらに防止できる。また、前記凝着した蛍
光体を前記被凝着体から剥離することや、前記蛍光体を
前記被凝着体から選別することも容易になるため、蛍光
体の収集効率をさらに向上できる。
【0013】本発明の蛍光体の製造方法において、前記
被凝着体の中心粒径が、蛍光体の中心粒径より大きいこ
とが好ましく、より好ましくは蛍光体の中心粒径より大
きくかつ50cm以下であり、特に好ましくは、蛍光体
の中心粒径より大きくかつ1cm以下である。
【0014】前記被凝着体の中心粒径が50cmより大
きいと、蛍光体の製造設備が大掛かりになるおそれがあ
り、また、前記蛍光体の中心粒径よりも小さいと、前記
被凝着体から前記蛍光体を剥離することや、前記蛍光体
を選別することが困難になるおそれがある。
【0015】前記被凝着体の中心粒径は、蛍光体の中心
粒径の10〜105倍の範囲が好ましく、より好ましく
は102〜103倍の範囲である。
【0016】本発明の製造方法において、前記凝着した
蛍光体を前記被凝着体から剥離しても、不純物混入の少
ない蛍光体を得ることができるため、前記被凝着体の組
成が、蛍光体の組成と同一であることが好ましい。
【0017】また、本発明の製造方法において、90%
以上の蛍光体の粒径が、被凝着体の最小粒径よりも小さ
いことが好ましく、より好ましくは99%以上の蛍光体
の粒径が、被凝着体の最小粒径よりも小さいことであ
る。これにより、前記凝着した蛍光体を前記被凝着体か
ら剥離することや、前記蛍光体を前記被凝着体から選別
することが容易になる
【0018】本発明の製造方法において、蛍光体の粒度
分布と、被凝着体の粒度分布とが実質的に重複しないこ
とが好ましい。これにより、前述と同様に前記凝着した
蛍光体を前記被凝着体から剥離することや、前記被凝着
体から前記蛍光体を選別することが容易になるため、蛍
光体の収集効率を向上できる。
【0019】本発明の製造方法において、被凝着体を形
成する被凝着体原料と蛍光体を形成する小粒子原料とを
含む蛍光体出発原料を混合し、前記蛍光体出発原料を反
応させることにより、被凝着体に凝着した状態の蛍光体
を形成することが好ましい。
【0020】本発明の製造方法において、前記小粒子原
料の中心粒径が、0.1〜20μmの範囲であることが
好ましく、特に好ましくは、0.1〜3μmの範囲であ
る。このように、小粒子原料の中心粒径を前記範囲に設
定することにより、前述のようなデバイス、電子機器お
よび蛍光体使用物品に適した中心粒径が0.1〜20μ
mの蛍光体、特に好ましくは、中心粒径が0.1〜3μ
mの蛍光体を製造することができる。なお、前記小粒子
原料の中心粒径により、蛍光体の中心粒径を制御できる
理由としては、前記小粒子原料が核となり、この小粒子
原料と他の蛍光体原料との間で反応が起こり、蛍光体が
形成されるためと考えられる。
【0021】なお、蛍光体、小粒子原料、被凝着体およ
び被凝着体原料等の粒径は、例えば、以下に示す方法に
より測定することができる。
【0022】粒径が、100μm以下の場合は、例え
ば、電子顕微鏡により測定でき、レーザー散乱・回折式
粒度分布測定器等の各種粒度分布測定器を用いればより
正確に測定することができる。粒径が100μm〜5m
mの場合は、光学顕微鏡またはマイクロメーター等、粒
径が5mm〜50cmの場合は、ノギス等の測定器によ
りそれぞれ正確に測定できる。なお、粒径の測定は、こ
れらの測定方法には限定されない。
【0023】本発明の製造方法において、前記小粒子原
料としては、蛍光体の核となりその大きさを制御できる
ものであることが好ましく、例えば、酸化アルミニウム
等があげられる。これにより、目的の粒径であるアルミ
ネート蛍光体を容易に得ることができる。前記酸化アル
ミニウムは、安価なため入手が容易であり、その取扱い
も簡単である。また、従来の蛍光体の製造においても汎
用されているため、実績があり、工業的に有用である。
【0024】前記酸化アルミニウムとしては、実質的に
破砕面を持たない単結晶のα−アルミナであることが好
ましい。これによれば、高品質であるだけでなく、製造
条件の最適化により、粒径が揃った蛍光体を得ることが
できる。このような粒径のそろった蛍光体は、デバイス
に塗布する際、その塗布性に優れているため有用であ
る。
【0025】前記実質的に破砕面を持たない単結晶のα
−アルミナとしては、例えば、住友化学工業株式会社製
の商品名「アドバンストアルミナスミコランダム」が使
用できる。前記「アドバンストアルミナスミコランダ
ム」は、通常、InsituChemical Vap
or Depositionと呼ばれる、原料と反応場
とがほぼ同一である局所的な気相反応により生成された
α−アルミナ粉末であり、次の5つの特徴を有する。
(1)単結晶のα−アルミナ粉末であり、(2)凝集の
ない単分散に近い粉末であり、(3)粒子の形状は多面
体形であり、その表面は破砕面でなく結晶成長面であっ
て、(4)超高圧透過型電子顕微鏡観察による粒子内部
の構造評価では、欠陥が観察されない粉末であり、
(5)シャープな粒度分布を有し、微粒子が少ない粉末
である。なお、前記「アドバンストアルミナスミコラン
ダム」は、その中心粒径が0.4〜18μmの範囲のも
のが市販されており、比較的安価なため入手も容易であ
り、その取り扱いも容易である。
【0026】本発明の製造方法において、前記被凝着体
の組成を蛍光体の組成と同一にできることから、前記被
凝着体原料の組成と前記小粒子原料の組成とを同一にす
ることが好ましい。
【0027】本発明の製造方法において、前記被凝着体
原料として、凝着した蛍光体を選別した後の被凝着体を
用いることが好ましい。これによれば、凝着した蛍光体
を選別した後の被凝着体を廃棄することなく繰り返し再
利用できるため、低コスト化を図ることができる。
【0028】本発明の製造方法において、容易に反応を
行えることから、前記蛍光体出発原料を加熱により反応
させることが好ましい。
【0029】本発明の蛍光体は、前記本発明の製造方法
により製造することを特徴とする。これにより、前述の
ようなデバイス、電子機器および蛍光体使用物品に適し
た小粒子蛍光体を提供することができる。また、本発明
の蛍光体は、アルミネート蛍光体であることが好まし
く、デバイスや電子機器および長残光を有する蛍光体を
用いる蛍光体使用物品に広く適用できる。
【0030】本発明の蛍光体において、中心粒径が0.
1〜20μmの範囲であることが好ましく、特に好まし
くは、0.1〜3.0μmの範囲である。蛍光体の中心
粒径が0.1μmより小さい場合または20μmより大
きい場合、これをデバイスや電子機器および蛍光体使用
物品に使用すると、所定の発光性能が充分に確保できな
いおそれがある。
【0031】つぎに、本発明のデバイスは、前記本発明
の蛍光体を用いることを特徴とし、本発明の電子機器
は、前記本発明のデバイスを用いることを特徴とする。
また、本発明の蛍光体使用物品は、前記本発明の蛍光体
を用いることを特徴とする。本発明の製造方法によれ
ば、目的の粒径である蛍光体を効率よく製造できるた
め、前記製造による蛍光体を使用した本発明のデバイス
および電子機器は、高性能化が可能となる。例えば、デ
バイスや電子機器は、蛍光膜表面の平滑化を図ることが
でき、表示装置においては高精細化を図ることができ
る。PDPや細管型蛍光ランプ等においては、蛍光膜表
面の平滑化だけでなく、放電空間を広げて放電効率を高
めることができるため、その高輝度化が可能になる。ま
た、蛍光体使用物品においては、小型化、薄型化が可能
になる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製造方法における
実施形態の例を、図1および図2に基いて説明する。
【0033】図1は、本発明における蛍光体の製造工程
の一例を示す概略図である。図1に示すように、本発明
における蛍光体の製造は、例えば、小粒子原料3、被凝
着体原料4および前記小粒子原料以外の蛍光体原料5を
含む蛍光体出発原料を反応させることにより、被凝着体
2に凝着した状態の蛍光体1を形成させる凝着工程(A
工程)、前記凝着した蛍光体1を前記被凝着体2から剥
離する剥離工程(B工程)、および剥離した前記蛍光体
1を前記被凝着体2から選別する選別工程(C工程)に
より行うことができる。
【0034】前記凝着工程(A工程)として、まず、図
1(a)に示すように小粒子原料3、被凝着体原料4お
よび前記小粒子原料以外の蛍光体原料5を含む蛍光体出
発原料を準備し、これらを混合する。
【0035】前記小粒子原料3の材質は、製造する蛍光
体の種類により適宜決定されるが、前述のように酸化ア
ルミニウムが好ましく、より好ましくは、実質的に破砕
面を持たない単結晶のα−アルミナである。前記単結晶
のα−アルミナとしては、前述のように、住友化学工業
株式会社製の商品名「アドバンストアルミナスミコラン
ダム」等が使用できる。
【0036】なお、前記小粒子原料3は、前記酸化アル
ミニウムには限定されず、この他にも、例えば、酸化シ
リコン、酸化イットリウム等の希土類酸化物、バリウム
化合物やストロンチウム化合物等のアルカリ土類化合
物、硫化亜鉛や酸化亜鉛等の亜鉛化合物等が使用でき
る。
【0037】前記被凝着体原料4は、被凝着体2を形成
するものであれば特に制限されないが、前述のように前
記小粒子原料3と同じ組成であることが好ましい。
【0038】また、前記被凝着体原料4の形状は、特に
制限されず、例えば、板状、塊状、粒子状または球状等
があげられ、その体積は、小粒子原料3の体積より大き
いことが好ましく、より好ましくは、小粒子原料3の体
積の102〜1015倍であり、特に好ましくは、104
109倍の範囲である。なお、被凝着体原料および小粒
子原料の大きさや、粒径等を設定することにより、被凝
着体および蛍光体の大きさを制御できる。
【0039】例えば、図1(a)に示すように、前記被
凝着体原料4の形状が球状である場合、その中心粒径
は、前記小粒子原料3の粒径より大きいことが好まし
く、より好ましくは、前記小粒子原料3の粒径より大き
くかつ50cm以下、特に好ましくは、前記小粒子原料
3の粒径より大きくかつ1cm以下である。また、前記
被凝着体原料4の中心粒径は、前記小粒子原料3の中心
粒径に対して、10〜10 5倍であることが好ましく、
より好ましくは102〜103倍である。
【0040】また、90%以上の小粒子原料3の粒径
が、被凝着体原料4の最小粒径よりも小さいことが好ま
しい。また、前記小粒子原料3の粒度分布と被凝着体原
料4の粒度分布とが実質的に重複しないように設定する
ことによって、蛍光体1の粒度分布と被凝着体2の粒度
分布とを前述のように制御できる。なお、球状の中でも
特に好ましい形状は、真球状である。
【0041】また、図2(a)に示すように、前記被凝
着体原料4の形状が平滑面を有する板状である場合、そ
の体積は、前記小粒子原料3の体積より大きければ、特
に制限されないが、例えば、前記小粒子原料3の中心粒
径が0.1〜20μmである場合、前記板状の被凝着体
原料4は、通常、厚み1μm〜1cmの範囲、長さ10
μm〜1mの範囲、幅10μm〜1mの範囲である。な
お、図2は、本発明の製造方法において、このような板
状の被凝着体原料4を使用する場合の製造工程の一例を
示す概略図であり、図1と同一部分には同一符号を付し
ている。また、特に示さない限りは、図1に示す製造工
程の説明において記述するものと同様のものを使用し、
同様にして蛍光体を製造できる。
【0042】前記小粒子原料以外の蛍光体原料5は、製
造する蛍光体の種類によって適宜決定されるが、例え
ば、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム等のアルカリ土
類金属化合物、酸化ユーロピウム、酸化セリウム、酸化
テルビウム、弗化セリウム、弗化ユーロピウム、リン酸
ランタン等の希土類化合物、塩基性炭酸マグネシウム等
のマグネシウム化合物、炭酸マンガン等のマンガン化合
物、酸化亜鉛等の亜鉛化合物等があげられる。なお、前
記小粒子原料以外の原料5は、一種類でもよいし、二種
類以上を併用してもよく、その添加割合も、製造する蛍
光体の種類により適宜決定される。
【0043】前記蛍光体出発原料において、前記小粒子
原料3と前記被凝着体原料4との添加割合は、前記両者
の粒径等によって適宜決定されるが、例えば、体積比
が、1:1〜1:1015の範囲であることが好ましく、
より好ましくは、1:102〜1:107の範囲である。
また、その重量比は、1:1〜1:105の範囲が好ま
しく、より好ましくは、1:10〜1:103の範囲で
ある。
【0044】また、前記蛍光体出発原料は、前記各原料
以外の物質を適宜添加してもよく、例えば、前記各原料
同士の反応性を高める融剤(反応促進剤)や、蛍光体と
被凝着体とを結着させる結着剤等の物質があげられる。
前記融剤としては、弗化アルミニウム、弗化バリウム、
弗化マグネシウム等のハロゲン化物や、ホウ酸等のホウ
素化合物、前記結着剤としては、カルシウム−バリウム
−ホウ素−リンを主体としてなる化合物や、ホウ酸バリ
ウムカルシウム等のアルカリ土類金属のホウ酸塩や、ピ
ロリン酸カルシウム、または酢酸ランタンと酸化アルミ
ニウムと酸化ホウ素とを主体としてなる混合物等が使用
できる。なお、前記各原料以外の物質の添加割合は、本
発明の製造方法に支障をきたさない範囲であれば特に制
限されない。
【0045】前記蛍光体出発原料の混合手段は、前記各
原料が混合できればよく、特に制限されないが、例え
ば、自動乳鉢、ボールミル等の各種混合手段が採用でき
る。
【0046】つぎに、前記蛍光体出発原料の混合物を反
応させる。これにより、図1(b)に示すように、被凝
着体2に凝着した状態の蛍光体1が形成される。
【0047】前記反応手段は、特に制限されず、加熱、
化学反応等の手段があげられるが、通常、簡便であるこ
とから加熱により行われる。その条件等は、使用する蛍
光体出発原料の種類やこれらの混合比等により適宜決定
される。
【0048】前記加熱の手段としては、簡便であること
から、例えば、電気炉やガス炉等の炉が使用でき、この
他にも、例えば、高温プラズマに曝して加熱する手段等
があげられる。加熱雰囲気としては、例えば、大気雰囲
気等の酸化性ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空雰囲
気、窒素と水素の混合ガス雰囲気等の還元性ガス雰囲気
等があげられ、好ましくは、酸化性ガス雰囲気または還
元性ガス雰囲気である。
【0049】例えば、アルミネート蛍光体を製造する場
合、以下に示す条件で加熱反応を行うことができる。加
熱温度は、通常、1000〜1800℃の範囲であり、
好ましくは、1400〜1700℃の範囲である。反応
時間は、通常、0.5〜100時間の範囲であり、昇温
時間および降温時間は、10〜1000℃/時間の範囲
である。前記加熱温度が1000℃よりも低いと、被凝
着体に蛍光体1が凝着しなかったり、蛍光体の品質が悪
くなるおそれがあり、1700℃よりも高いと、蛍光体
の量産が困難になるおそれがある。
【0050】なお、この凝着工程(A工程)は、前述の
方法には制限されず、他の方法により行ってもよい。
【0051】つぎに、前記被凝着体2に凝着している蛍
光体1を剥離する剥離工程(B工程)を行う。これによ
り、図1(c)に示すように、被凝着体2から蛍光体1
を剥離できる。
【0052】剥離の手段は、特に制限されないが、図1
(b)に示すように、被凝着体2が、球状の場合は、例
えば、ボールミル、自動乳鉢、ジェットミル等の解砕手
段が使用できる。また、図2(b)に示すように、被凝
着体2が、平滑面を有する板状の場合は、例えば、へら
状の物品等を用いて、前記被凝着体2から蛍光体1を剥
離することができる。
【0053】つぎに、選別工程(C工程)として、前記
剥離させた蛍光体1を前記凝着体4から選別する。これ
により、図1(d)に示すように、前記蛍光体1と被凝
着体2とが分離できる。
【0054】選別手段は、前記蛍光体1と被凝着体2と
の大きさの違い、前記両者の重量の違い等により適宜決
定されるが、前記両者を選別できれば特に制限されな
い。前記選別手段としては、例えば、前記混合物を溶媒
中に投入し、蛍光体と被凝着体とを重力沈降させ、前記
両者の沈降速度の違いにより前記被凝着体から前記蛍光
体を選別する方法、前記蛍光体と被凝着体との混合物を
網目状のふるいに供し、前記ふるいを振動させて前記網
目より小さな粒子をふるい落とす方法、前記混合物を風
で飛ばして選別する方法等があげられる。
【0055】また、この選別工程により、凝着した蛍光
体を選別した後の前記被凝着体2は、再度、凝着工程に
おいて被凝着体原料4として利用することができる。
【0056】なお、本発明の製造方法は、前述の方法に
は限定されず、例えば、他の工程として、洗浄工程等を
含んでもよい。前記洗浄工程は、未反応の蛍光体出発原
料や微粒子等を除去したり、融剤を除去したり、蛍光体
表面の酸性度やアルカリ性度を調整する目的で行われる
工程であり、どの工程の前後に行ってもよい。また、前
記剥離工程や選別工程の後、蛍光体の発光性能の低下を
防ぐために、例えば、蛍光体に加熱処理等を施すことが
好ましい。この加熱処理の条件は、前記被凝着体に蛍光
体が再度凝着したり、蛍光体同士が凝集しない温度であ
れば特に制限されないが、例えば、アルミネート蛍光体
の場合、温度1000〜1600℃、時間5〜600分
で処理することが好ましい。なお、以上に示すような製
造方法における各工程は、一回には限らず、複数回行っ
てもよい。
【0057】このような製造方法によれば、目的の粒径
である蛍光体、特に、その中心粒径が0.1〜20μm
の範囲であり、好ましくは0.1〜3.0μmの範囲で
ある蛍光体を効率よく製造できる。
【0058】また、このような製造方法により製造され
る蛍光体の種類としては、以下に示す蛍光体があげられ
る。例えば、(Sr,Ba,Ca,Mg)10(PO46
Cl 2:Eu2+等の化学式で表されるハロりん酸塩蛍光
体、LaPO4:Ce3+,Tb 3+等の化学式で表される
りん酸塩蛍光体、Zn2SiO4:Mn2+等の化学式で表
されるけい酸塩蛍光体、CaWO4等の化学式で表され
るタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr)MgAl10
17:Eu2+,Mn2+、BaMgAl1017:Eu2+
CeMgAl1119:Tb3+、Ce(Mg、Zn)Al
1119:Mn2+、Sr4Al1425:Eu2+、Y3Al5
12:Tb3+、Gd4Al29:Tb3+、BaAl12
19:Mn2+、Sr4Al1425:Eu2+,Dy3+、Sr
Al24:Eu2+,Dy3+、CaAl24:Eu2+,D
3+、Sr4Al1425:Eu2+,Nd3+、SrAl2
4:Eu2+,Nd3+、CaAl24:Eu2+,Nd3+
の化学式で表されるアルミネート蛍光体、(Ce,G
d)MgB510:Tb3+、YBO4:Tb3+、(Y、G
d)BO3:Eu3+、YBO3:Eu3+、InBO3:T
3+等の化学式で表されるホウ酸塩蛍光体、ZnS:A
+,Al3+、ZnS:Ag+,Cl-、ZnS:Cu+
Al3+等の化学式で表される硫化物蛍光体、Y2 2S:
Eu3+等の化学式で表される酸硫化物蛍光体、3.5M
gO・MgF2・GeO2:Mn4+等の化学式で表される
ゲルマン酸塩蛍光体、Y23:Eu3+等の化学式で表さ
れる蛍光体等がある。また、前述のように蛍光ランプ、
電子管、冷陰極ディスプレイ、蛍光表示管、プラズマデ
ィスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル、シンチ
レーション検出器、X線イメージインテンシファイア、
熱蛍光線量計、イメージングプレート等のデバイス、お
よび、蛍光体塗料等の液状物やペースト状物、灰皿等の
固形物、案内板や誘導物等の表示物、シール、文房具、
アウトドア用品、安全標識等の蛍光体使用物品に用いる
ことのできるすべての蛍光体があげられる。
【0059】つぎに、本発明の蛍光体を用いたデバイス
の一例を、図3を用いて説明する。図3は、本発明の蛍
光体を用いたAC型PDPの構成概略の一例を示す斜視
図である。
【0060】図3において、1aは発光色が赤色の蛍光
体からなる蛍光膜、1bは発光色が緑色の蛍光体からな
る蛍光膜、1cは発光色が青色の蛍光体からなる蛍光膜
をそれぞれ示す。これらの蛍光膜1a、1bおよび1c
をそれぞれ有している3つのセルが一組で一画素とな
る。また、同図において、6は表面ガラス基板、7は表
示電極、8は補助電極、9は誘電体層、10は保護層、
11は背面ガラス基板、12はアドレス電極、13は隔
壁(リブ)をそれぞれ示す。
【0061】前記表面ガラス基板6および背面ガラス基
板11としては、通常、ソーダライムガラス(青板ガラ
ス)が使用でき、その板厚は、通常、1〜8mmの範囲
であり、好ましくは2mmである。
【0062】前記表示電極7としては、通常、ネサ膜等
の透明電極が使用でき、そのシート抵抗は、100Ω以
下であることが好ましい。また、そのパターン幅は、通
常、10〜200μmの範囲である。
【0063】前記補助電極8は、抵抗を下げるためのバ
ス電極であり、通常、Cr/Cu/Crのスパッタリン
グにより形成できる。また、そのパターン幅は、5〜5
0μmの範囲である。
【0064】前記誘電体層9としては、通常、低融点ガ
ラスが使用でき、その膜厚は、20〜30μmの範囲で
ある。
【0065】前記保護層10としては、通常、MgO膜
が使用でき、その膜厚は、通常、0.5〜50μmの範
囲である。
【0066】前記アドレス電極12としては、通常、A
g厚膜電極が使用でき、その電極幅は、通常、100〜
200μmの範囲である。
【0067】前記隔壁(リブ)13としては、通常、低
融点ガラスが使用でき、その幅は、通常、10〜500
μmの範囲であり、100μmが好ましく、その高さ
は、通常、10〜100μmの範囲であり、50μmが
好ましい。
【0068】前記蛍光膜1a、1b、1cは、その蛍光
体が本発明の製造方法による蛍光体であれば特に制限さ
れないが、前記蛍光体の中心粒径が0.1〜20μmの
範囲であることが好ましく、特に好ましくは、0.1〜
3.0μmの範囲である。通常、蛍光膜(赤)1aの蛍
光体は化学式(Y,Ga)BO3:Eu、蛍光膜(緑)
1bの蛍光体は化学式Zn2SiO4:Mn、蛍光膜
(青)1cの蛍光体は化学式BaMgAl1423:Eu
2+でそれぞれ表される蛍光体が好ましい。これらの各蛍
光膜(1a、1b、1c)は、その膜厚が、通常、5〜
50μmの範囲である。しかし、図3に示すPDPのよ
うに、そのセル構造が反射型である場合、PDPの輝度
は蛍光膜の厚みに対する依存性が低いため、前記膜厚は
特に制限されない。
【0069】図3に示すPDPパネルは、例えば、以下
に示すような方法により製造できる。
【0070】まず、表面ガラス基板6上に、表示電極7
として透明電極を配置してから、この上に、Cr−Cu
−Crをスパッタリングし、フォトエッチングを行うこ
とにより補助電極8を形成する。そして、前記表面ガラ
ス基板6上に、前記表示電極7および補助電極8を介し
て低融点ガラスを印刷し、これを500〜600℃で焼
成することにより誘電体層9を形成し、さらにこの上
に、MgOを電子ビーム蒸着して保護膜10を形成す
る。
【0071】一方、背面ガラス基板11上には、Ag厚
膜を印刷し、これを焼成することにより、アドレス電極
12を形成する。そして、前記背面ガラス基板11上
に、前記アドレス電極12との放電ギャップを保ち、か
つ3種類の蛍光体(赤、緑、青)が混在することを防ぐ
ための隔壁(リブ)13を形成する。これは、低融点ガ
ラスをピッチ0.2mmで印刷し、焼成することにより
形成できる。さらに、前記隔壁13により仕切られたセ
ル内の前記アドレス電極12上と前記隔壁13の側面と
に蛍光体を印刷し、セルごとに発光色が異なる蛍光膜1
a、1bおよび1cを形成する。
【0072】そして、前記電極等が配置された前記表面
ガラス基板6と背面ガラス基板11とを、それぞれの電
極配置面が向き合うように位置合わせし、約1mmのギ
ャップを保った状態で、その周辺をシールガラス(図示
せず)により封止する。そして、前記基板6、11間
に、放電により紫外線を発生するキセノン(Xe)と主
放電ガスのネオン(Ne)とを混合したガスを封入して
気密密閉した後、エージングを行うことによって、PD
Pが製造できる。
【0073】このような本発明のデバイス(PDP)
は、本発明の製造方法による蛍光体を使用しているた
め、蛍光膜表面の平滑化を図ることができ、また放電空
間を広げて放電効率を高めることも可能であるため、輝
度性に優れる。
【0074】
【実施例】(実施例1)以下、実施例により本発明の製
造方法を詳細に説明するが、本発明はこの実施例によっ
て限定されるものではない。この実施例は、蛍光体およ
び被凝着体のいずれもが、化学式BaMgAl1017
Eu2+で示される蛍光体になるように各々の原料を設定
し、中心粒径が0.1〜3.0μmの範囲である蛍光体
を製造した例である。
【0075】図4〜図8に、本実施例で用いた各原料の
電子顕微鏡写真を示す。図4は小粒子原料、図5は被凝
着体原料、図6は前記小粒子原料以外の第1の蛍光体原
料、図7は前記小粒子原料以外の第2の蛍光体原料、図
8は前記小粒子原料以外の第3の蛍光体原料をそれぞれ
示す。
【0076】前記小粒子原料は中心粒径0.7μmの酸
化アルミニウム(純度99.999%)、前記被凝着体
原料は中心粒径10μmの酸化アルミニウム(純度9
9.999%)をそれぞれ使用した。また、前記小粒子
原料以外の第1の蛍光体原料は炭酸バリウム(純度9
9.98%)、小粒子原料以外の第2の蛍光体原料は酸
化ユーロピウム(純度99.99%)、小粒子原料以外
の第3の蛍光体原料は塩基性炭酸マグネシウム(純度9
9.99%)をそれぞれ使用した。
【0077】なお、前記小粒子原料および被凝着体原料
として用いた各酸化アルミニウムは、いずれも実質的に
破砕面を持たない単結晶のα−アルミナであり、前述の
住友化学工業株式会社製、商品名アドバンストアルミナ
スミコランダムを使用した。
【0078】まず、中心粒径0.7μmの酸化アルミニ
ウム51g、中心粒径10μmの酸化アルミニウム45
9g、炭酸バリウム178g、酸化ユーロピウム18g
および塩基性炭酸マグネシウム96gの各粉末を、自動
乳鉢を用いて1時間混合し、化学量論的組成がBa:E
u:Mg:Al=0.9:0.1:1.0:10の原子
割合であるBaMgAl1017:Eu2+蛍光体の出発原
料混合物を得た。なお、中心粒径0.7μmの酸化アル
ミニウム(小粒子原料)と中心粒径10μmの酸化アル
ミニウム(被凝着体原料)の重量割合は、前記中心粒径
10μmの酸化アルミニウムの重量が、前記中心粒径
0.7μmの酸化アルミニウムの重量の5〜5000倍
であることが好ましい。前記倍率が5倍より小さい場
合、後述する加熱反応において、蛍光体が凝集して中心
粒径0.1〜3.0μmの小粒子蛍光体を得ることが困
難になり、5000倍より大きい場合、小粒子蛍光体の
数に対する被凝着体の割合が極めて多くなるため、蛍光
体の収集効率が低かった。
【0079】次に、前記蛍光体の出発原料混合物をアル
ミナボートに仕込み、これを管状雰囲気炉内に配置し、
窒素と水素との混合ガスからなる還元雰囲気中で前記出
発原料混合物を2時間加熱して焼成した。焼成温度は1
600℃とし、昇温速度と降温速度とはいずれも400
℃/時間とした。また、窒素の流量および水素の流量
は、各々380cc/minおよび20cc/minと
した。
【0080】図9に、前記焼成後の焼成物の電子顕微鏡
写真を示す。図9に示すように、前記焼成物は中心粒径
約10μmの大粒子物に中心粒径約1μmの小粒子物が
凝着したものであった。前記焼成物を構成する物質をX
線回折法で調べた結果、前記焼成物は単一結晶相のBa
MgAl1017:Eu2+蛍光体であった。また、前記焼
成物の組成を誘導結合プラズマ発光分光分析法で調べた
結果、前記焼成物の組成は、Ba:Eu:Mg:Al=
0.9:0.1:1:10であった。また、前記焼成物
に波長253.7nmの紫外線を照射して、そのフォト
ルミネッセンスを調べた結果、波長450nmに分光分
布のピークを持つ青色光を発した。
【0081】これらの結果は、前記焼成物が、中心粒径
約10μmの大粒子物および中心粒径約1μmの小粒子
物からなり、前記両者は、それぞれ単一結晶相のBaM
gAl1017:Eu2+蛍光体であることを証明するもの
である。なお、前記大粒子物が、被凝着体であり、前記
小粒子物が小粒子の蛍光体である。
【0082】同時に、これらの結果は、前記小粒子原料
および前記被凝着体原料として、同じ前記単結晶のα−
アルミナをそれぞれ用い、これらを含む出発原料を混合
した後、加熱反応させることによって、(1)アルミネ
ート蛍光体を形成することができ、(2)少なくともそ
の表面が同一組成である被凝着体(前記大粒子物)に蛍
光体(前記小粒子物)が凝着した物質を得たことを証明
するものである。
【0083】また、図9から、中心粒径約10μmの被
凝着体の粒度分布と、中心粒径約1μmの小粒子蛍光体
の粒度分布とが実質的に重複していないことは明らかで
ある。
【0084】次に、前記焼成物を、乳鉢と乳棒とを用い
て軽く粗解砕した後、ボールミルを用いて本解砕した。
そして、直径1〜5mmのアルミナビーズ、前記焼成物
および所定量(500ml)の純水をアルミナポットに
入れ、前記アルミナポットを密閉した後、これを回転機
器上で1時間回転させて解砕処理した。この解砕処理に
よって、前記被凝着体から前記小粒子蛍光体を剥離させ
た。なお、前記解砕処理終了後、前記アルミナポットか
ら、前記小粒子蛍光体と前記被凝着体とを含んだ懸濁液
を取り出し、前記懸濁液をメスシリンダーに移し、約3
0分放置した。
【0085】前記懸濁液において、前記中心粒径約10
μmの前記被凝着体の沈降速度は速く、前記中心粒径約
1μmの前記小粒子蛍光体の沈降速度は遅いため、放置
することにより、前記被凝着体を多量に含む懸濁液と、
前記小粒子蛍光体を多量に含む懸濁液とに分かれた。前
記被凝着体を多量に含む懸濁液はメスシリンダーの下部
に位置し、前記小粒子蛍光体を多量に含む懸濁液はメス
シリンダーの上部に位置したので、前記メスシリンダー
を静かに傾斜させることによって、前記小粒子蛍光体を
多量に含む懸濁液だけを、蒸発皿に移すことができた。
【0086】次に、前記小粒子蛍光体を多量に含む懸濁
液が入った前記蒸発皿を、ホットプレートの上に載せ、
温度150℃で15時間加熱して前記懸濁液を完全に乾
燥させた。これにより、前記小粒子蛍光体の粉末を選別
して得ることができた。
【0087】また、前記メスシリンダーに残った前記被
凝着体を多量に含む懸濁液を、ブフナーを用いて濾過
し、その後、金属メッシュを用いてふるい分けることに
より、前記被凝着体を得ることができた。このようにし
て得られた前記被凝着体は、被凝着体原料として、何度
も繰り返して再利用できた。
【0088】図10(a)に、この実施例で得られた化
学式BaMgAl1017:Eu2+で表される小粒子蛍光
体の電子顕微鏡写真を示す。図10(a)に示すよう
に、中心粒径が約2μmである小粒子蛍光体を得ること
ができた。比較例として、図10(b)には、従来の製
造方法により製造されている、市販のプラズマディスプ
レイパネル用小粒子型BaMgAl1017:Eu2+蛍光
体の電子顕微鏡写真を示す。図10(a)と図10
(b)とを比較してわかるように、本発明の製造方法に
よれば、前記デバイス、電子機器および蛍光体使用物品
に適した、中心粒径が0.1〜3.0μmの小粒子蛍光
体を製造できた。
【0089】なお、本実施例では、被凝着体原料とし
て、中心粒径10μmの単結晶のα−アルミナを用いた
が、これには制限されず、前記単結晶のα−アルミナ以
外に、例えば、直径が0.5〜1cmである真球状のア
ルミナビーズや、1mm〜1cmの厚みであるアルミナ
板等も使用できる。
【0090】
【発明の効果】以上のように、本発明の蛍光体の製造方
法によれば、目的の粒径である蛍光体を効率よく製造す
ることができる。このような方法により目的粒径の蛍光
体を製造し、これをデバイスおよび電子機器に用いれ
ば、蛍光膜表面の平滑化を図ると共に、蛍光面の発光の
均一化を図ることができる。また、表示装置において
は、高精細化を図ることができ、プラズマディスプレイ
パネルや前記細管型蛍光ランプ等においては、蛍光膜表
面の平滑化だけでなく放電空間を広げて放電効率を高め
ることができるため、高輝度化が可能である。また、蛍
光体使用物品にあっては、小型化や薄型化を図ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における蛍光体の製造工程
の一例を示す概略図である。
【図2】本発明のその他の実施形態における蛍光体の製
造工程の一例を示す概略図である。
【図3】本発明のさらにその他の実施形態におけるデバ
イスの一例の構成概略を示す図である。
【図4】本発明の一実施例において使用した小粒子原料
の電子顕微鏡写真である。
【図5】前記実施例において使用した被凝着体原料の電
子顕微鏡写真である。
【図6】前記実施例において使用した小粒子原料以外の
第1の蛍光体原料の電子顕微鏡写真である。
【図7】前記実施例において使用した小粒子原料以外の
第2の蛍光体原料の電子顕微鏡写真である。
【図8】前記実施例において使用した小粒子原料以外の
第3の蛍光体原料の電子顕微鏡写真である。
【図9】前記実施例において形成された焼成物の電子顕
微鏡写真を示す図である。
【図10】(a)は、前記実施例において製造された蛍
光体の電子顕微鏡写真、(b)は従来の蛍光体の電子顕
微鏡写真をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 蛍光体 1a、1b、1c 蛍光膜 2 被凝着体 3 小粒子原料 4 被凝着体原料 5 小粒子以外の蛍光体原料 6、11 ガラス基板 7 表示電極 8 補助電極 9 誘電体層 10 保護層 12 アドレス電極 13 隔壁 A 凝着工程 B 剥離工程 C 選別工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 富造 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4H001 CC04 CF02 XA08 XA12 XA13 XA56 YA63

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被凝着体に凝着した状態の蛍光体を形成
    する工程を含むことを特徴とする蛍光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 被凝着体に凝着した蛍光体を前記被凝着
    体から剥離して、前記被凝着体から選別する工程をさら
    に含む請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 被凝着体の体積が、蛍光体の体積よりも
    大きい請求項1または2に記載の蛍光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 被凝着体の中心粒径が、蛍光体の中心粒
    径よりも大きい請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 被凝着体の中心粒径が、50cm以下で
    ある請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 被凝着体の中心粒径が、1cm以下であ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 被凝着体の組成が、蛍光体の組成と同一
    である請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 90%以上の蛍光体の粒径が、被凝着体
    の最小粒径よりも小さい請求項1〜7のいずれかに記載
    の蛍光体の製造方法。
  9. 【請求項9】 蛍光体の粒度分布と、被凝着体の粒度分
    布とが実質的に重複しない請求項1〜8のいずれかに記
    載の蛍光体の製造方法。
  10. 【請求項10】 被凝着体を形成する被凝着体原料と蛍
    光体を形成する小粒子原料とを含む蛍光体出発原料を混
    合し、前記蛍光体出発原料を反応させることにより、被
    凝着体に凝着した状態の蛍光体を形成する請求項1〜9
    のいずれかに記載の蛍光体の製造方法。
  11. 【請求項11】 小粒子原料の中心粒径が、0.1〜2
    0μmの範囲である請求項10に記載の蛍光体の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 小粒子原料の中心粒径が、0.1〜3
    μmの範囲である請求項10に記載の蛍光体の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 小粒子原料が、酸化アルミニウムであ
    る請求項10〜12のいずれかに記載の蛍光体の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 酸化アルミニウムが、実質的に破砕面
    を持たない単結晶のα−アルミナである請求項13に記
    載の蛍光体の製造方法。
  15. 【請求項15】 被凝着体原料の組成が、小粒子原料の
    組成と同一である請求項10〜14のいずれかに記載の
    蛍光体の製造方法。
  16. 【請求項16】 被凝着体原料として、凝着した蛍光体
    を選別した後の被凝着体を用いる請求項10〜15のい
    ずれかに記載の蛍光体の製造方法。
  17. 【請求項17】 蛍光体出発原料を加熱により反応させ
    る請求項10〜16のいずれかに記載の蛍光体の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 被凝着体と蛍光体との沈降速度の違い
    により、前記被凝着体から前記蛍光体を選別する請求項
    2〜17のいずれかに記載の蛍光体の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項1〜18のいずれかに記載の製
    造方法により製造することを特徴とする蛍光体。
  20. 【請求項20】 アルミネート蛍光体である請求項19
    に記載の蛍光体。
  21. 【請求項21】 中心粒径が、0.1〜20μmの範囲
    である請求項19または20に記載の蛍光体。
  22. 【請求項22】 中心粒径が、0.1〜3.0μmの範
    囲である請求項19または20に記載の蛍光体。
  23. 【請求項23】 請求項19〜22のいずれかに記載の
    蛍光体を用いることを特徴とするデバイス。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載のデバイスを用いる
    ことを特徴とする電子機器。
  25. 【請求項25】 請求項19〜22のいずれかに記載の
    蛍光体を用いることを特徴とする蛍光体使用物品。
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