JP2002235074A - ディスプレイ用蛍光体ペーストおよびディスプレイ用部材ならびにディスプレイ - Google Patents

ディスプレイ用蛍光体ペーストおよびディスプレイ用部材ならびにディスプレイ

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JP2002235074A
JP2002235074A JP2001266896A JP2001266896A JP2002235074A JP 2002235074 A JP2002235074 A JP 2002235074A JP 2001266896 A JP2001266896 A JP 2001266896A JP 2001266896 A JP2001266896 A JP 2001266896A JP 2002235074 A JP2002235074 A JP 2002235074A
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paste
display
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powder
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Kentaro Okuyama
健太郎 奥山
Hitoshi Nobumasa
均 信正
Noboru Kawabata
昇 川端
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】パネル発光強度の低下ならび色度ずれが少な
く、パネル発光輝度が高いディスプレイ用蛍光体ペース
トおよびディスプレイ部材ならびディスプレイを提供す
ることを目的とする。 【解決手段】2価のユーロピウムを賦活した格子定数c
が22.630オングストローム以下である板状のアル
ミン酸塩蛍光体または2価のユーロピウムを賦活し、金
属を含むリン酸塩で被覆された板状のアルミン酸塩蛍光
体を含む蛍光体層を有するディスプレイ用部材及びディ
スプレイならびにその原料となるディスプレイ用ペース
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイ(以下、PDPと略す)、電子放出素子を用いた画
像形成装置(以下、FEDと略す)あるいは蛍光表示管
(以下、VFDと略す)などの、蛍光体粉末からなる蛍
光体層を有するディスプレイ、およびディスプレイ用部
材ならびにそれらの原料となる蛍光体ペーストに関す
る。
【0002】
【従来の技術】薄型・大型テレビに使用できるディスプ
レイとして、PDPが注目されている。PDPの構造例
の分解斜視図を図1に示す。PDPには蛍光体層が設け
られるが、蛍光体層は紫外線で励起発光する蛍光体粉末
からなり、蛍光体粉末と樹脂成分からなるペースト、ま
たはペーストをシート状にしたものをパネル基板に配置
し、その後500℃前後で焼成し、ペースト中の樹脂成
分を焼失させる工程を通して形成させる。蛍光体層形成
法としては、スクリーン印刷法やノズル孔からのペース
トを吐出する方法、感光性ペースト法などがある。PD
Pをより高い表示品位にするために、蛍光体層の発光強
度や発光効率の向上が望まれている。しかし、上記ペー
スト焼成工程およびパネル化後の長時間点灯において
は、特に2価のユーロピウムを賦活したアルミン酸塩蛍
光体を使用した青色蛍光体の発光強度の低下ならびに色
度ずれが大きく、パネル発光輝度の低下、白色色温度の
低下が起こり問題となっている。
【0003】これに対し蛍光体粉末自体の改善として
は、特開平8−85787号公報には2価のユーロピウ
ム賦活アルミン酸塩蛍光体にInを添加することで、ア
ルミン酸塩蛍光体の結晶中のスピネルブロック間にIn
が1価あるいは2価の形で存在し、このInが焼成時に
2価のユーロピウムが酸化する代わりに酸化されること
により発光強度の低下を抑制させることが示されてい
る。また、特開平8−143863号公報にはSm、T
m、Ybの少なくとも1種を添加することで、Sm、T
m、Ybの少なくとも1種がアルミン酸塩蛍光体の結晶
中のスピネルブロック間に2価で存在し、同様に発光強
度の低下を抑制させることが示されている。また、Nati
onal Technical Report Vol.43 No.2 Apr.1997では焼
成による発光強度の低下を抑制するには副生成物の生成
を抑えることが有効であり、良好な結晶性を有する化学
量論組成の蛍光体により実現できることが示されてい
る。
【0004】また、置換対象のバリウムに対する2価ユ
ーロピウムの賦活量を調整することで、焼成または長時
間放電による発光強度の低下を抑制する技術も開示され
ている。特開平11−246856号公報には2価のユ
ーロピウムの賦活量を、置換対象のバリウム元素に対し
て8at%に限定することで、焼成による発光強度の低
下抑制できることが示されている。また、特開平8−6
0147号公報には2価のユーロピウムに比してイオン
半径の小さいBaの置換量を低減し、すなわち、2価の
ユーロピウムの賦活量を増大させ、長時間点灯放電によ
る経時変化を抑制することが示されている。特開平8−
319483号公報にはリン酸化合物を被覆し、ベーキ
ングによる発光特性の劣化を抑制する技術が開示されて
いる。
【0005】一方、上記問題に対して蛍光体ペーストで
の改善方法としては、特開平10−324869号公報
で有機バインダー樹脂として特定なメタクリル酸エステ
ル共重合体を使用することにより、有機物分解による蛍
光体の構造変化を抑制し、輝度低下を防止することが示
されている。
【0006】このように、これまでは蛍光体粉末の酸
化、長時間点灯、ペースト焼成のいずれかで生ずる輝度
低下や色ずれを防止する技術が開示されている。しかし
これら手段によっても、まだ焼成工程およびパネル化後
の長時間点灯における発光強度の低下の抑制効果は不十
分であった。すなわち、焼成工程およびパネル化後の長
時間点灯の両者について、発光強度の低下を抑制できな
かった。また、蛍光体表面に他の化合物を被覆した場
合、蛍光体同士が凝集しやすくなりペースト中での分散
が不良となり、生産効率が低下しやすいという問題があ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】アルミン酸塩蛍光体の
発光は、例えばPDPにキセノンとネオンの混合ガスを
使用した場合、147nmの紫外線が発生するが、この
紫外線のエネルギーを母体結晶が吸収してそのエネルギ
ーを発光中心となる発光イオンに伝達し励起させ、発光
イオンが発光準位から基底準位に戻るときに光を放出す
ることで起こる。したがって、発光イオン自身やその近
傍の変化のみならず母体結晶の変化が発光強度に大きく
影響してくる。つまり、ペースト中の成分、外的な要素
によりペーストとして焼成したことや、長時間点灯で紫
外線や荷電粒子が照射したことにより、母体結晶の微細
構造変化、母体結晶中の欠陥・不純物元素の増加があり
蛍光体層の発光強度の低下が起こると考え、検討の結
果、蛍光体粉末の形状と母体結晶の格子定数cが蛍光体
粉末自体の輝度低下の重大な要素であることを見出し
た。
【0008】すなわち、本発明の課題は、2価のユーロ
ピウムを賦活したアルミン酸塩蛍光体において、母体結
晶の格子定数cを低減することで、ペースト焼成工程お
よび長時間点灯における発光強度の低下ならびに色度ず
れが少なく、すなわちペースト焼成および長時間点灯に
よる発光維持率が高く、パネル発光輝度が高いディスプ
レイ部材ならびにディスプレイを提供することにある。
【0009】さらに、従来の熱劣化抑制を目的とした被
覆層を形成した蛍光体では、蛍光体ペースト中で蛍光体
同士が凝集しやすく、蛍光体ペースト作成工程において
スクリーン版の目詰まりが生じやすかったと考えられ
る。
【0010】そこで、さらに本発明は、従来の技術にお
ける上述した課題にも鑑みてなされたもので、その目的
とするところは、ペースト焼成や長時間点灯による輝度
劣化が少なく、スクリーン版の目詰まりやノズル孔詰ま
りなどが発生しにくく安定に生産できる蛍光体ペースト
を提供し、欠陥や発光特性のばらつきが少なく信頼性の
高いディスプレイを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、以下の構成を有する。すなわち、本発明
の蛍光体ペーストは、2価のユーロピウムを賦活したア
ルミン酸塩蛍光体と樹脂成分を含む蛍光体ペーストであ
って、前記アルミン酸塩蛍光体が板状であり、かつ格子
定数cが22.630オングストローム以下であること
を特徴とする。
【0012】また、本発明の蛍光体ペーストは、2価の
ユーロピウムを賦活したアルミン酸塩蛍光体と樹脂成分
を含む蛍光体ペーストであって、前記アルミン酸塩蛍光
体が板状であり、かつ金属を含むリン酸塩が蛍光体に対
して重量被覆率0.01〜3%で被覆されていることを
特徴とする。
【0013】また本発明のディスプレイ用部材は、2価
のユーロピウムを賦活したアルミン酸塩蛍光体からなる
蛍光体層を有するディスプレイ用部材であって、前記ア
ルミン酸塩蛍光体が板状であり、かつ格子定数cが2
2.630オングストローム以下であることを特徴とす
る。
【0014】また、本発明のディスプレイ用部材は、2
価のユーロピウムを賦活したアルミン酸塩蛍光体からな
る蛍光体層を有するディスプレイ用部材であって、前記
アルミン酸塩が板状であり、かつ金属を含むリン酸塩が
蛍光体に対して重量被覆率0.01〜3%で被覆されて
いることを特徴とする。
【0015】さらに、本発明のディスプレイは、上記の
ディスプレイ用部材を用いてなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態について説明する。まず本発明のディスプレイ用蛍光
体ペーストについて説明する。PDPに蛍光体層を形成
するときは蛍光体ペーストそのものを塗布して形成する
以外にも、蛍光体ペーストを一度シート状にしたものを
用いても構わない。
【0017】本発明の蛍光体ペーストは、2価のユーロ
ピウムを賦活したアルミン酸塩蛍光体と樹脂成分を必須
成分とし、有機溶剤等の適当な溶媒に分散および溶解し
たものである。蛍光体ペースト中には、発光強度、色度
等の調整のために2価のユーロピウムを賦活したアルミ
ン酸塩蛍光体以外の蛍光体や他の無機粒子を含んでいて
もよいが、2価のユーロピウムを賦活したアルミン酸塩
蛍光体の含有量は70重量%以上が好ましい。より好ま
しくは85重量%以上である。さらに好ましくは95重
量%以上である。具体的には、3Ca3(PO42・C
a(F,Cl)2:Sb、Sr10(PO4)6Cl2:E
u、(Sr,Ca)10(PO46Cl2:Eu、(S
r、Ca)10(PO46Cl2・nB23:Eu、(B
a,Ca,Mg)10(PO46Cl2:Eu、Sr2PO
7:Sn、Ba227:Ti、Ca3(PO42:T
l、(Ca,Zn)3(PO42:Tl、Sr227
Eu、SrMgP27:Eu、Sr3(PO42:E
u、(Ba,Sr,Mg)3Si27:Pb、(Ba,
Mg,Zn)3Si27:Pb、BaSi25:Pb、
Ba3MgSi28:Eu、Y2SiO5:Ce、CaW
4:Pbなどを含んでもよい。蛍光体以外には、カー
ボンブラック、チタンブラックなどの顔料や、水ガラ
ス、低融点ガラスなどの結着材も含んでもよい。
【0018】本発明の蛍光体ペーストで用いられる2価
のユーロピウムを賦活したアルミン酸塩蛍光体は、その
形状が板状であり、かつ格子定数cが22.630オン
グストローム以下であるか、その形状が板状であり、か
つ金属を含むリン酸塩が蛍光体に対して重量被覆率0.
01〜3%で被覆されていることが重要である。
【0019】ここで、蛍光体粉末が板状であるとは、一
つの蛍光体粉末の長軸をlと短軸をmとした時、l/m
が2.0以上であることをいう。本発明の蛍光体粉末の
空間郡はP63/mmcであり、格子定数cは電子線回
折やX線回折から求めることができる。
【0020】本発明においては、蛍光体粉末を板状に
し、かつ格子定数cを22.630オングストローム以
下にすることで、大気中でのペースト焼成やパネル化後
の長時間点灯による発光強度の低下を抑制できる。これ
は、詳細は不明であるが次の理由よると推定している。
【0021】一般にアルミン酸塩蛍光体は六方晶系の化
合物であり、発光イオンである2価のユーロピウムはス
ピネルブロック間に挟まれた位置に存在している。スピ
ネルブロック間はスピネル内に比べて原子の結合距離が
長く、結晶格子のc軸に垂直な方向(c面内)に隙間の
ある層状構造をしている。したがって、スピネルブロッ
ク内に比べてスピネルブロック間の方が、ペースト焼成
や長時間点灯などによる影響を受けやすいと考えられ
る。蛍光体粉末が板状であると、透過電子顕微鏡(TE
M)観察から蛍光体粉末形状の短軸方向と結晶格子のc
軸方向が揃って成長しているので、蛍光体粉末表面にお
いてc面が露出している割合が多い。c面が露出してい
る割合が多いと隙間のあいたスピネルブロック間が蛍光
体表面に露出する割合が少なくなり、ペースト焼成や長
時間点灯などにより母体結晶や2価のユーロピウムが影
響を受けにくいと考えている。さらに格子定数cは、隣
接するc面間隔を意味するのでスピネルブロック間の隙
間と正の相関があり、22.630オングストローム以
下であるとスピネルブロック間の結合距離が短く、すな
わち結晶が強固となり、ペースト焼成や長時間点灯によ
る影響を受けにくいと考えている。このような理由から
格子定数cが小さい程、ペースト焼成や長時間点灯によ
る発光強度の低下は抑制できるが、未焼成粉末の発光強
度や色度という観点から、格子定数cは22.550オ
ングストローム以上であることが好ましい。
【0022】蛍光体粉末は、例えば以下の方法で合成で
きる。蛍光体原料として、酸化バリウム、水酸化バリウ
ム、炭酸バリウム等のバリウム化合物、酸化ストロンチ
ウム、水酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム等の
ストロンチウム化合物、酸化カルシウム、水酸化カルシ
ウム、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物、酸化ユー
ロピウム、フッ化ユーロピウム等のユーロピウム化合
物、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグ
ネシウム等のマグネシウム化合物、酸化アルミニウム、
水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物等を所定量
秤量する。必要に応じ結晶成長促進剤としてフッ化バリ
ウム、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム等のフ
ラックスを添加してもよい。
【0023】原料混合物を十分にボールミル等で混合し
た後、坩堝に入れ窒素あるいは窒素水素等の還元雰囲気
にて、通常1300℃〜1700℃の温度で2〜40時
間かけて1回以上焼成し、室温まで徐冷する。好ましく
は2回以上焼成する。還元雰囲気で焼成することにより
ユーロピウムを3価から2価に還元する。この焼成物に
分散、洗浄、乾燥、分級等の後処理を行い、本発明で使
用する2価のユーロピウムを賦活したアルミン酸塩蛍光
体を得ることができる。また、蛍光体ペースト中での分
散性向上やさらに焼成による発光強度の低下を抑制する
ため無機物、有機物を蛍光体粒子粉末の表面に被覆する
表面処理を行っても良い。
【0024】格子定数cを22.630オングストロー
ム以下にするには、上記の還元雰囲気中での焼成前、焼
成後のいずれかまたは双方で、空気、酸素、水蒸気、酸
素窒素混合ガス等の酸素を含む雰囲気中で300℃〜1
300℃の温度で1〜10時間程度焼成することが好ま
しい。好ましくは350℃〜600℃である。この導入
ガス流量、昇温・降温速度は、坩堝、焼成炉の大きさ等
により適宜調節することができる。このようにして、蛍
光体の酸素濃度や母体結晶の結晶性等が変化し、格子定
数cが22.630オングストローム以下になるものと
推定している。
【0025】蛍光体粉末が板状ではなく例えば球状であ
ると、1つの粉末の中に複数の結晶粒子が折り重なった
ような構造を呈しやすいので(大塩ら:Proceedings of
Internatinal Display Workshop'97 pp.621 (199
7).)、結晶粒界が多く、励起エネルギー移動の損失や
電子トラップが生じやすいと考えられる。したがって無
輻射遷移する確率が増大し、発光強度の低下を招きやす
い。格子定数cが22.630オングストロームよりも
大きいとスピネルブロック間の結合が強固ではないの
で、ペースト焼成や長時間点灯により結晶の微細な構造
が変化しやすく、同じく発光強度の低下を生じやすい。
【0026】また、蛍光体粉末を板状にし、かつ金属を
含むリン酸塩で重量被覆率0.01〜3%で被覆するこ
とで、大気中でのペースト焼成やパネル化後の長時間点
灯による発光強度の低下を抑制し、さらには、ペースト
中での分散性が向上し、スクリーン版やノズル孔の目詰
まりの発生を抑制することが可能となる。したがって、
安定かつ連続で蛍光体形成工程を実施できるので、生産
効率が改善され、欠陥の発生頻度が減少するので、欠陥
が少ないディスプレイが作製できる。すなわち、輝度劣
化抑制とペースト中での分散性向上が両立することが可
能となる。
【0027】輝度劣化が抑制できるのは、ペースト焼成
やパネル化後の長時間点灯において、被覆層が保護層と
して働き、母体結晶の微細構造変化、母体結晶中の欠陥
・不純物増加の抑制、発光イオンの変化が抑制されるた
めであると推定される。また、ペースト中での分散性が
向上するのは、以下のように推定される。すなわち、分
散性が不良となるのは、アルミン酸塩蛍光体表面のアル
ミと後述の樹脂成分が相互作用することで結合しネット
ワークを形成してしまい、蛍光体ペーストの平均組成に
比べて粉末組成がリッチな領域が局所的に生成してしま
うことが原因であると考えられる。したがって、蛍光体
表面に被覆層を形成することで、蛍光体表面のアルミと
樹脂がネットワークを形成しにくくなる。
【0028】重量被覆率は、リン酸塩で被覆した蛍光体
を酸やアルカリで溶解し、ICP発光分析法などで分析
することができる。
【0029】金属を含むリン酸塩を重量被覆率3%より
も多く被覆すると、被覆処理後に蛍光体同士がくっつき
やすく、単分散できなくなる。また、このような凝集を
解す目的で、乳鉢やビーズミルなどでこのような凝集を
解そうとしても、被覆したリン酸塩が剥離してしまった
り、蛍光体の母体結晶がダメージを受けたりしてしま
う。
【0030】重量被覆率が0.01重量%よりも少なく
被覆すると、保護膜として機能せず蛍光体同士が凝集し
たり、ペースト焼成や長時間点灯による輝度劣化がおお
きくなってしまう。好ましくは重量被覆率0.1〜2%
である。より好ましくは重量被覆率0.5〜1%であ
る。
【0031】蛍光体に金属を含むリン酸塩を形成する方
法は特に限定されないが、溶剤中に被覆するリン酸塩と
蛍光体を入れ、均一に撹拌混合し、溶剤と蛍光体とを濾
紙で分別したり、加熱乾燥することで蛍光体にリン酸塩
を被覆できる。また、蛍光体が入った溶剤中でリン酸と
金属塩を反応させ、蒸発濃縮し結晶を析出させること
で、蛍光体を被覆してもよい。さらに蛍光体表面にリン
酸塩をより固着させるために200〜500℃程度で加
熱してもよい。重量被覆率は、溶剤中に添加するリン酸
塩量やリン酸と金属塩の量を適宜調整することができ
る。リン酸塩を溶剤中に添加する方法で蛍光体に被覆す
る場合、添加するリン酸塩はできるだけ細かい方が好ま
しいが、0.5μm以下である方が好ましい。より好ま
しくは0.1μm以下である。さらに好ましくは0.0
5μm以下である。
【0032】発光強度の低下抑制とペースト中での分散
性向上という観点からは、金属を含むリン酸塩の平均厚
みが1〜15nmであることが好ましい。より好ましく
は、1〜10nmである。さらに好ましくは1〜5nm
である。ここで、平均膜厚とは、透過電子顕微鏡で被覆
した蛍光体の断面像を観察し、被覆層が形成されている
部分の厚みを測定することで求めることができる。金属
を含むリン酸塩が1nmよりも薄い場合、ペースト焼成
や長時間点灯による保護膜としての機能が発現しにく
い。また、15nmよりも厚い場合には、パネル点灯時
に励起紫外線が蛍光体表面のリン酸塩で吸収されてしま
うので、発光強度が低下しやすい傾向にある。
【0033】また、被覆する金属を含んだリン酸塩は、
蛍光体表面に対して、表面被覆率50〜100%で被覆
されていることが好ましい。より好ましくは、75〜1
00%である。さらに好ましくは90〜100%であ
る。蛍光体表面に対して高い表面被覆率とするには、リ
ン酸塩と金属塩を反応させ、蒸発濃縮し結晶を析出させ
る方法が好ましい。表面被覆率が50%よりも低い場
合、上述したようにペースト焼成や長時間点灯における
保護膜としての機能が発現しにくく、また、ペースト中
での分散性が低下しやすい。
【0034】リン酸塩中の金属は、Li、K、Mg、C
a、Al、Ba、Agの群の中から少なくとも一種以上
含むことが望ましい。さらには、Mg、Ca、Baの金
属を1種以上含むことが望ましい。これは、このような
金属を含んだリン酸塩以外のリン酸アンモニウム塩など
を被覆した蛍光体を用いた場合は、蛍光体ペースト中に
おいて樹脂成分と反応したりペースト焼成工程において
アンモニアが発生してしまうので焼成の排気設備に影響
を与えやすいからである。
【0035】本発明の蛍光体ペーストの樹脂成分は、蛍
光体粉末の発光強度の劣化の少ない通常400〜550
℃程度の比較的低温で焼成される熱可塑性樹脂が好まし
く、このような低温で焼成できる樹脂成分として、メチ
ルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシルエチル
セルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロ
キシルエチルプロピルセルロース等のセルロース系樹脂
ならびポリメチルメタクリレート、ポリ−i−プロピル
メタクリレート、ポリ−i−ブチルメタクリレートや必
要に応じてこれらの塗布性や熱分解性を改善するため
に、これらにメチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブ
チル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレ
ート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベン
ジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシルブチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマーを共
重合させたアクリル系樹脂等を用いることができる。
【0036】蛍光体粉末と樹脂成分の含有量は、乾燥状
態の蛍光体ペーストに対して、蛍光体粉末が70〜95
重量%と樹脂成分5〜30重量%であることが好まし
い。より好ましくは蛍光体粉末が80〜90重量%、樹
脂成分が10〜20重量%である。ここで、樹脂成分と
は樹脂を溶媒に溶解させる前の固形分を指す。
【0037】樹脂成分が少なすぎる場合には、ペースト
中の蛍光体粉末の分散安定性、ペーストの粘度や流動
性、塗布膜の膜厚保持性などを得ることができなくなる
傾向にある。また、樹脂成分が多すぎると、焼成による
樹脂成分の除去が不完全になり残渣として残り発光強度
が低下する傾向にあり、また焼成で有機成分を除去する
のに時間を要し、蛍光体粉末自体の焼成劣化が増大する
傾向にある。
【0038】本発明の蛍光体ペーストの溶媒は、樹脂成
分と分離しない有機溶媒であればよく、アルコール類、
エーテル類、エステル類などおよびその混合系が好まし
い。特に、バインダー樹脂をよく溶解すると共に、蛍光
体粉末を十分に分散させ、塗布性が優れていることから
テルピネール(ターピネオール)を用いることが好まし
い。市販のテルピネオールは3つの異性体の混合物であ
り、沸点217〜219℃の液体である。また、蛍光体
ペーストの粘度調整をするため、テルピネオールに沸点
が同程度の芳香族系アルコール、例えばベンジルアルコ
ールを混合することが好ましい。樹脂成分と溶媒の比率
はペーストの粘度、蛍光体ペーストの塗布性などの観点
から適宜調節することができる。
【0039】本発明の蛍光体ペーストは、フォトリソグ
ラフィー法による形成する場合、感光性を付与させるた
めに、感光性モノマーとして炭素−炭素不飽和結合を含
有する化合物とベンゾフェノンなどの光重合開始剤なら
び光散乱を抑えるスダン4等の有機染料を含有してもよ
い。
【0040】本発明の蛍光体ペーストは、さらに必要に
応じて、アニオン性や非イオン性界面活性剤等の有機化
合物分散剤や、高級脂肪族系アルコール、可塑剤(例え
ば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリ
エチレングリコール、グリセル等)等を含有してもよ
い。また、ペーストの糸引きや蛍光体層塗布形状の観点
から、必要に応じチキソトロピー性付与剤を添加しても
よい。例えば、シリカ微粒子(例えば、日本アエロジル
製“380”、“R974”)である。
【0041】本発明の蛍光体ペーストは、特に限定され
るものではないが撹拌機を用いてバインダー樹脂を溶媒
中に加熱溶解(通常80℃程度)して作製したバインダ
ー溶液に対し、蛍光体粉末を例えば3本ロール、ボール
ミル、ビーズミル等の分散機を用いて混練することで、
製造することができる。例えば、あらかじめ所定量に調
整しておいた有機バインダーと蛍光体を混合するだけで
なく、所定量より溶媒または樹脂成分を少な目にした有
機バインダーと蛍光体を混合し、しかる後残りの溶媒ま
たは樹脂成分を追加・混合したりすることができる。な
かでも、所定量よりも樹脂成分を少な目にし有機バイン
ダーと蛍光体を混合し、あらかじめスラリーを作製して
おき、所定量になるように最後に残りの樹脂成分と溶媒
を追加・混合することが好ましい。
【0042】発光強度の低下を抑制するという点から
は、アルミン酸塩蛍光体のアルミニウム元素が化学量論
組成に対して過剰であることが好ましい。アルミニウム
元素が化学量論組成に対して過剰であると、蛍光体粉末
を樹脂成分と溶媒等により分散させペースト化した後、
樹脂成分などの有機バインダー成分を焼失させるため大
気中で焼成することで起こる発光強度の低下を抑制しや
すい。この発光強度の低下は、アルミン酸塩に賦活した
2価のユーピウムが大気中での焼成により酸化され3価
となり、アルミン酸塩の母体結晶が紫外線を吸収し伝達
されてきたエネルギーを発光せずに無輻射で基底状態に
遷移するため発生すると推定されている。
【0043】また、粉末のみを焼成する場合と比較し
て、ペーストにして焼成した場合の方がより大きく発光
強度が低下するが、これは母体結晶自体が熱劣化し、励
起紫外線領域(PDPでは147nm付近)での吸収、
エネルギー伝達が低下するためと推定される。本発明の
蛍光体ペーストは、化学量論組成に対してアルミニウム
元素が過剰な組成であるので、特に発光領域となる蛍光
体粉末表層(表面から約100nmまで)における母体
結晶のペースト焼成による、熱劣化や、2価のユーロピ
ウムの酸化が抑えられるものと推定している。
【0044】また、アルミニウム元素の過剰量は化学量
論組成に対して、10%以下であることが好ましい。過
剰量が10%より大きいと、蛍光体粉末合成時に単一相
にならず副生成物が発生し、発光強度の低下ならびに色
度のy値が大きくなり、青色の色純度が低下しパネルで
の色再現性範囲が狭くなる傾向がある。好ましくは化学
量論組成に対して0.1〜9.5%の範囲内である。よ
り好ましくは1〜9%の範囲内であり、さらに好ましく
は2〜8%の範囲内である。
【0045】ここで、化学量論組成のアルミン酸塩とし
ては、例えば、MMgAl1423、MMgAl1017
MMg2Al1627、MMg2Al1424 、M2Mg2
1222 、M3Mg4l818 、M3Mg5Al1825
などが挙げられる。元素MはBa、SrおよびCaの少
なくとも1種を含むことが好ましい。なかでも、パネル
点灯時の発光強度低下ならび色度ずれが少ないという点
から、MMgAl10 17の原子式のアルミン酸塩がより
好ましく用いられる。
【0046】また、MMgAl1017の原子式のアルミ
ン酸塩蛍光体の場合、ペースト焼成による輝度低下や色
度ずれ抑制のためには、マグネシウム元素量が化学量論
組成に対して90〜100%であることが好ましい。マ
グネシウム元素量が化学量論組成に対して90%よりも
少ない場合、および100%よりも多い場合、ペースト
焼成後の輝度低下や色度ずれが大きくなる傾向にあるか
らである。
【0047】また、アルミン酸塩蛍光体の2価のユーロ
ピウムの置換量が元素Mに対して5〜20at%の範囲
内であることが好ましい。置換量が5at%より小さい
と、パネル化後の長時間点灯により2価のユーロピウム
の近傍に深いエネルギー準位をもつ電子トラップが形成
されて、発光強度低下および色度ずれが大きくなること
がある。置換量が20at%より大きくなるとペースト
焼成による発光強度の低下および色度ずれが大きくなる
ことがあり、また、50at%以上では濃度消光により
未焼成の蛍光体粉末まで発光強度が低下する傾向にあ
る。
【0048】蛍光体粉末の粒子径は、レーザー回折散乱
法(例えばマイクロトラック製HRA粒度分布計を用い
た湿式測定)で測定される累積平均粒子径D50が0.5
〜10μmの範囲内、さらには1〜5μmの範囲内であ
ることが好ましい。より好ましくは2〜3.5μmであ
る。平均粒径を0.5μm以上とすることで粉末の凝集
性を抑え、ペーストの塗布性を良好なものとし、塗布膜
および焼成後の蛍光体層の緻密性や均質性をより良好な
ものとすることができる。10μm以下とすることで焼
成後の蛍光体層表面の凹凸を抑え、発光の乱反射による
輝度の低下や輝度のばらつきをより防ぐことができる。
【0049】また、蛍光体粉末の最大粒子径は40μm
以下、さらには20μm以下とすることが好ましい。最
大粒径を40μm以下とすることで焼成後の蛍光体層の
凹凸をより抑えることができる。さらに20μm以下に
することは、粉末の充填性にも好ましい。また、最大粒
径は、蛍光体ペーストの塗布方法とも関わり、スクリー
ン印刷法の場合はメッシュの開口率に関係し、ディスペ
ンサー法などのノズル内径と関係してくるので、これら
の点を考慮することが肝心である。
【0050】次に本発明の蛍光体ペーストを用いたディ
スプレイ用部材ならびディスプレイ一例のPDPについ
て作製手順に沿って説明するが、これらに特に限定され
ず、FEDやVFDなどにも好ましく適用することがで
きる。ディスプレイ用部材とは、画像表示に用いる蛍光
体粉末からなる蛍光体層を有するものである。
【0051】(背面板)本発明のPDP用部材としての
背面板に用いる基板としては、ソーダガラスの他にPD
P用の耐熱ガラスである旭硝子社製の“PD200”や
日本電気硝子社製の“PP8”を用いることができる。
【0052】ガラス基板上に銀やアルミニウム、クロ
ム、ニッケルなどの金属によりアドレス電極を放電セル
のピッチにてストライプ状に形成する。形成する方法と
しては、これらの金属の粉末と有機バインダーを主成分
とする金属ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷す
る方法や、有機バインダーとして感光性有機成分を用い
た感光性金属ペーストを塗布した後に、フォトマスクを
用いてパターン露光し、不要な部分を現像工程で溶解除
去し、さらに、通常400〜600℃に加熱・焼成して
金属パターンを形成する感光性ペースト法を用いること
ができる。また、ガラス基板上にクロムやアルミニウム
等の金属を蒸着した後に、レジストを塗布し、レジスト
をフォトマスクを用いてパターン露光・現像した後にエ
ッチングにより、不要な部分の金属を取り除くエッチン
グ法を用いることができる。
【0053】電極厚みは1〜10μmが好ましく、2〜
5μmがより好ましい。電極厚みが薄すぎると抵抗値が
大きくなり正確な駆動が困難となる傾向にあり、また消
費電力も上昇する、厚すぎると材料が多く必要になり、
コスト的に不利な傾向にある。アドレス電極の幅が細す
ぎると抵抗値が高くなり正確な駆動が困難となる傾向に
あり、太すぎると隣合う電極間の距離が短くなるため、
ショート欠陥が生じやすい傾向にある。さらに、アドレ
ス電極は表示セル(画素の各RGBを形成する領域)に
応じたピッチで形成される。通常のPDPでは100〜
500μmピッチ、高精細PDPにおいては100〜2
50μmのピッチで形成するのが好ましい。さらに、放
電の安定化のためにアドレス電極層の上に誘電体層を設
けても良い。
【0054】アドレス電極層を形成したガラス基板上
に、電極層と平行に位置した隔壁をサンドブラスト法、
型転写法、フォトリソグラフィー法等によって形成す
る。本発明に使用する隔壁の材料としては特に限定され
ず、珪素およびホウ素の酸化物を含有するガラス材料が
適用される。また、屈折率が1.5〜1.68のガラス
材料を70重量%以上含むことがフォトリソグラフィー
法によって形成する場合有利である。隔壁形状として
は、特に限定されないが、ストライプ状、井桁状、六角
形状などがよい。
【0055】電極層および隔壁層を形成したガラス基板
上に蛍光体層を、感光性蛍光体ペーストを用いたフォト
リソグラフィー法、ディスペンサー法、スクリーン印刷
法等によって形成する。本発明に使用する赤色と緑色の
蛍光体材料は特に限定されず、蛍光体粉末が適用され
る。例えば、赤色では、Y23:Eu、YVO4:E
u、(Y、Gd)BO3:Eu、Y23S:Eu、γ−
Zn3(PO42:Mnがある。緑色では、Zn2GeO
2:Mn、BaAl1219:Mn、Zn2SiO4:M
n、LaPO4:Tb、ZnS:Cu,Al、Zn2Si
4:Mn,As、(ZnCd)S:Cu,Al、Zn
O:Znなどがある。青色は、前述した本発明の板状で
あり、かつ格子定数cが22.630オングストローム
以下である2価のユーロピウムを賦活したアルミン酸塩
蛍光体や金属を含んだリン酸塩が蛍光体に対して重量被
覆率0.01〜3%で被覆されている2価のユーロピウ
ムを賦活したアルミン酸塩蛍光体をを用いる。このよう
にして、背面板を作製することができる。
【0056】(前面板)前面板に用いるガラス基板につ
いては、背面板に述べたものと同様である。ガラス基板
上に、酸化錫、ITOなどの透明電極をリフトオフ法、
フォトエッチング法などによって形成する。
【0057】次に、透明電極を形成したガラス基板上
に、銀やアルミ、銅、金、ニッケル等をスクリーン印刷
や感光性導電ペーストを用いたフォトリソグラフィー法
によって、バス電極層をパターン形成する。
【0058】透明電極およびバス電極を形成したガラス
基板上に、透明誘電体層をスクリーン印刷法などにより
形成する。本発明に使用する透明誘電体材料は特に限定
されないが、PbO、B23、SiO2を含有する誘電
体材料が適用される。
【0059】さらに、透明誘電体層を保護し放電電圧を
下げる目的で、透明誘電体層を覆う形で保護膜を形成す
る。保護膜には、一般にアルカリ土類金属の酸化物を用
いることができる。特にMgOは耐スパッタ性に優れ、
2次電子放出係数が高いため、好ましく適用される。M
gO保護膜は電子ビーム蒸着法、Mgターゲットの反応
性スパッタ法、イオンプレーティング法で形成する。こ
のようにして前面板を作製することができる。
【0060】(プラズマディスプレイ)これらプラズマ
ディスプレイ用部材の背面板と前面板を用いて、背面板
と前面板と封着後、前背面の基板間隔に形成された空間
に、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される放
電ガスを封入後、駆動回路を装着してプラズマディスプ
レイを作製できる。
【0061】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に
説明する。但し、本発明はこれに限定されない。
【0062】(測定方法) (1)格子定数c 格子定数cは、広角X線回折測定装置を用いてX線回折
プロファイルを測定し、ミラー指数(004)面、(0
06)面、(008)面の各回折線のピーク角度から算
出した。X線は、湾曲結晶モノクロメーターを使用した
Cu−Kα線を用いた。線源の出力は50KV−200
mAとした。測定はステップ幅0.02°でステップス
キャンで行った。スリットはDS:1°、RS:0.1
5mm、SS:1°とした。測定にはペースト焼成後の
蛍光体粉末を用いた。
【0063】(2)組成分析および重量被覆率 Ba、Mg、Al、Sr、Euの組成分析は、蛍光体約
0.1gを炭酸ナトリウムとホウ酸で融解し、純水で加
熱溶解した後、硝酸で酸性とし純水で定容とした後、こ
の溶液を希硝酸で希釈した後、セイコーインスツルメン
ツ(株)製シーケンシャル型ICP発光分析装置(SP
S4000)を用いて、各元素について含有量を求め、
相対値を算出した。なお、酸素の分析を行わなかったの
で、以下には化学量論組成式MMgAl1017の場合、
酸素量はO17と記載した。
【0064】また、重量被覆率は次のように求めた。金
属を含んだリン酸を被覆した蛍光体を組成分析と同様に
ICP発光分析装置を用いて分析し、含有していたリン
量および被覆層中の金属量から、被覆されているリン酸
塩としての重量を算出し、蛍光体自身の重量との比率を
求めた。リン酸塩中の金属がMg、Al、Baの場合、
これらの元素は蛍光体中にも存在しているので次のよう
に算出した。被覆していない蛍光体の分析値からMg、
Al、Baの各元素量とEu量の比(M1/Eu)を算
出し、次に同様にしてリン酸塩を被覆した蛍光体を分析
し同元素とEu量の比(M2/Eu)を求める。そし
て、次式より蛍光体中に存在した元素とリン酸塩中に存
在した元素の比を出し、この比を用いてリン酸塩を被覆
した蛍光体の分析値から、リン酸塩中の金属の重量およ
びリン酸塩としての重量を算出した。
【0065】 {(M2/Eu)−(M1/Eu)}/(M1/Eu) (3)平均粒径 平均粒径は、蛍光体粉末約数十mgを純水中に超音波で
分散させた後、レーザー回折散乱法を利用した粒度分布
計(マイクロトラック社製HRA粒度分布計“MODE
L No.9320−X100”を用いて)を用いて測
定した。累積平均粒子径D50を平均粒径とした。
【0066】(4)粉末形状 走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて粉末形状を観察
し、30個の粒子の長軸長l、短軸長mを求め、l/m
の平均値を求めた。l/mの平均値が2.0以上である
場合、板状とした。
【0067】(5)蛍光体の発光特性 蛍光体の発光特性である発光強度(エネルギー)と色度
は以下の通り測定した。蛍光体粉末約600mgを直径
24mm、深さ1mmのSUS製の皿(サンプルホルダ
ー)に盛り、ガラス板を押し当てて平らにする。この試
料をチャンバー内に入れ、一度、ロータリーポンプでチ
ャンバー内を5Pa以下に真空引きした後、純度99.
9%以上の窒素ガスを流し、そのまま30分間放置して
チャンバー内を窒素ガスで置換する。その後、ウシオ電
機製エキシマ光発光ランプH0012(照射口:直径2
7mm)を内蔵したエキシマ光照射装置から146nm
紫外光を入射角20度で試料面から25cm離れたとこ
ろから照射する。発光強度と色度の測定は、試料面の真
上23cmから大塚電子社製瞬間マルチ測光システムM
CPD−2000で測定した。
【0068】一方、ペースト焼成後の発光特性を測定す
る試料は、蛍光体ペーストをスクリーン印刷法(スクリ
ーン版:SUS#200)を用いてガラス基板上に乾燥
厚み30μmになるように形成した塗布膜を、80℃の
オーブンで30分間乾燥させ、その後焼成炉に入れ、5
00℃で15分間焼成したものを掻き取り上記と同じサ
ンプルホルダーに入れ測定した。
【0069】ペースト焼成発光維持率は、蛍光体粉末の
発光強度の分光スペクトルの積分値(エネルギー)をI
p、蛍光体ペーストにして焼成した後の蛍光体粉末の発
光エネルギーIsとした場合、Is/Ip×100
(%)で示したものである。
【0070】(6)パネルの発光特性 パネルの輝度、色度は、放電維持電圧170V、周波数
30kHz、パルス幅3μmの放電条件で全面白色点灯
させ、ミノルタ社製の分光放射輝度計CS−1000を
用いて測定した。また、青色画素のみを点灯させ点灯初
期の輝度L0および色度y0を測定し、さらに上記駆動条
件で全面白色点灯を500時間行った後青色画素のみ点
灯させて輝度L500および色度y500を測定した。点灯発
光維持率は、(L500/y500)/(L0/y0)×100
にて算出した。
【0071】(7)平均厚み 透過電子顕微鏡(TEM)用のサンプルをフォーカスイ
オンビーム(FIB)で作製し、300kVの透過電子
顕微鏡を用いて蛍光体の断面像を観察し、被覆が形成さ
れている領域の厚みを求めた。厚みは、蛍光体の断面像
において10ヶ所の被覆層の厚みを求め、平均値を算出
した。
【0072】(8)表面被覆率 (7)と同様に蛍光体の断面像を観察し、30個の蛍光
体粉末において、被覆層で蛍光体表面が覆われている蛍
光体表面の線分と、覆われていない蛍光体表面の線分の
比率を求め、これを表面被覆率とした。
【0073】(9)ペーストの連続塗布特性 蛍光体ペーストをスクリーン印刷法により42インチガ
ラス基板150枚を印刷し、印刷後のスクリーン版を3
00倍のデジタルマイクロスコープで観察し、スクリー
ン版のメッシュ部分に蛍光体ペーストとは異なる高粘度
な異物が付着しているかを調べた。判定基準は次の通り
である。すなわち、上記の判定実施後、高粘度な異物
(繊維くずなどは除く)がスクリーン版開口部の1個以
上に付着し、完全に塞いでいる場合を“×”、開口部に
おいて50%程度付着している場合を“△”、ほとんど
付着していない場合を“○”と判定した。
【0074】(実施例1)炭酸バリウム、酸化ユーロピ
ウム、塩基性炭酸マグネシウム三水和物、γ−アルミナ
の原料を組成にあわせて計量し、フラックスのフッ化ア
ルミニウムを原料のγ−アルミナのアルミナ原子に対し
て数at%添加しボールミルにて十分混合した。その
後、窒素・水素(5%)混合の還元雰囲気中で最高温度
1450℃で昇温降下時間を含めて12時間掛けて1次
焼成を行った。
【0075】次に、焼成分を粉砕、分級し再度上記と同
一条件で2次焼成を行った後、酸素ガス雰囲気中で40
0℃の温度で2時間焼成した。更に、焼成分を分級、洗
浄、乾燥、選別の処理を行い、アルミン酸塩蛍光体Ba
0.9MgAl1017:Eu0.1を得た。格子定数cは2
2.629オングストロームであった。平均粒径は3.
1μmであった。粉末形状はl/m=4.5で板状であ
った。
【0076】次に、背面板を作製した。“PD200”
3インチガラス基板上に感光性銀ペースト用いて、幅2
00μm、厚み3μm、ピッチ430μmのアドレス電
極を形成した。
【0077】次いで誘電体層をスクリーン印刷法により
20μm形成した。次いで感光性隔壁ペーストを用いた
フォトリソグラフィー法により幅60μm、高さ120
μm隔壁を形成した。青色蛍光体は、前述したBa0.9
MgAl1017:Eu0.1を、赤色蛍光体は(Y,G
d,Eu)BO3、緑色蛍光体は(Zn,Mn)2SiO
4を用いた。テルピネオール:ベンジルアルコール:エ
チルセルロース=10:70:18の比率であらかじめ
80℃で加熱溶解した樹脂成分溶液を用意し、蛍光体粉
末80重量%、樹脂成分(固形分)20重量%となるよ
うに蛍光体粉末と樹脂成分溶液を、3本ローラーで混練
し蛍光体ペーストを得た。この蛍光体ペーストを、孔径
150μm吐出口ノズルを使用したディスペンサー法で
隔壁上に隔壁底部と側部とも約30μmとなるように塗
布した。80℃、20分の乾燥後、大気中で500℃、
15分の焼成を行い、蛍光体ペースト中の有機成分の除
去を行った。かくして背面板を作製した。
【0078】次に、前面板を作製した。旭硝子社製”P
D200”3インチのガラス基板上に、ITOを用い
て、ピッチ1290μm、線幅470μmのスキャン電
極を形成した。また、その基板上に感光性銀ペースト法
で電極幅120μm、厚み3μmのバス電極を形成し
た。
【0079】次に、透明誘電体ガラスペーストをスクリ
ーン印刷により、表示部分のバス電極が覆われるように
30μmの厚みで透明誘電体を形成した。誘電体を形成
した基板上に電子ビーム蒸着により保護膜として、厚み
0.5μmの酸化マグネシウム層を形成して前面板を作
製した。
【0080】前面板と背面板の各電極が垂直に位置する
ように配置し、PbO、B23、セラミックフィラーな
どからなるガラスフリットを用いて、前面板と背面板の
封着を行った。封着後、封着した前面板と背面板内部を
350℃程度に加熱しながら真空排気を行い、室温に冷
却後Xe5%−Ne bal.ガスを66.5kPaま
で封入した。最後に、駆動回路を実装し、PDPを完成
した。
【0081】(実施例2)アルミン酸塩蛍光体の組成を
実施例1に対してAlを4%過剰にしたBa0.9MgA
10.417:Eu0.1とした以外は実施例1同様に蛍光
体粉末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の格子定
数cは22.627オングストロームであった。平均粒
径は3.3μmであった。粉末形状はl/m=4.1で
板状であった。
【0082】(実施例3)アルミン酸塩蛍光体の組成を
実施例1に対してAlを7%過剰にしたBa0.9MgA
10.717:Eu0.1とした以外は実施例1同様に蛍光
体粉末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の格子定
数cは22.628オングストロームであった。平均粒
径は3.0μmであった。粉末形状はl/m=5.2で
板状であった。
【0083】(実施例4)アルミン酸塩蛍光体の組成を
実施例1に対してAlを4%過剰にし、さらにMg量を
97%にしたBa0.9Mg0.97Al10.417:Eu0.1
した以外は実施例1同様に蛍光体粉末、およびPDPを
作製した。蛍光体粉末の格子定数cは22.625オン
グストロームであった。平均粒径は3.1μmであっ
た。粉末形状はl/m=4.7で板状であった。
【0084】(比較例1)蛍光体粉末作製時の酸素雰囲
気中での焼成を行わなかったに以外は、実施例1と同様
に蛍光体粉末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の
格子定数cは22.650オングストロームであった。
平均粒径は2.9μmであった。粉末形状はl/m=
4.3で板状であった。
【0085】(比較例2)蛍光体粉末作製原料であるγ
−アルミナを平均粒径2.0μmの球状アルミナにした
以外は、実施例1と同様に蛍光体粉末、およびPDPを
作製した。蛍光体粉末の格子定数cは22.635オン
グストロームであった。平均粒径は2.6μmであっ
た。粉末形状はl/m=1.8で球状であった。
【0086】(比較例3)アルミン酸塩蛍光体の組成を
実施例1に対してAlを15%過剰にしたBa0. 9Mg
Al11.517:Eu0.1とした以外は実施例1同様に蛍
光体粉末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の格子
定数cは22.660オングストロームであった。平均
粒径は3.4μmであった。粉末形状はl/m=3.7
で板状であった。
【0087】実施例1〜4および比較例1〜3の、l/
m、格子定数c、ペースト焼成後およびパネル化後の発
光特性を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】実施例1〜4の発光強度は、比較例1に対
して高く、ペースト焼成発光維持率も90%以上あり、
ペースト焼成後の色度yも小さい。パネル化後の白色輝
度、点灯発光維持率も良好であるので、パネル化後の輝
度低下が少なく高輝度なディスプレイである。特に、実
施例4は実施例1〜4の中で最も高輝度であり、より良
好な発光特性を示している。
【0090】(実施例5)アルミン酸塩蛍光体の組成を
Baに対するEuの置換量を0.2にしたBa0. 8Mg
Al1017:Eu0.2にした以外は実施例1同様に蛍光
体粉末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の格子定
数cは22.622オングストロームであった。平均粒
径は3.4μmであった。粉末形状はl/m=4.9で
板状であった。
【0091】(実施例6)アルミン酸塩蛍光体の組成を
Baに対するEuの置換量を0.2にし、さらに実施例
1に対してAlを6%過剰にしたBa0.8MgAl10.6
17:Eu0.2とした以外は実施例1同様に蛍光体粉
末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の格子定数c
は22.624オングストロームであった。平均粒径は
3.2μmであった。粉末形状はl/m=5.3で板状
であった。
【0092】(実施例7)アルミン酸塩蛍光体の組成を
Baに対するEuの置換量を0.2にし、さらに実施例
1に対してAlを4%過剰にしたBa0.8MgAl10.4
17:Eu0.2とした以外は実施例1同様に蛍光体粉
末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の格子定数c
は22.629オングストロームであった。平均粒径は
3.5μmであった。粉末形状はl/m=4.0で板状
であった。
【0093】(実施例8)アルミン酸塩蛍光体の組成を
Ba:Eu:Sr=0.7:0.2:0.1にしたBa
0.7Sr0.1MgAl10.417:Eu0.2とした以外は実
施例1同様に蛍光体粉末、およびPDPを作製した。蛍
光体粉末の格子定数cは22.626オングストローム
であった。平均粒径は3.2μmであった。粉末形状は
l/m=4.7で板状であった。
【0094】(実施例9)アルミン酸塩蛍光体の組成を
Baに対するEuの置換量を0.2にしたBa0. 8Mg
Al1017:Eu0.2にし、蛍光体粉末72重量%、樹
脂成分(固形分)28重量%とし蛍光体ペーストを作製
した以外は実施例1同様に蛍光体粉末、およびPDPを
作製した。蛍光体粉末の格子定数cは22.624オン
グストロームであった。平均粒径は3.4μmであっ
た。粉末形状はl/m=4.6で板状であった。
【0095】(比較例4)蛍光体粉末作製時の酸素雰囲
気中での焼成を行わず、さらにアルミン酸塩蛍光体の組
成をBaに対するEuの置換量を0.2にした以外は、
実施例1と同様に蛍光体粉末、およびPDPを作製し
た。蛍光体粉末の格子定数cは22.648オングスト
ロームであった。平均粒径は3.6μmであった。粉末
形状はl/m=4.5で板状であった。
【0096】(比較例5)蛍光体粉末作製の原料である
γ−アルミナを平均粒径2.0μmの球状アルミナに
し、さらにアルミン酸塩蛍光体の組成をBaに対するE
uの置換量を0.2にした以外は、実施例1と同様に蛍
光体粉末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の格子
定数cは22.628オングストロームであった。蛍光
体粉末の平均粒径は2.4μmであった。粉末形状はl
/m=1.7で球状であった。実施例5〜9、および比
較例4、5のl/m、格子定数c、ペースト焼成後およ
びパネル化後の発光特性を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】実施例5〜9の発光強度は、比較例4、5
に比べて高く、ペースト焼成発光維持率も高い。点灯発
光維持率も良好であるので、長時間点灯によるパネル化
後の輝度低下が少なく高輝度なディスプレイである。
【0099】(実施例10)バインダー樹脂をポリメチ
ルメタクレリートに変えた以外は、実施例1と同様に蛍
光体粉末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の格子
定数cは22.628オングストロームであった。蛍光
体粉末の平均粒径は3.3μmであった。粉末形状はl
/m=4.5で板状であった。
【0100】(実施例11)バインダー樹脂をポリメチ
ルメタクレリートに変え、さらにアルミン酸塩蛍光体の
組成を実施例1に対してAlを7%過剰にしたBa0.9
MgAl10.717:Eu0.1とした以外は実施例1同様
に蛍光体粉末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の
格子定数cは22.627オングストロームであった。
平均粒径は3.6μmであった。粉末形状はl/m=
5.2で板状であった。
【0101】(比較例6)蛍光体粉末作製時の酸素雰囲
気中での焼成を行わず、さらにバインダー樹脂をポリメ
チルメタクレリートに変えた以外は、実施例1と同様に
蛍光体粉末、およびPDPを作製した。蛍光体粉末の格
子定数cは22.650オングストロームであった。平
均粒径は3.4μmであった。粉末形状はl/m=4.
3で板状であった。
【0102】実施例10、11、および比較例6のl/
m、格子定数、ペースト焼成後およびパネル化後の発光
特性を表3に示す。
【0103】
【表3】
【0104】実施例10、11の発光強度は、比較例6
と同等であるが、ペースト焼成発光維持率が高く、また
パネル化後の白色輝度、点灯発光維持率も良好であるの
でパネル化後の輝度低下が少なく高輝度なディスプレイ
である。
【0105】(実施例12)蛍光体粉末作成後に、純水
中でリン酸水素バリウム1重量部と蛍光体100重量部
をよく撹拌し、加熱し純水を蒸発させた後、大気中で3
50℃に加熱することで、蛍光体表面にバリウムを含ん
だリン酸塩を被覆した以外は、比較例1と同様に蛍光体
およびPDPを作製した。
【0106】(実施例13〜15)被覆するリン酸塩中
の金属をカルシウムとし、重量被覆率を表4の通りとな
るように調整した以外は実施例12と同様に蛍光体およ
びPDPを作製した。
【0107】(実施例16)蛍光体粉末作成後に、硫酸
マグネシウムとリン酸水素二ナトリウムの混合溶液に蛍
光体と炭酸水素ナトリウムを入れ、350℃に加熱する
ことで蛍光体表面にリン酸マグネシウムを被覆した以外
は、比較例1と同様に蛍光体およびPDPを作製した。
【0108】(実施例17)重量被覆率を表4の通りに
なるように調整した以外は、蛍光体粉末の作製およびP
DPの作製を実施例2と同様に行い、蛍光体の被覆は実
施例16と同様に行った。
【0109】(実施例18)重量被覆率を表4の通りに
なるように調整した以外は、蛍光体粉末の作製およびP
DPの作製を実施例4と同様に行い、蛍光体の被覆は実
施例13と同様に行った。
【0110】(実施例19)重量被覆率を表4の通りに
なるように調整した以外は、蛍光体粉末の作製およびP
DPの作製を実施例5と同様に行い、蛍光体の被覆は実
施例13と同様に行った。
【0111】(比較例7、8)重量被覆率を表4の通り
となるように調整した以外は、蛍光体粉末の作製および
PDPの作製を比較例1と同様に行い、蛍光体の被覆は
実施例13と同様に行った。比較例8では、実施例12
に比べて被覆後の初期輝度が30%も低かった。
【0112】(比較例9)重量被覆率を表4の通りとな
るように調整した以外は、蛍光体の粉末の作製およびP
DPの作製を比較例1同様に行い、蛍光体の被覆は実施
例16と同様に行った。実施例12に比べて被覆後の初
期輝度が30%も低かった。
【0113】実施例12〜19、比較例7〜9に被覆の
形態、連続塗布特性、ペースト焼成粉末発光維持率、パ
ネル点灯発光維持率の評価結果を示す。
【0114】
【表4】
【0115】実施例12〜19は、連続塗布特性と、ペ
ースト焼成粉末発光維持率およびパネル点灯発光維持率
が両立している。中でも、実施例17、18は発光特性
に優れている。したがって、生産効率が高く、高輝度な
ディスプレイである。
【0116】一方、比較例7は連続塗布塗布特性が良好
であるものの、発光維持率が良好ではない。また、比較
例8、9では、発光維持率が良好であるが、連続塗布特
性が悪い。
【0117】
【発明の効果】本発明によれば、2価のユーピウムを賦
活したアルミン酸塩蛍光体において、蛍光体の母体組成
を改良したので、ぺースト焼成工程における発光強度の
低下ならび色度ずが少なく、すなわち発光維持率が高
く、パネル発光輝度が高いディスプレイ用蛍光体ペース
トおよびそれを用いたディスプレ部材ならびディスプレ
イを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマディスプレイの分解斜視図。
【符号の説明】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H001 CA02 CA06 CC12 XA08 XA12 XA13 XA20 XA38 XA56 YA63 5C040 FA01 FA04 GB03 GB14 GG07 MA03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2価のユーロピウムを賦活したアルミン酸
    塩蛍光体と樹脂成分を含む蛍光体ペーストであって、前
    記アルミン酸塩蛍光体が板状であり、かつ格子定数cが
    22.630オングストローム以下であることを特徴と
    するディスプレイ用蛍光体ペースト。
  2. 【請求項2】2価のユーロピウムを賦活したアルミン酸
    塩蛍光体と樹脂成分を含む蛍光体ペーストであって、前
    記アルミン酸塩蛍光体が板状であり、かつ金属を含むリ
    ン酸塩がアルミン酸塩蛍光体に対して重量被覆率0.0
    1〜3%で被覆されていることを特徴とするディスプレ
    イ用蛍光体ペースト。
  3. 【請求項3】樹脂成分がセルロース系樹脂またはアクリ
    ル系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記
    載のディスプレイ用蛍光体ペースト。
  4. 【請求項4】アルミン酸塩蛍光体を70〜95重量%、
    樹脂成分を5〜30重量%含むことを特徴とする請求項
    1または2に記載のディスプレイ用蛍光体ペースト。
  5. 【請求項5】2価のユーロピウムを賦活したアルミン酸
    塩蛍光体からなる蛍光体層を有するディスプレイ用部材
    であって、前記アルミン酸塩蛍光体が板状であり、かつ
    格子定数cが22.630オングストローム以下である
    ことを特徴とするディスプレイ用部材。
  6. 【請求項6】2価のユーロピウムを賦活したアルミン酸
    塩蛍光体からなる蛍光体層を有するディスプレイ用部材
    であって、前記アルミン酸塩蛍光体が板状であり、かつ
    金属を含むリン酸塩がアルミン酸塩蛍光体に対して重量
    被覆率0.01〜3%で被覆されていることを特徴とす
    るディスプレイ用部材。
  7. 【請求項7】金属を含むリン酸塩の平均厚みが1〜15
    nmであることを特徴とする請求項6に記載のディスプ
    レイ用部材。
  8. 【請求項8】金属がLi、K、Mg、Ca、Al、B
    a、Agの群から少なくとも1種以上含むことを特徴と
    する請求項6に記載のディスプレイ用部材。
  9. 【請求項9】金属を含むリン酸塩が蛍光体表面に対し
    て、表面被覆率50〜100%で被覆されていることを
    特徴とする請求項6に記載のディスプレイ用部材。
  10. 【請求項10】アルミン酸塩蛍光体のアルミニウム元素
    が化学量論組成に対して過剰であることを特徴とする請
    求項5または6に記載のディスプレイ用部材。
  11. 【請求項11】アルミン酸塩蛍光体のアルミニウム元素
    の過剰量が化学量論組成に対して10%以下であること
    を特徴とする請求項10に記載のディスプレイ用部材。
  12. 【請求項12】アルミン酸塩蛍光体の化学量論組成式が
    MMgAl1017であり、かつ元素MがBa、Srおよ
    びCaの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項
    5または6に記載のディスプレイ用部材。
  13. 【請求項13】アルミン酸塩蛍光体のマグネシウム元素
    の量が化学量論組成に対して90〜100%であること
    を特徴とする請求項12記載のディスプレイ用部材。
  14. 【請求項14】アルミン酸塩蛍光体の2価のユーロピウ
    ムの置換量が元素Mに対して5〜20at%であること
    を特徴とする請求項12に記載のディスプレイ用部材。
  15. 【請求項15】請求項5〜14のいずれかに記載のディ
    スプレイ用部材を用いてなることを特徴とするディスプ
    レイ。
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