JP2000294036A - 絶縁電線 - Google Patents

絶縁電線

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JP2000294036A
JP2000294036A JP11365949A JP36594999A JP2000294036A JP 2000294036 A JP2000294036 A JP 2000294036A JP 11365949 A JP11365949 A JP 11365949A JP 36594999 A JP36594999 A JP 36594999A JP 2000294036 A JP2000294036 A JP 2000294036A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高度の難燃性と優れた機械特性を有し、任意
の色に着色でき、圧接性に優れ、かつ、廃棄時の埋立に
よる重金属化合物やリン化合物の溶出や、焼却による多
量の煙、腐食性ガスの発生などの問題がなく量産性に優
れた絶縁樹脂組成物を使用した絶縁電線を提供する。 【解決手段】 導体外周に絶縁樹脂組成物を被覆した絶
縁電線において、絶縁樹脂組成物がエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン
−(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から
選ばれた少なくとも1種95〜30重量%、少なくとも
一部がけん化されたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂5
〜50重量%、並びに不飽和カルボン酸で変性されたポ
リオレフィン樹脂0〜25重量%からなる樹脂成分10
0重量部に対し、架橋性のシランカップリング剤で表面
処理された金属水和物150〜280重量部およびメラ
ミンシアヌレート化合物0〜70重量部を含有してなる
ことを特徴とする絶縁電線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、埋立、焼却などの
廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の煙、腐
食性ガスの発生がない絶縁樹脂組成物および電気・電子
機器の内部および外部配線に使用される絶縁電線に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電気・電子機器の内部および外部配線に
使用される絶縁電線には、難燃性、引張特性、耐熱性な
ど種々の特性が要求される。このため、これら絶縁電線
の被覆材料として、ポリ塩化ビニル(PVC)コンパウ
ンドや分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン
系難燃剤を配合した、エチレン系共重合体を主成分とす
る樹脂組成物を使用することがよく知られている。近
年、このような被覆材料を用いた絶縁電線を適切な処理
をせずに廃棄した場合の種々の問題が提起されている。
例えば、埋立により廃棄した場合には、被覆材料に配合
されている可塑剤や重金属安定剤の溶出、また焼却した
場合には、多量の腐食性ガスの発生、ダイオキシンの発
生などという問題が起こる。このため、有害な重金属や
ハロゲン系ガスなどの発生がないノンハロゲン難燃材料
で電線を被覆する技術の検討が盛んに行われている。従
来のノンハロゲン難燃材料は、ハロゲンを含有しない難
燃剤を樹脂に配合することで難燃性を発現させたもので
あり、このような被覆材料の難燃剤としては、例えば、
水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水
和物が、また、樹脂としては、ポリエチレン、エチレン
−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三
元共重合体などが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで電子機器内に
使用される電子ワイヤハーネスには、安全性の面から高
い難燃性が要求されており、非常に厳しい難燃性規格
UL1581(Reference Standard
for Electrical Wires,Cab
les, and Flexible Cords)な
どに規定される垂直燃焼試験(Vertical Fl
ame Test)のVW−1規格やJIS C300
5に規定される60度傾斜難燃特性をクリアするもので
なければならない。さらに、難燃性以外の特性について
も、ULや電気用品取締規格などで、伸び100%、力
学的強度10MPa以上という高い力学的強度が要求さ
れている。ノンハロゲン難燃材料を用いた絶縁電線にお
いてこのような高度の難燃性と力学的強度を実現するた
めに、以下のような技術が検討されてきた。まず、赤燐
と水酸化マグネシウムを併用した絶縁組成物が検討され
てきたが、赤燐の発色のために電線を白をはじめとする
任意の色に着色できないことや、廃棄する際に赤燐が地
中に流出し湖沼を富養化するおそれがあることなどの問
題がある。また、水酸化マグネシウムを多量に加えた絶
縁組成物が検討されているが、絶縁体の肉厚によっては
燃えてしまうことがあり、また、難燃性が不十分であっ
たり、力学的強度が著しく低下したりするという問題が
ある。特開平2−75642号公報には、ポリオレフィ
ン又はエチレン系共重合体に対して無機難燃材とメラミ
ンシアヌレート化合物を併用した例が開示されている。
しかしこの組成物を用いた絶縁電線では前記のVW−1
規格に不適合であり、また通常用いられる高級脂肪酸で
表面処理した水酸化マグネシウムを200重量部程度ま
で加えてゆくと力学的強度が著しく低下する。特開平7
−133386号公報においてもエチレン−酢酸ビニル
共重合体をベースとする絶縁組成物が開示されている
が、やはりVW−1規格に適合する難燃性は得られてい
ない。
【0004】さらに絶縁電線には、絶縁電線被覆層の端
末を剥がし各種金属端末と接続するものと、被覆層がか
ぶった状態のまま圧接加工により金属製の端子と電線の
導体を直接接続させるものがある。また圧接加工する際
には電線を固定するためのプラスチック製のストレング
リリーフを固定することが行われる。このうち金属製の
端子と圧接加工する際には、金属製の端子が接触した部
分の電線の被覆層のみをきれいに破ることが要求され、
被覆層が余分に裂けて導体露出しないことが必要とされ
る。またストレングリリーフを固定する際には電線の被
覆層がつぶれると、固定が不十分となる。また電線を通
す際の水平保持性の点から、被覆層には高い硬度や電線
の張りが要求される。これらの要求性能をすべて満たす
電線としては、従来は、硬質のPVC電線が使用されて
いる。しかし通常のVW−1に適合する高難燃のノンハ
ロゲンのポリオレフィン系樹脂組成物で被覆した絶縁電
線の場合は柔らかいので、圧接時に被覆が裂けて導体が
露出してしまったり、水平保持性が悪いので圧接加工時
の通線性が悪かったり、ストレングリリーフを固定した
場合の被覆層のつぶれが大きく抜けやすいという問題が
ある。これらのような場合圧接加工が不可能であった
り、また加工時間がかかり製品の量産性に乏しくなる。
また難燃性を向上させるために、VA含有量が35より
高い高VAの酢酸ビニル共重合体をベース材料として主
成分として使用すると、ペレットのブロッキングが生
じ、電線押し出し量産時に問題が生じる。本発明は、高
度の難燃性と優れた機械特性を有し、任意の色に着色で
き、圧接性に優れ、かつ、廃棄時の埋立による重金属化
合物やリン化合物の溶出や、焼却による多量の煙、腐食
性ガスの発生などの問題がなく量産性に優れた絶縁樹脂
組成物及びこの組成物を使用した絶縁電線を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、樹脂材料
としてエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アク
リル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種を用
い、上記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、ベース樹
脂の一部に、少なくとも一部がけん化されたエチレン酢
酸ビニル共重合体、必要に応じて不飽和カルボン酸で変
性されたポリオレフィン樹脂、並びにスチレン系エラス
トマー、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴムからな
る群から選ばれた少なくとも1種を使用し、難燃材とし
て特定の表面処理剤で処理された金属水和物と必要に応
じてメラミンシアヌレート化合物を特定量、難燃材とし
て含有するエチレン系共重合体樹脂組成物により、VW
−1規格に適合する優れた難燃特性を有し、しかも機械
特性、電気特性に優れ、押し出し時にブロッキング等を
生じさせずに量産性に優れ、かつ燃焼時にダイオキシン
などの有害物質を発生しない絶縁電線が得られることを
見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
【0006】すなわち本発明は、(1)導体外周に絶縁
樹脂組成物を被覆した絶縁電線において、絶縁樹脂組成
物がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル
共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種95〜
30重量%、少なくとも一部がけん化されたエチレン酢
酸ビニル共重合体樹脂5〜50重量%、並びに不飽和カ
ルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂0〜25重量
%からなる樹脂成分100重量部に対し、架橋性のシラ
ンカップリング剤で表面処理された金属水和物150〜
280重量部およびメラミンシアヌレート化合物0〜7
0重量部を含有してなることを特徴とする絶縁電線、
(2)導体外周に絶縁樹脂組成物を被覆した絶縁電線に
おいて、絶縁樹脂組成物がエチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から選ばれ
た少なくとも1種92〜30重量%、少なくとも一部が
けん化されたエチレン酢酸ビニル共重合体5〜50重量
%、不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン樹脂
0〜25重量%、並びにスチレン系エラストマー、アク
リルゴムおよびエチレンプロピレンゴムからなる群から
選ばれた少なくとも1種3〜35重量%からなる樹脂成
分100重量部に対し、架橋性シランカップリング剤で
表面処理した金属水和物150〜280重量部及びメラ
ミンシアヌレート化合物0〜70重量部を含有してなる
ことを特徴とする絶縁電線、を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エ
チレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる
群から選ばれた少なくとも1種並びに少なくとも一部が
けん化されたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂をベース
樹脂とし、必要に応じて不飽和カルボン酸で変性された
ポリオレフィン樹脂、並びにスチレン系エラストマー、
アクリルゴムおよびエチレンプロピレンゴムからなる群
から選ばれた少なくとも1種を加え、架橋性のシランカ
ップリング剤で表面処理された金属水和物を配合するこ
とにより、機械特性、難燃性(垂直難燃性など)および
圧接加工性が優れた絶縁樹脂組成物とし、メラミンシア
ヌレートを配合することによりさらに難燃性の向上が可
能になる。本発明の絶縁樹脂組成物の作用として、けん
化されたエチレン酢酸ビニル共重合体の難燃性はけん化
される前のエチレン酢酸ビニル共重合体と同レベル以上
の難燃効果を有しつつ、硬度を上昇させ、さらに耐薬品
性を向上させる働きがある。さらにある一定の範囲で加
えることにより、圧接時における被覆部の割れをなく
し、電線のたわみ性を抑え圧接加工時の通線性を向上さ
せることが可能となる。また、この金属水和物がビニル
基またはエポキシ基を末端に有するシランカップリング
剤で表面処理を行ったものであることにより、組成物を
架橋したときにVW−1規格適合レベルの非常に高い難
燃性を発現し、さらに、金属水和物の配合量を増やして
も、要求される高い力学的強度を維持できる。また、燃
焼したときに金属水和物が水を発生しつつ表面に殻を形
成したうえで、メラミンシアヌレート化合物が内部から
ガスを発生することにより完全に消火できるため、非常
に高い難燃性を有すると考えられる。必要に応じてさら
にスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛およびホウ酸亜鉛
から選ばれる少なくとも1種を配合することにより、燃
焼時の殻の形成速度が速くなり、さらに難燃性が向上さ
せることができる。
【0008】以下、本発明の絶縁樹脂組成物に含まれる
成分について説明する。 (A)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アク
リル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種 本発明の絶縁樹脂組成物は、ベース樹脂にエチレン−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エ
チレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる
群から選ばれた少なくとも1種を(A)成分として用い
る。本発明においては、エチレン−(メタ)アクリル酸
エステル共重合体とは、エチレン−アクリル酸エステル
共重合体とエチレン−メタクリル酸エステル共重合体の
両方を指すものとし、具体的には例えば、エチレン−ア
クリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリ
ル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸
ブチル共重合体(EBA)、エチレン−メタクリル酸メ
チル共重合体(EMMA)、エチレン−メタクリル酸エ
チル共重合体(EMEA)などが挙げられる。これら
は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いても
よい。難燃性向上の点からは、エチレン−酢酸ビニル共
重合体が好ましい。また、難燃性を向上させるうえでエ
チレンに対し共重合させた共重合成分の含有量(例えば
エチレン−酢酸ビニル共重合体ではVA含有量、エチレ
ン−エチルアクリレート共重合体ではEA含有量)が2
2〜47重量%が好ましく、さらに好ましくは25〜4
2重量%、特に好ましくは25〜35重量%である。ま
た、エチレン系共重合体のMFR(メルトフローレイ
ト)は、強度保持および樹脂の混練り加工性の面から
0.2〜20、さらに好ましくは0.5〜10が好まし
い。本発明において(A)成分の量は樹脂成分中95〜
30重量%、好ましくは85〜35重量%で使用され
る。他の樹脂成分としてアクリルゴム、スチレン系エラ
ストマーおよびエチレン−プロピレンゴムからなる群か
ら選ばれた1種を配合した場合には、樹脂成分中92〜
30重量%で使用される。
【0009】(B)少なくとも一部がけん化されたエチ
レン酢酸ビニル共重合体 少なくとも一部がけん化されたエチレン酢酸ビニル共重
合体は、エチレン酢酸ビニル共重合体のけん化物であ
り、分子鎖中に水酸基もしくはアセトキシ基と水酸基を
含むポリマーである。具体的には東ソー株式会社より商
品名:メルセンHとして販売されている。けん化された
エチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量は、2
0〜47重量%が好ましく、さらに好ましくは25〜4
2重量%である。またけん化率は40〜100%が好ま
しい。けん化率とはVA部位のけん化されている割合
(水酸基になっている割合)であり、例えばNMRによ
って測定される。この部分けん化されたエチレン酢酸ビ
ニル共重合体は、樹脂成分中5〜50重量%の割合で配
合することができる。この配合量が5重量%より少ない
と実質的に効果が少なく、また50重量%より多いと伸
びが著しく低下したり、押し出しが著しく困難になる。
【0010】(C)不飽和カルボン酸で変性されたポリ
オレフィン樹脂 不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィンとは、直
鎖状ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリ
エチレン、ポリプロピレンやエチレン−酢酸ビニル(V
A)共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレ
ン−エチルアクリレート(EA)共重合体、エチレン−
メタクリレート共重合体等のエチレン系共重合体、不飽
和カルボン酸やその誘導体で変性された樹脂のことであ
り、変性に用いられる不飽和カルボン酸としては、例え
ば、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられ、
不飽和カルボン酸の誘導体としては、マレイン酸モノエ
ステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタ
コン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタ
コン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、
無水フマル酸などがある。ポリオレフィンの変性は、例
えば、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸等を有機パー
オキサイドの存在下に溶融、混練することにより行うこ
とができる。マレイン酸の変性量は通常0.5〜7重量
%程度である。不飽和カルボン酸で変性されたポリオレ
フィンは樹脂とフィラーの接着、エチレン系共重合体と
スチレン系エラストマー、スチレン系樹脂を側鎖に有す
るポリオレフィン、エチレンプロピレンゴムの相溶化剤
としての効果があり、電気特性の向上や浸水させたとき
の絶縁抵抗の低下を抑える効果やコンパウンドの強度を
高める効果がある。配合量は樹脂成分100重量%中の
うち0〜25重量%、さらに好ましくは2〜15重量%
で使用することができる。この成分が25重量%を越え
ると著しく伸びが低下する。
【0011】(D)スチレン系エラストマー、アクリル
ゴム、エチレンプロピレンゴムからなる群から選ばれた
少なくとも1種 本発明においては、樹脂成分100重量部中3〜35重
量%の範囲内でスチレン系エラストマー、アクリルゴ
ム、エチレンプロピレンゴムからなる群から選ばれた少
なくとも1種を(D)成分として使用することができ
る。スチレン系エラストマーとしては、スチレンの重合
体ブロックSと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
ロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体
又はこれを水素添加して得られるもの、あるいはこれら
の混合物であり、例えば、S−B−S、B−S−B−
S、S−B−S−B−Sなどの構造を有するビニル芳香
族化合物‐共役ジエン化合物ブロック共重合体あるい
は、これらの水素添加されたもの等を挙げることができ
る。これらの共役ジエン化合物としては、例えば、ブタ
ジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−
ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種また
は2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンお
よびこれらの組合せが好ましい。上記(水添)ブロック
共重合体の具体例としては、SBS、SIS、SEB
S、SEPS等を挙げることができる。アクリルゴムは
単量体成分としてはアクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル等のアクリル酸アルキルと各種官能基を有する単量体
を少量共重合させて得られるゴム弾性体であり、共重合
させる単量体としては、2−クロルエチルビニルエーテ
ル、メチルビニルケトン、アクリル酸、アクリロニトリ
ル、ブタジエン等を適宜使用することができる。具体的
には、Nipol AR(商品名、日本ゼオン社製)、
JSR AR(商品名、JSR社製)等を使用すること
ができる。特に単量体成分としてはアクリル酸メチルを
使用するのが好ましく、その場合には、エチレンとの二
元共重合体やこれにさらにモノマー成分としてカルボキ
シル基を有するモノマーを共重合させた三元共重合体を
特に好適に使用することができる。具体的には、二元共
重合体の場合にはベイマックDやベイマックDLSを、
三元共重合体の場合にはベイマックGやベイマックHG
やベイマックLS(商品名、いずれも三井・デュポンポ
リケミカル社製)を使用することができる。エチレン−
プロピレンゴムとしては、エチレンとプロピレンだけか
らなるEPM、さらに非共役ジエンを少量共重合させた
3成分系共重合体EPDMが使用できる。EPDMに使
用される非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエ
ン、5−エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエ
ン等を使用したものを使用することができる。本発明に
おいて(D)成分を加えることにより、電線に弾性を与
えることができ、圧接時において電線が押し込み潰れが
生じた場合においても、加工後外圧が無くなった時点で
潰れが解消され、外観を良好に保つことが可能となる。
またスチレン系エラストマーやエチレン−プロピレンゴ
ムを加えた場合、電線の絶縁抵抗を高く保つことが可能
となる。これらのアクリルゴム、スチレン系エラストマ
ーおよび/またはエチレン−プロピレンゴムは樹脂成分
中3〜35重量%の割合で使用することができる。その
量が3重量%より少ないと実質的に効果が少なく、35
重量%を越えると電線自体が柔らかくなり圧接性が低下
したり、被覆材の抗張力が低下したり、圧接時に電線被
覆部に割れが生じたりする。
【0012】(E)架橋性のシランカップリング剤で表
面処理した金属水和物 本発明において用いることのできる金属水和物の種類は
特に制限はないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグ
ネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、オルト珪酸アルミ
ニウム、ハイドロタルサイドなどの水酸基あるいは結晶
水を有する金属化合物があげられ、1種単独でも、2種
以上を組み合わせて用いてもよい。これらの金属水和物
のうち、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好
ましい。また、上記金属水和物の表面処理に用いられる
シランカップリング剤は、ビニル基またはエポキシ基を
末端に有するものであり、例えば、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエ
トキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリ
ロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられ
る。これらのビニル基またはエポキシ基を末端に有する
シランカップリング剤は1種単独でも、2種以上併用し
て使用してもよい。
【0013】本発明で用いることができるシランカップ
リング剤表面処理水酸化アルミニウムとしては、表面未
処理の水酸化アルミニウム(ハイジライトH42M(商
品名、昭和電工社製)など)を上記のビニル基又はエポ
キシ基を末端に有するシランカップリング剤により表面
処理したものなどがあげられる。また、本発明で用いる
ことができるシランカップリング剤表面処理水酸化マグ
ネシウムとしては、表面無処理のもの(市販品として
は、キスマ5(商品名、協和化学社製)など)、ステア
リン酸、オレイン酸などの脂肪酸で表面処理されたもの
(キスマ5A(商品名、協和化学社製)など)、リン酸
エステル処理されたものなどを上記のビニル基又はエポ
キシ基を末端に有するシランカップリング剤により表面
処理したもの、またはビニル基又はエポキシ基を末端に
有するシランカップリング剤によりすでに表面処理され
た水酸化マグネシウムの市販品(キスマ5LH、キスマ
5PH(いずれも商品名、協和化学社製)など)があ
る。また、上記以外にも、予め脂肪酸やリン酸エステル
などで部分的に表面処理した水酸化マグネシウムや水酸
化アルミニウムに追加的にビニル基又はエポキシ基を末
端に有するシランカップリング剤を用い表面処理を行っ
た金属水和物なども用いることができる。
【0014】金属水和物の表面処理を行う場合は、未処
理又は部分表面処理金属水和物に予め又は混練りの際シ
ランカップリング剤をブレンドして行うことができる。
このときのシランカップリング剤は、表面処理するに十
分な量が適宜加えられるが、具体的には金属水和物に対
し0.3〜2重量%が好ましい。本発明においては、ビ
ニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリン
グ剤で表面処理された金属水和物は、絶縁体としたとき
の高い力学的強度を維持するだけでなく、燃焼時に殻形
成を促進する。したがって、この金属水和物とメラミン
シアヌレート化合物を併用することにより難燃性が飛躍
的に向上し、VW−1規格に適合し得る絶縁樹脂組成物
とすることができる。本発明においてこの金属水和物の
配合量は、樹脂成分100重量部に対して、150重量
部〜280重量部、好ましくは170〜260重量部で
ある。この金属水和物の配合量が少なすぎると要求され
る難燃性が確保できず、また多すぎると力学的強度が著
しく低下する。
【0015】またビニル基又はエポキシ基を末端に有す
るシランカップリング剤で表面処理された金属水和物と
ともに、ビニル基又はエポキシ基を末端に有するシラン
カップリング剤以外で表面処理された金属水和物や無処
理の金属水和物を用いることもできるが、全金属水和物
の60重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上が
ビニル基又はエポキシ基を末端に有するシランカップリ
ング剤で表面処理された金属水和物となるようにするの
が好ましい。本発明においては必要に応じ、上記の金属
水和物の分散性を向上するため、亜鉛、マグネシウム、
カルシウムから選ばれる少なくとも1種の脂肪酸金属塩
を配合することができる。脂肪酸金属塩の脂肪酸として
は、例えば、オレイン酸、、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸などがあり、ステアリ
ン酸が好ましい。脂肪酸金属塩を用いる場合には、エチ
レン系共重合体及び変性ポリオレフィン樹脂の合計10
0重量部に対し1〜10重量部が好ましい。
【0016】(F)メラミンシアヌレート化合物 本発明で用いるメラミンシアヌレート化合物は、粒径が
細かい物が好ましい。本発明で用いるメラミンシアヌレ
ート化合物の平均粒径は好ましくは10μm以下、より
好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下で
ある。また、分散性の面から表面処理されたメラミンシ
アヌレート化合物が好ましく用いられる。本発明で用い
ることのできるメラミンシアヌレート化合物としては、
例えばMCA−0、MCA−1(いずれも商品名、三菱
化学社製)や、Chemie Linz Gmbhより上市されている
ものがある。また脂肪酸で表面処理したメラミンシアヌ
レート化合物、シラン表面処理したメラミンシアヌレー
ト化合物としては、MC610、MC640(いずれも
商品名、日産化学社製)などがある。本発明で用いるこ
とのできるメラミンシアヌレート化合物として、例えば
以下のような構造のメラミンシアヌレートがある。
【0017】
【化1】
【0018】本発明においてメラミンシアヌレート化合
物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して0〜70
重量部、好ましくは0〜60重量部である。メラミンシ
アヌレート化合物が少なすぎると難燃性向上の効果が発
現せず、多すぎると力学的強度、特に伸びが低下し、電
線としたときの外観が著しく悪くなる。
【0019】本発明の絶縁樹脂組成物には、必要に応じ
スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びホウ酸亜鉛から
選ばれる少なくとも1種を配合することができ、さらに
難燃性を向上することができる。これらの化合物を用い
ることにより、燃焼時の殻形成の速度が増大し、殻形成
がより強固になる。従って、燃焼時に内部よりガスを発
生するメラミンシアヌレート化合物とともに、難燃性を
飛躍的に向上させることができる。本発明で用いるホウ
酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛は平均粒子
径が5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好まし
い。本発明で用いることのできるホウ酸亜鉛として、具
体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2Z
nO/3B23 ・3.5H2 O)、FRC−600
(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。またス
ズ酸亜鉛(ZnSnO 3 )、ヒドロキシスズ酸亜鉛(Z
nSn(OH)6 )として、アルカネックスZS、アル
カネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学社製)な
どがある。
【0020】本発明の絶縁樹脂組成物には、電線・ケ−
ブルにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤、
例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充
填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜
配合することができる。酸化防止剤としては、4, 4’
−ジオクチル・ジフェニルアミン、N, N’−ジフェニ
ル−p−フェニレンジアミン、2, 2, 4−トリメチル
−1, 2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸
化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−
(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート)、オクタデシル−3−(3, 5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト、1, 3, 5−トリメチル−2, 4, 6−トリス
(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチ
ル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)
−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプ
トベンゾイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリス
リトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネ
ート)などのイオウ系酸化防止剤などがあげられる。
【0021】金属不活性剤としては、N, N’−ビス
(3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロ
イル)アミノ−1, 2, 4−トリアゾール、2, 2' −
オキサミドビス−(エチル3−(3, 5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などが
あげられる。難燃(助)剤、充填剤としては、カーボ
ン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグ
ネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコ
ーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、ホワイトカーボンなどがあげられる。
【0022】滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂
肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん
系などがあげられ、なかでも、ワックスE、ワックスO
P(いずれも商品名、Hoechst社製)などの内部
滑性と外部滑性を同時に示すエステル系滑剤が好まし
い。
【0023】本発明の絶縁樹脂組成物は、上記の各成分
を、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、
ロールなど、通常用いられる混練装置で溶融混練して得
ることができる。
【0024】次に本発明の絶縁電線について説明する。
本発明の絶縁電線は、導体が、上記の本発明の絶縁樹脂
組成物により被覆されたものであり、本発明の絶縁樹脂
組成物を通常の電線製造用押出成形機を用いて導体周囲
に押出被覆し架橋処理を行わないものや、その後、その
被覆層を架橋することにより製造することができる。被
覆層を架橋体とすることにより、耐熱性の向上のみなら
ず、難燃性も向上する。架橋の方法は特に制限はなく、
電子線架橋法や化学架橋法で行うことができる。電子線
架橋法で行う場合、電子線の線量は1〜30Mradが
適当であり、効率よく架橋をおこなうために、トリメチ
ロールプロパントリアクリレートなどのメタクリレート
系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合
物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官
能性化合物を架橋助剤として配合してもよい。化学架橋
法の場合は樹脂組成物に、ヒドロペルオキシド、ジアル
キルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシ
エステル、ケトンペルオキシエステル、ケトンペルオキ
シドなどの有機過酸化物を架橋剤として配合し、押出成
形被覆後に加熱処理により架橋をおこなう。本発明の絶
縁電線の導体径や導体の材質などは特に制限はなく、用
途に応じて適宜定められる。導体の周りに形成される絶
縁樹脂組成物の被覆層の肉厚も特に制限はないが、0.
15〜1mmが好ましい。特に圧接用電線は薄肉であり、
さらに好ましくは肉厚0.18mm〜0.5mm、さらに好
ましくは0.18mm〜0.35mm厚で設計なされる。ま
た、絶縁層が多層構造であってもよく、本発明の絶縁樹
脂組成物で形成した被覆層のほかに中間層などを有する
ものでもよい。
【0025】
【実施例】実施例1〜13、比較例1〜6 まず、表1〜3に示す各成分を室温にてドライブレンド
し、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して、各絶縁
樹脂組成物を製造した。次に、電線製造用の押出被覆装
置を用いて、導体(導体径0.48mmφの錫メッキ軟
銅撚線 構成:7本/0. 16mmφ)上に、予め溶融
混練した絶縁樹脂組成物を押し出し法により被覆して、
各々絶縁電線を製造した。外径は0.98mm(被覆層の
肉厚0.25mm)とし、被覆後、8Mradで電子線
照射して架橋を行った。なお、表1〜3に示す各成分は
下記のものを使用した。
【0026】(01)エチレン−酢酸ビニル共重合体 VA含有量 33重量% (02)エチレン−酢酸ビニル共重合体 VA含有量 41重量% (03)エチレン−酢酸ビニル共重合体 VA含有量 28重量% (04)部分けん化エチレン−酢酸ビニル共重合体 VA含有量 28重量% ケン化率100% メルセンH−6051(東ソー(株)) (05)部分けん化エチレン−酢酸ビニル共重合体 VA含有量 41重量% ケン化率90% メルセンH−6960(東ソー(株)) (06)アクリルゴム ベイマックDLS(商品名、三井デュポンポリケミカル
社製) (07)SEPS(水素化スチレン・ブタジエンブロッ
クコポリマー) セプトン2063(商品名、クラレ社製) (08)エチレン−プロピレンゴム EP07P(商品名、JSR社製) (09)マレイン酸変性ポリプロピレン ER313E(商品名、JPO社製) (10)無処理水酸化マグネシウム キスマ5(商品名、協和化学社製) (11)末端にビニル基を有するシランカップリング剤
表面処理水酸化マグネシウム キスマ5LH(商品名、協和化学社製) (12)水酸化アルミニウム ハイジライトH42M(商品名、昭和電工社製) (13)末端にビニル基を有するシランカップリング剤 TSL8311(商品名、東芝シリコーン社製) ビニルエトキシシラン (14)末端にエポキシ基を有するシランカップリング
剤 TSL8350(商品名、東芝シリコーン社製) (15)メラミンシアヌレート MC640(商品名、日産化学社製) (16)ヒンダートフェノール系老化防止剤 イルガノックス1010(商品名、チバガイギー社製) (17)TMPTM(トリメチロールプロパントリメタ
クリレート) オグモントT−200(商品名、新中村化学社製) (18)ステアリン酸亜鉛 粉末ステアリン酸亜鉛(日本油脂)
【0027】得られた各絶縁電線について、以下の試験
を行った。結果を表1〜3に示した。 1)伸び、抗張力 各絶縁電線の伸び(%)と被覆層の抗張力(MPa)
を、標線間25mm、引張速度500mm/分の条件で
測定した。伸びおよび抗張力の要求特性はそれぞれ、各
々100%以上、10MPa以上である。 2)線のたわみ量 電線に力を加え、電線の線ぐせを取り除いた後、長さ2
0cmの電線を水平にセットし、セット位置から先端の
垂直方向の変位をたわみ量とし、たわみ量の変位量を測
定した。たわみ量は12cm以内が通線性が良好、15
cm程度になると通線性が著しく低下する。 3)圧接加工性 実際圧接加工を行い、自動圧接装置の通線のしやすさと
圧接部の割れを観測した。問題ないものは○、問題があ
る場合×とした。 4)難燃性 各絶縁電線について、UL1581の Vertica
l Flame Test をおこない、合格数を示し
た(合格数/N数)。また、合格数がN数(全数)と等
しいものについては最大燃焼時間を測定した。 5)絶縁抵抗 各絶縁電線について、JIS C 3005に規定され
る絶縁抵抗を測定し、下記換算式によって体積固有抵抗
を算出した。体積固有抵抗の要求特性は、1×1013Ω
cm以上である。 ρ=(L/3.665)・(1/(log10(D/
d)))・107 6)電線の量産性 電線の量産性を電線の押出可能線速、及び押出時の材料
のブロッキング性で以下のように評価した。○:押し出
し速度100m/分以上で押出可能で外観がよく、押出
機内で材料がブロッキングしない。×:押出負荷、外
観、押出機内のブロッキング性のいずれかに問題あり。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】実施例1〜13の絶縁電線は、UL等で規
定されている伸び(100%以上)、抗張力(10MP
a以上)、難燃性(VW−1 5/5)の条件を全て満
足している。さらに電線のたわみ量、圧接加工性、電線
の量産性も満足している。けん化されたエチレン酢酸ビ
ニル共重合体量を樹脂成分中45重量%まで増加させる
ことにより、電線のたわみ量が小さくなるが(実施例
3、6)、それよりけん化されたEVA量が少ない場合
でも圧接加工性が合格している(実施例1、2、4、
5)。さらにけん化されたEVAを配合しない場合、た
わみ量が大きく圧接加工性が悪くなったり、コンパウン
ドが量産時にブロッキングしやすくなることにより電線
の量産性が低下する(比較例1、2)。けん化されたE
VAの配合量が55重量%の場合には圧接部に割れが発
生するとともに、押出負荷が大きくなり、量産性が困難
になる(比較例3)。シラン処理水酸化マグネシウムの
量が165部及び260部では全ての特性に合格してい
るが、130重量部になると難燃性が不合格となり、3
00部加えると伸びが不適合になるだけでなく、圧接部
で電線が割れてしまう(実施例9,10、比較例4、
5)。またメラミンシアヌレートを90重量部加える
と、伸びが不適合になるだけでなく、圧接部で電線が割
れてしまう。(実施例6、比較例6) さらにシランカップリング処理の水酸化マグネシウムは
予め処理なされているものを使用しても問題ないし(実
施例1〜13、16)、コンパウンド時に行っても差異
はないし(実施例14)、水酸化アルミニウムを用いて
も問題ない(実施例15)。また、マレイン酸変性した
ポリプロピレンを配合することにより、抗張力および体
積固有抵抗の両方を高い値に維持することが可能になる
(実施例16)。またアクリルゴム、スチレン系エラス
トマー、エチレンプロピレンゴムゴムを併用するとたわ
み量は大きくなるものの、ストレングリリーフの潰れが
弾性により抑えられ、良好な圧着加工性を示している。
さらにスチレン系エラストマーやエチレンプロピレンゴ
ムを加えることにより、体積固有抵抗の改善が確認され
た。(実施例12、13,16) このようにエチレン系共重合体、部分けん化されたエチ
レン−酢酸ビニル共重合体、架橋性のシランカップリン
グ剤で表面処理された金属水和物を所定量併用した場合
のみ、伸び及び抗張力等の機械特性、電線のたわみ性、
圧接加工性、電気絶縁性、難燃性、電線の量産性を満足
することが可能であった。したがって本発明の組成物に
よって得られる物性は、これらの材料の複合的効果と考
えることができる。
【0032】
【発明の効果】本発明の絶縁樹脂組成物は、埋立、焼却
などの廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の
煙、腐食性ガスの発生がないノンハロゲン難燃材料であ
り、かつ、電気・電子機器の絶縁電線に要求される極め
て高い難燃性と力学的強度を満足することができる。ま
たリン系化合物を使用しないため、廃棄による湖沼等へ
の汚染のおそれもなく、さらに任意の色に着色、印刷で
きる。したがってこれを用いた本発明の絶縁電線は、極
めて高い難燃性と力学的強度を有し、着色、印刷も自在
で、電気・電子機器に配線される絶縁電線として好適に
用いることができ、廃棄における重金属化合物の溶出
や、多量の煙、腐食性ガスの発生などの問題がないとい
う優れた効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 3/44 H01B 3/44 M Fターム(参考) 4J002 BB06W BB07W BB08W BB15Z BB21Y BB22X BG04Z BP01Z DE076 DE146 DE236 DE286 DJ006 EU187 FB106 FB136 FD130 GQ01 5G303 AA06 AB20 BA12 CA09 CA11 CD03 5G305 AA02 AB25 AB35 BA12 BA13 CA01 CA02 CA04 CA06 CA07 CA47 CA51 CA55 CB15 CC03 CD13

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体外周に絶縁樹脂組成物を被覆した絶
    縁電線において、絶縁樹脂組成物がエチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン
    −(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から
    選ばれた少なくとも1種95〜30重量%、少なくとも
    一部がけん化されたエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂5
    〜50重量%、並びに不飽和カルボン酸で変性されたポ
    リオレフィン樹脂0〜25重量%からなる樹脂成分10
    0重量部に対し、架橋性のシランカップリング剤で表面
    処理された金属水和物150〜280重量部およびメラ
    ミンシアヌレート化合物0〜70重量部を含有してなる
    ことを特徴とする絶縁電線。
  2. 【請求項2】 導体外周に絶縁樹脂組成物を被覆した絶
    縁電線において、絶縁樹脂組成物がエチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン
    −(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から
    選ばれた少なくとも1種92〜30重量%、少なくとも
    一部がけん化されたエチレン酢酸ビニル共重合体5〜5
    0重量%、不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィ
    ン樹脂0〜25重量%、並びにスチレン系エラストマ
    ー、アクリルゴムおよびエチレンプロピレンゴムからな
    る群から選ばれた少なくとも1種3〜35重量%からな
    る樹脂成分100重量部に対し、架橋性シランカップリ
    ング剤で表面処理した金属水和物150〜280重量部
    及びメラミンシアヌレート化合物0〜70重量部を含有
    してなることを特徴とする絶縁電線。
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