JP2000290837A - ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法 - Google Patents
ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法Info
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Abstract
分な伸縮性と柔軟性を付与することが可能なポリアミド
潜在捲縮糸及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 粘度差を有する2種類のポリアミドをサ
イドバイサイド型に貼り合わせた繊維において、高粘度
ポリマーは相対粘度3.0〜3.5のナイロン6/66
共重合体、低粘度ポリマーは相対粘度2.0〜2.9の
ナイロン6であり、初期ヤング率が15〜25g/d、
捲縮率が40%以上であるポリアミド潜在捲縮糸。
Description
種類のポリアミドがサイドバイサイド型に配置された潜
在捲縮性能を有するポリアミド潜在捲縮糸及びその製造
方法に関するものである。
広く用いられている。衣料用ポリアミドの代表であるナ
イロン6やナイロン66等で一種類のポリマーからなる
単一糸は、繊維自体に伸縮性が殆どないため、仮撚加工
等を行って伸縮性を付与し、伸縮性のある織編物用に使
用している。しかしながら、このような単一糸に加工を
施したものでは、十分に満足できる伸縮性を有する布帛
を得ることは困難であった。
って伸縮性を有する布帛を得る方法や、あるいは、異な
る性質のポリマーを用い、染色等の熱処理で捲縮を発現
する潜在捲縮性能を有する複合繊維とすることによっ
て、伸縮性を有する布帛を得る方法が提案されている。
ウレタン系弾性糸が多く用いられるが、染色性や耐光性
が悪く、ナイロン6やナイロン66でカバーリング加工
をして用いるのが一般的である。また、特開平57−1
93521号公報には、伸縮性を有する繊維として、ナ
イロン系エラストマーとポリアミドをサイドバイサイド
型や偏芯芯鞘型に配した複合繊維が記載されているが、
これらの繊維はいずれも、カバーリングの加工費やポリ
ウレタン弾性糸及びナイロン系エラストマーが高価であ
りコスト面で不利であった。
て複合繊維にする場合には、繊維断面形状をサイドバイ
サイド型として、2成分のポリマーの粘度差を利用して
熱水収縮率差を持たせたり、あるいは、熱水収縮率の異
なるポリマーを用いることが一般的である。このような
複合繊維は、後加工等が必要ない分製造するにはコスト
面で有利であり、布帛にある程度の伸縮を付与すること
はできたが、十分に満足できる程度の伸縮を付与するこ
とはできなかった。
ポリウレタン等と比べて初期ヤング率が高く、柔軟性に
乏しく、布帛にしたときに風合の硬いものしか得られな
いという問題があった。
を解決するものであって、コスト面で有利に得ることが
でき、布帛に十分な伸縮性と柔軟性を付与することが可
能なポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法を提供する
ことを技術的な課題とするものである。
題を解決すべく検討した結果、本発明に到達した。すな
わち、本発明は、次の(1)、(2)を要旨とするもの
である。 (1)粘度差を有する2種類のポリアミドをサイドバイ
サイド型に貼り合わせた繊維において、高粘度ポリマー
は相対粘度3.0〜3.5のナイロン6/66共重合
体、低粘度ポリマーは相対粘度2.0〜2.9のナイロ
ン6であり、初期ヤング率が15〜25g/d、捲縮率
が40%以上であることを特徴とするポリアミド潜在捲
縮糸。 (2)粘度差を有する2種類のポリアミドをサイドバイ
サイド型の紡糸口金で溶融紡出し、冷却固化し、油剤を
付与した後、速度4000m/分以上で捲き取り、高配
向未延伸糸を得た後、延伸を行う製造方法において、得
られた高配向未延伸糸に、延伸倍率1.2〜1.5倍の
延伸と120〜160℃での熱処理を施す、(1)記載
のポリアミド潜在捲縮糸の製造方法。
する。本発明の潜在捲縮糸は、粘度差を有する2種類の
ポリアミドをサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維で
あって、高粘度ポリマーは相対粘度3.0〜3.5のナ
イロン6/66共重合体、低粘度ポリマーは相対粘度
2.0〜2.9のナイロン6である。
さらに、高速紡糸が可能となるように相対粘度が3.0
〜3.5である必要がある。したがって、相対粘度がこ
の範囲を超えると高速紡糸時の製糸性が劣り、低いと捲
縮性能が劣る。
て、ナイロン6にナイロン66を共重合した共重合ポリ
マーとする。ナイロン66の共重合割合は、5〜20モ
ル%とすることが好ましい。
得るために、熱水収縮率が小さく、安価なポリマーとし
て、ナイロン6を用い、その相対粘度は2.0〜2.
9、さらに好ましくは2.3〜2.7とする。2.0未
満であると、高粘度ポリマーとの粘度差が大きくなりす
ぎ、糸曲がりが大きく製糸性が悪くなる。一方、2.9
を超えると高粘度ポリマーとの粘度差が小さくなり、捲
縮性能に劣るものとなる。
マーとの相対粘度の差は、好ましくは、0.4〜1.
2、さらに好ましくは0.5〜1.0である。
もに本発明の効果を損なわない範囲であれば、艶消剤、
難燃剤、顔料等の種々の添加物を添加してもよい。
マーと低粘度ポリマーがサイドバイサイド型に貼り合わ
されたものであり、両成分の割合、貼り合わせ面の形状
は特に限定されるものではないが、重量比で高粘度ポリ
マー/低粘度ポリマーが2/1〜1/2程度とすること
が好ましい。そして、繊維の断面形状も丸断面のみなら
ず、各種の異形断面形状のものでもよい。
グ率が15〜25g/d、さらに好ましくは15〜20
g/dである。初期ヤング率をこの範囲内にすることに
よって、布帛に適度の柔軟性を持たせることができる。
したがって、初期ヤング率が15g/d未満であると布
帛が柔軟になりすぎ、25g/dを超えると、柔軟性に
乏しく、硬い風合の布帛となる。
良好な布帛を得るために、潜在捲縮が発現したときの捲
縮率が40%以上であることが必要である。これよりも
小さいと伸縮性が劣り好ましくない。ここで、捲縮率と
は、本発明の潜在捲縮糸を繊度測定用検尺器にて5回カ
セ取りを行い2重のループにし、1/6000g/dの
荷重をかけた状態で沸騰水中に30分間浸漬した後取り
出し、その状態で30分間風乾し、その後、荷重を1/
500g/dに変更して長さAを測定し、次に荷重1/
20g/dをかけて長さBを求め、次の式で算出するも
のである。 捲縮率(%)=〔(B−A)/B〕×100
囲内で変更すればある程度、捲縮率を調整することがで
きる。
ときに柔軟性、伸縮性に優れ、特に衣料用途に適したも
のであり、強度は3.0〜4.0g/d、伸度35〜4
5%、熱水収縮率10〜25%、単糸繊度2.0〜6.
0d程度のものである。
いて説明する。まず、粘度差を有する2種類のポリアミ
ドをサイドバイサイド型の紡糸口金で溶融紡出するが、
このとき、常用の複合紡糸装置を用いて、常用のサイド
バイサイド型の紡糸口金で溶融紡糸することができる。
そして、紡出された糸条を冷却固化し、油剤を付与した
後、速度4000m/分以上で捲き取り、高配向未延伸
糸を得る。
/分以上の速度で捲き取る必要がある。これよりも低い
と延伸倍率が大きくなり、捲縮性能が低下したり、初期
ヤング率が高くなり、柔軟性に劣るようになる。
施すことによって、上記のような本発明の潜在捲縮糸を
得るが、このとき、延伸は、延伸倍率1.2〜1.5倍
とし、熱処理は、120〜160℃で施す。本発明の製
造方法においては、熱処理と延伸の順序は、延伸と熱処
理を同時に行うか、もしくは延伸後に熱処理を行うこと
が好ましい。
の低倍率で行う。この範囲より小さいと強度が劣り、捲
縮率も低くなる。また、この範囲より大きいと初期ヤン
グ率が高くなり、柔軟性に乏しくなる。
性が低く、適度の熱処理を行わないと熱水収縮率が大き
く、捲縮による収縮以外に繊維自体も収縮を起こすこと
があるので、これを防ぐために、120〜160℃で熱
処理する。熱処理温度が120℃未満であると、繊維自
体の収縮を防ぐことができず、一方、160℃を超える
と、高粘度ポリマーの熱水収縮率が小さくなり、潜在捲
縮性能が低下し、好ましくない。
やローラを用いた延伸装置で行うことができるが、仮撚
加工を同時に行う場合は、仮撚加工機で延伸と熱処理を
行ってもよい。
する。なお、実施例における各物性値は、次の方法で測
定した。 (a)相対粘度 96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で
測定した。 (b)強伸度、初期ヤング率 島津製作所製オートグラフAGSー5G型を用いて、J
IS L 1013に準じて測定した。 (C)熱水収縮率 糸条を50cmのループにし、1/30g/dの初荷重
をかけて長さAを求め、次いでフリーにして沸騰水中に
15分間浸漬した後、自然乾燥し、再び1/30g/d
の荷重をかけて長さBを求め、次の式で算出した。 熱水収縮率(%)=〔(A−B)/A〕×100 (d)捲縮率 前記の方法で測定した。
い、高粘度ポリマーには相対粘度3.10のナイロン6
/66共重合体(ナイロン66の共重合量が15モル
%)を用いて常用の複合溶融紡糸装置にサイドバイサイ
ド型複合紡糸口金を装着し、低粘度ポリマーと高粘度ポ
リマーとの複合比(重量比)を1:1として、ポリマー
温度270℃で溶融紡出した。この複合繊維を冷却し、
油剤を付与した後、速度4360m/分の第1ローラに
引き取り、引き続いて延伸することなく速度4370m
/分の第2ローラに引き取り、速度4300m/分のワ
インダーに捲き取って65d/12fの丸断面形状の高
配向未延伸糸を得た。次に、得られた高配向未延伸糸
を、延伸ゾーンで径が6mmの非加熱延伸ピン(アルミ
ナ製)に1回掛けて表1に示した延伸倍率となるように
延伸しながら、長さ30cm、温度160℃の加熱板に
接触させて熱処理し、速度680m/分で引き取り、ス
ピンドル回転7600rpmのパーンにトラベラ32番
を用いて巻き取り、50d/12fの潜在捲縮糸を得
た。
を4155m/分、ワインダーの速度を4100m/分
とした以外は実施例1と同様に行った。
共重合体とした以外は実施例1と同様に行った。
共重合体とした以外は実施例1と同様に行った。
以外は実施例1と同様に行った。
以外は実施例1と同様に行った。
0m/分、ワインダー速度1500m/分で115d/
12fの低配向の未延伸糸を得た後、延伸倍率2.30
で延伸した以外は実施例1と同様に行った。
維の強度、伸度、熱水収縮率、初期ヤング率、捲縮率を
表1に示す。
繊維は、十分な捲縮性能と低い初期ヤング率を有し、強
度、伸度等にも優れ、製糸性も良好であった。一方、比
較例1の繊維は、延伸倍率が低すぎたため、初期ヤング
率が低すぎ、強度にも劣っていた。比較例2の繊維は、
延伸倍率が高すぎたため、初期ヤング率が高すぎ、熱水
収縮率も高かった。比較例3の繊維は、高粘度ポリマー
の相対粘度が低すぎたため、捲縮率の低い繊維となっ
た。比較例4の繊維は、高粘度ポリマーの相対粘度が高
すぎたため、糸切れが多く捲き取ることができなかっ
た。比較例5の繊維は、低粘度ポリマーの相対粘度が高
すぎたため、高粘度ポリマーとの差が小さくなり、捲縮
率の低い繊維となった。比較例6の繊維は、低粘度ポリ
マーの相対粘度が低すぎたため、高粘度ポリマーとの粘
度差が大きくなりすぎ、糸曲がりが激しく製糸が困難で
あった。また、比較例7の繊維は、低配向の未延伸糸を
延伸したものであるため、高い延伸倍率で延伸すること
が必要になり、強度は高いが初期ヤング率も高くなり、
捲縮性能にも劣るものとなった。
を発現させたときの捲縮率が高く、初期ヤング率が低い
ため、製編織した後、熱処理を施すと十分な伸縮性と柔
軟性を有する布帛とすることができる。そして、本発明
のポリアミド潜在捲縮糸の製造方法によれば、高速で紡
糸した高配向未延伸糸を用いているので、操業性よく、
低コストで本発明のポリアミド潜在捲縮糸を得ることが
できる。
Claims (2)
- 【請求項1】 粘度差を有する2種類のポリアミドをサ
イドバイサイド型に貼り合わせた繊維において、高粘度
ポリマーは相対粘度3.0〜3.5のナイロン6/66
共重合体、低粘度ポリマーは相対粘度2.0〜2.9の
ナイロン6であり、初期ヤング率が15〜25g/d、
捲縮率が40%以上であることを特徴とするポリアミド
潜在捲縮糸。 - 【請求項2】 粘度差を有する2種類のポリアミドをサ
イドバイサイド型の紡糸口金で溶融紡出し、冷却固化
し、油剤を付与した後、速度4000m/分以上で捲き
取り、高配向未延伸糸を得た後、延伸を行う製造方法に
おいて、得られた高配向未延伸糸に、延伸倍率1.2〜
1.5倍の延伸と120〜160℃での熱処理を施す、
請求項1記載のポリアミド潜在捲縮糸の製造方法。
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JP09866799A JP4226137B2 (ja) | 1999-04-06 | 1999-04-06 | ポリアミド潜在捲縮糸の製造方法 |
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KR100493508B1 (ko) * | 2001-12-28 | 2005-06-07 | 주식회사 효성 | 나이론 잠재권축사의 제조방법 |
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WO2021020354A1 (ja) * | 2019-07-31 | 2021-02-04 | 東レ株式会社 | ポリアミド複合繊維および加工糸 |
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1999
- 1999-04-06 JP JP09866799A patent/JP4226137B2/ja not_active Expired - Fee Related
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