JP2002180342A - 吸湿性ポリエステル混繊糸 - Google Patents

吸湿性ポリエステル混繊糸

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JP2002180342A
JP2002180342A JP2000383729A JP2000383729A JP2002180342A JP 2002180342 A JP2002180342 A JP 2002180342A JP 2000383729 A JP2000383729 A JP 2000383729A JP 2000383729 A JP2000383729 A JP 2000383729A JP 2002180342 A JP2002180342 A JP 2002180342A
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Kazunori Hashimoto
和典 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた吸湿性と十分な強度を有し、繊維のア
ルカリ減量速度を実用上問題ない範囲とし、かつ操業性
よく得ることができ、減量加工を施すことによって、ふ
くらみ感とソフトな風合いを有する布帛とすることがで
きるポリエステル混繊糸を提供する。 【解決手段】 PETを主体とする2種類の糸条A、B
で構成される混繊糸であって、糸条Aは下記(1)〜
(2)を満足し、糸条Aと糸条Bとの混繊比率が質量比
で30/70〜70/30であり、糸条Aの沸水収縮率が糸条B
の沸水収縮率より5%以上高い。 (1)20℃の水に対する溶解率が30質量%以下であるポ
リエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体を3
〜50質量%含有している。 (2)スルホン酸塩基含有化合物が全酸成分に対して0.
5〜5.0モル%、ダイマージオールがエチレンテレフタレ
ート成分に対して1〜10質量%共重合されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2種類の糸条から
なる混繊糸であって、布帛にしたときに、優れた吸湿性
とふくらみ感、かつ、ソフトな風合いを付与することが
できる吸湿性ポリエステル混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
るポリエステルは、優れた機械的特性および化学的特性
を有しており、広範な分野において使用されている。し
かし、ポリエステル繊維は疎水性であるために極めて吸
湿性が低く、インナー、中衣、スポーツ衣料等のような
直接肌に触れて、あるいは肌側に近い状態で着用される
分野に使用する場合は、肌からの発汗によるムレやベタ
ツキ等を生じ、快適性の点で天然繊維と比較して著しく
劣るという問題があった。
【0003】そこで、ポリエステル繊維に親水性または
吸湿性を付与しようとする試みが種々なされてきた。例
えば、特開昭62-267325号公報には、ポリアルキレング
リコール類を50〜70重量%配合してなるポリエステル組
成物が開示されている。しかし、このような組成物から
なる繊維は、耐薬品性に劣るものであり、特にアルカリ
による減量速度が著しく速くなってしまうという欠点を
有していた。
【0004】ポリエステル繊維はアルカリ減量加工を施
すことによりソフトな風合いを発現することが一般的に
行われているが、このようなアルカリによる減量速度が
速い繊維では、減量率をコントロールして減量加工を均
一に行うことができず、ソフトな風合いを有する繊維を
得ることができないという問題があった。
【0005】このような問題点を解決する方法として、
例えば、特開平2-99612号公報には、常温下で吸湿率が1
0重量%以上の吸湿性ポリマーを芯部とし、鞘部をポリ
エステルで覆った芯鞘型複合繊維が提案されている。し
かしながら、本発明者らの検討によると、このような方
法においてもアルカリ減量加工を行うことは実質上不可
能であった。すなわち、アルカリ減量加工時の熱水によ
り、芯部の吸湿性ポリマーが大きく膨潤し、複合繊維の
表面にひび割れを生じ、水に対する溶解性が高い芯部の
ポリマーが外部に流出してしまうという問題があった。
【0006】また、特開平9-228157号公報には、ポリエ
ステルからなる外層と内層の間に、ポリエーテル化合物
を含む吸湿性ポリマーの中間層が複合されており、か
つ、中空部を有する中空状三層複合繊維が提案されてい
る。このような繊維は、アルカリ減量加工時の熱水によ
り、中間層の吸湿性ポリマーが膨潤しても中空部が変形
することによって複合繊維の表面はひび割れを起こさ
ず、水に対する溶解性が高い中間層のポリマーが外部に
流出することがないようにしたものである。このような
繊維形態をとることにより、ある程度のアルカリ減量加
工は可能となるが、繊維の断面形状が複雑であるために
製糸の安定性に劣り、操業性が極めて悪いという問題が
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決し、優れた吸湿性と十分な強度を有し、繊維の
アルカリ減量速度を実用上問題ない範囲とし、かつ操業
性よく得ることができ、減量加工を施すことによって、
ふくらみ感とソフトな風合いを有する布帛とすることが
可能である吸湿性ポリエステル混繊糸を提供することを
技術的な課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するものであり、その要旨は、以下の通りである。ポ
リエチレンテレフタレートを主体とする2種類の糸条
A、Bで構成される混繊糸であって、糸条Aは下記
(1)〜(2)を満足し、糸条Aと糸条Bとの混繊比率
が質量比で30/70〜70/30であり、糸条Aの沸水収縮率
が糸条Bの沸水収縮率より5%以上高いことを特徴とす
る吸湿性ポリエステル混繊糸。 (1)20℃の水に対する溶解率が30質量%以下であるポ
リエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体を3
〜50質量%含有している。 (2)スルホン酸塩基含有化合物が全酸成分に対して0.
5〜5.0モル%、ダイマージオールがエチレンテレフタレ
ート成分に対して1〜10質量%共重合されている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の繊維は、ポリエチレンテレフタレート
(PET)を主体とする組成の異なる2糸条A、Bで構
成される混繊糸であり、糸条Aによって優れた吸湿性を
発現すると同時に、糸条Bによってソフトな表面風合い
を発現するものである。
【0010】まず、糸条Aについて説明する。糸条Aを
構成するPETは、20℃の水に対する溶解率が30質量%
以下であるポリエーテル化合物またはポリエーテル化合
物誘導体を3〜50質量%含有している。ポリエーテル化
合物又はポリエーテル化合物誘導体の水に対する溶解率
が30質量%を超えると、この成分がアルカリ減量加工時
に溶出しやすくなり、結果として、これを含有するポリ
エステル繊維のアルカリ減量速度が速くなる。
【0011】このようなポリエーテル化合物またはポリ
エーテル化合物誘導体の例としては次のようなものが挙
げられる。通常のポリアルキレンオキシドであれば、平
均分子量18000以上の高分子量ポリエチレングリコール
が好適である。ポリアルキレンオキシドの末端の一部ま
たは全部がイソシアネート化合物等と反応して架橋され
ているものも好適であり、市販品としては、住友精化社
製「アクアコーク」等が挙げられる。
【0012】ポリエーテル成分とポリアミド成分からな
るポリエーテルエステルアミドも好適であり、市販品と
しては三洋化成社製「ペレスタット」等が挙げられる。
また、プロピレンオキシドとエチレンオキシドの共重合
体で平均分子量が9000以上のものも水に対する溶解性は
低く、本発明に使用することが可能であるが、吸湿性を
損なわないためにはプロピレンオキシドの共重合割合が
20〜80モル%のものが好適である。
【0013】このポリエーテル化合物またはポリエーテ
ル化合物誘導体の含有量が3質量%より少ないと十分な
吸湿性が発現せず、50質量%より多いと製糸時の操業性
が著しく悪化するため好ましくない。
【0014】次に、糸条Aを構成するPETには、スル
ホン酸塩基含有化合物が全酸成分に対して0.5〜5.0モル
%、ダイマージオールがエチレンテレフタレート成分に
対して1〜10質量%、それぞれ共重合されていることが
必要である。スルホン酸塩基含有化合物は、PETを親
水化する効果があり、具体的には5-ナトリウムスルホイ
ソフタル酸等のスルホン酸塩基を有するイソフタル酸が
好適である。
【0015】スルホン酸塩基含有化合物の共重合割合
は、全酸成分に対して0.5〜5.0モル%の範囲とすること
が必要であり、より好ましくは0.5〜3.0モル%とする。
共重合割合が0.5モル%より低いと、繊維の吸湿性を向
上させる効果が不十分となり、一方、5.0モル%を超え
ると、十分な強度の繊維が得られず、また、アルカリ減
量速度が速くなるため好ましくない。
【0016】また、ダイマージオールとは、不飽和脂肪
族の低重合体から、分離および水素添加によってトリマ
ー酸、モノマー酸等の副生成物を除去した後に得られる
ダイマー酸を水素化して得られる脂肪族両末端ジオール
である。このダイマージオールは精製されたもので、95
質量%以上の純度を有するものが有利に使用され、市販
品としては、東亞合成社製「ベスポールHP-1000」(炭
素数36で、脂環族タイプ/直鎖脂肪族タイプ=75/25モル
%の水素添加ダイマージオール)等が挙げられる。
【0017】このダイマージオールは、アルカリによる
減量速度を低減する効果があるが、共重合割合がエチレ
ンテレフタレート成分に対して1質量%未満であるとそ
の効果が不十分となり、一方、10質量%を超えると、製
糸時の操業性が悪化し、繊維の強度が低下するため好ま
しくない。
【0018】一方、糸条Bは実質的にPETからなり、
具体的には、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が
90%以上のPETで構成される。糸条Bの重合度は通常
の溶融紡糸に用いられる範囲から選定でき、極限粘度が
0.4〜0.8の範囲となるものが好ましい。
【0019】糸条A、Bを構成するPETともに、本質
的な特性を損なわない限り、他の共重合成分を少量含有
していてもよく、これらの共重合成分としては、イソフ
タル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸等の脂
肪族ジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、1、4-シ
クロヘキサンジメタノール等のグリコール成分、4-ヒド
ロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカ
ルボン酸成分が挙げられる。また、艶消し剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、顔料、難燃剤、抗菌剤、導電性付与
剤等、他の成分を少量含有していてもよい。
【0020】本発明の混繊糸においては、糸条Aと糸条
Bとの混繊比率は、質量比で30/70〜70/30とすること
が必要である。この比率は優れた吸湿性と良好な風合い
を両立するために必要な値であり、糸条Aがこの範囲よ
り少ないと吸湿性が不十分となり、B成分がこの範囲よ
り少ないとソフト感に欠けるため、好ましくない。
【0021】糸条A、Bの断面形態は、通常の丸断面の
他、Y型、十字型等の異形断面や中空断面を適用するこ
とができる。特に、糸条Bの断面形状を表面積の大きい
異形断面とすることで、糸条の空隙部への水分の進入を
促進し、糸条Aの吸湿性能と相まって非常に高い吸湿性
能を得ることができる。この場合、糸条Bの断面形状
は、断面周長と断面積の関係が前記式(3)の範囲を満
たすものとすることが良好な吸湿性を得る上で特に好ま
しい。(3)式の範囲より断面周長が小さいと、通常の
丸断面の糸条を用いた場合と吸湿性能が変わらず、異形
にする効果が得られない。
【0022】また、混繊糸を織編物としたときにソフト
な風合いを発現するために、糸条A、Bの受熱時の収縮
率に差があることが必要であり、糸条Aの沸水収縮率を
糸条Bより5%以上高くする。糸条A、Bの収縮率に差
があることにより、糸条に織編、染色等の加工を施した
後に、糸条Bが布帛表面にソフト感、膨らみ感を醸しだ
し、糸条Aによる吸湿性能と相まって、布帛表面はあく
まで通常のポリエステルから得られるソフトな風合いで
ありながら、従来のポリエステルにはない優れた吸湿性
能を併せ持つ布帛を得ることができるものである。糸条
A、Bの沸水収縮率差が5%未満であると、良好なソフ
ト感を発現することができない。
【0023】次に、本発明の混繊糸の製造方法の一例に
ついて説明する。通常の溶融紡糸機により製造すること
ができ、両糸条を別工程で紡糸し、延伸または仮撚加工
時に両糸条を合糸混繊する2工程法の他、複合紡糸機を
用いて、両糸条を同一紡糸錘より吐出し、合糸混繊した
後に捲き取ることにより、一工程で混繊糸を得る方法も
採用できる。
【0024】紡糸温度は両ポリエステル成分の溶融粘度
によって適宜選定されるが、通常280〜310℃の範囲が好
ましい。紡出糸条は冷却固化した後、紡糸油剤を付与し
て1000〜4000m/分の速度で糸条を引取り、一旦捲き取っ
た後、延伸機により熱延伸を施すか、あるいは、引取っ
た糸条を紡糸に連続して熱延伸することにより、本発明
の繊維を得ることができる。延伸倍率は、引取った時点
での繊維の残留伸度によって適宜選定され、延伸後の残
留伸度が15〜40%の範囲になるように選定することが好
ましい。残留伸度がこの範囲より高いと十分な強度が発
現されず、また、残留伸度がこの範囲より低いと延伸時
に単糸の切断が発生する等、操業的に問題が生じ、好ま
しくない。
【0025】また、糸条Bの収縮率を低くするために、
糸条Bは延伸時に十分な熱処理が施されていることが必
要であり、表面温度が120〜200℃の加熱ローラまたはヒ
ートプレート等に接触させて延伸することが好ましい。
この際、糸条A、Bの延伸熱処理は別々に行ってもよい
が、糸条A、Bを同時に同じ温度の熱処理を行っても、
糸条Aの含有成分の影響により熱収縮率の差を発現させ
ることが可能である。混繊後の糸条は交絡付与装置によ
り交絡処理を施すことが好ましく、交絡数は10〜40ケ/m
とすることが好ましい。
【0026】本発明の混繊糸の繊度および単糸数は特に
限定されるものではなく、各々の糸条の単糸繊度が0.1
〜10デシテックス、単糸数が5〜100本の範囲で用途に
応じて適宜選定すればよい。
【0027】本発明の混繊糸は吸湿性に優れるものであ
るが、具体的には、温度34℃、湿度90%RHの雰囲気下に
おける吸湿率が4質量%以上であることが好ましい。吸
湿率が4質量%未満であると、綿等の天然繊維と比較し
て吸湿性が劣り、衣類とした場合の着用時に不快感を生
じやすい。
【0028】なお、吸湿率の値は、次の方法で測定した
値をいう。繊維を筒編し、これを25℃、60%RHで調湿し
て質量W0を測定する。次いで、この筒編地を2hPaの減
圧下、80℃で6時間乾燥し、34℃、90%RHに設定した恒
温恒湿槽に6時間放置した後、質量W1を測定し、次式
により吸湿率を求める。 吸湿率(質量%)=〔(W1−W0)/W0〕×100
【0029】また、本発明の混繊糸は、アルカリ減量速
度が1.5質量%/分以下であることが好ましい。アルカ
リ減量速度が1.5質量%/分を超えると減量の進行が速
すぎるために、減量率のコントロールが難しくなり、均
一な減量加工が困難となることがある。
【0030】なお、アルカリ減量速度の値は、次の方法
で測定した値をいう。繊維を筒編し、5質量%の水酸化
ナトリウム水溶液で70℃×40分、浴比1:50で処理したと
きの減量質量から、次式により求める。 減量速度(質量%/分)=〔(減量前質量−減量後質量)/
減量前質量〕×100/40
【0031】
【作用】本発明のポリエステル混繊糸はアルカリ減量加
工を均一に施すことが可能であり、かつ、優れた吸湿性
を備えているが、その理由は、次のように考えることが
できる。ポリエステルに吸湿性を付与するためには、あ
る程度のセグメント長を有するポリエーテル化合物また
はポリエーテル化合物誘導体を含有させることが必要で
あり、例えば、ポリエチレングリコールの場合、平均分
子量が約4000以上でないと良好な吸湿性は得られない。
しかし、このような高分子量のポリエーテル化合物は、
一般にポリエステルに対する相溶性が劣るために、全て
がポリエステルに共重合されず、ある程度の量はポリエ
ステル中に分散した状態となっている。このようなポリ
エステルからなる繊維にアルカリ減量加工を施すと、ま
ず、水によって共重合されていないポリエーテル化合物
またはポリエーテル化合物誘導体が溶出して繊維の表面
積を増大させ、その結果、アルカリによるポリエステル
の加水分解が急激に進行するものと考えられる。
【0032】本発明のポリエステル混繊糸は、混繊糸を
構成する糸条Aが、ポリエーテル化合物またはポリエー
テル化合物誘導体として、20℃の水に対する溶解率が30
質量%以下である実質的に水に難溶性のものを含有して
いるため、この成分がポリエステル中に分散した状態と
なっていても、アルカリ減量加工時にこの成分が溶出し
てしまうことが抑制される。また、ポリエステルに共重
合されているダイマージオールは嵩高な分子であるた
め、立体障害によってアルカリによる加水分解を阻害す
る効果がある。これらの結果として、繊維のアルカリ減
量速度を実用上問題ない範囲にすることが可能であると
推定される。
【0033】また、上記のような水に対して難溶性のポ
リエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体は、
実質的に、ある程度の長いセグメントを有しているた
め、吸湿性自体は高く、また、ポリエステル自体もスル
ホン酸塩基含有化合物が共重合されているために疎水性
が緩和されている。このように吸湿性に優れた糸条Aを
用いているため、本発明の混繊糸も吸湿性に優れたもの
となる。
【0034】さらに、本発明の混繊糸は、糸条Aによっ
て優れた吸湿性を発現すると同時に、沸水収縮率が糸条
Aより5%以上低い糸条Bを用いているので、ソフトな
表面風合いを発現するものである。糸条A、Bの収縮率
に差があることにより、糸条に織編、染色等の加工を施
した後に、糸条Bが布帛表面にソフト感、膨らみ感を醸
しだす。さらに、糸条Bの断面形状を表面積の大きい異
形断面とすることで、糸条の空隙部への水分の進入を促
進し、糸条Aの吸湿性能と相まって非常に高い吸湿性能
を得ることが可能となる。
【0035】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例における各種の値の測定、評価は次
の通りに行った。 (a)溶解率 20℃に調節した水100gに、ポリエーテル化合物またはポ
リエーテル化合物誘導体を1g添加して5分間攪拌する。
完全に溶解した場合は、さらにポリエーテル化合物また
はポリエーテル化合物誘導体を1g添加して5分間攪拌す
る操作を繰り返し、完全に溶解しなくなった時点での添
加量から、次式により算出した。 溶解率(質量%)=〔全添加量/(全添加量+100)〕×1
00 (b)強伸度 オリエンテック社製万能引張試験機テンシロンRTC1210
を用い、JIS L 1013に準じて、測定した。 (c)沸水収縮率 混繊糸を解繊して糸条A、Bに分け、各々の糸条を50cm
のループにし、JIS L1013に準じて測定した。 (d)吸湿率 前記した吸湿率の測定方法に準じて評価した。 (e)断面周長、断面積 倍率5000倍で繊維断面写真を撮影し、画像処理装置に読
み込み計算した。 (f)アルカリ減量速度 前記したアルカリ減量速度の測定方法に準じて評価し
た。 (g)風合評価 アルカリ減量速度の測定に使用した試料について、10人
のパネラーによる官能評価を行った。ふくらみ感とソフ
ト感について、各々の試料の点数を10段階で比較評価
し、10人の平均値を評価値とし、5点以上を合格とし
た。
【0036】実施例1〜3、比較例1〜7 A成分として、PETオリゴマーに表1に示す組成のポ
リエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体、ス
ルホン酸塩基含有化合物(SIP)、およびダイマージオー
ル(東亞合成社製「ベスポールHP-1000」)を添加し、
固有粘度が0.65となるよう重合しチップ化したものを使
用した。B成分として、固有粘度0.68のPETを使用し
た。A、B両成分を複合紡糸型溶融押出機に等質量供給
し、紡糸温度295℃で溶融し、A成分を12個の紡出孔を
有する紡糸口金より、B成分を24個の紡出孔を有する紡
糸口金より各々紡出し、冷却固化した後、紡糸油剤を付
与しながら糸条を集束し、表面速度が3200m/分の引取ロ
ーラを介して、交絡付与装置にて交絡処理を施した後、
捲取機で捲き取った。次いで、得られた繊維を延伸機に
供給し、表面温度80℃のローラと130℃のヒートプレー
トを介して1.5倍に延伸し、84デシテックス/36フィラ
メントの混繊糸を得た。得られた混繊糸の各種物性値、
評価結果を併せて表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1から明らかなように、実施例1〜3で
得られた混繊糸は、いずれも、優れた吸湿性を有すると
同時に、実用に供する強度とアルカリ減量速度を有して
おり、風合い評価も高かった。一方、比較例1の混繊糸
は、糸条Aのポリエーテルの溶解率が高すぎたため、ア
ルカリ減量速度が速すぎ、減量処理を施す用途には使用
できなかった。比較例2の混繊糸は、糸条Aのポリエー
テルの含有量が少なすぎたため、吸湿率が低かった。比
較例3の混繊糸は、糸条Aのポリエーテルの含有量が多
すぎたため、紡糸時に糸切れが多発し、採取できなかっ
た。比較例4の混繊糸は、糸条Aのスルホン酸塩基含有
化合物の含有量が少なかったため、吸湿率が低かった。
比較例5の混繊糸は糸条Aのスルホン酸塩基含有化合物
の含有量が多すぎたため、強度が著しく低く、アルカリ
減量速度も高かった。比較例6の混繊糸は、糸条Aのダ
イマージオールの含有量が少なかったため、アルカリ減
量速度が高かった。比較例7の混繊糸は糸条Aのダイマ
ージオールの含有量が多すぎたため、紡糸時に糸条Aの
糸切れが多発し、採取できなかった。
【0039】実施例4〜7、比較例8〜9 A、B成分として実施例1と同様のものを使用し、紡糸
孔数、混繊比率、延伸温度(ヒートプレート温度)を表
2に示す値に変更した以外は、実施例1と同様の方法
で、84デシテックス/36フィラメントの混繊糸を得た。
【0040】比較例10 A、B成分として実施例1と同様のものを使用し、糸条
A、Bを通常の溶融紡糸機によって別々に紡糸、延伸し
た後に合糸混繊及び交絡処理を施した。その際、各々の
フィラメント数、混繊比率は実施例1と同様とし、延伸
時のヒートプレート温度を糸条Aは130℃、糸条Bは90
℃とし、その他の紡糸及び延伸条件は実施例1と同様と
して84デシテックス/36フィラメントの混繊糸を得た。
【0041】実施例4〜7、比較例8〜10で得られた
混繊糸の各種物性値、評価結果を併せて表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2から明らかなように、実施例4〜7の
混繊糸は、いずれも、優れた吸湿性を有すると同時に、
実用に供する強度とアルカリ減量速度を有しており、い
ずれの混繊糸から得た布帛も、良好なソフト感、膨らみ
感を備えた風合いを有していた。一方、比較例8の混繊
糸は、糸条Aの比率が少なかったため、吸湿率が低かっ
た。比較例9の混繊糸は、糸条Bの比率が少なかったた
め、得られた布帛はソフト感、膨らみ感に欠けていた。
比較例10の混繊糸は、糸条A、Bの収縮率差が小さす
ぎたため、得られた布帛はソフト感、膨らみ感に欠けて
いた。
【0044】実施例8〜10 A、B成分として実施例1と同様のものを使用し、B成
分を紡糸する紡糸口金の孔形状を表3に示すものとし、
糸条Bの断面形状が表3に示す値を満たす異形断面とし
た以外は、実施例1と同様にして、84デシテックス/36
フィラメントの混繊糸を得た。得られた混繊糸の各種物
性値、評価結果を併せて表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】表3から明らかなように、実施例8〜10
の混繊糸では、いずれも、優れた吸湿性を有すると同時
に、実用に供する強度とアルカリ減量速度を有する混繊
糸を得ることができ、いずれの混繊糸から得た布帛も、
良好なソフト感、膨らみ感を備えた風合いを有してい
た。中でも糸条Bを異型度の高い異型断面糸とした実施
例9、10の混繊糸は特に高い吸湿性能を有していた。
【0047】
【発明の効果】本発明の混繊糸は、優れた吸湿性と十分
な強度を有し、繊維のアルカリ減量速度を実用上問題な
い範囲とし、かつ操業性よく得ることができ、減量加工
を施すことによって、ふくらみ感とソフトな風合いを有
する布帛を得ることが可能となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレートを主体とす
    る2種類の糸条A、Bで構成される混繊糸であって、糸
    条Aは下記(1)〜(2)を満足し、糸条Aと糸条Bと
    の混繊比率が質量比で30/70〜70/30であり、糸条Aの
    沸水収縮率が糸条Bの沸水収縮率より5%以上高いこと
    を特徴とする吸湿性ポリエステル混繊糸。 (1)20℃の水に対する溶解率が30質量%以下であるポ
    リエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体を3
    〜50質量%含有している。 (2)スルホン酸塩基含有化合物が全酸成分に対して0.
    5〜5.0モル%、ダイマージオールがエチレンテレフタレ
    ート成分に対して1〜10質量%共重合されている。
  2. 【請求項2】 糸条Bの繊維断面形状が下記(3)を満
    たす異形断面糸である請求項1記載の吸湿性ポリエステ
    ル混繊糸。 (3)(断面周長)2/(断面積)≧20
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