JP2001164427A - ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法 - Google Patents

ポリアミド潜在捲縮糸及びその製造方法

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JP2001164427A
JP2001164427A JP2000299217A JP2000299217A JP2001164427A JP 2001164427 A JP2001164427 A JP 2001164427A JP 2000299217 A JP2000299217 A JP 2000299217A JP 2000299217 A JP2000299217 A JP 2000299217A JP 2001164427 A JP2001164427 A JP 2001164427A
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low
nylon
roller
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Shiro Murakami
志朗 村上
Seiji Abe
清二 阿部
Kazuaki Taruishi
一秋 樽石
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コスト面で有利に得ることができ、布帛に十
分な伸縮性と良好な風合いを付与することが可能なポリ
アミド潜在捲縮糸及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 粘度差を有する2種類のポリアミドをサ
イドバイサイド型に貼り合わせた繊維において、高粘度
ポリアミドと低粘度ポリアミドの相対粘度の差が、
(1)式を満足し、かつ熱水収縮率が10〜25%、捲
縮率が40%以上である。 (1)0.4≦Δηh−Δηl≦1.6 ただし、Δηh:高粘度ポリアミドの相対粘度 Δηl:低粘度ポリアミドの相対粘度

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘度差を有する2
種類のポリアミドがサイドバイサイド型に配置された潜
在捲縮性能を有するポリアミド潜在捲縮糸及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からポリアミド繊維は衣料用途に広
く用いられている。衣料用ポリアミドの代表であるナイ
ロン6やナイロン66等で一種類のポリマーからなる単
一糸は、繊維自体に伸縮性が殆どないため、仮撚加工等
を行って伸縮性を付与し、伸縮性のある織編物用に使用
しいる。しかしながら、このような単一糸に加工を施し
たものでは、十分に満足できる伸縮性を有する布帛を得
ることは困難であった。
【0003】そこで、弾性を有するポリマーで繊維を形
成することによって伸縮性を有する布帛を得る方法や、
異なる性質のポリマーを用い、染色等の熱処理で捲縮を
発現する潜在捲縮性能を有する複合繊維とすることによ
って、伸縮性を有する布帛を得る方法が提案されてい
る。
【0004】前者の弾性を有するポリマーからなる繊維
においては、ポリウレタン系弾性糸が多く用いられる
が、染色性や耐光性が悪く、ナイロン6やナイロン66
でカバーリング加工をして用いるのが一般的である。ま
た、特開平57−193521号公報には、伸縮性を有
する繊維として、ナイロン系エラストマーとポリアミド
をサイドバイサイド型や偏芯芯鞘型に配した複合繊維が
記載されている。
【0005】しかしながら、これらの繊維はいずれも、
カバーリングの加工費やポリウレタン弾性糸及びナイロ
ン系エラストマーが高価であり、コスト面で不利であっ
た。
【0006】また、後者の異なる性質のポリマーを用い
て複合繊維にする場合には、繊維断面形状をサイドバイ
サイド型として、2成分のポリマーの粘度差を利用して
熱水収縮率差を持たせたり、あるいは、熱水収縮率の異
なるポリマーを用いることが一般的である。このような
複合繊維は、後加工等が必要ない分製造するにはコスト
面で有利であり、布帛にある程度の伸縮を付与すること
はできたが、十分に満足できる程度の伸縮を付与するこ
とはできなかった。
【0007】さらに、上記のような繊維の製造方法とし
ては、特公昭48−008526号公報において、低紡
速で引き取った後、高倍率で延伸及び特定の温度範囲で
熱処理を行うことにより捲縮性能を向上させたナイロン
6とナイロン6/66共重合体のサイドバイサイド型複
合繊維の製造方法が開示されている。しかしながら同方
法では紡速や延伸倍率等の製造条件が最適化されていな
いため、十分な捲縮率を付与することができなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するものであって、コスト面で有利に得ること
ができ、布帛に十分な伸縮性を付与することが可能なポ
リアミド潜在捲縮糸及びその製造方法を提供することを
技術的な課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく検討した結果、本発明に到達した。すな
わち、本発明は、次の(a)〜(b)を要旨とするもの
である。 (a) 粘度差を有する2種類のポリアミドをサイドバ
イサイド型に貼り合わせた繊維において、高粘度ポリア
ミドと低粘度ポリアミドの相対粘度の差が、(1)式を
満足し、かつ熱水収縮率が10〜25%、捲縮率が40
%以上であることを特徴とするポリアミド潜在捲縮糸。 (1)0.4≦Δηh−Δηl≦1.6 ただし、Δηh:高粘度ポリアミドの相対粘度 Δηl:低粘度ポリアミドの相対粘度 (b) 粘度差を有する2種類のポリアミドをサイドバ
イサイド型の紡糸口金で溶融紡出し、冷却固化し、油剤
を付与した後、速度2000〜4000m/分、温度1
00℃以下のローラで引き取り、一旦巻き取ることなく
連続して延伸倍率1.1〜1.8倍で延伸し、温度12
0〜180℃で熱処理を施した後、巻き取ることを特徴
とする(a)記載のポリアミド潜在捲縮糸の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の潜在捲縮糸は、粘度差を有する2種類の
ポリアミドをサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維で
ある。
【0011】本発明におけるポリアミドとしては、例え
ばナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン
46、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシレ
ンアジパミドやそれら各成分の共重合体が挙げられる。
このなかでも特に、粘度の異なるナイロン6を用いた場
合や、高粘度ポリアミドとしてナイロン6/66共重合
体を、低粘度ポリアミドとしてナイロン6を用いた組み
合わせが好適である。ナイロン6/66共重合体を用い
た場合のナイロン66の共重合割合は、融点や収縮率の
観点から5〜35モル%とすることが好ましい。
【0012】なお、高粘度ポリアミド、低粘度ポリアミ
ドともに本発明の効果を損なわない範囲であれば、艶消
剤、難燃剤、顔料等の種々の添加物を添加してもよい。
【0013】本発明の潜在捲縮糸は、高い捲縮性能を得
るために、高粘度ポリアミドの相対粘度Δηhと低粘度
ポリアミドの相対粘度Δηlの差を0.4〜1.6とす
ることが必要であり、好ましくは0.4〜1.2、さら
に好ましくは0.5〜1.0である。
【0014】ポリアミドの相対粘度は、例えば粘度の異
なるナイロン6の組み合わせの場合は、高粘度のナイロ
ン6の相対粘度は、2.7〜4.2が好ましく、さらに
好ましくは2.7〜3.9であり、より好適には2.9
〜3.5であり、低粘度のナイロン6の相対粘度は、
2.0〜3.2が好ましく、さらに好ましくは2.0〜
2.9であり、より好適には2.3〜2.7である。ナ
イロン6とナイロン6/66共重合体の組み合わせの場
合では、ナイロン6の相対粘度は2.0〜3.2が好ま
しく、さらに好ましくは2.0〜2.9、より好適には
2.3〜2.7であり、ナイロン6/66共重合体の相
対粘度は、2.8〜4.2が好ましく、さらに好ましく
は2.8〜3.7、より好適には2.9〜3.5であ
る。
【0015】相対粘度ΔηhとΔηlの差が0.4未満
であると、捲縮性能に劣るものとなる。一方、相対粘度
ΔηhとΔηlの差が1.6を超えると、糸曲がりが大き
く製糸性が悪くなる。また、特に高粘度ポリアミドの粘
度範囲が上記の範囲を外れると高速紡糸時の製糸性が劣
ったり、捲縮性能が劣るため好ましくない。
【0016】また、本発明の潜在捲縮糸は、高粘度ポリ
マーと低粘度ポリマーがサイドバイサイド型に貼り合わ
されたものであり、両成分の割合、貼り合わせ面の形状
は特に限定されるものではないが、重量比で高粘度ポリ
マー/低粘度ポリマーが3/1〜1/3程度とすること
が好ましい。そして、繊維の断面形状も丸断面のみなら
ず、各種の異形断面形状のものでもよい。
【0017】さらに、本発明の潜在捲縮糸は、伸縮性の
良好な布帛を得るために、潜在捲縮が発現したときの捲
縮率が40%以上であることが必要であり、さらに好ま
しくは50%以上である。捲縮率が40%未満である
と、布帛にした際に伸縮性に劣るものとなる。
【0018】ここで、捲縮率とは、潜在捲縮糸を繊度測
定用検尺器にて5回カセ取りを行い2重のループにし、
1/6000g/dの荷重をかけた状態で沸騰水中に3
0分間浸漬した後取り出し、その状態で30分間風乾
し、その後、荷重を1/500g/dに変更して長さA
を測定し、次に荷重1/20g/dをかけて長さBを求
め、次の式で算出するものである。 捲縮率(%)=〔(B−A)/B〕×100
【0019】高粘度ポリアミドと低粘度ポリアミドの相
対粘度差を前記範囲内で変更すれば、ある程度捲縮率を
調整することができる。
【0020】さらに、本発明の潜在捲縮糸は熱水収縮率
が10〜25%であることが必要である。熱水収縮率を
10%未満にするには、高温の熱処理が必要で高粘度ポ
リマー自身の熱水収縮率が低下し、捲縮率が低下する。
一方、熱水収縮率が25%を超えると、得られる布帛の
風合が硬くなる。
【0021】本発明の潜在捲縮糸の捲縮が発現するメカ
ニズムは明らかではないが、低粘度側及び高粘度側の両
サイド間での物性値(例えば熱収縮率、熱応力等)の差
により捲縮が発現すると考えられる。そして、熱水収縮
率は繊維全体の長手方向の収縮を示すものであり、主に
得られる布帛の風合いに寄与するものである。一方、捲
縮率はサイドバイサイドに貼り合わせたポリマーの特性
の違いにより生じる捲縮であり、主に得られる布帛の伸
縮性に寄与するものである。
【0022】さらに、これらの物性値を制御し、十分な
捲縮を発現させるためには、2種類のポリアミドの複屈
折率をある特定の範囲内に制御することが非常に重要で
あることを本発明者らは見いだした。
【0023】すなわち、高粘度ポリアミドと低粘度ポリ
アミドの複屈折率の差を0.003〜0.025とする
ことが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.0
20とする。さらに、低粘度ポリアミドの複屈折率は
0.020以上とすることが好ましく、さらに好ましく
は0.020〜0.050、より好ましくは0.025
〜0.045とする。低粘度ポリアミドの複屈折率が
0.020未満であると、得られる糸条の強度や捲縮応
力が低くなり、捲縮性能が劣り、布帛に十分な伸縮性を
発現させることが困難となる。一方、高粘度ポリアミド
の複屈折率は0.030〜0.060が好ましく、さら
に好ましくは0.035〜0.055である。
【0024】複屈折率をこれら特定の範囲内に制御した
場合には、両サイドの複屈折率のバランスが好適なもの
となり、捲縮率、熱水収縮率、捲縮応力等が最適化され
るため、織物としたときに、織組織からくる拘束力に打
ち勝ち、十分な伸縮性を発現することが可能となる。一
方、複屈折率差を好適な範囲に制御できない場合は、繊
維の強度、捲縮応力が低くなり、捲縮率も小さくなるた
め、布帛に十分な伸縮性を発現させることが困難となり
やすい。
【0025】さらに、本発明の潜在捲縮糸の捲縮応力
は、0.010cN/dtex以上であることが好ましく、さらに好
ましくは0.015cN/dtex、より好ましくは0.018cN/dtexで
ある。この値が0.010cN/dtex未満では、特に織物、編
物、不織布等にしたときに十分な捲縮が発現されにく
く、本発明の目的である十分に満足できる伸縮性を有す
る布帛を得ることが困難となりやすい。
【0026】また、本発明の潜在捲縮糸の強度は3.0
cN/dtex以上であることが好ましく、さらに好ましくは
3.5cN/dtex以上である。強度が3.0cN/dtex未満で
は、原糸製造工程において毛羽、糸切れとなりやすく、
また高次加工工程の仮撚加工時にも糸切れが多発し、操
業性が低下しやすい。また製織し染色仕上げ加工した布
帛の引裂き強度も低下しやすい。
【0027】そして、本発明の潜在捲縮糸の伸度は、2
0〜60%とすることが好ましく、さらに好ましくは3
0〜50%である。伸度が20%未満であると原糸製造
工程において、毛羽、糸切れとなりやすく、また高次加
工工程の仮撚加工時にも糸切れが多発し操業性が低下し
やすい。強度と伸度は相反する性質を有し、強度を高く
すると伸度が低下し、一方、伸度を高くすると強度が低
くなりすぎ、いずれも実用に適さなくなるので上記の範
囲内で、適宜最適範囲を選択する。
【0028】さらに、本発明の潜在捲縮糸の単糸繊度
は、2dtex以上とすることが好ましく、さらに好ましく
は4dtex以上、より好ましくは6dtex以上である。単糸
繊度が2dtex未満では捲縮率及び捲縮応力が不十分とな
りやすく、特に織物、編物、不織布等にしたときにその
拘束力に打ち勝ち十分な伸縮性を発現することが困難と
なる。
【0029】本発明の潜在捲縮糸は織物、編物、不織布
等の布帛にすることができ、衣料用途、産業資材用途、
家庭資材、医療材料等に適したものである。また、本発
明の潜在捲縮糸は、上記のような布帛の一部にのみ使用
してもよい。
【0030】本発明の潜在捲縮糸において、前記した捲
縮率、熱水収縮率、複屈折率、捲縮応力と強度、伸度は
密接な関係にあり、これらの全ての値が前述した範囲の
ものとなることが好ましい。そして、このような本発明
の潜在捲縮糸を製造する方法を次に説明する。
【0031】図1は、本発明の潜在捲縮糸の製造方法の
一実施態様を示す部分工程図である。本発明のサイドバ
イサイド型潜在捲縮糸は通常の複合紡糸型溶融紡糸装置
により製造することができる。粘度差を有する2種類の
ポリアミドをエクストルーダーにて加熱溶融した後、両
ポリアミドをサイドバイサイド型になるように合流さ
せ、紡糸口金の同一紡糸孔から吐出させて紡糸する。紡
糸温度は両ポリアミドによって適宜選択されるが、用い
るポリアミドの融点Tmに対して、Tm+10〜Tm+
80℃の範囲内で選択されることが好ましい。
【0032】そして紡出された糸条を冷却固化し、油剤
を付与した後、引取ローラ1(第1ローラ)に引き取る
が、この引き取り速度は、本発明の潜在捲縮糸を得るの
に非常に重要である。粘度差を有する2種類のポリアミ
ドがサイドバイサイド型に吐出され、冷却固化する際、
両ポリマーの物性が異なる場合は、固化位置が異なると
考えられる。よって高粘度側が先に固化するために、低
粘度側に比べ高粘度側に紡糸張力が過剰にかかると考え
られ、よって高粘度側が低粘度側よりも高配向すること
になる。このような観点から好適な複屈折率を得るため
には、引き取りローラ速度は2000〜4000m/分
が好ましく、さらに好ましくは2500〜4000m/
分である。
【0033】引き取り速度が2000m/分より小さい
と、紡糸張力が低いために両サイド間の複屈折率の差が
余り大きくならない。そのため延伸時の延伸張力が両サ
イドに均等近くにかかることとなり(すなわち両サイド
の複屈折率が増加する)、延伸後の複屈折率差を本発明
の好適な範囲に制御することが難しくなる。また、40
00m/分より大きいと、紡糸張力が高くなり、その高
い紡糸張力が高粘度側に過剰にかかるため、両サイドの
複屈折率差が大きくなりすぎる(すなわち高粘度側の複
屈折率が非常に大きく、低粘度側の複屈折率が非常に小
さくなる。)。このため、延伸時の延伸張力も高配向し
た高粘度側一方に過剰にかかるため、すなわち高粘度側
の複屈折率が大きく増加し、延伸後の複屈折率差を本発
明の好適な範囲に制御することが難しくなる。
【0034】そして、このときの引取ローラ1温度は1
00℃以下、さらに好ましくは50〜80℃とし、5回
程度掛けて引き取ることが好ましい。ローラ温度が10
0℃を超えるとローラ上での糸揺れが大きくなり、操業
性が悪化する。
【0035】引き続いて、一旦巻き取ることなく連続し
て第2ローラ2に引き取り、延伸を行う。このとき第2
ローラに7回程度掛けて引き取ることが好ましい。延伸
倍率は1.1〜1.8倍とし、さらに好ましくは1.2
〜1.6倍である。このとき、120〜180℃の熱処
理を施す。
【0036】引取りローラ1により特定の範囲内に複屈
折率が制御された糸条を、この延伸条件で延伸した場合
には、最終的に得られた糸条の高粘度側と低粘度側ポリ
アミドの複屈折率の差を0.003〜0.025とする
ことができる。
【0037】熱処理を行わない場合は、繊維自体の熱水
収縮率が大きくなるだけでなく、良好な巻き姿のパッケ
ージに巻き取ることができない。また、延伸倍率が1.
1倍未満であると、得られる繊維の強度が低いものとな
り、1.8倍を超えると、毛羽が発生し、延伸性が悪化
する。さらに、延伸倍率がこれらの範囲を外れると、得
られる繊維を形成するポリアミドの複屈折率が好ましい
範囲外となり、捲縮率が低いものとなりやすい。
【0038】この熱処理は、延伸と同時に行うことが好
ましく、第2ローラ2の温度を120〜180℃、さら
には130〜160℃とすることが好ましい。ローラ温
度が120℃未満であると繊維全体の熱水収縮率が大き
くなり、良好な巻き姿のパッケージに巻き取ることもで
きなくなる。一方、180℃を超えるとローラ上での糸
揺れが大きくなり、操業性が悪化する。
【0039】続いて、巻き取り可能となるように適宜弛
緩処理を施した後、巻取機3で巻き取る。ここで、高捲
縮性能を得るためには、延伸熱処理される第2ローラ上
で適当な張力がかかっていることが好ましい。そのため
には、第2ローラと巻取機間の張力が0.05〜2.0
g/dとなるように条件を選択して巻き取ることが好ま
しい。この際、第2ローラ上の張力を調整するために、
第2ローラと巻取機の間に第3ローラを設けてもよい。
【0040】本発明の潜在捲縮糸は、この熱処理によっ
ては潜在捲縮は発現せず、後加工により別途熱処理する
ことによって捲縮が発現するものである。そこで、本発
明の繊維は織物、編物、不織布等にすることができる
が、このような布帛にした後、80〜100℃の熱水処
理を施すことによって、捲縮を発現させることが好まし
い。
【0041】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例における各物性値は、次の方法で測定
した。 (a)相対粘度 96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で
測定した。 (b)強伸度 島津製作所製オートグラフAGSー5G型を用いて、J
IS L 1013に準じて測定した。 (c)熱水収縮率 糸条を50cmのループにし、1/30g/dの初荷重
をかけて長さAを求め、次いでフリーにして沸騰水中に
15分間浸漬した後、自然乾燥し、再び1/30g/d
の荷重をかけて長さBを求め、次の式で算出した。 熱水収縮率(%)=〔(A−B)/A〕×100 (d)捲縮率 前記の方法で測定した。 (e)捲縮応力 検尺機にて5回かせ取りした後、かせ取りを二重にして
糸条を50cmのループにする。次に1/6000(g/d)
の荷重をかけて沸騰水中で30分間熱処理し、風乾後に
島津製作所社製オートグラフAGS−50D型を用い、
速度100mm/分で上限値H(cN)までS−S曲線を
描いた後、図4に示す回復曲線に対して、横軸と読み取
り角度(θ)で直線を引き、交点の強力F(cN)を読
み取り、その値を〔繊度(dtex)×20〕で除して捲縮
応力(cN/dtex)とする。 ここで、上限値H(cN)=0.9807×〔繊度(d)×5×
2×2〕/10 読み取り角度(θ)=tan-1〔(繊度(d)×4)/
(測定フルスケール(cN)×0.9807)〕とする。 (f)複屈折率 POH偏光顕微鏡を使用し、ベレックコンベンセーター
法にて測定する際、繊維表面上の重合体A,Bの境界点
を結ぶ直線が光源方向に平行になるように置き(図
2)、繊維断面方向の両端から境界までの長さをそれぞ
れd1、d2(d(繊維の直径)=d1+d2)としたとき、
その中点C1、C2での、繊径計算(図3)及びレタデーシ
ョンの測定から、重合体A,Bの複屈折Δna,Δnbを
計算する。
【0042】実施例1 低粘度ポリマーに相対粘度2.50のナイロン6を用
い、高粘度ポリマーには相対粘度 3.10のナイロン6を用いて常用の複合溶融紡糸装置
にサイドバイサイド型複合紡糸口金を装着し、低粘度ポ
リマーと高粘度ポリマーとの複合比(重量比)を1:1
として、ポリマー温度270℃で溶融紡出した。この複
合繊維を冷却し、油剤を付与した後、速度3419m/
分、温度70℃の第1ローラに5回掛けて引き取り、引
き続いて、速度4274m/分、温度160℃の第2ロ
ーラに7回掛けて、1.25倍に熱延伸した後、速度4
150m/分で巻取機に巻き取り、56dtex/12fの
丸断面形状の潜在捲縮糸を得た。
【0043】実施例2 第1ローラの速度を3077m/分、第2ローラの速度
を4154m/分、巻取速度を4050m/分とし、7
8dtex/12fの潜在捲縮糸を得た以外は実施例1と同
様に行った。
【0044】実施例3 第1ローラの速度を2818m/分、第2ローラの速度
を4090m/分、巻取速度を3970m/分とし、1
10dtex/12fの潜在捲縮糸を得た以外は実施例1と
同様に行った。
【0045】実施例4 低粘度ポリマーに相対粘度2.50のナイロン6を用
い、高粘度ポリマーには相対粘度3.10のナイロン6
/66共重合体(ナイロン66の共重合量が15モル
%)を用いて常用の複合溶融紡糸装置にサイドバイサイ
ド型複合紡糸口金を装着し、低粘度ポリマーと高粘度ポ
リマーとの複合比(重量比)を1:1として、ポリマー
温度270℃で溶融紡出した。この複合繊維を冷却し、
油剤を付与した後、速度3077m/分、温度70℃の
第1ローラに5回掛けて引き取り、引き続いて、速度4
154m/分、温度160℃の第2ローラに7回掛け
て、1.35倍に熱延伸した後、速度4000m/分で
巻取機に巻き取り、50d/12fの丸断面形状の潜在
捲縮糸を得た。
【0046】実施例5 第1ローラの速度を3745m/分、第2ローラの速度
を4495m/分、巻取速度を4350m/分とし、7
8dtex/12fの潜在捲縮糸を得た以外は実施例4と同
様に行った。
【0047】実施例6 第1ローラの速度を3419m/分、第2ローラの速度
を4274m/分、巻取速度を4130m/分とし、1
10dtex/12fの潜在捲縮糸を得た以外は実施例4と
同様に行った。
【0048】比較例1 第1ローラの速度を1705m/分、第1ローラの温度
を50℃、第2ローラの速度を3240m/分、巻取速
度を3100m/分とした以外は実施例1と同様に行っ
た。
【0049】比較例2 高粘度ポリマーを相対粘度2.60のナイロン6とした
以外は実施例2と同様に行った。
【0050】比較例3 第1ローラの速度を4200m/分、第2ローラの速度
を4830m/分、第2ローラの温度(熱処理温度)を
100℃、巻取速度を4680m/分とした以外は実施
例1と同様に行った。
【0051】比較例4 第1ローラの速度を1705m/分、第1ローラの温度
を50℃、第2ローラの速度を3240m/分、巻取速
度を3100m/分とした以外は実施例4と同様に行っ
た。
【0052】比較例5 高粘度ポリマーを相対粘度2.60のナイロン6/66
共重合体(ナイロン66の共重合量が15モル%)とし
た以外は実施例4と同様に行った。
【0053】比較例6 第1ローラの速度を4200m/分、第2ローラの速度
を4830m/分、第2ローラの温度(熱処理温度)を
100℃、巻取速度を4680m/分とした以外は実施
例4と同様に行った。
【0054】比較例7 高粘度ポリマーを相対粘度4.3のナイロン6/66共
重合体(ナイロン66の共重合量が15モル%)とした
以外は実施例4と同様に行った。
【0055】実施例1〜6、比較例1〜7で得られた繊
維の強度、伸度、熱水収縮率、捲縮率、捲縮応力、高粘
度及び低粘度ポリアミドの複屈折率の測定結果を表1に
示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1から明らかなように、実施例1〜6の
繊維は十分な捲縮性能を有し、強度、伸度等にも優れ、
製糸性も良好であった。一方、比較例1及び4の繊維は
第1ローラの速度が遅く、延伸倍率が高すぎたため、強
度、伸度は優れているが、複屈折率差が小さく、捲縮率
の低い繊維となった。比較例2及び5の繊維は、高粘度
ポリマーの相対粘度が低く、粘度差が小さかったため、
複屈折率差も小さく、捲縮率の低い繊維となった。ま
た、比較例3及び6の繊維は、第1ローラの速度が速
く、第2ローラの温度(熱処理温度)が低すぎたため、
複屈折率差が大きく、捲縮率の低い繊維となった。ま
た、熱水収縮率も高かったため、得られた布帛の風合い
が硬いものであった。比較例7では高粘度ポリマーの相
対粘度が高く、粘度差が大きかったため、紡糸時に糸曲
がりが大きく、製糸性が悪化し、繊維を得ることができ
なかった。
【0058】
【発明の効果】本発明のポリアミド潜在捲縮糸は、潜在
を発現させたときの捲縮率が高く、熱水収縮率も適度で
あるため、織物、編物、不織布等にした後、熱処理を施
すと、十分な伸縮性を有し、風合いの良好な布帛とする
ことができ、衣料用、産業資材用、家庭資材用、衣料材
料用等に好適に用いることができる。そして、本発明の
ポリアミド潜在捲縮糸の製造方法によれば、操業性よ
く、低コストで本発明のポリアミド潜在捲縮糸を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリアミド潜在捲縮糸の製造方法の一
実施態様を示す部分工程図である。
【図2】本発明のポリアミド潜在捲縮糸の複屈折率の測
定方法を示す説明図である。
【図3】本発明のポリアミド潜在捲縮糸の複屈折率の測
定方法を示す説明図である。
【図4】本発明のポリアミド潜在捲縮糸の捲縮応力の測
定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 第1ローラ 2 第2ローラ 3 巻取機
フロントページの続き Fターム(参考) 4L041 AA08 AA20 AA25 BA09 BA59 BC04 BC05 BC20 BD20 CA21 CA29 DD01 DD04 DD08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度差を有する2種類のポリアミドをサ
    イドバイサイド型に貼り合わせた繊維において、高粘度
    ポリアミドと低粘度ポリアミドの相対粘度の差が、
    (1)式を満足し、かつ熱水収縮率が10〜25%、捲
    縮率が40%以上であることを特徴とするポリアミド潜
    在捲縮糸。 (1)0.4≦Δηh−Δηl≦1.6 ただし、Δηh:高粘度ポリアミドの相対粘度 Δηl:低粘度ポリアミドの相対粘度
  2. 【請求項2】 粘度差を有する2種類のポリアミドをサ
    イドバイサイド型に貼り合わせた繊維において、高粘度
    ポリアミドと低粘度ポリアミドの複屈折率が(2)〜
    (3)式を満足する請求項1記載のポリアミド潜在捲縮
    糸。 (2)0.003≦ΔnH−ΔnL≦0.025 (3)0.020≦ΔnL ただし、ΔnH:高粘度ポリアミドの複屈折率 ΔnL:低粘度ポリアミドの複屈折率
  3. 【請求項3】 両ポリアミドがナイロン6である請求項
    1又は2記載のポリアミド潜在捲縮糸。
  4. 【請求項4】 高粘度ポリマーがナイロン6/66共重
    合体、低粘度ポリマーがナイロン6である請求項1又は
    2記載のポリアミド潜在捲縮糸。
  5. 【請求項5】 粘度差を有する2種類のポリアミドをサ
    イドバイサイド型の紡糸口金で溶融紡出し、冷却固化
    し、油剤を付与した後、速度2000〜4000m/
    分、温度100℃以下のローラで引き取り、一旦巻き取
    ることなく連続して延伸倍率1.1〜1.8倍で延伸
    し、温度120〜180℃で熱処理を施した後、巻き取
    ることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のポリ
    アミド潜在捲縮糸の製造方法。
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