JP2000233975A - セラミック前駆体組成物、それを用いたセラミックグリーンシートおよびその製法 - Google Patents

セラミック前駆体組成物、それを用いたセラミックグリーンシートおよびその製法

Info

Publication number
JP2000233975A
JP2000233975A JP11037768A JP3776899A JP2000233975A JP 2000233975 A JP2000233975 A JP 2000233975A JP 11037768 A JP11037768 A JP 11037768A JP 3776899 A JP3776899 A JP 3776899A JP 2000233975 A JP2000233975 A JP 2000233975A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic
green sheet
sheet
precursor composition
binder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11037768A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3779481B2 (ja
Inventor
Kazuo Hata
和男 秦
Norikazu Aikawa
規一 相川
Keijirou Takasaki
恵次郎 高崎
Masatoshi Shimomura
雅敏 下村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP03776899A priority Critical patent/JP3779481B2/ja
Publication of JP2000233975A publication Critical patent/JP2000233975A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3779481B2 publication Critical patent/JP3779481B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Producing Shaped Articles From Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 グリーンシートを得る際のシート成形性、
焼成時の熱分解性、グリーンシートの打ち抜き・切
断加工性、積層性、切断屑を回収して再利用する際
の再分散性などを全て満たすセラミック前駆体組成物と
セラミックグリーンシートおよびその製法を確立すると
共に、高性能のセラミックシートを提供すること。 【解決手段】 (A)等電点がpH7.0〜10.0で
あるセラミックス粉末:100重量部に対し、(B)バ
インダーとして、炭素数1〜20のアルキルメタクリレ
ート40〜95重量%を主たるモノマー成分とする共重
合体からなり、アミン価が5〜80、水酸基価が1〜6
0、酸価が実質的に0であるアルキルメタクリレート系
共重合体:10〜30重量部を含有するセラミック前駆
体組成物、及びこれを用いたグリーンシート、更にはセ
ラミックシートを開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック前駆体
組成物、セラミックグリーンシートおよびその製法、並
びにセラミックシートおよびその用途に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ドクターブレード法はセラミック粉末を
有機溶剤、分散剤、可塑性、バインダー等と混合して調
製したスラリーをキャリアーフィルム上にドクターブレ
ードで厚みを調整してキャスティングし、乾燥してシー
ト状のセラミックグリーンシートに成形する方法であ
る。そして所望の形状のセラミックシートを得るため、
上記で得たグリーンシートを、その焼成収縮率を加味し
て所定の寸法・形状となる様に打ち抜き・切断加工し、
そのままもしくはその表面にスクリーン印刷などを施し
てから積層して焼成することによりセラミックシートを
得ている。
【0003】これらの方法では、粒径や粒度分布の調整
されたセラミック原料粉末を使用し、バインダーとして
はポリビニルブチラール等のブチラール系樹脂やエチル
セルロース等のセルロース系樹脂、(メタ)アクリレー
ト共重合体などのアクリル系樹脂やポリビニルアルコー
ル等が用いられ工業化されている。
【0004】これらのバインダーに求められる特性とし
ては、グリーンシートを得る際のシート成形性、焼
成時の熱分解性、グリーンシートの打ち抜き・切断加
工性、積層性、切断屑を回収して再利用する際の再
分散性などが挙げられ、工業的規模での実用化を果たす
にはこれらの要求特性を同時に満たすことが必要となる
が、前述した従来のバインダーは、これらの要求特性を
全て満たすものとは言えない。
【0005】特に工業的に実用化するうえで、グリーン
シートを打ち抜き・切断したときに生じる切断残渣(切
断屑)を回収して再分散し、原料スラリーとして再利用
可能にすることは、原材料コストを下げる上で極めて重
要であり、そのためにはグリーンシートの再分散性が極
めて重要な要求特性となるが、こうした観点からバイン
ダーを改質する研究は著しく立ち後れているのが実状で
ある。
【0006】ちなみに、特開昭59-182265号公
報には、アクリル系樹脂に不飽和カルボン酸や不飽和カ
ルボン酸のアンモニウム塩もしくは有機アミン塩を所定
量共重合させたセラミック用バインダーが開示されてい
るが、これらのバインダーを用いたグリーンシート切断
屑の再分散性が十分でなく、再分散に多大な手数と機械
的エネルギーが必要となる。
【0007】また特開昭63-25269号公報には、
再生利用が可能で柔軟性に富んだフィルムを与えるグリ
ーンシート製造用バインダーを得ることを目的として、
カルボニル基含有水溶性ポリマーとヒドラジン基を2個
以上有するポリヒドラジン誘導体、および水性樹脂エマ
ルジョンを含有するバインダーが開示されている。この
バインダーは、回収再利用時の再分散性は良好である
が、バインダー構成素材中に多量の窒素成分が含まれて
いるためか、成形性や熱分解性が悪いという問題があ
る。
【0008】また従来から汎用されているポリビニルブ
チラール樹脂も再分散性が不十分であり、切断屑を再分
散させる際に多量の溶剤を使用しなければならない。
【0009】更に従来のバインダーを使用した場合、シ
ートの可撓性が劣るためグリーンシートに成形した後の
乾燥時あるいは打ち抜き・切断等の取扱い時にグリーン
シートが割れたりヒビが入ったりすることがある。その
ため、フタル酸エステル等の可塑剤を添加しなければな
らず、その結果、グリーンシートとして成形した後の貯
蔵時に該可塑剤が表面へブリージングしたり揮発すると
いった問題を生じることも指摘される。またこれらのバ
インダーは熱分解性も良好とはいえず、脱バインダー後
に残存するカーボンやNa分等の灰分によって焼成時に
膨れ、割れ、亀裂などを生じることもあるので、IC基
板やICパッケージ、誘電体等の電子部品として用いた
場合に、電気絶縁性などの電気的特性が損なわれたり、
セラミックシートが反りや表面荒れを起こしたり、焼結
密度が低下するといった様々の問題を生じてくる。
【0010】特に、本発明が意図する薄膜シートの製造
においては、セラミック原料粉末として粒子径が2μm
程度以下の微粒子を用いることが望まれるが、従来のバ
インダーを用いた場合は、セラミック粉末が凝集を起こ
し易くなるばかりでなく、シート成形のため多量のバイ
ンダーを使用しなければならないため、シートの成形性
はますます低下してくる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な従
来技術の問題点に着目してなされたものであって、その
目的は、セラミックスシート成形用バインダーに求めら
れる前述した要求特性、即ちグリーンシートを得る際
のシート成形性、焼成時の熱分解性、グリーンシー
トの打ち抜き・切断加工性、積層性、切断屑を回収
して再利用する際の再分散性などを全て満たし、特にこ
れまであまり検討されたことのない切断屑再利用時の再
分散性の改善に主眼を置き、再分散性が良好で工業的規
模での実用化に適した新規なバインダーを開発し、延い
ては実用性の高いセラミック前駆体組成物とセラミック
グリーンシートおよびその製法を確立すると共に、該グ
リーンシートを焼結することによって高性能のセラミッ
クシートを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明にかかるセラミック前駆体組成物とは、
(A)等電点がpH7.0〜10.0であるセラミック
ス粉末:100重量部に対し、(B)バインダーとし
て、炭素数1〜20のアルキルメタクリレート40〜9
5重量%を主たるモノマー成分とする共重合体からな
り、アミン価が5〜80、水酸基価が1〜60、酸価が
実質的に0であるアルキルメタクリレート系共重合体:
10〜30重量部を含有するところに要旨を有してい
る。
【0013】ここでいう等電点とは、両性電解質やコロ
イド粒子の電気二重層の電位がゼロになるときの溶液の
水素イオン濃度(pH)をいう。つまり、酸化物粒子を
水中に懸濁・分散したときの電荷がゼロになるときのp
Hであり、酸化物の酸性・塩基性で大きく異なり、また
同じ酸化物であってもその製法・履歴などによって幾ら
か変化するといわれている。等電点では電気泳動移動速
度がゼロとなるので、pHを変えても電気泳動を行なう
ことによって実験的に等電点を求めることができる。
【0014】またアミン価とは、JIS K 7237
で規定されている全アミン価を意味し、上記共重合体1
g中に含まれる全塩基性窒素を中和するのに要する過塩
素酸と当量の水酸化カリウムのmg数で表わした数値で
あり、具体的には、共重合体をo−ニトロトルエンおよ
び酢酸の混合溶液に溶かし、クリスタルバイオレットを
指示薬として0.1N過塩素酸酢酸溶液で滴定し、消費
した0.1N過塩素酸酢酸溶液から次式によって算出し
た値である。
【0015】全アミン価=56.11×0.1×(V3
−V4)×f÷m V3:終点までの滴定に消費された0.1N過塩素酸酢
酸溶液の量(ml) V4:空試験で消費された0.1N過塩素酸酢酸溶液の
量(ml) f :0.1N過塩素酸酢酸溶液のファクター m :共重合体の質量(g)
【0016】水酸基価とは、共重合体1gから得られる
アセチル化物に結合している酢酸を中和するのに必要な
水酸化カリウムのmg数で表わした数値であり、共重合
体を過剰のアセチル化剤、例えば無水酢酸と加熱してア
セチル化を行ない、生成したアセチル化物のケン化価を
測定した後、次式に従って算出した値である。 水酸基価=A÷(1−0.00075×A)−B A:アセチル化後のケン化価、B:アセチル化前のケン
化価
【0017】また酸価とは、共重合体1g中に含まれる
遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg
数を言い、共重合体をベンゼン−エタノール、エーテル
−エタノール等の混合溶媒に溶かし、正確に力価の分か
っている水酸化カリウム溶液で滴定してその中和量から
算出する。共重合体の遊離脂肪酸含有量は、普通遊離酸
をオレイン酸と見做して次式によって算出する。 遊離酸%=酸価×(282/56)×(1/10)=酸
価×0.5 また実質的に酸価が0(ゼロ)とは、モノマー中に不純
物として不可避的に含まれるカルボキシル基から導かれ
る酸価を除いてゼロであることを意味する。
【0018】本発明にかかる上記セラミック前駆体組成
物の原料となるセラミックス粉末として特に好ましいの
は、アルミナ及び/又はジルコニアを主成分とするもの
であり、また上記アルキルメタクリレート系共重合体と
して特に好ましいのは、炭素数1〜10のアルキル基を
有するアルキルメタクリレートと、アミノ基含有アルキ
ル(メタ)アクリレート、および炭素数2〜4のヒドロキ
シアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリ
レートをモノマー成分として含む共重合体である。
【0019】そして、該セラミック前駆体組成物よりな
るスラリーを、基材表面に薄膜状にコーティングした
後、乾燥して揮発成分を飛散させると均質なセラミック
グリーンシートが得られると共に、これを更に焼結する
と均質なセラミックシートを得ることができ、これらセ
ラミックグリーンシートおよびセラミックシート並びに
それらの製法も本発明の範囲に含まれる。そして、最終
的に得られるセラミックシートは、その優れた特性を生
かして特に燃料電池の固体電解質膜用として有効に活用
できる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明のセラミック前駆体組成物
を使用すると、充分な機械的強度と可撓性を有すると共
に表面平滑性に優れ、例えば膜厚が1mm以下、好まし
くは0.5mm以下、特に100μm以下の均一なグリ
ーンシートを得ることができ、このグリーンシートを焼
成することにより、例えば膜厚が0.8mm以下、好ま
しくは0.4mm以下、特に100μm以下の緻密で表
面平滑性に優れたセラミックシートを容易に得ることが
できる。
【0021】そして本発明のセラミックシートは、耐熱
性、機械的強度、電気絶縁性、化学的耐久性等の諸性能
が優れていることから、電子材料分野において各種電子
回路基板、蒸着膜、スパッタ膜等の薄膜用基板等に、ま
た、断熱性、耐蝕部材、絶縁材、摺動材等の機械材料分
野において極めて有効に活用できる。
【0022】また電子材料分野では、近年、エレクトロ
ニクス機器の小型・高性能化に伴なって回路素子の薄膜
化が求められ、基板自体に更なる薄膜化が要求されると
共に、セラミックシートの薄型化によって新たに発現す
る可撓性、透光性等の性質を利用した応用研究も進めら
れているが、本発明のセラミックシートは、これらの諸
要求をも満足し得るものとなる。
【0023】更に、例えばジルコニアの酸素イオン伝導
性を利用したセンサーや固体電解質燃料電池等において
は、固体電解質膜の抵抗を下げるためガス透過性を可及
的に抑えたジルコニア薄膜シートが求められているが、
本発明によれば、こうした要求特性も十分に満たすセラ
ミックシートを得ることが可能となる。
【0024】更に本発明のセラミック前駆体組成物は、
使用するバインダーの成分組成を特定することによっ
て、グリーンシートを打ち抜き・切断などに付した後の
切断屑を回収して再利用する際の再分散性が極めて良好
であり、従ってこれら切断屑を全て無駄無く有効に利用
できるのでロスが殆どなく、工業的規模で実用化する際
の経済性も十分に満たすものとなる。
【0025】本発明では、使用するセラミック粉末の吟
味と、これと組合わせて使用するバインダーの選択が極
めて重要となるので、以下これらについて詳細に説明を
進める。
【0026】本発明で使用するセラミック粉末として
は、等電点がpH7.0〜10.0、より好ましくはp
H7.5〜9.0の範囲であり、且つ好ましくは平均粒
径が0.02〜2μm、特に0.1〜0.8μmのサブ
ミクロンの粉末が好ましい。具体的には、イットリア等
の希土類元素の酸化物で安定化されたジルコニア粉末、
これらジルコニア粉末にアルミナ、チタニアなどが添加
されたジルコニア系粉末、アルミナ粉末、少量のマグネ
シア等のアルカリ土類金属が添加されたアルミナ系粉末
などが好ましく使用される。中でも特に好ましいのは、
2〜12モル%のイットリアで安定化されたジルコニア
粉末、或いは該ジルコニア粉末に0.1〜5重量%程度
のアルミナやチタニア等が添加されたイットリア安定化
ジルコニア系粉末である。
【0027】ここで用いられるセラミック粉末として
は、等電点がpH7.0〜10.0の範囲のものが使用
されるが、該等電点を定めた理由は次の通りである。即
ち、本発明で使用される共重合体よりなるバインダーは
適度のアミン価と水酸基価を有すると共に酸価が実質的
にゼロであることから、SiO2の如き等電点がpH
7.0を下回る粉体では、前駆体組成物のチクソトロピ
ー性が著しくなり、場合によってはゲル化を起こすこと
もある。一方、MgOの如き等電点が10.0を上回る
粉体では、バインダーに対する粉体の分散性が悪いため
か、バインダーとしての作用が十分に発揮されなくなる
からである。
【0028】また該セラミック粉末は、平均粒径が0.
02〜2ミクロン、特に0.1〜0.8ミクロンのサブ
ミクロンの粉末が好ましく、更には、焼結時の収縮率の
局所的な差異や異方性に起因する焼結シートの反り、ひ
ずみ、割れ等の欠陥の発生を抑え、寸法安定性を良くす
るには、粗大粒子が少なく且つ粒子径が均一で粒度分布
が狭く、レーザー回折粒度分布測定機(島津製作所社製
「SALD−1100」)で測定した平均粒子径が0.
1〜0.8μmで且つ90体積%径が1.0〜2.0μ
mの粉末が特に好ましい。
【0029】こうした好ましい要件を満たすセラミック
粉末としては、本出願人が開発した一連のセラミック粉
末の製造方法によって製造されたセラミック粉末が挙げ
られる。該セラミック粉末の製法を具体的に例示する
と、例えば特開昭61−44717号公報に開示されて
いる如く、炭酸ジルコニルアンモニウム塩またはこれと
イツトリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属の化
合物との混合物を含む水溶液または懸濁液を、過酸化水
素またはオゾンで処理し、得られる固形沈殿物を分離
し、乾燥することによって得られるジルコニア粉末、特
開昭61−286222号や同61−44718号公報
に開示されている様に、ジルコニウム塩の水溶液または
ジルコニウム塩とイツトリウム、カルシウム、マグネシ
ウム等の金属を含む混合水溶液にアンモニア水を加えて
沈殿を形成させる際に、該沈殿生成反応を流通式反応方
式で反応時中のpHを一定に保ちつつ連続的に行うこと
により沈殿を形成させ、得られる沈殿を分離、乾燥、焼
成することによって得られるジルコニア粉末、特開昭6
2−153121号公報に開示されている如く、炭酸ジ
ルコニウムアンモニウム水溶液に、カルシウム塩やマグ
ネシウム塩水溶液に過酸化水素を添加した水溶液を混合
して固形物を生成させ、該固形物を母液から分離して乾
燥し、焼成することによって得られるジルコニア粉末、
特開昭63−176308号公報に開示されている如
く、ジルコニアまたはイツトリウム、セリウム、カルシ
ウム、マグネシウム等の元素の酸化物を50モル%以下
で含むジルコニア系微粉体とカツプリング剤および溶媒
とを混合あるいは懸濁した後、必要により有機溶媒に前
記ジルコニア粉体を分散させ、加熱蒸発してから脱水・
乾燥し、続いて200〜300℃の温度で加熱処理する
ことよって得られる表面処理されたジルコニア系粒子、
特開昭60−176921号公報に開示されている如
く、有機物を含む水溶液中で炭酸ジルコニルアンモニウ
ムを加熱分解し、分解生成物である固相部分を分離・乾
燥・焼成することによって得られるジルコニア粉末、特
開昭62−212225号公報に開示されている如く、
ジルコニウム塩またはジルコニウム塩とイツトリウム、
カルシウム、マグネシウム等の金属の塩とを含む水溶液
と塩基性物質とを混合して水酸化物の沈殿を得、該沈殿
物を水洗・濾過後有機溶媒中に分散させてから加熱蒸留
して脱水し、次いで加圧下で乾燥した後に焼成すること
によって得られるジルコニア含有粉末等が挙げられる。
【0030】これらの中でも特に好ましいのは、特開昭
61−44718号や特開昭61−286222号公報
に開示されている方法によって得られるジルコニア系粉
末であり、且つ等電点がpH7.0〜10.0の範囲に
納まるものが選択される。
【0031】次に、本発明で使用されるバインダーとし
ては、炭素数1〜20のアルキルメタクリレート:40
〜95重量%を主たるモノマー成分とする共重合体から
なり、アミン価が5〜80、水酸基価が1〜60で、酸
価が実質的に0であるアルキルメタクリレート系共重合
体が使用され、好ましい分子量は、数平均分子量で1
0,000〜100,000、より好ましくは20,0
00〜80,000の範囲、ガラス転移温度は−40〜
40℃、より好ましくは−30〜30℃の範囲のものが
好ましく使用される。
【0032】該共重合体の主成分となるアルキルメタク
リレートは、炭素数1〜20、より好ましくは2〜8の
アルキルまたは炭素数4〜8、好ましくは5〜6のシク
ロアルキル基を有するアルキルまたはシクロアルキルメ
タクリレートであり、1種または2種以上が使用され
る。この様なメタクリレートとしては、例えばメチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメ
タクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチ
ルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec
−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、
2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ドデシルメタ
クリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタ
クリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘ
プチルメタクリレート等があり、特にブチルメタクリレ
ート類、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘ
キシルメタクリレート等が好ましい。
【0033】これらメタクリレートの共重合比率は、全
共重合性モノマー中に占める比率で40〜95重量%の
範囲であり、40重量%未満では、熱分解性が低下する
と共にグリーンシートが強度不足となり、一方、95重
量%を超えると、グリーンシートの可撓性が低下すると
共に硬くなってクラック割れ等が生じ易くなり、シート
成形性も悪くなる。
【0034】次に、上記アルキルメタクリレート系共重
合体にアミン価を与えるために使用されるモノマー成分
として好ましいのはアミノ基含有モノマーであり、その
具体例としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、
エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチ
ル(メタ)アクリルアミド、アリルアミンの様な1級ア
ミン含有モノマー;N−メチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、N−フェニルアミノエチル(メタ)アクリ
レートの様な2級アミン含有モノマー;N,N−ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−
2−ピロリドン、N−ビニルピロリジンの様な3級アミ
ン含有モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレートやジアリルアミンなどをハロゲン化ア
ルキルや硫酸ジメチルなどで4級化した4級化物等が例
示され、これらも単独で使用し得る他、必要により2種
以上を併用することができる。上記1級アミン、2級ア
ミン、3級アミンを有するモノマーは、予め硫酸、塩
酸、酢酸、蓚酸などの無機酸や有機酸で中和して用いて
も構わない。
【0035】これらの中でも特に好ましいのは(メタ)
アクリレート系のアミノ基含有モノマーであり、とりわ
け好ましいのは、炭素数が1〜4のアルキル基を有する
アルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレートである。
【0036】これらのアミノ基含有モノマーは、特にセ
ラミック粉末の分散性に影響を及ぼし、セラミック粉末
との結合性がカルボキシル基含有モノマーの様に強くな
いため、グリーンシートの切断屑を再使用する際の再分
散性を高める上で極めて有効に作用する。こうした作用
は、特に等電点がpH7.5〜9.5の弱アルカリ領域
にあるセラミック粉末に対してとりわけ有効に発揮され
る。そして、こうした再分散性向上効果を有効に発揮さ
せるには、最終的に得られるアルキルメタクリレート系
共重合体の固形分としてのアミン価が5〜80の範囲内
となる様に共重合比率を調整しなければならず、アミン
価が5未満ではバインダーとしての分散性、再分散性、
積層成形性等が乏しくなり、逆に80を超えて過度に高
くなると焼成時の熱分解性が劣化すると共にグリーンシ
ートの柔軟性も悪くなる。
【0037】こうした観点から、アミン価のより好まし
い下限値は10、更に好ましくは15、より好ましい上
限値は60、更に好ましくは40である。そして、この
様なアミン価を確保するには、前記アミノ基含有モノマ
ーを全共重合性モノマー100重量部中に占める比率で
1〜25重量%、より好ましくは3〜15重量%の範囲
とすることが望ましい。
【0038】次にアルキルメタクリレート系共重合体に
水酸基価を導入するために使用するモノマーとしては、
分子中にヒドロキシル基を有するものであれば任意に選
択して使用できるが、中でも特に好ましいのは炭素数2
〜10、より好ましくは2〜4のヒドロキシアルキル基
を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであ
り、これらは単独で使用してもよく、或いは2種以上を
併用しても構わない。この様なヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパンモノ(メタ)アクリレート等があり、特
に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好適に
使用できる。
【0039】これらヒドロキシアルキル基を有するヒド
ロキシ(メタ)アクリレートは、セラミック粉末の分散
性に影響を及ぼし、該粉末との結合性がカルボキシル基
含有モノマーの様に強くないため、切断屑の再溶解性を
高める作用も発揮する。殊に、前記アミノ基含有モノマ
ーと共重合させるとその作用は一層優れたものとなる。
【0040】該ヒドロキシアルキル基含有モノマーは、
アルキルメタクリレート系共重合体の固形分としての水
酸基価が1〜60の範囲内となる様に共重合比率を調整
しなければならず、水酸基価が1未満ではバインダーと
しての再溶解性や積層成形性等が乏しくなり、逆に60
を超えて過度に高くなると分散性が劣化する。
【0041】こうした観点から、水酸基価のより好まし
い下限値は3、更に好ましくは5、より好ましい上限値
は50、更に好ましくは30である。そして、この様な
水酸基価を確保するには、前記ヒドロキシル基含有モノ
マーを全共重合性モノマー100重量部中に占める比率
で1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%の範
囲とすることが望ましい。
【0042】本発明でバインダーとして使用されるアル
キルメタクリレート系共重合体を構成する必須のモノマ
ー成分は上記の通りであるが、得られる共重合体の粘度
やガラス転移温度などを調整するため、必要に応じて他
のアルキルアクリレートを適量共重合させることも有効
である。但し、カルボキシル基を有する共重合性の不飽
和カルボン酸はセラミック粉末との結合力が高く再分散
性を阻害するので、使用は避けなければならない。
【0043】これらのモノマー成分を用いてアルキルメ
タクリレート系共重合体を得るための重合方法にも特に
制限はなく、パーオキサイド、ハイドロパーオキサイ
ド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始
剤の存在下に、懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の通常
の重合法により50〜100℃、好ましくは70〜90
℃の温度で行なわれる。得られる共重合体の数平均分子
量は10,000〜100,000、好ましくは20,
000〜80,000の範囲に調整される。すなわち、
該分子量が10,000未満ではバインダーとしての結
合力が低下し、グリーンシートの強度および成形性が劣
り、バインダーの多量添加が必要となる。一方、該分子
量が100,000を超えるとバインダーの粘度が高く
なり、希釈のための溶媒量が多くなってグリーンシート
の成形性が悪くなる。
【0044】更に上記モノマーの組成比は、共重合体の
ガラス転移温度が−40〜40℃、より好ましくは−3
0〜30℃の範囲になる様に調整することが望ましい。
しかして、−40℃より低温のガラス転移温度では粘着
性が大きくなってグリーンシートが扱い難くなり、また
40℃を超える高温のガラス転移温度では、共重合体が
硬くなってシート成形性や切断加工性が低下し、多量の
可塑剤を使用しなければならなくなって熱分解性にも悪
影響を及ぼす様になる。
【0045】かくして得られる共重合体からなるバイン
ダーは、前述した如く、例えばイットリア等の希土類元
素の酸化物で安定化されたジルコニア粉末、これらジル
コニア粉末にアルミナ、チタニアなどの添加されたジル
コニア系粉末、アルミナ粉末、少量のマグネシア等のア
ルカリ土類金属が添加されたアルミナ系粉末などのセラ
ミック粉末に100重量部に対し10〜30重量部の範
囲で添加される。
【0046】バインダーのより好ましい配合量は、セラ
ミック粉末の粒子径によって変わり、平均粒子径が0.
01〜1μmの場合は15〜30重量部、1〜2μmの
場合は10〜25重量部の範囲が特に好ましい。バイン
ダー添加量が10重量部未満では、グリーンシートの成
形性や強度、可撓性が不足気味となり、一方30重量部
を超えると、グリーンシートの加工性が悪くなると共に
焼成時の収縮が大きくなって寸法安定性が損なわれる。
【0047】キャスティングのためのスラリーを調製す
るに当たっては、公知の方法でセラミック粉末に溶媒と
バインダーをボールミル等で混練りすることによって調
製されるが、この時、必要に応じて焼結助剤や分散剤、
可塑剤、消泡剤などを加えてもよい。
【0048】溶媒としては、アセトン、メチルエチルケ
トン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブ
タノール類、変性アルコール、酢酸エチル、トルエン、
キシレン等の有機溶剤が単独であるいは2種以上を混合
して用いられる。
【0049】分散剤としては、グリセリン、ソルビタン
等の多価アルコールエステル系、ポリエーテル(ポリオ
ール)系やアミン系などが用いられるが、特に好ましい
のはソルビタントリオールである。また可塑剤として
は、ポリエチレングリコールの誘導体やフタル酸エステ
ル系が好ましく、特にジブチルフタレート、ジオクチル
フタレートが好適である。
【0050】セラミック粉末とバインダーとが均一に混
合されたスラリーは、次いで減圧脱泡して粘度を10〜
100ポイズの範囲、より好ましくは20〜80ポイズ
の範囲に調整し、一定の挟間を有するドクターブレード
でキャリアフィルム上にシート状にキャスティングした
後、40〜150℃の温度、例えば50℃、80℃、1
20℃の様な一定の温度、あるいは順次連続的に昇温し
て加熱乾燥することによりセラミックグリーンシートを
得る。
【0051】基材として用いる好ましいキャリアフィル
ムとしては、高分子基材、例えばポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、
ポリカーボネート等である。
【0052】該セラミックグリーンシートの厚みは0.
01〜1mm程度が適当であり、好ましくは0.02〜
0.5mm、特に30〜300μmである。
【0053】本発明によれば、上記セラミックグリーン
シートをそのまま焼成することによって平坦なセラミッ
クシートとすることができ、また該セラミックグリーン
シートをトレー、シャーレ、ロート、椀、ルツボ等に成
形してから焼成すれば、それらの形状の3次元セラミッ
ク成形体が得られる。勿論これらの形状には一切制限が
なく、機械的方法あるいは手作業によって任意の3次元
形状に成形できる。
【0054】この様にして得られるグリーンシートは、
充分な強度と可撓性を有すると共に均一な厚さを有して
おり、表面滑性にも優れたものである。
【0055】このグリーンシートまたはその成形体を常
法により焼成すると、所望の形状のシート若しくは成形
体が得られる。例えば200〜500℃、好ましくは2
50〜450℃で脱脂した後、1,200〜1,700
℃、好ましくは1,300〜1,500℃で焼成され
る。脱脂炉および焼成炉の雰囲気も特に制限はなく、通
常の大気雰囲気中で行なうことができる。得られるセラ
ミックシートは表面平滑性が極めて優れているので、摺
動部材等としても使用できる。
【0056】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例中の部は全て重量部を、%は特に
ことわらない限り重量%を示すものとする。なお、分子
量は全て数平均分子量である。
【0057】実施例1 撹拌器、温度計、冷却管、窒素導入管、混合モノマー滴
下ロートおよび重合開始剤滴下ロートを備えたセパラブ
ルフラスコに、溶剤としてトルエン/イソプロピルアル
コール(重量比で3/2)120部を入れ、窒素導入管
より窒素を導入してフラスコ内を窒素置換する。次に混
合モノマー滴下ロートへ2−エチルヘキシルメタクリレ
ート95%、ジメチルアミノエチルメタクリレート4
%、ヒドロキシプロピルアクリレート1%からなる混合
モノマー100部を仕込み、重合開始剤滴下ロートヘア
ゾビスイソブチロニトリル0.4部を仕込む。
【0058】フラスコの内温を60℃に調節し、攪拌し
ながら混合モノマーおよび重合開始剤を2時間かけて滴
下し、さらに60℃で2時間、次いで80℃で2時間加
熱してから冷却し、固形分濃度45%、数平均分子量8
0,000、ガラス転移温度−9℃、アミン価14、水
酸基価4、酸価0の共重合体からなるバインダーを得
た。
【0059】実施例2〜6 上記実施例1に準拠し、モノマー成分を表1に示す様に
変更した以外は同様にして実施例2〜6のバインダーを
得た。得られたバインダーの分子量、ガラス転移温度、
アミン価、水酸基価、酸価を表1に一括して示す。
【0060】
【表1】
【0061】比較例1〜12 前記実施例1に準拠し、モノマー成分を表2〜3に示す
様に変更した以外は同様にして比較例1〜12のバイン
ダーを得た。得られたバインダーの分子量、ガラス転移
温度、アミン価、水酸基価、酸価を表2,3に一括して
示す。
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】実施例7 平均粒子径が0.9μm、等電点がpH8.2である8
モル%イットリア安定化酸化ジルコニウム粉末(住友大
阪セメント社製商品名「OZC−8YC」)を粉砕した
平均粒子径が0.7μm、90体積%径が1.4μmの
粉末100部に、前記実施例1で得たバインダーを15
部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを2部、ソルビタン
トリオール、および溶剤としてトルエン/イソプロピル
アルコール(重量比で3/2)混合溶剤50部を加え
た。
【0065】この混合物を、直径15mmのジルコニア
ボールを入れたボールミルに装入し、60rpmの回転
速度で24時間混練してスラリーとした後、200メッ
シュの金網を用いて濾過し、次いで20rpmの速度で
攪拌しながら減圧脱泡し、粘度を30ポイズに調整して
ジルコニア前駆体組成物を得た。
【0066】この前駆体組成物をドクターブレード法に
よってPETフィルム上にキャスティングし、80℃で
乾燥して厚さ180μmのジルコニアグリーンシート
(1)を得た。
【0067】また、実施例2〜6で得たバインダーを使
用した以外は全く同様にして、厚さ180μmのジルコ
ニアグリーンシート(2)〜(6)を得た。
【0068】なお、等電点は次の様にして求めた。即
ち、NH4NO3を緩衝剤として0.8g溶解させたイオ
ン交換水1000mlに、粉体0.3gを投入しホモジ
ナイザー(日本精機製作所製「US−300」)で5分
間分散させ、懸濁液を得る。この懸濁液を25〜30℃
に冷却してから2分割し、1つ目の懸濁液は攪拌しなが
ら硝酸により酸性側に調整しながらζ電位測定装置(P
EN KEM社製モデル「501型」)を用いてζ電位
を測定する。2つ目の懸濁液は、攪拌しながらアンモニ
ア水によりアルカリ側より同様にして測定する。
【0069】実施例8 平均粒子径が1.2μm、等電点がpH8.6である酸
化アルミニウム粉末(昭和電工社製商品名「AL−15
−2」)100部に、前記実施例1で得たバインダーを
12部、可塑剤としてフタル酸ジブチルを2部、ソルビ
タントリオールおよび溶剤としてトルエン/イソプロピ
ルアルコール(重量比で3/2)混合溶剤50部を加え
た。
【0070】この混合物を、直径15mmのアルミナボ
ールを入れたボールミルに装入し、60rpmの回転速
度で24時間混練してスラリーとした後、200メッシ
ュの金網を用いて濾過し、次いで20rpmの速度で攪
拌することによって減圧脱泡し、粘度を50ポイズに調
整してアルミナ前駆体組成物を得た。
【0071】この前駆体組成物をドクターブレード法に
よってPETフィルム上にキャスティングし、80℃で
乾燥して厚さ380μmのアルミナグリーンシート(7)
を得た。
【0072】実施例9 上記実施例7,8で得たジルコニアグリーンシート(1)
〜(6)およびアルミナグリーンシート(7)の特性を下記の
方法によって評価し、結果を表4に示した。
【0073】成形性:グリーンシートをPETフィルム
から剥がしたときに、シートにひびが入るか否かで判定
した。 ○:ひびが入らない、×:ひびが入る
【0074】表面性状:グリーンシートの表面を目視観
察して評価する。 ○:極めて平滑、△:やや表面荒れが認められる、×:
表面荒れが著しい
【0075】柔軟性:直径5mmのガラス棒を軸にして
折り曲げ、クラックが発生するか否かを目視観察で評価
した。 ○:全くクラックが生じない、△:僅かにクラックが認
められる ×:クラックの発生が著しい
【0076】積層性:5cm角のグリーンシートを10
枚重ね合わせ、80℃、50kg/cm2の条件でプレ
スした後、シート間に剥がれが生じるか否かによって判
定した。 ○:剥がれが全く生じない、△:僅かに剥がれが認めら
れる ×:顕著な剥がれが認められる
【0077】切断加工性:ロータリー式のカッターでグ
リーンシートを切断し、加工屑がシートに付着している
か否かを目視観察して評価した。 ○:切断屑の付着が認められない、△:僅かに切断屑が
付着する ×:切断屑の付着が著しい
【0078】再溶解性:グリーンシートと、2倍量(重
量比)のトルエン/イソプロピルアルコール(重量比で
3/2)混合溶剤とを、直径15mmのジルコニアボー
ルの入ったボールミルに装入し、60rpmで24時間
混練した後、200メッシュの金網を用いて濾過し、金
網に残る残渣を目視観察して再溶解性を評価した。 ○:金網に残渣が認められない △:金網に僅かに残渣が認められる ×:金網に残渣がはっきりと認められる
【0079】強度・伸び:グリーンシートを引張り強度
試験(JIS K 7113)に供し、強度が20kg
/cm2以上を○、5〜20kg/cm2を△、5kg/
cm 2未満を×と判定した。また伸びは、30%以上を
○、10〜30%を△、10%未満を×と判定した。
【0080】熱分解性:グリーンシートを示差熱分析に
かけ、95%分解温度によって評価した。 ○:400℃未満、△:400〜500℃、×:500
℃以上 結果を表5に一括して示す。
【0081】
【表4】
【0082】比較例12〜24 前記表2,3に示したバインダーを使用し、実施例7と
同様にしてジルコニアグリーンシート(8)〜(19)を調製
し、実施例9と同様にしてグリーンシートの特性評価を
行なった。
【0083】結果を表5,6に示す。
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】実施例10 前記実施例7で得た各ジルコニアグリーンシート(1)〜
(6)を、ロータリー式カッターを用いて1辺が150m
mの正方形に切断し、1450℃で3時間焼成してジル
コニアシートを得た。得られた各シートの密度、表面粗
さ、反り量を測定すると共に、表面性状を目視観察し、
表7に示す結果を得た。
【0087】シートの密度:JIS R−2205に準
じて見掛け比重を測定し、シートの密度(g/cm3)とし
た。
【0088】表面粗さ :JIS B−0601に準じ
て、触針式の表面形状測定機(DEKTAK社製「30
30型」)を用いて表面粗さRa(μm)を測定した。
【0089】反り量 :定盤の上に設置した隙間を可
変に設定できるウネリ測定機によってシートが通過でき
る隙間を測定し、この測定値からシートの厚さを減じた
値(μm)を反り量とした。 表面性状 :表面状態を目視観察し、ふくれ、異物・傷
の有無やうねり状態を観察した。
【0090】
【表7】
【0091】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、等
電点の特定されたセラミック粉末を使用し、これを、ア
ミン価、水酸基価および酸価の特定されたアルキルメタ
クリレート系共重合体をバインダーとして組合わせるこ
とによって、グリーンシートの成形性および打ち抜き・
切断加工性、積層性、焼成時の熱分解性、切断屑を回収
して再利用する際の再分散性、等の全てに優れたセラミ
ックグリーンシートを与える前駆体組成物を提供すると
共に、該前駆体組成物を使用することにより平滑且つ緻
密で優れた表面性状を有するセラミックシートを提供し
得ることになった。特に優れた平滑性、平坦性、緻密性
を有していることから、燃料電池用のジルコニア固体電
解質膜として有用に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高崎 恵次郎 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 下村 雅敏 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4G030 AA12 AA17 AA36 BA03 CA08 GA14 GA17 GA20 PA21 4G052 DB02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)等電点がpH7.0〜10.0であ
    るセラミックス粉末:100重量部に対し、 (B)バインダーとして、炭素数1〜20のアルキルメ
    タクリレート40〜95重量%を主たるモノマー成分と
    する共重合体からなり、アミン価が5〜80、水酸基価
    が1〜60、酸価が実質的に0であるアルキルメタクリ
    レート系共重合体:10〜30重量部を含有することを
    特徴とするセラミック前駆体組成物。
  2. 【請求項2】 セラミックス粉末が、アルミナ及び/又
    はジルコニアを主成分とするものである請求項1に記載
    の前駆体組成物。
  3. 【請求項3】 アルキルメタクリレート系共重合体が、
    炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキルメタクリ
    レートと、アミノ基含有アルキル(メタ)アクリレート、
    および炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有するヒ
    ドロキシアルキル(メタ)アクリレートをモノマー成分と
    して含むものである請求項1または2に記載の前駆体組
    成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載されたセ
    ラミック前駆体組成物をシート状に成形したものである
    ことを特徴とするセラミックグリーンシート。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載されたセ
    ラミック前駆体組成物よりなるスラリーを、基材表面に
    薄膜状にコーティングした後、乾燥して揮発成分を飛散
    させることを特徴とするセラミックグリーンシートの製
    法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載されたセラミックグリー
    ンシートの焼成物からなることを特徴とするセラミック
    シート。
  7. 【請求項7】 燃料電池の固体電解質膜用として使用さ
    れるものである請求項6に記載のセラミックシート。
JP03776899A 1999-02-16 1999-02-16 セラミックグリーンシート及びそれを用いたセラミックシート、並びにその製法 Expired - Fee Related JP3779481B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03776899A JP3779481B2 (ja) 1999-02-16 1999-02-16 セラミックグリーンシート及びそれを用いたセラミックシート、並びにその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03776899A JP3779481B2 (ja) 1999-02-16 1999-02-16 セラミックグリーンシート及びそれを用いたセラミックシート、並びにその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000233975A true JP2000233975A (ja) 2000-08-29
JP3779481B2 JP3779481B2 (ja) 2006-05-31

Family

ID=12506657

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03776899A Expired - Fee Related JP3779481B2 (ja) 1999-02-16 1999-02-16 セラミックグリーンシート及びそれを用いたセラミックシート、並びにその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3779481B2 (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003104779A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Nisshin Chem Ind Co Ltd 水溶液型セラミックス成形用バインダー
JP2003253205A (ja) * 2002-02-27 2003-09-10 Hitachi Chem Co Ltd シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2003253204A (ja) * 2002-02-27 2003-09-10 Hitachi Chem Co Ltd シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2003253206A (ja) * 2002-02-27 2003-09-10 Hitachi Chem Co Ltd シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2005205805A (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Daiichi Seramo Kk 粉末射出成形用組成物、及びその焼結体
JP2005277165A (ja) * 2004-01-28 2005-10-06 Kyocera Corp 電子部品の製造方法
JP2006066627A (ja) * 2004-08-26 2006-03-09 Kyocera Corp 電子部品の製造方法
JP2006121016A (ja) * 2004-09-27 2006-05-11 Kyocera Corp 電子部品の製造方法
JP2007055862A (ja) * 2005-08-25 2007-03-08 Nippon Shokubai Co Ltd ジルコニアシートおよびその製造方法
JP2007176709A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Hokkaido Univ SiC含有シートの製造方法
JP2009129724A (ja) * 2007-11-26 2009-06-11 Rohm Co Ltd 有機elパネル
JP2018129215A (ja) * 2017-02-09 2018-08-16 株式会社日本触媒 ジルコニア電解質およびその製造方法
JP2020132490A (ja) * 2019-02-21 2020-08-31 日本カーバイド工業株式会社 セラミック成形用バインダー組成物、セラミック成形用組成物、及びセラミックグリーンシート
CN116606124A (zh) * 2023-05-19 2023-08-18 湖南省新化县鑫星电子陶瓷有限责任公司 一种氧化铝陶瓷基板及其制备方法

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003104779A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Nisshin Chem Ind Co Ltd 水溶液型セラミックス成形用バインダー
JP2003253205A (ja) * 2002-02-27 2003-09-10 Hitachi Chem Co Ltd シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2003253204A (ja) * 2002-02-27 2003-09-10 Hitachi Chem Co Ltd シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2003253206A (ja) * 2002-02-27 2003-09-10 Hitachi Chem Co Ltd シリカ系被膜形成用組成物、シリカ系被膜の製造方法及び電子部品
JP2005205805A (ja) * 2004-01-23 2005-08-04 Daiichi Seramo Kk 粉末射出成形用組成物、及びその焼結体
JP4638169B2 (ja) * 2004-01-28 2011-02-23 京セラ株式会社 電子部品の製造方法
JP2005277165A (ja) * 2004-01-28 2005-10-06 Kyocera Corp 電子部品の製造方法
JP2006066627A (ja) * 2004-08-26 2006-03-09 Kyocera Corp 電子部品の製造方法
JP2006121016A (ja) * 2004-09-27 2006-05-11 Kyocera Corp 電子部品の製造方法
JP2007055862A (ja) * 2005-08-25 2007-03-08 Nippon Shokubai Co Ltd ジルコニアシートおよびその製造方法
JP2007176709A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Hokkaido Univ SiC含有シートの製造方法
JP2009129724A (ja) * 2007-11-26 2009-06-11 Rohm Co Ltd 有機elパネル
JP2018129215A (ja) * 2017-02-09 2018-08-16 株式会社日本触媒 ジルコニア電解質およびその製造方法
JP2020132490A (ja) * 2019-02-21 2020-08-31 日本カーバイド工業株式会社 セラミック成形用バインダー組成物、セラミック成形用組成物、及びセラミックグリーンシート
JP7131755B2 (ja) 2019-02-21 2022-09-06 日本カーバイド工業株式会社 セラミック成形用バインダー組成物、セラミック成形用組成物、及びセラミックグリーンシート
CN116606124A (zh) * 2023-05-19 2023-08-18 湖南省新化县鑫星电子陶瓷有限责任公司 一种氧化铝陶瓷基板及其制备方法
CN116606124B (zh) * 2023-05-19 2024-05-07 湖南省新化县鑫星电子陶瓷有限责任公司 一种氧化铝陶瓷基板及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3779481B2 (ja) 2006-05-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2360207B1 (en) Polyvinyl acetal resin composition
JP3779481B2 (ja) セラミックグリーンシート及びそれを用いたセラミックシート、並びにその製法
KR930011269B1 (ko) 세라믹 그린 시이트
CN101228099A (zh) 固态电解质薄片的制造方法以及固态电解质薄片
WO2005007710A1 (ja) 塗工ペースト用バインダー樹脂
JP2010182665A (ja) 燃料電池用セラミックシートの製造方法
JP2013056809A (ja) 黒色ジルコニア強化アルミナセラミックスおよびその製造方法
JP2001199772A (ja) セラミックス成形用バインダー
JP2002015757A (ja) 固体電解質膜形成用スラリーおよびこれを用いた固体電解質膜
EP3361542B1 (en) Zirconia electrolyte and method for producing zirconia electrolyte
JP2007302515A (ja) セラミックシートの製造方法およびそれに使用する多孔質焼成用治具
JP2007323899A (ja) 固体酸化物形燃料電池用電解質シート及びその製法
JP2015042608A (ja) セラミック成形用バインダー組成物及びセラミックグリーンシート
JPH0717769A (ja) グリーンシート成形用セラミック泥漿物及びグリーンシート
JP5456552B2 (ja) 低吸湿性とアルカリ水溶解性を併せ持つポリマー
JP2007290934A (ja) セラミックグリーン体およびその製造方法
JPH0223492B2 (ja)
JP2574880B2 (ja) セラミツク前駆体組成物、それを用いてなるセラミツクグリーンシートおよびその製法
US20220325020A1 (en) Cross-linked methacrylate resin particles and a pore-forming agent
JPH0274555A (ja) セラミックグリーンシート
JP2000095572A (ja) 水系セラミック成形用バインダー
JP2623730B2 (ja) セラミックス基板用グリーンシートの製造方法
JP5456553B2 (ja) 靱性を有する焼結工程を含む成型用バインダー
JP2006117843A (ja) 塗工用ペースト
JP2006210256A (ja) 塗工ペースト用ビヒクル及び塗工ペースト

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040609

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050519

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051101

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060221

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060302

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100310

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100310

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110310

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120310

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120310

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130310

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140310

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees