JP2010182665A - 燃料電池用セラミックシートの製造方法 - Google Patents

燃料電池用セラミックシートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面の大きな凹凸が生じるなどの製造不良を抑制して、歩留の良好なセラミックシートの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る燃料電池用セラミックシートの製造方法は、スラリー調製工程、塗工工程、乾燥工程、打抜き工程および焼成工程を含み、乾燥後のグリーンシートは、前記スラリー原料以外の粒子であって、その粒子径が50μm以上の粒子の含有量がグリーンシート面積100cm2あたり20個以下であることを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池用のセラミックシートの製造方法に関するものである。
ジルコニアやアルミナからなるシートは、その優れた断熱性や気密性などによって、断熱材や焼成炉内における敷板やセパレータなどとして利用されている。特に近年、ジルコニアシートは固体酸化物型の電解質膜として用いられている。この程に、セラミックシートの利用は拡大しつつあるため、効率的な製造方法の開発が求められているところである。
セラミックシートは、主に、先ずセラミック粉末、バインダー、溶剤、分散剤などを含むスラリーを調製する工程、この原料スラリーを成形した後に乾燥してセラミックグリーンシートとする工程、および、当該セラミックグリーンシートを所望の形状に打抜きまたは切断後、高温で焼成する工程を経て製造される。ところが、乾燥されたセラミックグリーンシートや、焼成工程を経たセラミックシートに異物が混入していたり、表面に大きな凹凸が生じたりするなどの製造不良を生じて、歩留が低下するという問題がある。そこで、従来、セラミックシートの効率的な製造方法が検討されている。
例えば特許文献1には、セラミック粉末のスラリー調合時の含水率を0.4質量%以下にすることで、成形性、脱脂性、焼結性の向上や、製造ロット間のバラツキ低減を図ることができる厚膜セラミック焼結体の製造方法が記載されている。
一方、最大厚が30μmという薄膜のセラミックグリーンシートにおいて、表面平滑性の低下、強度の低下、クラックの発生、寸法安定性の低下等を解決することを目的として、セラミック成分の平均凝集度を規定した技術が特許文献2に開示されている。
特開2001−89246号公報 特開平8−238613号公報
上述した様に、セラミックシートの成形性等を高めるべく、原料であるセラミック粉末の含水率を規定する技術は知られている。しかし当該従来技術では、対応できない場合がある。即ち、確かに特許文献1の記載の通り、成形性の問題は薄膜シートよりも厚膜シートにおいて顕著ではある。ところが、セラミックシートの製造においては、グリーンシートの段階で所望の形状に打抜いたり切断したりする必要があり、薄膜のセラミックグリーンシートを打抜きや切断する場合には、切断面においてクラックや縁の欠損などの不良が生じ、歩留が低下する傾向にある。
また、特許文献2の技術の様に、表面平滑性等を考慮して、セラミック粉末の径や平均凝集度などを規定している薄膜セラミックグリーンシートの例もある。しかし、セラミック粉末の平均凝集度等のみを規定しても、やはり打抜きや切断の際に欠陥が生じる場合があった。
そこで、本発明が解決すべき課題は、表面に大きな凹凸が生じることを抑制して、歩留の良好なセラミックシートの製造方法を提供することにある。
前記課題を解決することができた本発明の燃料電池用セラミックシートの製造方法は、セラミック粉末、溶媒およびバインダーを含むスラリー原料を混合してスラリーを調製するスラリー調製工程;スラリー調製工程で得られたスラリーをフイルム上へシート状に塗工する塗工工程;塗工されたスラリーを乾燥してグリーンシートとする乾燥工程;グリーンシートを打抜き成形する打抜き工程;および成形されたグリーンシートを脱脂および焼結する焼成工程;を含み、前記グリーンシートは、前記スラリー原料以外の粒子であって、その粒子径が50μm以上の粒子の含有量がグリーンシート面積100cm2あたり20個以下であることを特徴とする。グリーンシートに含有される、スラリー原料以外の粒子であって、その粒子径が50μm以上の粒子個数をグリーンシート面積100cm2あたり20個以下とすることによって、得られるセラミックシート表面に大きな凹凸が生じることを防止できる。
前記スラリー調製工程においては、10体積%の粒子径が0.45μm以上、50体積%の粒子径が0.65μm以下、90体積%の粒子径が1.2μm以下の範囲にある粒子径分布を有するジルコニア粉末を前記セラミック粉末として用いることが好ましい。これによって、得られるセラミックシート表面に大きな凹凸が生じることを防止できる。
前記塗工工程においては、スラリー調製工程で得られたスラリーを、濾過サイズ40μm以下のフィルターおよび/または除鉄機に通してから用いることが好ましい。こうすることにより、セラミックシート-の異物の混入や、表面に大きな凹凸が生じることを防止できる。また、塗工工程においては、両面を剥離処理したキャリアーフイルムを用いることが好ましい。これによって、キャリアーフイルムからグリーンシートを容易に剥がすことができるため、剥がす際にグリーンシートを破損してしまうことが防止される。
さらに、前記塗工工程および乾燥工程において、特に乾燥工程の乾燥炉内で5μm以上の微粒子が1立方フィートあたり200個未満である雰囲気下で、前記スラリー調製工程で得られたスラリーをシート状に塗工し、塗工されたスラリーを乾燥してグリーンシートすることが好ましい。塗工工程および乾燥工程での雰囲気、特に雰囲気中の微粒子の粒径とその単位体積あたりの個数を特定することによって、効率的にグリーンシートに含有される、スラリー原料以外の粒子を減少せしめることができる。
前記打抜き工程においては、グリーンシート抜き型に埋設されたトムソン刃のボディ部のショア強度が40〜70、および/またはエッジ部のショア強度が70〜80であるトムソン刃を用いることが好ましい。上記のトムソン刃を用いることで、グリーンシートを打抜く際に、グリーンシート切断面においてクラックや欠損が生じることが防止される。
また、打抜き工程において生じる切断屑を、前記スラリー調製工程におけるスラリー原料として用いることにより、より効率よくセラミックシートを製造することができる。
また、前記焼成工程の前に、前記グリーンシートの表面を粗化する表面粗化工程を有することも好ましい態様である。これにより、表面が適度に粗化されたセラミックシートを得ることができる。
前記グリーンシート打抜き工程に用いるトムソン刃の寸法(X)が、前もってグリーンシートを打抜いて焼成工程と同じ焼成条件で前もって焼成してグリーンシート焼成収縮率(Y%)を算出し、所定セラミックシート寸法(Z)になるように下記式(1)で算出されたものが好ましい。
X=Z/(1−Y/100) (1)
前記打抜き工程におけるグリーンシート表面温度(T1)と、上記焼成収縮率を算出するときに打抜くグリーンシート表面温度(T2)との差の絶対値(|T1−T2|)が10℃以下であることが好ましい。
本発明に係るセラミックシートの製造方法によれば、表面に大きな凹凸が生じることを抑制でき、良好な歩留りでセラミックシートを製造することができる。従って、本発明は、今後、燃料電池の実用化などにより更なる量産が求められると考えられるセラミックシートを効率良く製造できるものとして、産業上極めて有用である。
本発明に係る燃料電池用セラミックシートの製造方法は、スラリー調製工程、塗工工程、乾燥工程、打抜き工程および焼成工程を有することを特徴としている。以下、これらスラリー調製工程、塗工工程、乾燥工程、打抜き工程および焼成工程について詳細に説明する。
先ず、スラリーを調製するスラリー調製工程について説明する。本発明の燃料電池用セラミックシートの製造方法において、スラリーは、セラミック粉末、溶媒、バインダーなどを混練することによって調製される。
本発明のスラリー調製工程において、原料として使用するセラミック粉末の材料は特に制限されない。例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化クロム等の金属酸化物;コージェライト、βスポンジューメン、チタン酸アルミニウム、ムライト、スピネル等の複合酸化物;炭化ケイ素等の金属炭化物;窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の金属窒化物;酸化ニッケル、酸化鉄等の遷移金属酸化物;ランタンマンガネート、ランタンコパルタイト、ランタンクロマイト等のベロブスカイト構造酸化物を挙げることができる。また、これら例示した一種をセラミック粉末材料に使用するか、二種以上を混合してセラミック粉末材料に使用するかは任意である。
製造されるセラミックシートを燃料電池の固体電解質膜に用いる場合、セラミック粉末の材料として、例えば、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム等で安定化されたジルコニア(安定化ジルコニア);イットリア、サマリア、ガドリニア等でドープされたセリア;ランタンガレートおよびランタンガレートのランタンまたはガリウムの一部が、ストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、コバルト、鉄、ニッケル、銅などで置換されたランタンガレート型ベロブスカイト構造酸化物;などを使用することができる。このうち、安定化ジルコニアを使用することが好ましい。
一方、製造されるセラミックシートを燃料電池のセパレータとして用いる場合、セラミック粉末材料としては、導電性を有するセラミックシートを実現できる材料が好適である。例えば、ランタンクロマイト:ランタンクロマイトのランタンまたはクロムの一部が、ストロンチウム、カルシウム、ニッケル、コバルト、アルミニウム、マグネシウム、チタンなどで置換されたランタンクロマイトベロブスカイト構造酸化物;を使用することができる。
本発明のスラリー調製工程において、バインダーとして、後述するような適度のアミン価と水酸基価を有すると共に酸価が実質的にゼロである共重合体を使用する場合には、原料として使用するセラミック粉末は、等電点がpH7.0〜pH10.0、より好ましくはpH7.5〜pH9.0の範囲であり、且つ好ましくは50体積%径が0.3μm〜0.65μm、特に0.35μm〜0.6μmのサブミクロンの粉末が好ましい。具体的には、スカンジアやイットリア等の希土類元素の酸化物で安定化されたジルコニア粉末、これらジルコニア粉末にアルミナ、チタニアなどが添加されたジルコニア系粉末、アルミナ粉末、少量のマグネシア等のアルカリ土類金属が添加されたアルミナ系粉末などが好ましく使用される。中でも特に好ましいのは、2モル%〜12モル%のスカンジアやイットリアで安定化されたジルコニア粉末、あるいは該ジルコニア粉末に0.1質量%〜5質量%程度のアルミナやチタニア等が添加されたスカンジア安定化ジルコニア系粉末やイットリア安定化ジルコニア系粉末である。
なお、本発明において、セラミック粉末の等電点とは、両性電解質やコロイド粒子の電気二重層の電位がゼロになるときの溶液の水素イオン濃度(pH)をいう。つまり、酸化物粒子を水中に懸濁、分散したときの電荷がゼロになるときのpHであり、酸化物の酸性、塩基性で大きく異なり、また同じ酸化物であってもその製法、履歴などによって幾らか変化するといわれている。等電点では電気泳動移動速度がゼロとなるので、pHを変えて電気泳動を行うことによって実験的に等電点を求めることができる。また、本発明において平均粒子径とは、レーザー回折/散乱粒度分布測定機(型番「LA−920」、堀場製作所製)により測定した50体積%粒子径をいう。
前記セラミック粉末としては、等電点がpH7.0〜pH10.0の範囲のものが好適に使用されるが、該等電点を定めた理由は次の通りである。すなわち、後述するように適度のアミン価と水酸基価を有すると共に酸価が実質的にゼロである共重合体よりなるバインダーを使用する場合には、SiO2の如き等電点がpH7.0を下回る粉体では、スラリーのチクソトロピー性が著しくなり、場合によってはゲル化を起こすこともある。一方、MgOの如き等電点が10.0を上回る粉体では、バインダーに対する粉体の分散性が悪いためか、バインダーとしての作用が十分に発揮されなくなるからである。
また、前記セラミック粉末は、50体積%径が0.45μm〜0.65μm、特に0.5μm〜0.6μmのサブミクロンの粉末が好ましい。さらに、焼成時の収縮率の局所的な差異や異方性に起因するセラミックシートの反り、ひずみ、割れ等の欠陥の発生を抑え、寸法安定性を良くするには、粗大粒子が少なく且つ粒子径が均一で粒度分布が狭いことが好ましい。そのため、前記セラミック粉末は、10体積%径が0.1μm〜0.45μm、50体積%径が0.45μm〜0.65μm、90体積%径が0.7μm〜1.1μmの粉末が好ましく、より好ましくは10体積%径が0.2μm〜0.45μm、50体積%径が0.50μm〜0.65μm、90体積%径が0.8μm〜1.0μm、さらに好ましくは10体積%径が0.3μm〜0.45μm、50体積%径が0.50μm〜0.60μm、90体積%径が0.9μm〜1.0μmである。
こうした好ましい要件を満たすセラミック粉末としては、公知のセラミック粉末の製造方法によって得られるセラミック粉末を挙げられる。このようなセラミック粉末を具体的に例示すると、例えば、炭酸ジルコニルアンモニウム塩またはこれとイットリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属の化合物との混合物を含む水溶液または懸濁液を、過酸化水素またはオゾンで処理し、得られる固形沈殿物を分離し、乾燥することによって得られるジルコニア粉末;ジルコニウム塩の水溶液またはジルコニウム塩とイットリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属を含む混合水溶液にアンモニア水を加えて沈殿を形成させる際に、該沈殿生成反応を流通式反応方式で反応時中のpHを一定に保ちつつ連続的に行うことにより沈殿を形成させ、得られる沈殿を分離、乾燥、焼成することによって得られるジルコニア粉末;炭酸ジルコニルアンモニウム水溶液に、カルシウム塩やマグネシウム塩水溶液に過酸化水素を添加した水溶液を混合して固形物を生成させ、該固形物を母液から分離して乾燥し、焼成することによって得られるジルコニア粉末;ジルコニアまたはイットリウム、セリウム、カルシウム、マグネシウム等の元素の酸化物を50モル%以下で含むジルコニア系微粉体とカップリング剤および溶媒とを混合あるいは懸濁した後、必要により有機溶媒に前記ジルコニア粉体を分散させ、加熱蒸発してから脱水・乾燥し、続いて200℃〜300℃の温度で加熱処理することよって得られる表面処理されたジルコニア系粒子;有機物を含む水溶液中で炭酸ジルコニルアンモニウムを加熱分解し、分解生成物である固相部分を分離・乾燥・焼成することによって得られるジルコニア粉末;ジルコニウム塩またはジルコニウム塩とイットリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属の塩とを含む水溶液と塩基性物質とを混合して水酸化物の沈殿を得、該沈殿物を水洗・濾過後有機溶媒中に分散させてから加熱蒸留して脱水し、次いで加圧下で乾燥した後に焼成することによって得られるジルコニア含有粉末などが挙げられる。
これらの中でも特に好ましいのは、ジルコニウム塩の水溶液またはジルコニウム塩とイットリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属を含む混合水溶液にアンモニア水を加えて沈殿を形成させる際に、該沈殿生成反応を流通式反応方式で反応暗中のpHを一定に保ちつつ連続的に行うことにより沈殿を形成させ、得られる沈殿を分離、乾燥、焼成することによって得られるジルコニア粉末であり、かつ等電点がpH7.0〜pH10.0の範囲に納まるものが選択される。
本発明のスラリー調製工程において、原料として使用されるバインダーの種類に制限はなく、公知の有機質バインダーを適宜選択して使用できる。有機質バインダーとしては、例えば、エチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリレート系共重合体、メタクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ワックス類、エチルセルロース等のセルロース類が挙げられる。
本発明のスラリー調製工程において、原料として使用されるバインダーとしては、炭素数1〜20のアルキルメタクリレート:40質量%〜95質量%を主たるモノマー成分とする共重合体からなり、アミン価が5mgKOH/g〜80mgKOH/g、水酸基価が1mgKOH/g〜60mgKOH/gで、酸価が実質的に0mgKOH/gであるアルキルメタクリレート系共重合体を使用することが好ましい。当該アルキルメタクリレート系共重合体の好ましい分子量は、数平均分子量で10,000〜200,000、より好ましくは20,000〜180,000の範囲であり、ガラス転移温度は−40℃〜40℃、より好ましくは−30℃〜30℃の範囲である。
ここで、アミン価とは、JIS 7237で規定されている全アミン価を意味し、上記共重合体1g中に含まれる全塩基性窒素を中和するのに要する過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数で表した数値である。水酸基価とは、共重合体1gから得られるアセチル化物に結合している酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数で表した数値である。酸価とは、共重合体1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数で表した数値である。また、実質的に酸価が0(ゼロ)とは、モノマー中に不純物として不可避的に含まれるカルボキシル基から導かれる酸価を除いてゼロであることを意味する。
前記アルキルメタクリレート系共重合体の主成分となるアルキルメタクリレートは、炭素数1〜20、より好ましくは2〜8のアルキルまたは炭素数4〜8、好ましくは5〜6のシクロアルキル基を有するアルキルまたはシクロアルキルメタクリレートであり、1種または2種以上が使用される。この様なメタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、ラクリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、シクロヘプチルメタクリレートなどが挙げられる。この中でも、特にブチルメタクリレート類、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどが好ましい。
これらメタクリレートの共重合比率は、全共重合性モノマー中に占める比率で40〜95質量%の範囲が好ましい。40質量%未満では、熱分解性が低下すると共にセラミックグリーンシートが強度不足となるおそれがあり、一方、95質量%を超えると、セラミックグリーンシートの可攘性が低下すると共に硬くなってクラック割れ等が生じ易くなるおそれがあり、シート成形性も悪くなる傾向がある。
上記アルキルメタクリレート系共重合体にアミン価を与えるために使用されるモノマー成分としては、アミノ基含有モノマーが好ましい。具体例としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアミンのような1級アミン含有モノマー;N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−フェニルアミノエチル(メタ)アクリレートのような2級アミン含有モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピロリジンのような3級アミン含有モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジアリルアミンなどをハロゲン化アルキルや硫酸ジメチルなどで4級化した4級化物などが挙げられる。これらは単独で使用し得る他、必要により2穫以上を併用することができる。上記1級アミン、2級アミン、3級アミンを有するモノマーは、あらかじめ硫酸、塩酸、酢酸、蓚酸などの無機酸や有機酸で中和して用いても構わない。
これらの中でも好ましいのは(メタ)アクリレート系のアミノ基含有モノマーであり、特に好ましいのは、炭素数が1〜4のアルキル基を有するアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。なお、本願において(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびこれらの混合物を示す。
これらのアミノ基含有モノマーは、特にセラミック粉末の分散性に影響を及ぼし、セラミック粉末との結合性がカルボキシル基含有モノマーの様に強くないため、後述する打抜き工程におけるセラミックグリーンシートの切断屑を、回収グリーンとしてスラリー原料に再使用する際の再分散性を高める上で極めて有効に作用する。こうした作用は、特に等電点がpH7.5〜9.5の弱アルカリ領域にあるセラミック粉末に対してとりわけ有効に発揮される。そして、こうした再分散性向上効果を有効に発揮させるには、最終的に得られるアルキルメタクリレート系共重合体の固形分としてのアミン価が5mgKOH/g〜80mgKOH/gの範囲内となる様に共重合比率を調整しなければならず、アミン価が5mgKOH/g未満ではバインダーとしての分散性、再分散性などが乏しくなり、逆に80mgKOH/gを超えて過度に高くなると焼成時の熱分解性が劣化すると共にセラミックグリーンシートの柔軟性も悪くなる。
こうした観点から、アミン価は10mgKOH/g以上がより好ましく、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、60mgKOH/g以下がより好ましく、更に好ましくは40mgKOH/g以下である。そして、この様なアミン価を確保するには、全共重合性モノマー中の前記アミノ基含有モノマーの含有率を1質量%〜25質量%、より好ましくは3質量%〜15質量%の範囲とすることが望ましい。
上記アルキルメタクリレート系共重合体に水酸基を導入するために使用するモノマーとしては、分子中にヒドロキシル基を有するものであれば任意に選択して使用できる。分子中にヒドロキシル基を有するモノマーの中でも特に好ましいのは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、これらは単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用しても構わない。この様なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好適に使用できる。
これらヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレートは、セラミック粉末の分散性に影響を及ぼし、該粉末との結合性がカルボキシル基含有モノマーの様に強くないため、後述する打抜き工程におけるセラミックグリーンシートの切断屑を、回収グリーンとしてスラリー原料に再使用する際の再溶解性を高める作用も発揮する。特に、前記アミノ基含有モノマーと共重合させるとその作用は一層優れたものとなる。
上記ヒドロキシアルキル基含有モノマーは、アルキルメタクリレート系共重合体の固形分としての水酸基価が1mgKOH/g〜60mgKOH/gの範囲内となる様に共重合比率を調整しなければならず、水酸基価が1mgKOH/g未満ではバインダーとしての再溶解性や積層成形性等が乏しくなり、逆に60mgKOH/gを超えて過度に高くなると分散性が劣化する。
こうした観点から、水酸基価は3mgKOH/g以上がより好ましく、更に好ましくは5mgKOH/g以上であり、50mgKOH/g以下がより好ましく、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。そして、この様な水酸基価を確保するには、全共重合性モノマー中の前記ヒドロキシル基含有モノマーの含有率を1質量%〜15質量%、より好ましくは2質量%〜10質量%の範囲とすることが望ましい。
本発明でバインダーとして使用されるアルキルメタクリレート系共重合体を構成する必須のモノマー成分は上記の通りであるが、得られる共重合体の粘度やガラス転移温度などを調整するため、必要に応じて他のアルキルアクリレートを適量共重合させることも有効である。ただし、カルボキシル基を有する共重合性の不飽和カルボン酸はセラミック粉末との結合力が高く再分散性を阻害するので、使用は避けなければならない。
これらのモノマー成分を用いてアルキルメタクリレート系共重合体を得るための重合方法にも特に制限はなく、パーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤の存在下に、懸濁重合、溶液重合、乳化重合等の通常の重合故により50℃〜100℃、好ましくは70℃〜90℃の温度で行われる。得られる共重合体の数平均分子量は10,000〜200,000、好ましくは20,000〜180,000の範囲に調整される。すなわち、該分子量が10,000未満ではバインダーとしての結合力が低下し、セラミックグリーンシートの強度および成形性が劣り、バインダーの多量添加が必要となる。一方、該分子量が200,000を超えるとバインダーの粘度が高くなり、希釈のための溶媒量が多くなってセラミックグリーンシートの成形性が悪くなる。
更に上記モノマーの組成比は、共重合体のガラス転移温度が−40℃〜40℃、より好ましくは−30℃〜30℃の範囲になる様に調整することが望ましい。−40℃より低温のガラス転移温度では粘着性が大きくなってセラミックグリーンシートが扱い難くなり、また40℃を超える高温のガラス転移温度では、共重合体が硬くなってシート成形性や切断加工性が低下し、多量の可塑剤を使用しなければならなくなって熱分解性にも悪影響を及ぼすおそれがある。
上記のようにして得られる共重合体からなるバインダーは、前述したように、例えばイットリア等の希土類元素の酸化物で安定化されたジルコニア粉末、これらジルコニア粉末にアルミナ、チタニアなどの添加されたジルコニア系粉末、アルミナ粉末、少量のマグネシア等のアルカリ土類金属が添加されたアルミナ系粉末などのセラミック粉末100質量部に対し10質量部〜30質量部の範囲で添加される。
バインダーのより好ましい配合量は、原料として使用されるセラミック粉末の粒子径によって変わり、例えば、セラミック粉末の50体積%径が0.45μm〜0.65μmの場合は12質量部〜30質量部の範囲が好ましい。なお、バインダー添加量が12質量部未満では、セラミックグリーンシートの成形性や強度、可攘性が不足するおそれがあり、一方、30質量部を超えると、セラミックグリーンシートの加工性が悪くなるとともに焼成時の収縮が大きくなって寸法安定性が損なわれるおそれがある。
本発明のスラリー調製工程において、使用される溶媒としては、水;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−キサノールなどのアルコール;変性アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;ペンタン、へキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル;などが挙げられる。そして、単一の溶媒を使用しても良いし、二種以上の溶媒を混合して使用しても良い。溶媒の使用量は、原料混合物をシート状に成形する場合に当該混合物が成形に適した粘度になる量であると良い。
また、本発明のスラリー調製工程は、原料として回収グリーンシートおよび/または回収スラリー、可塑剤、分散剤を使用することも好ましい態様である。
前記回収グリーンシートとは、後述する打抜き工程において、焼成用セラミックグリーンシートとして使用しなかった切断屑、所定の塗工厚さになっていない塗工初めのグリーンシート先端部、塗工終了近くのグリーンシート後端部、およびグリーンシートの左右端部を回収し、切断機やカッター等により細かく、好適には3cm角以下に破砕したものである。さらには、前記回収スラリーとは、塗工することなくスラリータンクやスラリーダムに残ったスラリーを回収したものである。
本発明のスラリー調製工程における前記回収グリーンの配合量は、バージンのセラミック粉末量に対して回収グリーンシートおよび/または回収スラリー中のセラミック粉末量換算で、0質量%〜100質量%、好ましくは5質量%〜80質量%、さらに好ましくは10質量%〜50質量%である。特に、連続塗工されて得た長尺グリーンシートの切断屑の全量を回収グリーンとして利用することが好ましく、その配合量は15質量%〜30質量%である。回収グリーンの配合量が5質量%未満では、グリーンシート量産化時には長尺グリーンシートから回収グリーンとして使用する切断屑が少ないために、回収グリーンが有効利用されずに溜まり、コストアップの要因となるおそれがあり、また、80質量%を超えると長尺グリーンシートから回収グリーンとして使用する切断屑量が多すぎるために、通常の切断屑量では不足し別途回収用グリーンシートを製造しなければならず、安定した生産が困難となるおそれがある。
前記可塑剤は、セラミックグリーンシートに柔軟性を付与するために添加されるものである。前記可塑剤としては、例えば、低分子可塑剤として、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、オリゴマー及び高分子可塑剤としてポリエステル系などを挙げられる。なお、前記ポリエステル系可塑剤は、下記一般式(2)で表されるものが好適である。
R−(A−G)n−A−R (2)
(式中、Aは二塩基酸残基、Rは末端停止剤残基、Gはグリコール残基、nは重合度を示す。)
ここで、二塩基酸としてはフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等が挙げられる。前記末端停止剤残基としては、メタノール、プロパノール、ブタノール、ネオペンチルアルコール、トリデシルアルコール、イソノニルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等の1価アルコールが挙げられる。さらに、前記グリコール残基としては、1,4ブタンジオール、1、3−プロピレングリコール、エチレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール等のグリコールエーテル類;ポリエチレングリコールの誘導体が挙げられる。これらの重合度は10〜200が好適であり、より好ましくは20〜100である。また、分子量は300〜3000が好適であり、より好ましくは400〜2000である。
前記可塑剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。この中でもフタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸系ポリエステルが好適である。
前記分散剤はセラミック粒子の解膠や分散を促進するために添加されるものである。前記分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウム等の高分子電解質;クエン酸、酒石酸等の有機酸;イソブチレンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重合体;当該共重合体のアンモニウム塩またはアミン塩;ブタジェンと無水マレイン酸との共重合体およびそのアンモニウム塩;グリセリン、ソルビタン等の多価アルコールエステル系;ポリエーテル(ポリオール)系;アミン系;などを挙げられる。この中でも特に好ましいのはソルビタントリオールである。
本発明のスラリー調製工程では、前記各成分を適量混合することによりスラリーを調製する。その際、粒子物の粉砕、または粒子物の粒子径を均一化するために、ボールミル等を使用して混合しても良い。なお、混合においては、各成分の添加の順番は特に制限されず、従来方法に従えばよい。
ここで、スラリー中に含まれるバインダーや必要に応じて添加される可塑剤、分散剤などの有機成分は、後述するように当該スラリーを塗工して作製したセラミックグリーンシートを焼成する際に、酸化されて炭酸ガスや水などの分解ガスや有機成分の分解ガスまたは燃焼ガスとして、シート外へと放出される。しかしこれらのガスは、セラミックグリーンシート中に外部へ達通した適度の細孔がなければシート外へ放散されず、シート内に閉じ込められた状態となる。この閉じ込められたガスは、更なる昇温によって体積膨張し、シートの表面に膨れや穴などのボイド欠陥を生じさせる原因となり、得られるセラミックシートの表面性状や平坦度を悪化させると共に、強度劣化の原因となる。また、分解ガス等が焼成中に放出されることなくシート内に閉じ込められ、最終的にセラミックシート中に閉気孔として残ると、密度や強度を低下させる要因となる。
こうした問題を回避するには、セラミックシート内に残存する細孔(空孔)を、微細化すると共にその数も少なくしなければならず、その前駆体となるセラミックグリーンシートの強度、密度、平坦度の低下を起こさない範囲で、セラミックグリーンシート中に適度の細孔を存在させることが有効となる。そのため、ドクターブレード法によってシート成形を行う場合には、原料となるセラミック粉末と、バインダー、溶剤などを含む原料をミリングしてスラリーを得るミリング処理、このスラリーを攪拌羽根付き容器内で減圧して溶剤を留去しつつ粘度調整して塗工用スラリーを得る減圧攪拌処理、このスラリーを、常温常圧下に当該スラリー中に浸漬された攪拌羽根で攪拌する攪拌処理、その後、攪拌羽根を回転させることなく静置する静置処理を順次経た後、シート成形を行うことが重要となる。
前記ミリング処理は、原料を均一に分散させるための処理である。当該ミリング処理時の粘度が高過ぎると固形成分の一部が凝集していわゆる”ダマ”状態となり、これはその後の攪拌によっても容易に崩壊、分散し難いため、この凝集物はその後も実質的にそのまま残存してドクターブレードによる塗工性を著しく害するおそれがある。そのため、原料を満遍なくミリングして均一なスラリーを得るには、ミリング時の粘度を1.5Pa・s以下とすることが好ましく、より好ましくは1.0Pa・s以下とすることが望ましい。
また、ミリング時の粘度の下限は特に制限されないが、粘度が過度に低くなるとセラミック粉末の濃度が低くなって溶剤の使用量が無意味に多くなるため不経済であり、かつその後の工程で溶剤の揮発除去に長時間を要し生産性を低下させる傾向があるので、ミリング時の粘度は0.1Pa・s以上が好ましく、より好ましくは0.3Pa・s以上である。
なお、本発明において粘度とは、ペースト粘度計(マルコム社製)により測定した粘度をいう。
また、このような固形分の一部が凝集したダマを防ぐために併用する手法として、ボールミルやビーズミルなど、攪拌力に加えて解砕力のある混合方法を採用することが好ましい。ミリングでは、前述の組成物を一度に投入して処理する方法が一般的であるが、ミリング時の粘度を上述のような好ましい範囲に制御する方法として、ミリング初期には組成物の一部を加えず、低い粘度で十分にミリングしたのち、残りの組成物を加えてさらにミリングすることもできる。後入れする組成物としては、バインダー等の比較的粘度の高いものを選択するのが効果的である。また、回収グリーンシート等の比較的大きな固形物を混合する場合は、ミリング前にあらかじめディスパーやホモミキサー等の解砕力の強い攪拌機で溶剤に分散させ、その後にほかの組成物と混合してミリングすることもできる。
また、量産化のためにはミリング処理出来る粉体原料量をなるべく多く出来ることが好ましく、ボールミル1バッチあたりの処理量は50kg以上/バッチ、好ましくは、80kg以上/バッチ、更に好ましくは100kg以上/バッチ、特に好ましくは、200kg以上/バッチであり、そのためは、ボールミル内容積は200L以上、好ましくは、300L以上、更に好ましくは500L、特に好ましくは、1000L以上のものを使用することが好ましい。
前記減圧攪拌処理は、スラリー中に含まれている溶剤をより短時間で効率よく揮発除去するために実施される。当該減圧攪拌処理の末期の好ましい到達粘度と固形分濃度は、20℃で1.0Pa・s〜6.7Pa・sで50質量%〜85質量%、より好ましくは1.5Pa・s〜5.5Pa・sで55質量%〜80質量%、さらに好ましくは2.0Pa・s〜4.5Pa・sで60質量%〜75質量%である。なお、ここでいう固形分濃度とは、全スラリー成分中の原料粉末とバインダーなどの固形成分との合計量を質量%で表したものである。
当該減圧攪拌処理の末期における20℃の温度でのスラリー粘度が2.7Pa・sで固形分濃度が50質量%未満では、スラリー中の溶剤が未だ十分に除去されておらずスラリー粘度が低い。そのため、次の攪拌処理で行われる常温常圧下での攪拌によるスラリー中の空気や溶存酸素の除去は短時間で行えるが、ドクターブレード法による塗工後の溶剤を揮発除去するのに長時間を要することとなり、塗工速度を低下させる必要があり実用に叶う生産性が得られ難くなる。また、スラリー粘度が6.7Pa・sを超えて固形分濃度が85質量%を超えると、スラリーの流動性が悪くなる。そのため、攪拌処理における脱泡に時間がかかるばかりでなく、静置した後のスラリー粘度が高くなり過ぎて、スラリー中の空気や溶存酸素の除去が不十分となるおそれがある。また、シート形成で塗膜に筋が入ったり塗工厚さにバラツキができ易くなり、均質な品質のセラミックグリーンシートが得られないおそれがある。
前記攪拌処理は、上記減圧攪拌処理で、スラリー中の溶剤が沸騰状態で放散されることでスラリー中へ混入もしくは溶解してくる多量の空気を、液面上に浮上分離させるために行う。当該攪拌工程における攪拌は、外気を巻き込むことなくスラリー内の気泡を効率よく浮上させるため、常温常圧下に当該スラリー中に浸漬された攪拌羽根を用いて、攪拌動力1.5kW/m3〜2.5kW/m3、回転速度5rpm〜20rpmで1時間〜50時間行うことが好ましい。
攪拌動力が1.5kW/m3未満では、スラリー中の気泡の浮上分離をほとんど加速することができず、気泡の逸散に長時間を要し、また攪拌動力が2.5kW/m3を超えると、当該攪拌によって空気の巻き込みが起こり易くなり、却って気泡逸散が遅れる傍向がある。攪拌速度が5rpm未満では、通常の攪拌モーターではこのような超低速攪拌を安定に持続することが難しく、20rpmを超えると、空気の巻き込みを起こし易くなる傾向がある。また、上記条件範囲内の攪拌動力と回転数による攪拌で、攪拌時間が1時間未満では、減圧攪拌処理で混入、溶解した多量の空気を十分に逸散させることができないおそれがあり、また、当該攪拌条件下で逸散可能なサイズの気泡のほとんどは10時間以内、あるいは20時間以内に逸散し、例えば50時間以上攪拌を続けても、抜けきらない微細な気泡は攪拌羽根の回転に随伴してスラリー中で回転しているだけであるので、それ以上にこの条件での攪拌を続けることは無駄である。
前記静置処理は、上記撹拌処理では浮上分離できないごく微細な気泡を可及的に浮上分離させるために行うものである。当該静置処理における静置時間は、撹拌処理後のスラリー粘度によって適宜変更すれば良い。しかし、静置時間が短すぎると微細な気泡の浮上分離が十分に進まず、長過ぎるとスラリー中の固形成分が比重差により沈降して均一性が低下するため、10分以上、25時間以下に設定するのが好ましい。また、脱気性と作業性を考慮してより好ましい静置時間は1時間以上、20時間以下、更に好ましくは2時間以上、10時間以下である。
より具体的には、スラリー粘度が1.0Pa・s以上、5.0Pa・s未満であるときは10分以上、5時間以内、より好ましくは20分以上、3時間以内で、スラリー粘度が5.0Pa・s以上、6.7Pa・s以下であるときは30分以上、25時間以内、より好ましくは60分以上、10時間以内である。なお、上記静置時間は静置温度条件によっても変わってくるが、基本的にはスラリー粘度に依存するので、静置時間を短縮したい場合は、スラリー成分が変質しない限度で適度に加温しスラリー粘度を低下させることも有効である。
上記のようにして調製されたスラリーは、後述する塗工工程へと供給されることとなるが、原料スラリー中のセラミック粗粒子や、混入した異物を除去するため、塗工工程へと供給する前に、原料スラリーをフィルターなどに通すことが好ましい。前記フィルターの材質としては、市販のポリオレフィンやポリオレフィン系の複合繊維などが挙げられる。
また、上記フィルタ一の濾過サイズは40μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。また濾過精度は50μmが好ましく、より好ましくは25μmであり、さらに好ましくは10μmである。
さらに、原料スラリーに混入した金属を除去するため、塗工工程へと供給する前に、除鉄機に通すことも好ましい態様である。前記除鉄機としては、液体用マグネットセパレーターであれば特に制限はないが、より効率よくスラリー中の鉄分やマンガンを除去するためには、残留磁束密度1000mT〜1250mT、表面磁力600mT〜1200mTの希土類磁石ピースをステンレスチューブ中に組み込み棒状に成型した磁石がセットされた除鉄機を使用することが好ましい。
なお、これらの除鉄機による除鉄処理およびフィルターなどによる渡過処理は、スラリーを調製した後、当該スラリーを塗工工程へと供給する直前に行ってもよいし、前述したスラリー調製工程において、ミリング処理、減圧攪拌処理、攪拌処理および静置処理の合間に、除鉄処理および/または濾過処理を行ってもよい。
次に、本発明の燃料電池用セラミックシートの製造方法における、塗工工程および乾燥工程について説明する。本発明の塗工工程では、原料スラリーの塗工をドクターブレード法により行い、塗工されたスラリーから溶媒を除去することによってセラミックグリーンシートを形成する。
ドクターブレード法は、一般的にはスラリータンク中へと原料スラリーを供給して、ここへ圧力をかけ、配管を介してスラリーを塗工ダムへ輸送し、ドクターブレードによりスラリーの厚さが均一となるように、キャリアーフィルム上に塗工する。
なお、ドクターブレード法でシート塗工するシート成形機は、キャリアーフィルム巻出し部、塗工部(ドクターブレード)、乾燥炉部、キャリアフィルム巻取り部、グリーンシートスリッター部、グリーンシート巻取り部からなる。グリーンシート厚さの精度を高めるために、キャリアフィルムとドクターブレードの間隔(ギャップ)を、乾燥後のグリーンシート厚さや塗工直後のウェット状態の塗工厚さから自動的にPID制御によるギャップコントローラーを搭載したシート成形機が好ましい。
前記キャリアーフィルムの材料は特に制限されず、従来公知のプラスチックフィルムを使用することができる。キャリアーフィルムには、可撓性のみならず、セラミックグリーンシートの支持体として十分な剛性および強度も要求される。そのため、キャリアーフィルムの厚みは、75μm〜250μmとすることが好ましい。
上記キャリアーフィルムに使用する好ましい材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニリデンなどを挙げることができ、これらのポリマーを主成分とするポリマーブレンドも使用することができる。また、キャリアーフィルムは、延伸フィルムが好ましく、特に2軸延伸フィルムが望ましい。なお、2種以上のフィルムを積層した複層フィルムも使用可能である。
また、乾燥工程で得られたグリーンシートは、シート成形機の乾燥炉外に出た後で上記キャリアーフィルムから連続的に剥離されてグリーンシートだけでロール状に巻き取ることが好適である。このとき、所定のグリーンシート幅になるようにスリッターで連続的にグリーンシートを切断すること、さらには、スリッターで連続的に所定幅に切断されたグリーンシートを、支持体としてのキャリアーフィルム上に連続的に載置されるようにしてロール状に巻き取るようにすることで、後の打抜き工程へのグリーンシート搬送や取扱いが容易になり、量産化にはさらに好適である。
なお、グリーンシートが剥離されたキャリアーフィルムは、シート成形機の乾燥炉の下側でロール状に巻取り回収され、当然のことながら、当該回収キャリアーフィルムは、再度グリーンシート塗工用のキャリアーフィルムとして再利用されコスト低減に寄与する。
上記のように乾燥後のセラミックグリーンシートを、キャリアーフィルムから連続的に容易に剥離することができるように、スラリー塗工面に剥離処理が施された剥離処理キャリアーフィルムを使用することも好ましい態様である。なお、乾燥後のセラミックグリーンシートを、キャリアーフィルムとともに巻き取る場合には、キャリアーフィルムとして、塗工面および裏面(グリーンシート非塗工面)の両面が剥離処理された両面剥離処理キャリアーフィルムを使用することが望ましい。このような両面剥離処理キャリアーフィルムの具体例としては、グリーンシート塗工面の常態剥離力が40mN/cm〜90mN/cmであるものが好ましく、より好ましくは50mN/cm〜80mN/cmであり、裏面の常態剥離力が50mN/cm〜120mN/cmであるものが好ましく、より好ましくは60mN/cm〜100mN/cmである。裏面側のキャリアーフィルムにも剥離処理を施すのは、キャリアーフィルム上に塗工された長尺グリーンシートはプラスチックやダンボール製の巻き取り軸に巻き込まれ、このときにグリーンシートがキャリアーフィルム裏面に接触することになり、この裏面から容易にグリーンシート剥離できるようにするためである。
そして、キャリアーフィルム上に塗工されたスラリーからの溶媒の除去は、スラリーを乾燥する方法が簡易である。本発明の乾燥工程は塗工部から続く乾燥炉内で有機溶剤を蒸発・飛散するものであるが、その乾燥条件は特に制限されることがなく、熱風、マイクロ波照射、遠赤外線照射などが好適に使用される。これら方法によってより効率的に乾燥させるために、30〜120℃程度の一定温度で乾燥するよりも、例えば、室温、80℃、100℃、120℃の様な異なる温度ゾーン内に連続的に順次曝すことによって乾燥しても良い。そのため、塗工速度にもよるが、乾燥炉は一般に全長で3〜30m、好ましくは5〜25mになる。
グリーンシートの塗工速度は0.1m/分〜1.0m/分の範囲に調整することが好ましい。塗工速度が0.1m/分未満では、溶剤の乾燥は十分であるが生産性が悪くなる。一方、塗工速度が1.0m/分を上回ると生産性に優れるが、溶剤の乾燥が不十分になり、残存溶剤率が多くなって、取扱いに問題が生じる。好ましい塗工速度は、0.15m/分〜0.8m/分の範囲、さらに好ましくは0.2m/分〜0.65m/分の範囲である。
上記のように設定したグリーンシート乾燥温度と塗工速度は、乾燥後のセラミックグリーンシートの残存溶剤率に大きく影響する。前記乾燥工程において得られるセラミックグリーンシート中の有機溶剤の残存率が0.1質量%〜0.6質量%の範囲になるようにが調整する。セラミックグリーンシート中の溶剤残存率が0.1質量%を下回る場合では、グリーンシートの柔軟性が低下するためにシート自体に反りが生じてキャリーフィルムからグリーンシート端部が剥離したり、後の打抜き工程でヒビや割れが生じたり、その影響で生じた微小の打抜き屑が、セラミックグリーンシートの表面に再付着して表面欠陥となる問題が発生する。一方、0.6質量%を上回る溶剤残存率の場合、セラミックグリーンシートの表面にタック性が発現してセラミックグリーンシート表面に欠陥を発生させるたり、グリーンシート自体が伸びやすくなってハンドリングが困難になる問題が生じるようになる。好ましいグリーンシートの残存溶剤率は、0.15質量%〜0.55質量%、さらに好ましくは0.2質量%〜0.5質量%である。なお、上記溶剤残存率は、長尺セラミックグリーンシートから、幅15cm長さ30cm程度の大きさに切り出し、質量が既知の磁製るつぼに入れて切り出したセラミックグリーンシートの質量を測定した後、100℃の乾燥機に20時間保持し、室温まで冷却後、再度セラミックグリーンシートの質量を測定して、乾燥前後のセラミックグリーンシートの減少質量を求め、この減少質量を乾燥前のセラミックグリーンシート質量で除して算出した値をセラミックグリーンシート内に含有する溶剤の残存率とした。
乾燥後、得られたセラミックグリーンシートは、そのままキャリアーフィルムとともに巻取り回収してもよいし、任意の方法で適当な大きさに切断加工して回収してもよい。
ここで、形成されるセラミックグリーンシートの厚さは、特に制限されるものではないが、例えば10μm〜1000μm程度とすることがきる。なお、セラミックグリーンシートの表面粗さは、使用するセラミック粉末や原料スラリー等の粒度分布に依存するが、ドクターブレード法によるテープキャスティングの場合、一般的には、Raが0.01μm〜0.08μm、Rzが0.05μm〜0.7μm、Rmaxが0.08μm〜0.9μmの範囲であり、押出成形法によるテープ成形では、一般的にRaが0.1μm〜0.4μm、Rzが0.3μm〜5μm、Rmaxが0.5μm〜8μmの範囲である。
また、形成されるセラミックグリーンシート面積100cm2当たりに含有される、前記スラリー原料以外の粒子であって、その粒子径が50μm以上の粗粒子の個数は、20個以下とすることが好ましく、より好ましくは15個以下、さらに好ましくは10個以下とすることが望ましい。50μm以上の粒子の個数が20個を超えると、機械的強度の低下や導電率が低下し、固体電解質としての性能が損なわれるおそれがある。
本発明で言うスラリー原料以外の粒子とは、シリカ、アルミナ、鉄、鉄酸化物、土、砂などの無機物;毛球、糸くず、高分子樹脂などの有機物である。これらのスラリー原料以外の粒子とスラリー原料の粒子との判別方法としては、長尺グリーンシートあるいは所定の寸法に打抜かれたグリーンシートを、マイスタールーペの20W円筒蛍光灯の上に配置された白色不透明のプラスチック板の上に載置し、外径130mmφ倍率3.5倍のレンズを通して目視で観察する方法;スケールルーペ(35mmφ倍率20倍の目盛付)を用いて目視で観察する方法などが挙げられる。なお、スラリー原料の粒子は、平均粒子径が0.6μm以下、90体積%径でも1.2μm以下と非常に微小であるため、このような微粒子で構成されたセラミックグリーンシートの表面に粗大粒子があると、上記方法で観察するとその部分だけ色の濃淡の違い(多くの場合粗大粒子がある部分は、他の部分に比べて濃くなる)が認められるため容易に判別できる。
本発明において 、セラミックグリーンシート面積100cm2当たりに含有される粒子径が50μm以上の粗粒子の個数は、製造されるセラミックグリーンシートの19m2毎に、10cm×10cmの領域を少なくとも2か所任意に選び、それぞれ100cm2領域中の50μm以上の粒子数を測定し、これらの測定値の平均値である。
なお、上記塗工工程および乾燥工程では、粒子径5μm以上の微粒子が1立方フィート当たり200個未満である気相雰囲気下で行うことが好ましい。特に、グリーンシート塗工後に曝される乾燥炉内での気相雰囲気が、粒子径5μm以上の微粒子が1立方フィート当たり200個未満であることが好ましく、セラミックグリーンシート面積100cm2当たりに含有される、前記スラリー原料以外の粒子径が50μm以上の粗粒子の個数を、20個以下にすることが出来る。粒子径5μm以上の微粒子が1立方フィート当たり200個を超える気相雰囲気下でシート形成工程を行った場合には、得られたセラミックスグリーンシートを焼結させる際に割れが生じやすくなる傾向があり、焼結して得られたセラミックシートの導電性が低下する傾向がある。塗工工程および乾燥工程雰囲気中の微粒子個数の測定方法は、公知の方法を用いることができるが、本発明においては、パーティクルカウンタ(リオン社製、型番「KR−12A」)を用いて測定した。
このようにして得られたグリーンシートを保管する温度は、グリーンシートの特性に応じて選択される。前述のごとく、キャリアーフィルム上に塗工された長尺グリーンシートはプラスチックやダンボール製の巻き取り軸に巻き込まれ、このときにグリーンシートがキャリアーフィルム裏面に接触することになる。グリーンシートが柔らかい場合は、接触面にキャリアフィルム裏面の平滑性が転写され、部分的にあるいは全面的に鏡面様となる。このような転写を防止するには、グリーンシートを低温で保管することが好ましい。この場合、好ましい温度は室温以下。より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは0℃以下である。一方、グリーンシートの物性が変動する場合は、室温よりも高い温度で保管することで変化を促進し、安定化させることもできる。
あるいは、上記のようにして形成されたセラミックグリーンシートは、回収後すぐに後述する打抜き作業を行わない場合、高分子バリアーフイルムを用いて包装して保管することが好ましい。こうすることにより、セラミックグリーンシートヘの塵埃などの付着を防止し、有機溶剤や水蒸気の遮断、酸素ガスの透過や侵入の防止、光や紫外線の遮断や遮熱などがなされセラミックグリーンシートの形成時の特性が長期間保持される。
ここで本発明においてバリアーフイルムとは、JIS−P0001の「紙パルプ用語」において水、油、水蒸気、ガスなどの透過を抑制するために使用する材料の総称と定義されているバリアー材をフイルム状に形成したものである。前記バリアーフイルムの材質としては低密度ポリエチレン、中・高密度ポリエチレン、綿状低密度ポリエチレン、二軸延伸ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合物、エチレン・ビニルアルコール共重合物、ポリビニルアルコール、ポリ塩化三フッ化エチレンなどを挙げることができ、これらの単体フイルムあるいは単体フイルムを積層・ラミネート加工、塗工、表面処理、多層押出などの処理およびこれらの組合せによる処理が施されたものが使用される。特に上記の高分子フイルムにアルミニウムの真空蒸着加工を施されたものあるいはアルミニウム箔に貼合わせたものが好適に用いられる。
これら高分子バリアーフイルムのガスバリアー性は、水蒸気透過率が10g/m2・24hr以下、好ましくは2g/m2・24hr以下、酸素透過率が50ml/m2・24h以下、好ましくは5ml/m2・24hr以下が好適である。また、トルエン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒の透過率は10g/m2・24hr以下、好ましくは2g/m2・24hr以下が好適である。
また、セラミックグリーンシートを、袋状にしたバリアーフイルム中に入れ、袋内をアスピレーター、真空ポンプなどで減圧した後、当該バリアーフイルム袋をポリシーラーなどにより熱圧縮により密封すること、あるいは減圧した後、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、炭酸ガス、窒素・酸素浪合ガス(酸素濃度10体積%以下)などの乾燥した不活性ガスを封入し、次いで密封することがより効果的である。
次に、本発明の燃料電池用セラミックシートの製造方法における、打抜き工程について説明する。本発明の打抜き工程では、トムソン刃を用いてセラミックグリーンシートを所望の寸法に打抜く。
本発明の打抜き工程に用いられるトムソン刃は、グリーンシート抜き型に埋設されたトムソン刃のボディ部のショア強度が40〜70であることが好ましい。また、トムソン刃のエッジ部のショア強度が70〜80であることが好ましい。トムソン刃の強度が低すぎると、量産化のため大量の打抜きすると摩耗して切断力が弱くなり、セラミックグリーンシート打ち抜き面に欠けが発生し、またスムース打抜きができなくなるとともに、セラミックグリーンシートへ摩耗物の混入するおそれがある。一方、トムソン刃の強度が強すぎると、セラミックグリーンシートへのダメージを緩和するためのクロスストローク等の調整が困難になる。
トムソン刃の材質としては、特に限定されず、例えば特殊鋼や超鋼が用いられる。トムソン刃の刃先部は、微細砥石粒子の特別砥石による微細研削加工、特殊研磨による鏡面仕上げやフッ素樹脂皮膜加工が施されていることが好ましい。トムソン刃の刃先形状は、片刃、両刃のいずれも使用できるが、両刃が好ましい。トムソン刃の刃先角度は、特に限定されないが、20°〜50°が好ましく、より好ましくは25°〜40°である。トムソン刃の厚みは、特に限定されないが、0.4mm〜1.2mmが好ましい。
本発明の前記打抜き工程に用いるトムソン刃の寸法は、打抜かれたセラミックグリーンシートが焼成後に、所定の寸法のセラミックシートになるようにするために、前もってセラミックグリーンシートを打抜いて焼成工程と同じ焼成条件で前もって焼成してセラミックグリーンシート焼成収縮率を算出し、その焼成収縮率に合致した寸法とすることが好ましい。すなわち、トムソン刃の寸法をX、グリーンシート焼成収縮率をY%、所望のセラミックシート寸法をZとしたとき、下記式(1)で算出される寸法とすることが好ましい。
X=Z/(1−Y/100) (1)
このとき、焼成収縮率を算出するときに打抜くグリーンシート表面温度(T2)と、前記打抜き工程におけるグリーンシート表面温度(T1)との差の絶対値(|T1−T2|)が10℃以下であることが好ましい。温度差の絶対値(|T1−T2|)を10℃以下に調整することによって、より正確なグリーンシート焼成収縮率が算出できる。
本発明の燃料電池用セラミックシートの製造方法では、セラミックグリーンシートを焼成する前に、セラミックグリーンシートの表面を粗化させることにより、表面が所望の表面粗度に粗化されたセラミックシートを得ることができる。
以下、セラミックグリーンシートの表面を粗化する表面粗化工程について説明する。セラミックグリーンシートの表面粗化は、セラミックグリーンシートを、表面が粗化された表面粗化用シートに挟んで積層体を作製して、この積層体をプレス機などにより加圧処理することによって行うことができる。また、セラミックグリーンシートの表面粗度は、当該加圧処理において、使用する表面粗化用シートの粗度、加圧時間、プレス圧などにより容易に調節できる。かかる粗度の調節は、原料スラリーに添加したバインダーに応じて、加圧時の温度を制御することによっても可能である。
上記加圧処理に用いる表面粗化用シートは、表面が適度に粗化されており、且つ加圧処理後にセラミックグリーンシートから十分に剥離できる程度の強度と柔軟性を有するものであれば特に制限されない。例えば、適度な粗度を有する紙、布、樹脂フイルムなどから適宜選択して使用できる。
紙としては、平滑度の高い塗工紙ではなく、非塗工紙;エンボス紙やクラフト紙などの特殊紙;濾紙などの和紙;ダンボ-ル原紙、紙器用板紙、紙管原紙等の雑板紙など、約200g/m2以上の板紙;レザーロイド紙などの圧縮紙やラダーダクト;石膏ボードなどの圧縮ボード;などから、適度な表面粗度を有するものを選択して用いることができる。
樹脂フイルムとしては、例えばフッ素繊維紙、アラミド紙、ポリエステル紙、ポリイミドフィルムやそのプリプレグ、PETフイルムなどを、粗粒子コーティング、ブラスト加工、レーザー加工により表面を粗化したものを使用できる。
布については、同様に適度な粗度、強度および柔軟性を有するものを用いればよいが、不織布では繊維がセラミックグリーンシートに付着するおそれがあるため、好適には長繊維からなる織布を用いる。具体的には、粗布、包袋やガーゼ、ウェス、ナイロンメッシュなどを用いることができる。その他、ガラス繊維紙、セラミック紙、ステンレス紙なども使用できる。
使用する表面粗化用シートの表面粗度の目安としては、Raで3μm〜30μm程度、Rzで5μm〜120μm程度、Rmaxで6μm〜180μm程度が好ましい。Raが3μm程度以上、Rzが5μm程度以上、Rmaxが6μm程度以上であれば、セラミックグリーンシートを適度に粗化し易い。一方、Raが30μm程度以下、Rzが120μm程度以下、Rmaxが180μm程度以下であれば、加圧処理後にセラミックグリーンシートから表面粗化用シートを剥離し易い。また、かかる範囲内の表面粗化用シートであれば、さらに加圧時間やプレス圧などを調節することにより、所望の表面粗度を有するセラミックグリーンシートを容易に得ることができる。なお、Ra、RzおよびRmaxの好適な範囲は、Raが5μm〜20μm程度、Rzが8μm〜60μm程度、Rmaxが12〜80μm程度であり、さらに好ましくは、Raが6μm〜15μm程度、Rzが10μm〜40μm程度、Rmaxが15〜50μm程度である。表面粗化用シートの好適な表面粗度では、特にRaを好適な基準とすることができる。
本発明において表面粗化用シートの表面粗度とは、1990年5月に改正されたドイツ規格「DINー4768」の電気接触式粗さパラメータRa(算術的粗さ中間値)、Rz(平均化された粗さ深度)、Rmax(最大粗さ深度)の測定に準拠して測定した値をいい、測定器としては、シート表面に非接触状態で測定するレーザー光学式非接触三次元形状測定装置(UBM社製、商品名:マイクロフォーカスエキスパート、型式:UBC−14型)を使用するものとする。この装置は、780nmの半導体レーザー光源から可動対物レンズを通して試料面で直径1μmのフォーカスを結び、この時、正反射光は同じ光路を戻りビームスリッターを介して4つのフォトダイオード上に均等に結像されるため、凹凸のある測定試料面では変位して像に不均等が生じ、即座にこれを解消する信号が発せられ対物レンズの焦点が常に測定物表面に合うようにレンズが制御される時の移動量をライトバリア測定機構で検出することで、高精度な測定を行うことができる。その仕様は、スポット径1μm、分解能は測定レンジの0.01% (最高0.01μm)である。ドイツ規格「DINー4768」では、電気接触式粗さパラメータによるRa、Rz、Rmaxの測定を規定しているが、本発明で定める前記Ra、Rz、Rmaxは、上記測定装置に付帯しているRa、Rz、Rmaxの測定法と、Ra、Rz、Rmax計算解析プログラムから「DINー4768」に準拠して求めたものである。
なお、布などでは経糸と緯糸との織目の間に隙間があるためにRa等が測定できない場合があるが、その様な場合には、布を構成する繊維や目の粗さを参照して適当なものを選択し、さらに予備実験等により実際に用いるものを決定すればよい。
また、表面粗化用シートの厚さは、0.1mm〜10mm程度が好ましい。0.1mm以上であれば、加圧後における表面粗化用シートの剥離時に損傷することなく、剥離し易い。一方、表面粗化用シートが過剰に厚い場合もかえって剥離し難いため、10mm程度以下が好適である。より好ましくは、0.12〜5mm程度である。
そして、セラミックグリーンシートを上記表面粗化用シートの問に挟み、プレス機などにより加圧処理を行う。この際、セラミックグリーンシートの粗度は、表面粗化用シートの粗度の他、加圧時間、プレス圧、加圧時温度などにより調節することができる。すなわち、プレス圧が高いほど、また、加圧時間が長いほど、グリーンシートの粗度を高めることができる。例えば、プレス圧を30kgf/cm2〜500kgf/cm2、合計加圧時間を5秒間〜600秒間とすることができる。
プレス圧が30kgf/cm2以上、合計加圧時間が5秒間以上であれば、セラミックグリーンシートを十分に粗化することができる。また、プレス圧が500kgf/cm2以下、合計加圧時間が600秒間以下であればエネルギーや時間の無駄が少なく、加圧処理後に表面粗化用シートが剥離できないという問題が生じ難い。さらに、かかる範囲で加圧処理を行えば、それぞれプレス圧または合計加圧時間に応じて得られるグリーンシートの粗度を調節し易くなるという利点もある。より好ましくは、プレス圧を50kgf/cm2〜300kgf/cm2、合計加圧時間を15秒間〜500秒間とすることができる。
また、加圧時温度が高いほどセラミックグリーンシートの柔軟性が増し、表面粗化用シートの粗化表面が転写され易くなる。しかし温度制御による粗度の調節は、温度の制御手段が必要となるだけでなく、温度を上げ過ぎると表面粗化用シートがグリーンシートに接着されて、加圧後にグリーンシートを表面粗化用シートから剥離し難くなるなど、制御が難しい場合がある。よって、加圧処理は常温で行うことが好ましい。
セラミックグリーンシートを表面粗化用シートで挟んだものを、さらにアクリル板、木板、金属板等で挟み、これを積み重ねることによって、多数のセラミックグリーンシートを同時に複数加圧処理することもできる。
加圧処理後は、表面粗化用シートからのセラミックグリーンシートの剥離を、好適には3時間以内、より好ましくは1時間以内、さらに好ましくは10分以内に行う。必要以上に放置すると、剥離できなくなる場合がある。
上述した様に、加圧処理におけるプレス圧や合計加圧時間等を調節することにより、セラミックグリーンシートの粗度を容易に調節することができる。当該粗度は、Raで0.5μm〜3μmが好適である。Raで0.5μm以上であれば十分に良好な電極層との密着性が発揮されると共に、3μm以下であれば最終的に得られるセラミックシートの強度も十分に担保できる。また、同様の理由から、Rzは5μm〜20μm程度、Rmaxは6μm〜30μm程度が好ましい。
なお、上記塗工工程、乾燥工程と同様に、打抜き工程および表面粗化工程は、5μm以上の微粒子が1立方フィート当たり200個以下である気相雰囲気下で行うことが好ましい。粒子径5μm以上の微粒子が1立方フィート当たり200個を超える気相雰囲気下でシート形成工程を行った場合には、得られたセラミックスグリーンシートを焼結させる際に割れが生じやすくなる傾向があり、焼結して得られたセラミックシートの導電性が低下する傾向がある。気相中の微粒子個数の測定方法は、公知の方法を用いることができるが、塗工工程、乾燥工程と同様に本発明においては、気中パーティクルカウンタ(リオン社製、型番「KR−12A」)を用いて測定した。
次に、本発明の燃料電池用セラミックシートの製造方法における、焼成工程について説明する。上記工程を経て作製されたセラミックグリーンシートは、焼成工程において脱脂、焼結することによりセラミックシートとする。具体的な焼成の条件は特に制限されず、常法によればよい。例えば、セラミックグリーンシートからバインダーや可塑剤等の有機成分を除去するために150℃〜600℃、好ましくは250℃〜500℃で5時間〜8時間程度脱脂処理を行う。次いで、1000℃〜1600℃、好ましくは1200℃〜1500℃で2時間〜10時間保持し焼結処理することによって、セラミックシートを得る。
焼成工程においては、セラミックグリーンシートの脱脂処理および焼結処理時に生じる反りを抑制し、きわめて平坦度の高いセラミックシートを得るために、脱脂処理時における有機物成分の焼失速度(分解ガスの放出速度)をセラミックグリーンシート全面で均一化すると共に、焼結処理時においてセラミックグリーンシート面内の全域で均一に焼結を進行させて、収縮が万遍なく進行するような条件設定が重要となる。
そのため、本発明の焼成工程においては、バッチ式脱脂炉を用いる場合は、セラミックグリーンシート内に含まれる有機物成分が、該有機物成分全量に対して10質量%〜90質量%焼失して減量する時の温度域(脱脂処理温度域)の平均昇温速度を0.01℃/分〜5℃/分、好ましくは0.05℃/分〜3℃/分、更に好ましくは0.1℃/分〜2℃/分の範囲に制御することが望ましい。また、当該セラミックグリーンシートが脱脂処理後、最終的に焼結して収縮する全収縮量に対して10%〜90%収縮する時の温度域(焼結温度域)の平均昇温速度を0.01℃/分〜10℃/分、好ましくは0.1℃/分〜8℃/分、更に好ましくは0.5℃/分〜5℃/分の範囲に制御することが望ましい。
なお、上記脱脂処理温度域の平均昇温速度が0.01℃/分を下回り、あるいは焼結温度域の平均昇温速度が0.01℃/分を下回る場合は、昇温速度が遅すぎるため脱脂または焼結に長時間を要し、生産性が極端に低下してくるため工業的実用化にそぐわなくなる。一方、脱脂処理温度域の平均昇温速度が5℃/分を上回り、あるいは焼結温度域の平均昇温速度が10℃/分を上回る場合は、脱脂または焼結時の昇温速度が速すぎるためセラミックグリーンシート面内で温度不均一が生じて脱脂もしくは焼結の進行が局部的に不均一となり、反りが生じ易くなるばかりでなく、極端な場合はセラミックグリーンシートに割れが発生する恐れも生じてくる。
そして、こうした好適昇温速度を、工業的な大量生産を可能にするために用いられるバッチ式大容量焼成炉を用いた脱脂および焼結時に確保するには、大容量焼成炉内の加熱有効部位における温度分布を、あらかじめ設定した温度プログラムに対して±30℃以内、より好ましくは±20℃以内、更に好ましくは±10℃以内に抑えることが有効となる。この時、上記脱脂処理温度域および/または焼結温度域で、2分間〜120分間一定の温度で少なくとも1回保持する保持工程を付加すれば、該保持工程で昇温速度の僅かな変動を吸収することができ、それによりセラミックグリーンシート全面における昇温速度を更に均一にすることができ、最終的に得られるセラミックシートの反りを一段と小さく抑えることができるので好ましい。
なお、上記昇温速度制御が行われる脱脂処理温度域および/または焼結温度域を、それぞれ有機物成分全量中の10質量%〜90質量%が減量(焼失)する時期、および全収縮畳に対して10%〜90%収縮する時期、と定めたのは、それぞれの時期において有機物成分の焼失除去が急激に進行し、あるいは焼結が急激に進行するため、この時期の昇温速度を厳密に制御することが最も効果的であるからである。中でもこうした有機物成分の焼失除去は、全量中の30質量%〜70質量%が焼失する時に最も顕著であり、また全収縮量に対して20%〜80%収縮する時に最も顕著であるので、該温度域の昇温速度を可及的に遅くするか、あるいは該温度域で少なくとも1回の定温保持を行えば、反りを更に効呆的に抑えることができるので好ましい。
特に、生産性を高めるためには、前方が約600℃までの脱脂ゾーン、後方が約1500℃までの焼成ゾーンとなったトンネル炉式の連続加熱炉を用いることがさらに好適である。トンネル炉式の連続加熱炉の一例をあげれば、脱脂ゾーン長が10〜16m、焼成ゾーン長が10〜20mで、全長が20〜36mであり、幅は200〜600mmの寸法のものが好適である。被焼成物であるグリーンシートの上記連続加熱炉内での滞留時間は60〜120時間、好ましくは70〜100時間になるように、グリーンシート走向速度を0.15m/時間〜0.6m/時間、好ましくは0.2m/時間〜0.5m/時間、さらに好ましくは0.2m/時間〜0.4m/時間である。グリーンシート走向速度が0.15m/時間未満の場合は、連続加熱炉を用いる生産性へ寄与が少なく大きなコストダウンにはならない。一方、走向速度が0.6m/時間を上回る場合は、生産性への寄与は大きいが、脱脂ゾーンや焼成ゾーンでの滞留時間が不足する結果、脱脂不足、焼成不足になり歩留りが大きく低下する問題が生じる。
セラミックグリーンシートのバッチ式焼成や連続加熱式焼成に当たっては、セラミックグリーンシート一枚を焼成用セッターに載せて焼成することも可能であるが、複数のセラミックグリーンシートと当該セラミックグリーンシート以上の面積を有するスペーサーとを、セラミックグリーンシートの周縁がスペーサーからはみ出さないように交互に重ね合わせて、複数枚のセラミックグリーンシートを同時に焼成する方法を採用すれば、焼成作業をより効率よく実施できるので有利である。積層するセラミックグリーンシートの枚数は、その寸法によって適宜変更すればよいが、例えば12cm×12cmの場合は、2枚〜20枚とすることが好ましく、より好ましくは4枚〜12枚である。また、温度分布のより均一な範囲での焼成のために、例えば最上段や最下段にはグリーンシートを載置せず、その場所をダミーとすることも好適である。
上記スペーサーは、特に限定されるものではなく、セラミックグリーンシートの焼成時に使用される公知のスペーサーを使用することができる。より平坦度の高いセラミックシートを得るためには、スペーサーとして、セラミックグリーンシート以上の面積を有し、且つ少なくともセラミックグリーンシートの焼成温度に至るまでの加熱による収縮率が5%以下であり、理論密度に対して30%〜85%の嵩密度を有する多孔質シートを用いることが好ましい。
スペーサーとして使用される多孔質シートのサイズが、被焼結物であるセラミックグリーンシートよりも小さくて、焼結時にセラミックグリーンシートの周辺が多孔質シートからはみ出す時は、当該はみ出し部においてセラミックグリーンシートの変形が起こって平坦度の高いセラミックシートを得ることができず、複数枚の小さい多孔質シートを並べて使用した場合、その継ぎ目部分でセラミックシートに跡形が残るおそれがある。また、セラミックグリーンシート焼成温度に至るまでの加熱による多孔質シートの収縮率が5%を超える場合は、セラミックグリーンシート焼成時に生じる多孔質シートの収縮によって、平坦度の高いセラミックシートを得ることができないおそれがある。また、嵩密度が理論密度に対して30%未満であるものでは、焼成時にバインダーの熱分解によって生成するガス成分の放出は問題なく、脱脂は効率よく進行するが、多孔質シートの強度不足によってハンドリング性が著しく悪化する他、表面の平滑性が悪くなり、満足のいく表面精度のセラミックシートが得られにくくなる。一方、嵩密度が85%を超えるものでは、通気性の低下によって脱脂効果および分解ガスの放出が不十分となり、割れ、反り、しわ等を生じる原因になる。ここで嵩密度の簡便な測定には、多孔質シートの重さを、面積と厚さの積から算出した体積で除して求める。
また、セラミックグリーンシートの焼成に当たっては、最上位のセラミックグリーンシート上に載置される上記スペーサーの質量を重くしたり、セラミックグリーンシートまたは最上層のスペーサーの上に更に重し用治具を載せることも好ましい態様である。これにより、荷重の効果も加わって一段と反りの少ないセラミックシートを得ることができる。
前記重し用治具は、特に限定されるものではなく、上記スペーサーと同様の多孔質シートなどを使用することができる。重し用治具の形状は特に制限はないが、焼成するセラミックグリーンシートに対して、均一に荷重をかけることができることから、セラミックグリーンシートと同形状とすることが好ましく、また、その寸法は、重し用治具をセラミックグリーンシート上に直接載置する場合には、セラミックグリーンシートよりも5mm程度寸法が大きなものを使用することが好ましく、最上層のスペーサー上に載置する場合にはセラミックグリーンシートの寸法の±5mm以内とすることが好ましい。
最上位のセラミックグリーンシート上に載置される上記スペーサーの質量を重くしたり、セラミックグリーンシートまたは最上層のスペーサーの上に更に重し用治具を載せる場合には、積層されたそれぞれのセラミックグリーンシートにかかる荷重が、0.3g/cm2〜5g/cm2の範囲となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.6g/cm2〜4g/cm2とすることが望ましい。前記荷重が0.3g/cm2未満では、重しとしての効果が不十分となるおそれがあり、5g/cm2を超えると、荷重がかかり過ぎセラミックシートに割れ、クラックが発生するおそれがある。
平坦度の高いセラミックシートをより確実に得るには、セラミックグリーンシートと、焼成用セッター、スペーサーまたは重し用治具との接触界面の滑りを良くすることが有効である。
特に、連続加熱炉によるグリーンシートの脱脂・焼成の場合、セラミックグリーンシートとスペーサーとの積層体が連続加熱炉の中をコンベア等に載置されて走向することになるので、その振動等によりグリーンシートとスペーサーとにずれが生じることがある。そこで、グリーンシートとスペーサーとのずれ防止のために、すれ防止用の邪魔板を焼成用セッタの側面等に取り付けてずれ防止することが好適である。
すなわちセラミックグリーンシートの焼成時にスペーサーとして介挿される多孔質シートなどは既に焼成されたものであり、セラミックグリーンシートの焼結工程ではほとんど収縮しないのに対し、セラミックグリーンシートは脱脂、焼結の際に長さで70%〜90%程度、面積率にして50%〜80%程度に収縮するので、焼結過程では両シート面の間、特にシートの外周縁側には滑り方向のずれが生じる。この時、両シート面はほぼ密接しているので、脱脂、焼結温度条件下では該シート面で局部的な接合を起こす恐れがあり、かかる接合が起こるとその部分で滑りが阻害される結果、当該部分のセラミックグリーンシート面に圧縮力が作用すると共に、その近辺には引張力が作用し、それら局部的な圧縮力や引張力によってセラミックグリーンシート素材の移動量が不均一になり、これが反りを生じる原因になることがある。
あるいは、成形に用いられる有機バインダーや可塑剤の特性から、セラミックグリーンシートが熱により粘着性を発現するものである場合、焼成中に多孔質シートと付着を起こす恐れがあり、上記と同様にセラミックグリーンシートの移動量が不均一になり、これが反りを大きくする原因にもなってくる。これら移動量の不均一は、セラミックグリーンシートにかかる荷重が大きいほど、またセラミックグリーンシートにかかる荷重が不均一なほど顕著に現われる。
従って、こうした局部的な接合による反り発生原因を解消するには、該多孔質シートとセラミックグリーンシートの接触面に平均粒子径が0.3μm〜100μm程度の粉末を介在させ、該粉末によって接合を阻止するとともにシート面間の滑りを円滑にし、両シート接触面で前述した様な局部的な引張力や圧縮力が生じる現象を抑えることも極めて有効である。即ち、該粉末自体の滑り促進作用、更には該粉末の介在によってシート面間の隙間増大による分解ガスの放散促進作用とも相俟って、反りを一層小さく抑えることができる。
その様な効果を期待して使用される粉末としては、平均粒子径が0.3μm〜100μmの範囲のものが好ましく、0.3μm未満の粉末では余りに微細であるため上記接合阻止作用や滑り促進作用、分解ガスの放散促進作用が有効に発揮され難く、また特に無機質粉末の場合は、焼結時に粉末自体が多孔質シートやセラミックシートに付着もしくは融着するおそれがある。一方100μmを超える粗粒物では、得られるセラミックシートの表面粗度が大きくなって、固体電解質膜用として実用化する際の電極印刷などに悪影響を及ぼす恐れがでてくる。こうした利害得失を考慮してより好ましい粉末の平均粒子径は1μm以上、80μm以下、更に好ましくは2μm以上、60μm以下である。粉末として特に好ましいのは、粗粒子の少ないものであり、90体積%の粒子が200μm以下、更に好ましくは100μm以下のものである。
該粉末としては、有機質および無機質のいずれであっても構わないが、中でも特に好ましいのは有機質粉末である。無機質粉末は、焼結処理後もシート表面に残存するばかりでなく、その種類によってはセラミックシート表面に融着することがあり、焼結後の除去が煩雑になる恐れがあるが、有機質粉末であれば、焼結条件下で焼失してしまうので後処理による除去作業などが不要であるからである。なおセラミックシートの焼結が完了した時点では、もはや多孔質シートとの接合を起こす恐れはなく、また有機質バインダー成分の放散も完了しているので、粉末が残存していなくても全く差し支えない。しかし、セラミックシートの種類によっては、有機質粉末と共に少量の無機質粉末を併用し、焼結の末期まで少量の粉末を残存させることも有効である。無機質粉末を併用する場合でも、好ましくは有機質粉末の使用量を50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上とすることが望ましい。
上記有機質粉末としては、上記の様に焼結条件下で焼失するものであればその種類の如何は問わず、天然有機質粉末もしくはアクリル樹脂粉末、メラミンシアヌレートなどの昇華性樹脂粉末などの合成有機樹脂粉末などを使用できるが、中でも特に好ましいのは、小麦粉、トウモロコシ澱粉(コーンスターチ)、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の澱粉質粉末である。澱粉質粉末は、ほぼ球形で粒径の揃った微粉末であり、不純物などもほとんど含まれておらず、滑剤としての作用も非常に優れたものである。これら有機質粉末は、単独で使用してもよく2種以上を適宜併用することが可能である。
また、無機質粉末の種類も特に限定されないが、好ましいのは天然もしくは合成の各種酸化物や非酸化物、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ムライトや、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化珪素、カーボンなどであり、これらも単独で使用し得る他、必要により2種以上を併用できるが、好ましくは使用するグリーンシートや多孔質シートの素材に応じて、これらに対して接合性の低い無機質粉末を選択使用するのがよい。
これら粉末の好ましい塗布量は焼結対象となるセラミックグリーンシートの面積当たり0.00001ml/cm2以上、より好ましくは0.00002ml/cm2以上で、0.1ml/cm2以下、より好ましくは0.021ml/cm2以下とすることが望ましい。
このようにして焼成されたセラミックシートは、その平坦性を高めるために再焼成(2次焼成)することができる。すなわち、セラミックシートを平坦なセラミック板で挟持し、荷重をかけた状態で加熱して、そりやうねりなどの欠陥を修復することができる。
ここで使用するセラミック板は、アルミナ、ムライト、コージライト、ジルコニア等の金属酸化物、窒化珪素、炭化珪素等の窒化物や炭化物を単独であるいは複合物もしくは複合体からなる緻密板もしくは多孔質板である。これらの板に、セラミックシートを1枚あるいは複数枚を重ねたものをはさみ、あるいはさらにその上にセラミックシートとセラミック板を積み上げ、必要に応じて最上部におもしを乗せる。セラミックシートにかかる好ましい荷重は、セラミックシートの表面積に対して、0.1〜1kg/cm2である。荷重が0.1kg/cm2を下回る場合はそりやうねりの修復効果が低くなる。また、1kg/cmを上回る場合は、荷重によってセラミックシートが割れたり欠けたりする場合が多くなる。再焼成温度は、セラミックシートを焼成したときの最高温度以下が好ましい。より好ましくは、セラミックシートを焼成したときの最高温度よりも50℃以上低い温度である。また、セラミックシートとセラミック板、およびおもしの積層物は、熱容量が大きくかつ熱伝導が悪いので徐冷することが好ましい。すなわち、冷却速度は、500℃までの最高冷却速度が10deg/分以下、より好ましくは、1000℃までの最高冷却速度が 5deg/分以下、さらに好ましくは0.5deg/分以下である。必要以上に徐冷するのは、生産性の観点から好ましくない。一方、これよりも速い速度で冷却すると、積層物にクラックや割れを生じたり、セラミックシートにそりが生じたりすることがある。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
製造例1
セラミックス粒子としてイットリア安定化ジルコニア粉末(第一稀元素化学工業製、商品名「HSY−8.0」、10体積%の粒子径0.43μm、50体積%径0.60μm、90体積%の粒子径が0.87μm)79.8kg、溶媒としてトルエン23.9kg、酢酸エチル16.0kg、および分散剤としてアニオン系界面活性剤(共栄社化学製)2.39kgとを、ボールミルを用いて、36rpm、15時間の条件で粉砕しつつ混合した。
次いで、前記混合物へ、バインダーとしてメタアクリル系共重合体(日本触媒製、商品名「アクリセット AST7050Z」、数平均分子量:100,000、ガラス転位温度:−8℃、固形分濃度:50%、アミン価8.9mgKOH/g、水酸基価5.4mgKOH/g、酸価0.0mgKOH/g)を固形分換算で15.6kgと、可塑剤として市販のフタル酸系ポリエステル1.92kgを添加し、さらにボールミルにより、36rpm、20時間の条件で混合してスラリーとした。
得られたスラリーを、除鉄機に通した後、碇型の撹拌機を備えた内容積100Lのジャケット付丸底円筒型減圧脱泡容器へ移し、撹拌機を30rpmの速度で回転させながら、ジャケット温度45℃で減圧(約−0.08MPa〜−0.09MPa)してスラリーを濃縮した。次に、減圧を解除してジャケット温度45℃で撹拌機を10rpmの速度で回転させながら脱泡して、さらに撹拌機を止めて30分間静置して、粘度を2300mPa・s(25℃)に調整し、塗工用スラリーとした。
この塗工用スラリーを、市販の濾過サイズが10μmのポリオレフィン系フィルターに通した後、塗工装置のスラリーダムに移し、ドクターブレード法によって幅0.95mで厚さが188μmの両面剥離処理PETフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム製)上に塗工し、塗工部に続く第1乾燥ゾーン室温、第2乾燥ゾーン75℃、第3乾燥ゾーン95℃を、塗工速度0.25m/分で通過させた。また、第1乾燥ゾーン内の風速を0.15m/s、第2乾燥ゾーン内の風速を1.1m/s、第3乾燥ゾーン内の風速を1.25m/sの速度に調整して乾燥することにより、厚さ320μmのセラミックグリーンシートを得た。
また、パーティクルカウンタ(リオン社製、型番「KR−12A」)を用いて測定した乾燥炉内の清浄度は、5μm以上の微粒子が1立方フィートあたり94個であった。
得られたセラミックグリーンシートの塗工先端部と後端部を除いた有効長60mについて、長さ20m毎に任意に少なくとも2箇所から10cm×10cmの観察用グリーンシートを計8枚切り出した。切り出した観察用グリーンシートを、マイスタールーペの20W円筒蛍光灯の上に配置された白色不透明のプラスチック板の上に載置し、外径130mmφ倍率3.5倍のレンズを通して目視で観察した。各観察用グリーンシートに存在するスラリー組成物以外の粒子であり、その粒子径50μm以上の粒子の個数をカウントし、その平均値を求めたところ、100cm2当たりに含まれる粒子径50μm以上の粒子の個数は8.2個であった。また、得られたセラミックグリーンシートについて、100℃で20時間乾燥した際の乾燥前後の質量減少を測定したところ、溶剤残存率は0.5質量%であった。
得られたセラミックグリーンシートを、刃角30度のトムソン刃の打抜き型を用いて、14cm×14cmに打ち抜き、成形セラミックグリーンシートを得た。
次に、作製した成形セラミックグリーンシートを18枚準備し、各セラミックグリーンシートを表面粗化用シート(表面粗さRa3.1μm、Rz7.7μm、Rmax9.4μm、厚紙:226g/cm2、厚さ0.335mm)2枚で挟んで、積層体を18枚作製した。次に、この積層体18枚と25cm×25cmのアクリル板(厚さ5mm)20枚とを交互に積み重ねたプレス用試料を作製した。なお、積層体を作製する際には、セラミックグリーンシートが表面粗化用シートの中央に位置するように調整し、積層体とアクリル板とを積み重ねる際には、積層体がアクリル板の中央に位置するように調整した。作製したプレス用試料を、圧縮成形機(神藤金属工業所製、型式「S−37.5」)によりそれぞれ加圧処理を行った。なお、加圧処理は、加圧温度25℃、プレス庄273kN、加圧保持時間15秒間の条件での加圧を、加圧する毎にプレス用試料を右方向に90度ずつ回転させて、4回加圧を行った。加圧処理後、表面粗化用シートを剥がし、表面粗化セラミックグリーンシートを得た。
そして、アルミナ多孔質シート(気孔率:45%、厚さ:0.2mm、寸法:15cm角)を2枚重ねて載置した焼成用棚板上に、上記で得た表面粗化セラミックグリーンシートを1枚重ね、その上にスペーサーとして多孔質シートを重ね、同様にしてさらに交互に9枚ずつ表面粗化セラミックグリーンシートと多孔質シートを重ね合わせ、最後に最上層のスペーサーの上にムライト・アルミナ製の重し用治具(気孔率60%、嵩比重:1.3)を載置した。このようにして表面粗化セラミックグリーンシートを9枚重ね合わせたものを2組準備して、それらを大気雰囲気下1420℃で3時間焼成し、約12cm角、厚さ250μmのセラミックシートを得た。
製造例2
セラミック粒子としてイットリア安定化ジルコニア粉末(東ソー製、商品名「TZ−8YS」、10体積%径0.39μm、50体積%径0.52μm、90体積%径0.82μm)を用いた以外は製造例1と同様の溶媒、分散剤、バインダーおよび可塑剤を用いてスラリーとした。また、パーティクルカウンタを用いて測定した乾燥炉内の清浄度は、5μm以上の微粒子が1立方フィートあたり71個であった。
以下、製造例1と同様の操作を行い、約14cm角、厚さ320μmのセラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートは、100cm2当たりに含まれるスラリー組成物以外の粒子径50μm以上の粒子個数は12.4個であった。また、得られたジルコニアグリーンシートについて、100℃で24時間乾燥した際の乾燥前後の質量減少を測定したところ、乾燥減量は0.2質量%であった。
以下、製造例1と同様の表面粗化、焼成を行い、厚さ250μmのセラミックシートを得た。
本発明は、ジルコニアセリアやランタンガレートからなる燃料電池用のセラミックシートの製造に好適である。

Claims (9)

  1. 燃料電池用のセラミックスシートを製造する方法であって、
    セラミック粉末、溶媒およびバインダーを含むスラリー原料を混合してスラリーを調製するスラリー調製工程;
    スラリー調製工程で得られたスラリーをフィルム上へシート状に塗工する塗工工程;
    塗工されたスラリーを乾燥してグリーンシートとする乾燥工程;
    グリーンシートを打抜き成形する打抜き工程;および
    成形されたグリーンシートを脱脂および焼結する焼成工程;を含み、
    前記グリーンシートは、前記スラリー原料以外の粒子であって、その粒子径が50μm以上の粒子の含有量がグリーンシート面積100cm2あたり20個以下であること、
    前記塗工工程および乾燥工程において、5μm以上の微粒子が1立方フィートあたり200個未満である雰囲気下であること、
    を特徴とする燃料電池用セラミックシートの製造方法。
  2. 前記スラリー調製工程において、10体積%の粒子径が0.45μm以下、50体積%の粒子径が0.65μm以下、90体積%の粒子径が1.2μm以下の範囲にある粒子径分布を有するジルコニア粉末をセラミック粉末として用いる請求項1に記載の燃料電池用セラミックシートの製造方法。
  3. 前記塗工工程において、前記スラリー調製工程で得られたスラリーを、濾過サイズ40μm以下のフィルターおよび/または除鉄機に通してから用いる請求項1または2に記載の燃料電池用セラミックシートの製造方法。
  4. 前記塗工工程において、両面を剥離処理したキャリアーフイルムを用いる請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料電池用セラミックシートの製造方法。
  5. 前記打抜き工程において、トムソン刃を使用し、そのトムソン刃は、グリーンシート抜き型に埋設されたトムソン刃のボディ部のショア強度が40〜70、および/またはエッジ部のショア強度が70〜80である請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料電池用セラミックシートの製造方法。
  6. 前記打抜き工程において生じる切断屑を、前記スラリー調製工程におけるスラリー原料として用いる請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料電池用セラミックシートの製造方法。
  7. 前記焼成工程の前に、前記グリーンシートの表面を粗化する表面粗化工程を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料電池用セラミックシートの製造方法。
  8. 前記グリーンシート打抜き工程に用いるトムソン刃の寸法(X)が、前もってグリーンシートを打抜いて焼成工程と同じ焼成条件で前もって焼成してグリーンシート焼成収縮率(Y%)を算出し、所定セラミックシート寸法(Z)になるように下記式(1)で算出されたものである請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料電池用セラミックシートの製造方法。
    X=Z/(1−Y/100) (1)
  9. 前記打抜き工程におけるグリーンシート表面温度(T1)と、前記請求項8に記載の焼成収縮率を算出するときに打抜くグリーンシート表面温度(T2)との差の絶対値(|T1−T2|)が10℃以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料電池用セラミックシートの製造方法。
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