JP2000232857A - 食材に内在する分解酵素の活性化方法 - Google Patents

食材に内在する分解酵素の活性化方法

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JP2000232857A
JP2000232857A JP11352248A JP35224899A JP2000232857A JP 2000232857 A JP2000232857 A JP 2000232857A JP 11352248 A JP11352248 A JP 11352248A JP 35224899 A JP35224899 A JP 35224899A JP 2000232857 A JP2000232857 A JP 2000232857A
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Yasuo Hara
安夫 原
Akiyoshi Kato
明美 加藤
Rieko Onishi
理恵子 大西
Eiko Arai
映子 新井
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Hoshizaki Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】食材に内在する分解酵素を活性化して、食品加
工における食材中の各成分の分解を促進して、加工食品
の旨味を増大させる。 【解決手段】分解酵素を内在する食材を電解生成水に接
触させて、同分解酵素の活性化を図り、食品加工におけ
る食材中の各成分の分解を促進して、加工食品の旨味を
増大させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食材に内在する分
解酵素を活性化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】食材には、同食材中の各成分を分解する
ための各種の分解酵素を内在しているものが多い。例え
ば、米、麦等の穀類やいも類等、澱粉を一主要成分とす
る食材には澱粉分解酵素であるアミラーゼが多く内在
し、また、麦類等の穀類や豆類等、蛋白質を一主要成分
とする食材には蛋白質分解酵素であるプロテアーゼが多
く内在し、さらにまた、豆類、魚貝類、獣肉類、獣鳥肉
類、家畜肉類等、油脂成分を一主要成分とする食材には
油脂分解酵素であるリパーゼが多く内在している。
【0003】一般に、食材を生の状態で加工した生の加
工食品(生加工食品)として提供する場合や、食材を加
熱調理した加熱調理済みの加工品(加熱調理加工食品)
として提供する場合、食材に内在する各分解酵素が食材
中の各成分を分解して加工食品に旨味を付加すべく機能
する。
【0004】例えば、澱粉を多く含有する食材を加水加
工、練り加工等の生加工や加熱調理する場合、同食材に
水道水等の水を加えて加工するのが一般的であり、かか
る加工方法においては、食材中の澱粉が澱粉分解酵素で
あるアミラーゼにより分解されて、単糖やオリゴ糖が生
成される。この単糖やオリゴ糖は甘み成分であって、生
加工食品や加熱調理加工食品に旨味を付加する機能を有
する。
【0005】同様に、麦類や豆類等の蛋白質を多く含有
する食材を生加工や加熱調理する場合には、蛋白質成分
が蛋白質分解酵素であるプロテアーゼにより分解され、
また、各種の豆類、肉類や魚介類等油脂成分を多く含有
する食材を生加工や加熱調理する場合には、油脂が油脂
分解酵素であるリパーゼにより分解され、生加工食品や
加熱調理加工食品に旨味が付加される。
【0006】従って、生加工食品や加熱調理加工食品
等、加工食品の旨味を増大させる有力な手段として、食
材に内在する各分解酵素を活性化して、各成分の分解を
促進することが考えられる。食材中に内在する分解酵素
の活性を促進する方法としては、食材の加工に使用する
水(加工用水)のpHを5〜6の範囲に調整する方法
や、加工用水中の各種の金属イオン、例えばカルシウム
イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン等の濃度
を増加させる方法や、加水された食材を調理するに先だ
って40℃〜60℃で所定時間保持する方法等を挙げる
ことができる。これらの方法は、食材に内在する分解酵
素の作用環境を最適な状態として、分解酵素の活性化を
図るものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した食
材に内在する分解酵素を活性化する方法のうち、加工用
水のpHを5〜6の範囲に調整する方法においては、加
工用水中にpH調整剤を添加する手段が採られるが、食
材を加工する毎に、その加工に先だって加工用水のpH
を所定の値に調整するのは面倒であって極めて煩わし
く、また、使用するpH調整剤の選択や使用量の設定は
健康の面から慎重でなければならず、かかる方法は一般
的には使用し難い方法である。
【0008】また、加工用水中の各種の金属イオンの濃
度を増加させる方法においては、加工用水中の金属イオ
ンを最適な濃度に設定するには、食材を加工する毎に、
その加工に先だって金属化合物を精度よく測定して加工
用水に添加する必要があり、極めて面倒で煩わしい。使
用可能な金属化合物としては、乳酸カルシウム、塩化カ
ルシウム、塩化マグネシウム、塩化マンガン等を挙げる
ことができるが、金属化合物の量が多すぎる場合には、
加工食品の味を逆に低下させることになるとともに、健
康の面からも決して好ましいとはいえない。また、金属
化合物の量が少なすぎる場合には、分解酵素を十分には
活性化するとができない。
【0009】従って、本発明の目的は、食材に内在する
分解酵素を、食材の加工の都度、加工用水にpH調整剤
を使用して所望のpHに調整したり、金属化合物を添加
して所望の金属イオン濃度に調整することを必要としな
いで、活性化させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、食材に内在す
る分解酵素を活性化する方法に関するもので、当該活性
化方法は、分解酵素を内在する食材を電解生成水に接触
させて、同分解酵素を活性化することを特徴とするもの
である。
【0011】本発明に係る活性化方法においては、前記
食材を電解生成水に接触させる手段として、同食材を、
所定温度に温度調整された電解生成水中に所定時間保持
する手段を採用することができる。また、本発明に係る
活性化方法においては、植物性食材、動物性食材の何れ
の種類の食材にも適用することができるが、植物性の食
材、特に澱粉を含有する食材に対して好適に適用され
る。
【0012】本発明に係る活性化方法において採用する
電解生成水としては、電解生成酸性水、電解生成アルカ
リ性水の何れの電解生成水も採用することができる。こ
れらの電解生成水は、通常の水道水を有隔膜電解装置に
より電気分解することにより生成されるもので、電解生
成酸性水は有隔膜電解装置の陽極室にて生成され、か
つ、電解生成アルカリ性水は有隔膜電解装置の陰極室に
て生成される。なお、有隔膜電解に使用する原水として
は、通常の水道水の外に、食塩、乳酸カルシウム等の電
解質を添加した希塩水溶液を採用することもできる。
【0013】本発明に係る活性化方法においては、前記
食材が小麦である場合には、電解生成水として電解生成
酸性水を採用することが好ましく、また、前記食材が米
である場合には、電解生成水として電解生成酸性水を採
用して、前記米を30℃〜50℃の温度範囲にある電解
生成酸性水に接触させることが好ましい。
【0014】
【発明の作用・効果】本発明に係る分解酵素の活性化方
法においては、食材を所定温度に温度調整された電解生
成水中に所定時間保持する手段等、食材を電解生成水に
接触させる手段を採用して、食材に内在する分解酵素の
作用環境を最適な状態に調整して、この作用環境下にお
いて分解酵素の活性化を図るものである。
【0015】本発明に係る分解酵素の活性化方法におい
ては、食材に接触させる電解生成水として電解生成酸性
水または電解生成アルカリ性水を採用している。電解生
成酸性水を採用する場合には、電解生成酸性水は食材と
の接触中に同食材をpH5〜6の範囲に調整し、同食材
に内在する分解酵素の活性を図る。これにより、食材中
の各成分は、十分に活性化された各分解酵素により分解
を促進され、加工食品の旨味を増大させる。
【0016】また、本発明に係る分解酵素の活性化方法
において、食材に接触させる電解生成水として、電解生
成アルカリ性水を採用する場合には、電解生成アルカル
性水は、その生成過程において、カルシウムイオン、マ
グネシウムイオン、マンガンイオン等の金属イオン濃度
が所定量増加していることから、食材はこのような電解
生成アルカル性水と接触中に各分解酵素の活性が促進さ
れて各成分の分解を活発にし、加工食品の旨味を増大さ
せる。
【0017】本発明に係るこれらの活性化方法において
は、電解生成水の食材に接触させる温度は20℃〜70
℃に設定することが好ましく、これにより、各分解酵素
に対する加工用水のpHまたは金属イオンによる活性促
進作用に加えて、温度による活性促進作用が付加され、
食材に内在する各分解酵素はその活性を一層促進されて
各成分の分解を活発にして加工食品の旨味を一層増大さ
せる。
【0018】本発明に係る活性化方法において、小麦や
米を食材とする場合は、電解生成水として電解生成酸性
水を採用することが好ましく、さらには、食材が米であ
る場合には、30℃〜50℃の温度範囲にある電解生成
酸性水に接触させることが特に好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係る分解酵素の活性化方
法の一実施の形態として、食材として澱粉を含有する食
材を採用して、同食材を所定温度に温度調整された電解
生成水中に所定時間保持して澱粉分解酵素を活性化し、
その後、同食材を加熱調理する加工方法を例示する。
【0020】当該加工方法に適用される食材は、米、麦
等の穀類やいも類等、澱粉を多く含有する各種の食材で
あり、当該食材を水処理するために使用される電解生成
水は、電解生成酸性水または電解生成アルカリ性水であ
る。電解生成酸性水としては、pHが3.0〜5.0程
度の酸性水が好ましく、電解生成アルカリ性水として
は、pHが8.0〜10.0程度のアルカリ性水が好ま
しい。これらの電解生成水は、通常の水道水を有隔膜電
解装置により電解することにより生成されるもので、電
解生成酸性水は有隔膜電解装置の陽極室にて生成され、
かつ、電解生成アルカリ性水は有隔膜電解装置の陰極室
にて生成される。また、有隔膜電解に採用する原水とし
ては、通常の水道水の外にも、食塩、乳酸カルシウム等
の各種の電解質を溶解する希塩水溶液を採用することが
できる。食材は、これらの電解生成水中で所定時間保持
されて、当該食材中の澱粉分解酵素を活性化するもので
ある。
【0021】当該加工方法において、電解生成水として
電解生成酸性水を使用するには、上記したようにpHが
3.0〜5.0程度の酸性水をが好ましいく、この場合
には、電解生成酸性水は食材(有機物)と接触すると、
食材の緩衝作用により、当該食材中に存在する澱粉分解
酵素の活性が促進させれる最適なpHである5.0〜
6.0の範囲のpHとなる。
【0022】また、当該加工方法において、電解生成水
として電解生成アルカリ性水を使用するには、上記した
ようにpHが8.0〜10.0程度のアルカリ性水を使
用するのが好ましい。電解生成アルカリ性水において
は、その生成過程において、カルシウムイオン、マグネ
シウムイオン、マンガンイオン等の金属イオンの濃度
が、被電解水である水道水に比較して20%〜30%増
加する。この範囲の金属イオンの濃度は、食材中に含有
される澱粉分解酵素の活性を促進する最適な金属イオン
濃度である。
【0023】当該加工方法における電解生成水の水温
は、20℃〜70℃の範囲で適宜設定されるが、この温
度範囲では澱粉分解酵素の活性が促進される。この水温
による澱粉分解酵素の活性を促進する効果は、電解生成
水の酸性に起因する活性促進効果、または金属イオンに
起因する活性促進効果に相乗的に付加される。
【0024】当該加工方法においては、当該食材の上記
した電解生成水による水処理により澱粉分解酵素の活性
が促進される結果、当該食材中の澱粉の一部が澱粉分解
酵素により分解されて、単糖やオリゴ糖が生成される。
この単糖やオリゴ糖は甘み成分であって、このような食
材に加熱調理等の食品加工を施せば、調理された加工食
品は旨味を増大する。 (実施例1)本実施例においては、澱粉を含有する食材
として古米(島根県産日本晴れ:保存期間1年のうるち
米)の米粉(粒径300μm以下)を採用して、米粉の
水処理実験を行った。実験に供した水(供試水)として
は、水道水(pH6.95)、酸性水(pH3.7
5)、アルカリ性水(pH9.25)を採用した。水道
水は松江市水道水、電解生成水は有隔膜電解装置(ホシ
ザキ電機株式会社製:HOX−40A型)で生成した、
上記水道水を被電解水とする酸性水およびアルカリ性水
である。水処理実験は、米粉にその10倍量(重量)の
供試水を加えて水温25℃に維持して、2時間振とうし
て行った。
【0025】当該水処理実験の前後における供試水のp
H値を表1に、かつ、米粉から抽出された可溶性の全糖
および還元糖の量を表2にそれぞれ示すとともに、抽出
された糖の成分抽出量を図1のグラフに示す。但し、米
粉から抽出される全糖はフェノール硫酸法で、還元糖は
ソモギネルソン法で、各種糖量はHPLCで測定した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】表1を参照すると、供試水が、電解生成水
である酸性水およびアルカリ性水の場合には、米粉から
の成分溶出によりpHが中性方向へ変化するが、特に、
酸性水ではpHが5.63であって、澱粉分解酵素の活
性を促進するのに最も好ましいpH値となっており、ま
た、アルカリ性水ではpHが7.91であって、カルシ
ウムイオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン等の
金属イオンが、澱粉分解酵素の活性を促進するのに最も
好ましいpH値となっている。また、このことは、その
後の加熱調理時には、供試水が酸性水またはアルカリ性
水では、水道水よりも低pHまたは高pHの状態で加熱
されることを意味する。また、表2を参照すると、酸性
水またはアルカル性水では、水道水に比較して、全糖お
よび還元糖共に溶出量が高く、特に、酸性水ではこの傾
向が高いことがわかる。
【0029】また、図1のグラフを参照すると、米粉か
ら溶出した糖の成分は、フルクトースおよびスクロース
については、いずれの供試水でも溶出量に有意差は認め
られないが、酸性水では水道水に比較して、グルコース
については溶出量が高く、かつ、マルトースについては
溶出量が低いことが判明した。アルカリ性水では水道水
に比較して、グルコースおよびマルトースについては溶
出量が高いことが判明した。
【0030】これらの結果から、酸性水およびアルカル
性水で糖の溶出量が高いのは、米粉内に存在している澱
粉分解酵素の分解作用により、酸性水においてはグルコ
ースが、アルカリ性水においてはマルトースが米粉の澱
粉からより多く遊離した結果によるものと推測される。
【0031】丸山等は、刊行物「澱粉科学第37巻第1
号第29頁〜第34頁(1990)」において、米には
2種類のα−アミラーゼが存在し、その分解機能を発揮
する最適pHが5〜6の範囲にあることを報告してい
る。酸性水を供試水とする水処理では、電解生成水のp
Hが水処理中にこれらのアミラーゼの活性を促進する最
適pHに近いことから、pH効果による澱粉分解酵素の
活性が促進されているものと推測される。また、酸性水
では、グルコースの溶出量が高くかつマルトース溶出量
が低いことから、α−グルコシターゼの活性が促進さ
れ、すなわち、澱粉分解酵素の活性が促進されているこ
とも推測される。
【0032】一方、アルカリ性水では、α−アミラーゼ
が分解機能を発揮する最適pHから大きく外れているに
も関わらず、グルコースおよびマルトースの溶出量が高
い。丸山等によれば、これらのアミラーゼは、カルシウ
ムイオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン等で活
性化されるということが確認されている。従って、アル
カリ性水を供試水とする水処理では、アルカリ性水の生
成過程で陽極から陰極に移動した陽イオンの増加によ
り、α−アミラーゼの活性が促進しているものと推測さ
れる。
【0033】以上のことから、米等、澱粉を含有する食
材を電解生成水である酸性水またはアルカリ性水で水処
理すれば、処理水のpH効果またはイオン効果に起因し
て澱粉分解酵素の活性が促進され、これにより、その後
の加熱調理によって澱粉の糊化・膨潤が促進されること
が推測される。 (実施例2)本実施例においては、供試米として古米
(保存期間1年)を、供試水として水道水(pH6.9
5)、酸性水(pH3.75)、アルカリ性水(pH
9.25)を採用して、図2に示す方法に基づいて炊飯
実験を行った。但し、供試米および供試水は、実施例1
で採用した供試米および供試水と同一のものである。
【0034】供試米の炊飯方法は、図2に示すように、
供試米を洗米する洗米工程、洗米後水切りした洗米を浸
漬する浸漬工程、浸漬後水切りした浸漬米を加水する工
程、加熱工程、蒸らし工程、冷却工程からなる。当該炊
飯方法においては、供試米を供試水にて2回洗米して水
切りし、水切り後の洗米に新たな供試水を加えて25℃
にて30分間浸漬して水切りし、水切り後の浸漬米に新
たな供試水を米重量の1.5倍量加水して電気炊飯器に
て18分間加熱し、引き続き12分間蒸した後、25℃
にて1.5時間冷却した。当該炊飯の各工程における供
試水のpHの変化の状態を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】表3を参照すると、炊飯の各工程での供試
水のうち、電解生成水である酸性水およびアルカリ性水
の場合、洗米および浸漬工程では米からの成分溶出によ
りpHが中性付近まで変化するが、加水工程では水道水
よりも酸性側およびアルカリ性側にあることがわかる。
このことは、炊飯時には、供試水が酸性水またはアルカ
リ性水では、水道水よりも低pHまたは高pHの状態で
加熱されることを意味してる。 (官能評価):図2に示す方法にて炊飯した各米飯につ
いて、20名の消費者パネルにて官能評価を行った。評
価は、米飯の色、つや、硬さ、粘り、味、総合評価の6
特性とし、供試水が水道水である米飯を基準(0)とし
て、+3〜−3の範囲の評定尺度により行った。結果を
図3のグラフに示す。但し、同図のグラフにおいて、実
線のグラフは酸性水を供試水とする場合、破線のグラフ
はアルカリ性水を供試水とする場合、1点鎖線のグラフ
は水道水を供試水とする場合を示す。
【0037】図3のグラフを参照すると、酸性水または
アルカリ性水を供試水とする米飯においては、水道水を
供試水とする米飯に比較して、つやがあり、柔らかく、
粘りがあり、味がよく、総合評価も高いことがわかる。
また、酸性水を供試水とする米飯は、アルカリ性水また
は水道水を供試水とする米飯に比較して、特に色につい
ての評価が高くて白い米飯であることがわかる。
【0038】これらの結果から、古米を、供試水として
酸性水またはアルカリ性水を使用して炊飯する場合に
は、水道水を供試水とする場合に比較して、米飯の特性
が向上することが官能的に確認された。 (米飯テクスチャー):各米飯の特性を試験するため、
米飯テクスチャーを3粒法で測定するとともに、米飯の
糊化度をBAP法により測定した。得られた結果を表4
に示す。
【0039】
【表4】
【0040】表4を参照すると、酸性水またはアルカリ
性水を供試水とする米飯においては、水道水を供試水と
する米飯に比較して、硬さが低く、粘りが増加し、か
つ、澱粉の糊化・膨潤が促進されている。これらの結果
から、古米を、供試水として酸性水またはアルカリ性水
を使用して炊飯する場合には、水道水を供試水とする場
合に比較して、米飯テクスチャーが改善されていること
がわかる。
【0041】次ぎに、米飯組織を比較するため、炊飯直
後の米飯を凍結乾燥し、その横断面をSEMで観察し
た。この観察においては、水道水を供試水とする米飯で
は、全体的に大きな穴が多数分散している状態が確認さ
れた。これらの穴は、澱粉と十分に水和していない水の
集合体が凍結乾燥によって脱水されて生成された痕跡で
あるものと推測される。これに対して、アルカリ性水を
供試水とする米飯では、この穴はかなり小さい状態を呈
し、酸性水を供試水とする米飯では、アルカリ性水を供
試水とする米飯に比較してさらに微小な状態を呈してい
る。
【0042】この結果から、酸性水またはアルカリ性水
を供試水とする米飯においては、水道水を供試水とする
米飯に比較して、澱粉の水和状態が向上し、特に、酸性
水を供試水とする米飯ではその傾向が顕著であるものと
推測される。 (実施例3)本実施例においては、澱粉を含有する食材
として小麦粉(強力粉:日清製粉株式会社製、商品名
「スーパーカメリア」)を採用して、小麦粉の水処理実
験を行った。実験に供した水(供試水)としては、水道
水(pH6.9)および酸性水(pH3.5)を採用し
た。水道水は松江市水道水、電解生成水は同水道水を被
電解水とする有隔膜電解装置(ホシザキ電機株式会社
製:HOX−40A型)で生成した酸性水である。
【0043】水処理実験は、小麦粉0.2gに20ml
の供試水(小麦粉に対して100倍量)を加えて水温3
0℃にて90分間振とうし、水処理液を0.45μmの
フィルターで濾過して上澄み液を得た。得られた上澄み
液中の全糖量をフェノール硫酸法で測定するとともに、
還元糖量をソモギネルソン法で測定し、かつ、水処理終
了直後の水処理液のpHを測定した。得られたpHの値
を表5に示すとともに、全糖および還元糖の値を表6に
示す。
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】これらの結果を参照すると、酸性水を供試
水とする水処理では、水道水を供試水とする場合に比較
して全糖および還元糖の溶出量が多く、α−アミラーゼ
の活性が上昇していることがわかる。
【0047】小麦粉製品を調製する場合、水道水または
天然水を使用してバッターやドウを作るがのが一般であ
り、小麦粉製品の甘みは、調製段階で添加される糖類だ
けではなく、小麦に含まれている澱粉の分解によっても
たらされるものである。澱粉の分解は、澱粉の糊化によ
る低分子化、および内在する分解酵素であるα−アミラ
ーゼによる酵素的分解によるもので、小麦の成分はその
7割以上が糖質に分解するものであることから、その分
解は非常に重要である。従って、小麦粉製品を調製する
場合に電解生成酸性水を使用すれば、α−アミラーゼを
活性化させて澱粉の分解を促進し、甘味の高い小麦粉製
品を調製することができる。 (実施例4)本実施例においては、古米(島根県産日本
晴れ:保存期間1年のうるち米)の米粉(粒径100μ
m以下)を採用するとともに、供試水として酸性水(p
H3.65)および水道水(pH6.95)を使用し
て、供試水の水温を10℃〜70℃の範囲の適宜の温度
に設定して米粉の水処理実験を行った。なお、酸性水
は、有隔膜電解装置(ホシザキ電機株式会社製:HOX
−40A型)で生成した、実施例3で採用した酸性水と
同一のものである。
【0048】水処理実験は、米粉0.2gに20mlの
供試水(米粉に対して100倍量)を加えて、所定の温
度で30分間振とうし、水処理液を0.45μmのフィ
ルターで濾過して上澄み液を得た。得られた上澄み液中
の可溶性の全糖量をフェノール硫酸法で測定するととも
に、可溶性の還元糖量をソモギネルソン法で測定した。
得られた測定結果に基づいて、α−アミラーゼの活性度
を算出し、この結果を表7に示すとともに、図4のグラ
フに示す。但し、α−アミラーゼの活性度は、(還元糖
/全糖)の式により算出している。なお、図4のグラフ
において、実線のグラフは酸性水を供試水とする場合、
破線のグラフは水道水を供試水とする場合を示してい
る。
【0049】
【表7】
【0050】表7および図4のグラフを参照すると、酸
性水を供試水とする水処理では、水道水を供試水とする
場合に比較して、全ての温度範囲においてα−アミラー
ゼの活性度が高いことが認められる。また、α−アミラ
ーゼの活性度には、供試水の温度が30℃および50℃
において大きく変化することが認められ、臨界点である
30℃と50℃の範囲において、α−アミラーゼの活性
度が高いことが認められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る活性化方法を採用した水処理によ
る米粉からの溶出された各糖の溶出量を示すグラフであ
る。
【図2】本発明に係る活性化方法を採用した炊飯方法を
示す工程図である。
【図3】米飯の官能評価を示すグラフである。
【図4】米粉の水処理における処理温度とα−アミラー
ゼの活性度の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大西 理恵子 愛知県豊明市栄町南館3番の16 ホシザキ 電機株式会社内 (72)発明者 新井 映子 東京都葛飾区立石4−12−5

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分解酵素を内在する食材を電解生成水に接
    触させて、同分解酵素を活性化することを特徴とする食
    材に内在する分解酵素の活性化方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の活性化方法において、前
    記電解生成水として電解生成酸性水を採用することを特
    徴とする食材に内在する分解酵素の活性化方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の活性化方法において、前
    記電解生成水として電解生成アルカリ性水を採用するこ
    とを特徴とする食材に内在する分解酵素の活性化方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の活性化方法において、前
    記食材を電解生成水に接触させる手段として、同食材を
    所定温度に温度調整された電解生成水中に所定時間保持
    する手段を採用することを特徴とする食材に内在する分
    解酵素の活性化方法。
  5. 【請求項5】請求項1,2,3または4に記載の活性化
    方法において、前記食材が植物性の食材であることを特
    徴とする食材に内在する分解酵素の活性化方法。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の活性化方法において、前
    記食材が澱粉を含有する食材であることを特徴とする食
    材に内在する分解酵素の活性化方法。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の活性化方法において、前
    記食材が小麦であり、前記電解生成水として電解生成酸
    性水を採用することを特徴とする食材に内在する分解酵
    素の活性化方法。
  8. 【請求項8】請求項6に記載の活性化方法において、前
    記食材が米であり、前記電解生成水として電解生成酸性
    水を採用して、前記米を30℃〜50℃の温度範囲にあ
    る電解生成酸性水に接触させることを特徴とする食材に
    内在する分解酵素の活性化方法。
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