JP2000229469A - 孔版印刷装置 - Google Patents

孔版印刷装置

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JP2000229469A
JP2000229469A JP11032836A JP3283699A JP2000229469A JP 2000229469 A JP2000229469 A JP 2000229469A JP 11032836 A JP11032836 A JP 11032836A JP 3283699 A JP3283699 A JP 3283699A JP 2000229469 A JP2000229469 A JP 2000229469A
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JP
Japan
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master
storage container
holding
stencil printing
plate cylinder
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JP11032836A
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English (en)
Inventor
Tomiya Mori
富也 森
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Tohoku Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マスタロールを着脱する際に、オペレーター
の簡単かつ確実な着脱作業性を確保しながら、マスタの
種類にかかわらずマスタを確実に、弛みを発生すること
なく初期セットすることが可能な孔版印刷装置を提供す
る。 【解決手段】 マスタ2の先端部2Aを突出させた状態
で貯容したマスタ貯容器1を保持するマスタ貯容器保持
部67と、マスタ係止手段5を具備した版胴4と、製版
手段3と、切断手段7と、マスタ2の先端を挟持しつつ
搬送し、版胴4がマスタ係止位置に停止したときのマス
タ係止手段5の近傍に、切断手段7よりもマスタ搬送方
向Xの上流側に位置して先端部2Aを挟持する第1の位
置と、マスタ係止手段5の係止部Yを通過して、係止部
Yで先端部2Aを挟持可能な第2の位置との間で往復変
位可能なマスタ挟持搬送手段6と、マスタ貯容器保持部
67を貯容位置と初期セット位置とに選択的に位置決め
するマスタ貯容器案内手段66とを具備する孔版印刷装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製版手段でマスタ
に穿孔製版を行った後、製版されたマスタを多孔性円筒
状の版胴に巻装して印刷を行う孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より簡便な印刷方法の1つとして、
微細な発熱素子が一列に配置されたサーマルヘッドを感
熱孔版用のマスタに接触させ、パルス的に発熱素子に通
電させながらマスタを搬送することで、画像情報に応じ
てマスタを選択的に加熱穿孔した後、穿孔した部分より
インキを透過させ、このインキを印刷用紙に転移させる
ことで印刷画像を形成するデジタル感熱孔版印刷が知ら
れている。
【0003】このデジタル感熱孔版印刷に用いられるマ
スタとしては、特開平6−32041号公報図1に符号
2で示されているように、ロール状に巻成されたものが
既に知られており、このマスタロールは孔版印刷装置の
マスタ貯容部に貯容される。新しいマスタロールの装着
方法としては、オペレーターが新しいマスタロールを梱
包箱から取り出して、マスタ先端部を止めているテープ
等を外してマスタロールの表裏を確認した上でマスタ貯
容部にセットし、マスタ貯容部よりマスタロールの先端
部を引き出して、その先端部を孔版印刷装置の製版手段
に挟持させた後、搬送手段あるいは搬送機能を備える製
版手段によってマスタを切断手段を越える位置まで一定
量搬送させ、切断手段によって先端部を切断してマスタ
の先端を位置決めし、切断されたマスタの先端部をオペ
レーターが手作業で孔版印刷装置内より除去することに
よって完了する方法が採用されている。
【0004】このようなマスタロールの装着作業は、マ
スタロールをマスタ貯容部に対して装着・離脱する作業
が非常に面倒であり、しかも装着作業は、注意して行わ
ないとマスタにしわが発生してしまい、印刷不良を起こ
してしまうという問題点があるために一般のオペレータ
ーでは無理であり、熟練した専任のオペレーターが行わ
なくてはならないという問題点があった。また、マスタ
ロールよりマスタを引き出す際に過剰にマスタを引き出
してしまうと、装置内部でマスタに弛みが発生し、これ
に起因した製版不良が発生してしまうという問題点もあ
る。
【0005】上述のマスタロールに使用されるマスタ
は、インキ透過性の多孔性支持体と熱可塑性樹脂フィル
ムとを貼り合わせたラミネート構造を呈している。多孔
性支持体としては、一般の和紙や合成繊維、あるいは和
紙と合成繊維とを混抄したものが用いられるが、その使
用されている繊維の太さや長さ、並びに厚みや密度にム
ラがあるため、そのインキ透過性にバラツキが発生す
る。すなわち、フィルム穿孔部に繊維の塊のような部分
が多数点在する場合や、太い繊維がフィルム穿孔部を横
切っている場合等にインキの均一な透過が阻害される。
また、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合
わせるために接着剤が使用されるが、その接着剤のむら
により、接着剤が多量に塗布されたフィルム穿孔部にお
いてもインキの均一な透過が阻害される。
【0006】このようにインキ透過性の悪い部分が点在
すると、熱可塑性樹脂フィルムに対して所定の原稿画像
に対応した加熱穿孔製版がなされたとしても、上述のイ
ンキ透過性の悪い部分に印刷画像の白抜けが生じ易くな
り、所謂、ベタ埋まりの悪い印刷画像となってしまうと
いう問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述の白抜けを防止す
るため、多孔性支持体の繊維を細くしたり接着剤の塗布
量を少なくする試みがなされている。しかし、このよう
なマスタを用いると画像は良好になるが、繊維を細くす
ることで多孔性支持体の強度が低下し、また、接着剤の
塗布量を少なくすることで多孔性支持体と熱可塑性樹脂
フィルムとの接着力が低下して、多孔性支持体の剥離や
破損が発生し易くなる虞がある。また、マスタ自体の腰
が低下することにより、マスタの孔版印刷装置への初期
セットが行いにくくなるという問題点がある。
【0008】特開昭60−87095号公報には、多孔
性支持体として和紙の代わりに均一な太さの繊維が規則
正しく並べられたものを用い、これを熱可塑性樹脂フィ
ルムと貼り合わせてマスタとする技術が開示されてい
る。しかし、このマスタでは、製版したばかりの新しい
マスタを版胴に巻装しても、版胴内部より供給されたイ
ンキが多孔性支持体に十分に浸透しないと熱可塑性樹脂
フィルムまで到達しないため、印刷を開始しても最初の
1ないし3枚の印刷用紙上には適正な印刷画像が得られ
ないという問題点がある。また、印刷に使用された使用
済みマスタは、版胴から剥離して所定の排版部に収納し
た後に廃棄されるが、このとき使用済みマスタは、その
多孔性支持体に多量のインキを含んだまま廃棄されるた
め、インキのランニングコストが上がってしまうという
問題点がある。
【0009】この問題点を解消するため、多孔性支持体
を薄くしたマスタを用いたり、あるいは多孔性支持体を
用いずに実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマ
スタを用いた印刷が試みられている。しかし、従来のラ
ミネート構造のマスタではその厚さが40〜50μmで
あったのに対し、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみか
らなるマスタではその厚さが2〜8μmと非常に薄く、
マスタの強度(腰)が大幅に低下してしまう。そのた
め、新たにマスタを孔版印刷装置にセットする際に静電
気によってマスタが手やガイド板等に貼り付き、マスタ
にしわが発生して正常なセットを行えないという問題点
がある。
【0010】本発明は、上記各問題点を解決し、マスタ
ロールを着脱する際に、オペレーターの簡単かつ確実な
着脱作業性を確保しながら、マスタの種類にかかわらず
マスタを確実に、弛みを発生することなく初期セットす
ることが可能な孔版印刷装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
マスタをロール状に巻成してなるマスタロールを、その
先端部を突出させた状態で貯容したマスタ貯容器を保持
するマスタ貯容器保持部と、前記マスタの先端部を係止
するマスタ係止手段を外周面の一部に具備した版胴と、
前記マスタ貯容器より導出された前記マスタに対して画
像情報に応じた製版を行いつつ搬送する製版手段と、前
記製版手段で搬送された前記マスタを一定の長さに切断
する切断手段と、前記マスタの先端を挟持しつつ搬送
し、前記版胴が前記マスタの先端を係止するマスタ係止
位置に停止したときの前記マスタ係止手段の近傍に、前
記切断手段よりも前記マスタの搬送方向上流側に位置し
て前記マスタの先端部を挟持する第1の位置と、前記マ
スタ係止手段の係止部を通過して、該係止部で前記マス
タの先端部を挟持可能な第2の位置との間で往復変位可
能なマスタ挟持搬送手段とを具備した印刷装置であっ
て、前記マスタ貯容器保持部を、前記マスタ貯容器が貯
容される貯容位置と、第1の位置で待機した前記マスタ
挟持搬送手段に前記マスタの先端部が挟持される初期セ
ット位置とに選択的に位置決めするマスタ貯容器案内手
段を有することを特徴とする。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔
版印刷装置において、さらに、前記マスタ貯容器案内手
段は前記マスタ貯容器保持部を貯容位置に向けて付勢す
る付勢手段を有することを特徴とする。
【0013】請求項3記載の発明は、請求項2記載の孔
版印刷装置において、さらに、前記マスタ貯容器案内手
段は前記マスタ貯容器保持部を初期セット位置で停留さ
せる停留手段を有することを特徴とする。
【0014】請求項4記載の発明は、請求項1記載の孔
版印刷装置において、さらに、前記マスタ貯容器案内手
段は前記マスタ貯容器保持部を移動させる移動手段を有
することを特徴とする。
【0015】請求項5記載の発明は、請求項1ないし請
求項4のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置におい
て、さらに、前記マスタの搬送を行う搬送ローラー対を
有すると共に前記製版手段がプラテンローラーを有し、
前記搬送ローラー対及び前記プラテンローラーは、製版
動作を行う製版位置と、前記マスタの搬送路が開放され
るマスタ貯容器セット位置とにそれぞれ選択的に移動自
在に設けられていることを特徴とする。
【0016】請求項6記載の発明は、請求項5記載の孔
版印刷装置において、さらに、前記搬送ローラー対及び
前記プラテンローラーはマスタ貯容器セット位置におい
て前記マスタ貯容器のガイドとして機能することを特徴
とする。
【0017】請求項7記載の発明は、請求項5または請
求項6記載の孔版印刷装置において、さらに、前記搬送
ローラー対及び前記プラテンローラーは前記マスタ貯容
器保持部が貯容位置を占めた後に製版位置に移動される
ことを特徴とする。
【0018】請求項8記載の発明は、請求項1ないし請
求項7のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置におい
て、さらに、前記マスタ挟持搬送手段と共に前記マスタ
の先端部を挟持する補助クランパーを有することを特徴
とする。
【0019】
【実施例】本発明の第1の実施例となる孔版印刷装置に
ついて説明する。図1に示すように孔版印刷装置は、熱
穿孔製版可能なマスタ2をロール状に巻成してなるマス
タロール2Rを貯容するマスタ貯容器1と、マスタ2を
製版しつつ搬送する製版手段3と、製版されたマスタ2
を巻装する多孔性円筒状の版胴4と、版胴4の外周面4
aの一部に設けられたマスタ係止手段5に向けてマスタ
2を挟持搬送するマスタ挟持搬送手段6と、製版手段3
で製版された製版済みのマスタ2を一定の長さに切断す
る切断手段7と、マスタ係止手段5に向かって移動する
マスタ2に張力を付与する張力付与手段8とを備えてい
る。
【0020】マスタ貯容器1は、図に矢印Xで示すマス
タ搬送方向の最上流に配置され、版胴4はマスタ搬送方
向Xの最下流に配置されている。マスタ貯容器1から版
胴4までの間にはマスタ通路が形成され、このマスタ通
路に沿って、製版手段3、張力付与手段8、マスタ挟持
搬送手段6、切断手段7の順で配置されている。
【0021】マスタ貯容器1は、マスタケース9の内部
にマスタロール2Rを収納したものである。樹脂製の芯
部材2Pの外周面に巻き付けられてマスタロール2Rを
形成するマスタ2は、非常に薄い1〜4μm程度のポリ
エステル等の熱可塑性樹脂フィルムに多孔性支持体を貼
り合わせて構成されている。
【0022】マスタケース9は、マスタロール2Rを保
持する保持部9Aと、マスタロール2Rから引き出され
たマスタ2の先端部2A(図2参照)を保持し、その導
出を案内する案内部9Bとから主に構成されている。
【0023】芯部材2Pを回転可能に支持する保持部9
Aは、図2に示すように箱型形状に形成されており、そ
の内幅は新しいマスタロール2Rの外径よりも若干大き
くなるように形成されている。また、保持部9Aは、図
3に示すように、マスタ搬送方向Xと直交するその幅W
2(図に両矢印Zで示すマスタ幅方向における長さ)が
マスタ2(マスタロール2R)の幅W1よりも若干大き
くなるように形成されている。
【0024】芯部材2Pは、その軸線方向の長さW3が
マスタ2の幅W1及び保持部9Aの幅W2より長くなる
ように形成されており、保持部9Aに穿設された一対の
支持孔9aに両端部近傍をそれぞれ回動可能に支持さ
れ、両端部を保持部9Aの外側に突出させている。芯部
材2Pの外径は支持孔9aの直径より若干大きくなるよ
うに形成されており、芯部材2Pはその両端部近傍を各
支持孔9aに軽圧入されている。このため、マスタロー
ル2Rの回転時には、各支持孔9aと芯部材2Pとの摺
接により制動力が作用するように構成されており、各支
持孔9aが制動部を構成している。
【0025】芯部材2Pは、マスタロール2Rの外周面
が保持部9Aの内面9bに接触しない位置に配置されて
いる。これにより、マスタロール2Rの回転時における
内面9bとの接触が避けられ、マスタロール2R及びマ
スタ2の帯電や変形が防止されている。また、芯部材2
Pの端部が保持部9Aから突出しているので、オペレー
ターがこの突出した端部を持ってマスタロール2Rを回
転させることができ、マスタロール2Rの巻きが解けて
弛んだ場合でもその弛みを解消できるように構成されて
いる。
【0026】案内部9Bは、図2、図3に示すように、
マスタ貯容器1の芯部材2Pの軸線と平行な1辺に保持
部9Aと一体形成されており、マスタロール2Rから引
き出されたマスタ2の表裏面と対向して配置され、マス
タ貯容器1の外部へとマスタ2を案内する上突出部9c
と下突出部9dとから主に構成されている。上突出部9
cと下突出部9dとは、互いの突出長がほぼ同じとなる
ように形成されると共に所定の隙間をもって配置されて
おり、マスタ貯容器1の外部に連通する前記隙間によっ
てマスタ2を通過させる出口部9eを構成している。マ
スタロール2Rは、その初期状態時において、マスタ2
の先端部2Aが上突出部9cと下突出部9dとの間に挿
入され、かつ、先端部2Aが出口部9eより所定長さ突
出した状態で保持部9Aと案内部9Bとによって保持さ
れている。
【0027】上突出部9c及び下突出部9dの各先端の
両角部には、先端部2Aの両側部2a,2bをマスタ案
内部9Bの外部に臨ませる切欠部9f,9g,9h,9
iがそれぞれ形成されている。各切欠部9f,9g,9
h,9iは、後述するマスタ挟持搬送手段6に設けられ
る一対のマスタ挟持部28,29と干渉しない大きさに
形成されている。
【0028】各切欠部9f,9g,9h,9iには、図
3、図4に示すように、薄いマイラー等からなる薄板部
材としてのガイドフィルム11a,11b,11c,1
1dが設けられている。各ガイドフィルム11a,11
b,11c,11dは、案内部9Bの先端両角部に臨ま
ない2辺を上突出部9cまたは下突出部9dにそれぞれ
接着等により固着されており、ガイドフィルム11a,
11cは側部2aを、ガイドフィルム11b,11dは
側部2bをそれぞれ保持している。
【0029】製版手段3は、プラテンローラー12とサ
ーマルヘッド13とから主に構成されている。プラテン
ローラー12は、実質一体的に設けられた支軸12aを
後述する開閉側板66に回転自在に支持されている。プ
ラテンローラー12は、そのマスタ幅方向の長さが保持
部9Aの幅W2よりも長く設定されており、支軸12a
の一端に設けられた図示しないギヤによりステップモー
ター14からの駆動力を伝達され、図1の矢印方向に回
転駆動される。プラテンローラー12は、後述するロー
ラー部材26と共に図1に示す位置と図5に示す位置と
に移動可能に設けられており、プラテンローラー12と
サーマルヘッド13とは圧接・離間可能に構成されてい
る。
【0030】サーマルヘッド13はプラテンローラー1
2の下方に位置し、支軸12aと平行に延在して設けら
れている。サーマルヘッド13は、図示しない孔版印刷
装置の原稿読取部に設けられたA/D変換部及び製版制
御部(共に図示せず)で処理されて送出されるデジタル
画像情報に基づき、図示しない発熱素子が選択的に発熱
することによりマスタ2の所定位置を熱溶融穿孔する周
知の機能を有する。また、サーマルヘッド13の配設位
置は、マスタ挟持搬送手段6が後述する第1の位置でマ
スタ2を挟持したときに、マスタ2の製版開始位置と等
しい位置、若しくはマスタ2の製版開始位置よりもマス
タ搬送方向下流側に位置するように配設されている。
【0031】版胴4は、多孔性円筒状の支持円筒体と、
その外周面に巻き付けられたメッシュスクリーンとを有
し、その外周面4aに製版済みのマスタ2を巻装する。
版胴4は、回転中心軸を兼ねたインキパイプ15の周り
に回転可能に支持されており、版胴駆動源となる駆動モ
ーター16と図示しない駆動力伝達機構とによって矢印
方向に回転駆動される。版胴4の内部には、版胴4の回
転方向と同一方向に同期して回転して版胴4の内周面に
インキを供給するインキローラー17と、インキローラ
ー17と僅かな間隙を設けて平行に配置され、インキロ
ーラー17との間に断面楔状のインキ溜まり19を形成
するドクターローラー18と、インキ溜まり19へイン
キを供給するインキパイプ15に設けた開孔部15aと
からなるインキ供給手段20が配設されている。インキ
ローラー17と対向する版胴4の外周面4aの下方近傍
には、図示しない接離機構によって上下に揺動し、印刷
用紙22を版胴4へ押し付けるプレスローラー21が配
置されており、その右方には版胴4とプレスローラー2
1との間に向けて印刷用紙22を所定のタイミングで給
送するレジストローラー対60が配設されている。
【0032】版胴4の外周面4a上の所定位置(非開孔
部)には、製版済みのマスタ2の先端部2Aを係止する
マスタ係止手段5が配設されている。マスタ係止手段5
は、版胴4の母線方向と平行に延在していて外周面4a
と実質一体的に設けられたステージ23と、ステージ2
3に対してクランパー軸24aを介して図示しない開閉
装置により駆動力を伝達されて回動される開閉自在なク
ランパー24と、クランパー24をステージ23へ磁着
するマグネット24bとを備えている。図示しない開閉
装置は、クランパー駆動手段となるステップモーター2
5と周知の駆動力伝達機構から構成されている。
【0033】クランパー24は、図6に示すように版胴
4の母線と平行に延在しており、その全幅W4は、マス
タ2の幅W1よりも幾分長く、且つ版胴4の幅W5より
も短く形成されている。マグネット24bは、クランパ
ー軸24aよりもマスタ搬送方向Xの上流側に位置する
クランパー24の開閉端24c側のステージ23との対
向面に固定されている。マグネット24bの後端24d
とクランパー軸24aとの間に位置し、かつ、マスタ幅
方向Zに位置するクランパー24の両側縁24A,24
Bには、クランパー24の内方に凹んだ切欠24L,2
4Rがそれぞれ形成されている。この切欠24L,24
Rは、マスタ挟持搬送手段6に設けられる一対のマスタ
挟持部28,29と干渉しない大きさに形成されてい
る。クランパー24は、マグネット24bを設けた範囲
を係止部Yとしている。
【0034】図1に示すように、張力付与手段8は、製
版手段3とマスタ挟持搬送手段6との間に配置されてお
り、プラテンローラー12と同じマスタ幅方向の長さを
有する搬送ローラー対としての一対のローラー部材2
6,27を備えている。ローラー部材26は、実質一体
的に設けられた支軸26aを後述する開閉側板66に回
転自在に支持されており、ローラー部材27は、実質一
体的に設けられた支軸27bを図示しない孔版印刷装置
本体に回転自在かつ、水平方向への移動が可能となるよ
うに支持されている。支軸27bは、ローラー部材27
の両端より突出したその両端部を、孔版印刷装置本体に
設けられた図示しない一対の圧縮コイルバネにより、常
時図1の左方に向けて付勢されている。ローラー部材2
6,27は、後述する開閉側板66が図1に示す製版位
置に置かれているときにそれぞれの外周面を当接して対
向配置されており、この例では、ほぼ水平に搬送される
マスタ2の向きをほぼ垂直方向に方向転換する機能を備
え、マスタ2の移動によって互いに連れ回りする。ま
た、ローラー部材27の一端にはトルクリミッター等の
ブレーキ装置27aが装着されており、ブレーキ装置2
7aは、マスタ搬送方向Xに向かって移動するマスタ2
に対して、その移動方向に弛みが発生しないように一定
の張力を付与する。ローラー部材26,27は、何れか
一方を駆動モーターで回転駆動するように構成してもよ
く、この場合、駆動されるローラー部材の外周面の周速
度を版胴4の外周面4aの周速度あるいはマスタ挟持搬
送手段6の移動速度よりも遅く設定することで、移動す
るマスタ2に張力を与えることができる。
【0035】断面コ字形状を呈し、その両側面でプラテ
ンローラー12の支軸12a及びローラー部材26の支
軸26aを回転自在に支持するマスタ貯容器案内手段と
しての開閉側板66は、支軸26aを支持する側の両側
面の外側に実質一体的に設けられたボス66aにより、
孔版印刷装置の図示しない本体側板に揺動自在に支持さ
れている。開閉側板66は、支軸12aを支持した位置
よりもマスタ搬送方向上流側に位置するその両側面に長
穴66bを有しており、開閉側板66の両側面の外側に
は、マスタ貯容器1を着脱自在に保持するマスタ貯容器
保持部としての一対の支持部材67が配設されている。
ほぼS字形状を呈する支持部材67は、その一端部にマ
スタ貯容器1より突出した芯部材2Pを着脱可能に保持
する保持部67aを有しており、他端部には各支持部材
67同士を一体的に連結する2本のガイドピン67bが
取り付けられている。支持部材67は、ガイドピン67
bを長穴66bに係合させることで、開閉側板66に図
1において左右方向に移動自在に支持されている。ま
た、開閉側板66の両側面近傍の内部には、一端を一方
のガイドピン67bに当接させた付勢手段としての一対
の圧縮コイルバネ68が配設されており、支持部材67
は常時図1において右方に付勢されている。圧縮コイル
バネ68により付勢された図1に示す位置が、マスタ貯
容器1の貯容位置に定められている。
【0036】開閉側板66は、手動により図1に示す製
版位置と図5に示すマスタ貯容器セット位置とに選択的
に位置決めされる。開閉側板66がマスタ貯容器セット
位置に置かれたとき、プラテンローラー12及びローラ
ー部材26は図5に示す位置にそれぞれ位置決めされ、
手動でマスタ貯容器1が貯容位置である図5の実線位置
から初期セット位置である図5の二点鎖線位置へと移動
された際に、プラテンローラー12及びローラー部材2
6は保持部9Aの一面9jに、ローラー部材27は案内
部9Bに押されて図5の二点鎖線位置に平行移動し、案
内部9Bの裏側に位置する一面9kにそれぞれ当接し、
各切欠部9f,9g,9h,9iを後述する第1の位置
に位置させるマスタ貯容器1のセット時においてそれぞ
れガイドとして機能する。開閉側板66は、マスタ貯容
器1の移動距離が貯容位置と初期セット位置との間の距
離に等しくなるように、その長穴66bの長さが決めら
れており、また、マスタ貯容器1が初期セット位置に置
かれたときにガイドピン67bを検知する、初期セット
位置検知センサー10を有している。
【0037】マスタ挾持搬送手段6は、張力付与手段8
とマスタ係止手段5との間に配置されており、マスタ2
の先端部2Aを挾持しながらマスタ係止手段5に搬送す
るものである。マスタ挟持搬送手段6は、図7に示すよ
うに、両側部2a,2bをマスタ幅方向Zからその往動
行程で挟持する一対のマスタ挟持部28,29と、マス
タ挟持部28,29をマスタ幅方向Zに相対変位させる
変位手段30と、図8に示すように、マスタ挟持部2
8,29を実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2
の位置との間で往復移動させるマスタ挟持部移動手段3
1とを備えている。マスタ挟持搬送手段6には、切断手
段7がマスタ挟持部28,29よりもマスタ搬送方向X
の下流側に装着されている。
【0038】ここでいう第1の位置とは、図5に二点鎖
線で、図8に実線で示すように、マスタ挟持部28,2
9が切断手段7よりもマスタ搬送方向Xの上流側に位置
した各ガイドフィルム11a,11b,11c,11d
を介して先端部2Aの両側部2a,2b(図6参照)を
挟持する位置を指し、第2の位置とは、図8に二点鎖線
で示すように、マスタ挟持部28,29が先端部2Aを
挟持した状態でマスタ係止位置において開放された係止
部Yを通過し、係止部Yで先端部2Aを挟持可能な位置
を指す。つまり、第1の位置とは、マスタ挟持搬送手段
6が案内部9Bに近接する位置を指し、第2の位置と
は、マスタ挟持搬送手段6がマスタ係止手段5に近接す
る位置を指すことになる。
【0039】マスタ挟持部28,29は、図9に示すよ
うに、両側部2a,2bをその表面2B側及び裏面2C
側から挟持するように開閉自在に設けられた挟持部材と
なる上搬送クランパー28A,29A及び下搬送クラン
パー28B,29Bと、上搬送クランパー28A,29
Aを開閉動作させるマスタ挟持部開閉手段としての電磁
ソレノイド28C,29Cと、付勢手段である圧縮コイ
ルバネ28D,29Dとをそれぞれ備えている。
【0040】下搬送クランパー28B,29Bは、図7
にも示すように板状部材からなり、マスタ挟持搬送手段
6のフレーム32に、マスタ幅方向Zに摺動自在に支持
されている。具体的には、下搬送クランパー28B,2
9Bにマスタ幅方向Zに延在する長孔28a,29aを
形成し、この長孔28a,29aにフレーム32のマス
タ幅方向Zに並列に立設した段ねじ32A,32Bと段
ねじ32C,32Dとをそれぞれに遊嵌する。下搬送ク
ランパー28B,29Bは、その一端側をマスタ幅方向
Zとほぼ直交する方向に折り曲げ、その下端をマスタ幅
方向Zにおける内側に折り曲げて当接部28b,29b
を形成している。この当接部28b,29bは、マスタ
2の裏面2Cに当接するように、互いに同一平面上に配
置されている。
【0041】上搬送クランパー28A,29Aは、軸2
8c,29cによって、それぞれ当接部28b,29b
に開閉自在に支持されている。電磁ソレノイド28C,
29Cは、上搬送クランパー28A,29Aの上方に位
置する下搬送クランパー28B,29Bに装着されてい
て、その可動片28d,29dを上搬送クランパー28
A,29Aにそれぞれピン結合されている。電磁ソレノ
イド28C,29Cには、駆動信号が入力されると可動
片28d,29dを引くプル型が採用されている。圧縮
コイルバネ28D,29Dは、電磁ソレノイド28C,
29Cと上搬送クランパー28A,29Aとにその両端
を係止されており、上搬送クランパー28A,29Aに
閉方向への回動習性を与えている。この構成により、マ
スタ挟持部28,29は、電磁ソレノイド28C,29
Cがオンされたときにマスタ先端部の挟持を解除する開
放態位を占め、電磁ソレノイド28C,29Cがオフさ
れたときにマスタ先端部を挟持する閉塞態位を占める。
本実施例ではマスタ挟持搬送手段6として電磁ソレノイ
ドを用いたものを示したが、その他、エアー吸着、静電
吸着、粘着材等を用いた構成としてもよい。
【0042】下搬送クランパー28B,29Bの他端側
には、図6に符号A,Bで示す両側部2a,2bを挟持
可能な挟持位置と、同図に符号C,Dで示す両側部2
a,2bから外方に外れた離脱位置とにマスタ挟持部2
8,29をマスタ幅方向Zに変位移動させる変位手段駆
動機構33が配置されている。離脱位置C,Dは、クラ
ンパー24の両側縁24A,24Bよりも外方に位置し
ている。
【0043】変位手段駆動機構33は、図7、図9に示
すように、その駆動源となる正逆回転可能な駆動モータ
ー34と、駆動モーター34の出力軸34aに装着され
たピニオンギヤ35と、ラックギヤ36,37とから主
に構成されている。ラックギヤ36,37は、下搬送ク
ランパー29B,28Bのマスタ幅方向Zにそれぞれ形
成されており、フレーム32のほぼ中央に配置されたピ
ニオンギヤ35に対して上下方向から互いに対向して噛
合している。変位手段駆動機構33は、駆動モーター3
4が図7において時計回り方向(正方向)に回転駆動さ
れると、下搬送クランパー28B,29Bを実線矢印で
示す方向に移動させてマスタ挟持部28,29を離脱位
置へと変位させ、駆動モーター34が図7において反時
計回り方向(逆方向)に回転駆動されると、下搬送クラ
ンパー28B,29Bを破線矢印で示す方向に移動させ
てマスタ挟持部28,29を挟持位置へと変位させるよ
うに構成されている。
【0044】下搬送クランパー28Bの長孔28aの近
傍には、挟持位置と離脱位置とを検知する検知手段とし
ての挟持位置検知センサー38及び離脱位置検知センサ
ー39が配設されている。挟持位置検知センサー38及
び離脱位置検知センサー39にはそれぞれマイクロスイ
ッチが用いられており、離脱位置検知センサー39は、
図9に示すように、レバー39aを段ねじ32Bによっ
て押されると離脱位置検知信号を出力し、挟持位置検知
センサー38はレバー38aを段ねじ32Aによって押
されると挟持位置検知信号を出力する。
【0045】切断手段7は、図7、図8、図9に示すよ
うに、切断部材となる円形刃部40がマスタ搬送路に臨
むように、フレーム32のマスタ搬送路との対向面32
aに装着されている。切断手段7は、対向面32aの、
マスタ幅方向Zに延在して固定されたレール41と、レ
ール41に摺動自在に支持されたスライダー42と、ス
ライダー42に回転自在に支持された円形刃部40とを
有するロータリーカッターからなり、後述する駆動モー
ター43によってマスタ切断時に摺動する。円形刃部4
0は、その外周面が当接部28b,29bよりもやや下
方に位置するようにスライダー42に支持されている。
本実施例では、切断手段7がマスタ挟持搬送手段6と一
体的に設けられることで往復移動時におけるマスタ挟持
搬送手段6と切断手段7との干渉を防止する構成とした
が、マスタ挟持搬送手段6と切断手段7とを別構成と
し、切断手段7を、マスタ挟持搬送手段6の搬送経路よ
り退避した位置に配設する構成としてもよい。
【0046】マスタ挟持部移動手段31は、図8に示す
ように、フレーム32に支持された回動軸44と、この
回動軸44の一端に固定された歯車45と、駆動源とな
る正逆回転可能な駆動モーター46とを備えている。駆
動モーター46はフレーム32に固定されており、その
出力軸46aには駆動歯車47が固定されている。歯車
45には駆動歯車47が噛合しており、歯車45の駆動
歯車47との噛合位置と対向する位置にはラック48が
噛合している。回動軸44は、図7に示すように、フレ
ーム32の両側部に起立して設けられた側面32b,3
2cの上部に軸受49,49で回転自在に支持されてお
り、その両端を側面32b,32cよりも外方に突出さ
せている。側面32b,32cの下部には、一対のガイ
ドピン50,50がマスタ幅方向Zに突出して設けられ
ている。
【0047】回動軸44の両端とガイドピン50,50
とは、図8に示すように、図示しない装置のフレームに
形成した長孔51,52にそれぞれ遊嵌されている。長
孔51,52は、それぞれ張力付与手段8から図1に示
すマスタ係止位置にあるマスタ係止手段5に向かって延
在して形成されており、マスタ挾持搬送手段6を張力付
与手段8の直下流からマスタ係止手段5の係止部Yの下
流まで、すなわち第1の位置から第2の位置まで摺動自
在に支持している。これにより、マスタ挾持搬送手段6
は、マスタ係止手段5まで案内されると共に、往復動作
時に揺れないように構成されている。
【0048】ここでいうマスタ係止位置とは、マスタ係
止手段5によってマスタ2を係止するときに版胴4が停
止する位置を指し、本実施例では、クランパー24が図
1、図5において上方を向いた状態で開閉する、マスタ
係止手段5がほぼ真横に置かれた位置を指す。
【0049】駆動モーター46は、第1の位置から第2
の位置までマスタ挾持搬送手段6を移動させる往動時に
図8において時計回り方向(正方向)に回転駆動され、
第2の位置から第1の位置までマスタ挾持搬送手段6を
移動させる復動時に図8において反時計回り方向(逆方
向)に回転駆動される。
【0050】マスタ挾持搬送手段6の近傍には、マスタ
挾持搬送手段6が第1の位置に位置決めされたことを検
知する第1位置検知センサー53と、第2の位置に位置
決めされたことを検知する第2位置検知センサー54と
が配置されている。第1位置検知センサー53はマスタ
挾持搬送手段6が第1の位置を占めたときに、フレーム
32の一部で押されることで第1位置検知信号を出力
し、第2位置検知センサー54はマスタ挾持搬送手段6
が第2の位置を占めたときに、フレーム32の一部で押
されることで第2位置検知信号を出力するリミットスイ
ッチからそれぞれ構成されている。マスタ挾持搬送手段
6は、マスタ挟持部28,29が挟持位置Aにあるとき
をホームポジションとしている。
【0051】本実施例において、マスタ挾持搬送手段6
はほぼ垂直方向に往復移動可能に構成されている。ラッ
ク48は長孔51と平行に配置され、図示しないフレー
ムに固定されている。このため、マスタ挾持搬送手段6
は、駆動モーター46が駆動しないときに、駆動歯車4
7と歯車45とラック48との噛合により一定の位置に
保持される。つまり、ラック48は、歯車45と相俟っ
てマスタ挾持搬送手段6の落下防止(ストッパー)手段
及び位置決め手段を構成している。
【0052】孔版印刷装置は、図10に示す制御手段5
5を備えている。制御手段55は、ROMやRAMを備
えた周知のマイクロコンピューターから構成されてお
り、各手段の駆動回路やコントローラーとして機能して
いる。制御手段55には、マスタ設定指令手段となるマ
スタセットキー56、製版指令手段となる製版スタート
キー57、印刷指令手段となる印刷スタートキー58、
第1位置検知センサー53、第2位置検知センサー5
4、挟持位置検知センサー38、離脱位置検知センサー
39、初期セット位置検知センサー10、ステップモー
ター14,25、各種駆動モーター16、34、43、
46、電磁ソレノイド28C,29C及び電源59がそ
れぞれ電気的に接続されている。
【0053】制御手段55は、マスタセットキー56が
押下されてマスタセット指令が出力されると、マスタ2
の先端部2Aを挟持すべく電磁ソレノイド28C,29
Cを駆動させる機能と、製版スタートキー57が押下さ
れて製版指令が出力されると、製版済みのマスタ2をマ
スタ挾持搬送手段6を用いて版胴4上のクランパー24
に搬送すると共に、この製版済みのマスタ2を版胴4の
外周面4aに巻装する製版動作を行う機能と、印刷スタ
ートキー58が押下されて印刷指令が出力されると、図
示しないテンキーで設定された印刷枚数の印刷を実行す
る周知の印刷動作を行う機能とを備えている。
【0054】以下、第1の実施例における孔版印刷装置
の動作を説明する。本発明の孔版印刷装置では、マスタ
の初期セット時において、マスタ2の先端2Aの両側部
2a,2bをマスタ挟持部28,29で挟持した状態に
する。従って、開いた状態で待機しているマスタ挟持部
28,29へ先端2Aを挿入する必要があるが、マスタ
の腰が弱い場合や、カールや静電気による張り付きがあ
る場合には挿入が困難である。
【0055】そこで、この孔版印刷装置へのマスタの初
期セットでは、オペレーターによってマスタセットキー
56が押下されると、駆動信号が出力されて電磁ソレノ
イド28C,29Cがオンされ、これにより上部搬送ク
ランパー28A,29Bが開動作される。次に、オペレ
ーターの操作により開閉側板66を図5に示すように離
間位置であるマスタ貯容器セット位置に置き、マスタ2
を保持したマスタ貯容器1を支持部材67にセットし、
支持部材67を長穴66bに沿って下方に向けて移動さ
せる。マスタ貯容器1は、保持部9Aの一面9jをプラ
テンローラー12とローラー部材26とに当接させなが
ら、ローラー部材26,27の間に案内部9Bを上方か
ら挿入される。マスタ貯容器1は、一面9kでローラー
部材27を右方に移動させつつ、第1の位置で待機して
いるマスタ挟持部28,29に、マスタ2の両側部2
a,2bをガイドフィルム11a,11b,11c,1
1dでガイドした状態で案内部9Bを挿入される。
【0056】マスタ貯容器1が貯容位置から初期セット
位置に移動され、初期セット位置検知センサー10によ
ってガイドピン67bが検知されると、信号が出力され
て電磁ソレノイド28C,29Cがオフされる。この動
作によって上搬送クランパー28A,29Aが閉動作さ
れ、ガイドフィルム11a,11b,11c,11dが
マスタ挟持部28,29によって挟持される。すなわ
ち、図11、図12に示すように、案内部9Bで保持さ
れたマスタ2の両側部2a,2bが、ガイドフィルム1
1a,11b,11c,11dを介して、第1の位置に
おいてマスタ挟持部28,29に挟持される。
【0057】なお、マスタセットキー56を設けず、開
閉側板66の開放を検知する側板開放検知センサー69
を孔版印刷装置本体の図示しない側板に設け、開閉側板
66が開放されたことを検知して電磁ソレノイド28
C,29Cをオンさせ、その後、初期セット位置検知セ
ンサー10がマスタ貯容器1のマスタ挟持搬送手段6へ
の挿入を検知した後にソレノイド28C,29Cをオフ
させるように制御する構成としてもよい。
【0058】マスタ2の両側部2a,2bが第1の位置
でマスタ挟持部28,29に挟持された後、オペレータ
ーが支持部材67より手を離すと、圧縮コイルバネ68
の付勢力により支持部材67が上方に向けて移動し、マ
スタ貯容器1はマスタ挟持搬送手段6より引き抜かれ
る。このときマスタ挟持部28,29は、案内部9Bの
ガイドフィルム11a,11b,11c,11d上を相
対的に摺動した後、案内部9Bが完全に引き抜かれる際
にガイドフィルム11a,11b,11c,11dより
滑落し、出口部9eより突出したマスタ2の両側部2
a,2bを挟持する。これにより、腰の弱いマスタやカ
ールがあるマスタを用いた場合であっても、その先端部
を確実にマスタ挟持部28,29へセットすることがで
きる。
【0059】また、圧縮コイルバネ68の付勢力を調整
することにより、案内部9Bの引き抜き時におけるマス
タ挟持部28,29からのマスタ2の離脱やマスタ2の
破損を防止することができ、さらに、マスタ貯容器1が
初期セット位置から貯容位置までの所定距離を移動する
ので、マスタ貯容器1からマスタ2が過剰に引き出され
なくなり、装置内部でのマスタ2の弛みに起因する製版
不良の発生を防止することができる。
【0060】マスタ貯容器1が上方に移動して貯容位置
を占めた後、オペレーターにより開閉側板66が図1に
示す製版位置に閉じられ、ローラー部材26,27、プ
ラテンローラー12及びマスタ貯容器1がそれぞれ図1
に示す状態に戻されてマスタセット動作が終了する。
【0061】マスタセット動作完了後、製版スタートキ
ー57が押下されると駆動モーター16が所定量回転駆
動され、図示しない周知の排版手段によって印刷を終え
た図示しない印刷済みマスタが版胴4の外周面4aから
排除された後、版胴4がマスタ係止位置で停止する。版
胴4がマスタ係止位置を占めると、ステップモーター2
5が駆動されてクランパー24がマスタ係止位置におい
て開状態となる。
【0062】この状態で第1位置検知センサー53から
第1位置検知信号の出力があると、マスタ挾持搬送手段
6がホームポジションにあることが確認された後にステ
ップモーター14が起動してプラテンローラー12が時
計回りに回転駆動され、マスタ2が送り出されると同時
に画像情報に応じてサーマルヘッド13の発熱素子が選
択的に発熱され、プラテンローラー12によりサーマル
ヘッド13に押圧されたマスタ2が選択的に溶融され穿
孔される。このように穿孔された製版済みのマスタ2
は、プラテンローラー12によってマスタ搬送方向Xに
送り出される。
【0063】一方、第1位置検知センサー53から第1
位置検知信号の出力があると、図8に示す駆動モーター
46が時計回り方向に回転駆動され、同図においてマス
タ挾持搬送手段6が第2の位置(下方に)向かって移動
する。このときのマスタ挾持搬送手段6の移動速度は、
プラテンローラー12によるマスタ搬送速度とほぼ同一
の速度で搬送される。このように、マスタ挾持搬送手段
6が往動することで、製版済みのマスタ2がローラー部
材26,27との間で張力を付与されながらクランパー
24に向かって搬送される。このため、マスタ挾持搬送
手段6で搬送される製版済みのマスタ2は、しわの発生
を抑えられつつクランパー24まで搬送される。
【0064】マスタ挾持搬送手段6が、拡開しているス
テージ23とクランパー24との間を通過して第2の位
置を占めると、第2位置検知センサー54から第2位置
検知信号が出力され、駆動モーター46が停止される。
これにより図13、図14に示すように、マスタ挟持部
28,29は係止部Yを通過して切欠24L,24R内
の挟持位置Bにて停止する。そして、駆動モーター46
が停止すると、ステップモーター25が閉方向に所定量
回転駆動された後、電磁ソレノイド28C,29Cがオ
ンされる。これにより、マスタ挟持部28,29で挟持
されて搬送された製版済みのマスタ2の先端部2Aは、
ステージ23とクランパー24のマグネット24bとに
よって係止された後、マスタ挟持部28,29による挟
持が開放される。このため、マスタ2が静電気を帯びて
いたりカールした状態であっても、ローラー部材26,
27に巻き付かなくなり、確実にクランパー24まで搬
送することができる。
【0065】電磁ソレノイド28C,29Cがオンされ
ると、駆動モーター34が図9において時計回り方向に
駆動される。この駆動は、離脱位置検知センサー39か
ら離脱位置検知信号が出力されるまで行われる。これに
より、ピニオンギヤ35が時計回り方向に回転駆動し
て、それと噛合するラックギヤ36,37を有する下搬
送クランパー29B,28Bが二点鎖線位置から実線位
置に向かって相対移動する。
【0066】段ねじ32Bによって離脱位置検知センサ
ー39のレバー39aが押されて離脱位置検知信号が出
力されると、駆動モーター34の回転が停止すると共
に、駆動モーター16が回転駆動される。これにより、
第2の位置においてマスタ挟持部28,29が離脱位置
Cを占めると共に、版胴4が図1において矢印方向に回
転駆動する。このときの版胴4の周速度は、プラテンロ
ーラー12の回転速度よりも僅かに遅い周速度に設定さ
れている。
【0067】離脱位置検知センサー39から離脱位置検
知信号が出力されると、図8に示す駆動モーター46が
反時計回り方向に回転駆動され、この動作は、第1位置
検知センサー53から第1位置検知信号の出力があるま
で行われる。この動作により、同図に二点鎖線で示す第
2の位置に置かれたマスタ挟持搬送手段6が第1の位置
へと復動され、マスタ挟持部28,29は離脱位置Dに
位置決めされる。このように、マスタ挟持部28,29
は、マスタ挟持搬送手段6の復動時において離脱位置を
占めた状態で第2の位置から第1の位置へと移動される
ため、その移動中に両側部2a,2bや両側縁24A,
24Bと干渉することがなくなる。
【0068】ステップモーター14は、マスタ挟持搬送
手段6の移動動作中、すなわち、図6においてマスタ挟
持部28,29が離脱位置C,D間を移動している間も
駆動されているので、プラテンローラー12による製版
搬送は行われている。このため、マスタ2は、プラテン
ローラー12とローラー部材26,27との間に、製版
済みのマスタ2の過分送りを発生させる。駆動モーター
16は、マスタ挟持部28,29が離脱位置Dを占める
と再駆動され、過分送りされた製版済みのマスタ2が版
胴4の回転により外周面4aに製版されつつ巻きつけら
れる。この際にブレーキ装置27aが作用するので、過
分送りされた製版済みのマスタ2に対してマスタ搬送方
向Xへの張力が与えられ、マスタ2は弛みを取り除かれ
て搬送される。
【0069】ステップモーター14を所定量回転駆動し
てマスタ2が所定量搬送されると、版胴4の外周面4a
へ製版済みのマスタ2が巻装されたものとしてステップ
モーター14及び駆動モーター16が停止される。製版
動作完了後、駆動モーター34が図9において反時計回
り方向に駆動されてピニオンギヤ35が反時計周り方向
に回転し、下搬送クランパー28B,29Bが破線矢印
方向に相対移動する。そして、段ねじ32Aによって挟
持位置検知センサー38のレバー38aが押されて挟持
位置検知信号が出力されると駆動モーター34の回転が
停止し、これによりマスタ挟持部28,29は挟持位置
Aに保持される。
【0070】これに伴い制御手段55では、電磁ソレノ
イド28C,29Cをオフし、その状態を保持したまま
切断手段7の駆動モーター43を駆動する。これによ
り、図9に示すスライダー42が同図において右方から
左方に摺動され、製版済みのマスタ2の後端が円形刃部
40で切断される。このため、製版済みのマスタ2は、
その先端部2Aを版胴4のクランパー24に挟持され、
その後端部のマスタ搬送方向Xの上流側の部位をマスタ
挟持部28,29に挟持された状態で切断されるので、
マスタ2を良好に切断できるとともに、切断後にマスタ
2の先端部2Aをマスタ挟持部28,29まで搬送する
必要がなくなる。よって、マスタ2が帯電していたりマ
スタ2に巻き癖が残っていた場合であっても、製版手段
3とマスタ挟持搬送手段6との間においてマスタ2が詰
まることが防止される。
【0071】切断後、駆動モーター16が版胴4を図1
の矢印方向に回転させ、外周面4aに製版済みのマスタ
2が巻装される。この後、制御手段55は、駆動モータ
ー16を駆動して版胴4を図1の矢印方向に低速で回転
駆動させ、図示しない給紙装置から1枚の印刷用紙22
を周知のレジストローラー60(図1参照)に向けて給
紙させる。このとき、インキローラー17も版胴4の回
転方向と同方向に回転され、版胴4の内周面にインキが
供給される。レジストローラー60は、版胴4の回転と
同期した所定のタイミングで、版胴4とプレスローラー
21との間に印刷用紙22を給送する。すると、外周面
4aから離間したプレスローラー21が、図1において
実線で示す離間位置から二点鎖線で示す押圧位置まで移
動して、矢印方向に回転駆動する版胴4の外周面4aに
巻装された製版済みのマスタ2に印刷用紙22を押圧す
る。これにより、製版済みのマスタ2の穿孔部分からイ
ンキが滲み出しつつ製版済みのマスタ2が外周面4aに
密着され、所謂版付けが完了し、各駆動モーターやステ
ップモーターが停止されて印刷待機状態となる。
【0072】適宜に試し刷りが行われた後、図示しない
テンキーにより印刷枚数が設定されて、印刷スタートキ
ー58が押下されると、版胴4が高速で回転されると共
にプレスローラー21及びレジストローラー60が版付
けと同様に駆動され、設定された枚数部の印刷が印刷用
紙22に行われる。
【0073】第1の実施例では、マスタ2の先端部2A
を第1の位置(挟持位置A)において開放状態で待機し
ているマスタ挟持部28,29へ、ガイドフィルム11
a,11b,11c,11dによって両側部2a,2b
をガイドしつつ挿入し、マスタ挟持部28,29でガイ
ドフィルム11a,11b,11c,11dを介して両
側部2a,2bを挟持した後、マスタ貯容器1を貯容位
置へと移動させることにより案内部9Bから引き出され
た先端部2Aがマスタ挟持部28,29に挟持される構
成としたが、第1の実施例の変形例として、案内部9B
がマスタ挟持部28,29へ挿入された後、マスタ貯容
器1を貯容位置へと移動させる前にマスタ挟持搬送手段
6によってマスタ2を搬送し、マスタ係止手段5で先端
部2Aを係止した後にマスタ貯容器1を貯容位置へと移
動させる構成としてもよい。
【0074】特に腰や引張強度の弱いマスタ、例えば熱
可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを用い、両側部
2a,2bをマスタ挟持部28,29で挟持した後にマ
スタ貯容器1を引き抜く場合には、引き抜き作業を慎重
に行わないとマスタ挟持部28,29からのマスタ抜け
やマスタ2の破れを生じる虞があるが、先端部2Aをマ
スタ係止手段5で係止した後にマスタ貯容器1の引き抜
きを行えば上記不具合を解消することができる。
【0075】さらに、第1の実施例の他の変形例とし
て、図15に示すように、開閉側板66の外側の、支軸
12aと支軸26aとの間の部位に停留手段としてのソ
レノイド70を設けると共に、支持部材67に切欠67
cを形成し、案内部9Bがマスタ挟持部28,29へ挿
入されたときにソレノイド70を作動させてそのプラン
ジャ70aを切欠67cに係合させ、マスタ貯容器1を
初期セット位置に固定させる構成としてもよい。この構
成とすることにより、マスタ挟持搬送手段6がマスタ係
止手段5までマスタ2の先端部2Aを搬送する間、オペ
レーターがマスタ貯容器1を保持している必要がなくな
り、操作性が向上する。
【0076】上述した各変形例においては、孔版印刷装
置の図示しない操作パネル上に、マスタ2の先端部2A
がマスタ係止手段5に係止された際にこれをオペレータ
ーに知らせる表示手段を設けることが望ましい。
【0077】また、上述した各変形例では、案内部9B
がマスタ挟持部28,29に挿入されたとき、あるいは
これ以前に版胴4の外周面4a上から使用済みのマスタ
2を排版しておく必要がある。この場合には、側板開放
検知センサー69あるいは初期セット位置検知センサー
10からの信号に基づいて、側板66がマスタ貯容器セ
ット位置に置かれたときあるいはマスタ貯容器1が初期
セット位置に置かれたときに排版動作を行う構成とす
る。
【0078】さらに、上述した各変形例では、マスタ係
止手段5によってマスタ2の先端部2Aが挟持された
後、マスタ貯容器1が貯容位置に、開閉側板66が製版
位置にそれぞれ置かれるため、ここから製版動作を開始
したのでは製版領域を確保することができない。そこ
で、開閉側板66が製版位置に置かれた際に切断手段7
を作動させてマスタ2を切断し、切断されたマスタ2を
排版した後に製版スタートキー57が押されることによ
り製版動作が開始される構成とする。
【0079】図16は本発明の第2の実施例を示してい
る。この第2の実施例は、第1の実施例と比較すると、
貯容位置検知センサー71を有する点、マスタ貯容器検
知センサー72を有する点、移動手段73を有する点に
おいて相違しており、他の構成は同一である。
【0080】貯容位置検知センサー71は開閉側板66
に取り付けられており、マスタ貯容器1が貯容位置に置
かれたときにガイドピン67bを検知して信号を出力す
る。マスタ貯容器検知センサー72は一方の支持部材6
7に取り付けられており、支持部材67にマスタ貯容器
1がセットされたときにこれを検知して信号を出力す
る。
【0081】移動手段73は一対のプーリー74、ワイ
ヤー75から主に構成されている。プーリー74は開閉
側板66の両側部に配設されており、開閉側板66を貫
通して回転自在に設けられた支軸74aに一体的に取り
付けられている。支軸74aには、開閉側板66に取り
付けられた正逆転可能なモーター76が接続されてい
る。ワイヤー75は、一端をプーリー74に固着されて
おり、他端を支持部材67に固着されている。
【0082】上述の構成に基づき、以下に第2の実施例
の動作を説明する。オペレーターにより開閉側板66が
マスタ貯容器セット位置に置かれると、側板開放検知セ
ンサー69がこれを検知して信号を出力する。このと
き、電磁ソレノイド28C,29Cをオンさせて上搬送
クランパー28A,29Aを開放させる。その後、オペ
レーターにより保持部67aにマスタ貯容器1がセット
されると、マスタ貯容器検知センサー72がこれを検知
して信号を出力する。
【0083】側板開放検知センサー69及びマスタ貯容
器検知センサー72から信号が出力されると、モーター
76が正転してプーリー74が図16において反時計回
り方向に回転駆動され、ワイヤー75が巻き取られて支
持部材67が下方に向けて移動する。そして、案内部9
Bの先端がマスタ挟持搬送手段6に挿入され、初期セッ
ト位置検知センサー10により一方のガイドピン67b
が検知されると、初期セット位置検知センサー10より
信号が出力されてモーター76の作動が停止し、マスタ
貯容器1が初期セット位置に位置決めされる。
【0084】マスタ貯容器1が初期セット位置に位置決
めされると、電磁ソレノイド28C,29Cがオフされ
て上搬送クランパー28A,29Aが閉動作され、ガイ
ドフィルム11a,11b,11c,11dがマスタ挟
持部28,29で挟持される。案内部9Bがマスタ挟持
部28,29で挟持されると、モーター76が逆転して
プーリー74が図16において時計回り方向に回転駆動
され、圧縮コイルバネ68の付勢力により支持部材67
が上方に向けて移動する。そして、貯容位置検知センサ
ー71により一方のガイドピン67bが検知されると、
貯容位置検知センサー71より信号が出力されてモータ
ー76の作動が停止し、マスタ貯容器1が貯容位置に位
置決めされる。マスタ貯容器1が貯容位置に位置決めさ
れた後、オペレーターにより開閉側板66が製版位置に
戻されてマスタセット動作が終了する。
【0085】マスタセット動作終了後、オペレーターに
より製版スタートキー57が押下されると、第1の実施
例と同様に排版動作が行われ、その後、マスタ挟持搬送
手段6によってマスタ2の先端部2Aがマスタ係止手段
5まで搬送されて係止される。マスタ2の搬送と同時に
サーマルヘッド13が作動し、マスタ2への製版動作が
行われる。そして、1版分の製版が完了すると切断手段
7が作動してマスタ2が切断され、切断されたマスタは
版胴4の回転によって外周面4a上に巻装される。マス
タ巻装動作完了後、版付け動作が行われ、孔版印刷装置
は印刷待機状態となる。
【0086】この第2の実施例においても、第1の実施
例と同様に、マスタ挟持搬送手段6でマスタ2の先端部
2Aをマスタ係止手段5まで搬送して、マスタ係止手段
5によって先端部2Aを係止した後にモーター76を再
始動させて、マスタ貯容器1を貯容位置に位置決めする
構成としてもよい。
【0087】さらに、第2の実施例の他の変形例とし
て、ボス66aと一体的な図示しないギヤと、このギヤ
に噛合するピニオンギヤをその出力軸に有する正逆転可
能な図示しないモーターとを設け、開閉側板66を製版
位置とマスタ貯容器セット位置とに自動的に位置決めさ
せる構成としてもよい。
【0088】図17、図18は、本発明の第3の実施例
に用いられる孔版印刷装置要部を示している。この第3
の実施例は、第1の実施例と比較すると、補助クランパ
ー65を有する点においてのみ相違しており、他の構成
は同一である。
【0089】補助クランパー65は、クランプ部材65
A,65Bから主に構成されている。各クランプ部材6
5A,65Bは基端を孔版印刷装置本体に回動自在に支
持された支軸65a,65bにそれぞれ一体的に取り付
けられており、図示しない開閉手段によって図17の実
線位置と二点鎖線位置とに選択的に位置決めされる。各
クランプ部材65A,65Bの自由端側は、図18に示
すように、各切欠部9f,9g,9h,9iと同様にマ
スタ挟持部28,29との干渉を回避すべく切り欠かれ
ている。
【0090】上述の構成に基づき、以下に第3の実施例
の動作を説明する。オペレーターは、開閉側板66をマ
スタ貯容器セット位置に開放し、マスタ貯容器1を支持
部材67にセットした後、支持部材67を下方に向けて
移動させる。側板開放検知センサー69が開閉側板66
の開放を検知すると、電磁ソレノイド28C,29Cが
オンされて上搬送クランパー28A,29Bが開動作さ
れる。このとき補助クランパー65は、クランプ部材6
5A,65Bを図17の実線位置に位置決めされてい
る。
【0091】オペレーターによりマスタ貯容器1が貯容
位置から初期セット位置に移動され、初期セット位置検
知センサー10によってガイドピン67bが検知される
と、図示しない開閉手段が作動して補助クランパー65
が閉動作され、クランプ部材65A,65Bによって案
内部9Bが挟持される。
【0092】案内部9Bが補助クランパー65によって
挟持された後、オペレーターが支持部材67より手を離
すと、圧縮コイルバネ68の付勢力によってマスタ貯容
器1は補助クランパー65より引き抜かれる。このとき
クランプ部材65A,65Bは、案内部9Bが引き抜か
れる際にマスタ2の先端部2Aを挟持する。
【0093】マスタ貯容器1が上方に移動して貯容位置
を占めた後、オペレーターにより開閉側板66が製版位
置に閉じられ、マスタセット動作が終了する。その後、
製版スタートキー57が押下されると、電磁ソレノイド
28C,29Cがオフされて上搬送クランパー28A,
29Aが閉動作されると共に図示しない開閉手段が作動
して補助クランパー65が開動作され、両側部2a,2
bがマスタ挟持部28,29で挟持される。
【0094】マスタ2の両側部2a,2bがマスタ挟持
部28,29によって挟持されると、第1の実施例と同
様に排版動作が行われ、その後、マスタ挟持搬送手段6
によってマスタ2の先端部2Aがマスタ係止手段5まで
搬送されて係止される。マスタ2の搬送と同時にサーマ
ルヘッド13が作動し、マスタ2への製版動作が行われ
る。そして、1版分の製版が完了すると切断手段7が作
動してマスタ2が切断され、切断されたマスタは版胴4
の回転によって外周面4a上に巻装される。マスタ巻装
動作完了後、版付け動作が行われ、孔版印刷装置は印刷
待機状態となる。
【0095】上記構成とすることにより、マスタ貯容器
1の引き抜き時において補助クランパー65が案内部9
Bの先端を直線的に挟持しているので、補助クランパー
65からの先端部2Aの抜けやマスタ2の破れを効果的
に防止することができる。なお、この第3の実施例は、
上述した第2の実施例にも適用可能である。
【0096】上記各実施例では、クランパー24に対し
て先端部2Aを上方から搬送すべくマスタロール2Rの
配設位置と版胴4のマスタ係止位置とが設定されている
ため、マスタ挾持搬送手段6を垂直方向に往復移動させ
る構成としたが、この構成に限定されるものではない。
クランパー24に対して先端部2Aを水平方向から搬送
挿入すべくマスタロール2Rの配設位置と版胴4のマス
タ係止位置とを設定した場合には、マスタ挾持搬送手段
6を水平方向に往復移動させるべく長孔51,52を水
平に設け、回動軸44を回転させて長孔51内を走行さ
せるようにすればよい。また、この場合には、ラック4
8を必ずしも設けなくともよい。
【0097】また、上記各実施例では、先端部2Aをマ
スタ挟持部28,29で挟持した後に切断手段7で所定
の長さに切断しているが、比較的帯電しにくいマスタま
たは帯電しにくい環境下の場合には、マスタ2の巻き付
き等の不具合がほとんど発生しないので、マスタ挟持部
28,29での挟持後に製版済みのマスタ2を切断しな
くともよい。
【0098】上記各実施例中、切断手段7をフレーム3
2に装着し、マスタ挟持搬送手段6の往復動作に伴い切
断手段7を一体的に移動させるように構成したが、これ
に限らず、孔版印刷装置の図示しないフレーム等に切断
手段7を装着して、マスタ挟持搬送手段6と切断手段7
とを別々に設けても無論構わない。この場合、マスタ挟
持搬送手段6が第1の位置を占めるときのマスタ挟持部
28,29よりもマスタ搬送方向Xの下流側に切断手段
7を配置する。また、切断手段7として円形刃部40を
摺動させるロータリーカッターを例示したが、固定刃に
対して可動刃を回転させるタイプや所謂ギロチンタイプ
のもの、さらには熱線方式等の周知のものを採用しても
よい。
【0099】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、マスタ貯
容器の初期セット時において、マスタ貯容器が初期セッ
ト位置から貯容位置までの所定距離を移動するので、マ
スタ貯容器からマスタが過剰に引き出されなくなり、装
置内部でのマスタの弛みに起因する製版不良の発生を防
止することができる。
【0100】請求項2記載の発明によれば、付勢手段の
付勢力を調整することにより、マスタ貯容器の引き抜き
時におけるマスタ挟持搬送手段からのマスタの離脱やマ
スタの破損を防止することができる。
【0101】請求項3記載の発明によれば、マスタ貯容
器の初期セット時において、停留手段がマスタ貯容器を
初期セット位置に停留させるので操作性が向上する。
【0102】請求項4記載の発明によれば、マスタ貯容
器の初期セット時において、移動手段がマスタ貯容器を
移動させるので操作性が向上する。
【0103】請求項5記載の発明によれば、マスタの搬
送路が開放されるのでマスタのジャム処理や製版搬送系
のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0104】請求項6記載の発明によれば、マスタ貯容
器セット位置において搬送ローラー対及びプラテンロー
ラーがマスタ貯容器のガイドとして機能するので、マス
タ貯容器を容易にセットすることができる。
【0105】請求項7記載の発明によれば、マスタ貯容
器がマスタ貯容器装着部に装着された後に搬送ローラー
対及びプラテンローラーが製版位置に移動されるので、
マスタ貯容器との干渉が防止される。
【0106】請求項8記載の発明によれば、補助クラン
パーがマスタの先端部を挟持しているので、マスタ挟持
部からのマスタの先端部の抜けやマスタの破れを効果的
に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す孔版印刷装置の要
部概略正面図である。
【図2】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられ
るマスタ貯容器の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられ
るマスタ貯容器の平面図である。
【図4】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられ
るマスタ貯容器の案内部を説明する拡大図である。
【図5】本発明の第1の実施例におけるマスタ貯容器の
装着を説明する図である。
【図6】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられ
るマスタ挟持搬送手段の第1の位置と第2の位置及び挟
持位置と離脱位置とを説明する図である。
【図7】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられ
るマスタ挟持搬送手段を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられ
るマスタ挟持搬送手段の移動手段を説明する図である。
【図9】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられ
るマスタ挟持搬送手段の変位手段を説明する図である。
【図10】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いら
れる制御手段のブロック図である。
【図11】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いら
れるマスタ挟持搬送手段の第1の位置における挟持位置
を説明する図である。
【図12】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いら
れるマスタ挟持搬送手段の第1の位置における挟持位置
を説明する背面図である。
【図13】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いら
れるマスタ挟持搬送手段の第2の位置における挟持位置
を説明する図である。
【図14】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いら
れるマスタ挟持搬送手段の第2の位置における挟持位置
を説明する背面図である。
【図15】本発明の第1の実施例の変形例におけるマス
タ貯容器の装着を説明する図である。
【図16】本発明の第2の実施例を説明する孔版印刷装
置要部の概略正面図である。
【図17】本発明の第3の実施例に用いられる補助クラ
ンパーを説明する孔版印刷装置の要部概略正面図であ
る。
【図18】本発明の第3の実施例に用いられる補助クラ
ンパーを説明する図である。
【符号の説明】
1 マスタ貯容器 2 マスタ 2A 先端部 2R マスタロール 3 製版手段 4 版胴 4a 外周面 5 マスタ係止手段 6 マスタ挟持搬送手段 7 切断手段 12 案内部 26,27 搬送ローラー対(ローラー部材) 65 補助クランパー 66 マスタ貯容器案内手段(開閉側板) 67 マスタ貯容器保持部(支持部材) 68 付勢手段(圧縮コイルバネ) 70 停留手段(ソレノイド) 73 移動手段 X マスタ搬送方向 Y 係止部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マスタをロール状に巻成してなるマスタロ
    ールを、その先端部を突出させた状態で貯容したマスタ
    貯容器を保持するマスタ貯容器保持部と、 前記マスタの先端部を係止するマスタ係止手段を外周面
    の一部に具備した版胴と、 前記マスタ貯容器より導出された前記マスタに対して画
    像情報に応じた製版を行いつつ搬送する製版手段と、 前記製版手段で搬送された前記マスタを一定の長さに切
    断する切断手段と、 前記マスタの先端を挟持しつつ搬送し、前記版胴が前記
    マスタの先端を係止するマスタ係止位置に停止したとき
    の前記マスタ係止手段の近傍に、前記切断手段よりも前
    記マスタの搬送方向上流側に位置して前記マスタの先端
    部を挟持する第1の位置と、前記マスタ係止手段の係止
    部を通過して、該係止部で前記マスタの先端部を挟持可
    能な第2の位置との間で往復変位可能なマスタ挟持搬送
    手段とを具備した印刷装置であって、 前記マスタ貯容器保持部を、前記マスタ貯容器が貯容さ
    れる貯容位置と、第1の位置で待機した前記マスタ挟持
    搬送手段に前記マスタの先端部が挟持される初期セット
    位置とに選択的に位置決めするマスタ貯容器案内手段を
    有することを特徴とする孔版印刷装置。
  2. 【請求項2】前記マスタ貯容器案内手段は、前記マスタ
    貯容器保持部を貯容位置に向けて付勢する付勢手段を有
    することを特徴とする請求項1記載の孔版印刷装置。
  3. 【請求項3】前記マスタ貯容器案内手段は、前記マスタ
    貯容器保持部を初期セット位置で停留させる停留手段を
    有することを特徴とする請求項2記載の孔版印刷装置。
  4. 【請求項4】前記マスタ貯容器案内手段は、前記マスタ
    貯容器保持部を移動させる移動手段を有することを特徴
    とする請求項1記載の孔版印刷装置。
  5. 【請求項5】前記マスタの搬送を行う搬送ローラー対を
    有すると共に前記製版手段がプラテンローラーを有し、
    前記搬送ローラー対及び前記プラテンローラーは、製版
    動作を行う製版位置と、前記マスタの搬送路が開放され
    るマスタ貯容器セット位置とにそれぞれ選択的に移動自
    在に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請
    求項4のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置。
  6. 【請求項6】前記搬送ローラー対及び前記プラテンロー
    ラーは、マスタ貯容器セット位置において前記マスタ貯
    容器のガイドとして機能することを特徴とする請求項5
    記載の孔版印刷装置。
  7. 【請求項7】前記搬送ローラー対及び前記プラテンロー
    ラーは、前記マスタ貯容器保持部が貯容位置を占めた後
    に製版位置に移動されることを特徴とする請求項5また
    は請求項6記載の孔版印刷装置。
  8. 【請求項8】前記マスタ挟持搬送手段と共に前記マスタ
    の先端部を挟持する補助クランパーを有することを特徴
    とする請求項1ないし請求項7のうちの何れか1つに記
    載の孔版印刷装置。
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