JP4386982B2 - 印刷装置 - Google Patents

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JP4386982B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、製版手段でマスタに穿孔製版を行った後、製版されたマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装して印刷を行う孔版印刷装置等の印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より簡便な印刷方法の1つとして、微細な発熱素子が一列に配置されたサーマルヘッドを感熱孔版用のマスタに接触させ、パルス的に発熱素子に通電させながらマスタを搬送することで、画像情報に応じてマスタを選択的に加熱穿孔した後、穿孔した部分よりインキを透過させ、このインキを印刷用紙に転移させることで印刷画像を形成するデジタル感熱孔版印刷が知られている。
【0003】
このデジタル感熱孔版印刷に用いられるマスタとしては、特開平6−32041号公報図1に符号2で示されているように、ロール状に巻成されたものが既に知られており、このマスタロールは孔版印刷装置のマスタ貯容部に貯容される。新しいマスタロールの装着方法としては、オペレーターが新しいマスタロールを梱包箱から取り出して、マスタ先端部を止めているテープ等を外してマスタロールの表裏を確認した上でマスタ貯容部にセットし、マスタ貯容部よりマスタロールの先端部を引き出して、その先端部を孔版印刷装置の製版手段に挟持させた後、搬送手段あるいは搬送機能を備える製版手段によってマスタを切断手段を超える位置まで一定量搬送させ、切断手段によって先端部を切断してマスタの先端を位置決めし、切断されたマスタの先端部をオペレーターが手作業で孔版印刷装置内より除去することによって完了する方法が採用されている。
【0004】
このようなマスタロールの装着作業は、マスタロールをマスタ貯容部に対して装着・離脱する作業が非常に面倒であり、しかも装着作業は、注意して行わないとマスタにしわが発生してしまい、印刷不良を起こしてしまうという問題点があるために一般のオペレーターでは無理であり、熟練した専任のオペレーターが行わなくてはならないという問題点があった。
【0005】
上述のマスタロールに使用されるマスタは、インキ透過性の多孔性支持体と熱可塑性樹脂フィルムとを貼り合わせたラミネート構造を呈している。多孔性支持体としては、一般の和紙や合成繊維、あるいは和紙と合成繊維とを混抄したものが用いられるが、その使用されている繊維の太さや長さ、並びに厚みや密度にムラがあるため、そのインキ透過性にバラツキが発生する。すなわち、フィルム穿孔部に繊維の塊のような部分が多数点在する場合や、太い繊維がフィルム穿孔部を横切っている場合等にインキの均一な透過が阻害される。また、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせるために接着剤が使用されるが、その接着剤のむらにより、接着剤が多量に塗布されたフィルム穿孔部においてもインキの均一な透過が阻害される。
【0006】
このようにインキ透過性の悪い部分が点在すると、熱可塑性樹脂フィルムに対して所定の原稿画像に対応した加熱穿孔製版がなされたとしても、上述のインキ透過性の悪い部分に印刷画像の白抜けが生じ易くなり、所謂、ベタ埋まりの悪い印刷画像となってしまうという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の白抜けを防止するため、多孔性支持体の繊維を細くしたり接着剤の塗布量を少なくする試みがなされている。しかし、このようなマスタを用いると画像は良好になるが、繊維を細くすることで多孔性支持体の強度が低下し、また、接着剤の塗布量を少なくすることで多孔性支持体と熱可塑性樹脂フィルムとの接着力が低下して、多孔性支持体の剥離や破損が発生し易くなる虞がある。また、マスタ自体の腰が低下することにより、マスタの孔版印刷装置への初期セットが行いにくくなるという問題点がある。
【0008】
特開昭60−87095号公報には、多孔性支持体として和紙の代わりに均一な太さの繊維が規則正しく並べられたものを用い、これを熱可塑性樹脂フィルムと貼り合わせてマスタとする技術が開示されている。しかし、このマスタでは、製版したばかりの新しいマスタを版胴に巻装しても、版胴内部より供給されたインキが多孔性支持体に十分に浸透しないと熱可塑性樹脂フィルムまで到達しないため、印刷を開始しても最初の1ないし3枚の印刷用紙上には適正な印刷画像が得られないという問題点がある。また、印刷に使用された使用済みマスタは、版胴から剥離して所定の排版部に収納した後に廃棄されるが、このとき使用済みマスタは、その多孔性支持体に多量のインキを含んだまま廃棄されるため、インキのランニングコストが上がってしまうという問題点がある。
【0009】
この問題点を解消するため、多孔性支持体を薄くしたマスタを用いたり、あるいは多孔性支持体を用いずに実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを用いた印刷が試みられている。しかし、従来のラミネート構造のマスタではその厚さが40〜50μmであったのに対し、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタではその厚さが2〜8μmと非常に薄く、マスタの強度(腰)が大幅に低下してしまう。そのため、新たにマスタを孔版印刷装置にセットする際に静電気によってマスタが手やガイド板等に貼り付き、マスタにしわが発生して正常なセットを行えないという問題点がある。
【0010】
本発明は、上記各問題点を解決し、マスタロールを着脱する際に、オペレーターの簡単かつ確実な着脱作業性を確保しながら、マスタの種類にかかわらずマスタを確実に初期セットできる印刷装置、及びこの印刷装置に用いられるマスタロールを貯容したマスタ貯容器の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタをロール状に巻成してなるマスタロールの導出を行う案内部を有し、前記案内部から前記マスタロールの先端部を突出させたマスタ貯容器を装着するマスタ貯容器装着部と、前記マスタ貯容器より導出された前記マスタに対して画像情報に応じた製版を行いつつ搬送する製版手段と、前記製版手段で搬送された前記マスタを一定の長さに切断する切断手段と、前記マスタの先端部を挟持するマスタ係止手段を外周面の一部に具備した版胴と、前記マスタの先端部を挟持しつつ搬送するマスタ挟持部と、前記マスタ挟持部を前記製版手段に近接する第1の位置と前記マスタ係止手段に近接する第2の位置との間で移動させるマスタ挟持部移動手段と、前記マスタ挟持部を前記マスタの先端部を挟持する閉塞位置と前記マスタの先端部の挟持を解除する開放位置とに開閉動作させるマスタ挟持部開閉手段とを有するマスタ挟持搬送手段とを具備した印刷装置であって、前記マスタ貯容器の初期セット時において、前記案内部が第1の位置で開放態位に置かれた前記マスタ挟持部へ挿入された後、前記マスタ挟持部開閉手段により前記マスタ挟持部を閉塞させ前記案内部を介して前記マスタの先端部を前記マスタ挟持部で挟持し、前記マスタ挟持部が前記案内部上を摺動した後に前記案内部より滑落することによって前記マスタ挟持搬送手段が前記マスタの先端部のみを挟持することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の印刷装置において、さらに、前記案内部が第1の位置で開放態位に置かれた前記マスタ挟持部へ挿入されたことを検知する検知手段を有し、該検知手段からの信号に基づいて前記マスタ挟持部開閉手段により前記マスタ挟持部を閉塞させることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の印刷装置において、さらに、前記マスタ挟持搬送手段が第2の位置を占め、前記マスタの先端部が前記マスタ係止手段に係止された後に前記マスタ貯容器が前記マスタ貯容器装着部に装着されることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の印刷装置において、さらに、前記マスタの搬送を行う搬送ローラー対を有すると共に前記製版手段がプラテンローラーを有し、前記搬送ローラー対及び前記プラテンローラーは、製版動作を行う製版位置と、前記マスタ貯容器装着部に前記マスタ貯容器を装着する、前記マスタの搬送路が開放されるマスタ貯容器セット位置とにそれぞれ選択的に移動自在に設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項記載の印刷装置において、さらに、前記搬送ローラー対及び前記プラテンローラーは、マスタ貯容器セット位置において前記マスタ貯容器のガイドとして機能することを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の印刷装置において、さらに、前記搬送ローラー対及び前記プラテンローラーは、前記マスタ貯容器が前記マスタ貯容器装着部に装着された後に製版位置に移動されることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の印刷装置において、さらに、前記マスタ挟持部は前記マスタの前記熱可塑性樹脂フィルムと接触する部位に高摩擦抵抗部材を有することを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか1つに記載の印刷装置において、さらに、前記案内部が第1の位置で開放された前記マスタ挟持部へ挿入された後に、前記マスタ挟持部と共に前記マスタの先端部を挟持する補助クランパーを有することを特徴とする。
【0022】
【実施例】
本発明の第1の実施例となる孔版印刷装置について説明する。図1に示すように孔版印刷装置は、熱穿孔製版可能なマスタ2をロール状に巻成してなるマスタロール2Rを貯容するマスタ貯容器1と、マスタ2を製版しつつ搬送する製版手段3と、製版されたマスタ2を巻装する多孔性円筒状の版胴4と、版胴4の外周面4aの一部に設けられたマスタ係止手段5に向けてマスタ2を挟持搬送するマスタ挟持搬送手段6と、製版手段3で製版された製版済みのマスタ2を一定の長さに切断する切断手段7と、マスタ係止手段5に向かって移動するマスタ2に張力を付与する張力付与手段8とを備えている。
【0023】
マスタ貯容器1は、図に矢印Xで示すマスタ搬送方向の最上流に配置され、版胴4はマスタ搬送方向Xの最下流に配置されている。マスタ貯容器1から版胴4までの間にはマスタ通路が形成され、このマスタ通路に沿って、製版手段3、張力付与手段8、マスタ挟持搬送手段6、切断手段7の順で配置されている。
【0024】
マスタ貯容器1は、マスタケース9の内部にマスタロール2Rを収納したものである。樹脂製の芯部材2Pの外周面に巻き付けられてマスタロール2Rを形成するマスタ2は、非常に薄い1〜4μm程度のポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムに多孔性支持体を貼り合わせて構成されている。
【0025】
マスタケース9は、マスタロール2Rを保持する保持部9Aと、マスタロール2Rから引き出されたマスタ2の先端部2A(図2参照)を保持し、その導出を案内する案内部9Bとから主に構成されている。マスタ貯容器1は、図示しない孔版印刷装置本体のマスタ貯容器装着部10に配設された一対の支持部材10aによって、図1の上下方向に着脱自在に設けられている。
【0026】
芯部材2Pを回転可能に支持する保持部9Aは、図2に示すように箱型形状に形成されており、その内幅は新しいマスタロール2Rの外径よりも若干大きくなるように形成されている。また、保持部9Aは、図3に示すように、マスタ搬送方向Xと直交するその幅W2(図に両矢印Zで示すマスタ幅方向における長さ)がマスタ2(マスタロール2R)の幅W1よりも若干大きくなるように形成されている。
【0027】
芯部材2Pは、その軸線方向の長さW3がマスタ2の幅W1及び保持部9Aの幅W2より長くなるように形成されており、保持部9Aに穿設された一対の支持孔9aに両端部近傍をそれぞれ回動可能に支持され、両端部を保持部9Aの外側に突出させている。芯部材2Pの外径は支持孔9aの直径より若干大きくなるように形成されており、芯部材2Pはその両端部近傍を各支持孔9aに軽圧入されている。このため、マスタロール2Rの回転時には、各支持孔9aと芯部材2Pとの摺接により制動力が作用するように構成されており、各支持孔9aが制動部を構成している。
【0028】
芯部材2Pは、マスタロール2Rの外周面が保持部9Aの内面9bに接触しない位置に配置されている。これにより、マスタロール2Rの回転時における内面9bとの接触が避けられ、マスタロール2R及びマスタ2の帯電や変形が防止されている。また、芯部材2Pの端部が保持部9Aから突出しているので、オペレーターがこの突出した端部を持ってマスタロール2Rを回転させることができ、マスタロール2Rの巻きが解けて弛んだ場合でもその弛みを解消できるように構成されている。
【0029】
案内部9Bは、図2、図3に示すように、マスタ貯容器1の芯部材2Pの軸線と平行な1辺に保持部9Aと一体形成されており、マスタロール2Rから引き出されたマスタ2の表裏面と対向して配置され、マスタ貯容器1の外部へとマスタ2を案内する第1の突出部としての上突出部9cと、第2の突出部としての下突出部9dとから主に構成されている。上突出部9cと下突出部9dとは、互いの突出長がほぼ同じとなるように形成されると共に所定の隙間をもって配置されており、マスタ貯容器1の外部に連通する前記隙間によってマスタ2を通過させる出口部9eを構成している。マスタロール2Rは、その初期状態時において、マスタ2の先端部2Aが上突出部9cと下突出部9dとの間に挿入され、かつ、先端部2Aが出口部9eより所定長さ突出された状態で保持部9Aと案内部9Bとによって保持されている。
【0030】
上突出部9c及び下突出部9dの各先端の両角部には、先端部2Aの両側部2a,2bをマスタ案内部9Bの外部に臨ませる切欠部9f,9g,9h,9iがそれぞれ形成されている。各切欠部9f,9g,9h,9iは、後述するマスタ挟持搬送手段6に設けられる一対のマスタ挟持部28,29と干渉しない大きさに形成されている。
【0031】
各切欠部9f,9g,9h,9iには、図3、図4に示すように、薄いマイラー等からなる薄板部材としてのガイドフィルム11a,11b,11c,11dが設けられている。各ガイドフィルム11a,11b,11c,11dは、案内部9Bの先端両角部に臨まない2辺を上突出部9cまたは下突出部9dにそれぞれ接着等により固着されており、ガイドフィルム11a,11cは側部2aを、ガイドフィルム11b,11dは側部2bをそれぞれ保持している。
【0032】
製版手段3は、プラテンローラー12とサーマルヘッド13とから主に構成されている。プラテンローラー12は、実質一体的に設けられた支軸12aを後述するカバー66に回転自在に支持されている。プラテンローラー12は、そのマスタ幅方向の長さが保持部9Aの幅W2よりも長く設定されており、支軸12aの一端に設けられた図示しないギヤによりステップモーター14からの駆動力を伝達され、図1の矢印方向に回転駆動される。プラテンローラー12は、後述するローラー部材26と共に図1に実線で示す位置と二点鎖線で示す位置とに移動可能に設けられており、プラテンローラー12とサーマルヘッド13とは圧接・離間可能に構成されている。
【0033】
サーマルヘッド13はプラテンローラー12の下方に位置し、支軸12aと平行に延在して設けられている。サーマルヘッド13は、図示しない孔版印刷装置の原稿読取部に設けられたA/D変換部及び製版制御部(共に図示せず)で処理されて送出されるデジタル画像情報に基づき、図示しない発熱素子が選択的に発熱することによりマスタ2の所定位置を熱溶融穿孔する周知の機能を有する。
【0034】
版胴4は、多孔性円筒状の支持円筒体と、その外周面に巻き付けられたメッシュスクリーンとを有し、その外周面4aに製版済みのマスタ2を巻装する。版胴4は、回転中心軸を兼ねたインキパイプ15の周りに回転可能に支持されており、版胴駆動源となる駆動モーター16と図示しない動力伝達機構によって矢印方向に回転駆動される。版胴4の内部には、版胴4の回転方向と同一方向に同期して回転して版胴4の内周面にインキを供給するインキローラー17と、インキローラー17と僅かな間隙を設けて平行に配置され、インキローラー17との間に断面楔状のインキ溜まり19を形成するドクターローラー18と、インキ溜まり19へインキを供給するインキパイプ15に設けた開孔部15aとからなるインキ供給手段20が配設されている。インキローラー17と対向する版胴4の外周面4aの下方近傍には、図示しない接離機構によって上下に揺動し、印刷用紙22を版胴4へ押し付けるプレスローラー21が配置されている。
【0035】
版胴4の外周面4a上の所定位置(非開孔部)には、製版済みのマスタ2の先端部2Aを挾持するマスタ係止手段5が配設されている。マスタ係止手段5は、版胴4の母線方向と平行に延在していて外周面4aと実質一体的に設けられたステージ23と、ステージ23に対してクランパー軸24aを介して図示しない開閉装置により駆動力を伝達されて回動される開閉自在なクランパー24と、クランパー24をステージ23へ磁着するマグネット24bとを備えている。開閉装置は、クランパー駆動手段となるステップモーター25と周知の動力伝達機構から構成されている。
【0036】
クランパー24は、図6に示すように版胴4の母線と平行に延在しており、その全幅W4は、マスタ2の幅W1よりも幾分長く、且つ版胴4の幅W5よりも短く形成されている。マグネット24bは、クランパー軸24aよりもマスタ搬送方向Xの上流側に位置するクランパー24の開閉端24c側のステージ23との対向面に固定されている。マグネット24bの後端24dとクランパー軸24aとの間に位置し、かつ、マスタ幅方向Zに位置するクランパー24の両側縁24A,24Bには、クランパー24の内方に凹んだ切欠24L,24Rがそれぞれ形成されている。この切欠24L,24Rは、マスタ挟持搬送手段6に設けられる一対のマスタ挟持部28,29と干渉しない大きさに形成されている。クランパー24は、マグネット24bを設けた範囲を係止部Yとしている。
【0037】
図1に示すように、張力付与手段8は、製版手段3とマスタ挟持搬送手段6との間に配置されており、プラテンローラー12と同じマスタ幅方向の長さを有する搬送ローラー対としての一対のローラー部材26,27を備えている。ローラー部材26は、実質一体的に設けられた支軸26aを後述するカバー66に回転自在に支持されており、ローラー部材27は、実質一体的に設けられた支軸27bを図示しない孔版印刷装置本体に回転自在かつ、水平方向への移動が可能となるように支持されている。支軸27bは、ローラー部材27の両端より突出したその両端部を、孔版印刷装置本体に設けられた一対の圧縮コイルバネ67により、常時図1の左方に向けて付勢されている。ローラー部材26,27は、それぞれの外周面を当接して対向配置されており、この例では、ほぼ水平に搬送されるマスタ2の向きをほぼ垂直方向に方向転換する機能を備え、マスタ2の移動に伴って互いに連れ回りする。また、ローラー部材27の一端にはトルクリミッター等のブレーキ装置27aが装着されており、ブレーキ装置27aは、マスタ搬送方向Xに向かって移動するマスタ2に対して、その移動方向に弛みが発生しないように一定の張力を付与する。ローラー部材26,27は、何れか一方を駆動モーターで回転駆動するように構成してもよく、この場合は駆動されるローラー部材の外周面の周速度を版胴4の外周面4aの周速度あるいはマスタ挟持搬送手段6の移動速度よりも遅く設定することで、移動するマスタ2に張力を与えることができる。
【0038】
断面コ字形状を呈し、その両側面でプラテンローラー12の支軸12a及びローラー部材26の支軸26aを回転自在に支持するカバー66は、支軸26aを支持する側の両側面の外側に実質一体的に設けられたボス66aにより、孔版印刷装置の図示しない本体側板に揺動自在に支持されている。また、カバー66の、ボス66aが設けられた側の下端部には扇形部66bが形成されており、扇形部66bの縁部は圧縮コイルバネ67によって付勢された支軸27bに常時当接し、支軸27bの位置決めを行っている。扇形部66bは、図1において左方に向かうに従い、ボス66aから縁部までの距離が大きくなるように形成されている。カバー66は、手動により、図1に実線で示す製版位置と、図1に二点鎖線で示す、マスタ2の搬送路が開放されるマスタ貯容器セット位置とに選択的に位置決めされる。カバー66がマスタ貯容器セット位置に置かれたとき、プラテンローラー12及びローラー部材26,27は図5に示す位置にそれぞれ位置決めされ、プラテンローラー12及びローラー部材26は保持部9Aの一面9jに、ローラー部材27は一面9jと直交する保持部9Aの一面9kとそれぞれ当接し、各切欠部9f,9g,9h,9iを後述する第1の位置に位置させるマスタ貯容器1のセット時において、それぞれガイドとして機能する。また、カバー66がマスタ貯容器セット位置に置かれたときにマスタ2の搬送路が開放されるので、マスタのジャム処理や製版搬送系のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0039】
マスタ挾持搬送手段6は、張力付与手段8とマスタ係止手段5との間に配置されており、マスタ2の先端部2Aを挾持しながらマスタ係止手段5に搬送するものである。マスタ挟持搬送手段6は、図7に示すように、両側部2a,2bをマスタ幅方向Zからその往動行程で挟持する一対のマスタ挟持部28,29と、マスタ挟持部28,29をマスタ幅方向Zに相対変位させる変位手段30と、図8に示すように、マスタ挟持部28,29を実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2の位置との間で往復移動させるマスタ挟持部移動手段31とを備えている。マスタ挟持搬送手段6には、切断手段7がマスタ挟持部28,29よりもマスタ搬送方向Xの下流側に装着されている。
【0040】
ここでいう第1の位置とは、図5、図8に実線で示すように、マスタ挟持部28,29が切断手段7よりもマスタ搬送方向Xの上流側に位置した各ガイドフィルム11a,11b,11c,11dを介して先端部2Aの両側部2a,2b(図6参照)を挟持する位置を指し、第2の位置とは、図8に二点鎖線で示すように、マスタ挟持部28,29が先端部2Aを挟持した状態でマスタ係止位置において開放された係止部Yを通過し、係止部Yで先端部2Aを係止(挟持)可能な位置を指す。つまり、第1の位置とは、マスタ挟持搬送手段6が案内部9Bに近接する位置を指し、第2の位置とは、マスタ挟持搬送手段6がマスタ係止手段5に近接する位置を指すことになる。
【0041】
マスタ挟持部28,29は、図9に示すように、両側部2a,2bをその表面2B側及び裏面2C側から挟持するように開閉自在に設けられた挟持部材となる上搬送クランパー28A,29A及び下搬送クランパー28B,29Bと、上搬送クランパー28A,29Aを開閉動作させるマスタ挟持部開閉手段としての電磁ソレノイド28C,29Cと、付勢手段である圧縮コイルバネ28D,29Dとをそれぞれ備えている。
【0042】
下搬送クランパー28B,29Bは、図7にも示すように板状部材からなり、マスタ挟持搬送手段6のフレーム32に、マスタ幅方向Zに摺動自在に支持されている。具体的には、下搬送クランパー28B,29Bにマスタ幅方向Zに延在する長孔28a,29aを形成し、この長孔28a,29aにフレーム32のマスタ幅方向Zに並列に立設した段ねじ32A,32Bと段ねじ32C,32Dとをそれぞれに遊嵌する。下搬送クランパー28B,29Bは、その一端側をマスタ幅方向Zとほぼ直交する方向に折り曲げ、その下端をマスタ幅方向Zにおける内側に折り曲げて当接部28b,29bを形成している。この当接部28b,29bは、マスタ2の裏面2Cに当接するように、互いに同一平面上に配置されている。
【0043】
上搬送クランパー28A,29Aは、軸28c,29cによって、それぞれ当接部28b,29bに開閉自在に支持されている。電磁ソレノイド28C,29Cは、上搬送クランパー28A,29Aの上方に位置する下搬送クランパー28B,29Bに装着されていて、その可動片28d,29dを上搬送クランパー28A,29Aにそれぞれピン結合されている。電磁ソレノイド28C,29Cには、駆動信号が入力されると可動片28d,29dを引くプル型が採用されている。圧縮コイルバネ28D,29Dは、電磁ソレノイド28C,29Cと上搬送クランパー28A,29Aとにその両端を係止されており、上搬送クランパー28A,29Aに閉方向への回動習性を与えている。この構成により、マスタ挟持部28,29は、電磁ソレノイド28C,29Cがオンされたときにマスタ先端部の挟持を解除する開放態位を占め、電磁ソレノイド28C,29Cがオフされたときにマスタ先端部を挟持する閉塞態位を占める。本実施例ではマスタ挟持搬送手段6として電磁ソレノイドを用いたものを示したが、その他、エアー吸着、静電吸着、粘着材等を用いた構成としてもよい。
【0044】
下搬送クランパー28B,29Bの他端側には、図6に符号A,Bで示す両側部2a,2bを挟持可能な挟持位置と、同図に符号C,Dで示す両側部2a,2bから外方に外れた離脱位置とにマスタ挟持部28,29をマスタ幅方向Zに変位移動させる変位手段駆動機構33が配置されている。離脱位置C,Dは、クランパー24の両側縁24A,24Bよりも外方に位置している。
【0045】
変位手段駆動機構33は、図7、図9に示すように、その駆動源となる正逆回転可能な駆動モーター34と、駆動モーター34の出力軸34aに装着されたピニオンギヤ35と、ラックギヤ36,37とから主に構成されている。ラックギヤ36,37は、下搬送クランパー29B,28Bのマスタ幅方向Zにそれぞれ形成されており、フレーム32のほぼ中央に配置されたピニオンギヤ35に対して上下方向から互いに対向して噛合している。変位手段駆動機構33は、駆動モーター34が図7において時計回り方向(正方向)に回転駆動されると、下搬送クランパー28B,29Bを実線矢印で示す方向に移動させてマスタ挟持部28,29を離脱位置へと変位させ、駆動モーター34が図7において反時計回り方向(逆方向)に回転駆動されると、下搬送クランパー28B,29Bを破線矢印で示す方向に移動させてマスタ挟持部28,29を挟持位置へと変位させるように構成されている。
【0046】
下搬送クランパー28Bの長孔28aの近傍には、挟持位置と離脱位置とを検知する検知手段としての挟持位置検知センサー38及び離脱位置検知センサー39が配設されている。挟持位置検知センサー38及び離脱位置検知センサー39にはそれぞれマイクロスイッチが用いられており、離脱位置検知センサー39は、図9に示すように、レバー39aを段ねじ32Bによって押されると離脱位置検知信号を出力し、挟持位置検知センサー38はレバー38aを段ねじ32Aによって押されると挟持位置検知信号を出力する。
【0047】
切断手段7は、図7、図8、図9に示すように、切断部材となる円形刃部40がマスタ搬送路に臨むように、フレーム32のマスタ搬送路との対向面32aに装着されている。切断手段7は、対向面32aの、マスタ幅方向Zに延在して固定されたレール41と、レール41に摺動自在に支持されたスライダー42と、スライダー42に回転自在に支持された円形刃部40とを有するロータリーカッターからなり、後述する駆動モーター43によってマスタ切断時に摺動する。円形刃部40は、その外周面が当接部28b,29bよりもやや下方に位置するようにスライダー42に支持されている。
【0048】
マスタ挟持部移動手段31は、図8に示すように、フレーム32に支持された回動軸44と、この回動軸44の一端に固定された歯車45と、駆動源となる正逆回転可能な駆動モーター46とを備えている。駆動モーター46はフレーム32に固定されており、その出力軸46aには駆動歯車47が固定されている。歯車45には駆動歯車47が噛合しており、歯車45の駆動歯車47との噛合位置と対向する位置にはラック48が噛合している。回動軸44は、図7に示すように、フレーム32の両側部に起立して設けられた側面32b,32cの上部に軸受49,49で回転自在に支持されており、その両端を側面32b,32cよりも外方に突出させている。側面32b,32cの下部には、一対のガイドピン50,50がマスタ幅方向Zに突出して設けられている。
【0049】
回動軸44の両端とガイドピン50,50とは、図8に示すように、図示しない装置のフレームに形成した長孔51,52にそれぞれ遊嵌されている。長孔51,52は、それぞれ張力付与手段8から図1に示すマスタ係止位置にあるマスタ係止手段5に向かって延在して形成されており、マスタ挾持搬送手段6を張力付与手段8の直下流からマスタ係止手段5の係止部Yの下流まで、すなわち第1の位置から第2の位置まで摺動自在に支持している。これにより、マスタ挾持搬送手段6は、マスタ係止手段5まで案内されると共に、往復動作時に揺れないように構成されている。
【0050】
ここでいうマスタ係止位置とは、マスタ係止手段5によってマスタ2を係止するときに版胴4が停止する位置を指し、本実施例では、クランパー24が図1、図5において上方を向いた状態で開閉する、マスタ係止手段5がほぼ真横に置かれた位置を指す。
【0051】
駆動モーター46は、第1の位置から第2の位置までマスタ挾持搬送手段6を移動させる往動時に図8において時計回り方向(正方向)に回転駆動され、第2の位置から第1の位置までマスタ挾持搬送手段6を移動させる復動時に図8において反時計回り方向(逆方向)に回転駆動される。
【0052】
マスタ挾持搬送手段6の近傍には、マスタ挾持搬送手段6が第1の位置に位置決めされたことを検知する第1位置検知センサー53と、第2の位置に位置決めされたことを検知する第2位置検知センサー54とが配置されている。第1位置検知センサー53はマスタ挾持搬送手段6が第1の位置を占めたときに、フレーム32の一部で押されることで第1位置検知信号を出力し、第2位置検知センサー54はマスタ挾持搬送手段6が第2の位置を占めたときに、フレーム32の一部で押されることで第2位置検知信号を出力するリミットスイッチからそれぞれ構成されている。マスタ挾持搬送手段6は、マスタ挟持部28,29が挟持位置Aにあるときをホームポジションとしている。
【0053】
本実施例において、マスタ挾持搬送手段6はほぼ垂直方向に往復移動可能に構成されている。ラック48は長孔51と平行に配置され、図示しないフレームに固定されている。このため、マスタ挾持搬送手段6は、駆動モーター46が駆動しないときに、駆動歯車47と歯車45とラック48との噛合により一定の位置に保持される。つまり、ラック48は、歯車45と相俟ってマスタ挾持搬送手段6の落下防止(ストッパー)手段及び位置決め手段を構成している。
【0054】
孔版印刷装置は、図10に示す制御手段55を備えている。制御手段55は、ROMやRAMを備えた周知のマイクロコンピューターから構成されており、各手段の駆動回路やコントローラーとして機能している。制御手段55には、マスタ設定指令手段となるマスタセットキー56、製版指令手段となる製版スタートキー57、印刷指令手段となる印刷スタートキー58、第1位置検知センサー53、第2位置検知センサー54、挟持位置検知センサー38、離脱位置検知センサー39、ステップモーター14,25、各種駆動モーター16、34、43、46、電磁ソレノイド28C,29C及び電源59がそれぞれ電気的に接続されている。
【0055】
制御手段55は、マスタセットキー56が押下されてマスタセット指令が出力されると、マスタ2の先端部2Aを挟持すべく電磁ソレノイド28C,29Cを駆動させる機能と、製版スタートキー57が押下されて製版指令が出力されると、製版済みのマスタ2をマスタ挾持搬送手段6を用いて版胴4上のクランパー24に搬送すると共に、この製版済みのマスタ2を版胴4の外周面4aに巻装する製版動作を行う機能と、印刷スタートキー58が押下されて印刷指令が出力されると、図示しないテンキーで設定された印刷枚数の印刷を実行する周知の印刷動作を行う機能とを備えている。
【0056】
以下、第1の実施例における孔版印刷装置の動作を説明する。
本発明の孔版印刷装置では、マスタの初期セット時において、マスタ2の先端2Aの両側部2a,2bをマスタ挟持部28,29で挟持した状態にする。従って、開いた状態で待機しているマスタ挟持部28,29へ先端2Aを挿入する必要があるが、マスタの腰が弱い場合や、カールや静電気による張り付きがある場合には挿入が困難である。
【0057】
そこで、この孔版印刷装置へのマスタの初期セットでは、オペレーターの操作によりプラテンローラー12とローラー部材26,27とを図5に示すように離間位置であるマスタ貯容器セット位置に置き、次にマスタ2を保持したマスタ貯容器1の保持部9Aの一面9jを、プラテンローラー12とローラー部材26とに当接させながら、ローラー部材26,27の間に案内部9Bを上方から挿入する。保持部9Aの一面9kとローラー部材27とが当接するとマスタ貯容器1の移動が規制され、第1の位置で待機しているマスタ挟持部28,29に、マスタ2の両側部2a,2bをガイドフィルム11a,11b,11c,11dでガイドした案内部9Bが挿入される。
【0058】
この状態でオペレーターによってマスタセットキー56が再度押下されると、信号が出力されて電磁ソレノイド28C,29Cがオフされる。この動作によって上搬送クランパー28A,29Aが閉動作され、ガイドフィルム11a,11b,11c,11dがマスタ挟持部28,29で挟持される。すなわち、図11、図12に示すように、案内部9Bで保持されたマスタ2の両側部2a,2bが、ガイドフィルム11a,11b,11c,11dを介して、第1の位置においてマスタ挟持部28,29で挟持される。
【0059】
上記動作中、オペレーターによるマスタセットキー56の押下に代えて、図5、図9に二点鎖線で示すように、マスタ貯容器1のマスタ挟持搬送手段6への挿入を検知する検知手段としてのマスタ貯容器検知センサー68をマスタ挟持搬送手段6の適宜の位置に設け、マスタ貯容器検知センサー68によってマスタ貯容器1がマスタ挟持搬送手段6に挿入されたことを検知し、この信号に基づいて駆動信号が出力される構成としてもよい。
【0060】
なお、マスタセットキー56を設けず、カバー66の開放を検知する検知手段としてのカバー開放検知センサー69を孔版印刷装置本体の図示しない側板に設け、カバー66が開放されたことを検知して電磁ソレノイド28C,29Cをオンさせ、その後、マスタ貯容器検知センサー68がマスタ貯容器1のマスタ挟持搬送手段6への挿入を検知した後にソレノイド28C,29Cをオフさせるように制御する構成としてもよい。
【0061】
次に、マスタ2の両側部2a,2bが、第1の位置でマスタ挟持部28,29に挟持された状態、すなわち図5に示す状態からオペレーターによってマスタ貯容器1が上方に移動されると、閉塞されたマスタ挟持部28,29より案内部9Bが引き出される。
【0062】
このとき案内部9Bは、ガイドフィルム11a,11b,11c,11dをマスタ挟持部28,29と摺動させつつ上方へと引き抜かれる。マスタ挟持部28,29は、案内部9Bのガイドフィルム11a,11b,11c,11d上を摺動した後、案内部9Bが完全に引き抜かれたときにガイドフィルム11a,11b,11c,11dより滑落し、出口部9eより突出したマスタ2の両側部2a,2bを挟持する。これにより、腰の弱いマスタやカールがあるマスタを用いた場合であっても、その先端部を確実にマスタ挟持部28,29へセットすることができる。オペレーターは、マスタ貯容器1を上方に引き抜いた後、プラテンローラー等のローラー列が閉じても干渉しない位置である、図1において右方向にマスタ貯容器1を移動させてマスタ貯容器装着部10に装着する。マスタ貯容器1が図1に示すようにマスタ貯容器装着部10に装着された後、オペレーターによりローラー部材26,27及びプラテンローラー12がそれぞれ当接位置である製版位置に戻されてマスタセット動作が終了する。
【0063】
マスタセット動作完了後、製版スタートキー57が押下されると駆動モーター16が所定量回転駆動され、図示しない周知の排版手段によって印刷を終えた図示しない印刷済みマスタが版胴4の外周面4aから排除された後、版胴4がマスタ係止位置で停止する。版胴4がマスタ係止位置を占めると、ステップモーター25が駆動されてクランパー24がマスタ係止位置において開状態となる。
【0064】
この状態で第1位置検知センサー53から第1位置検知信号の出力があると、マスタ挾持搬送手段6がホームポジションにあることが確認された後にステップモーター14が起動してプラテンローラー12が時計回りに回転駆動され、マスタ2が送り出されると同時に画像情報に応じてサーマルヘッド13の発熱素子が選択的に発熱され、プラテンローラー12によりサーマルヘッド13に押圧されたマスタ2が選択的に溶融され穿孔される。このように穿孔された製版済みのマスタ2は、プラテンローラー12によってマスタ搬送方向Xに送り出される。
【0065】
一方、第1位置検知センサー53から第1位置検知信号の出力があると、図8に示す駆動モーター46が時計回り方向に回転駆動され、同図においてマスタ挾持搬送手段6が第2の位置(下方に)向かって移動する。このときのマスタ挾持搬送手段6の移動速度は、プラテンローラー12によるマスタ搬送速度とほぼ同一の速度で搬送される。このように、マスタ挾持搬送手段6が往動することで、製版済みのマスタ2がローラー部材26,27との間で張力を付与されながらクランパー24に向かって搬送される。このため、マスタ挾持搬送手段6で搬送される製版済みのマスタ2は、しわの発生を抑えられつつクランパー24まで搬送される。
【0066】
マスタ挾持搬送手段6が、拡開しているステージ23とクランパー24との間を通過して第2の位置を占めると、第2位置検知センサー54から第2位置検知信号が出力され、駆動モーター46が停止される。これにより図13、図14に示すように、マスタ挟持部28,29は係止部Yを通過して切欠24L,24R内の挟持位置Bにて停止する。そして、駆動モーター46が停止すると、ステップモーター25が閉方向に所定量回転駆動された後、電磁ソレノイド28C,29Cがオンされる。これにより、マスタ挟持部28,29で挟持されて搬送された製版済みのマスタ2の先端部2Aは、ステージ23とクランパー24のマグネット24bとによって係止された後、マスタ挟持部28,29による挟持が開放される。このため、マスタ2が静電気を帯びていたりカールした状態であっても、ローラー部材26,27に巻き付かなくなり、確実にクランパー24まで搬送することができる。
【0067】
電磁ソレノイド28C,29Cがオンされると、駆動モーター34が図9において時計回り方向に駆動される。この駆動は、離脱位置検知センサー39から離脱位置検知信号が出力されるまで行われる。これにより、ピニオンギヤ35が時計回り方向に回転駆動して、それと噛合するラックギヤ36,37を有する下搬送クランパー29B,28Bが二点鎖線位置から実線位置に向かって相対移動する。
【0068】
段ねじ32Bによって離脱位置検知センサー39のレバー39aが押されて離脱位置検知信号が出力されると、駆動モーター34の回転が停止するとともに、駆動モーター16が回転駆動される。これにより、第2の位置においてマスタ挟持部28,29が離脱位置Cを占めるとともに、版胴4が図1において矢印方向に回転駆動する。このときの版胴4の周速度は、プラテンローラー12の回転速度よりも僅かに遅い周速度に設定されている。
【0069】
離脱位置検知センサー39から離脱位置検知信号が出力されると、図8に示す駆動モーター46が反時計回り方向に回転駆動され、この動作は、第1位置検知センサー53から第1位置検知信号の出力があるまで行われる。この動作により、同図に二点鎖線で示す第2の位置に置かれたマスタ挟持搬送手段6が第1の位置へと復動され、マスタ挟持部28,29は離脱位置Dに位置決めされる。このように、マスタ挟持部28,29は、マスタ挟持搬送手段6の復動時において離脱位置を占めた状態で第2の位置から第1の位置へと移動されるため、その移動中に両側部2a,2bや両側縁24A,24Bと干渉することがなくなる。
【0070】
ステップモーター14は、マスタ挟持搬送手段6の移動動作中、すなわち、図6においてマスタ挟持部28,29が離脱位置C,D間を移動している間も駆動されているので、プラテンローラー12による製版搬送は行われている。このため、マスタ2は、プラテンローラー12とローラー部材26,27との間に、製版済みのマスタ2の過分送りを発生させる。駆動モーター16は、マスタ挟持部28,29が離脱位置Dを占めると再駆動され、過分送りされた製版済みのマスタ2が版胴4の回転により外周面4aに製版されつつ巻きつけられる。この際にブレーキ装置27aが作用するので、過分送りされた製版済みのマスタ2に対してマスタ搬送方向Xへの張力が与えられ、マスタ2は弛みを取り除かれて搬送される。
【0071】
ステップモーター14を所定量回転駆動してマスタ2が所定量搬送されると、版胴4の外周面4aへ製版済みのマスタ2が巻装されたものとしてステップモーター14及び駆動モーター16が停止される。製版動作完了後、駆動モーター34が図9において反時計回り方向に駆動されてピニオンギヤ35が反時計回り方向に回転し、下搬送クランパー28B,29Bが破線矢印方向に相対移動する。そして、段ねじ32Aによって挟持位置検知センサー38のレバー38aが押されて挟持位置検知信号が出力されると駆動モーター34の回転が停止し、これによりマスタ挟持部28,29は挟持位置Aに保持される。
【0072】
これに伴い制御手段55では、電磁ソレノイド28C,29Cをオフし、その状態を保持したまま切断手段7の駆動モーター43を駆動する。これにより、図9に示すスライダー42が同図において右方から左方に摺動され、製版済みのマスタ2の後端が円形刃部40で切断される。このため、製版済みのマスタ2は、その先端部2Aをクランパー24に挟持され、その後端部のマスタ搬送方向Xの上流側の部位をマスタ挟持部28,29に挟持された状態で切断されるので、マスタ2を良好に切断できるとともに、切断後にマスタ2の先端部2Aをマスタ挟持部28,29まで搬送する必要がなくなる。よって、マスタ2が帯電していたりマスタ2に巻き癖が残っていた場合であっても、製版手段3とマスタ挟持搬送手段6との間においてマスタ2が詰まることが防止される。
【0073】
切断後、駆動モーター16が版胴4を図1の矢印方向に回転させ、外周面4aに製版済みのマスタ2が巻装され、マスタ巻装動作が完了する。
この後、制御手段55は、駆動モーター16を駆動して版胴4を図1の矢印方向に低速で回転駆動させ、図示しない給紙装置から1枚の印刷用紙22を周知のレジストローラー60(図1参照)に向けて給紙させる。このとき、インキローラー17も版胴4の回転方向と同方向に回転され、版胴4の内周面にインキが供給される。レジストローラー60は、版胴4の回転と同期した所定のタイミングで、版胴4とプレスローラー21との間に印刷用紙22を給送する。すると、外周面4aから離間したプレスローラー21が、図1において実線で示す離間位置から二点鎖線で示す押圧位置まで移動して、矢印方向に回転駆動する版胴4の外周面4aに巻装された製版済みのマスタ2に印刷用紙22を押圧する。これにより、製版済みのマスタ2の穿孔部分からインキが滲み出しつつ製版済みのマスタ2が外周面4aに密着され、所謂版付けが完了し、各駆動モーターやステップモーターが停止されて印刷待機状態となる。
【0074】
適宜に試し刷りが行われた後、図示しないテンキーにより印刷枚数が設定されて、印刷スタートキー58が押下されると、版胴4が高速で回転されると共にプレスローラー21及びレジストローラー60が版付けと同様に駆動され、設定された枚数部の印刷が印刷用紙22に行われる。
【0075】
このように本実施例では、マスタ貯容器1から引き出されるマスタ2が、案内部9Bの出口部9eや保持部9Aに設けた制動部としての支持孔9a(図3参照)によって腰やその幅方向に張力を与えられつつ引き出されるので、製版手段3に到達したマスタ2をしわのない状態で製版でき、良好な製版を行うことができる。
【0076】
また、製版手段3からマスタ係止手段5への製版済みのマスタ2の受渡しを、マスタ挟持部28,29によってマスタ2を挟持した状態で行うので、ローラー部材の回転によるマスタ2の押し出し搬送と違い、マスタ2の静電気による貼り付きやカール等による搬送不良が発生しない。
【0077】
さらに、マスタ搬送時には、ローラー部材26,27のブレーキ装置27aによって張力を加えた状態で製版済みのマスタ2の先端部2Aをクランパー24で係止するので、この係止時における製版済みのマスタ2へのしわや弛みの発生を防止することができる。これにより、版胴4の外周面4aに製版済みのマスタ2をしわなく巻装でき、歪みの少ない良好な印刷画像を得ることができる。また、この巻装される製版済みのマスタ2には、製版手段3で良好な加熱穿孔製版が施されるので、さらに歪みの少ない良好な印刷画像を得ることが可能となる。
【0078】
また、マスタ貯容器1が、保持部9Aの内部にマスタロール2Rを貯容し、案内部9Bでマスタ2の先端を保持しているので、オペレーターは、マスタ貯容器1をマスタ貯容器装着部10から容易に抜脱することができるとともに、その交換時におけるマスタロール2Rへのしわの発生を防止することができる。また、ガイドフィルム11a,11b,11c,11dを介してマスタ挟持部28,29が案内部9Bを挟持するので、マスタ貯容器1から確実にマスタ2の先端部2A及びマスタ2自体を引き出すことができる。
【0079】
また、ブレーキ装置27aはローラー部材27との同軸上に、制動部としての支持孔9aは保持部9Aにそれぞれ設けられているので、装置本体に対する占有面積を抑えることができ、孔版印刷装置の小型化を図ることが可能となる。
【0080】
さらに、切断手段7がマスタ挟持搬送手段6よりもマスタ搬送方向Xの下流側に配置され、マスタ挟持部28,29が両側部2a,2bを挟持した状態で切断が行われるので、製版済みのマスタ2の切断後、後続の未製版のマスタ2の先端部2Aが既に当接部28b,29bに位置しており、切断後のマスタ2を従来のようにマスタ挟持搬送手段6まで搬送する必要がなくなり、製版手段3とマスタ挟持搬送手段6との間でのマスタ2の詰まりや、それによるしわの発生を防止することができる。
【0081】
また、マスタ挟持部28,29で先端部2Aを挟持された製版済みのマスタ2は、係止部Yよりもマスタ搬送方向Xの下流側まで搬送されるので、先端部2Aを確実に、しかも良好な位置精度でクランパー24で係止することができる。
【0082】
本実施例では、マスタ2の先端部2Aを、第1の位置(挟持位置A)において開放状態で待機しているマスタ挟持部28,29へ、ガイドフィルム11a,11b,11c,11dによって両側部2a,2bをガイドしつつ挿入し、マスタ挟持部28,29でガイドフィルム11a,11b,11c,11dを介して両側部2a,2bを挟持した後にマスタ貯容器1を上方へと移動させ、ガイドフィルム11a,11b,11c,11d上よりマスタ挟持部28,29が滑落する際に案内部9Bから引き出された先端部2Aがマスタ挟持部28,29に挟持される構成としたが、先端部2Aがマスタ挟持部28,29へ挿入された後、マスタ貯容器1を上方へと移動させる前にマスタ挟持搬送手段6によってマスタ2を搬送し、マスタ係止手段5で先端部2Aを係止した後にマスタ貯容器1を上方へと移動させ、その後マスタ貯容器装着部10にマスタ貯容器1を装着させる構成としてもよい。この場合には、マスタ挟持搬送手段6が移動する際に、マスタ挟持部28,29がガイドフィルム11a,11b,11c,11d上より滑落する。
【0083】
特に、腰や引張強度の弱いマスタを用い、両側部2a,2bをマスタ挟持部28,29で挟持した後にマスタ貯容器1を引き抜く場合には、引き抜き作業を慎重に行わないとマスタ挟持部28,29からのマスタ抜けやマスタ2の破れを生じる虞があるが、先端部2Aをマスタ係止手段5で係止した後にマスタ貯容器1の引き抜き作業を行えば上記不具合を解消することができる。
【0084】
図15は、本発明の第2の実施例に用いられるマスタ貯容器61を構成する、マスタケース62の案内部62Aを示すものである。マスタ貯容器61は、マスタ貯容器1と同様に、マスタケース62の内部にマスタロール2Rを収納したものである。マスタケース62は、マスタロール2Rを貯容する保持部9Aと同様の図示しない保持部と、案内部62Aとを有している。
【0085】
案内部62Aは、上突出部62aと下突出部62bとから主に構成されており、各突出部62a,62bは、互いの突出長がほぼ同じとなるように形成されると共に所定の隙間をもって配置されている。この隙間によって出口部62cが構成される。上突出部62a及び下突出部62bの各先端の両側部には、マスタケース9と同様の切欠部62d,62e,62f,62gがそれぞれ形成されている。
【0086】
切欠部62d,62eにはガイドフィルム63a,63bが、切欠部62f,62gにはガイドフィルム63c,63dがそれぞれ固着されている。ガイドフィルム63a,63bは、そのマスタ搬送方向Xにおける長さが上突出部62aの突出長さよりも短く、また、ガイドフィルム63c,63dは上記長さが下突出部62bと同じ長さにそれぞれ形成されており、両者間には段差部64が形成されている。
【0087】
マスタロール2Rは、マスタ2の先端部2Aを上突出部62aと下突出部62bとの間に挿入された状態で図示しない保持部と案内部62Aとによって保持されている。先端部2Aは、出口部62cから所定長さ突出されると共に下突出部62b側に向けて折り返されている。
【0088】
この構成とすることにより、特にカールがきついマスタ(例えばカール径がマスタ挟持部28,29の開口部の広さより大きい場合)やベース強度が弱くフィルムよりベース剥離を発生し易いマスタでも、案内部62Aからマスタ挟持部28,29の開口部に先端部2Aが挿入され、段差部64に位置するマスタ2の両側部2a,2bがマスタ挟持部28,29によって引き出されつつ挟持されるので、確実にマスタ挟持部28,29へマスタ2を挟持することができる。
【0089】
上記各実施例では、ガイドフィルム11a,11b,11c,11d,63a,63b,63c,63dを介してマスタ2をマスタ挟持部28,29で挟持する構成としたが、切欠部9f,9g,9h,9i,62d,62e,62f,62g及びガイドフィルム11a,11b,11c,11d,63a,63b,63c,63dを設けず、案内部9B,62Aを介してマスタ2をマスタ挟持部28,29で挟持する構成としてもよい。
【0090】
上記各実施例の変形例として、図18に示すように、ガイドフィルム11a,11b,11c,11dに代えて、ガイドフィルム11a,11b,11c,11dよりも長さの短いガイドフィルム11e,11f,11g,11hを用い、マスタ2の先端部2Aをガイドフィルム11e,11f,11g,11hより突出させ、かつ、各突出部9c,9dより突出しない位置とした構成を採用してもよい。この構成でもマスタ挟持部28,29がガイドフィルム11e,11f,11g,11hを挟持して摺動した後に先端部2Aを挟持するので、上記各実施例と同様の効果を得ることができる。
【0091】
さらに、上記各実施例の他の変形例として、図19に示すように、マスタケース9に切欠部9f,9g,9h,9iに代えて切欠部9m,9n,9o,9pを形成し、マスタ2の先端部2Aを切欠部9m,9n,9o,9pより突出させ、かつ、各突出部9c,9dより突出しない位置とした構成を採用してもよい。切欠部9m,9n,9o,9pは切欠部9f,9g,9h,9iよりもマスタ搬送方向Xの下流側に延出した位置、すなわち、マスタ挟持部28,29と干渉する位置に形成されている。この構成でもマスタ挟持部28,29が切欠部9m,9n,9o,9pよりマスタ搬送方向Xの上流側に位置する各突出部9c,9dを挟持して摺動した後に先端部2Aを挟持するので、上記各実施例と同様の効果を得ることができる。
【0092】
なお、本明細書における、案内部からマスタロールの先端部を突出させた状態には、上述の各変形例に示すように、ガイドフィルムの先端あるいは切欠部の先端からマスタの先端部が突出し、各突出部の内側にマスタの先端部が位置している状態、すなわち、案内部の一部からマスタロールの先端部の一部が突出している状態を含む。
【0093】
図16、図17は、本発明の第3の実施例に用いられる孔版印刷装置要部を示している。この孔版印刷装置は、第1及び第2の実施例に用いられる孔版印刷装置と比較すると、補助クランパー65を有する点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。
【0094】
補助クランパー65は、クランプ部材65A,65Bから主に構成されている。各クランプ部材65A,65Bは基端を孔版印刷装置本体に回動自在に支持された支軸65a,65bにそれぞれ取り付けられており、図示しない開閉手段によって図16の実線位置と二点鎖線位置とに選択的に位置決めされる。各クランプ部材65A,65Bの自由端側は、図17に示すように、各切欠部9f,9g,9h,9iと同様にマスタ挟持部28,29との干渉を回避すべく切り欠かれている。
【0095】
上記構成とすることにより、マスタ貯容器1の初期セット時において、マスタ挟持部28,29を開放すると共にクランプ部材65A,65Bを図16の実線位置に位置決めする。この状態でマスタ挟持部28,29に案内部9Bを挿入し、その後、図示しない開閉手段を作動させてクランプ部材65A,65Bを図の二点鎖線位置に位置決めする。その後、マスタ貯容器1を上方に引き抜くことにより、補助クランパー65が案内部9Bの先端を挟持しているので、マスタ抜けやマスタ破れを防止することができる。
【0096】
また、クランプ部材65A,65Bにゴム等からなる高摩擦抵抗部材である滑り止め部材を設け、カセットの案内部9Bとマスタとの摩擦力よりも滑り止め部材とマスタとの摩擦力よりも大きくすることで、より確実に初期セット時のマスタ抜けを防止することができる。
【0097】
上記各実施例において、マスタ挟持搬送手段6として、上搬送クランパー28A,29Aのマスタ2の熱可塑性樹脂フィルムと当接する面にやすり等の高摩擦抵抗部材を設けることにより、搬送時における先端部2Aの挟持力が向上するためマスタ抜けを防止することができる。また、これにより、ベース強度が弱く熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体との剥離等を発生し易いマスタでも確実に搬送することが可能となる。この剥離等の不具合は、繊維目を防止するために多孔性支持体と熱可塑性樹脂フィルムとを接着する接着剤を少なくしたマスタ等で発生し易い。また、多孔性支持体と当接する側に高摩擦抵抗部材を設けると、多孔性支持体からのかすが高摩擦抵抗部材に付着して挟持力が低下したり、上記かすが版胴に付着して画像に悪影響を及ぼす虞があり望ましくない。
【0098】
上記各実施例では、クランパー24に対して先端部2Aを上方から搬送すべくマスタロール2Rの配設位置と版胴4のマスタ係止位置とが設定されているため、マスタ挾持搬送手段6を垂直方向に往復移動させる構成としたが、この構成に限定されるものではない。クランパー24に対して先端部2Aを水平方向から搬送挿入すべくマスタロール2Rの配設位置と版胴4のマスタ係止位置とを設定した場合には、マスタ挾持搬送手段6を水平方向に往復移動させるべく長孔51,52を水平に設け、回動軸44を回転させて長孔51内を走行させるようにすればよい。また、この場合には、ラック48を必ずしも設けてなくともよい。
【0099】
また、上記各実施例では、先端部2Aをマスタ挟持部28,29で挟持し、製版手段3でマスタ2を製版しつつ、製版済みのマスタ2をマスタ挟持搬送手段6を用いて搬送してクランパー24まで搬送して係止する構成としているが、先端部2Aをマスタ挟持部28,29で挟持し、製版前にクランパー24までマスタ挟持搬送手段6を用いてマスタ2を搬送し、クランパー24による係止後にマスタ2に対する製版を行ってもよい。ただし、外周面4aに巻装される1枚の製版済みのマスタ2の長さは、外周面4aの円周長によってその長さが制限されるため、製版済みのマスタ2の製版領域が減少してしまうことがある。したがって、この場合にはマスタ挟持搬送手段6の往復移動範囲を少なくし、かつ版胴4のマスタ係止位置をよりマスタ挟持搬送手段6寄りに設定することで、マスタ2における未製版領域を減少させて製版領域を確保すればよい。
【0100】
また、上記各実施例では、先端部2Aをマスタ挟持部28,29で挟持した後に切断手段7で所定の長さに切断しているが、比較的帯電しにくいマスタまたは帯電しにくい環境下の場合には、マスタ2の巻き付き等の不具合がほとんど発生しないので、マスタ挟持部28,29での挟持後に製版済みのマスタ2を切断しなくともよい。
【0101】
上記各実施例中、切断手段7をフレーム32に装着し、マスタ挟持搬送手段6の往復動作に伴い切断手段7を一体的に移動させるように構成したが、これに限らず、孔版印刷装置の図示しないフレーム等に切断手段7を装着して、マスタ挟持搬送手段6と切断手段7とを別々に設けても無論構わない。この場合、マスタ挟持搬送手段6が第1の位置を占めるときのマスタ挟持部28,29よりもマスタ搬送方向Xの下流側に切断手段7を配置する。また、切断手段7として円形刃部40を摺動させるロータリーカッターを例示したが、固定刃に対して可動刃を回転させるタイプや所謂ギロチンタイプのもの、さらには熱線方式等の周知のものを採用してもよい。
【0102】
【発明の効果】
請求項1ないし3記載の発明によれば、マスタ貯容器の初期セット時において、案内部を介してマスタの先端部をマスタ挟持部が挟持するので、マスタ貯容器から確実にマスタの先端部及びマスタ自体を引き出すことができ、簡単かつ確実な着脱作業性を確保することができる。
【0103】
請求項記載の発明によれば、マスタの搬送路が開放されるのでマスタのジャム処理や製版搬送系のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0104】
請求項記載の発明によれば、マスタ貯容器セット位置において搬送ローラー対及びプラテンローラーがマスタ貯容器のガイドとして機能するので、マスタ貯容器を容易にセットすることができる。
【0105】
請求項記載の発明によれば、マスタ貯容器がマスタ貯容器装着部に装着された後に搬送ローラー対及びプラテンローラーが製版位置に移動されるので、マスタ貯容器との干渉が防止される。
【0106】
請求項記載の発明によれば、搬送時におけるマスタの先端部の挟持力が向上するため、マスタ挟持部からのマスタの先端部の抜けを防止することができる。また、強度が弱く熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体との剥離等を発生し易いマスタでも確実に搬送することが可能となる。
【0107】
請求項記載の発明によれば、補助クランパーが案内部の先端を挟持しているので、マスタ挟持部からのマスタの先端部の抜けやマスタの破れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す孔版印刷装置の概略図である。
【図2】本発明の第1の実施例に用いられるマスタ貯容器の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に用いられるマスタ貯容器の平面図である。
【図4】本発明の第1の実施例に用いられるマスタ貯容器の案内部を説明する拡大図である。
【図5】本発明の第1の実施例におけるマスタ貯容器の装着を説明する図である。
【図6】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられるマスタ挟持搬送手段の第1の位置と第2の位置及び挟持位置と離脱位置とを説明する平面図である。
【図7】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられるマスタ挟持搬送手段を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられるマスタ挟持搬送手段のマスタ挟持部移動手段を説明する図である。
【図9】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられるマスタ挟持搬送手段の変位手段を説明する図である。
【図10】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられる制御手段のブロック図である。
【図11】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられるマスタ挟持搬送手段の第1の位置における挟持位置を説明する平面図である。
【図12】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられるマスタ挟持搬送手段の第1の位置における挟持位置を説明する側面図である。
【図13】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられるマスタ挟持搬送手段の第2の位置における挟持位置を説明する平面図である。
【図14】本発明の第1ないし第3の各実施例に用いられるマスタ挟持搬送手段の第2の位置における挟持位置を説明する側面図である。
【図15】本発明の第2の実施例に用いられるマスタ貯容器の案内部を説明する拡大図である。
【図16】本発明の第3の実施例に用いられる補助クランパーを説明する図である。
【図17】本発明の第3の実施例に用いられる補助クランパーの平面図である。
【図18】本発明の第1及び第2の実施例の変形例に用いられるマスタ貯容器の平面図である。
【図19】本発明の第1及び第2の実施例の他の変形例に用いられるマスタ貯容器の平面図である。
【符号の説明】
1,61 マスタ貯容器
2 マスタ
2A 先端部
2R マスタロール
3 製版手段
4 版胴
4a 外周面
5 マスタ係止手段
6 マスタ挟持搬送手段
7 切断手段
9B,62A 案内部
9c,62a 第1の突出部(上突出部)
9d,62b 第2の突出部(下突出部)
10 マスタ貯容器装着部
11a,11b,11c,11d,11e,11f,11g,11h,63a,63b,63c,63d 薄板部材(ガイドフィルム)
26,27 搬送ローラー対(ローラー部材)
28,29 マスタ挟持部
28C,29C マスタ挟持部開閉手段(電磁ソレノイド)
31 マスタ挟持部移動手段
65 補助クランパー
68 検知手段(マスタ貯容器検知センサー)
X マスタ搬送方向

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタをロール状に巻成してなるマスタロールの導出を行う案内部を有し、前記案内部から前記マスタロールの先端部を突出させたマスタ貯容器を装着するマスタ貯容器装着部と、
    前記マスタ貯容器より導出された前記マスタに対して画像情報に応じた製版を行いつつ搬送する製版手段と、
    前記製版手段で搬送された前記マスタを一定の長さに切断する切断手段と、
    前記マスタの先端部を挟持するマスタ係止手段を外周面の一部に具備した版胴と、
    前記マスタの先端部を挟持しつつ搬送するマスタ挟持部と、前記マスタ挟持部を前記製版手段に近接する第1の位置と前記マスタ係止手段に近接する第2の位置との間で移動させるマスタ挟持部移動手段と、前記マスタ挟持部を前記マスタの先端部を挟持する閉塞位置と前記マスタの先端部の挟持を解除する開放位置とに開閉動作させるマスタ挟持部開閉手段とを有するマスタ挟持搬送手段とを具備した印刷装置であって、
    前記マスタ貯容器の初期セット時において、前記案内部が第1の位置で開放態位に置かれた前記マスタ挟持部へ挿入された後、前記マスタ挟持部開閉手段により前記マスタ挟持部を閉塞させ前記案内部を介して前記マスタの先端部を前記マスタ挟持部で挟持し、前記マスタ挟持部が前記案内部上を摺動した後に前記案内部より滑落することによって前記マスタ挟持搬送手段が前記マスタの先端部のみを挟持することを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置において、
    前記案内部が第1の位置で開放態位に置かれた前記マスタ挟持部へ挿入されたことを検知する検知手段を有し、該検知手段からの信号に基づいて前記マスタ挟持部開閉手段により前記マスタ挟持部を閉塞させることを特徴とする印刷装置
  3. 請求項1または2記載の印刷装置において、
    前記マスタ挟持搬送手段が第2の位置を占め、前記マスタの先端部が前記マスタ係止手段に係止された後に前記マスタ貯容器が前記マスタ貯容器装着部に装着されることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか1つに記載の印刷装置において、
    前記マスタの搬送を行う搬送ローラー対を有すると共に前記製版手段がプラテンローラーを有し、前記搬送ローラー対及び前記プラテンローラーは、製版動作を行う製版位置と、前記マスタ貯容器装着部に前記マスタ貯容器を装着する、前記マスタの搬送路が開放されるマスタ貯容器セット位置とにそれぞれ選択的に移動自在に設けられていることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項4記載の印刷装置において、
    前記搬送ローラー対及び前記プラテンローラーは、マスタ貯容器セット位置において前記マスタ貯容器のガイドとして機能することを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項4または5記載の印刷装置において、
    前記搬送ローラー対及び前記プラテンローラーは、前記マスタ貯容器が前記マスタ貯容器装着部に装着された後に製版位置に移動されることを特徴とする印刷装置。
  7. 請求項1ないし6の何れか1つに記載の印刷装置において、
    前記マスタ挟持部は前記マスタの前記熱可塑性樹脂フィルムと接触する部位に高摩擦抵抗部材を有することを特徴とする印刷装置。
  8. 請求項1ないし7の何れか1つに記載の印刷装置において、
    前記案内部が第1の位置で開放された前記マスタ挟持部へ挿入された後に、前記マスタ挟持部と共に前記マスタの先端部を挟持する補助クランパーを有することを特徴とする印刷装置。
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