JP2000204146A - 高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法 - Google Patents

高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法

Info

Publication number
JP2000204146A
JP2000204146A JP11130664A JP13066499A JP2000204146A JP 2000204146 A JP2000204146 A JP 2000204146A JP 11130664 A JP11130664 A JP 11130664A JP 13066499 A JP13066499 A JP 13066499A JP 2000204146 A JP2000204146 A JP 2000204146A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
aliphatic
acid
group
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11130664A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3263728B2 (ja
Inventor
Takashi Masuda
隆志 増田
Yutaka Ishigami
裕 石上
Hiroshi Sakaguchi
豁 坂口
Kazuo Nakayama
和郎 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP13066499A priority Critical patent/JP3263728B2/ja
Publication of JP2000204146A publication Critical patent/JP2000204146A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3263728B2 publication Critical patent/JP3263728B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 色調にすぐれる上、実用上充分な程度の融解
温度をもち、機械的強度及び加工性に優れている新規な
構造を有する脂肪族ポリエステル系重合体を工業的に有
利に製造する方法を提供すること。 【解決手段】 脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル
と、脂肪族ジオールとからなる反応原料を、酸性リン化
合物の存在下で重縮合反応させることを特徴とする脂肪
族ポリエステル系重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、線状構造を有する
脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンや芳香族ポリエステル等
の合成高分子は、日常生活に欠かせない原材料として大
量に使われているが、これらの合成高分子は、自然環境
で分解されないことから、廃棄高分子の増加に伴って環
境問題が顕在化している。このため、生分解性プラスチ
ックの開発が進められており、生分解性を有する高分子
として、脂肪族ポリエステルが注目されている。しか
し、従来の脂肪族ポリエステルはコストや強度等で解決
すべき問題が多い。例えば、微生物が生産するポリヒド
ロキシブチレートは融解温度が高く、性能の良いポリエ
ステルであるが、融解温度と分解温度の差が少ないこと
から成形時に熱分解して物性の低下や臭気発生等の問題
を起し易い上に、微生物により生産される高分子である
ことから生産性が低く、コスト高である。また、ポリカ
プロラクトンは現在工業生産されている数少ない脂肪族
ポリエステルであるが、融解温度が約60℃と低いこと
から用途が制限される。さらに、ヒドロキシカルボン酸
の重合体は生分解性の良い重合体として注目されてお
り、特に乳酸の重合体は生体吸収材料に使われている
が、その製造工程は複雑である。
【0003】上記の脂肪族ポリエステルの製造や性能に
関する諸問題を解決するため、脂肪族ジカルボン酸又は
その無水物とグリコールの重縮合で得られるポリエステ
ルが注目されている。このポリエステルの製造法は古く
から知られており、酸としてはコハク酸、アジピン酸、
スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を使
い、グリコールにはエチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−シクロヘキサンジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール等を使う方法が報告され
ている。そして、コハク酸を原料とする重合体は融解温
度が70℃以上と報告されている。しかし、このような
重合体はいずれも数平均分子量が数千程度と低いことか
ら、フィルムや繊維にできる程度の機械的強度がない。
【0004】最近、脂肪族ポリエステルが生分解性プラ
スチックとして脚光を浴びており、そのため下記に示す
ように数平均分子量が大きく、機械的強度の高いポリエ
ステルの製造法が多数提案されている。しかし、これら
の提案ではいずれも製造工程が増えるほか重合体の物性
も充分でなく満足できる方法は見当らない。特開平4−
189822号及び特開平4−189823号公報によ
れば、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体とグリコール
から数平均分子量1.5万程度の脂肪族ポリエステルを
製造し、これをジイソシアネートで架橋して分子量を増
やす方法が示されている。しかし、この方法ではミクロ
ゲルが生成して重合体品質を低下させる等の問題があ
る。また、特開平5−287041号及び287042
号公報によれば、脂肪族ジカルボン酸とグリコールと多
価イソシアネートの3者を共重合し、これによって数平
均分子量が高く、分子量分布の広い高分子を得ている。
この高分子は、分子量が高く、機械的強度が大きい上
に、分子量分布が広いことから溶融粘度が高く、フィル
ム等の成形品を製造するのに好適である。同様な目的
で、特開平5−287068号公報には、前記3成分の
他に、3,3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン
酸無水物を加えた4成分共重合体が、特開平5−295
071号公報には、前記3者の他に、ペンタエリスリト
ール等の多価アルコールを加えた4成分共重合体が提案
されている。しかし、これらの共重合体にはゲルが生成
する等の問題がある。このほか、特開平6−19237
4号公報には、脂肪族ジカルボン酸とグリコールと多価
アルコール又は多価カルボン酸とから低分子量脂肪族ポ
リエステルを合成し、これに末端がイソシアネート基と
なっている脂肪族ポリエステルを反応させ、ミクロゲル
不含の高分子量重合体を得る方法が提案されている。し
かし、この方法では製造工程が増加するという難点があ
る。
【0005】特願平5−238966号によれば、脂肪
族ジカルボン酸ではなく脂肪族ジカルボン酸ジエステル
とグリコール類を重縮合させることにより、実用的に十
分な強度を持つに足る分子量を有する脂肪族ポリエステ
ルの製造方法が提案されている。しかしながら、このよ
うな脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グリコール
の組み合わせより得られるほとんどの脂肪族ポリエステ
ルは、非常に低い融解温度を持つため実用的には好まし
くない。またこれらの脂肪族ポリエステル中で比較的高
い融解温度を持つものは、その生分解性が高くなく、や
はり生分解性プラスチックとしては好ましくない。
【0006】また、特願平8−143656号公報によ
れば、脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グリコー
ルにさらにカーボネート化合物を共重合させ、脂肪族ポ
リエステルカーボネートにすることにより、生分解性を
向上させることができ、さらにその共重合比を変化させ
ることにより生分解性を制御できることが提案されてい
る。しかしながら、このポリエステルカーボネートの場
合、カーボネート化合物を共重合することにより機械的
強度の低下が見られる。
【0007】一方、脂肪族ポリエステル系重合体の製造
方法においては、その反応触媒としては、チタンテトラ
イソプロポキシド等の一般的なエステル交換反応用触媒
g用いられている。しかしながら、この触媒の場合、そ
のポリエステル化反応速度が未だ不十分である上、得ら
れる重合体の色調が悪いという問題を含む。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、色調にすぐ
れる上、実用上充分な程度の融解温度をもち、機械的強
度及び加工性に優れている脂肪族ポリエステル系重合体
を工業的に有利に製造する方法を提供することをその課
題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、脂肪族ポリエステル
系重合体を製造する方法において、下記一般式(1)
【化11】 R11OOC−(R1)t−COOR11 (1) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基を示し、
11は水素、低級アルキル基又はアリール基を示し、t
は0又は1の数を示す)で表される脂肪族ジカルボン酸
又はそのエステルと、下記一般式(2)
【化12】HO−R2−OH (2) (式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を示す)
で表される脂肪族ジオールとからなる反応原料を、酸性
リン化合物の存在下で重縮合反応させることを特徴とす
る脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法が提供され
る。また、本発明によれば、脂肪族ポリエステル系重合
体を製造する方法において、下記一般式(3)
【化13】HO−R3−COOR12 (3) (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示し、
12は水素、低級アルキル基又アリール基を示す)で表
わされる脂肪族オキシカルボン酸もしくはそのエステル
(環状ジエステルを含む)及び下記一般式(4)
【化14】 (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示す)
で表わされるラクトンの中から選ばれる少なくとも1種
のオキシカルボン酸系化合物からなる反応原料を、酸性
リン化合物の存在下で重縮合反応させることを特徴とす
る脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法が提供され
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明では、その反応原料として
脂肪族ジカルボン酸又はそのエステルが用いられる。こ
のものは、下記一般式(1)で表される。
【化15】 R11OOC−(R1)t−COOR11 (1) 前記式中、R1は炭素数1〜12、好ましくは1〜10
の二価脂肪族基を示す。二価脂肪族基は、鎖状、環状飽
和又は不飽和のもの(エーテル結合を有していてもよい
アルキレン基又はアルケニレン基)であることができ
る。二価脂肪族基の具体例を示すと、−CH2−、−C2
4−、−CH2O−、−CH2OCH2−、−C36−、
−C48−、−C612−、−C816−、−C12
24−、−C12 22−等が挙げられる。tはゼロ又は1の
数を示し、tがゼロの場合には、前記一般式(5)で表
されるジカルボン酸成分は、シュウ酸(HOOC−CO
OH)を示し、tが1の場合には、ジカルボン酸成分は
11OOC−R1−COOR11で表されるジカルボン酸
又はそのエステルを示す。前記一般式(5)において、
そのR11は、水素、低級アルキル基又はアリール基を示
す。低級アルキル基としては、炭素数1〜6、好ましく
は1〜4のアルキル基が挙げられる。アリール基として
は、フェニル基等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン
酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、スベリ
ン酸、セバシン酸、ドデカン酸等が挙げられる。
【0011】本発明では、その反応原料として脂肪族ジ
オールが用いられる。このものは、下記一般式(2)で
表される。
【化16】HO−R2−OH (2) 前記式中、R2は炭素数1〜12、好ましくは2〜10
の飽和又は不飽和の二価脂肪族基を示す。この場合の脂
肪族基には、鎖状又は環状のアルキレン基、エーテル基
含有アルキレン基及びアルケニレン基が包含される。こ
のものの具体例としては、−CH2−、−C24−、−
36−、−C48−、−C612−、−C816−、−
1224−、−C1222−(ドデセニル)、−C610
−(シクロヘキセニル)、−CH2O−、−CH2OCH
2−等が挙げられる。前記一般式(2)で表される脂肪
族ジオールの具体例としては、例えば、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール等が挙げられる。
【0012】本発明においては、前記脂肪族ジカルボン
酸又はそのエステルと脂肪族ジオールからなる反応原料
は、必要に応じ、その添加成分として、オキシカルボン
酸系化合物、炭酸エステル系化合物及びポリグリセリン
系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含
有することができる。
【0013】前記オキシカルボン酸系化合物は、下記一
般式(3)及び(4)で表される。
【化17】HO−R3−COOR12 (3)
【化18】 前記一般式(3)において、R3は、炭素数1〜10、
好ましくは1〜8の二価脂肪族基を示す。この場合の二
価脂肪族基には、鎖状、環状飽和又は不飽和のアルキル
基が包含される。R12は水素、低級アルキル基又はアリ
ール基を示す。前記オキシカルボン酸(3)としては、
グリコール酸、乳酸、ヒドロアルキル酸、α−オキシ酪
酸等が挙げられる。また、前記オキシカルボン酸はその
2分子が結合した環状ジエステル(ラクチド)であるこ
とができる。その具体例としは、グリコール酸から得ら
れるもの(グリコリド)や、乳酸から得られるもの等が
挙げられる。
【0014】ラクトン化合物を示す前記一般式(4)に
おいて、R3は、炭素数2〜10、好ましくは2〜5の
鎖状又は環状の二価脂肪族基を示す。この場合の二価脂
肪族基には、飽和又は不飽和のアルキレン基が包含され
る。前記ラクトンとしては、カプロラクトン、バレロラ
クトン、ラウロラクトン等が挙げられる。
【0015】前記炭酸エステル系化合物は、下記一般式
(5)で表される。
【化19】R13OCOOR14 (5) 前記式中、R13及びR14は低級アルキル基又はアリール
基を示すが、R13及びR14がいずれも低級アルキル基の
場合、相互に連結して環を形成していてもよい。低級ア
ルキル基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の
アルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニ
ル基等が挙げられる。
【0016】前記ポリグリセリン系化合物は、下記一般
式(6)で表される。
【化20】 HO−[C35(OR4)O]n−H (6) 前記式中、R4は水素又はアシル基を示し、nはグリセ
リンの平均重合度を示す。アシル基としては、下記一般
式(7)で表される脂肪族アシル基が包含される。
【化21】R15CO− (7) 前記式中、R15は脂肪族基であり、その炭素数は1〜2
0、好ましくは1〜6である。その具体例としては、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ドデシ
ル、オクタデシル等が挙げられる。グリセリンの平均重
合度nは1より多い数で、その上限値は30程度であ
る。一般的には、nは1.5以上で、好ましくは2〜1
0である。
【0017】本発明においては、反応原料に対し、さら
に、生成する重合体の生分解性や物性の制御を目的とし
て、グリセリンやペンタエリスルトール等の3価〜6価
のアルコールや、リンゴ酸、クエン酸等のオキシ多価カ
ルボン酸、ジイソシアネート、オルトギ酸エステル等の
補助成分を添加することができる。
【0018】本発明で用いる前記脂肪族ジカルボン酸又
はそのエステルと脂肪族ジオールからなる反応原料にお
いて、その脂肪族ジオールの使用割合は、反応原料中に
含まれる全カルボン酸又はそのエステル1モル当り、2
〜1モル、好ましくは1.6〜1.05モルの割合であ
る。
【0019】本発明で必要に応じて用いる前記オキシカ
ルボン酸系化合物の使用割合は、生成する重合体中に含
まれる全エステル部に対するそのオキシカルボン酸系化
合物に由来するエステル部(オキシカルボン酸エステル
部)のモル分率が0.02〜0.3、好ましくは0.0
5〜0.2の範囲になるような割合である。
【0020】本発明で必要に応じて用いる前記炭酸エス
テル系化合物の使用割合は、生成する重合体中に含まれ
る全エステル部に対するその炭酸エステルに由来するエ
ステル部(炭酸エステル部)のモル分率が0.02〜
0.3、好ましくは0.05〜0.2の範囲になるよう
な割合である。
【0021】本発明で必要に応じて用いる前記ポリグリ
セリン系化合物の使用割合は、生成する重合体中に含ま
れる全エステル部に対するそのポリグリセリン系化合物
に由来するエステル部(エーテル含有エステル部)のモ
ル分率が0.0005〜0.005、好ましくは0.0
01〜0.004の範囲になるような割合である。
【0022】本発明で必要に応じて用いられる前記グリ
コール酸、ジグリコール酸又はそのジエステルの使用割
合は、生成する重合体中に含まれる全エステル部に対す
るそのグリコール酸又はそのジエステルに由来するエス
テル部(グリコール酸エステル部)のモル分率が0.0
2〜0.3、好ましくは0.05〜0.2の範囲になる
ような割合である。
【0023】本発明で必要に応じて重合体の生分解性や
物性の制御するために用いる補助成分(ペンタエリスル
トール、グリセリン等の3価〜6価のアルコール、リン
ゴ酸、クエン酸等のオキシ基を有する多価カルボン酸、
ジイソシアネート)は、生成する重合体中に含まれる全
エステル部に対するそれら補助成分に由来するエステル
部(補助成分エステル部)のモル分率が0.005〜
0.05、好ましくは0.001〜0.004の範囲に
なるような割合である。
【0024】本発明で用いる脂肪族ジカルボン酸又はそ
のエステル及び脂肪族ジオール以外の添加成分の合計量
は、生成する重合体に含まれる全エステルに対するそれ
らの全添加成分に由来するエステル部(全添加成分エス
テル部)のモル分率が0.3以下、好ましくは0.2以
下となるような割合である。
【0025】本発明で用いる反応原料は、前記一般式
(3)及び(4)で表されるオキシカルボン酸系化合物
の中から選ばれる少なくとも1種からなるものであるこ
とができる。この反応原料は、必要に応じ、その添加成
分として、前記一般式(5)で表される炭酸エステル系
化合物や前記一般式(6)で表されるポリグリセリン系
化合物を含有することができ、さらに、グリコール酸、
ジグリコール酸又はそのジエステルを含有することがで
きる。前記オキシカルボン酸系化合物からなる反応原料
の場合、オキシカルボン酸系化合物以外の添加成分の合
計量は、生成する重合体に含まれる全エステル部に対す
るそれらの全添加成分に由来するエステル部(全添加成
分エステル部)のモル分率が0.3以下、好ましくは
0.2以下となるような割合である。
【0026】本発明の脂肪族ポリエステル系重合体の製
造方法は、その重合体製造における反応系に、その反応
触媒として、酸性リン化合物を存在させることによって
実施することができる。
【0027】本発明で用いる酸性リン化合物とはP−H
結合やP−(OH)結合を有するリン化合物及び反応系
内で分解して、それらP−H結合やP−(OH)結合を
有するリン化合物を生成する化合物を意味する。このよ
うな酸性リン化合物には、次亜リン酸、ピロ亜リン酸、
亜リン酸、次リン酸、リン酸、ピロリン酸、三リン酸、
メタリン酸、ペルオクロリン酸及びそれらの塩やエステ
ル等が包含される。本発明では、特にリン酸及びピロリ
ン酸の使用が好ましい。
【0028】本発明で用いる酸性リン化合物は、脂肪族
ポリエステル系重合体製造用触媒としてすぐれた作用を
示し、従来一般的に用いられているチタンテトライソプ
ロキシド等のエステル交換触媒に比べて、色調の良い高
品質の重合体を与える。本発明で触媒として酸性リン化
合物を用いることによる他の大きな利点は、この酸性リ
ン化合物は、ポリエステル鎖に対する連結剤として作用
して、重合体分子に結合導入されることである。このリ
ン化合物を含有する重合体は、そのリン化合物を含まな
い重合体に比べて、色調の点で著しく改善されたもので
ある他、分子中に含有されるリン酸エステル部が、重合
体の加水分解や生分解を促進させることから、重合体を
再生利用するケミカルリサイクル性の点で著しく改善さ
れ、環境調和型高分子として有利に適用される。
【0029】本発明で用いる酸性リン化合物の使用量
は、得られる重合体中に含まれる全エステル部に対する
その酸性リン化合物に由来するエステル部(リン酸エス
テル部)のモル分率が1×10-7〜0.01、好ましく
は0.001〜0.06の範囲になるような割合であ
る。一般的には、反応原料中に含まれる全カルボキシル
基含有化合物1モル当り、0.5×10-7〜0.04モ
ル、好ましくは0.005〜0.03モルの割合であ
る。
【0030】本発明により酸性リン化合物の存在下で反
応原料を重縮合反応させる場合、その反応温度は、その
反応により生成する水や含OH化合物(アルコール等)
等の副生物が反応系において気体として存在する温度で
ある。例えば、反応により生成する副生物がメタノール
の場合、常圧下での反応温度は100〜300℃、好ま
しくは120〜250℃である。その反応圧力は、常
圧、減圧又はやや加圧であるが、好ましくは常圧であ
る。本発明では、この反応で生成する副生物は、これを
反応系から除去する。このためには、その反応を副生物
である水又は含OH化合物が気相に保持される温度及び
圧力の条件下で実施するとともに、その気相状態にある
副生物を、反応系を減圧にしたり、窒素ガスを流通する
等して、反応系から排出させる。また、その反応を、蒸
留塔の結合した反応器(反応蒸留塔)を用いて行い、反
応で生成した副生物をその蒸留塔から連続的に留出させ
る。このような反応において、高分子量の重合体を効率
よく得るには、反応がある程度進行して、数平均分子量
が500〜10000、好ましくは1000〜5000
の末端に脂肪族ジオールの結合した生成物が得られた時
点で、その反応温度を高めたり、圧力を減圧にする等反
応条件を変えて、脂肪族ジオールを脱離させながら重縮
合させるのがよい。この場合の反応条件は、脱離する脂
肪族ジオールが気体として存在する条件であり、温度と
圧力を調節することにより形成することができる。
【0031】本発明により脂肪族ポリエステルを生成す
る場合、その触媒としては、酸性リン化合物とともに、
従来公知の各種のエステル交換反応用触媒を用いること
ができる。このような触媒としては、リチウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バ
リウムなどのアルカリ土類金属、スズ、アンチモン、ゲ
ルマニウム等の典型金属、鉛、亜鉛、カドミウム、マン
ガン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、チタン、鉄
等の遷移金属、ビスマス、ニオブ、ランタン、サマリウ
ム、ユウロピウム、エルビウム、イッテルビウム等のラ
ンタノイド金属等の各種金属の化合物、アルコラート、
アセチルアセトネートキレート等を挙げることができ
る。また含窒素塩基性化合物や、ホウ酸、ホウ酸エステ
ルなども触媒として用いられる。
【0032】アルカリ金属化合物としては、具体的に
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、
酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸リチウム、水酸化ホウ素ナトリウム、
水酸化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、
安息香酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二
水素カリウム、リン酸二水素リチウムなどが挙げられ
る。
【0033】アルカリ土類金属化合物としては、具体的
には、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水
素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロン
チウムなどが挙げられる。
【0034】典型金属化合物としては、具体的には、ジ
ブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、三酸
化アンチモン、酸化ゲルマニウム、炭酸ビスマスオキシ
ド、酢酸ビスマスオキシドなどが挙げられる。
【0035】遷移金属化合物としては、具体的には、酢
酸鉛、酢酸亜鉛、アセチルアセトネート亜鉛、酢酸カド
ニウム、酢酸マンガン、マンガンアセチルアセトネー
ト、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、酢
酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、酢酸ジル
コニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸チ
タン、テトラプトキシチタネート、テトライソプロポキ
シチタネート、チタニウムオキシアセチルアセトネー
ト、酢酸鉄、アセチルアセトネート鉄、酢酸ニオブなど
が挙げられる。
【0036】希土類化合物としては、酢酸ランタン、酢
酸サマリウム、酢酸ユウロピウム、酢酸エルビウム、酢
酸イッテルビウムなどが挙げられる。
【0037】含窒素塩基性化合物としては、具体的に
は、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロオキシド、テトラブチウアン
モニウムヒドロオキシド、トリメチルフェニルアンモニ
ウムヒドロオキシド、トリメチルベンジルアンモニウム
ヒドロオキシドなどの四置換アンモニウムヒドロオキシ
ド類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル
ベンジルアミン、トリフェニルアミンなどの三級アミン
類、R2NH(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキ
ル、フェニル、トルイルなどのアリール基である)で示
される二級アミン類、RNH2(式中、Rは上記と同じ
である)で示される一級アミン類、あるいはアンモニ
ア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テト
タブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチル
アンモニウムテトラフェニルボレート、テトラメチルア
ンモニウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩など
が挙げられる。これらのうち、テトラアルキルアンモニ
ウムヒドロオキシド類が特に好ましい。
【0038】ホウ酸エステルとしては、具体的には、ホ
ウ酸トリメチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリヘプ
チル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリトリル、ホウ酸
トリナフチルなどが挙げられる。
【0039】これらの触媒は、単独で用いても、2種以
上組合せて用いてもよい。また、これらの触媒は、反応
原料中に含まれるカルボキシル基含有化合物の合計量1
モルに対して、10-7〜10-3モル、好ましくは10-6
〜5×10-4モルの割合で用いる。この範囲より多くな
ると反応時のポリマーの熱分解、架橋、着色等の原因と
なり、好ましくない。
【0040】本発明の脂肪族ポリエステル系重合体を好
ましく製造する他の方法は、予備重縮合反応工程(第1
工程)と、その予備重縮合物を高分子化させる高分子化
工程(第2工程)からなる方法である。前記予備重縮合
工程においては、前記反応原料を、酸性リン化合物の存
在下で重縮合反応させる。前記リンエステルの存在下で
反応原料を重縮合反応させる場合、その反応温度は、そ
の反応により生成する副生物が反応系において気体とし
て存在する温度である。その反応圧力は、常圧、減圧又
はやや加圧であるが、好ましくは常圧である。この反応
で生成する副生物は、これを反応系から除去する。この
ためには、その反応を副生物が気相に保持される温度及
び圧力の条件下で実施するとともに、その気相状態にあ
る副生物を、反応系を減圧にしたり、窒素ガスを流通す
る等して、反応系から排出させる。また、その反応を、
蒸留塔の結合した反応器(反応蒸留塔)を用いて行い、
反応で生成した副生物をその蒸留塔から連続的に留出さ
せる。前記重縮合反応では、反応原料成分の重縮合反応
とともに、反応系に存在する酸性リン化合物がポリエス
エル鎖と反応する。酸性リン化合物がポリエステル鎖と
反応し、酸性リン化合物が反応系に存在しなくなるかそ
の量が微量になるか又は反応速度が非常に遅くなると、
その酸性リン化合物による触媒効果が得られなくなり、
反応は実質上停止した状態になる。このことは、副生物
の生成が停止することによって確認することができる。
このようにして得られるポリエステルの分子量は、その
リン酸エステルの使用量等により変化するが、一般的に
は、数平均分子量で20000〜100000、好まし
くは40000〜80000である。また、この反応生
成物中の副生物(水又はアルコール)の濃度は、3重量
%以下、好ましくは1.5重量%以下である。この場合
の予備重縮合工程での反応速度は非常に速く、その反応
時間は20時間〜4日である。
【0041】次に、前記のようにして選られる予備重縮
合反応生成物の高分子量化反応を行うために、その反応
生成物に慣用のエステル交換反応用触媒を加え、さらに
反応を継続する。この高分子量化工程においては、低分
子量の縮合物の末端に結合する脂肪族グリコールを脱離
させながら縮合させて高分子量の縮合物を生成させる工
程であり、この工程により、数平均分子量が2万以上の
縮合物を生成させることができる。この場合の反応条件
は、副生する脂肪族グリコールが気体として存在し得る
条件であればよい。この高分子量化工程は、前記予備縮
合工程を実施する反応装置と同じ装置または攪拌効率の
良い本重合装置で実施することができる。同じ装置を用
いる場合は、予備縮合反応の終了後に、反応条件を変え
て、例えば、反応温度を高くしかつ反応圧力を低くし
て、予備縮合体の縮合反応を行えばよい。その反応圧力
は常圧ないし減圧であるが、常圧の使用が好ましい。減
圧を採用する場合、その圧力は、通常、0.5〜3トー
ル、好ましくは1トール以下である。その圧力の下限値
は、特に制約されないが、通常、0.5〜1トール程度
である。反応時間は、90〜600分程度である。
【0042】本発明の脂肪族ポリエステル系重合体を製
造するための他の方法は、酸性リン化合物の存在下で、
従来公知の脂肪族ポリエステル系重合体と多価脂肪族ア
ルコールやポリエステルオリゴマー、オキシカルボン酸
系化合物等の反応原料を反応させる方法である。この反
応は、減圧、常圧又はやや加圧下で行われる。反応温度
は反応原料として用いるポリエステル系重合体、例えば
脂肪族ポリエステルカーボネートが溶融し、反応圧力下
においてポリエステル系重合体由来のジオールが気体と
して存在し得る温度である。この反応で副生するジオー
ルは、反応系内に不活性ガスを流通させたり、反応装置
として反応蒸留塔を用いること等により、反応系外へ迅
速に排出させる。反応原料として用いる脂肪族ポリエス
テルの数平均分子量は、通常、115〜10000、好
ましくは200〜10000である。このものは、従来
公知の方法に従って製造することができる。例えば、脂
肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グリコールとオキ
シ酸エステルを縮合させることにより得ることができ
る。この反応を行う場合、脂肪族ポリエステルの製造と
このポリエステルと多価脂肪族アルコールやオキシカル
ボン酸系化合物等の反応原料との反応を同じ反応装置で
実施することもでき、この場合は脂肪族ポリエステルの
製造後多価脂肪族アルコール等の反応原料を添加し、反
応条件を変えて、例えば、反応温度を高くしかつ反応圧
力を低くして、さらに重縮合を行えばよい。
【0043】本発明における脂肪族ジカルボン酸成分と
脂肪族ジオール成分を含む反応原料の中の成分組成の使
用モル比を示すと次の通りである。 1.0≦(B)/(A)≦1.6 0.02≦(C+D)/(A+C)≦0.30 0.02≦(A+D)/(A+C)≦0.20 前記式中、(A)は脂肪族ジカルボン酸又はそのエステ
ルの使用モル数、(B)は脂肪族ジオールの使用モル
数、Cはオキシカルボン酸系化合物の使用モル数、Dは
その他のカルボキシル基含有化合物及び炭酸エステルの
使用モル数を示す。
【0044】本発明の重合体の1つの態様は、下記一般
式(8) (−CO−(R1)t−CO−O−R2−O−) (8) で表されるエーテル基含有エステル部を含有するととも
に、下記一般式(9) (−CO−R3−O−) (9) (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表されるオキシカルボン酸エステル部をモル分率
0.01〜0.3、好ましくは0.05〜0.2の割合
で含むか及び/又は、下記一般式(10) (−OCOO−) (10) で表される炭酸エステル部をモル分率0.01〜0.
3、好ましくは0.05〜0.2の割合で含むか及び/
又は、下記一般式(11) (−CO−(R1)t−CO−O−[C35(OR4)O]n−) (11) (式中、R1及びtは前記と同じ意味を有しR4は水素又
はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大きな数を
示す)で表されるエーテル基含有エステル部をモル分率
0.0001〜0.005、好ましくは0.001〜
0.004の割合で含む脂肪族ポリエステル系重合体で
ある。
【0045】本発明の重合体の他の態様は、下記一般式
(9) (−CO−R3−O−) (9) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示す)
で表されるオキシカルボン酸エステル部を含むととも
に、下記一般式(10) (−OCOO−) (10) で表される炭酸エステル部をモル分率で0.01〜0.
3、好ましくは0.05〜0.2の割合で含むか及び/
又は、下記一般式(11) (−CO−(R1)t−CO−O−[C35(OR4)O]n−) (11) (式中、Rは炭素数1〜12の脂肪族基を示し、R
は水素又はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大
きな酸を示し、tは0又は1の数を示す)で表されるエ
ーテル基含有エステル部をモル分率で0.0001〜
0.005、好ましくは0.001〜0.004の割合
で含有する脂肪族ポリエステル系重合体である。
【0046】本発明による重合体は、その分子中に酸性
リン化合物由来のエステル部を含有するが、このリン含
有エステル部は、2〜3個のポリエステル鎖と結合して
おり、その分子中含有量は、分子中に含まれる全エステ
ル部に対するモル分率で、1×10-7〜0.01、好ま
しくは0.001〜0.06である。また、リン原子換
算量では、重合体中、通常、1×10-5〜10重量%、
好ましくは1×10-4〜3重量%である。
【0047】本発明で得られる重合体は、実質的に線状
構造を有し、ゲル構造を有しないもので、2万以上、好
ましくは3万以上の数平均分子量を有するものである。
本発明の重合体は、その分子中に、酸性リン化合物由来
の連結構造を有することから、高められた融解温度を有
するとともに、機械的強度及び加工性にすぐれたもので
ある。さらに、生分解性を有し、またアルコール分解
や、加水分解により原料回収が可能であることから、良
好なケミカルリサイクル性有する高分子でもある。
【0048】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
る。脂肪族ポリエステルの種々の物性値は下記の方法に
よって測定した。 (分子量及び分子量分布)ゲルパーミエーションクロマ
トグラフ(GPC)法を用いて標準ポリスチレンから校
正曲線を作成し、数平均分子量(Mn)、重量平均分子
量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。溶
離液はクロロホルムを用いた。 (熱的性質)示差走査熱量分析装置(DSC)により融
解温度及びガラス転移点を求めた。また熱重量分析装置
(TG)により熱分解温度を求めた。
【0049】実施例1 撹拌羽つき内容量100ml四つ口フラスコに無水コハ
ク酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252ミ
リモル、リン酸(OP(OH)3)1.9ミリモルを仕
込み、窒素雰囲気下、145℃で反応を開始し、230
℃まで昇温し、水を流出させた。次いで、徐々に減圧
し、30分で真空度0.5Torrに到達した。その後
9時間反応を続けた。得られたポリマーは白色で、Mn
2.3万で、Mw/Mnは1.54であった。またその
融解温度は113.5℃であり、その熱分解温度は34
6.4℃であった。この高分子はリン酸、ナフィオン等
のプロトン触媒やフッ化ホウ素エーテラートのようなル
イス酸触媒でアルコール分解、または加水分解により原
料がほぼ定量的に回収された(反応温度120〜170
℃)、ケミカルリサイクル型高分子として有用であっ
た。
【0050】実施例2 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコにコハク
酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252ミリ
モル、チタンテトライソプロポキシド0.12ミリモル
とリン酸(OP(OH)3)0.04ミリモルを仕込
み、窒素雰囲気下、140℃で反応を開始し水の流出を
行った。次いで、230℃まで昇温し、水を流出させた
後、徐々に減圧し、真空度0.5Torrに到達させ
た。その後さらに5時間反応を続けた。得られたポリマ
ーは白色で、Mn5.2万、Mw/Mnは1.71であ
った。またその融解温度は114.1℃であり、その熱
分解温度は312.1℃であった。
【0051】実施例3 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコにコハク
酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252ミリ
モル、グリコール酸18ミリモル及びリン酸(OP(O
H)3)0.04ミリモルを仕込み、窒素雰囲気下、1
40℃で反応を開始し、水の流出を行った。次いで、2
30℃に昇温し、徐々に減圧し、0.5Torrに到達
させた。その後、常圧にもどし、チタンテトライソプロ
ポキシド0.12ミリモルとリン酸(OP(OH)3
0.04ミリモルを仕込み、かき混ぜながら徐々に減圧
にし、0.5Torrでさらに9時間反応を続けた。得
られたポリマーは白色で、Mn6.1万で、Mw/Mn
は1.50であった。またその融解温度は112℃であ
り、その熱分解温度は336℃であった。
【0052】実施例4 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコに無水コ
ハク酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252
ミリモル、及びリン酸(OP(OH)3)5.8ミリモ
ルを仕込み、窒素雰囲気下、140℃で反応を開始し、
水の流出を行った。次いで250℃まで昇温し、徐々に
減圧し、0.5Torrに到達させた。その後さらに2
時間反応を続けた。得られたポリマーは白色で、Mn
2.1万で、Mw/Mnは2.72であった。
【0053】実施例5 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコに無水コ
ハク酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252
ミリモル、チタンテトライソプロポキシド0.12ミリ
モル及びリン酸(OP(OH)3)5.8ミリモルを仕
込み、窒素雰囲気下、140℃で反応を開始し、水の流
出を行った。次いで250℃まで昇温し、徐々に減圧
し、0.5Torrに到達させた。その後さらに1時間
反応を続けた。得られたポリマーは白色で、Mn3.6
万で、Mw/Mnは3.61であった。
【0054】実施例6 撹拌羽つき内容量10リットルのステンレス製反応器に
コハク酸25.2モル、1,4−ブタンジオール32.
7モル、リン酸(OP(OH)3)5.41ミリモルを
仕込み、窒素雰囲気下、140℃で反応を開始し、水の
流出を行った。次いで徐々に230℃まで昇温し約10
Torrで30分かき混ぜた後、常圧にもどし、チタン
テトライソプロポキシド16.2ミリモルを仕込み、か
き混ぜながら徐々に減圧にし、0.5Torrでさらに
9時間反応を続けた。得られたポリマーは白色で、Mn
5.5万で、Mw/Mnは1.62であった。またその
融解温度は114.1℃であり、その熱分解温度は31
1.0℃であった。また、機械的強度を測定したとこ
ろ、降伏強度23.6MPa、破断強度30.7MPa
であった。また本ポリエステルの堆肥中での生分解性試
験を行ったところ、30℃における3週間後の重量減少
は12%であった。
【0055】実施例7 撹拌羽つき内容量100mlの四っ口フラスコにコハク
酸198ミリモル、1,4−ブタンジオール198ミリ
モル、リン酸(OP(OH)3)0.04ミリモルを仕込
み、窒素雰囲気下、140℃〜240℃で水の流出を行
った。約95%の水の流出の後、230℃でチタンテト
ライソプロポキシド0.12ミリモルを加え10分間か
きまぜた後、徐々に減圧にして、0.3Torrで2時
間30分反応を続けた。得られたポリマーは白色でMn
6.5万であった。リン化合物(OP(OH)3)を常圧
脱水後に加える場合(後記比較例1)に比べ重合時間が
著しく短縮されることがわかる。
【0056】実施例8 撹拌羽つき内容量120mlのステンレス製反応器にコ
ハク酸43.18kg、タンジオール34.27kg、
ε−カプロラクトン2.09kg、ジグリセリン0.0
06kg、チタンテトライソプロポキシド0.07k
g、リン酸0.008kgを仕込み、素雰囲気下、14
0℃で反応を開始し、水の流出を行った。次いで反応内
容物を内容量100lのステンレス製横型反応器に移
し、0.5Torrで4時間10分反応を行った。得ら
れたポリマーは白色で、Mn4.9万であった。脱水時
にリン化合物を共存させることにより、スケール拡大の
重合でも反応時間が短縮できることがわかった。
【0057】実施例9 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコにコハク
酸198ミリモル、1,4−ブタンジオール198ミリ
モル、リン酸(OP(OH)3)0.04ミリモル、酢
酸亜鉛0.12ミリモルを仕込み、窒素雰囲気下、14
0〜240℃で水を流出させた。その後、0.3Tor
rまで徐々に減圧にしながら270℃まで昇温し、15
時間反応させ、白色ポリマーを得た。分子量Mnは5.
3万であった。
【0058】比較例1 攪拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコにコハク
酸198ミリモル、1,4−ブタンジオール198ミリ
モル、チタンテトライソプロポキシド0.12ミリモル
を仕込み、窒素雰囲気下、140℃〜240℃で水の流
出を行った。約95%の水の流出後、240℃でリン酸
(OP(OH)3)0.04ミリモルを加え、10分間
かきまぜた後、徐々に減圧にして0.2Torrで8時
間30分反応を続けた。得られたポリマーは白色でMn
5.6万であった。
【0059】
【発明の効果】本発明の脂肪族ポリエステル系重合体は
全体として線状構造を有し、高められた耐熱性(融解温
度)を有するとともに、良好な機械的強度及び加工性を
有し、熱成形材料として有利に使用することができる。
しかも、この高分子量脂肪族ポリエステル系高分子は、
その脂肪族エステル結合に基づく生分解性とケミカルリ
サイクル性を有する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年2月21日(2000.2.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 高分子量脂肪族ポリエステル系重合体
の製造方法
【特許請求の範囲】
【化1】 R11OOC−(R)t−COOR11 (1) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示し、
11は水素、低級アルキル基又はアリール基を示し、
tは0又は1の数を示す)で表される脂肪族ジカルボン
酸又はそのエステルと、下記一般式(2)
【化2】HO−R−OH (2) (式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を示す)
で表される脂肪族ジオールとからなる反応原料を、無溶
媒下で、酸性リン化合物の存在下及びエステル交換反応
触媒の共存下で重縮合反応させることを特徴とする高分
子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法。
【化3】HO−R−COOR12 (3) (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
し、R12は水素、低級アルキル基又はアリール基を示
す)で表される脂肪族オキシカルボン酸もしくはそのエ
ステル(環状ジエステルを含む)及び下記一般式(4)
【化4】 (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表されるラクトンの中から選ばれる少なくとも1
種のオキシカルボン酸系化合物を含有する請求項1の方
法。
【化5】R13OCOOR14 (5) (式中、R13及びR14は低級アルキル基又はアリー
ル基を示すが、R13及びR14がいずれも低級アルキ
ル基の場合、相互に連結して環を形成していてもよい)
で表わされる炭酸エステル系化合物を含有する請求項1
又は2の方法。
【化6】 HO−[C(OR)O]n−H (6) (式中、Rは水素又はアシル基を示し、nは平均重合
度で1より大きい数を示す)で表わされるポリグリセリ
ン系化合物を含有する請求項1〜3のいずれかの方法。
【化7】HO−R−COOR12 (3) (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
し、R12は水素、低級アルキル基又アリール基を示
す)で表わされる脂肪族オキシカルボン酸もしくはその
エステル(環状ジエステルを含む)及び下記一般式
(4)
【化8】 (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表わされるラクトンの中から選ばれる少なくとも
1種のオキシカルボン酸系化合物からなる反応原料を、
無溶媒下で、酸性リン化合物の存在下及びエステル交換
反応用触媒の共存下で重縮合反応させることを特徴とす
高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法。
【化9】R13OCOOR14 (5) (式中、R13及びR14は低級アルキル基又はアリー
ル基を示すが、R13及びR14がいずれも低級アルキ
ル基の場合、相互に連結して環を形成していてもよい)
で表わされる炭酸エステル系化合物を含有する請求項5
の方法。
【化10】 HO−[C(OR)O]n−H (6) (式中、Rは水素又はアシル基を示し、nは平均重合
度で1より大きい数を示す)で表わされるポリグリセリ
ン系化合物を含有する請求項5又は6の方法。
請求項11数平均分子量が3万以上の高分子量脂
肪族ポリエステル系重合体を製造する方法において、下
記一般式(1)
化1111OOC−(R)t−COOR11 (1) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示し、
11は水素、低級アルキル基又はアリール基を示し、
tは0又は1の数を示す)で表される脂肪族ジカルボン
酸又はそのエステルと、下記一般式(2)
化12HO−R−OH (2) (式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を示す)
で表される脂肪族ジオールとからなる反応原料を、酸性
リン化合物の存在下又は酸性リン化合物とエステル交換
反応用触媒の存在下で予備重縮合反応させる第1工程
と、得られた予備重縮合生成物をエステル交換反応用触
媒の存在下で高分子量化する第2工程とからなることを
特徴とする高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造
方法。
請求項12該反応原料が、下記一般式(3)
化13HO−R−COOR12 (3) (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
し、R12は水素、低級アルキル基又はアリール基を示
す)で表される脂肪族オキシカルボン酸もしくはそのエ
ステル(環状ジエステルを含む)及び下記一般式(4)
化14 (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表されるラクトンの中から選ばれる少なくとも1
種のオキシカルボン酸系化合物を含有する請求項11の
方法。
請求項13該反応原料が下記一般式(5)
化1513OCOOR14 (5) (式中、R13及びR14は低級アルキル基又はアリー
ル基を示すが、R13及びR14がいずれも低級アルキ
ル基の場合、相互に連結して環を形成していてもよい)
で表わされる炭酸エステル系化合物を含有する請求項1
1又は12の方法。
請求項14該反応原料が、下記一般式(6)
化16HO−[C(OR)O]n−H (6) (式中、Rは水素又はアシル基を示し、nは平均重合
度で1より大きい数を示す)で表わされるポリグリセリ
ン系化合物を含有する請求項11〜13のいずれかの方
法。
請求項15数平均分子量が3万以上の高分子量脂
肪族ポリエステル系重合体を製造する方法において、下
記一般式(3)
化17HO−R−COOR12 (3) (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
し、R12は水素、低級アルキル基又アリール基を示
す)で表わされる脂肪族オキシカルボン酸もしくはその
エステル(環状ジエステルを含む)及び下記一般式
(4)
化18 (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表わされるラクトンの中から選ばれる少なくとも
1種のオキシカルボン酸系化合物からなる反応原料を、
無溶媒下で、酸性リン化合物の存在下又は酸性リン化合
物とエステル交換反応用触媒の存在下で予備重縮合反応
させる第1工程と、得られた予備重縮合生成物をエステ
ル交換反応用触媒の存在下で高分子量化する第2工程と
からなることを特徴とする高分子量脂肪族ポリエステル
系重合体の製造方法。
請求項16該反応原料が、下記一般式(5)
化1913OCOOR14 (5) (式中、R13及びR14は低級アルキル基又はアリー
ル基を示すが、R13及びR14がいずれも低級アルキ
ル基の場合、相互に連結して環を形成していてもよい)
で表わされる炭酸エステル系化合物を含有する請求項1
5の方法。
請求項17該反応原料が、下記一般式(6)
化20HO−[C(OR)O]n−H (6) (式中、Rは水素又はアシル基を示し、nは平均重合
度で1より大きい数を示す)で表わされるポリグリセリ
ン系化合物を含有する請求項15又は16の方法。
請求項18該酸性リン化合物の使用割合が、反応
原料中の全カルボキシル基含有化合物当り、10−7
0.1モルの割合である請求項11〜17のいずれかの
方法。
請求項19該エステル交換反応用触媒が、遷移金
属化合物からなる請求項11〜18のいずれかの方法。
請求項20該遷移金属化合物が、チタン化合物又
は亜鉛化合物である請求項19の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、線状構造を有する
高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンや芳香族ポリエステル等
の合成高分子は、日常生活に欠かせない原材料として大
量に使われているが、これらの合成高分子は、自然環境
で分解されないことから、廃棄高分子の増加に伴って環
境問題が顕在化している。このため、生分解性プラスチ
ックの開発が進められており、生分解性を有する高分子
として、脂肪族ポリエステルが注目されている。しか
し、従来の脂肪族ポリエステルはコストや強度等で解決
すべき問題が多い。例えば、微生物が生産するポリヒド
ロキシブチレートは融解温度が高く、性能の良いポリエ
ステルであるが、融解温度と分解温度の差が少ないこと
から成形時に熱分解して物性の低下や臭気発生等の問題
を起し易い上に、微生物により生産される高分子である
ことから生産性が低く、コスト高である。また、ポリカ
プロラクトンは現在工業生産されている数少ない脂肪族
ポリエステルであるが、融解温度が約60℃と低いこと
から用途が制限される。さらに、ヒドロキシカルボン酸
の重合体は生分解性の良い重合体として注目されてお
り、特に乳酸の重合体は生体吸収材料に使われている
が、その製造工程は複雑である。
【0003】上記の脂肪族ポリエステルの製造や性能に
関する諸問題を解決するため、脂肪族ジカルボン酸又は
その無水物とグリコールの重縮合で得られるポリエステ
ルが注目されている。このポリエステルの製造法は古く
から知られており、酸としてはコハク酸、アジピン酸、
スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を使
い、グリコールにはエチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−シクロヘキサンジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール等を使う方法が報告され
ている。そして、コハク酸を原料とする重合体は融解温
度が70℃以上と報告されている。しかし、このような
重合体はいずれも数平均分子量が数千程度と低いことか
ら、フィルムや繊維にできる程度の機械的強度がない。
【0004】最近、脂肪族ポリエステルが生分解性プラ
スチックとして脚光を浴びており、そのため下記に示す
ように数平均分子量が大きく、機械的強度の高いポリエ
ステルの製造法が多数提案されている。しかし、これら
の提案ではいずれも製造工程が増えるほか重合体の物性
も充分でなく満足できる方法は見当らない。特開平4−
189822号及び特開平4−189823号公報によ
れば、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体とグリコール
から数平均分子量1.5万程度の脂肪族ポリエステルを
製造し、これをジイソシアネートで架橋して分子量を増
やす方法が示されている。しかし、この方法ではミクロ
ゲルが生成して重合体品質を低下させる等の問題があ
る。また、特開平5−287041号及び287042
号公報によれば、脂肪族ジカルボン酸とグリコールと多
価イソシアネートの3者を共重合し、これによって数平
均分子量が高く、分子量分布の広い高分子を得ている。
この高分子は、分子量が高く、機械的強度が大きい上
に、分子量分布が広いことから溶融粘度が高く、フィル
ム等の成形品を製造するのに好適である。同様な目的
で、特開平5−287068号公報には、前記3成分の
他に、3,3,4,4−ベンゾフェノンテトラカルボン
酸無水物を加えた4成分共重合体が、特開平5−295
071号公報には、前記3者の他に、ペンタエリスリト
ール等の多価アルコールを加えた4成分共重合体が提案
されている。しかし、これらの共重合体にはゲルが生成
する等の問題がある。このほか、特開平6−19237
4号公報には、脂肪族ジカルボン酸とグリコールと多価
アルコール又は多価カルボン酸とから低分子量脂肪族ポ
リエステルを合成し、これに末端がイソシアネート基と
なっている脂肪族ポリエステルを反応させ、ミクロゲル
不含の高分子量重合体を得る方法が提案されている。し
かし、この方法では製造工程が増加するという難点があ
る。
【0005】特願平5−238966号によれば、脂肪
族ジカルボン酸ではなく脂肪族ジカルボン酸ジエステル
とグリコール類を重縮合させることにより、実用的に十
分な強度を持つに足る分子量を有する脂肪族ポリエステ
ルの製造方法が提案されている。しかしながら、このよ
うな脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グリコール
の組み合わせより得られるほとんどの脂肪族ポリエステ
ルは、非常に低い融解温度を持つため実用的には好まし
くない。またこれらの脂肪族ポリエステル中で比較的高
い融解温度を持つものは、その生分解性が高くなく、や
はり生分解性プラスチックとしては好ましくない。
【0006】また、特願平8−143656号公報によ
れば、脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族グリコー
ルにさらにカーボネート化合物を共重合させ、脂肪族ポ
リエステルカーボネートにすることにより、生分解性を
向上させることができ、さらにその共重合比を変化させ
ることにより生分解性を制御できることが提案されてい
る。しかしながら、このポリエステルカーボネートの場
合、カーボネート化合物を共重合することにより機械的
強度の低下が見られる。
【0007】一方、脂肪族ポリエステル系重合体の製造
方法においては、その反応触媒としては、チタンテトラ
イソプロポキシド等の一般的なエステル交換反応用触媒
用いられている。しかしながら、この触媒の場合、そ
のポリエステル化反応速度が未だ不十分である上、得ら
れる重合体の色調が悪いという問題を含む。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、色調にすぐ
れる上、実用上充分な程度の融解温度をもち、機械的強
度及び加工性に優れている脂肪族ポリエステル系重合体
を工業的に有利に製造する方法を提供することをその課
題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、数平均分子量が3万
以上の高分子量脂肪族ポリエステル系重合体を製造する
方法において、下記一般式(1)
化21】 R11OOC−(R)t−COOR11 (1) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示し、
11は水素、低級アルキル基又はアリール基を示し、
tは0又は1の数を示す)で表される脂肪族ジカルボン
酸又はそのエステルと、下記一般式(2)
化22】HO−R−OH (2) (式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を示す)
で表される脂肪族ジオールとからなる反応原料を、無溶
媒下で、酸性リン化合物の存在下及びエステル交換反応
触媒の共存下で重縮合反応させることを特徴とする高分
子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法が提供され
る。また、本発明によれば、数平均分子量が3万以上の
高分子量脂肪族ポリエステル系重合体を製造する方法に
おいて、下記一般式(3)
化23】HO−R−COOR12 (3) (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
し、R12は水素、低級アルキル基又アリール基を示
す)で表わされる脂肪族オキシカルボン酸もしくはその
エステル(環状ジエステルを含む)及び下記一般式
(4)
化24(式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表わされるラクトンの中から選ばれる少なくとも
1種のオキシカルボン酸系化合物からなる反応原料を、
無溶媒下で、酸性リン化合物の存在下及びエステル交換
反応用触媒の共存下で重縮合反応させることを特徴とす
高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法が提
供される。さらに、本発明によれば、数平均分子量が3
万以上の高分子量脂肪族ポリエステル系重合体を製造す
る方法において、下記一般式(1)
化2511OOC−(R)t−COOR11 (1) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示し、
11は水素、低級アルキル基又はアリール基を示し、
tは0又は1の数を示す)で表される脂肪族ジカルボン
酸又はそのエステルと、下記一般式(2)
化26HO−R−OH (2) (式中、Rは炭素数2〜12の二価脂肪族基を示す)
で表される脂肪族ジオールとからなる反応原料を、酸性
リン化合物の存在下又は酸性リン化合物とエステル交換
反応用触媒の存在下で予備重縮合反応させる第1工程
と、得られた予備重縮合生成物をエステル交換反応用触
媒の存在下で高分子量化する第2工程とからなることを
特徴とする高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造
方法が提供される。さらにまた、本発明によれば、数平
均分子量が3万以上の高分子量脂肪族ポリエステル系重
合体を製造する方法において、下記一般式(3)
化27HO−R−COOR12 (3) (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
し、R12は水素、低級アルキル基又アリール基を示
す)で表わされる脂肪族オキシカルボン酸もしくはその
エステル(環状ジエステルを含む)及び下記一般式
(4)
化28 (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表わされるラクトンの中から選ばれる少なくとも
1種のオキシカルボン酸系化合物からなる反応原料を、
無溶媒下で、酸性リン化合物の存在下又は酸性リン化合
物とエステル交換応用触媒の存在下で予備重縮合反応さ
せる第1工程と、得られた予備重縮合生成物をエステル
交換反応用触媒の存在下で高分子量化する第2工程とか
らなることを特徴とする高分子量脂肪族ポリエステル系
重合体の製造方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明では、その反応原料として
脂肪族ジカルボン酸又はそのエステルが用いられる。こ
のものは、下記一般式(1)で表される。
【化29】 R11OOC−(R)t−COOR11 (1) 前記式中、Rは炭素数1〜12、好ましくは1〜10
の二価脂肪族基を示す。二価脂肪族基は、鎖状、環状飽
和又は不飽和のもの(エーテル結合を有していてもよい
アルキレン基又はアルケニレン基)であることができ
る。二価脂肪族基の具体例を示すと、−CH−、−C
−、−CHO−、−CHOCH −、−C
−、−C−、−C12−、−C16
−、−C 24−、−C1222−等が挙げられ
る。tはゼロ又は1の数を示し、tがゼロの場合には、
前記一般式(5)で表されるジカルボン酸成分は、シュ
ウ酸(HOOC−COOH)を示し、tが1の場合に
は、ジカルボン酸成分はR11OOC−R−COOR
11で表されるジカルボン酸又はそのエステルを示す。
前記一般式(5)において、そのR11は、水素、低級
アルキル基又はアリール基を示す。低級アルキル基とし
ては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のアルキル基が
挙げられる。アリール基としては、フェニル基等が挙げ
られる。前記脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、
コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデ
カン酸等が挙げられる。
【0011】本発明では、その反応原料として脂肪族ジ
オールが用いられる。このものは、下記一般式(2)で
表される。
化30】HO−R−OH (2) 前記式中、Rは炭素数1〜12、好ましくは2〜10
の飽和又は不飽和の二価脂肪族基を示す。この場合の脂
肪族基には、鎖状又は環状のアルキレン基、エーテル基
含有アルキレン基及びアルケニレン基が包含される。こ
のものの具体例としては、−CH−、−C−、
−C−、−C−、−C 12−、−C
16−、−C1224−、−C1222−(ドデ
セニル)、−C10−(シクロヘキセニル)、−C
O−、−CHOCH−等が挙げられる。前記一
般式(2)で表される脂肪族ジオールの具体例として
は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0012】本発明においては、前記脂肪族ジカルボン
酸又はそのエステルと脂肪族ジオールからなる反応原料
は、必要に応じ、その添加成分として、オキシカルボン
酸系化合物、炭酸エステル系化合物及びポリグリセリン
系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含
有することができる。
【0013】前記オキシカルボン酸系化合物は、下記一
般式(3)及び(4)で表される。
化31】HO−R−COOR12 (3)
化32前記一般式(3)において、Rは、炭素数1〜10、
好ましくは1〜8の二価脂肪族基を示す。この場合の二
価脂肪族基には、鎖状、環状飽和又は不飽和のアルキル
基が包含される。R12は水素、低級アルキル基又はア
リール基を示す。前記オキシカルボン酸(3)として
は、グリコール酸、乳酸、ヒドロアルキル酸、α−オキ
シ酪酸等が挙げられる。また、前記オキシカルボン酸は
その2分子が結合した環状ジエステル(ラクチド)であ
ることができる。その具体例としは、グリコール酸から
得られるもの(グリコリド)や、乳酸から得られるもの
等が挙げられる。
【0014】ラクトン化合物を示す前記一般式(4)に
おいて、Rは、炭素数2〜10、好ましくは2〜5の
鎖状又は環状の二価脂肪族基を示す。この場合の二価脂
肪族基には、飽和又は不飽和のアルキレン基が包含され
る。前記ラクトンとしては、カプロラクトン、バレロラ
クトン、ラウロラクトン等が挙げられる。
【0015】前記炭酸エステル系化合物は、下記一般式
(5)で表される。
化33】R13OCOOR14 (5) 前記式中、R13及びR14は低級アルキル基又はアリ
ール基を示すが、R 及びR14がいずれも低級アル
キル基の場合、相互に連結して環を形成していてもよ
い。低級アルキル基としては、炭素数1〜6、好ましく
は1〜4のアルキル基が挙げられる。アリール基として
は、フェニル基等が挙げられる。
【0016】前記ポリグリセリン系化合物は、下記一般
式(6)で表される。
化34】 HO−[C(OR)O]n−H (6) 前記式中、Rは水素又はアシル基を示し、nはグリセ
リンの平均重合度を示す。アシル基としては、下記一般
式(7)で表される脂肪族アシル基が包含される。
化35】 R15CO− (7) 前記式中、R15は脂肪族基であり、その炭素数は1〜
20、好ましくは1〜6である。その具体例としては、
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ドデシ
ル、オクタデシル等が挙げられる。グリセリンの平均重
合度nは1より多い数で、その上限値は30程度であ
る。一般的には、nは1.5以上で、好ましくは2〜1
0である。
【0017】本発明においては、反応原料に対し、さら
に、生成する重合体の生分解性や物性の制御を目的とし
て、グリセリンやペンタエリスリトール等の3価〜6価
のアルコールや、リンゴ酸、クエン酸等のオキシ多価カ
ルボン酸、ジイソシアネート、オルトギ酸エステル等の
補助成分を添加することができる。
【0018】本発明で用いる前記脂肪族ジカルボン酸又
はそのエステルと脂肪族ジオールからなる反応原料にお
いて、その脂肪族ジオールの使用割合は、反応原料中に
含まれる全カルボン酸又はそのエステル1モル当り、2
〜1モル、好ましくは1.6〜1.05モルの割合であ
る。
【0019】本発明で必要に応じて用いる前記オキシカ
ルボン酸系化合物の使用割合は、生成する重合体中に含
まれる全エステル部に対するそのオキシカルボン酸系化
合物に由来するエステル部(オキシカルボン酸エステル
部)のモル分率が0.02〜0.3、好ましくは0.0
5〜0.2の範囲になるような割合である。
【0020】本発明で必要に応じて用いる前記炭酸エス
テル系化合物の使用割合は、生成する重合体中に含まれ
る全エステル部に対するその炭酸エステルに由来するエ
ステル部(炭酸エステル部)のモル分率が0.02〜
0.3、好ましくは0.05〜0.2の範囲になるよう
な割合である。
【0021】本発明で必要に応じて用いる前記ポリグリ
セリン系化合物の使用割合は、生成する重合体中に含ま
れる全エステル部に対するそのポリグリセリン系化合物
に由来するエステル部(エーテル含有エステル部)のモ
ル分率が0.0005〜0.005、好ましくは0.0
01〜0.004の範囲になるような割合である。
【0022】本発明で必要に応じて用いられる前記グリ
コール酸、ジグリコール酸又はそのジエステルの使用割
合は、生成する重合体中に含まれる全エステル部に対す
るそのグリコール酸又はそのジエステルに由来するエス
テル部(グリコール酸エステル部)のモル分率が0.0
2〜0.3、好ましくは0.05〜0.2の範囲になる
ような割合である。
【0023】本発明で必要に応じて重合体の生分解性や
物性の制御するために用いる補助成分(ペンタエリスリ
トール、グリセリン等の3価〜6価のアルコール、リン
ゴ酸、クエン酸等のオキシ基を有する多価カルボン酸、
ジイソシアネート)は、生成する重合体中に含まれる全
エステル部に対するそれら補助成分に由来するエステル
部(補助成分エステル部)のモル分率が0.005〜
0.05、好ましくは0.001〜0.004の範囲に
なるような割合である。
【0024】本発明で用いる脂肪族ジカルボン酸又はそ
のエステル及び脂肪族ジオール以外の添加成分の合計量
は、生成する重合体に含まれる全エステルに対するそれ
らの全添加成分に由来するエステル部(全添加成分エス
テル部)のモル分率が0.3以下、好ましくは0.2以
下となるような割合である。
【0025】本発明で用いる反応原料は、前記一般式
(3)及び(4)で表されるオキシカルボン酸系化合物
の中から選ばれる少なくとも1種からなるものであるこ
とができる。この反応原料は、必要に応じ、その添加成
分として、前記一般式(5)で表される炭酸エステル系
化合物や前記一般式(6)で表されるポリグリセリン系
化合物を含有することができ、さらに、グリコール酸、
ジグリコール酸又はそのジエステルを含有することがで
きる。前記オキシカルボン酸系化合物からなる反応原料
の場合、オキシカルボン酸系化合物以外の添加成分の合
計量は、生成する重合体に含まれる全エステル部に対す
るそれらの全添加成分に由来するエステル部(全添加成
分エステル部)のモル分率が0.3以下、好ましくは
0.2以下となるような割合である。
【0026】本発明の脂肪族ポリエステル系重合体の製
造方法は、その重合体製造における反応系に、その反応
触媒として、酸性リン化合物を存在させることによって
実施することができる。
【0027】本発明で用いる酸性リン化合物とはP−H
結合やP−(OH)結合を有するリン化合物及び反応系
内で分解して、それらP−H結合やP−(OH)結合を
有するリン化合物を生成する化合物を意味する。このよ
うな酸性リン化合物には、次亜リン酸、ピロ亜リン酸、
亜リン酸、次リン酸、リン酸、ピロリン酸、三リン酸、
メタリン酸、ペルオクソリン酸及びそれらの塩やエステ
ル等が包含される。本発明では、特にリン酸及びピロリ
ン酸の使用が好ましい。
【0028】本発明で用いる酸性リン化合物は、脂肪族
ポリエステル系重合体製造用触媒としてすぐれた作用を
示し、従来一般的に用いられているチタンテトライソプ
ロポキシド等のエステル交換触媒に比べて、色調の良い
高品質の重合体を与える。本発明で触媒として酸性リン
化合物を用いることによる他の大きな利点は、この酸性
リン化合物は、ポリエステル鎖に対する連結剤として作
用して、重合体分子に結合導入されることである。この
リン化合物を含有する重合体は、そのリン化合物を含ま
ない重合体に比べて、色調の点で著しく改善されたもの
である他、分子中に含有されるリン酸エステル部が、重
合体の加水分解や生分解を促進させることから、重合体
を再生利用するケミカルリサイクル性の点で著しく改善
され、環境調和型高分子として有利に適用される。
【0029】本発明で用いる酸性リン化合物の使用量
は、得られる重合体中に含まれる全エステル部に対する
その酸性リン化合物に由来するエステル部(リン酸エス
テル部)のモル分率が1×10−7〜0.01、好まし
くは0.001〜0.06の範囲になるような割合であ
る。一般的には、反応原料中に含まれる全カルボキシル
基含有化合物1モル当り、0.5×10−7〜0.04
モル、好ましくは0.005〜0.03モルの割合であ
る。
【0030】本発明により酸性リン化合物の存在下で反
応原料を重縮合反応させる場合、その反応温度は、その
反応により生成する水や含OH化合物(アルコール等)
等の副生物が反応系において気体として存在する温度で
ある。例えば、反応により生成する副生物がメタノール
の場合、常圧下での反応温度は100〜300℃、好ま
しくは120〜250℃である。その反応圧力は、常
圧、減圧又はやや加圧であるが、好ましくは常圧であ
る。本発明では、この反応で生成する副生物は、これを
反応系から除去する。このためには、その反応を副生物
である水又は含OH化合物が気相に保持される温度及び
圧力の条件下で実施するとともに、その気相状態にある
副生物を、反応系を減圧にしたり、窒素ガスを流通する
等して、反応系から排出させる。また、その反応を、蒸
留塔の結合した反応器(反応蒸留塔)を用いて行い、反
応で生成した副生物をその蒸留塔から連続的に留出させ
る。このような反応において、高分子量の重合体を効率
よく得るには、反応がある程度進行して、数平均分子量
が500〜10000、好ましくは1000〜5000
の末端に脂肪族ジオールの結合した生成物が得られた時
点で、その反応温度を高めたり、圧力を減圧にする等反
応条件を変えて、脂肪族ジオールを脱離させながら重縮
合させるのがよい。この場合の反応条件は、脱離する脂
肪族ジオールが気体として存在する条件であり、温度と
圧力を調節することにより形成することができる。
【0031】本発明により脂肪族ポリエステルを生成す
る場合、その触媒としては、酸性リン化合物とともに、
従来公知の各種のエステル交換反応用触媒を用いること
ができる。このような触媒としては、リチウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バ
リウムなどのアルカリ土類金属、スズ、アンチモン、ゲ
ルマニウム等の典型金属、鉛、亜鉛、カドミウム、マン
ガン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、チタン、鉄
等の遷移金属、ビスマス、ニオブ、ランタン、サマリウ
ム、ユウロピウム、エルビウム、イッテルビウム等のラ
ンタノイド金属等の各種金属の化合物、例えば、アルコ
ラート、アセチルアセトネートキレート等を挙げること
ができる。また含窒素塩基性化合物や、ホウ酸、ホウ酸
エステルなども触媒として用いられる。
【0032】アルカリ金属化合物としては、具体的に
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、
酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウ
ム、ステアリン酸リチウム、水酸化ホウ素ナトリウム、
水酸化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、
安息香酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二
水素カリウム、リン酸二水素リチウムなどが挙げられ
る。
【0033】アルカリ土類金属化合物としては、具体的
には、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水
素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロン
チウムなどが挙げられる。
【0034】典型金属化合物としては、具体的には、ジ
ブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート、三酸
化アンチモン、酸化ゲルマニウム、炭酸ビスマスオキシ
ド、酢酸ビスマスオキシドなどが挙げられる。
【0035】遷移金属化合物としては、具体的には、酢
酸鉛、酢酸亜鉛、アセチルアセトネート亜鉛、酢酸カド
ニウム、酢酸マンガン、マンガンアセチルアセトネー
ト、酢酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、酢
酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、酢酸ジル
コニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸チ
タン、テトラブトキシチタネート、テトライソプロポキ
シチタネート、チタニウムオキシアセチルアセトネー
ト、酢酸鉄、アセチルアセトネート鉄、酢酸ニオブなど
が挙げられる。
【0036】希土類化合物としては、酢酸ランタン、酢
酸サマリウム、酢酸ユウロピウム、酢酸エルビウム、酢
酸イッテルビウムなどが挙げられる。
【0037】含窒素塩基性化合物としては、具体的に
は、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロオキシド、テトラブチルアン
モニウムヒドロオキシド、トリメチルフェニルアンモニ
ウムヒドロオキシド、トリメチルベンジルアンモニウム
ヒドロオキシドなどの四置換アンモニウムヒドロオキシ
ド類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチル
ベンジルアミン、トリフェニルアミンなどの三級アミン
類、RNH(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキ
ル、フェニル、トルイルなどのアリール基である)で示
される二級アミン類、RNH(式中、Rは上記と同じ
である)で示される一級アミン類、あるいはアンモニ
ア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テト
タブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチル
アンモニウムテトラフェニルボレート、テトラメチルア
ンモニウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩など
が挙げられる。これらのうち、テトラアルキルアンモニ
ウムヒドロオキシド類が特に好ましい。
【0038】ホウ酸エステルとしては、具体的には、ホ
ウ酸トリメチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリヘプ
チル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリトリル、ホウ酸
トリナフチルなどが挙げられる。
【0039】これらの触媒は、単独で用いても、2種以
上組合せて用いてもよい。また、これらの触媒は、反応
原料中に含まれるカルボキシル基含有化合物の合計量1
モルに対して、10−7〜10−3モル、好ましくは1
−6〜5×10−4モルの割合で用いる。この範囲よ
り多くなると反応時のポリマーの熱分解、架橋、着色等
の原因となり、好ましくない。
【0040】本発明の高分子量脂肪族ポリエステル系重
合体を好ましく製造する他の方法は、予備重縮合反応工
程(第1工程)と、その予備重縮合物を高分子化させる
高分子化工程(第2工程)からなる方法である。前記予
備重縮合工程においては、前記反応原料を、酸性リン化
合物の存在下で重縮合反応させる。前記酸性リン化合物
の存在下で反応原料を重縮合反応させる場合、その反応
温度は、その反応により生成する副生物が反応系におい
て気体として存在する温度である。その反応圧力は、常
圧、減圧又はやや加圧であるが、好ましくは常圧であ
る。この反応で生成する副生物は、これを反応系から除
去する。このためには、その反応を副生物が気相に保持
される温度及び圧力の条件下で実施するとともに、その
気相状態にある副生物を、反応系を減圧にしたり、窒素
ガスを流通する等して、反応系から排出させる。また、
その反応を、蒸留塔の結合した反応器(反応蒸留塔)を
用いて行い、反応で生成した副生物をその蒸留塔から連
続的に留出させる。前記重縮合反応では、反応原料成分
の重縮合反応とともに、反応系に存在する酸性リン化合
物がポリエスエル鎖と反応する。酸性リン化合物がポリ
エステル鎖と反応し、酸性リン化合物が反応系に存在し
なくなるかその量が微量になるか又は反応速度が非常に
遅くなると、その酸性リン化合物による触媒効果が得ら
れなくなり、反応は実質上停止した状態になる。このこ
とは、副生物の生成が停止することによって確認するこ
とができる。このようにして得られるポリエステルの分
子量は、そのリン酸エステルの使用量等により変化する
が、一般的には、数平均分子量で20000〜1000
00、好ましくは40000〜80000である。ま
た、この反応生成物中の副生物(水又はアルコール)の
濃度は、3重量%以下、好ましくは1.5重量%以下で
ある。この場合の予備重縮合工程での反応速度は非常に
速く、その反応時間は20時間〜4日である。
【0041】次に、前記のようにして得られる予備重縮
合反応生成物の高分子量化反応を行うために、その反応
生成物に慣用のエステル交換反応用触媒を加え、さらに
反応を継続する。この高分子量化工程においては、低分
子量の縮合物の末端に結合する脂肪族グリコールを脱離
させながら縮合させて高分子量の縮合物を生成させる工
程であり、この工程により、数平均分子量が3万以上の
縮合物を生成させることができる。この場合の反応条件
は、副生する脂肪族グリコールが気体として存在し得る
条件であればよい。この高分子量化工程は、前記予備縮
合工程を実施する反応装置と同じ装置または攪拌効率の
良い本重合装置で実施することができる。同じ装置を用
いる場合は、予備縮合反応の終了後に、反応条件を変え
て、例えば、反応温度を高くしかつ反応圧力を低くし
て、予備縮合体の縮合反応を行えばよい。その反応圧力
は常圧ないし減圧であるが、常圧の使用が好ましい。減
圧を採用する場合、その圧力は、通常、0.5〜3トー
ル、好ましくは1トール以下である。その圧力の下限値
は、特に制約されないが、通常、0.5〜1トール程度
である。反応時間は、90〜600分程度である。
【0042】本発明の高分子量脂肪族ポリエステル系重
合体を製造するための他の方法は、酸性リン化合物の存
在下で、従来公知の脂肪族ポリエステル系重合体と多価
脂肪族アルコールやポリエステルオリゴマー、オキシカ
ルボン酸系化合物等の反応原料を反応させる方法であ
る。この反応は、減圧、常圧又はやや加圧下で行われ
る。反応温度は反応原料として用いるポリエステル系重
合体、例えば脂肪族ポリエステルカーボネートが溶融
し、反応圧力下においてポリエステル系重合体由来のジ
オールが気体として存在し得る温度である。この反応で
副生するジオールは、反応系内に不活性ガスを流通させ
たり、反応装置として反応蒸留塔を用いること等によ
り、反応系外へ迅速に排出させる。反応原料として用い
る脂肪族ポリエステルの数平均分子量は、通常、115
〜10000、好ましくは200〜10000である。
このものは、従来公知の方法に従って製造することがで
きる。例えば、脂肪族ジカルボン酸ジエステルと脂肪族
グリコールとオキシ酸エステルを縮合させることにより
得ることができる。この反応を行う場合、脂肪族ポリエ
ステルの製造とこのポリエステルと多価脂肪族アルコー
ルやオキシカルボン酸系化合物等の反応原料との反応を
同じ反応装置で実施することもでき、この場合は脂肪族
ポリエステルの製造後多価脂肪族アルコール等の反応原
料を添加し、反応条件を変えて、例えば、反応温度を高
くしかつ反応圧力を低くして、さらに重縮合を行えばよ
い。
【0043】本発明における脂肪族ジカルボン酸成分と
脂肪族ジオール成分を含む反応原料の中の成分組成の使
用モル比を示すと次の通りである。 1.0≦(B)/(A)≦1.6 0.02≦(C+D)/(A+C)≦0.30 0.02≦(A+D)/(A+C)≦0.20 前記式中、(A)は脂肪族ジカルボン酸又はそのエステ
ルの使用モル数、(B)は脂肪族ジオールの使用モル
数、Cはオキシカルボン酸系化合物の使用モル数、Dは
その他のカルボキシル基含有化合物及び炭酸エステルの
使用モル数を示す。
【0044】本発明の重合体の1つの態様は、下記一般
式(8) (−CO−(R)t−CO−O−R−O−) (8) で表されるエステル部を含有するとともに、下記一般式
(9) (−CO−R−O−) (9) (式中、Rは炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
す)で表されるオキシカルボン酸エステル部をモル分率
0.01〜0.3、好ましくは0.05〜0.2の割合
で含むか及び/又は、下記一般式(10) (−OCOO−) (10) で表される炭酸エステル部をモル分率0.01〜0.
3、好ましくは0.05〜0.2の割合で含むか及び/
又は、下記一般式(11) (−CO−(R)t−CO−O−[C(OR)O]n−) (1 1) (式中、R及びtは前記と同じ意味を有しRは水素
又はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大きな数
を示す)で表されるエーテル基含有エステル部をモル分
率0.0001〜0.005、好ましくは0.001〜
0.004の割合で含む脂肪族ポリエステル系重合体で
ある。
【0045】本発明の重合体の他の態様は、下記一般式
(9) (−CO−R−O−) (9) (式中、Rは炭素数1〜12の二価脂肪族基を示す)
で表されるオキシカルボン酸エステル部を含むととも
に、下記一般式(10) (−OCOO−) (10) で表される炭酸エステル部をモル分率で0.01〜0.
3、好ましくは0.05〜0.2の割合で含むか及び/
又は、下記一般式(11) (−CO−(R)t−CO−O−[C(OR)O]n−) (1 1) (式中、Rは炭素数1〜12の脂肪族基を示し、R
は水素又はアシル基を示し、nは平均重合度で1より大
きな酸を示し、tは0又は1の数を示す)で表されるエ
ーテル基含有エステル部をモル分率で0.0001〜
0.005、好ましくは0.001〜0.004の割合
で含有する脂肪族ポリエステル系重合体である。
【0046】本発明による重合体は、その分子中に酸性
リン化合物由来のエステル部を含有するが、このリン含
有エステル部は、2〜3個のポリエステル鎖と結合して
おり、その分子中含有量は、分子中に含まれる全エステ
ル部に対するモル分率で、1×10 −7 〜0.01、好
ましくは0.001〜0.06である。また、リン原子
換算量では、重合体中、通常、1×10−5〜10重量
%、好ましくは1×10−4〜3重量%である。
【0047】本発明で得られる重合体は、実質的に線状
構造を有し、ゲル構造を有しないもので、3万以上の数
平均分子量を有するものである。本発明の重合体は、そ
の分子中に、酸性リン化合物由来の連結構造を有するこ
とから、高められた融解温度を有するとともに、機械的
強度及び加工性にすぐれたものである。さらに、生分解
性を有し、またアルコール分解や、加水分解により原料
回収が可能であることから、良好なケミカルリサイクル
性有する高分子でもある。
【0048】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
る。脂肪族ポリエステルの種々の物性値は下記の方法に
よって測定した。 (分子量及び分子量分布)ゲルパーミエーションクロマ
トグラフ(GPC)法を用いて標準ポリスチレンから校
正曲線を作成し、数平均分子量(Mn)、重量平均分子
量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。溶
離液はクロロホルムを用いた。 (熱的性質)示差走査熱量分析装置(DSC)により融
解温度及びガラス転移点を求めた。また熱重量分析装置
(TG)により熱分解温度を求めた。
【0049】参考例1 撹拌羽つき内容量100ml四つ口フラスコに無水コハ
ク酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252ミ
リモル、リン酸(OP(OH))1.9ミリモルを仕
込み、窒素雰囲気下、145℃で反応を開始し、230
℃まで昇温し、水を流出させた。次いで、徐々に減圧
し、30分で真空度0.5Torrに到達した。その後
9時間反応を続けた。得られたポリマーは白色で、Mn
2.3万で、Mw/Mnは1.54であった。またその
融解温度は113.5℃であり、その熱分解温度は34
6.4℃であった。この高分子はリン酸、ナフィオン等
のプロトン触媒やフッ化ホウ素エーテラートのようなル
イス酸触媒でアルコール分解、または加水分解により原
料がほぼ定量的に回収された(反応温度120〜170
℃)、ケミカルリサイクル型高分子として有用であっ
た。
【0050】実施例 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコにコハク
酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252ミリ
モル、チタンテトライソプロポキシド0.12ミリモル
とリン酸(OP(OH))0.04ミリモルを仕込
み、窒素雰囲気下、140℃で反応を開始し水の流出を
行った。次いで、230℃まで昇温し、水を流出させた
後、徐々に減圧し、真空度0.5Torrに到達させ
た。その後さらに5時間反応を続けた。得られたポリマ
ーは白色で、Mn5.2万、Mw/Mnは1.71であ
った。またその融解温度は114.1℃であり、その熱
分解温度は312.1℃であった。
【0051】実施例 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコにコハク
酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252ミリ
モル、グリコール酸18ミリモル及びリン酸(OP(O
H))0.04ミリモルを仕込み、窒素雰囲気下、1
40℃で反応を開始し、水の流出を行った。次いで、2
30℃に昇温し、徐々に減圧し、0.5Torrに到達
させた。その後、常圧にもどし、チタンテトライソプロ
ポキシド0.12ミリモルとリン酸(OP(OH)
0.04ミリモルを仕込み、かき混ぜながら徐々に減圧
にし、0.5Torrでさらに9時間反応を続けた。得
られたポリマーは白色で、Mn6.1万で、Mw/Mn
は1.50であった。またその融解温度は112℃であ
り、その熱分解温度は336℃であった。
【0052】参考例2 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコに無水コ
ハク酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252
ミリモル、及びリン酸(OP(OH))5.8ミリモ
ルを仕込み、窒素雰囲気下、140℃で反応を開始し、
水の流出を行った。次いで250℃まで昇温し、徐々に
減圧し、0.5Torrに到達させた。その後さらに2
時間反応を続けた。得られたポリマーは白色で、Mn
2.1万で、Mw/Mnは2.72であった。
【0053】実施例 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコに無水コ
ハク酸180ミリモル、1,4−ブタンジオール252
ミリモル、チタンテトライソプロポキシド0.12ミリ
モル及びリン酸(OP(OH))5.8ミリモルを仕
込み、窒素雰囲気下、140℃で反応を開始し、水の流
出を行った。次いで250℃まで昇温し、徐々に減圧
し、0.5Torrに到達させた。その後さらに1時間
反応を続けた。得られたポリマーは白色で、Mn3.6
万で、Mw/Mnは3.61であった。
【0054】実施例 撹拌羽つき内容量10リットルのステンレス製反応器に
コハク酸25.2モル、1,4−ブタンジオール32.
7モル、リン酸(OP(OH))5.41ミリモルを
仕込み、窒素雰囲気下、140℃で反応を開始し、水の
流出を行った。次いで徐々に230℃まで昇温し約10
Torrで30分かき混ぜた後、常圧にもどし、チタン
テトライソプロポキシド16.2ミリモルを仕込み、か
き混ぜながら徐々に減圧にし、0.5Torrでさらに
9時間反応を続けた。得られたポリマーは白色で、Mn
5.5万で、Mw/Mnは1.62であった。またその
融解温度は114.1℃であり、その熱分解温度は31
1.0℃であった。また、機械的強度を測定したとこ
ろ、降伏強度23.6MPa、破断強度30.7MPa
であった。また本ポリエステルの堆肥中での生分解性試
験を行ったところ、30℃における3週間後の重量減少
は12%であった。
【0055】実施例 撹拌羽つき内容量100mlの四っ口フラスコにコハク
酸198ミリモル、1,4−ブタンジオール198ミリ
モル、リン酸(OP(OH))0.04ミリモルを仕
込み、窒素雰囲気下、140℃〜240℃で水の流出を
行った。約95%の水の流出の後、230℃でチタンテ
トライソプロポキシド0.12ミリモルを加え10分間
かきまぜた後、徐々に減圧にして、0.3Torrで2
時間30分反応を続けた。得られたポリマーは白色でM
n6.5万であった。リン化合物(OP(OH))を常
圧脱水後に加える場合(後記参考例3)に比べ重合時間
が著しく短縮されることがわかる。
【0056】実施例 撹拌羽つき内容量120Lのステンレス製反応器にコハ
ク酸43.18kg、タンジオール34.27kg、ε
−カプロラクトン2.09kg、ジグリセリン0.00
6kg、チタンテトライソプロポキシド0.07kg、
リン酸0.008kgを仕込み、素雰囲気下、140℃
で反応を開始し、水の流出を行った。次いで反応内容物
を内容量100lのステンレス製横型反応器に移し、
0.5Torrで4時間10分反応を行った。得られた
ポリマーは白色で、Mn4.9万であった。脱水時にリ
ン化合物を共存させることにより、スケール拡大の重合
でも反応時間が短縮できることがわかった。
【0057】実施例 撹拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコにコハク
酸198ミリモル、1,4−ブタンジオール198ミリ
モル、リン酸(OP(OH))0.04ミリモル、酢
酸亜鉛0.12ミリモルを仕込み、窒素雰囲気下、14
0〜240℃で水を流出させた。その後、0.3Tor
rまで徐々に減圧にしながら270℃まで昇温し、15
時間反応させ、白色ポリマーを得た。分子量Mnは5.
3万であった。
【0058】参考例3 攪拌羽つき内容量100mlの四つ口フラスコにコハク
酸198ミリモル、1,4−ブタンジオール198ミリ
モル、チタンテトライソプロポキシド0.12ミリモル
を仕込み、窒素雰囲気下、140℃〜240℃で水の流
出を行った。約95%の水の流出後、240℃でリン酸
(OP(OH))0.04ミリモルを加え、10分間
かきまぜた後、徐々に減圧にして0.2Torrで8時
間30分反応を続けた。得られたポリマーは白色でMn
5.6万であった。
【0059】
【発明の効果】本発明の高分子量脂肪族ポリエステル系
重合体は全体として線状構造を有し、高められた耐熱性
(融解温度)を有するとともに、良好な機械的強度及び
加工性を有し、熱成形材料として有利に使用することが
できる。しかも、この高分子量脂肪族ポリエステル系高
分子は、その脂肪族エステル結合に基づく生分解性とケ
ミカルリサイクル性を有する。
フロントページの続き (72)発明者 坂口 豁 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 中山 和郎 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4J029 AA02 AA03 AA05 AB05 AC01 AC02 AD01 AD06 AD10 BA02 BA03 BA04 BA05 BD07A BF08 BF09 BF10 BF17 BF25 CA01 CA02 CA03 CA04 CA05 CA06 CF07 EA01 EA02 EA03 EG01 EG04 EG07 EG09 EG10 FC03 FC08 FC16 HA01 HB01 HB03A HC04A HC05A JA091 JA121 JA171 JA251 JA301 JB131 JB171 JC031 JC051 JC091 JC581 JC731 JC751 JE182 JF021 JF031 JF041 JF131 JF141 JF151 JF161 JF181 JF271 JF321 JF331 JF361 JF381 JF431 JF471 JF481 JF541 JF561 JF571 KB02 KB05 KB15 KB25 KD01 KD06 KD07 KD09 KE02 KE03 KE05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族ポリエステル系重合体を製造する
    方法において、下記一般式(1) 【化1】 R11OOC−(R1)t−COOR11 (1) (式中、R1は炭素数1〜12の二価脂肪族基を示し、
    11は水素、低級アルキル基又はアリール基を示し、t
    は0又は1の数を示す)で表される脂肪族ジカルボン酸
    又はそのエステルと、下記一般式(2) 【化2】HO−R2−OH (2) (式中、R2は炭素数2〜12の二価脂肪族基を示す)
    で表される脂肪族ジオールとからなる反応原料を、酸性
    リン化合物の存在下で重縮合反応させることを特徴とす
    る脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 該反応原料が、下記一般式(3) 【化3】HO−R3−COOR12 (3) (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
    し、R12は水素、低級アルキル基又はアリール基を示
    す)で表される脂肪族オキシカルボン酸もしくはそのエ
    ステル(環状ジエステルを含む)及び下記一般式(4) 【化4】 (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示
    す)で表されるラクトンの中から選ばれる少なくとも1
    種のオキシカルボン酸系化合物を含有する請求項1の方
    法。
  3. 【請求項3】 該反応原料が下記一般式(5) 【化5】R13OCOOR14 (5) (式中、R13及びR14は低級アルキル基又はアリール基
    を示すが、R13及びR14がいずれも低級アルキル基の場
    合、相互に連結して環を形成していてもよい)で表わさ
    れる炭酸エステル系化合物を含有する請求項1又は2の
    方法。
  4. 【請求項4】 該反応原料が、下記一般式(6) 【化6】 HO−[C35(OR4)O]n−H (6) (式中、R4は水素又はアシル基を示し、nは平均重合
    度で1より大きい数を示す)で表わされるポリグリセリ
    ン系化合物を含有する請求項1〜3のいずれかの方法。
  5. 【請求項5】 脂肪族ポリエステル系重合体を製造する
    方法において、下記一般式(3) 【化7】HO−R3−COOR12 (3) (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示し、
    12は水素、低級アルキル基又アリール基を示す)で表
    わされる脂肪族オキシカルボン酸もしくはそのエステル
    (環状ジエステルを含む)及び下記一般式(4) 【化8】 (式中、R3は炭素数が1〜12の二価脂肪族基を示す)
    で表わされるラクトンの中から選ばれる少なくとも1種
    のオキシカルボン酸系化合物からなる反応原料を、酸性
    リン化合物の存在下で重縮合反応させることを特徴とす
    る脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 該反応原料が、下記一般式(5) 【化9】R13OCOOR14 (5) (式中、R13及びR14は低級アルキル基又はアリール基
    を示すが、R13及びR14がいずれも低級アルキル基の場
    合、相互に連結して環を形成していてもよい)で表わさ
    れる炭酸エステル系化合物を含有する請求項5の方法。
  7. 【請求項7】 該反応原料が、下記一般式(6) 【化10】 HO−[C35(OR4)O]n−H (6) (式中、R4は水素又はアシル基を示し、nは平均重合
    度で1より大きい数を示す)で表わされるポリグリセリ
    ン系化合物を含有する請求項5又は6の方法。
  8. 【請求項8】 該酸性リン化合物の使用割合が、反応原
    料中の全カルボキシル基含有化合物当り、10-7〜0.
    1モルの割合である請求項1〜8のいずれかの方法。
  9. 【請求項9】 エステル交換反応用触媒を共存させる請
    求項1〜8のいずれかの方法。
  10. 【請求項10】 反応原料を酸性リン化合物の存在下で
    予備重縮合反応させる第1工程と、得られた予備重縮合
    生成物をエステル交換反応触媒の存在下で高分子量化す
    る第2工程とからなる請求項1〜9のいずれかの方法。
JP13066499A 1998-11-14 1999-05-11 高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法 Expired - Lifetime JP3263728B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13066499A JP3263728B2 (ja) 1998-11-14 1999-05-11 高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36181898 1998-11-14
JP10-361818 1998-11-14
JP13066499A JP3263728B2 (ja) 1998-11-14 1999-05-11 高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000204146A true JP2000204146A (ja) 2000-07-25
JP3263728B2 JP3263728B2 (ja) 2002-03-11

Family

ID=26465737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13066499A Expired - Lifetime JP3263728B2 (ja) 1998-11-14 1999-05-11 高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3263728B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005120359A (ja) * 2003-09-25 2005-05-12 Ube Ind Ltd 高分子量ポリオキサレート樹脂及びその製造方法
JP2005247965A (ja) * 2004-03-03 2005-09-15 Mitsubishi Chemicals Corp 脂肪族ポリエステル及びその製造方法
JP2006274254A (ja) * 2005-03-02 2006-10-12 Daicel Chem Ind Ltd 低分岐度高分子量脂肪族ポリエステル、その製造方法、成形品及びフィルム
JP2006274253A (ja) * 2005-03-02 2006-10-12 Daicel Chem Ind Ltd 低分岐度高分子量脂肪族ポリエステル、その製造方法、成形品及びフィルム
JP2006274252A (ja) * 2005-03-02 2006-10-12 Daicel Chem Ind Ltd 低分岐度高分子量脂肪族ポリエステル、成形品及びフィルム
JP2008045117A (ja) * 2006-07-18 2008-02-28 Mitsubishi Chemicals Corp 脂肪族ポリエステルの製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005120359A (ja) * 2003-09-25 2005-05-12 Ube Ind Ltd 高分子量ポリオキサレート樹脂及びその製造方法
JP4691934B2 (ja) * 2003-09-25 2011-06-01 宇部興産株式会社 高分子量ポリオキサレート樹脂及びその製造方法
JP2005247965A (ja) * 2004-03-03 2005-09-15 Mitsubishi Chemicals Corp 脂肪族ポリエステル及びその製造方法
JP4506207B2 (ja) * 2004-03-03 2010-07-21 三菱化学株式会社 脂肪族ポリエステル及びその製造方法
JP2006274254A (ja) * 2005-03-02 2006-10-12 Daicel Chem Ind Ltd 低分岐度高分子量脂肪族ポリエステル、その製造方法、成形品及びフィルム
JP2006274253A (ja) * 2005-03-02 2006-10-12 Daicel Chem Ind Ltd 低分岐度高分子量脂肪族ポリエステル、その製造方法、成形品及びフィルム
JP2006274252A (ja) * 2005-03-02 2006-10-12 Daicel Chem Ind Ltd 低分岐度高分子量脂肪族ポリエステル、成形品及びフィルム
JP2008045117A (ja) * 2006-07-18 2008-02-28 Mitsubishi Chemicals Corp 脂肪族ポリエステルの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3263728B2 (ja) 2002-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100366483B1 (ko) 코폴리에스테르 수지 조성물 및 그 제조방법
CN113527644B (zh) 高分子量聚草酸己二醇酯的制备方法
JP5223347B2 (ja) 樹脂組成物及びその製造方法、並びに共重合体
JP3263728B2 (ja) 高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法
KR101515823B1 (ko) 투명한 코폴리에스테르, 그것의 제조 방법 및 그것으로 제조된 물품
JP3292874B2 (ja) 高分子量化脂肪族ポリエステル系重合体の製造法
US6639045B2 (en) Method of producing aliphatic polyester and product obtained thereby
JP3044235B2 (ja) 高分子量脂肪族ポリエステルカーボネート及びその製造方法
JP3073985B1 (ja) 脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法
JP3141326B1 (ja) 高分子量脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法
JP3273767B2 (ja) 脂肪族ポリエステル系重合体及びその製造方法
JP2744925B2 (ja) 生分解性高分子量脂肪族ポリエステルカーボネート共重合体及びその製造方法
JP3865120B2 (ja) 脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法及び脂肪族ポリエステル系重合体
KR101308662B1 (ko) 선상 생분해성 폴리에스테르계 공중합체의 제조방법
JP4266359B2 (ja) 脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法及び脂肪族ポリエステル系重合体
JP3131603B2 (ja) 生分解性高分子量脂肪族ポリエステルエーテルの製造方法
JP2000204143A (ja) 白色高分子量脂肪族ポリエステル系重合体
JP4696306B2 (ja) 生分解性ポリエステル及びその製造方法
JP3479810B2 (ja) 脂肪族ポリエステル系重合体の製造方法
JP2997756B2 (ja) 高分子量脂肪族ポリエステル共重合体及びその製造方法
KR100308535B1 (ko) 폴리에스테르수지조성물및그제조방법
JP2700628B2 (ja) 高分子量脂肪族ポリエステル及びその製造方法
CN113321793B (zh) 一种低端羧基脂肪族聚酯及其制备方法和应用
JP3274369B2 (ja) 脂肪族ブロックコポリエステルの製造方法
JP3521231B2 (ja) エーテル側鎖を有する生分解性高分子量脂肪族ポリエステルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term