JP2000198949A - 防錆塗料及び防錆処理された金属材料 - Google Patents
防錆塗料及び防錆処理された金属材料Info
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Abstract
ッキ鋼に対して優れた接着性及び防錆性を示し、かつ耐
熱水性、耐摩耗性に優れる防錆塗料の提供。 【解決手段】 不飽和カルボン酸含量が10〜30重量
%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の水性分散液
からなる防錆塗料であって、該共重合体のカルボキシル
基を基準にして、10〜60モル%の多価金属イオンと
50〜120モル%のアルカリ金属イオン及び/又はア
ンモニウムイオンを含有する防錆塗料及び、該防錆塗料
で防錆処理された金属材料、特にメッキ鋼。
Description
性、金属材料に対する接着性に優れた塗布膜の形成が可
能な防錆塗料及び該防錆塗料を塗布した金属材料に関す
る。とりわけ、亜鉛メッキ鋼や亜鉛合金メッキ鋼のよう
なメッキ鋼に対して優れた接着性及び防錆性を示す防錆
塗料に関する。
料は、錫や亜鉛などのメッキが施されていたり、あるい
はさらにクロメート処理やリン酸処理が施されたものが
使用されている。これらの処理により防錆性はある程度
向上するが、表面が汚れやすく、また黒変するなどの問
題が残されていたため、その解決のための提案が種々な
されてきた。その代表的なものが、コロイダルシリカを
含有する、エチレン・アクリル酸共重合体で代表される
カルボキシル基含有オレフィン重合体の水性分散液を、
金属材料に塗布して防錆被膜を形成させる方法である。
れば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の水性分散
液にコロイダルシリカを加えた防錆塗料を塗布した、塗
装性、耐蝕性に優れた樹脂塗装鋼板が提案されている。
また、特開平6−246229号公報によれば、クロメ
ート処理された亜鉛又は亜鉛合金メッキが施された鋼板
に、中和度が60〜80%となるエチレン・不飽和カル
ボン酸共重合体の水性分散液を塗布した、耐黒変性の被
覆鋼板が提案されている。これらの提案で使用されるエ
チレン・不飽和カルボン酸共重合体の水性分散液は、専
らナトリウムイオン又はアンモニウムイオンにより分散
されたものが多用されてきた。
れた水性分散液から得られる塗布膜は、軟化温度が低く
て耐熱性に乏しいのみならず、耐摩耗性が不充分であ
り、またナトリウムイオンで分散された水性分散液から
得られる塗布膜は、耐水性が不充分であるのみならず、
亜鉛メッキに対しては、接着性が不充分であった。
報には、亜鉛イオンを含む水性分散液の使用例が1例示
されており、また特開平9−192601号公報にも、
アルミニウム系金属への表面被覆に、亜鉛イオンを含む
水性分散液を使用した2例に例示されている。しかしな
がら前者の例においては、亜鉛アイオノマーの溶融物を
ホモミキサーを使用して水に分散させた水性分散液が使
用されているが、このような水性分散液は安定性が悪
く、安定した品質の塗布膜を製造することが難しいのみ
ならず、分散粒子径を小さくすることが難しいため、塗
布膜にピンホールを生じ易いという欠点がある。また後
者の例でも同様な欠点を生じやすい。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の水性分散液を使
用した従来の防錆塗料における上述のような欠点を改善
すべく検討を行った。その結果、特定の混合イオンから
なる水性分散液を使用したときに、このような欠点が改
善できることを見いだすに至った。したがって本発明の
目的は、耐熱水性、耐摩耗性に優れ、またメッキ鋼板に
対して良好な接着性を示す塗布膜の形成が可能な、新規
な防錆塗料及びこのような塗料を塗布した金属材料を提
供することにある。
ン酸含量が10〜30重量%のエチレン・不飽和カルボ
ン酸共重合体の水性分散液からなる防錆塗料であって、
該共重合体のカルボキシル基を基準にして、10〜60
モル%の多価金属イオンと50〜120モル%のアルカ
リ金属イオン及び/又はアンモニウムイオンを含有する
ことを特徴とする防錆塗料に関する。本発明はまた、こ
のような防錆塗料を塗布した金属材料に関する。
て、不飽和カルボン酸含量が10〜30重量%のエチレ
ン共重合体が使用されるが、とくに分散性及び塗布膜の
耐熱性を考慮すると、不飽和カルボン酸含量が15〜2
5重量%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体を用い
るのが好ましい。不飽和カルボン酸含量が10重量%よ
り少ない共重合体を用いると、安定な水性分散液を得る
ことが難しく、その含量が30重量%を越えるような共
重合体を使用した場合には、一時的には分散するもの
の、直ちに凝集してしまい、貯蔵安定性に優れた水性分
散液を得ることはできない。ここに不飽和カルボン酸と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸な
どであり、とくにアクリル酸又はメタクリル酸が好まし
く、とりわけアクリル酸が好ましい。
不飽和カルボン酸のほかに他の単量体が共重合されたも
のであってもよい。このような他の単量体としては、プ
ロピレン、1−ブテン、イソブテン、酢酸ビニル、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチ
ル、アクリル酸nブチル、アクリル酸メチルのような不
飽和エステル、一酸化炭素などを例示することができ
る。このような他の単量体を多く含むものを用いると、
一般に塗布膜の融点が低下して耐熱性が損なわれるの
で、通常は、このような単量体を含まないか、あるいは
含んでいたとしてもその含量が20重量%以下、とくに
10重量%以下の範囲に抑えるのが望ましい。
体としては、水性分散液の製造の容易性、分散安定性、
水性分散液から得られる被膜の物性等を考慮すると、1
90℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが
1〜2000g/10分、好ましくは10〜1000g
/10分のものが好適である。このような共重合体は、
所定の単量体混合物を、200〜300℃の温度、10
0〜300MPa程度の圧力で、重合開始剤の存在下で
共重合させることによって得ることができる。また市場
から、ニュクレル(三井・デュポン ポリケミカル社
製)やプリマコール(ダウ社製)の商品名のものが入手
することができる。
水性分散液が用いられるが、該水性分散液は、そのカル
ボキシル基基準で、多価金属イオンが10〜60モル
%、好ましくは15〜45モル%、アルカリ金属イオ
ン、アンモニウムイオン、あるいはこれらのイオン混合
物が50〜120モル%、好ましくは60〜90モル%
に相当する量で含有されている。すなわち多価金属イオ
ンの含有量が上記範囲より少ないものを使用すると、塗
布膜の耐熱性、耐摩耗性、メッキ鋼に対する接着性等が
不充分となり、またその含有量が上記範囲より多くなる
と、分散粒子径が大きくなりすぎ、均質な塗布膜を得る
ことが難しくなる。またアルカリ金属イオン及び又はア
ンモニウムイオンの適当な含有量は、イオン種や共重合
体の種類によっても若干異なるが、その含有量が過少で
あると、安定な水性分散液の製造が容易でなく、あるい
は分散粒子径が大きくなって、均一な塗布膜を形成する
ことが難しくなる。
カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛、
アルミニウムなどであり、とくにアルカリ土類金属や亜
鉛などの2価金属が好ましい。またアルカリ金属として
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビ
ジウムなどであり、とくにナトリウムあるいはカリウム
の使用が好ましい。しかしながらとくに耐水性に優れた
塗布膜を得るためには、アルカリ金属イオンよりアンモ
ニウムイオンを含有するものを使用するのが好ましい。
分散粒子の平均粒径が1〜1000nm、好ましくは5
〜100nmの範囲であり、また固型分濃度が5〜50
重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲のものであ
る。すなわちこのような性状を有することにより、適度
な溶液粘度を有し、安定で、しかも塗布膜の均一性が優
れた防錆塗料とすることができる。かかる水性分散液と
してはまた、粘度が5〜1000mPa・s、好ましく
は10〜500mPa・sの範囲にあり、またpHが
9.5〜12、好ましくは10〜11.5の範囲にあ
る。
性分散液を製造する方法については本出願人の提案にか
かる特願平10−66770号に詳述されている。
剤を配合することができる。このような添加剤の例とし
て、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、顔
料、染料、ブロッキング防止剤、架橋剤、架橋助剤、シ
リカのような無機充填剤などを挙げることができる。こ
のような添加剤は、水性分散液のような形で添加するこ
ともできる。これらの配合量も任意であるが、水性分散
液の固形分を基準にして、例えばコロイダルシリカにお
いては40重量%以下、ワックスは30重量%以下、架
橋剤は1重量%以下の如き量で配合することができる。
金属材料に対して適用することができる。金属材料とし
てとくに適したものは、各種メッキ鋼であり、例えば亜
鉛、アルミニウム、マグネシウム、銅、錫、クロム、ニ
ッケル等を単独メッキした鋼、あるいはこれらの2種以
上の合金をメッキした鋼などを例示することができる。
このようなメッキ鋼はまた、無処理のものであってもよ
く、またクロメート処理、リン酸処理などの表面処理や
着色塗装などが施されたものであってもよい。その他の
適用可能な金属材料として、アルミニウム、アルミニウ
ム合金、チタン合金などを挙げることができる。このよ
うな金属材料は、板、管、線などの任意の形状のもので
あってもよい。
塗布するには、従来公知の方法を採用することができ
る。防錆塗料を塗布したのちは、必要に応じ加熱するこ
とにより、乾燥被膜を形成させることができる。かくし
て金属材料に多価金属イオンをイオン源とするエチレン
・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーからなる優れ
た特性を有する防錆被膜を形成させることができる。こ
のような防錆塗料の塗布厚みとしては、例えば1〜20
μm、とくに1〜10μm程度とするのが好ましい。
て利用できるが、さらにそのうえに樹脂層を設けること
もできる。例えば、蛇籠のように屋外で長期に使用され
るような場合には、耐候安定処方を施した樹脂層を、押
出コーティング等により形成させることができる。
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。尚、実施例で用いた水性分散液の原料となるエチレ
ン・不飽和カルボン酸共重合体の組成、物性、イオン源
の種類及び得られた塗膜の物性評価方法は下記の通りで
ある。なお物性についての3段階評価は下記のとおりで
ある。 1:良好 2:やや不良 3:不良
し出したエリクセン加工材を作成し、JIS2371に
したがって塩水噴霧試験を実施し、錆が1%発生するま
での時間により評価した。
にカッターナイフで縦横それぞれ1mm間隔に10本の
線の線を入れ、テープ剥離試験を行い、樹脂塗膜の残存
桝目数にて評価した。
1mm間隔に10本の線の線を入れ、沸騰水に一時間浸
漬したのち、塗膜の剥離の様子を3段階で評価した。
せ、25mm幅のヒートシーラーで両面から70℃で1
分加熱し引き剥がす際の抵抗を3段階で評価した。
重合体を80g、アンモニア水を11.7g及び酸化
亜鉛を1.8g仕込み、圧力0.5MPa温度150℃
で1時間撹拌したのち冷却して取り出した。平均粒子径
は26nm、粘度は370mPa・sであった。
シウム2.6gが用いられた。平均粒子径は50nm、
粘度は400mPa・sであった。
重合体を80g、アンモニア水を9.8g、水酸化カ
リウム1.6g及び酸化亜鉛を1.5g仕込み、圧力
0.5MPa温度150℃で1時間撹拌したのち冷却し
て取り出した。平均粒子径は36nm、粘度は200m
Pa・sであった。
ム2.2gが用いられた。平均粒子径は39nm、粘度
は200mPa・sであった。
重合体を80g、水酸化カリウム5.2g及び酸化亜
鉛を4.6g仕込み、圧力0.5MPa温度150℃で
1時間撹拌したのち冷却して取り出した。平均粒子径は
29nm、粘度は350mPa・sであった。
ウム3.3gが用いられた。平均粒子径は38nm、粘
度は240mPa・sであった。
重合体を80g、水酸化ナトリウム3.7gを仕込
み、圧力0.5MPa温度150℃で1時間撹拌したの
ち冷却して取り出した。平均粒子径は19nm、粘度は
180mPa・sであった。
重合体を80g、アンモニア水9.8gを仕込み、圧
力0.5MPa温度150℃で1時間撹拌したのち冷却
して取り出した。平均粒子径は70nm、粘度は300
mPa・sであった。
ム11.2gが用いられた。平均粒子径は14nm、粘
度は300mPa・sであった。
重合体を80g及び酸化亜鉛を5.4g仕込み、圧力
0.5MPa温度150℃で1時間撹拌したのち冷却し
て取り出した。平均粒子径は580nm、粘度は637
0mPa・sであった。
ポリマーとイオン源は下記表3のとおりである。
をそれぞれ固形分10%に希釈し、亜鉛メッキ鋼板を浸
し、塗布した後、150℃で10分間加熱乾燥して塗膜
を形成させた。室温に戻したのち24時間室温でエージ
ングし、樹脂塗装鋼板の塗膜の物性試験を行った。結果
を表4に示す。表中、水分散液の番号は製造例番号であ
る。
液をそれぞれ固形分10%に希釈し、亜鉛メッキ鋼板を
浸し、塗布した後、150℃で10分間加熱乾燥して塗
膜を形成させた。室温に戻したのち24時間室温でエー
ジングし、樹脂塗装鋼板の塗膜の物性試験を行った。結
果を表4に示す。
塗膜密着性に優れた塗布膜を形成することができる防錆
塗料を提供することができる。かくして得られる被覆金
属材料は、前記特性を有する他、耐蝕性、耐変色性に優
れており、各種家庭電気機器材料、建材、蛇籠等の土木
資材、車両、船舶等の用途に利用することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 不飽和カルボン酸含量が10〜30重量
%のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の水性分散液
からなる防錆塗料であって、該共重合体のカルボキシル
基を基準にして、10〜60モル%の多価金属イオンと
50〜120モル%のアルカリ金属イオン及び/又はア
ンモニウムイオンを含有することを特徴とする防錆塗
料。 - 【請求項2】 メッキ鋼用に使用される請求項1記載の
防錆塗料。 - 【請求項3】 請求項1記載の防錆塗料で防錆処理され
た金属材料。 - 【請求項4】 メッキ鋼である請求項3記載の金属材
料。
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- 1999-01-06 JP JP00085099A patent/JP4554001B2/ja not_active Expired - Fee Related
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