JPH0655295B2 - 耐食性,溶接性,潤滑性,連続パンチ打抜き性,上塗り塗装性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐食性,溶接性,潤滑性,連続パンチ打抜き性,上塗り塗装性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法

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JPH0655295B2
JPH0655295B2 JP2166620A JP16662090A JPH0655295B2 JP H0655295 B2 JPH0655295 B2 JP H0655295B2 JP 2166620 A JP2166620 A JP 2166620A JP 16662090 A JP16662090 A JP 16662090A JP H0655295 B2 JPH0655295 B2 JP H0655295B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動車,家電,建材製品等に使用される表面
処理鋼板であって、耐食性,溶接性,潤滑性,連続パン
チ打抜き性,上塗り塗装性に優れた表面処理鋼板及びそ
の製造方法に関する。
〔従来の技術〕 自動車,家電,建材製品等に使用されるめっき鋼板は、
無塗装または塗装して使用するが、それまでの間に種々
の工程を通り、しかもその間にかなり長期間にわたって
無塗装の状態におかれる。そのため、その間に錆が発生
するという問題がある。
従って、めっき鋼板が需要家で使用されるまでの一次防
錆として、一般的にクロメート処理が施される。しかし
このクロメート処理の耐食性は、一般に塩水噴霧試験で
せいぜい24〜48時間程度であり、シリカゾルを添加した
塗布型クロメートでも塩水噴霧試験で100 〜200時間の
耐食性しか得られないものである。従って長期にわたっ
て苛酷な腐食環境下で使用される製品では、耐食性が不
充分である。
製品が苛酷な腐食環境下で使用される場合を考慮して、
鋼板上に20μm厚程度の塗装を施し、腐食を防止する方
法がある。然るにこのような厚塗り塗装を施した場合に
は、鋼板にプレス加工等を施した時、塗膜の剥離や亀裂
を生じ、その部分で局部的な耐食性の低下を生じる。ま
たこのような厚い塗装鋼板では、スポット溶接などの溶
接が不可能になるので、溶接部は予め塗膜の除去が必要
になる。
また需要化が従来の表面処理鋼板を用いて、種々の工程
を経て製品を製造する場合、作業者のハンドリングなど
によって鋼板の表面に指紋等の汚れが付着し、商品価値
を著しく低下させることがある。従って、ハンドリング
時に指紋等の汚れが付き難い表面処理鋼板の開発も望ま
れている。
さらに鋼板をプレス成形するに際しては、潤滑油を鋼板
表面に塗布するが、この作業は脱脂工程があるため、加
工時に潤滑油等を使用せずにプレス加工ができる表面処
理鋼板の開発も望まれている。
またビデオやアンプといった家電製品のシャーシ部分や
裏面板等の部位に使用される鋼板は、部品取り付けのた
めにパンチングにより穴明け加工が数多くあり、連続打
ち抜き寿命を鋼板自身の特性で延長するという要望が出
されている。
又上記部品には、シルク印刷塗装と呼ばれる意匠性の高
い高級塗装が施されるため、高度な塗装密着性も要望さ
れる。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような背景の下で従来技術として、 (イ)特開昭 57-185987号公報 (ロ)特開昭 60-50179号公報 (ハ)特開昭 63-162886号公報 等の技術が開示されている。
上記(イ)の技術は、ポリアクリル酸とCrO3の混在物を塗
布するもので、耐食性が不十分(塩水噴霧試験で 150時
間程度)であり、かつ耐指紋性,潤滑性も劣る。
(ロ)の技術は、カルボキシル化ポリエチレン樹脂を用
い、耐食性,耐指紋性あるいは耐溶剤性に優れた被膜を
形成するものであるが、潤滑性に劣り、またプレス加工
性に劣る。
また(ハ)の技術は、カルボキシル化ポリエチレン樹脂を
用い、テフロン樹脂粒子を添加することにより、耐食
性,耐指紋性,耐溶剤性,潤滑性に優れた被膜を形成す
るものであるが、この発明では、前述したような連続パ
ンチ打抜き性およびシルク印刷塗装といった高度な上塗
り塗装性を得ることができず、この様な特性を必要とす
る部材への適用には耐えうるものではない。
本発明は上記従来の欠点を解消し、耐食性,溶接性,潤
滑性,連続パンチ打抜き性,上塗り塗装密着性を兼ね備
えた表面処理鋼板及びその製造方法を提供する。
〔課題を解決するための手段〕
上述した従来技術に見られるように、鋼板表面にクロメ
ート処理後、水分散性樹脂被膜を形成することにより耐
食性を向上することができる。
本発明者らは、これら従来技術の長所を生かしつつ、潤
滑性,連続パンチ打抜き性,上塗り塗装密着性の良好な
有機樹脂被膜組成及び製造条件を鋭意検討した結果、親
水性の官能基を有する自己分散型のフッ素樹脂を添加す
ることにより、水分散系の塗料中での潤滑剤であるフッ
素樹脂の分散を改良するとともに、乾燥後の有機・無機
複合皮膜の潤滑性を向上させ、かつ従来潤滑性皮膜の欠
点であったシルク印刷塗装といった高度な意匠性塗装で
の上塗料密着性を著しく向上させること、および水分散
性樹脂として、エチレンと不飽和カルボン酸共重合体の
分散液に重合性エチレン系不飽和化合物を加えて乳化重
合させ、さらにアミンで架橋させた水分散性樹脂と親水
性官能基を有する自己分散型のフッ素樹脂を併用するこ
とにより、パンチングによる穴明け加工時のボンチ,ダ
イスの寿命を著しく向上させること見出すに到った。
即ち第1の本発明は、めっき鋼板上に第1層としてCr換
算で5〜200 mg/m2のクロメート皮膜を有し、さらに第2
層としてエチレンと不飽和カルボン酸共重合体の分散液
に重合性エチレン系不飽和化合物を加えて乳化重合さ
せ、さらにアミンで架橋させた水分散性樹脂固形分100
重量部に対し粒径2〜50nmのシリカを5〜50重量部、さら
に親水性の官能基を有する自己分散型フッ素樹脂を5〜2
5重量部を含有し、その付着量が乾燥重量で0.3〜3g/m2
である有機・無機複合皮膜を有することを特徴とする耐
食性,溶接性,潤滑性,連続パンチ打抜き性,上塗り塗
装性に優れた表面処理鋼板である。
また第2の本発明は、エチレンと不飽和カルボン酸共重
合体の分散液に重合性エチレン系不飽和化合物を加えて
乳化重合させ、さらにアミンで架橋させた水分散性樹脂
固形分100重量部に対し粒径2〜50nmのシリカを5〜50重
量部、さらに親水性の官能基を有する自己分散型フッ素
樹脂を5〜25重量部の比率で分散混合させた水分散型塗
料を全固形分として5〜40重量%に調整した後、クロメ
ート皮膜を有するメッキ鋼板に塗布せしめ、その後100
〜250℃の板温で乾燥することを特徴とする耐食性,溶
接性,潤滑性,連続パンチ打抜き性,上塗り塗装性に優
れた表面処理鋼板の製造方法である。
〔作 用〕
以下本発明の耐食性,溶接性,潤滑性,連続パンチ打抜
き性,上塗り塗装性に優れた表面処理鋼板及びその製造
方法について詳細に説明する。
本発明で対象とする表面処理鋼板の素地としては、電気
亜鉛めっき鋼板,電気Zn-Niめっき鋼板,溶融 Zn めっ
き鋼板,5%Al-Zn溶融めっき鋼板のような各種 Zn 系
めっき鋼板,Alめっき鋼板,Crめっき鋼板,Snめっき鋼
板等、あるいはこれらの多層めっき鋼板,複合めっき鋼
板等を挙げることができる。
各めっき鋼板とも、めっき付着量は片面1g/m2以上とす
ることが好ましく、これを下回ると耐食性が低下する。
本発明は、このような鋼板のめっき面に下層側から第1
層としてクロメート皮膜を、また第2層として水分散性
潤滑添加物を含有する有機無機複合皮膜を形成させる。
第1層のクロメート皮膜は通常の処理方法に従えばよ
く、例えば無水クロム酸,クロム酸塩,重クロム酸等を
主剤とした水溶液中での浸漬クロメート処理、電解クロ
メート処理、および上記水溶液にコロイダルシリカ等を
混合した処理液を塗布する塗布型クロメート処理等によ
ってクロム水和酸物を主体とする被膜を形成するもので
ある。
そのクロメート被膜の付着量は、Cr換算で5〜200 mg/m2
程度とするのがよい。付着量が5 mg/m2未満では十分な
耐食性が得られない。この被膜上に、このクロメート皮
膜を骨格として、第2層の有機・無機複合皮膜が形成さ
れる。
水分散性樹脂としては、アクリル樹脂,エポキシ樹脂,
ウレタン系樹脂等も考えられるが、これら樹脂では、パ
ンチング加工等やクランクプレス時等の高速で鋼板が加
工を受ける時に、乾燥皮膜が高速加工時の板変形に追随
できず、皮膜の破壊が生じてその結果高速加工時の循環
性を低下せしめ、連続パンチ打抜き性やプレス加工性を
低下させる。従って水分散性樹脂としては、加工性のよ
いエチレンと不飽和カルボン酸共重合体に重合性エチレ
ン系不法和化合物を乳化重合させた樹脂がよく、また耐
食性を向上させる目的に、さらにアミンで架橋させた樹
脂が最も良い。
本発明で用いられる水分散性樹脂としては、以下の方法
で得られるエチレンとα,β不飽和カルボン酸とからな
る共重合体を、塩基性物質で中和することにより水に分
散できる。エチレンとα,β不飽和カルボン酸の比率
は、エチレン97〜40重量%とα,β不飽和カルボン酸3
〜60重量%が望ましい。中和に要する塩基は、アンモニ
アおよび低級アミンが好適である。
エチレン、α,β−不飽和カルボン酸酸重合体水分散液
の製造は、一般に60〜200℃程度の熱水中で1時間〜8
時間を要して行われる。次いでこの系に、重合性エチレ
ン系不飽和化合物を導入して乳化重合を行う。この操作
は乳化重合として一般に行れるもので、使用される化合
物として、カルボキシル基を含有する不飽和化合物を使
用する。また架橋等を目的に、グリシジルメタアクリレ
ート,ジアクリレート類,トリアクチレート類等を必要
に応じて併用しても差し支えない。
乳化重合は、常法に従って界面活性剤,重合開始剤,pH
調整剤等を使用して行われ、必要に応じて保護コロイド
類,溶剤類等も併用することができる。本発明では、エ
チレン、α,β−不飽和カルボン酸共重合物と乳化重合
に使用する重合性エチレン系不飽和化合物を、重量比率
で夫々90/10〜10/90で目的を達成できる。
この段階で、分子レベルでのからみ合い,グラフト,さ
らに前記反応型アクリレートでの架橋が進行するが、さ
らに本発明では、メチロールメラミン類,エポキシ化合
物,イミン類,アジリジン類等を全樹脂分に対し単独又
は配合して、カルボキシル基1当量に対し0.01〜1.4当
量使用して架橋を行わせる。
従来、水分散系樹脂皮膜に添加していた潤滑剤として
は、ワックス,二硫化モリブデン,有機モリブデン,グ
ラファイト,フッ化カーボン,金属セッケン,窒化ホウ
素,フッ素樹脂等が用いられている。しかしながらこれ
ら潤滑剤は、水分散系樹脂塗料の溶媒であり、水との親
和力が弱く、水分散系樹脂塗料に添加すると、沈降,凝
集等を生ずると同時に、塗料に含有して塗装する場合塗
装表面に潤滑剤が露出し、塗装された表面と上塗り塗膜
との親和力を低下させ、上塗り塗装密着性を低下させる
といった問題があった。
この問題点に対して、潤滑剤と分散剤を併用する方法、
例えばアルコール類,界面活性剤を添加する等の方法が
あるが、これらの添加剤では塗料中での分散は良くなる
ものの、上塗り塗装密着性を低下させるといった問題点
を解決することは出来なかった。
本発明者らはこの点に検討を重ね、潤滑剤として親水性
の官能基を有する自己分散型フッ素樹脂を用いること
で、塗料中での潤滑剤の分散性と上塗り塗装密着性の両
性能を満足できる表面処理鋼板を見出すに到った。
すなわち従来水との親和力が低く、水系溶媒に添加した
場合に凝集,沈降といった分散性の悪いフッ素樹脂に対
して親水性の官能基を付与させることで水系溶媒に対し
親和力を付与させ、フッ素樹脂自身を水分散型樹脂塗料
中に沈降等の現象を生ずることなく安定して存在させる
こと、および有機・無機複合皮膜中に潤滑剤を添加した
場合には、潤滑剤の一部が皮膜表面に露出し、皮膜と上
塗り塗料との密着性を低下せしめるという問題点も、フ
ッ素樹脂に親水性の官能基を付与させることで、潤滑剤
であるフッ素樹脂が皮膜表面に露出した場合において
も、潤滑剤中に含まれる親水性の官能基が上塗り塗膜と
の反応して密着力を確保し、上塗り塗装密着性の低下を
防止するという新しい知見を得たものである。
ここでいう親水性官能基とは、カルボン散基,水散基,
アミノ基,スルホン散基等の水溶媒中でイオン化又は極
性をもつ基のことであり、親水性官能基を有する自己分
散型のフッ素樹脂は以下の方法で得られる。
フッ素樹脂モノマーをパーオキサイド類を開始剤とし
て、乳化重合法により重合化する過程において、あるい
は高圧法により重合したポリフッ素樹脂を微粉末化し、
その後アルコール類,ケトン類,アセテート類等でディ
スパージョン化したもの、あるいは化重合法によって得
られたポリフッ素樹脂ディスパージョンに、スチレン,
アミノスチレン,メチルスチレン,マレイン酸,アクリ
ル酸、メタクリル酸,アクロレイン酸,アクリロニトリ
ル,メタクリル酸メチル,アクリルアマイド,ジドロキ
シエチルアクリレート,メタアクリル酸イソプロピル,
アクリル酸エチル,アクリル酸2−エチルヘキシル,メ
タクリル酸ブチル,アクリル酸ヘキシル,メトキシポリ
エチレングリコールアクリレート,酢酸ビニル,プロピ
オン酸ビニル,安息香酸ビニル,オレイン酸ビニル,ビ
ニルスルホン酸,ベオバ10(シェル化学製品),クロト
ン酸のうち1種もしくは2種以上と混合乳化重合させ、
親水性官能基を有する自己分散型のフッ素樹脂を得るこ
とができる。
このようにして得られた樹脂は、それ自身水に分散可能
であり、水溶媒中で安定して存在することができる。
ここでいうフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン
樹脂,ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂,テトラフ
ルオロエチレン−エキサフルオロプロピレン共重合樹
脂,ポリフッ化ビニリデン樹脂,ポリフッ化ビニル樹脂
を骨格となすものであり、1種もしくは2種以上混合さ
せることも可能である。
親水性官能基を有する自己分散型フッ素樹脂の添加量
は、水分散系樹脂の固形分100重量部に対し5〜25重量部
である。添加量が5重量部未満であると、潤滑性の向上
がすくなく、無塗油下でのクランクプレス加工性や連続
パンチ打抜き性が劣り、また25重量部を超えると潤滑性
の向上効果が飽和し、これ以上の添加は経済的でないの
みならず、皮膜の外観を損なう。
耐食性を向上させるために、有機被膜中にシリカを添加
する。シリカの添加量は、骨格となす水分散型樹脂固形
分100重量部に対して5〜50重量部で添加する。5重量部
未満では耐食性が不十分であり、50重量部を越すと被膜
強度が高まり、加工時に型カジリを生ずる。
またシリカとしては、コロイダルシリカ(例えば、日産
化学(株)製,ストーテックス−O,スノーテックス−
N,スノーテックス−20等)や、シリカ粉末(例えば、
アエロジル社製,気相シリカ粉末)等を使用することが
できる。シリカ粉末の粒径は、2〜50nmのものを使用す
る。粒径が2nm未満の場合は水分散型樹脂塗料中での安
定性が悪く、また50nmを越すと耐食性向上効果が低下す
る。
このような有機・無機複合皮膜の付着量を、乾燥重量で
0.3〜3g/m2と規定した理由は、付着量が0.3g/m2未満で
は鋼板表面の凹凸を埋めきれず、耐指紋性および耐食性
の向上が少なく、また3g/m2を超えると、耐食性の向上
はあるが溶接性が低下し、かつ経済的でないからであ
る。
以上に述べた本発明の表面処理鋼板の製造方法として
は、めっき鋼板を前に述べた適宜の方法によりクロメー
ト処理した後、その上にエチレンと不飽和カルボン酸共
重合体の分散液に重合性エチレン径不飽和化合物を加え
て乳化重合させ、さらにアミンで架橋した水分散性樹脂
溶液固形分100重量部に対して、粒径2〜50nmのシリカを
5〜25重量部、さらに親水性の官能基を有する自己分散
型フッ素樹脂を固形分で5〜25重量部加えて成る水系溶
液を全固形分として、5〜40重量%となる様に調合し、
この溶液を塗布し、最高板温が100〜250℃になるように
乾燥して付着量が乾燥重量で0.3〜3g/m2の有機複合皮膜
を形成することにより提供される。
ここで全固形分濃度として5〜40重量%とする理由は、
全固形分濃度が40重量%を超えると水系塗料自身の安定
性が悪く、保存中に内容物が凝縮や沈降を起こし易くな
るためであり、5%未満の場合は、溶媒である水が乾燥
行程で多量の熱を必要とするため、経済的でないからで
ある。
また乾燥板温度を100〜250℃とした理由は、100℃未満
では、塗料中の水が完全に揮発しづらく、また皮膜自身
の耐食性が低下するためであり、250℃を越すと皮膜の
硬化が進みすぎ、加工性が低下するためである。
また乾燥条件については特に規制するものではないが、
乾燥設備としては、熱風吹きつけによる方法や、ヒータ
ーによる間接加熱方法,赤外線による方法,誘導加熱に
よる方法、ならびにこれらを併用する方法でよく、加熱
時間としては 1〜60秒程度でよい。
〔実施例〕
下記条件の下で本発明の表面処理鋼板の試験片及び水分
散型樹脂塗料を調合し、第1表に示すNo,1〜36を作成し
た。
1) 水分散型樹脂塗料の調合 水分散型樹脂の溶液に、予めシリカを水に約50重量%以
下の含有率になるように調合しておいたシリカ分散溶液
を、ディスパーで撹拌しながら少量づつ添加し、シリカ
と水分散型樹脂を含んだ溶液を作成する。次に目標の固
形分濃度近くにまで水を加え、最後に自己分散型フッ素
樹脂を少量づつ添加し、水で全固形分濃度が目標値にな
るように調整した。また全固形分濃度については、105
℃,3時間乾燥後の重量変化から求めた。
実施例における潤滑剤の種類は、以下の通りである。
No.1 テトラフルオロエチレン樹脂粒子(0.3μm径) No.2 テトラフルオロエチレン樹脂ディスパージョン No.3 テトラフルオロエチレンとアクリル酸メタクリル
酸メチルとの反応生成物 No.4 テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合樹脂とアクリル酸とメタクリル酸メチルとの
反応生成物 No.5 ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂とアクリル
酸とメチルスチレンとの反応生成物 No.6 ポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル酸とメタア
クリル酸プロピルとの反応生成物 No.7 ポリフッ化ビニル樹脂とアクリル酸とメタアクリ
ル酸プロピルとの反応生成物 2) 供試材(めっき鋼板の種類) A:電気亜鉛めっき鋼板(板厚0.8mm) Znめっき付着
量20g/m2 B:電気Zn-Niめっき鋼板(板厚0.8mm) Zn-Niめっき
付着量20g/m2 Ni含有率 12% C:溶融亜鉛めっき鋼板(板厚0.8mm) Znめっき付着
量60g/m2 D:合金化溶融亜鉛めっき鋼板(板厚0.8mm) Znめっ
き付着量45g/m2 Fe含有率 10% 3) クロメート処理 前記各供試材のめっき鋼帯(0.8mmt×914 幅)にCrO3 2
0g/,SiO2 40g/なる組成のクロメート処理液をスプ
レー処理した後、エアーナイフにて所定の付着量になる
ように調整し、熱風乾燥炉を通過させ、板温80℃で乾燥
した。
4) 有機・無機複合皮膜処理 前記クロメート処理しためっき鋼帯を第1表に示す処理
液組成で、付着量(乾燥重量)を調整し、熱風乾燥炉に
て所定の乾燥板温度に乾燥し、有機・無機複合皮膜を形
成した。
このようにして得られた水分散型樹脂塗料及び試験片に
ついて、第1表に示すところの各種性能試験を行った。
評価方法 1) 塗料安定性 25℃の温度で塗料を密封容器に封入し、1か月静置した
のち塗料中の固形分の凝集及び沈降状態を目視で判定し
た。
評点 1:固形分の凝集及び沈降が激しく、撹拌してもすぐに
凝集・沈降する。
2:固形分の凝集・沈降が軽微であり、かつ撹拌により
容易に分散し、すぐには凝集沈降がみられない。
3:固形分の凝集・沈降が全くみられない。
2) 耐食性 塩水噴霧試験(JIS Z-2371)による錆発生時間を示し
た。
3) 上塗り塗装密着性 市販のシルク印刷用インキ(エポキシ樹脂系塗料)をシ
ルクスクリーンにて乾燥厚み10μmになるように塗装
し、150℃で20分焼き付けた。
上塗り塗装密着性試験は1mm角ごばん目を 100個ナイフ
で塗膜に傷つけ、エクセリン試験機にて鋼板の裏面側か
ら2mm押し出し、その後セロテープ(登録商標)で密着
剥離を行い、密着剥離状況を目視で10段階評価した。
評点 10… …5… …1 塗膜の剥離なし, 50%剥離, 全面剥離 この評価試験においては9点以上が望ましい。
4) 耐指紋性 人工汗液(塩化ナトリウム,乳酸,尿素,アルコール含
有水溶液)をゴムスタンプ(1cm角)に付けて試験片に
押し付け、スタンプ跡の付着状況を目視にて判定した。
評点 1:跡が鮮明に見える 2:跡が軽度に見える 3:全く跡が見えない この評価試験においては3点が望ましい。
5) クランクプレス性 プレス油,防錆油などを全く付けない状態で、200mmφ
の円板状に切り出した試験片を、高さ40mm,幅および長
さ80mm,肩半径5mm-Rの角筒にクランクプレス機でプレ
ス加工し、加工品の加工状況ならびに金型での傷付き程
度を目視にて判定した。
評点 1:割れ発生による加工不可能 2:プレス品側面全面にわたり金型による表面のカジリ
発生 3:プレス品側面のカジリ発生が軽微 4:プレス品側面のカジリ発生が殆ど見られない この評価では評点3以上が望ましい。
6) 連続パンチ打抜き性 プレス油などを全く付けない状態で、エアー式パンチン
グ孔明け機を使用し、試験片を10mmφの打ち抜き(ポン
チ−ダイスクリアランス0.25mm)を1秒に1回の速度で
連続パンチングし、打ち抜いた鋼板端面のバリ高さが
0.3mm以上となった時点での打ち抜き回数を求めた。
この評価では、20万回以上が望ましい。
7) 溶接性 溶接電流 8500A 通電時間 10 サイクル(50Hzにて) 電極先端径 4.5 mmφ 電極加圧力 200 kg-f の条件で連続スポット溶接試験を行ない、安定してナゲ
ット径が3mmφ以上形成できる打点数を求めた。
試験結果 No.1は、電気亜鉛めっき鋼板に塗布型クロメート処理を
行った比較例であるが、耐食性が72時間と悪く、また皮
膜に潤滑性がなく、クランクプレス性,連続パンチ打抜
き性が悪く、また耐指紋性も良くない。
No.2は、下層にクロメート皮膜,上層に潤滑剤を含まな
い有機・無機複合皮膜を2g/m2塗布したものであるが、
塗料安定性,耐食性,塗装密着性,耐指紋性は良いもの
の、潤滑性が劣っているためにクランクプレス性,連続
パンチ打抜き性に劣っている。
No.3は、潤滑剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末
を、そのまま水分散型樹脂塗料に混合調合したものを塗
布乾燥したものであるが、潤滑剤の塗料中への分散性な
らびに塗料安定性が悪く、また上塗り塗料密着性も7点
で劣っている。
No.4は、潤滑剤として乳化重合により作成したポリテト
ラフルロオエチレンディスパージョンであるが、塗料の
安定性は良いものの上塗り塗料密着性が2点と劣ってい
る。またクランクプレス性も2点と低く、連続パンチ打
抜き性も十分満足できるものではない。
これら比較例に対してNo.5〜No.36の本発明例は、塗料
の安定性も良く、耐食性,上塗り塗装密着性,耐指紋
性,クランクプレス性,連続パンチ打抜き性,連続溶接
性等総合的に優れている。
〔発明の効果〕
従来、水分散系樹脂塗料中に潤滑剤を添加した塗料は、
潤滑剤の分散性が劣る問題や塗料をめっき鋼板に塗布し
た場合には、上塗り塗装密着性が劣るといった問題があ
り、需要家においてシルク印刷等意匠性を有する高級塗
装にて使用できないという制約があった。本発明による
表面処理鋼板及びその製造方法は、これら従来の問題点
を解決することから、需要家での使用範囲が拡大し、ま
た塗装性,クランクプレス性,連続パンチ打抜き性,連
続溶接性といった需要家での実用特性が優れるころか
ら、汎用性が高く、且つ種々の家電製品,自動車,建材
等の広範囲の用途に使用できる。さらにプレス加工等に
際して、プレス油が省略できるため、脱脂工程の省略が
可能となり、副資材の節減,工程の短縮等,需要家での
コスト低減に大きく資するものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】めっき鋼板上に第1層としてCr換算で5〜2
    00 mg/mのクロメート皮膜を有し、さらに第2層とし
    てエチレンと不飽和カルボン酸共重合体の分散液に重合
    性エチレン系不飽和化合物を加えて乳化重合させ、さら
    にアミンで架橋させた水分散性樹脂固形分100重量部に
    対し粒径2〜50nmのシリカを5〜50重量部、さらに親水性
    の官能基を有する自己分散型フッ素樹脂を5〜25重量部
    を含有し、その付着量が乾燥重量で0.3〜3g/m2である有
    機・無機複合皮膜を有することを特徴とする耐食性,溶
    接性,潤滑性,連続パンチ打抜き性,上塗り塗装性に優
    れた表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】エチレンと不飽和カルボン酸共重合体の分
    散液に重合性エチレン系不飽和化合物を加えて乳化重合
    させ、さらにアミンで架橋させた水分散性樹脂固形分10
    0重量部に対し粒径2〜50nmのシリカを5〜50重量部、さ
    らに親水性の官能基を有する自己分散型フッ素樹脂を5
    〜25重量部の比率で分散混合させた水分散型塗料を全固
    形分として5〜40重量%に調整した後、クロメート皮膜
    を有するメッキ鋼板に塗布せしめ、その後100〜250℃の
    板温で乾燥することを特徴とする耐食性,溶接性,潤滑
    性,連続パンチ打抜き性,上塗り塗装性に優れた表面処
    理鋼板の製造方法。
JP2166620A 1990-06-27 1990-06-27 耐食性,溶接性,潤滑性,連続パンチ打抜き性,上塗り塗装性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法 Expired - Lifetime JPH0655295B2 (ja)

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