JP2617837B2 - 摺動性およびプレス加工性に優れた潤滑めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

摺動性およびプレス加工性に優れた潤滑めっき鋼板の製造方法

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JP2617837B2 JP3254192A JP25419291A JP2617837B2 JP 2617837 B2 JP2617837 B2 JP 2617837B2 JP 3254192 A JP3254192 A JP 3254192A JP 25419291 A JP25419291 A JP 25419291A JP 2617837 B2 JP2617837 B2 JP 2617837B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動摩耗性に優れ、且つ
高速プレス加工性に優れた潤滑性および塗料密着性等の
汎用的性能を有する非脱膜型潤滑めっき鋼板の製造方法
に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】従来、加工後塗装されていたポスト塗装
製品に代わって、薄い有機皮膜を被覆した表面処理鋼板
が使用されている。この鋼板は下地に亜鉛系のめっき皮
膜を有し、その上に有機皮膜を被覆したもので、溶接が
でき、密着加工性および耐食性に良好な特性をもってい
る。
【0003】特開平3−39485号公報には、亜鉛系
のめっき鋼板の上にクロメート皮膜処理を行い、水性樹
脂にシリカとガラス転移点(Tg点)が40℃以上のワ
ックスを分散した樹脂塗料をドライ膜厚で0.3〜3g
/m2 被覆したものが開示されている。また、特開平3
−28380号公報には、電気亜鉛めっき鋼板の上にク
ロメート処理を行い、カルボキシル化したポリエチレン
樹脂とテフロン潤滑剤からなる塗料をドライ膜厚で0.
5〜4.0g/m2 被覆して得られる潤滑鋼板が開示さ
れている。これらの表面処理鋼板は、めっき、クロメー
ト、有機皮膜の複合効果によって潤滑性、耐食性、溶接
性、塗料密着性を与えるもので、生産性や品質改良を目
的として現在も活発に開発が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の潤滑鋼板
は、プレス絞り加工性と摺動摩耗性の2つを改善するた
めに適用されていた。しかしながら、両性能を満足する
潤滑鋼板はいまだ完成されているとはいえない。プレス
加工性については、最近の家電製品が個性重視のためデ
ザインを複雑化し、プレス形状が複雑になっている上
に、プレス方法がクランクプレスであるため、高速で延
び、圧縮、しごき、曲げ、曲げ戻しを受ける加工が実施
されるようになり、より高水準の潤滑皮膜が必要になっ
ている。また、摺動摩耗性については硬質のニッケルや
クロムめっきが必要であった。
【0005】さらに、従来技術は、プレス後脱脂するこ
となくそのままプレコート塗装鋼板として使用する用途
に対して必要な一般性能、たとえば上塗り塗料密着性、
耐食性や溶接性が十分とはいえない。
【0006】また、製造面では塗料の安定性の問題があ
る。即ち塗料を構成する水性樹脂、潤滑剤およびシリカ
ゾルがいずれも分散体であり、それぞれ単独では安定で
あるが、混合すると凝集しやすい問題がある。また、塗
装においては新たに設備化するとコストアップになるた
め、既存のめっきライン内で簡単な製造条件で生産でき
る塗料でなければならない。これらの問題を全て解決し
た潤滑めっき鋼板の製造方法はいまだ確立されていな
い。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、めっき
鋼板の表面にCr換算で5〜100mg/m2 のクロメ
ート処理を行ったのち、その上層にシリカを水性樹脂1
00重量部に対して固形分で10〜70重量部、粒径が
3μm以下、軟化温度が150℃以下の下記ポリオレフ
ィンワックスディスパージョンと粒径が3μm以下、軟
化温度が250℃以上のテフロンディスパージョンを9
/1〜1/9の不揮発分重量比で混合したワックスを全
固形分が水性樹脂100重量部に対して2〜30重量部
となる割合で含有する潤滑塗料をドライ付着量として
0.5〜5.0g/m2 被覆し、ただちに到達板温90
〜200℃に焼付けて冷却することを特徴とする摺動性
およびプレス加工性に優れた潤滑めっき鋼板の製造方法
である。 記 〔ポリオレフィンワックスディスパージョン〕エチレン
系不飽和カルボン酸もしくはその無水物またはカルボキ
シル基含有誘導体を結合成分として含む極性基を有する
分子量が1000〜4000、酸価1〜20の球形ポリ
オレフィンワックスを水または水溶液に分散させたディ
スパージョン。
【0008】
【作用】本発明方法により製造する潤滑めっき鋼板の断
面を図1に示す。下層から鋼板1、めっき2、クロメー
ト3、そして潤滑皮膜4で構成される。潤滑皮膜4には
2種類の潤滑剤(○:ポリオレフィン、●:テフロン)
が分散されている。以下、各皮膜ごとに説明する。
【0009】本発明が対象とするめっき鋼板は、電気め
っき、溶融めっき、蒸着めっきで製造される亜鉛めっき
鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、分散めっき鋼板、重ねめっ
き鋼板、アルミニウムおよびアルミニウム合金めっき鋼
板を包含するものである。特に亜鉛合金めっき鋼板は、
摺動摩耗性とプレス性、耐食性について優れた性能が得
られる。めっき量は特に限定する必要がないが、本発明
では5〜100g/m2 が望ましい。
【0010】冷延鋼板に上記の既存の方法でめっきを行
った後、クロメート処理を行う。クロメート付着量はC
r換算で5〜100mg/m2 である。クロメート処理
の種類は、電解クロメート、エッチングクロメート、塗
布クロメートのいずれも本発明に適用できるが、水性塗
料を塗装する時点でクロメート皮膜が溶解しにくく且つ
板温の低い電解もしくはエッチングクロメートが望まし
い。Cr付着量を限定した理由は、Crが5mg/m2
未満では耐食性が得られにくく、100mg/m2 超で
はクロメート自身の凝集破壊が生じ、密着性が得られな
いためである。
【0011】潤滑皮膜としてワックスを適用することは
公知であるが、残念ながら、プレス性と摺動摩耗性の両
方を満足するものではない。また、ワックスの不活性な
化学的特性から汎用的な表面特性が得られず、高濃度の
乳化剤を用いて分散させた塗料を得るため皮膜中に乳化
剤が残存し、表面特性の良好な皮膜が得られない欠点が
あった。本発明はこの難しい問題を解決した。
【0012】本発明で使用する潤滑塗料は、揮発性溶剤
を含まない水性樹脂、シリカゾル、および反応性に富む
粒径が3μm以下の球形ポリオレフィンワックスディス
パージョンと反応性に富む粒径が3μm以下のテフロン
ディスパージョンを混合した成分とする。水性樹脂とし
てはオレフィンアクリル樹脂、ポリオレフィンアイオノ
マー、エポキシ樹脂、ウレタンエポキシ樹脂、ポリエス
テル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニール樹脂を用いるこ
とができる。特にオレフィンアクリル樹脂、ポリオレフ
ィンアイオノマー、ウレタンエポキシ樹脂、ポリエステ
ル樹脂が好ましい。
【0013】組成重量比は、水性樹脂100に対してシ
リカゾルを10〜70、および粒径が3μm以下で軟化
温度が150℃以下の球形ポリオレフィンワックス(P
OW)と粒径が3μm以下で軟化温度が250℃以上の
テフロンワックス(TFW)を混合したワックスを2〜
30重量部の範囲とする。
【0014】シリカゾルの役割は、皮膜耐食性および皮
膜強度を改善し、摺動摩耗性を向上させることである。
また、プレス加工時においては、発熱に対する樹脂の耐
熱性が改善される。シリカゾルの樹脂100に対する重
量比が10未満では十分な耐食性、摺動摩耗性が得られ
ず、70超では皮膜が硬く伸びないため加工に追従でき
なくなり、プレス性が低下する。樹脂100に対するシ
リカゾルの好ましい重量比範囲は30〜60である。ま
た、シリカゾルの形状は細かい粒子が好ましく、直径5
〜50nmの球形シリカゾル、または直径5〜50nm
で長さ/太さ比が1〜5に化学的に結合させた線状シリ
カを使用する。シリカゾルの直径が5nm未満では塗料
の安定性が実用範囲を越えるため好ましくなく、50n
m超では耐摩耗性が低下する。
【0015】ポリオレフィンワックスおよびテフロンワ
ックスは動摩擦係数を下げ、プレス加工性、摺動摩耗性
を向上させる。本発明に用いるポリオレフィンワックス
は、従来のワックスとは異なり、表面特性に優れ且つ水
性樹脂液に均一に分散しやすいワックスディスパージョ
ン、即ちエチレン系不飽和カルボン酸もしくはその無水
物またはカルボキシル基含有誘導体を結合成分として含
む極性基を有する分子量が1000〜4000、酸価1
〜20の粒径が3μm以下の球形ワックスを、乳化剤を
ワックスに対して5%以下、好ましくは乳化剤を用いる
ことなく水または水溶液に分散させたディスパージョン
である。テフロンワックスについては、分子量は数万か
ら数十万で、極性基グラフト重合処理テフロンが望まし
いが、密度が大きく、ポリオレフィンのように皮膜の表
面に濃化(ブリージングまたは浮きと呼ばれる)し難い
ため、従来の活性剤で分散したディスパージョンを使用
することができる。
【0016】本発明で使用するポリオレフィンワックス
の種類は、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワッ
クス、ポリブチレンワックスである。
【0017】本発明で使用するテフロンワックスディス
パージョンは、ポリテトラフロロエチレン(PTF
E)、パーフロロアルコキシエチレン(PFE)、フッ
化エチレンプロピレン(FEP)等である。
【0018】即ち、ポリオレフィンは極性基を付与して
化学的反応性を確保し、ワックスの滑り性を低下させる
ことなく水溶液に分散させて、真球に近い形状で軟化点
が低い。一方、テフロンは動摩擦係数を極端に下げる劈
開性に基づく潤滑性を有し、硬質で軟化点が高く、さら
に極性基をグラフト重合付与したものは化学的反応性に
優れる。これらの異なる性質と潤滑機能を持つワックス
を混合することにより、オレフィン自身の半溶融性滑り
性とテフロンの劈開性コロ潤滑の両性能を合わせ持った
ベアリング特性を有する高度の潤滑特性が得られる。ベ
アリング潤滑機構の観点からTFWは250℃以上の軟
化温度を、POWは滑り性の観点から150℃以下の低
い軟化温度を有するワックスとする必要がある。
【0019】POWとTFWを加えた全ワックス濃度は
水性樹脂100に対して2〜30重量の範囲で、且つP
OW/TFWが9/1〜1/9の範囲とする。POW/
TFWが9/1〜1/1の範囲で特に良好な性能が得ら
れる。樹脂100に対する濃度比が2未満では摺動摩耗
性、高速の深絞り加工に対する十分な特性が得られにく
い。また、30超では表面特性、特に上塗り塗料密着
性、耐食性が低下する。POW/TFWが(9超)/1
では摺動特性が低下し、1/(9超)ではプレス加工性
が低下する。
【0020】極性基は、触媒の存在下で、ポリオレフィ
ンワックスを酸素、オゾンあるいは硝酸等の酸化剤で酸
化処理することによって得られる酸化ポリオレフィンワ
ックス、あるいはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のエチレン
系不飽和カルボン酸モノマーとポリオレフィンワックス
とをベンゾール等で溶解し、重合開始剤(パーオキサイ
ド、レドックス、重金属触媒等)と共に窒素気流中で加
熱してグラフト化して得る。
【0021】分子量の限定理由は、ワックスの潤滑特性
である。理想的には2000〜4000とする。変性ポ
リオレフィンの酸価は、表面特性および分散性から限定
する。酸価1未満では塗料密着性が得られず、酸価20
超では摩擦抵抗が大きくプレス性が劣化する。ポリオレ
フィンの好ましい酸価の範囲は3〜15である。
【0022】ワックスの粒径は、3μm超では加工によ
ってワックス自身が凝集破壊を起こし、密着加工性が低
下する。また、製造面においてもロールへのビルドアッ
プが生じ易い問題がある。皮膜の膜厚以下の細かい粒子
が望ましい。
【0023】以下、潤滑皮膜を被覆する方法について述
べる。
【0024】クロメート処理を行った後、潤滑塗料をド
ライ付着量として0.5〜5.0g/m2 塗布し、ただ
ちに到達板温90〜200℃に焼付けて皮膜化する。ド
ライ付着量を限定したのは、潤滑性、耐食性ともにドラ
イ付着量に比例して向上し、ドライ付着量0.5g/m
2 未満では潤滑性、耐食性が得られず、ドライ付着量
5.0g/m2 超では溶接できず、また生産面において
ロールへのビルドアップや、急速加熱による泡立ちが発
生しやすく実用的ではないからである。最も好ましいド
ライ付着量は1〜3g/m2 である。塗布方法はロール
コーター、エアーナイフコーター、静電塗装等の既存の
方法を採用できる。
【0025】塗装後、ただちに焼付ける。本発明におい
ては、できるだけ短時間に焼き付ける急速加熱方法によ
り良好な結果が得られる。即ち、塗装後数秒以内に焼き
付け炉に入れ、10秒以内に到達板温90〜200℃に
焼き付ける方法が好ましい。その理由は、前述したよう
に本発明の目的とする表面特性の優れた潤滑皮膜を得る
ためワックスの表面濃化を抑制するためである。極性基
を付与せず乳化剤で分散する従来のワックス含有塗料は
表面に不活性なワックスが浮いて表面を占有し、上塗り
塗料密着性が得られない。焼付方法としては熱風、赤外
線、誘導加熱、ガス直火炉、電気炉等の公知の方法を採
用できるが、前述したように急速加熱焼付方法が望まし
い。
【0026】本発明に用いる潤滑塗料には、必要により
メラミン、アミン等の架橋剤やシランカップリング剤、
顔料等を加えることができる。
【0027】
【実施例】実施例中の浴成分は不揮発分としての濃度比
である。実施例の記号と内容は表1の通りである。粒径
はレーザー光散乱法もしくは透過電顕から判定し、分子
量はGPC、極限粘度から、軟化点は環球法(JISK
2531)で測定したものである。
【0028】
【表1】
【0029】実施例1 めっき量20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板(板厚0.
8mm)の表面に市販のエッチングクロメート処理を行
い、水洗後表2に示す潤滑塗料をロールコーターにて塗
布したのち、2秒以内にガス直火炉に入れ5秒で到達板
温150℃に焼付け、水冷して潤滑めっき鋼板を作成し
た。
【0030】得られた潤滑めっき鋼板について、回転式
の摺動摩耗試験機で摺動摩耗性を評価した。ビデオケー
ス側面から打抜きプレスを使用して10mmφのプラス
チック片を打ち抜き、500gの荷重の端子に貼り付け
る。次に円盤上の試料表面に500gの荷重でプラスチ
ック片を圧下させ、試料を毎分60回転の速度で回転さ
せ、プラスチック片による試料への傷入りを50回毎に
観察し、めっきに傷が入った回数で評価した。プレス角
筒クランクプレスにて「かじり」を評価した。クランク
プレスの条件は、しわ抑え圧6トンで粗板(0.8×2
20×180mm)を65×115mm、高さ50mm
に成形し、粘着テープ(ニチバンセロテープ)にて側面
を剥離し、模造紙に貼り色差計にて明度(L)を測定
し、粘着テープを直接模造紙に貼付けたブランクの明度
(L)との差(L−L)をΔL値で示した。耐食性
は塩水噴霧試験で白錆が面積率5%発生した時間、塗料
密着性は市販のメラミンアルキッド樹脂塗料をドライ付
着量で20g/m塗布し、熱風120℃20分焼付
け、エリクセン試験機で9mm絞ったのち粘着テープ
(ニチバンセロテープ)にて剥離し、目視評価(剥離面
積率)した。また、連続スポット溶接性は、試験板20
0×300mmを2枚合わせて20mm間隔で電流9k
A、加圧力250kgf、電極先端径4.5mm、通電
時間12サイクル条件でスポット溶接を行い、溶接可能
な点数で評価した。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】No.1〜4は潤滑皮膜の付着量を0.
5、1.0、2.0、3.0g/m2 に変化させた本発
明例で、膜厚が厚いほど摺動摩耗性およびクランクプレ
スのかじりがなく良好な潤滑性を示す。耐食性は付着量
に比例して優れる。しかし、溶接性においてはNo.
1、2は良好な結果を得たが、高付着量のNo.3、4
は溶接しにくい。
【0033】No.5、6はクロメート付着量を変化さ
せた本発明例で、塗布量の少ないNo.5は耐食性がや
や低下し、高付着量のNo.6は塗料密着性で少し剥離
するが、いずれも良好な結果を得た。
【0034】No.7〜9はシリカの含有比率を変えた
例で、率の低いNo.7は耐食性でやや低く、シリカの
含有率の高いNo.9は摩耗性に非常に優れる。しか
し、クランクプレスではかじりが発生した。No.8は
バランスの良い結果を得た。
【0035】No.10、11はシリカの種類を変えた
本発明例で、良好な潤滑性、耐食性、塗料密着性を得
た。
【0036】No.12〜15はPOW/TFWを変え
た本発明例である。No.12はバランスの良い結果を
得た。TFW比の低いNo.13は摺動摩耗性能が多少
低下するがプレス性が良好である。全ワックス濃度の低
いNo.14は潤滑性能が低くなる。濃度の高いNo.
15は潤滑性が優れているが、塗料密着性で少し剥離し
た。しかし、いずれも実用可能な性能を得た。
【0037】No.16は潤滑剤を含まない比較例で、
潤滑性が劣る。No.17はTFWを含まない比較例
で、摺動摩耗性が劣る。No.18はPOWを含まない
比較例で、プレス性でのかじりがひどい。
【0038】実施例2 板厚0.8mmの冷延鋼板に既存の方法でめっき量20
g/mの10%Ni−Zn合金電気めっきを行い、そ
の表面をクロム酸/硫酸=30/0.3g/l浴中で電
流密度10A/dm、2秒間電解後水洗してCr付着
量60mg/m被覆し、表に示す水性樹脂の異なる
潤滑塗料をロールコーターにて塗布し、ただちに樹脂に
よって異なる板温120〜170℃にガス直火炉にて焼
き付け、水冷して潤滑めっき鋼板を作成した。評価は実
施例1に準じて行い、得た結果を表2及び表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】Ni−Zn合金めっき下地ではいずれも摺
動摩耗性、耐食性が向上した。
【0041】No.19はオレフィンアクリル樹脂とア
ンモニア中和シリカの塗料に潤滑剤として酸価5のPO
WとPTFEを加えた本発明例で、バランスの良い良好
な結果を得た。No.20〜25はオレフィンアクリル
樹脂に異なる種類のPOWを配合した本発明例で、いず
れも良好な結果を得た。No.26はPOWとして高分
子量の樹脂を用いた比較例、No.27は低分子量のポ
リエチレンを用いた比較例で、いずれもクランクプレス
性が悪い。
【0042】No.28、29は極性基としてマレイン
酸グラフ重合させたテフロンを用いた本発明例、N
o.30はPFEを用いた本発明例であり、バランスの
良い良好な性能を示した。No.31は水性樹脂として
ポリエチレンアイオノマー、No.32はポリエステル
を使用した本発明例である。摺動廉耗性、プレス性、耐
食性に良好な結果が得られた。No.33は焼付板温が
170℃の本発明例で、摺動摩耗性がより改善された。
No.34は板温が低い100℃に焼き付けた本発明例
で、耐食性、摺動摩耗性で若干性能が低くなるが実用可
能水準であった。
【0043】実施例3 20%Fe−Zn電気亜鉛合金めっき鋼板(めっき景2
0g/m)に電解クロメート(No.35)を、溶融
亜鉛めっき鋼板(めっき量40g/m)の表面に市販
の塗布クロメートを、夫々Cr付着量52mg/m
No.36)で行い、表2に示すNo.2の条件で
潤滑めっき鋼板を作成した。
【0044】No.35は摺動摩耗回数500回で、ク
ランクプレスでかじりが殆ど無く(ΔL=−0.1)、
耐食性は1000時間、塗料密着性も良好な結果を得
た。No.36は摺動摩耗回数が300回、プレスかじ
りはΔL=−0.2、耐食性は500時間、塗料密着性
剥離は2%と略良好な結果を得た。
【0045】
【発明の効果】本発明法により製造しためっき鋼板は、
プレス油を塗布することなく摺動摩耗性に優れ、高速深
絞りができ、さらに皮膜を除去することなくそのまま耐
食性皮膜、塗装下地めっき鋼板として使用できることか
ら、脱脂工程の省略、脱脂用溶剤蒸発による環境破壊の
防止、職場の環境改善等のメリットがあり、幅広い分野
に適用可能な高品質表面処理鋼板であり、製品のトータ
ルコストをミニマム化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法により製造した潤滑めっき鋼板の皮膜
の断面図である。
【符号の説明】
1 鋼板 2 めっき 3 クロメート 4 潤滑皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 和三 千葉県君津市君津1 新日本製鐵株式会 社 君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 平3−39485(JP,A) 特開 平3−16726(JP,A) 特開 平3−2257(JP,A) 特開 平1−301332(JP,A) 特開 昭63−35798(JP,A) 特開 昭62−73938(JP,A) 特開 平2−9630(JP,A) 特開 昭62−152578(JP,A) 特開 平3−197131(JP,A) 特開 平1−166943(JP,A) 特公 昭62−24505(JP,B2)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき鋼板の表面にCr換算で5〜10
    0mg/m2 のクロメート処理を行ったのち、その上層
    にシリカを水性樹脂100重量部に対して固形分で10
    〜70重量部、粒径が3μm以下、軟化温度が150℃
    以下の下記ポリオレフィンワックスディスパージョンと
    粒径が3μm以下、軟化温度が250℃以上のテフロン
    ディスパージョンを9/1〜1/9の不揮発分重量比で
    混合したワックスを全固形分が水性樹脂100重量部に
    対して2〜30重量部となる割合で含有する潤滑塗料を
    ドライ付着量として0.5〜5.0g/m2 被覆し、た
    だちに到達板温90〜200℃に焼付けて冷却すること
    を特徴とする摺動性およびプレス加工性に優れた潤滑め
    っき鋼板の製造方法。 記 〔ポリオレフィンワックスディスパージョン〕エチレン
    系不飽和カルボン酸もしくはその無水物またはカルボキ
    シル基含有誘導体を結合成分として含む極性基を有する
    分子量が1000〜4000、酸価1〜20の球形ポリ
    オレフィンワックスを水または水溶液に分散させたディ
    スパージョン。
  2. 【請求項2】 水性樹脂として揮発性溶剤を含まないオ
    レフィンアクリル樹脂、ポリオレフィンアイオノマー、
    エポキシ樹脂、ウレタンエポキシ樹脂、ポリエステル樹
    脂、アクリル樹脂、または酢酸ビニール樹脂を用いる請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 シリカとして直径5〜50nmの球形シ
    リカゾルまたは線形シリカゾルを用いる請求項1記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 めっき鋼板として亜鉛合金めっき鋼板を
    用いる請求項1記載の方法。
JP3254192A 1991-09-06 1991-09-06 摺動性およびプレス加工性に優れた潤滑めっき鋼板の製造方法 Expired - Lifetime JP2617837B2 (ja)

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