JPH06155655A - 耐食性に優れた潤滑性鋼板 - Google Patents

耐食性に優れた潤滑性鋼板

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JPH06155655A
JPH06155655A JP31182092A JP31182092A JPH06155655A JP H06155655 A JPH06155655 A JP H06155655A JP 31182092 A JP31182092 A JP 31182092A JP 31182092 A JP31182092 A JP 31182092A JP H06155655 A JPH06155655 A JP H06155655A
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JP
Japan
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film layer
resin
resin film
steel sheet
corrosion resistance
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JP31182092A
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English (en)
Inventor
Eiji Kajiyama
栄二 梶山
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】亜鉛めっき又は亜鉛系合金めっき鋼板の上に、
Cr換算量で片面当たり10〜200 mg/m2 のクロメート皮膜
層を有し、更にその上に、ガラス転移温度(Tg )が40
℃以上の樹脂(例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹
脂、エポキシ系樹脂、酢酸ビニル系樹脂など)と、樹脂
に対し、5〜50重量%のシリカ(粒径1〜100nm )と、
5〜40重量%の固形潤滑剤(融点: 100℃以上、粒径
0.1μm以上1μm 未満)とからなる、付着量が片面当た
り 0.3〜4.0g/m2 の樹脂皮膜層を有する潤滑性鋼板。 【効果】成形加工性に優れ、プレス加工時に潤滑油を使
用せずに加工することができる。この鋼板は耐食性にも
優れ、自動車、家電製品、建材製品等の素材として好適
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車、家電製品、
建材製品等に使用される耐食性ならびに成形加工性に優
れた潤滑性鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電製品、建材製品等の産業分
野では各種の表面処理鋼板が使用されている。これらの
多くは主として鋼板に優れた耐食性を付与することを目
的とするものであるが、それに加えて、成形性、溶接性
などにも優れた表面処理鋼板も開発されている。
【0003】成形時に潤滑油などを使用せずにプレス成
形することが可能な表面処理鋼板(潤滑性鋼板)もその
一つで、例えば、亜鉛またはアルミニウム系合金めっき
鋼板上にクロメート皮膜を有し、その上に、樹脂 100重
量部に対して10〜80重量部のシリカと20重量部以下の平
均粒径が1〜7μm のポリオレフィンワックスを含む樹
脂皮膜を有する成形性に優れた潤滑性鋼板(特開平3−
16726号公報)や、融点が 120℃、粒径が3〜100 μm
の固形潤滑剤を重量比で樹脂1に対して0.02〜0.4 の割
合で含む樹脂皮膜を有する溶接性および耐食性に優れた
潤滑性鋼板(特開平4− 94771号公報)が提案されてい
る。
【0004】これらの潤滑性鋼板においては、樹脂皮膜
の表面にワックス(潤滑剤)が突出した状態で存在して
おり、この潤滑剤によってプレス成形時の潤滑性が確保
されているのであるが、樹脂皮膜の表面に潤滑剤が突き
出ているため、この潤滑剤が潤滑性鋼板の製造ラインお
よび製造後のレベラー、スリットラインなどのロール類
に付着し、これを汚染する。また、潤滑性鋼板を成形加
工する際に潤滑剤が剥離して金型内に堆積し、成形加工
性を阻害することもある。一般に、樹脂に添加する粒状
ワックスの粒径が大きいほど潤滑性鋼板の耐型かじり性
は良好になるが、成形加工性は劣化する傾向がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の潤滑
性鋼板を製造する際に生じる潤滑剤のロール類への付着
や、成形加工性の阻害などが起こらず、しかも、これま
での潤滑性鋼板と同等以上の性能を有する、すなわち潤
滑油(プレス油)を用いずに成形加工を行っても樹脂皮
膜が損傷をうけ、外観が劣化することがない潤滑性鋼板
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、樹脂皮膜に
加える固形潤滑剤の種類や粒径について検討を重ねた結
果、固形潤滑剤の粒径を非常に小さくし、樹脂が硬化す
る際に樹脂皮膜の表面の近傍に潤滑剤を均一に濃化させ
て、樹脂の表面に突出している潤滑剤をなくすることに
より、上記の目的を達成できることを確認した。固形潤
滑剤の粒径を小さくすることにより成形加工後の外観が
多少劣化する傾向がみられるが、この外観の劣化を最小
限に抑え得る粒径と含有量についての条件を見いだし
た。
【0007】本発明の要旨は、下記の潤滑性鋼板にあ
る。
【0008】亜鉛めっき又は亜鉛系合金めっき鋼板の上
に、Cr換算量で片面当たり10〜200mg/m2 のクロメート
皮膜層を有し、更にその上に樹脂皮膜層を有し、この樹
脂皮膜層は、付着量が片面当たり 0.3〜4.0g/m2 で、樹
脂のガラス転移温度(Tg )が40℃以上であり、樹脂に
対し、粒径1〜100nm のシリカ(SiO2)を5〜50重量
%、および粒径 0.1μm 以上1μm 未満で、融点が 100
℃以上である固形潤滑剤を5〜40重量%含むことを特徴
とする耐食性に優れた潤滑性鋼板。
【0009】
【作用】以下に、本発明について詳細に説明する。
【0010】本発明の潤滑性鋼板は、ベースとなる鋼板
(母材鋼板)として亜鉛めっき又は亜鉛系合金めっき鋼
板を使用する。亜鉛系合金めっき鋼板とは、Zn−Fe合金
めっき、Zn−Ni合金めっき、Zn−Al合金めっき等のめっ
きを施した鋼板であり、また、溶融めっき、電気めっき
などいずれの方法によりめっきした鋼板であってもよ
い。
【0011】樹脂皮膜層を構成する樹脂は、ガラス転移
温度(Tg )が40℃以上であることが必要である。Tg
が40℃未満では、成形加工(以下、単に加工という)時
に鋼板と金型とが摺動する際、皮膜としての強度が不足
し、耐型かじり性が劣化する。
【0012】この樹脂は、鋼板との密着性、および、樹
脂皮膜層の上にさらに塗装を施す際の塗膜との密着性を
確保するために、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸
基、ニトロ基など、極性がある官能基を有していること
が望ましい。このような樹脂としては、アクリル系樹
脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、酢酸ビニル系樹
脂などが挙げられる。
【0013】樹脂皮膜の付着量は片面当たり 0.3〜4.0g
/m2 とする。0.3g/m2 未満ではこの潤滑性鋼板の耐食性
が著しく低く、また、加工時に金型とめっき表面との接
触を防止できる膜厚を確保することが困難である。一
方、 4.0g/m2を超えると樹脂皮膜層の潤滑性能が飽和
し、また、皮膜が剥離しやすくなり、加工時に剥離した
樹脂が金型内に堆積して加工性を阻害する。
【0014】樹脂皮膜層に含まれる固形潤滑剤として
は、 100℃以上の融点を有するものが必要で、ポリエチ
レン系ワックスやPTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)などのふっ素系ワックスなどが好適である。これ
は、実際のプレス成形作業では加工時の材料の温度が 1
00℃程度まで上昇することがあり、このような状況下に
おいても樹脂皮膜層に十分な潤滑性を発揮させるためで
ある。
【0015】固形潤滑剤は、 0.1μm 以上1μm 未満の
粒径を有していることが必要である。粒径が 0.1μm 未
満では、固形潤滑剤は樹脂皮膜層の表面にほとんど突出
していない状態になっているため、加工時に金型と樹脂
皮膜層の間の潤滑剤として作用せず、樹脂皮膜層の表面
が非常に損傷しやすく、加工後の外観の劣化が著しい。
一方、粒径が1μm 以上になると、固形潤滑剤は樹脂皮
膜層の表面に突出した状態になっているため剥離しやす
く、前記のように、製造ラインやレベラースリットライ
ンのロール類などを汚染したり、剥離した固形潤滑剤が
金型内に溜まって、加工性や加工後の外観を劣化させ
る。
【0016】固形潤滑剤の含有量は、樹脂(乾燥状態)
に対して5〜40重量%とする。5重量%未満では、樹脂
皮膜層の表面近傍における固形潤滑剤の絶対量が少な
く、潤滑性が不十分で、加工後の外観の劣化が著しい。
一方、含有量が40重量%を超えると、潤滑効果が飽和す
るとともに、樹脂の造膜性が阻害され、樹脂皮膜の耐食
性および皮膜強度が低下する。
【0017】樹脂皮膜層に含まれるシリカとしては、水
分散性のコロイダルシリカや有機溶剤中に分散されたオ
ルガノシリカゾル、または粉末タイプの乾式シリカなど
が適している。また、粒径は、樹脂皮膜中に均一に分散
させるため、1〜100nm とすることが必要である。
【0018】シリカの含有量は、樹脂(乾燥状態)に対
して5〜50重量%とする。5重量%よりも少ないと、樹
脂皮膜の耐食性、皮膜強度および塗装密着性が著しく劣
化する。一方、50重量%を超えて含有させると、樹脂皮
膜層が非常に脆くなり、加工時に皮膜の表面にクラック
が入りやすくなる。なお、シリカを加える際に、シリカ
と樹脂との密着性を向上させるため、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシラ
ンカップリング剤を添加することが望ましい。
【0019】樹脂皮膜層の下層のクロメート皮膜は、付
着量を金属Crに換算して10〜200mg/m2とする。 10mg/m2
未満では耐食性が十分ではなく、200mg/m2を超えると上
層の樹脂皮膜との密着性が阻害される。なお、クロメー
ト皮膜は反応型クロメート、塗布型クロメートまたは電
解クロメートのいずれでもよく、シリカが添加されてい
てもよい。
【0020】本発明の潤滑性鋼板を製造するには、母材
鋼板に所定の付着量でクロメート処理を施し、その上に
上記の条件を満たすシリカと固形潤滑剤を含む樹脂を塗
布すればよい。塗布方法も従来用いられている方法を適
用することができる。
【0021】
【実施例】重量%で、C:0.04%、Si:0.01%、Mn:0.
22%、P: 0.012%、S: 0.006%、sol.Al: 0.036%
の化学組成を有する鋼板(板厚:1.0 mm、降伏点:17kg
f/mm2 )を母材鋼板として、この鋼板の両面に、電気亜
鉛めっき(目付け量:片面当たり20g/m2)、電気亜鉛ニ
ッケル合金めっき(目付け量:片面当たり20g/m2、Ni含
有率:12重量%)および溶融亜鉛めっき(目付け量:片
面当たり40g/m2)を行い、その上にクロメート処理を施
した後、樹脂皮膜処理を行って潤滑性鋼板を作製した。
【0022】なお、クロメート処理は、上記のめっき後
の鋼板に、Cr3+/Cr6+=1/1となるように還元剤を添
加した、CrO3を10g/リットル含むクロメート処理液を回
転塗布し、オーブン中で最高材料温度80℃の条件下で40
秒乾燥した。表1にクロメート付着量(Cr換算量)を示
す。また、樹脂皮膜処理は、クロメート処理後の鋼板
に、表1に示すガラス転移温度Tg を有するポリアクリ
ル系樹脂(Ac)またはポリウレタン系樹脂(Ur)に
シリカと固形潤滑剤を含有させた処理液をバーコーター
で塗布し、材料温度 110℃で焼き付けた。固形潤滑剤と
しては、ポリエチレン系ワックス(PE)またはふっ素
系ワックス(PTFE) を用いた。表1に、樹脂皮膜の付着
量、シリカの粒径および含有量、固形潤滑剤の融点、粒
径および含有量を示した。
【0023】上記の潤滑性鋼板(表1の No.1〜17)に
ついて、それぞれ所定の形状の試験片を切り出し、加工
性、加工後の外観、固形潤滑剤の剥離性および加工後の
耐食性の試験を行った。また、加工前の平板の耐食性に
ついても調査した。
【0024】加工性については、試験片に潤滑油を塗布
せずに、深絞り試験機を用いて下記の条件で変形加工す
る試験を行い、限界絞り比(LDR)を求めた。
【0025】〔プレス条件〕 しわ押さえ圧: 1.5トン ポンチ径 :40mmφ ダイス径 :42.8mmφ 加工後の外観、固形潤滑剤の剥離性および加工後の耐食
性については、同じく試験片に潤滑油を塗布せずに、深
絞り試験機を用いて下記の条件で加工を行った後、加工
後の外観については樹脂皮膜の損傷の程度を目視検査
し、固形潤滑剤の剥離性については、10個加工した後の
金型(ダイス)への潤滑剤の付着の程度を調べ、加工後
の耐食性については、JIS Z-2371に規定された塩水噴霧
試験試験を行って白錆発生に要する時間を測定した。
【0026】〔プレス条件〕 しわ押さえ圧: 1.5トン ポンチ径 :40mmφ ダイス径 :42.8mmφ ブランク径 :90mmφ 絞り抜き また、加工前の平板の耐食性については、前記の加工後
の耐食性の場合と同じ方法により白錆発生に要する時間
を測定した。
【0027】試験結果を表2に示す。この表において、
「加工後の外観」の欄の◎は、樹脂皮膜に損傷が全く認
められない場合、○は樹脂皮膜にやや損傷がある場合、
△は皮膜損傷がやや多い場合、×は皮膜損傷が大きい場
合、を表す。また、「固形潤滑剤の剥離性」の欄の◎
は、ダイスに潤滑剤の付着が全く認められない場合、○
はダイスに潤滑剤の付着が若干認められる場合、△は潤
滑剤の付着がやや多い場合、×は潤滑剤の付着が多い場
合、である。
【0028】この結果から、本発明で定める条件から外
れる潤滑性鋼板(No.8〜17)では、試験を行った性能の
うち少なくとも一つが不良であるのに対して、本発明の
潤滑性鋼板(No.1〜7)では全てが良好であった。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】本発明の潤滑性鋼板はプレス加工時に潤
滑油を使用せずに加工することができ、加工後、外観が
損なわれることもなく、しかも樹脂皮膜層に添加した固
形潤滑剤による製造ラインのロールや成形加工時の金型
の汚染を著しく軽減することができる。この鋼板は、耐
食性にも優れ、自動車、家電製品、建材製品等の素材と
して好適である。
【0032】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛めっき又は亜鉛系合金めっき鋼板の上
    に、Cr換算量で片面当たり10〜200mg/m2 のクロメート
    皮膜層を有し、更にその上に樹脂皮膜層を有し、この樹
    脂皮膜層は、付着量が片面当たり 0.3〜4.0g/m2 で、樹
    脂のガラス転移温度(Tg )が40℃以上であり、樹脂に
    対し、粒径1〜100nm のシリカを5〜50重量%、および
    粒径 0.1μm 以上1μm 未満で、融点が 100℃以上であ
    る固形潤滑剤を5〜40重量%含むことを特徴とする耐食
    性に優れた潤滑性鋼板。
JP31182092A 1992-11-20 1992-11-20 耐食性に優れた潤滑性鋼板 Pending JPH06155655A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010228223A (ja) * 2009-03-26 2010-10-14 Kobe Steel Ltd 樹脂塗装金属板

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0339485A (ja) * 1989-07-04 1991-02-20 Kawasaki Steel Corp 成形時の耐パウダリング性に優れた潤滑樹脂処理鋼板
JPH0461966A (ja) * 1990-06-27 1992-02-27 Nippon Steel Corp 耐食性,溶接性,潤滑性,連続パンチ打抜き性,上塗り塗装性に優れた表面処理鋼板及びその製造方法
JPH04271872A (ja) * 1991-02-26 1992-09-28 Kobe Steel Ltd プレス成形性、加工後塗装性及び耐食性にすぐれる樹脂塗装鋼板

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