JP2000191591A - エステル類の調製法 - Google Patents

エステル類の調製法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アセチル化剤として高価な無水酢酸を用い
ず、また触媒として有害で腐食性のある硫酸や、高価な
樹脂を用いない、環境負荷の小さいエステル類の製造法
の開発である。 【解決手段】 本発明は、アセチル化剤として酢酸を用
い、触媒として粘土類を用いる、アルコール類からのエ
ステル類の調製法に関するものであり、再使用可能な天
然モンモリロナイト/金属イオン交換粘土触媒を用い
て、脂肪族、芳香族、又は塩素化炭化水素の溶媒中、3
0〜140℃、0.02〜3.0時間、炭素数1〜10
の、脂肪族、非環式、環式、複素環式、α,β−不飽
和、及び芳香族アルコール類と酢酸を、1:3〜11の
モル比で反応させて、一段階でエステル類を調製し、対
応するエステル類を簡単な操作法で回収することを含む
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アセチル化剤とし
て酢酸を用い、触媒として粘土類を用いる、アルコール
類からのエステル類の製造法に関するものである。
【0002】本発明は特に、アセチル化剤として酢酸を
用い、触媒として粘土類を用いる、C1〜C10の、芳香
族アルコール類、脂肪族アルコール類、α,β−不飽和
アルコール類、環式アルコール類及び複素環式アルコー
ル類からエステル類を製造する、環境負荷の小さい方法
に関するものであり、本発明では、試薬として高価な無
水酢酸を用いず、また触媒として、腐食性で有毒の硫酸
やスルホン酸、又は高価な樹脂を用いない。この方法に
よれば、硫酸やスルホン酸の中和により生じる塩類の廃
棄や、高価な無水酢酸の使用が全く必要無い。
【0003】
【従来の技術】有機エステル類は、ファインケミカル
ズ、薬品、可塑剤、香料、食品保存料、化粧品、医薬品
などの合成中間体として、また溶媒及びキラル補助剤と
して非常に重要な化学物質である。工業的には、エステ
ル化は一般に、有害で有毒かつ腐食性のある硫酸及びそ
の誘導体、又は高価なイオン交換樹脂の存在下で行われ
る。等モル量のアルコール類とカルボン酸類から生成す
るエステルの収率を最大にするには、通常、硫酸、トシ
ルクロリド、無水トリフルオロ酢酸、ポリリン酸エステ
ル、ジシクロヘキシルカルボジイミト、グラファイト等
の縮合剤を、2〜15モル当量用いる。不均一系酸性及
び超酸性触媒は、その活性、選択性、再使用性、非腐食
性、また均一系触媒に伴う廃棄物処理が事実上無いこと
から、一部の反応において有用であることが実証されて
いる。
【0004】1988年11月15日公開、チェコスロ
バキア国特許第254,048号(Cl.C07C 6
9/14)によれば、硫酸触媒の存在下、還流温度79
〜80℃において、酢酸でブタノールをエステル化した
ところ、89〜90%の収率で酢酸ブチルが得られた。
また、1993年2月3日公開、中国特許第1,06
8,520号(Cl.B01J 23/10)によれ
ば、触媒として硫酸処理した微粉状希土類化合物を用い
て、140℃以上、100〜142時間、酢酸でイソペ
ンチルアルコールをエステル化し、酢酸イソペンチルを
得た。上記の方法の問題点は、反応時間が長く、反応温
度が高く、また腐食性の硫酸を用いるため、反応終了後
の塩基での中和により生じた廃棄物の処理が必要である
ことである。 固体酸、固体超酸及び陽イオン交換樹脂
は、エステル化法において非常に効果的な触媒である。
1971年6月29日登録、米国特許第3,590,0
73号(Cl.260−476R;C07C)によれ
ば、常温、0.5ml/分の速度で、アンバーリスト(A
mberlyst) −15(硫酸処理陽イオン交換樹脂)のカラ
ムを通し、酢酸でtert−ブタノールをエステル化し
たところ、25%の酢酸tert−ブチルが得られた。
1982年12月8日公開、ヨーロッパ特許第66,0
59号(Cl.C07C 69/14)によれば、触媒
として強酸イオン交換体の存在下、垂直反応器中で、炭
素数2〜5のアルコール類を酢酸と反応させて、対応す
るエステル類を得た。1981年7月27日公開、ルー
マニア国特許第72,739号(Cl.C07C 69
/14)によれば、陽イオン交換樹脂の存在下、酢酸で
β−フェニルエチルエタノールのエステル化を行った。
上記の方法の問題点は、触媒として高価な樹脂を用い、
炭素数1〜5の基質にしか応用できず、反応温度が高
く、また転化率が低く収率が悪いことである。
【0005】その他の報文では、Synthesis、
1978(12)929−30によれば、ナフィオン(N
afion)−Hの存在下で4時間、1級及び2級アルコール
類を酢酸でエステル化したところ、中程度の収率(40
〜60%)であった。この方法の問題点は、中程度の収
率と高価な樹脂触媒を用いることである。J.Org.
Chem.1996,61,4560によれば、無水p
−ニトロ安息香酸の存在下、カルボン酸でアルコール類
をエステル化し、またトリフルオロメタンスルホン酸ス
カンジウム(トリフラート)触媒を用いて、酸無水物で
アルコール類をアシル化したところ、0.5〜5時間
で、1%以下〜95%以上という収率であった。この方
法の問題点は、合成トリフラート触媒と、アセチル化剤
として無水酢酸を用いることである。また他の報文、C
hem.Comm.1996,2625によれば、無水
酢酸(アセチル化剤)と触媒としてトリフルオロメタン
スルホン酸トリメチルシリル(トリフラート)の存在
下、様々なアルコール類をアセチル化した。収率は、
0.007〜2時間で、55〜100%であった。この
方法の問題点は、合成トリフラート触媒と、アセチル化
剤として無水酢酸を用いること、及び収率が低いことで
ある。最後に、Ind.Eng.Chem.Res.1
994,33,2198によれば、アンバーリスト−1
5、フィルトロール(Filtrol) −24、スルホン化ジル
コニア、DTPA/シリカ及びDTPA/炭素などの様
々な固体酸触媒と、アセチル化剤として酢酸を用いて、
酢酸フェネチル及び酢酸シクロヘキシルを生成させた。
しかし、DTPAでは3時間でフェネチルアルコールを
100%転化したが、アンバーリスト−15では、9
5.5%を転化するのに5時間を要した。この方法の問
題点は、触媒として高価な樹脂を用い、反応時間が長い
ことである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】エステル類の調製にお
いて、実験室及び商業規模では全く異なる方法が用いら
れているが、伝統的な均一系触媒反応は、分離と再使用
の問題から、あまり好まれていない。現在の主流は、安
価に利用できる原料、特に粘土類からの固体酸類の開発
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の主な目的は、ア
セチル化剤として酢酸を用い、触媒として粘土類を用い
る、アルコール類からのエステル類の製造法を提供する
ことであり、この方法により先に述べた問題点を回避す
ることができる。
【0008】本発明の別の目的は、連続的製造法に容易
に適合し得る、非腐食性かつ安価な不均一系固体酸触媒
の使用である。
【0009】また、本発明の目的は、オクタノール、デ
カノール、2−オクタノール、アミルアルコール、イソ
アミルアルコール、2−ペンタノール、シンナミルアル
コール、ベンジルアルコール、trans−2−ヘキセ
ン−1−オール、シクロヘキサノール、シクロペンタノ
ール、1−フェニルエタノール、p−メトキシ−1−フ
ェニルエタノール、p−メチル−1−フェニルエタノー
ル及びフルフリルアルコールなどの、脂肪族、非環式、
環式、複素環式、α,β−不飽和及び芳香族アルコール
類といった、様々な基質を用いることのできる方法を提
供することである。
【0010】更に、本発明の目的は、低い反応温度で行
う方法を提供するものである。
【0011】また更に、本発明の目的は、反応時間の短
い方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、アセチル化剤として酢
酸を用い、触媒として粘土類を用いる、アルコール類か
らのエステル類の製造法を提供するものであって、この
方法は、再使用可能な天然モンモリロナイト/金属イオ
ン交換粘土触媒を用いて、脂肪族、芳香族、又は塩素化
炭化水素の溶媒中又は溶媒を使用せずに、少なくとも3
0〜140℃、0.02〜3.0時間、炭素数1〜10
の、脂肪族、非環式、環式、複素環式、α,β−不飽
和、及び芳香族アルコール類と、酢酸を、1:3〜11
のモル比で反応させて、一段階でエステル類を調製し、
対応するエステル類を簡単な操作法で回収することを含
むものである。このとき、金属イオン交換粘土触媒は、
Fe3+−モンモリロナイト、Cu2+−モンモリロナイ
ト、Zn2+−モンモリロナイト、Al3+−モンモリロナ
イト、Ce3+−モンモリロナイト又はZr4+−モンモリ
ロナイトなどである。
【0013】実施の形態において、触媒は、天然より入
手できる粘土類、又はFe3+、Cu2+、Zn2+、A
3+、Ce3+又はZr4+−モンモリロナイトなどの金属
イオン交換粘土類より選んだ。
【0014】また実施の形態において、炭素数1〜10
のアルコール類を用い、オクタノール、デカノール、2
−オクタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコ
ール、2−ペンタノール、シンナミルアルコール、ベン
ジルアルコール、trans−2−ヘキセン−1−オー
ル、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、1−フ
ェニルエタノール、p−メトキシ−1−フェニルエタノ
ール、p−メチル−1−フェニルエタノール及びフルフ
リルアルコールより選んだ。
【0015】更に実施の形態において、反応溶媒は、ジ
クロロエタン、酢酸、及びクロロベンゼン及びトルエン
などの芳香族炭化水素より選んだ。
【0016】また更に実施の形態において、ろ過により
触媒を分離し、余剰の酢酸をNaHCO3 飽和溶液での
処理により中和し、またロータリーエバポレータで濃縮
して芳香族炭化水素を除き、対応するエステル類を回収
した。
【0017】望ましくは、本発明は、アセチル化剤とし
て酢酸を用い、触媒として粘土類/改質粘土類を用い、
溶媒中/又は溶媒を使用せず(溶媒存在下又は不在
下)、30℃で0.02〜2.5時間反応させて、アル
コール類からエステル類を調製し、対応するエステル類
を簡単な操作法で回収するものである。用いる粘土触媒
は、金属イオン交換モンモリロナイト/天然モンモリロ
ナイト粘土類より選ぶ。
【0018】本発明の主な長所は、初めて、様々なアル
コール類を酢酸(アセチル化剤)でアセチル化するため
の触媒として、天然より豊富に入手できるモンモリロナ
イトを、望ましくは実施例1bに示したように、更なる
精製をすることなく使用する点である。天然モンモリロ
ナイトの活性は、市販のK10モンモリロナイト(酸処
理モンモリロナイト−フルカ(Fluka) )より合成した、
Cu2+−モンモリロナイト(Cu2+−交換K10モンモ
リロナイト)に匹敵する。このようなK10モンモリロ
ナイトは、その酸性強度が高いため、アルコールと酢酸
から対応するエステルを生成する代わりに、多くの副生
物(エーテル類、オレフィン類(脱水化物)、重合物、
反応に用いた芳香族溶媒のアルキル化)を生じてしま
う。K10モンモリロナイトを金属イオンで交換し、触
媒の酸性強度を変えることにより、所望のエステルを限
定的に生成するようになることが分かった。工業的に
は、エステル化は一般に、硫酸及び樹脂(イオン交換し
た)触媒の存在下で行われる。樹脂は高価であり、徐々
に失活する。またその剛性のため、生成物からの触媒の
除去/分離がしばしば問題となる。このため、何度も使
用しても活性が一定であり、安価に入手できる粘土、天
然モンモリロナイトは、上記の問題点を解決するもので
ある。
【0019】金属イオン交換モンモリロナイト粘土触媒
を、実施例1に示される方法で調製し、実施例2〜21
に示されるように、酢酸(アセチル化剤)でのアルコー
ル類のエステル化に用いた。
【0020】以下の実施例は本発明を例証するものであ
って、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0021】
【実施例】実施例1.触媒の調製 a) Cu2+−交換モンモリロナイト 1リットルのCuCl2(1.0M)水溶液に、撹拌し
ながらK10−モンモリロナイト80gを加えた。16
〜30時間撹拌を続け、K10−モンモリロナイトの交
換容量を飽和させた。粘土懸濁液を遠心分離にかけ、上
澄み液を捨てた。廃棄する水からCl−イオンが検出さ
れなくなるまで洗浄を繰り返した。粘土を120℃のオ
ーブン中で一夜乾燥し、乳鉢で細かく擂り潰した。
【0022】b) 天然モンモリロナイト 粘土(インド国ジョドプール、M/S ニーラカント
ケミカル ワークス(Neelakanth chemical works) より
入手した天然モンモリロナイト)を120℃で24時間
乾燥して使用した。
【0023】実施例2.Cu2+−モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、ベンジルアルコール
(5ミリモル、0.54g)と酢酸(50ミリモル、3
g)の溶液を反応させた。反応終了後(後にTLCを行
った)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加え、触媒
をろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処理し(3
×10cm3)、次に水で洗った(2×10cm3)。得
られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ロータリ
ーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋な生成物
(0.73g)を得た。
【0024】実施例3.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、ベンジルアルコール
(5ミリモル、0.54g)と酢酸(50ミリモル、3
g)の溶液を反応させた。反応終了後(後にTLCを行
った)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加え、触媒
をろ過した。ろ液をNaHCO3 飽和溶液で処理し(3
×10cm3)、次に水で洗った(2×10cm3)。得
られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ロータリ
ーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋な生成物
(0.74g)を得た。
【0025】実施例4.Cu2+−モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、80℃の還流温度で、trans−2−ヘキ
セン−1−オール(2ミリモル、0.2g)のジクロロ
エタン(5cm3)溶液と、酢酸(6ミリモル、0.3
6g)を反応させた。反応終了後(後にTLCを行っ
た)、触媒をろ過して、ろ液をNaHCO3飽和溶液で
処理し(2×5cm3)、次に水で洗った(2×10c
3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋
な生成物(0.275g)を得た。
【0026】実施例5.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、trans−2−ヘ
キセン−1−オール(5ミリモル、0.5g)と、酢酸
(50ミリモル、3g)の溶液を反応させた。反応終了
後(後にTLCを行った)、反応混合物に酢酸エチル1
0mlを加え、触媒をろ過した。ろ液をNaHCO3
和溶液で処理し(3×10cm3)、次に水で洗った
(2×10cm3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウ
ム上で乾燥し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発さ
せて、純粋な生成物(0.69g)を得た。
【0027】実施例6.Cu2+−モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、110℃の還流温度で、オクタノール(2ミ
リモル、0.26g)のトルエン(5cm3)溶液と、
酢酸(6ミリモル、0.36g)を反応させた。反応終
了後(後にTLCを行った)、触媒をろ過して、ろ液を
NaHCO3飽和溶液で処理し(2×5cm3)、次に水
で洗った(2×10cm3)。得られた溶液を無水硫酸
ナトリウム上で乾燥し、ロータリーエバポレータで溶媒
を蒸発させて、純粋な生成物(0.34g)を得た。
【0028】実施例7.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、オクタノール(5ミ
リモル、0.65g)と、酢酸(50ミリモル、3g)
の溶液を反応させた。反応終了後(後にTLCを行っ
た)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加え、触媒を
ろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処理し(3×
10cm3)、次に水で洗った(2×10cm3)。得ら
れた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ロータリー
エバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋な生成物(0.
845g)を得た。
【0029】実施例8.Cu2+−モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、110℃の還流温度で、デカノール(2ミリ
モル、0.32g)のトルエン(5cm3)溶液と、酢
酸(6ミリモル、0.36g)を反応させた。反応終了
後(後にTLCを行った)、触媒をろ過してろ液をNa
HCO3飽和溶液で処理し(2×5cm3)、次に水で洗
った(2×10cm3)。得られた溶液を無水硫酸ナト
リウム上で乾燥し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸
発させて、純粋な生成物(0.4g)を得た。
【0030】実施例9.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、デカノール(5ミリ
モル、0.79g)と、酢酸(50ミリモル、3g)の
溶液を反応させた。反応終了後(後にTLCを行っ
た)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加え、触媒を
ろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処理し(3×
10cm3)、次に水で洗った(2×10cm3)。得ら
れた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ロータリー
エバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋な生成物(0.
98g)を得た。
【0031】実施例10.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、2−オクタノール
(5ミリモル、0.65g)と、酢酸(50ミリモル、
3g)の溶液を反応させた。反応終了後(後にTLCを
行った)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加え、触
媒をろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処理し
(3×10cm3)、次に水で洗った(2×10c
3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋
な生成物(0.84g)を得た。
【0032】実施例11.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、アミルアルコール
(5ミリモル、0.44g)と、酢酸(50ミリモル、
3g)の溶液を反応させた。反応終了後(後にTLCを
行った)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加え、触
媒をろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処理し
(3×10cm3)、次に水で洗った(2×10c
3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋
な生成物(0.647g)を得た。
【0033】実施例12.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、イソアミルアルコー
ル(5ミリモル、0.44g)と、酢酸(50ミリモ
ル、3g)の溶液を反応させた。反応終了後(後にTL
Cを行った)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加
え、触媒をろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処
理し(3×10cm3)、次に水で洗った(2×10c
3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋
な生成物(0.64g)を得た。
【0034】実施例13.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、2−ペンタノール
(5ミリモル、0.44g)と、酢酸(50ミリモル、
3g)の溶液を反応させた。反応終了後(後にTLCを
行った)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加え、触
媒をろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処理し
(3×10cm3)、次に水で洗った(2×10c
3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋
な生成物(0.5g)を得た。
【0035】実施例14.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、シンナミルアルコー
ル(5ミリモル、0.67g)と、酢酸(50ミリモ
ル、3g)の溶液を反応させた。反応終了後(後にTL
Cを行った)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加
え、触媒をろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処
理し(3×10cm3)、次に水で洗った(2×10c
3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋
な生成物(0.87g)を得た。
【0036】実施例15.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、シクロヘキサノール
(5ミリモル、0.50g)と、酢酸(50ミリモル、
3g)の溶液を反応させた。反応終了後(後にTLCを
行った)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加え、触
媒をろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処理し
(3×10cm3)、次に水で洗った(2×10c
3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋
な生成物(0.69g)を得た。
【0037】実施例16.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、シクロペンタノール
(5ミリモル、0.43g)と、酢酸(50ミリモル、
3g)の溶液を反応させた。反応終了後(後にTLCを
行った)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加え、触
媒をろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処理し
(3×10cm3)、次に水で洗った(2×10c
3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋
な生成物(0.63g)を得た。
【0038】実施例17.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、130℃の還流温度で、1−フェニルエタノ
ール[α−メチルベンジルアルコール](2ミリモル、
0.24g)のクロロベンゼン(5cm3)溶液と、酢
酸(6ミリモル、0.36g)を反応させた。反応終了
後(後にTLCを行った)、触媒をろ過して、ろ液をN
aHCO3飽和溶液で処理し(2×5cm3)、次に水で
洗った(2×10cm3)。得られた溶液を無水硫酸ナ
トリウム上で乾燥し、ロータリーエバポレータで溶媒を
蒸発させて、純粋な生成物(0.310g)を得た。
【0039】実施例18.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、130℃の還流温度で、p−メトキシ−1−
フェニルエタノール(2ミリモル、0.304g)のク
ロロベンゼン(5cm3)溶液と、酢酸(6ミリモル、
0.36g)を反応させた。反応終了後(後にTLCを
行った)、触媒をろ過して、ろ液をNaHCO3飽和溶
液で処理し(2×5cm3)、次に水で洗った(2×1
0cm3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾
燥し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純
粋な生成物(0.350g)を得た。
【0040】実施例19.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、110℃の還流温度で、p−メチル−1−フ
ェニルエタノール(2ミリモル、0.272g)のトル
エン(5cm3)溶液と、酢酸(6ミリモル、0.36
g)を反応させた。反応終了後(後にTLCを行っ
た)、触媒をろ過して、ろ液をNaHCO3飽和溶液で
処理し(2×5cm3)、次に水で洗った(2×10c
3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、純粋
な生成物(0.34g)を得た。
【0041】実施例20.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、p−メチル−1−フ
ェニルエタノール(5ミリモル、0.68g)と、酢酸
(50ミリモル、3g)の溶液を反応させた。反応終了
後(後にTLCを行った)、反応混合物に酢酸エチル1
0mlを加え、触媒をろ過した。ろ液をNaHCO3
和溶液で処理し(3×10cm3)、次に水で洗った
(2×10cm3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウ
ム上で乾燥し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発さ
せて、純粋な生成物(0.87g)を得た。
【0042】実施例21.天然モンモリロナイト粘土
(0.1g)触媒の存在下、2口の丸底フラスコ(50
ml)中、116℃の還流温度で、フルフリルアルコー
ル(5ミリモル、0.49g)と、酢酸(50ミリモ
ル、3g)の溶液を反応させた。反応終了後(後にTL
Cを行った)、反応混合物に酢酸エチル10mlを加
え、触媒をろ過した。ろ液をNaHCO3飽和溶液で処
理し(3×10cm3)、次に水で洗った(2×10c
3)。得られた溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥
し、ロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させて、粗生
成物(0.686g)を得た。これをカラムクロマトグ
ラフィで精製し、純粋な生成物(0.4g)とした。
【0043】
【表1】
【表2】 註)表1および表2において 1a : 実施例1aに述べられている触媒 1b : 実施例1bに述べられている触媒 a : アルコール:酢酸のモル比 b : 1H NMRによる c : 単離された収率 d : GC分析による。
【0044】天然モンモリロナイトは、酢酸の存在下、
様々なアルコール類からエステル類を限定的に生成する
効果的な触媒であり、また、その活性はCu2+−交換K
10モンモリロナイトに匹敵することが分かった(実施
例2〜9)。
【0045】本発明の主な長所は以下のとおりである。
【0046】1.本方法では、アセチル化剤として、高
価な無水酢酸を全く使用しない。
【0047】2.初めて、様々な基質(脂肪族、芳香
族、α,β−不飽和、環式及び複素環式アルコール類)
のアセチル化において、無水酢酸に代えて、アセチル化
剤として酢酸を用いた。
【0048】3.初めて、様々なアルコール類のアセチ
ル化において、有害で腐食性のある硫酸や、高価な樹脂
に代えて、触媒として粘土類を用いた。
【0049】4.環境負荷の小さいエステル類の製造法
が開発された。
【0050】5.この方法における選択性は優れ、また
収率も高い。
【0051】6.反応が単純で反応時間が短く、また操
作法が簡単である。
【0052】7.触媒が安価で、天然より豊富に入手で
きる。
【0053】8.触媒が何度も使用できるため、本方法
では処理問題が生じない。4回使用後も触媒の活性は変
わらなかった。
【0054】9.本方法は、廃棄物処分の問題が無く、
環境に対し安全である。
フロントページの続き (72)発明者 ベルデュアティ バースカー インド アンドラ プラデシュ ハイデラ バード−500007 インディアン インステ ィテュート オブ ケミカル テクノロジ ー (72)発明者 マンネパルリ ラクシュミー カンタム インド アンドラ プラデシュ ハイデラ バード−500007 インディアン インステ ィテュート オブ ケミカル テクノロジ ー (72)発明者 コトタップアルリー コテスワラ ラオ インド アンドラ プラデシュ ハイデラ バード−500007 インディアン インステ ィテュート オブ ケミカル テクノロジ ー (72)発明者 コンダプラム ビジャヤ ラグハバン インド アンドラ プラデシュ ハイデラ バード−500007 インディアン インステ ィテュート オブ ケミカル テクノロジ ー Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 AD18 BA05 BA07 BA08 BA09 BA10 BA19 BA68 BB11 BB12 BC10 BC19 BC31 BE12 BJ20 BJ50 BP30 4H039 CA66 CD10 CD30 CE10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アセチル化剤として酢酸を用い、触媒と
    して粘土類を用いる、アルコール類からのエステル類の
    調製法であって、再使用可能な天然モンモリロナイト/
    金属イオン交換粘土触媒を用いて、脂肪族炭化水素、芳
    香族炭化水素、又は塩素化炭化水素の溶媒中、30〜1
    40℃で、0.02〜3.0時間、炭素数1〜10の脂
    肪族アルコール類、非環式アルコール類、環式アルコー
    ル類、複素環式アルコール類、α,β−不飽和アルコー
    ル類及び芳香族アルコール類を、酢酸と、1:3〜11
    のモル比で反応させて、一段階でエステル類を調製し、
    対応するエステル類を簡単な操作法で回収することを含
    むことを特徴とするエステル類の調製法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の調製法であって、用い
    られる粘土触媒が、金属イオンで交換したモンモリロナ
    イト/天然モンモリロナイト粘土であることを特徴とす
    るエステル類の調製法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の調製法であって、交換
    する金属イオンが、Fe3+、Cu2+、Zn2+、Al3+
    Ce3+又はZr4+から選ばれることを特徴とするエステ
    ル類の調製法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の調製法であって、アセ
    チル化剤として用いられる酢酸の量が、3〜11ミリモ
    ル/基質であることを特徴とするエステル類の調製法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の調製法であって、炭素
    数1〜10のアルコール類を用いることを特徴とするエ
    ステル類の調製法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の調製法であって、用い
    られるアルコール類が、芳香族、脂肪族、α,β−不飽
    和、環式及び複素環式アルコール類、オクタノール、デ
    カノール、2−オクタノール、アミルアルコール、イソ
    アミルアルコール、2−ペンタノール、シンナミルアル
    コール、ベンジルアルコール、trans−2−ヘキセ
    ン−1−オール、シクロヘキサノール、シクロペンタノ
    ール、1−フェニルエタノール、p−メトキシ−1−フ
    ェニルエタノール、p−メチル−1−フェニルエタノー
    ル及びフルフリルアルコールから選ばれることを特徴と
    するエステル類の調製法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の調製法であって、用い
    られる溶媒が、芳香族炭化水素から選ばれることを特徴
    とするエステル類の調製法。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の調製法であって、溶媒
    が、ジクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン及び酢
    酸から選ばれることを特徴とするエステル類の調製法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の調製法であって、ろ過
    により触媒を分離し、余剰の酢酸をNaHCO3溶液で
    の処理によって中和し、またロータリーエバポレータで
    濃縮して溶媒を除くことによりエステル類を回収するこ
    とを特徴とするエステル類の調製法。
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