JP2000190800A - 自動車のエアバッグ取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数の削減、組み付け工程の削減を図
り、インストルメントパネルの剛性を向上することがで
きる自動車のエアバッグ取付構造を提供する。 【解決手段】 インストルメントパネル本体１に、仕様
によって助手席用エアバッグを装備するようにした自動
車のエアバッグ取付構造において、エアバッグ仕様のと
きにエアバッグ収納部２として用いるとともにエアバッ
グ無仕様のときに物入れとして利用可能な凹部４を、上
記インストルメントパネル本体１に一体成形したことに
ある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のインスト
ルメントパネルに取り付けられる助手席用エアバッグの
取付けに際して、エアバッグ無仕様時にトレイとして用
いることができる自動車のエアバッグ取付構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、仕様上、助手席側のエアバッグ
の設定に有無がある場合、インストルメントパネルに、
エアバッグ取付のための開口を予め設ける場合と、エア
バッグ取付のための開口を予め設けない場合がある。こ
のような仕様車で、エアバッグ取付のための開口が予め
設けられていない場合、後加工にて、インストルメント
パネルにエアバッグ取付のための開口を追加している。
この仕様追加のための加工は、開口によるインストルメ
ントパネルの強度の低下を招き、補強板の追加を要した
り、種々の作業を招くことになる。このように後加工を
多く必要とすることにより、設備の稼働率が不安定とな
って、エアバッグ仕様車の台数の増減に対応しずらくな
る。

【０００３】一方、このような仕様車で、エアバッグ取
付のための開口が予め設けられている場合、開口による
インストルメントパネルの強度の低下を招き、補強板の
追加を要する。また、エアバッグ無仕様の場合、開口部
を塞ぐ別物のカバーあるいはトレイ形状のものを取り付
ける必要がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】したがって、開口によ
るインストルメントパネルの強度低下を防ぐための補強
を必要とするなど部品点数および組み付け工数の増大を
招くことになる。また、エアバッグ仕様の場合もエアバ
ッグ無仕様の場合も、別部品がインストルメントパネル
に組み付けられるため、合わせ部の外観品質を維持する
作業が必要となる。

【０００５】本発明は上記課題を解決し、部品点数の削
減、組み付け工程の削減を図り、インストルメントパネ
ルの剛性を向上することができる自動車のエアバッグ取
付構造を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、インストルメントパネル本体に、仕様によっ
て助手席用エアバッグを装備するようにした自動車のエ
アバッグ取付構造において、エアバッグ仕様のときにエ
アバッグ収納部として用いるとともにエアバッグ無仕様
のときに物入れとして利用可能な凹部を、上記インスト
ルメントパネル本体に一体成形して、インストルメント
パネルの剛性を向上する。また、上記凹部の底面に複数
の開口穴を設けてエアバッグ本体のステーの組み付けを
行う。さらに、上記凹部の底面をステアリングサポート
メンバに固定してインストルメントパネルの剛性を向上
する。また、エアバッグ無仕様時に上記凹部の底面の複
数の開口穴を塞ぐキャップを設けて、上記凹部を物入れ
として利用する。さらにまた、上記エアバッグ本体のエ
アバッグカバーの裏面周縁部に、上記凹部の内壁面に係
合する位置決め用リブを設けて、エアバッグ本体の位置
決めを行う。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照しながら詳細に説明する。図１ないし図４は、本発
明の自動車のエアバッグ取付構造を示したもので、図１
は、インストルメントパネルを示す斜視図、図２は、図
１のＡ−Ａ線拡大断面図、図３は、図１のＢ−Ｂ線拡大
断面図、図４は、エアバッグ仕様の場合を示す断面図で
ある。

【０００８】図１ないし図４において、自動車のインス
トルメントパネル本体１には、仕様によって助手席側に
も、エアバッグを取り付けるため、予め、エアバッグ収
納部２が一体に設けられている。このエアバッグ収納部
２は、インストルメントパネル本体１の助手席側に設け
られているグローブボックス３の上部側に装備されてい
る。このエアバッグ収納部２の構造は、インストルメン
トパネル本体１と一体成形されたもので、エアバッグ収
納部２はエアバッグ無仕様のときは物入れとして使用で
きるようなトレイ形状の凹部４に形成されている。この
凹部４の底面４ａには、後述するエアバッグ用ステー等
を通すための複数の開口穴５が形成されている。これら
開口穴５は、左右一対のステー用開口穴５ａと、エアバ
ック無使用時に後述するキャップを取り付けるキャップ
取付用開口穴５ｂで構成されている。キャップ取付用開
口穴５ｂは凹部４の底面４ａの上下にそれぞれ３個所ず
つ設けられており、上部側の２個所はステー用開口穴５
ａで兼ねるようにしている。

【０００９】凹部４の底面４ａの左右の下端部には、イ
ンストルメントパネル本体１をステアリングサポートメ
ンバ６にネジ７を介して固定するネジ穴８が設けられて
いる。このネジ穴８は、凹部４の底面４ａに設けられた
座面９に形成されている（図２参照）。該凹部４の底面
４ａには、エアバッグ無仕様のとき、底面４ａ形状に合
った板状のキャップ１０を被せてエアバッグ収納部２を
物入れとして用いる（図３参照）。キャップ１０の裏面
には、図５に示すように、上部に爪部１１ａ、下部に突
起部１１ｂがそれぞれ３個所ずつ設けられ、かつ中間部
に補強用リブ１１ｃが突設されている。キャップ１０
は、図６に示すように、突起部１１ｂをキャップ取付用
開口穴５ｂの縁部に係合させてから、爪部１１ａをキャ
ップ取付用開口穴５ｂの縁部に係合させて組み付けられ
ている。

【００１０】次にエアバッグ収納部２にエアバッグ本体
１２を装備する場合を図４に従って説明する。エアバッ
グ本体１２は、後面１３に、途中に衝撃吸収用段部１４
を形成したＬ字形のエアバッグ用ステー１５が溶接等に
より装着されている。このエアバッグ用ステー１５は、
帯状のプレートをＬ字状に折曲げて成形されており、そ
の途中に衝撃吸収用段部１４を形成している。このエア
バッグ用ステー１５は、一端部板面１５ａをエアバッグ
本体１２の後面１３に溶接にて取り付けられており、他
端部板面１５ｂに車幅方向の取付用長孔１６が形成され
ている。このエアバッグ用ステー１５は、それぞれイン
ストルメントパネル本体１の組み付け方向に向けて一定
の角度をなすように配設されている。

【００１１】エアバッグ本体１２は、エアバッグ用ステ
ー１５をステー用開口穴５ａを通してエアバッグ収納部
２に内蔵し、エアバッグ用ステー１５をステアリングサ
ポートメンバ６にネジ止めして固定されている。エアバ
ッグ用ステー１５の取付用長孔１６にネジ１９を通し、
ステアリングサポートメンバ６に溶接された支持ブラケ
ット１７に螺着されている。支持ブラケット１７は両側
部を立ち上げてステアリングサポートメンバ６の下面に
溶接されたもので、支持ブラケット１７の内側に溶接さ
れたナット１８にネジ１９を螺合してエアバッグ用ステ
ー１５が固定されている。

【００１２】エアバッグ本体１２は、図７ないし図９に
示すように、エアバッグカバー２０の裏側周縁部に２種
類のリブ２１，２２が設けられており、これらリブ２
１，２２が凹部４内面に係合して位置決めが図られてい
る。リブ２１はエアバッグカバー２０の裏側周縁部に、
縁部に沿って所定間隔で多数設けられており、凹部４の
入り口部分４ｂに当接して位置決めを図るものである。
一方、リブ２２は、リブ２１よりも内側部分に設けられ
たもので、一定間隔で配設された複数の縦方向のリブ２
２ａと横方向のリブ２２ｂで格子状に形成されている。
リブ２２は、リブ２１よりも奥行き方向に長く形成され
ており、凹部４の内壁面４ｃに当接して位置決めを図る
ものである。

【００１３】図４に戻って、エアバッグ収納部２の下部
側のインストルメントパネル本体１の裏面には、ボス部
２３が設けられており、このボス部２３にグローブボッ
クス３のロック装置２４を留めるストライカ２５がネジ
２６によって留められている。

【００１４】上記構成による自動車のエアバッグ取付構
造の作用を説明する。エアバッグ無仕様のとき、凹部４
の底面４ａには、キャップ１０を被せて複数の開口穴５
等を塞ぎエアバッグ収納部２を物入れとして用いる。次
に、エアバッグ仕様のとき、ステー用開口穴５ａからエ
アバッグ用ステー１５を通し、エアバッグ本体１２をエ
アバッグ収納部２に組み付ける。エアバッグ本体１２
は、リブ２１，２２が凹部４内面に係合して位置決めが
図られる。こうして、エアバッグ用ステー１５をステア
リングサポートメンバ６に溶接された支持ブラケット１
７に螺着してエアバッグ本体１２が固定されている。

【００１５】上記構成による自動車のエアバッグ取付構
造によると以下の効果を奏する。エアバッグ収納部２
は、インストルメントパネル本体１と一体成形されてい
るので、インストルメントパネル本体１の剛性の向上を
図ることができる。また、従来のように別体のトレイを
組み付ける必要がないので、部品点数の削減、および組
み付け工数の削減を図ることができる。さらに、インス
トルメントパネル本体１に補強板を設ける必要がないの
で、作業性の向上及びコストダウンを図ることができ
る。凹部４をステアリングサポートメンバ６に直接、固
定しているので、インストルメントパネル本体１の剛性
を向上させることができる。エアバッグ収納部２はエア
バッグ無仕様のときは物入れとして使用できるようなト
レイ形状の凹部４に形成されているので、エアバッグ無
仕様のときは物入れとして用いることができる。

【００１６】また、エアバッグ本体１２には、エアバッ
グカバー２０の裏側周縁部に２種類のリブ２１，２２が
設けられており、エアバッグ本体１２の組み付け時に、
これらリブ２１，２２が凹部４内面に係合するので、エ
アバッグ本体１２の位置決めを図ることができる。さら
に、キャップ１０の裏面には上部に爪部１１ａ、下部に
突起部１１ｂがそれぞれ３個所ずつ設けられ、かつ中間
部に補強用リブ１１ｃが突設されているので、突起部１
１ｂをキャップ取付用開口穴５ｂに係合させてから、全
体を回動させて爪部１１ａをキャップ取付用開口穴５ｂ
の縁部に係合させてキャップ１０を組み付けることか
ら、キャップ１０の取付けを確実に行うことができると
ともに装着性を向上することができる。また、このと
き、補強用リブ１１ｃを設けたことによりキャップ１０
の剛性を向上させ、装着性を向上することができる。

【００１７】なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限
定されるものではなく、たとえば、凹部４の大きさはエ
アバックが収納可能な大きさであればどのような大き
さ、形状でも良く、また開口穴５の大きさも適宜設定す
ることができる。さらに、凹部４の底面４ａに設けるキ
ャップ１０は、開口穴５を塞ぐことができるものであれ
ば、種々の形状のものを用いることができる等その他、
本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施し
得ることは言うまでもない。

【００１８】

【発明の効果】以上述べたように、本発明による自動車
のエアバッグ取付構造によれば次のような効果を奏する
ことができる。請求項１において、インストルメントパ
ネル本体に、仕様によって助手席用エアバッグを装備す
るようにした自動車のエアバッグ取付構造において、エ
アバッグ仕様のときにエアバッグ収納部として用いると
ともに、エアバッグ無仕様のときに物入れとして利用可
能な凹部を、上記インストルメントパネル本体に一体成
形したので、インストルメントパネル本体の剛性を向上
することができる。よって、エアバッグ無仕様のときに
物入れとしてのトレイを別途組み付ける必要がないの
で、部品点数の削減および組み付け工程の削減を図るこ
とができる。請求項２において、凹部の底面に複数の開
口穴を設けたので、最小限の開口部でエアバックステー
等の取付けを行うことができることから剛性を損なうこ
とがない。請求項３において、凹部の底面をステアリン
グサポートメンバに固定したので、インストルメントパ
ネル本体を強固に支持することができる。請求項４にお
いて、エアバッグ無仕様時に上記凹部の底面の複数の開
口穴を塞ぐキャップを設けたので、エアバッグ無仕様時
に物入れとして用いることができる。請求項５におい
て、エアバッグ本体のエアバッグカバーの裏面周縁部
に、上記凹部の内壁面に係合する位置決め用リブを設け
たので、エアバッグ本体を最適位置に組み付けることが
できることから、組み付け作業が容易で、外観の向上を
図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による自動車のエアバッグ取付構造の実
施の形態によるエアバッグ無仕様時のインストルメント
パネル本体を示す斜視図である。

【図２】本発明による自動車のエアバッグ取付構造の実
施の形態を示す図１のＡ−Ａ線拡大断面図である。

【図３】本発明による自動車のエアバッグ取付構造の実
施の形態を示す図１のＢ−Ｂ線拡大断面図である。

【図４】エアバッグ仕様時のエアバッグ取付構造の実施
の形態を示す断面図である。

【図５】図１のキャップを示す背面図である。

【図６】キャップの装着状態を示す概念図である。

【図７】図４のエアバッグ本体を示す背面図である。

【図８】図７のＣ−Ｃ線断面図である。

【図９】図７のＤ−Ｄ線断面図である。

【符号の説明】

１ インストルメントパネル本体 ２ エアバッグ収納部 ３ グローブボックス ４ 凹部 ５ 開口穴 ６ ステアリングサポートメンバ ７ ネジ ８ ネジ穴 ９ 座面 １０ キャップ １２ エアバッグ本体 １３ 後面 １４ 衝撃吸収用段部 １５ エアバッグ用ステー １６ 取付用長孔 １７ 支持ブラケット １８ ナット １９ ネジ ２０ エアバッグカバー ２１ リブ ２２ リブ ４ａ 底面 １１ａ 爪部 １１ｂ 突起部 １１ｃ リブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3D022 CA01 CB01 CC02 CD06 CD20 CD23 CD27 3D044 BA01 BA03 BA12 BA14 BB01 BC13 BC15 BC21 BC28 BC30 BD04 3D054 AA03 AA14 BB09 BB13 BB17 FF15 FF17 FF20

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インストルメントパネル本体に、仕様に
   よって助手席用エアバッグを装備するようにした自動車
   のエアバッグ取付構造において、エアバッグ仕様のとき
   にエアバッグ収納部として用いるとともにエアバッグ無
   仕様のときに物入れとして利用可能な凹部を、上記イン
   ストルメントパネル本体に一体成形したことを特徴とす
   る自動車のエアバッグ取付構造。
2. 【請求項２】 上記凹部の底面に複数の開口穴を設けた
   ことを特徴とする請求項１に記載の自動車のエアバッグ
   取付構造。
3. 【請求項３】 上記凹部の底面をステアリングサポート
   メンバに固定したことを特徴とする請求項１または２に
   記載の自動車のエアバッグ取付構造。
4. 【請求項４】 エアバッグ無仕様時に上記凹部の底面の
   複数の開口穴を塞ぐキャップを設けたことを特徴とする
   請求項２または３に記載の自動車のエアバッグ取付構
   造。
5. 【請求項５】 上記エアバッグ本体のエアバッグカバー
   の裏面周縁部に、上記凹部の内壁面に係合する位置決め
   用リブを設けたことを特徴とする請求項１ないし３のい
   ずれか１項に記載の自動車のエアバッグ取付構造。