JP5055229B2 - リアトレイ構造 - Google Patents

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この発明は、車両の後部座席後方に配置されるリアトレイの構造に関するものである。
セダン型車両等においては、後部座席のシートバックの後方側にリアトレイが配置されている。
また、近年の車両においては、後部座席にチャイルドシートを固定するための複数のアンカー部材をシートバックの後方側の車体部材に固定設置し、リアトレイ上の各アンカー部材に対応する位置にアンカー部材を外側に露出するための開口を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のリアトレイ構造は、アンカー部材を外部に露出させるための複数の開口がリアトレイ本体に形成されるとともに、各開口に脱着可能な蓋部材が設けられている。このリアトレイ構造においては、チャイルドシートを使用する場合には蓋部材を外してアンカー部材を外部に露出させ、チャイルドシートの不使用時には開口を蓋部材で閉じることによって車内側からの見栄えを良好にする。
特開2001−10383号公報
しかし、この従来のリアトレイ構造の場合、アンカー部材を外部に露出させるための複数の開口や蓋部材がリアトレイ本体に設けられるため、アンカー部材を備えない車両仕様で同じリアトレイ本体を共用しようとしたときに、アンカー部材を全く利用しないにも拘わらず複数の開口や蓋部材がリアトレイ上に露出し、見栄え上好ましくない。
また、チャイルドシート固定用のアンカー部材を備えた車両仕様と備えない車両仕様でリアトレイ本体を共用しない場合には、それぞれ専用の成形型でリアトレイ本体を成形しなければならないため、生産効率の向上を図ることができない。
そこで、この発明は、見栄えの低下を招くことなく、アンカー部材を備えた車両仕様と備えない車両仕様で同じリアトレイ本体を共用できるようにして、生産効率の向上を図ることのできるリアトレイ構造を提供しようとするものである。
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、チャイルドシート固定用の複数のアンカー部材(例えば、後述の実施形態におけるアンカー部材36)を支持する車体部材(例えば、後述の実施形態における補強パネル6)の上方にリアトレイ本体(例えば、後述の実施形態におけるリアトレイ本体11)が配置され、このリアトレイ本体に、前記複数のアンカー部材に対応した複数の開口(例えば、後述の実施形態における開口34)が設けられているリアトレイ構造において、前記複数の開口を一体に覆うカバー部材(例えば、後述の実施形態におけるカバー部材35)を設け、このカバー部材の前記複数の開口に対応する位置に窪み部(例えば、上述の実施形態における窪み部37)を設け、この窪み部の底壁に、前記開口を通して上方に突出したアンカー部材が貫通するスリット(例えば、上述の実施形態におけるスリット38)を設けたことを特徴とする。
これにより、一体のカバー部材で複数の開口が覆われ、車室内からの見栄えが向上する。また、複数の開口が一体のカバー部材で覆われるため、アンカー部材を備えない車両仕様で同じリアトレイ本体を用いた場合であっても、使用しないリアトレイ本体上の複数の開口が車室内に露出することがなくなる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリアトレイ構造において、前記カバー部材の前記各開口に対応する位置に、開閉可能な蓋部材(例えば、後述の実施形態における蓋部材39)を設けたことを特徴とする。
これにより、アンカー部材を使用する場合には、カバー部材上の蓋部材を開き、アンカー部材を使用しない場合には、蓋部材を閉じることによってアンカー部材を覆い隠す。
請求項1に記載の発明によれば、リアトレイ本体上の複数の開口を一体のカバー部材で覆ったため、アンカー部材を備えた車両仕様と備えない車両仕様で同じリアトレイ本体を共用した場合において、リアトレイ本体上の複数の開口が車室内に露出することによる見栄えの低下を招くことがない。
請求項2に記載の発明によれば、アンカー部材の使用時にのみ蓋部材を開いてアンカー部材を露出させるものであるため、不使用時における見栄えを向上させることができる。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、前後と上下については、特別に断らない限り、車両に対しての前後と上下を意味するものとする。
図1は、セダン型車両の車体後部を車室内側から見た斜視図である。同図中1は、後部座席のシートバックであり、2は、シートバック1の後方側に略水平に配置されたリアトレイ、3A,3Bは、リヤドア4の後方側の車体の側壁パネル5(車体部材)の車室内側面に取り付けられた樹脂製の内装材である。
シートバック1の後方側には、車体左右の側壁パネル5のリヤホイールハウス(図示せず)の上方側位置を相互に連結する補強パネル6(車体部材)が配置されている。補強パネル6は、車幅方向に延出して両端部が側壁パネル5に結合されるとともに、中央領域の下方に円弧状の開口7を有する略アーチ形状に形成されている。
後部座席のシートバック1と補強パネル6の間には、車幅方向に延出する設定幅の隙間8が設けられている。リアトレイ2は、補強パネル6の後方側から前方に延出してこの隙間8の上方を覆うようになっている。
図2は、側壁パネル5から内装材3A,3Bを取り去った状態における図1と同様の斜視図であり、図3は、リアトレイ2の斜視図、図4は、リアトレイ2を車体に取付けた状態における断面図である。
補強パネル6は、図4に示すように略水平な上壁6aの前端部に斜め下方に傾斜した前部壁6bが連設されている。前部壁6bの上縁部には、車幅方向に離間して2つのボルト挿通孔9が形成され、前部壁6bの後面側には、各ボルト挿通孔9の孔位置と合致するようにウェルドナット10が設けられている。
リアトレイ2は、車体取付状態において、図示しないリヤウインドシールドガラスの下端から前方に略水平に延出するリアトレイ本体11と、このリアトレイ本体11の前端部両側に延設された一対のスペーサ12,12とを備えている。
スペーサ12は、図示しないクリップ等によって側壁パネル5上の設定位置に係止固定され、側壁パネル5と内装材3A,3Bの間にあって内装材3A,3Bの背面を支持する支持壁13と、この支持壁13のほぼ中央部から車室内側に段差状に突出する車内突出壁14とを備えている。車内突出壁14は、2つの内装材3A,3Bに跨って形成された貫通孔15(図1参照)に嵌合され、貫通孔15を貫通した突出面14aが内装材3A,3Bの車内側面16a,16bとほぼ面一になるように設定されている。突出面14aは、内装材3A,3Bが側壁パネル6に取り付けられた状態において車室内に露出するようになっている。また、左右の各スペーサ12は、室内突出壁14においてリアトレイ本体11の前端部と一体化されている。
なお、図2,図3において、17は、各スペーサ12の支持壁13に形成され、内装材3A,3Bの背部の図示しない係止突起が嵌合される嵌合孔である。また、リアトレイ本体11のスペーサ12よりも車体後方側の両側の側縁部には複数の位置決め突起18が一体に形成され、内装材3Aが側壁パネル5に取り付けられたときに、内装材3Aの下縁がこれらの位置決め突起18と係合するようになっている。
一方、リアトレイ本体11の前縁部には、車幅方向に離間して略矩形状の2つの開口部19,19が設けられ、この各開口部19が脱着可能な蓋部材20によって閉塞されている。各開口部19は、補強パネル6上のボルト挿通孔9とウェルドナット10の設置位置に対応して設けられており、これらの各開口部19を通して締結用の工具21の挿入が可能とされている。なお、図4中22は、蓋部材20の裏面に突設され、開口部19の周縁に係止される係止爪である。
また、リアトレイ本体11の前縁部の裏面には、図4に示すように、各開口部19の下方を跨ぐように凹状の屈曲壁23が設けられている。この屈曲壁23の底壁部23aにはボルト挿通孔24が形成され、後壁部23bには、補強パネル6のボルト挿通孔9方向に臨む作業開口25が形成されている。
さらに、図4に示すように、シートバック1の上部のフレーム部材26には車体後方側に延出するブラケット27が溶接固定されている。ブラケット27は、一端側にフレーム部材26に溶接固定されるシート固定部28が設けられるともに、車体後方側への延出端が上方に屈曲され、その屈曲片27a部分が補強パネル6の前部壁6bに重合されるようになっている。また、ブラケット27のシート固定部28と屈曲片27aの中間領域27bの上面側には、リアトレイ本体11の屈曲壁23の底壁部23aが重合されるようになっている。ブラケット27のこの中間領域27bと屈曲片27aにはそれぞれボルト挿通孔29,30が設けられ、中間領域27bの下面側にはボルト挿通孔29の孔位置と合致するようにウェルドナット31が設けられている。
リアトレイ本体11の屈曲壁23とブラケット27のボルト挿通孔24,29にはボルト32が挿入され、そのボルト32をウェルドナット31に締め込むことによってリアトレイ本体11がブラケット27に連結されるようになっている。
また、ブラケット27と補強パネル6のボルト挿通孔30,9にはボルト33が挿入され、そのボルト33をウェルドナット10に締め込むことによってブラケット27の屈曲片27aが補強パネル6に固定されるようになっている。
さらに、リアトレイ本体11の車体前後方向の略中央領域には、3つの開口34が車幅方向に離間して設けられ、これらの3つの開口34の上面側が一体のカバー部材35によって覆われている。カバー部材35はリアトレイ本体27の上面に接着やクリップ止めによって固定されている。
図5,図6は、カバー部材35の構成部品を示す図であり、図7は、カバー部材35を含むリアトレイ2と補強パネル6の断面図である。
図7に示すように、補強パネル6の上壁6a上には車幅方向に離間してチャイルドシート固定用の略コ字状の3つのアンカー部材36が固定設置されており、リアトレイ本体11上の3つの開口34は、各アンカー部材36の設置位置に対応して設けられている。
カバー部材35は、平面形状が車幅方向に長い略長方形状とされ、かつ、車体前後方向の断面形状が、略中央が上方に膨出する略円弧形状とされている。カバー部材35上のリアトレイ本体11の各開口34に対応する位置には正面視が略長方形状の窪み部37が設けられ、その各窪み部37の底壁37aには、開口34を通して上方に突出したアンカー部材36が貫通するスリット38が設けられている。各窪み部37には、その上部を覆うことのできる蓋部材39が取り付けられている。蓋部材39は、窪み部37の上部を覆った状態において、カバー部材35の上面とほぼ面一となる略円弧状の断面形状とされている。
また、各蓋部材39の側部には枢支軸40が設けられ、その枢支軸40が窪み部37の側壁37bに回動可能に支持されている。蓋部材39の枢支軸40は後部側に偏倚して設けられており、蓋部材39は、図7中の鎖線で示すように、後部側の枢支軸40を支点に前縁部側を上方に開き操作し得るようになっている。なお、図中41は、蓋部材39を開閉する際に指を掛けるための操作突起である。
以上のように、この実施形態のリアトレイ2の構造においては、アンカー部材36を露出させるためのリアトレイ本体11上の複数の開口34を一体のカバー部材35で覆っているため、リアトレイ本体11上の複数の開口34が車内側に露出することがなく、見栄えの低下を招くことがない。
また、このリアトレイ2の構造においては、アンカー部材36を備えない車両仕様で同じリアトレイ本体11を共用した場合においても、リアトレイ本体11上の複数の開口34が一体のカバー部材35で覆われるため、車内側からの見栄えの低下を招くことがない。なお、アンカー部材36を備えない車両仕様の場合には、窪み部37や蓋部材39のないカバー部材を用いるようにすれば、さらなる見栄えの向上を図ることができる。
したがって、このリアトレイ2の構造を採用する場合には、アンカー部材36を備えた車両仕様と備えない車両仕様において、見栄えの低下を招くことなく同じリアトレイ本体11を共用することができる。これにより、生産効率の向上を図ることができる。
さらに、この実施形態のリアトレイ2の構造においては、カバー部材35上のリアトレイ本体11の開口34に対応する位置に開閉可能な蓋部材39が設けられ、アンカー部材36の使用時にのみ蓋部材39を開いてアンカー部材36を車内側に露出させるようになっているため、不使用時における見栄えが向上するという利点がある。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
この発明の一実施形態を示すものであり、車体後部を車室内側から見た斜視図。 同実施形態を示すものであり、内装部材を取り去った車体後部を車室内側から見た斜視図。 同実施形態のリアトレイを示す斜視図。 同実施形態を示す図3のA−A断面に対応する断面図。 同実施形態のカバー部材を示す斜視図。 同実施形態のカバー部材に取り付けられる蓋部材を示す斜視図。 同実施形態を示す図3のB−B断面に対応する断面図。
符号の説明
2…リアトレイ
6…補強パネル(車体部材)
11…リアトレイ本体
34…開口
35…カバー部材
36…アンカー部材
37…窪み部
38…スリット
39…蓋部材

Claims (2)

  1. チャイルドシート固定用の複数のアンカー部材を支持する車体部材の上方にリアトレイ本体が配置され、このリアトレイ本体に、前記複数のアンカー部材に対応した複数の開口が設けられているリアトレイ構造において、
    前記複数の開口を一体に覆うカバー部材を設け
    このカバー部材の前記複数の開口に対応する位置に窪み部を設け、
    この窪み部の底壁に、前記開口を通して上方に突出したアンカー部材が貫通するスリットを設けたことを特徴とするリアトレイ構造。
  2. 前記カバー部材の前記各開口に対応する位置に、開閉可能な蓋部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載のリアトレイ構造。
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