JP2000182816A - マンガン系フェライト及びそれを使用したトランス並びにチョ―クコイル - Google Patents
マンガン系フェライト及びそれを使用したトランス並びにチョ―クコイルInfo
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Abstract
以下の低い初透磁率μiを備え、しかも主成分中のZn
Oの含有量が0に近い所定値以下においても相対密度が
低下せず高い初透磁率μiを維持することのできるマン
ガン系フェライトを提供する。 【解決手段】 本発明のマンガン系フェライトは、その
主成分が下記のA,B,C,Dの4点を直線で結んだF
e2O3、MnOおよびZnOにそれぞれ換算しての酸化
鉄、酸化マンガンおよび酸化亜鉛の三元系主成分範囲内
にあり、 A:Fe2O3=58.0mol%、ZnO: 0mol% B:Fe2O3=54.5mol%、ZnO:7.0mol% C:Fe2O3=53.0mol%、ZnO:5.0mol% D:Fe2O3=53.0mol%、ZnO: 0mol% (いずれの点も残部MnO) かつ副成分として酸化珪素をSiO2に換算して300
ppm以下および酸化カルシウムをCaO換算で168
0ppm以下含有し、さらに、不純物としてのPが10
0ppm以下、およびBが60ppm以下である。
Description
ーク用のコアに用いられるマンガン(マンガン系−亜鉛
系を含む)系フェライトの特性改善及びそれを使用した
トランス並びにチョークコイルに関する。
に用いられるマンガン系フェライトにおいては、直流重
畳特性の向上、および漏洩磁束に因る発熱量低減のた
め、飽和磁束密度Bsが大きく、初透磁率μiが所定値
(例えば1800)以下であることが好ましい。
マンガン系フェライトとしては、特開昭61−1014
58公報(従来技術1)に、組成が下記組成1または2
で、高温・高周波領域において高飽和磁束密度と低電力
損失を呈するマンガン系フェライトが開示されている。
来技術2)、組成が下記組成で、高温における飽和磁束
密度が低温に比べて大きく低下することのない(変化
率:7.7%〜15.6%)マンガン−亜鉛系フェライ
トが開示されている。
従来技術においても初透磁率が従来のトランス、チョー
ク用フェライトと同等もしくはそれ以下の所定値が得ら
れていない。フェライトをトランス、チョークコイル用
として使用する場合、発熱が重要な要素となるが、発熱
の要素にはコア自体の発熱と銅損等による発熱の二つの
因子がある。従来より、コア自体の発熱についてはさま
ざまな検討が行われ低損失化を図っているが、銅損を考
慮した低損失化の検討はまだまだ不十分である。銅損に
よる発熱は電流と巻線抵抗で決まるジュール熱の他、直
流重畳特性を緩和するために設けられたギャップからの
漏洩磁束に因るものがある。機能的には、最低限必要な
AL値に合わせることができる初透磁率があり、飽和磁
束密度が大きければ、高い初透磁率は必要ない。一方、
熱的な設計からはギャップをできるだけ小さくし、磁束
の漏洩を抑えることが望ましい。漏洩した磁束はワイヤ
ーや止め金具等導電性の物質と交差し、過電流を発生さ
せる。電磁誘導加熱の系がコイルを中心にできることに
なる。よって初透磁率でギャップを小さくできることが
重要である。発熱量が大きい場合、熱による部材の損傷
の他チョークコイルにおいてはコアが温度上昇すること
により飽和磁束密度が低下し直流重畳特性が劣化する。
また、トランスにおいてはトランスとして最も重要な機
能である効率が低下するという問題が生じる。
しMnOが増加することにより飽和磁束密度Bs(10
0℃)は高くなるが、上記いずれの従来技術においても
主成分中のZnOの含有量が低くなると(特に5mol%以
下の主成分)、相対密度の低下が起こり、440mT以上
の飽和磁束密度Bs(100℃)、好ましくは445mT
以上の飽和磁束密度Bs(100℃)を得られていな
い。
密度Bs(100℃)、好ましくは445mT以上の飽和
磁束密度Bs(100℃)と1800以下の所望の低い
初透磁率を兼ね備え、しかも主成分中のZnOの含有量
が5mol%以下の組成においても相対密度が低下せず高い
飽和磁束密度Bs(100℃)を維持することのできる
マンガン系フェライト、およびそれを用いたトランス並
びにチョークコイルを提供することを目的とする。
(1)〜(6)のいずれかの構成により達成される。 (1) マンガン系フェライトにおいて、その主成分が
下記のA,B,C,Dの4点を直線で結んだFe2O3、
MnOおよびZnOにそれぞれ換算しての酸化鉄、酸化
マンガンおよび酸化亜鉛の三元系主成分範囲内にあり、 A:Fe2O3=58.0mol%、ZnO: 0mol% B:Fe2O3=54.5mol%、ZnO:7.0mol% C:Fe2O3=53.0mol%、ZnO:5.0mol% D:Fe2O3=53.0mol%、ZnO: 0mol% (いずれの点も残部MnO) かつ副成分として酸化珪素をSiO2に換算して300
ppm以下および酸化カルシウムをCaO換算で168
0ppm以下含有し、さらに、不純物としてのPが10
0ppm以下、およびBが60ppm以下であるマンガ
ン系フェライト。 (2) 飽和磁束密度(100℃)が440mT以上、
かつ初透磁率が1800以下500以上である上記
(1)のマンガン系フェライト。 (3) 飽和磁束密度Bs(100℃)が445mT以
上、かつ初透磁率が1800以下500以上である上記
(2)のマンガン系フェライト。 (4) 添加物として下記の添加物を下記の範囲内で1
種または2種以上が添加された上記(1)〜(3)のい
ずれかのマンガン系フェライト。 酸化ニオブ(Nb2O5換算) :50〜300 ppm 酸化バナジウム(V2O5換算):100〜1000ppm 酸化ビスマス(Bi2O3換算):50〜500 ppm 酸化モリブデン(MoO) :50〜400 ppm (5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のマンガ
ン系フェライトを使用したトランス。 (6) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のマンガ
ン系フェライトを使用したチョークコイル。
ライトの主成分をキュリー温度が280℃以上の高い主
成分範囲、かつ所定の副成分範囲に制御することによっ
て、なおかつ焼結過程において異常粒成長を引き起こす
原因となるP、Bを所定含有量以下に制御することによ
って、440mT以上の飽和磁束密度Bs(100℃)
かつ初透磁率が所定の低い値となるマンガン系フェライ
トを得ることができ、また同時に、主成分中のZnOの
含有量が0に近い主成分(特に5mol%以下)においても
相対密度が低下せず高い飽和磁束密度Bs(100℃)
を維持すること出来た。
は、主成分として、図1に示した下記のA、B、Cおよ
びDの4点、好ましくはA、E、FおよびGの4点、特
に好ましくはA、H、IおよびGの4点を直線で結んだ
Fe2O3、MnOおよびZnOにそれぞれ換算しての酸
化鉄、酸化マンガンおよび酸化亜鉛の三元系主成分範囲
内にある。
分から外れるとμiを所定の低い値に制御することがで
きない。
μiを所定の低い値に制御することができず、かつ、飽
和磁束密度Bsの温度特性が低下し、高い飽和磁束密度
Bs(100℃)が得られない。そして、上記点Cと点
Dを結ぶ線分から外れると高い飽和磁束密度Bs(10
0℃)が得られない。
分として、酸化珪素をSiO2に換算して300ppm
以下、好ましくは200ppm以下、および酸化カルシ
ウムをCaOに換算して1680ppm以下、好ましく
は1000ppm以下含有する。SiO2の量が300
ppmを越えると、焼結過程における異常粒成長を抑え
ることが困難となり、高い相対密度が得られず、結果と
して飽和磁束密度が得られない。CaOが1680pp
mを越えると、飽和磁束密度が低下する。
は、不純物としてのPの含有量が、100ppm以下、
好ましくは3〜60ppm、かつBの含有量が60pp
m以下、好ましくは2〜30ppmに規定されている。
Pの含有量が100ppmを越えると、焼結過程におい
て異常粒成長が生じ飽和磁束密度が得られない。
様に焼結過程において異常粒成長が生じ、飽和磁束密度
が得られない。
2成分の含有量の少ない主成分原材料を選定し、コンタ
ミ量を考慮して補正するか、必要によっては、脱燐、脱
硼素工程をかけた原材料を用いて行うことが好ましい。
は、添加物として下記酸化物を下記の範囲の量内で1種
または2種以上が添加されていることが好ましい。 Nb2O5 50〜300ppm V2O5 100〜1000ppm Bi2O3 50〜500ppm MoO 50〜400ppm 本発明のマンガン系フェライトに、これらの酸化物を上
記の範囲内で添加すると、飽和磁束密度Bsが向上す
る。
は、添加物としてその他、Ni、Cu、Ti、Su、M
g、Ta、Co等を含有してもよい。その他の添加物の
含有量は、全体で、0.01〜2wt%程度であることが
好ましい。
造方法について説明する。まず、特公昭47−1155
0号公報等に記載されている噴霧焙焼により製造された
Fe2O3とMn3O4との混合粉末にZnOを加え、ボー
ルミル等により混合粉砕する。また、通常の粉末冶金法
に従い、Fe2O3、Mn3O4、ZnOをボールミル等で
混合し、仮焼し、ボールミル等で粉砕してもよい。粉砕
後の平均一次粒子径は、1.0〜2.5μm程度である
ことが好ましい。
加物を添加する場合、添加は粉砕の前に行なうことが好
ましい。
成形する。
焼結する。焼結温度すなわち高温保持温度は、焼結時の
雰囲気にもよるが、1300〜1450℃であることが
好ましい。
時間であることが好ましい。焼結温度までの昇温速度は
100〜300℃/時間であることが好ましい。また、
焼結温度からの降温すなわち冷却は、200℃/時間以
下であることが好ましい。
を製造することができ、この製造されたマンガン系フェ
ライトは、飽和磁束密度Bsを15Oeの印加磁界下(1
00℃)で440mT以上、好ましくは445mT以
上、初透磁率μiを100kHzで1800以下を達成
できる。現在のところ、飽和磁束密度Bsの上限は46
0mT程度であり、初透磁率μiの下限は500程度で
ある。初透磁率の下限は500以下も可能であるが、最
低限必要なAL値を得るために500程度とした。
は、96%以上であることが好ましく、現在のところそ
の上限値は98%程度である。本発明のマンガン系フェ
ライトでは、特にMnOの含有量が0に近い領域におい
ても相対密度が低下せず、高飽和磁束密度Bsが維持で
きるという特徴がある。
平均結晶粒径が10〜100μmであることが好まし
い。平均結晶粒径が大きすぎると所定の低い初透磁率に
制御することが困難となり、小さすぎると高い飽和磁束
密度を得ることが困難となる。
規定する。まず、フェライト焼結体の断面に現われる結
晶粒子の断面積の平均、すなわち、結晶粒子1個あたり
の断面積を求める。
る球の直径を求める。本発明では、この値を平均結晶粒
径とする。
結体を鏡面研磨後、フッ酸等によりエッチングし、これ
を500〜1000倍程度の金属電子顕微鏡により撮影
して得られた写真を用い、少なくとも面積が2500μ
m2 以上の範囲について測定することにより行なえばよ
い。
アを作成する場合、その形状は、つぼ型、トロイダル形
状、EI、EE、EER等とすることができる。このよ
うなコアは、コイルが巻かれてトランスあるいはチョー
クコイルとされる。
たコアを用いたトランスは、従来のものに比べて直流重
畳特性が向上する。
添加物量となるように各成分を秤量、混合、仮焼、粉砕
後、バインダーを加え顆粒とし、トロイダル状のサンプ
ルを成形した。そのサンプルを、300℃/時間で昇温
し、1380℃で6時間安定した。その後200℃/時
間で室温まで冷却した。安定から室温までの雰囲気はフ
ェライトの平衡酸素分圧に従い設定した。なお、PとB
の制御は、主成分原料を選定して行うか、主成分原料の
ブレンドによって行った。なお、最終組成を蛍光X線に
より測定したところ、原料組成とほぼ対応するものであ
った。また、各サンプルは、外径31mm、内径19m
m、高さ8mmのトロイダル状とした。
磁率μi、15Oeの印加磁界下での飽和磁束密度Bs
(100℃)および相対密度をそれぞれ測定した。な
お、相対密度は、アルキメデス法でコアの焼結密度を測
定し、その値をその主成分の理論密度で割った値をパー
セント表示したものである。その結果は表1および表2
の通りである。
のA,B,C,Dで結ばれる領域内にあり、かつ副成
分、不純物が所定の範囲内に存在するものは飽和磁束密
度Bs(100℃)が440mT以上の値で、かつ初透
磁率が1800以下500以上の所定値に制御されてい
る。しかし、主成分におけるFe2O3成分が図1のA,
Bを結ぶ線より多い領域においては比較例1、4に示す
ように初透磁率が1800以下の所定値に制御すること
ができない。また、主成分におけるZnO成分が図1の
B,Cを結ぶ線より多い領域(キュリー温度が280℃
より低くなる組成)においては比較例9に示すように相
対密度が高い焼結体においても飽和磁束密度Bs(10
0℃)が440mT以上の値が得られず、Fe2O3成分
がC、Dを結ぶ線より少ない領域においても比較例3に
示すように飽和磁束密度Bs(100℃)が440mT
以上の値が得られない。また、比較例2、5、6、7、
8、10、11のように主成分が図1のA,B,C,D
で結ばれる領域内にあるものでも、副成分、不純物の含
有量がいずれか1つでも所定の範囲を超えるマンガン系
フェライトについては十分な相対密度が得られず、44
0mT以上の飽和磁束密度Bs(100℃)が得られな
い。
分、副成分、不純物が所定の範囲内にあるマンガン系フ
ェライトにおいて、Nb2O5、V2O5、Bi2O3、Mo
O3を所定の範囲で添加したものは、そうでないもの
(実施例1〜8)と比べ相対密度のより高い焼結体が得
られ、445mT以上の飽和磁束密度Bs(100℃)
が得られる。更にまた、本発明においては、実施例1
0、11、12から分かるように、ZnOの含有量が0
に近い領域であっても高飽和磁束密度Bsが維持でき
る。
体を鏡面研磨後、フッ酸によりエッチングし、研磨面を
500倍の光学顕微鏡により撮影した写真に基づきこれ
らのサンプルの平均結晶粒径dを調べた。
うにして行なった。まず、上記のようにして得られた写
真上に200μm×200μmの正方形の区画をとり、
この区画中に存在する結晶粒子の数を算定した。ただ
し、区画の境界に存在する結晶粒子は、1/2個として
数えた。この数をnとし、下記式により平均結晶粒径d
を算出した。
0〜100μmの範囲内であった。また、実施例3と比
較例9を用い同形状のトランスを作製し、直流重量特性
を調べた。トランスは、EER40形状とした。その結
果を図2に示す。図2のように本発明においては100
℃での直流重量特性が、12%改善できた。
示す図である。
00℃における直流重量特性を示す特性図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 マンガン系フェライトにおいて、その主
成分が下記のA,B,C,Dの4点を直線で結んだFe
2O3、MnOおよびZnOにそれぞれ換算しての酸化
鉄、酸化マンガンおよび酸化亜鉛の三元系主成分範囲内
にあり、 A:Fe2O3=58.0mol%、ZnO: 0mol% B:Fe2O3=54.5mol%、ZnO:7.0mol% C:Fe2O3=53.0mol%、ZnO:5.0mol% D:Fe2O3=53.0mol%、ZnO: 0mol% (いずれの点も残部MnO) かつ副成分として酸化珪素をSiO2に換算して300
ppm以下および酸化カルシウムをCaO換算で168
0ppm以下含有し、 さらに、不純物としてのPが100ppm以下、および
Bが60ppm以下であるマンガン系フェライト。 - 【請求項2】 飽和磁束密度(100℃)が440mT
以上、かつ初透磁率が1800以下500以上である請
求項1のマンガン系フェライト。 - 【請求項3】 飽和磁束密度Bs(100℃)が445
mT以上、かつ初透磁率が1800以下500以上であ
る請求項2のマンガン系フェライト。 - 【請求項4】 添加物として下記の添加物を下記の範囲
内で1種または2種以上が添加された請求項1〜3のい
ずれかのマンガン系フェライト。 酸化ニオブ(Nb2O5換算) :50〜300 ppm 酸化バナジウム(V2O5換算):100〜1000ppm 酸化ビスマス(Bi2O3換算):50〜500 ppm 酸化モリブデン(MoO) :50〜400 ppm - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のマンガ
ン系フェライトを使用したトランス。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載のマンガ
ン系フェライトを使用したチョークコイル。
Priority Applications (1)
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JP37561698A JP4299390B2 (ja) | 1998-12-16 | 1998-12-16 | マンガン系フェライト及びそれを使用したトランス並びにチョークコイル |
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