JP2000178316A - 乳化用分散剤およびその用途 - Google Patents
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Abstract
置安定性、耐水接着性等に優れたビニル樹脂系のエマル
ジョンを得ることができる乳化用分散安定剤を提供する
こと。 【解決手段】 ブロックキャラクター[η]が0.6以
下で、かつ平均重合度が500〜1500のアセト酢酸
エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂からなる。
Description
ル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(以下、AA化P
VAと略記する)からなる乳化用分散安定剤およびそれ
を用いたビニル樹脂系エマルジョンに関し、更に詳しく
は流動安定性、低温安定性、放置安定性、耐水接着力等
に優れたビニル樹脂系エマルジョンを得るのに有用な乳
化用分散安定剤およびそれを用いたビニル樹脂系エマル
ジョンに関する。
ニル樹脂系のエマルジョンの乳化用分散安定剤として、
従来からポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVAと
略記する)が知られており、近年ではポリ酢酸ビニルエ
マルジョンの耐水接着強度の向上を目的として、アセト
酢酸エステルで変性したAA化PVAも用いられるよう
なってきた。本出願人も、かかるAA化PVAを用い
て、pka≧4の有機酸の多価金属塩を共存させてp
H2.5〜6.5で乳化重合する方法(特開平1−20
4901号公報)や酸性亜硫酸塩を共存させて乳化重
合する方法(特開平7−138305号公報)を提案
し、更には、酢酸塩及び酢酸を特定量含有するAA化
PVAの乳化分散安定剤(特開平9−31112号公
報)や鉄分を特定量含有するAA化PVAの乳化分散
安定剤(特開平9−77948号公報)を提案した。
いずれの方法においても、得られるエマルジョンの耐水
接着力の向上は見られるものの、耐熱水接着力について
は、必ずしも十分ではなく、耐熱水接着力、流動安定
性、低温安定性、放置安定性等が更に改善されたビニル
樹脂系エマルジョンを得るのに有用な乳化用分散安定剤
が望まれるところである。
る現況に鑑みて鋭意検討した結果、ブロックキャラクタ
ー[η]が0.6以下で、かつ平均重合度が500〜1
500であるAA化PVAからなる乳化用分散安定剤
が、上記の目的に合致することを見出して本発明を完成
するに至った。尚、ここで言うブロックキャラクター
[η]とは、13C−NMRの測定(内部標準物質として
3-(Trimethylsilyl)propionic-2,2,3,3,-d4acid,sodium
saltを使用)により、40〜49ppmの範囲に見られ
るメチレン炭素部分に基づく吸収[(OH,OH)=4
6〜49ppmの吸収、(OH,OR)=43.5〜4
5.5ppmの吸収、(OR,OR)=40〜43pp
mの吸収、但し、ORはO−酢酸基又はO−アセト酢酸
基を表す]の吸収強度比から求められるもので、より具
体的には下記(3)式より算出される値である。
れもモル分率で計算するものとする〕
本発明の乳化用分散安定剤に用いられるAA化PVA
は、上記の如くそのブロックキャラクター[η]が0.
6以下(更には0.55以下、特に経済的なことを考慮
すれば0.30〜0.55)であることが必要で、かか
るブロックキャラクターが0.6を越えると耐熱水接着
力が低下して本発明の目的を達成することが困難とな
る。従来より、未変性のPVAのブロックキャラクター
値をコントロールするにあたっては、酸ケン化してブロ
ック性を下げたり、或いは(誘電率の低い溶媒の存在下
で)アルカリケン化したりしてブロック性を上げたりす
ることが行われてきたが、本発明で用いられるような上
記の如き特定のブロックキャラクター値のAA化PVA
を得るには、一般のAA化PVAの製造時に多少の工夫
を要する。
ク性が高い状態で残存させておき、その後アセト酢酸エ
ステル化することが必要であり、該ブロック性を上げる
手段としては、誘電率の低い溶剤(酢酸メチル、ヘキサ
ン、ベンゼン、酢酸エチル、流動パラフィン、トルエ
ン、アセトン、酢酸イソプロピル、トリクロロエチレ
ン、キシレン等)を3〜40重量%(更には5〜20重
量%、特に10〜20重量%)含有させる方法、ケン化
温度を40〜50℃に上げる方法、ケン化時の樹脂分を
上げる方法、ケン化反応系内の水分をなくする方法等が
挙げられ、これらの方法を適宜組み合わせることにより
可能となる。
Aの製造法について説明する。本発明に用いられるAA
化PVAは、後述するようにPVAにジケテンを反応さ
せたり、PVAとアセト酢酸エステルを反応させてエス
テル交換したりして、PVAにアセト酢酸エステル基を
導入させたもので、かかるPVAとしては、一般的には
ポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸な
どのケン化触媒によってケン化したケン化物又はその誘
導体が用いられ、更には酢酸ビニルと共重合性を有する
単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物等を用いる
こともでき、該単量体としては、例えばエチレン、プロ
ピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、
α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、
イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ
又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタア
クリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタ
クリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリ
ルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンス
ルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、
N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジ
メチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリル
ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエー
テル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルな
どのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポ
リオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプ
ロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレ
ン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)
アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリ
ルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルア
ミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミ
ド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシ
エチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニル
エーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキ
シプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニル
アミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げら
れる。
の如きケン化物を用いることができるのであるが、かか
るケン化物を製造する時には、上述したように多少の工
夫が必要となってくる。すなわち、得られるPVAのケ
ン化度を85モル%以上(更には87〜95モル%、特
に89〜93モル%)とすることが必要で、かかるケン
化度が85モル%未満では、PVAに曇点が発現して乳
化剤としての使用温度が制限される結果となって、好ま
しくない。
0〜1500(更には800〜1300、特に900〜
1200)とする必要があり、かかる重合度が500未
満ではエマルジョンの製造時にエマルジョン粒子が凝集
して好ましいエマルジョンを得ることができなくなり、
逆に1500を越えるとエマルジョンの粘度が高くなり
すぎて接着剤等に使用したときの作業性に問題があるば
かりではなく、被着体に対する”ぬれ性”が低下して接
着強度の低下を招いて本発明の目的を達成することは困
難となる。更に該PVAの形状としては、特に限定され
ないが、後述のジケテンの均一吸着、吸収による反応の
均一化及びジケテンとの反応率の向上等を考慮すれば、
粉末状、なかんずく粒径分布が狭く、かつ多孔性である
ものが好ましく、その粒度としては50〜450メッシ
ュが好ましく、更には80〜320メッシュのものが好
ましい。
類及び水分を数重量%含むことがあるが、これらの成分
中にはジケテンと反応して、ジケテンを消費し、ジケテ
ンの反応率を低下せしめるので、反応に供する際には、
加熱、減圧操作を行うなどして可及的に減少せしめてか
ら使用することが望ましい。また、本発明においては、
上記の如く粉末状のPVAを原料PVAとすることがで
きるが、製造工程の簡略化の点を考慮すれば、原料PV
Aの製造時のケン化工程後の溶剤(メタノール、エタノ
ール、(イソ)プロパノール等)を含有したスラリー状
のPVAを脂肪酸エステルで置換して原料PVAとして
用いることが好ましい。上記の如く得られたPVAにア
セト酢酸エステル基を導入するにあたっては、PVAと
ジケテンを反応させる方法、PVAとアセト酢酸エステ
ルを反応させエステル交換する方法や、酢酸ビニルとア
セト酢酸ビニルを共重合させる方法等を挙げることがで
きるが、製造工程が簡略で、品質の良いAA化PVAが
得られる点から、PVA(粉末)とジケテンを反応させ
る方法で製造するのが好ましい。
れに限定されるものではない。PVA粉末とジケテンを
反応させる方法としては、PVAとガス状あるいは液状
のジケテンを直接反応させても良いし、有機酸をPVA
粉末に予め吸着吸蔵せしめた後、不活性ガス雰囲気下で
液状又はガス状のジケテンを噴霧、反応するか、または
PVA粉末に有機酸と液状ジケテンの混合物を噴霧、反
応するなどの方法が用いられる。
は酢酸が最も有利であるが、これのみに限られるもので
はなく、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸等も任意に使用
される。有機酸の量は反応系内のPVA粉末が吸着及び
吸蔵しうる限度内の量、換言すれば反応系の該樹脂と分
離した有機酸が存在しない程度の量が好ましい。具体的
には、PVA100重量部に対して0.1〜80重量
部、好ましくは、0.5〜50重量部、特に好ましくは
5〜30重量部の有機酸を共存させるのが適当である。
かかる範囲外では、アセト酢酸エステル化度(以下AA
化度と略記する)分布の不均一な生成物が得られやす
く、未反応のジケテンが多くなる傾向があり、又、ゲル
等が生じたりする場合もあり、好ましくない。
は、有機酸を単独でPVAに噴霧する方法、適当な溶剤
に有機酸を溶解しそれを噴霧する方法等、任意の手段が
実施可能である。PVAとジケテンとの反応条件として
は、PVA粉末に液状ジケテンを噴霧等の手段によって
均一に吸着、吸収せしめる場合は、不活性ガス雰囲気
下、温度20〜120℃に加温し、所定の時間撹拌ある
いは流動化を継続することが好ましい。
触温度は0〜250℃、好ましくは、25〜100℃で
あり、ガス状のジケテンがPVAとの接触時に液化しな
い温度とジケテン分圧条件下に接触させることが好まし
いが、一部のガスが液滴となることは、なんら支障はな
い。接触時間は接触温度に応じて、即ち温度が低い場合
は時間が長く、温度が高い場合は、時間が短くてよいの
であって、1分〜6時間の範囲から適宜選択する。ジケ
テンガスを供給する場合には、ジケテンガスそのまま
か、ジケテンガスと不活性ガスとの混合ガスでも良く、
粉末PVAに該ガスを吸収させてから昇温しても良い
が、該粉末を加熱しながら、加熱した後に該ガスを接触
させるのが好ましい。
する)の反応の触媒としては、酢酸ナトリウム、酢酸カ
リウム、第一アミン、第二アミン、第三アミンなどの塩
基性化合物が有効であり、該触媒量は公知の反応方法に
比べて少量で良く、PVA粉末に対し0.1〜1.0重
量%である。PVA粉末は、通常酢酸ナトリウムを含ん
でいるので触媒を添加しなくてもよい場合が多い。触媒
量が多すぎるとジケテンの副反応が起こりやすく好まし
くない。AA化を実施する際の反応装置としては、加温
可能で撹拌機の付いた装置であれば十分である。例え
ば、ニーダー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー
その他各種ブレンダー、撹拌乾燥装置である。
酸エステル基の含有量は0.5〜5モル%(更に1〜5
モル%、特に2〜4モル%)とすることが好ましく、か
かる含有量が0.5モル%未満では耐熱水接着力が不十
分となり、逆に5モル%を越えるとエマルジョンの安定
性が低下して好ましくない。また、AA化PVA中に含
まれるアセト酢酸エステル基の含有量と酢酸基の含有量
の関係が下記の(1)式の如くなるように調整すること
も好ましい。
ル%)、[AC]は酢酸基の含有量(モル%)をそれぞ
れ表す) 上記(1)式において、中央の計算値が0.20未満の
時は耐水接着力が不足し、逆に0.45を越えるときは
エマルジョンの安定性が低下して好ましくない。更には
該計算値が0.25〜0.40の範囲が好ましい。
等の性状に優れ、かつ低温安定性、放置安定性、耐水接
着性等に優れたビニル樹脂系のエマルジョンを得る為の
乳化用分散安定剤として有用であり、かかるAA化PV
Aを乳化分散安定剤として用いた不飽和単量体の乳化重
合法について、具体的に説明する。乳化重合を行う際に
は、乳化分散安定剤(上記のAA化PVA)、水及び重
合触媒の存在下に不飽和単量体を一時又は連続的に添加
して、加熱・撹拌するが如き通常の乳化重合法が実施さ
れ得る。かかるAA化PVAは、粉末のまま或いは水溶
液にして水媒体に加えられる。使用量は、該AA化PV
Aの変性量や要求されるエマルジョンの樹脂分等によっ
て多少異なるが、通常は不飽和単量体に対して1〜50
重量%、好ましくは2〜20重量%程度の範囲から好適
に選択される。
なかんずく水溶性触媒が好適に用いられ、例えば過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム等がそれぞれ単独又は酸
性亜硫酸ナトリウムと併用して用いられる。また、過酸
化水素−酒石酸、過酸化水素−鉄塩、過酸化水素−アス
コルビン酸−鉄塩、過酸化水素−ロンガリット、過酸化
水素−ロンガリット−鉄塩などのレドックス系触媒が用
いられ、更には、化薬アクゾ社製「カヤブチルB」や同
社製「カヤブチルA−50C」等の有機過酸化物とレド
ッックス系からなる触媒が用いられ、エマルジョンの耐
熱水接着力の観点から過硫酸系の触媒が好適に用いられ
る。又、AA化PVA単独で本発明の効果を十分に得る
ことは可能であるが、必要に応じて更に各種界面活性剤
(例えばドデシルベンゼンスルホン酸、脂肪酸塩等のア
ニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤など)ある
いは乳化剤(例えばカルボキシメチルセルロース,ヒド
ロキシエチルセルロース,メチルセルロース等のセルロ
ース誘導体、ポリアクリル酸誘導体、(無水)マレイン
酸−ビニルエーテル共重合体、(無水)マレイン酸−酢
酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アリルスルホ
ン酸(塩)共重合体ケン化物など)、保護コロイドとし
て公知の各種PVA及びPVA誘導体も適宜併用するこ
ともできる。更に、フタル酸エステルや燐酸エステル等
の可塑剤、炭酸ナトリウム,酢酸ナトリウム,燐酸ナト
リウム等のpH調整剤等も併用され得る。
は、エチレン系不飽和単量体やブタジエン系単量体等が
挙げられ、エチレン系不飽和単量体としては、酢酸ビニ
ル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン
等が挙げられ、これらの単独重合若しくは共重合が実施
され、好適には酢酸ビニルモノマーが使用される。ま
た、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のア
クリル系単量体を単独重合若しくは共重合する場合、機
械的安定性、放置安定性、顔料混和性等が特に良好なエ
マルジョンが得られるという顕著な効果を奏するのでア
クリル系単量体の乳化重合にも好適に用いられる。
エン−1,3、2−メチルブタジエン、1,3又は2,
3−ジメチルブタジエン−1,3、2−クロロブタジエ
ン−1,3等があり、単独又はエチレン性不飽和単量体
と混合して用いられる。これらの中でもブタジエン−
1,3とスチレン、ブタジエン−1,3とスチレンと
(メタ)アクリル酸、ブタジエン−1,3とアクリロニ
トリル、ブタジエン−1,3とアクリロニトリルとスチ
レン、ブタジエン−1,3とアクリロニトリルと(メ
タ)アクリル酸、ブタジエン−1,3とメタクリル酸メ
チル、ブタジエン−1,3とメタクリル酸メチルと(メ
タ)アクリル酸等の組み合わせで重合を行うことも可能
である。
たエマルジョンについて述べてきたが、本発明の乳化用
分散安定剤を用いたビニル樹脂系エマルジョンは、その
形成皮膜が特徴的な物性を示すものである。すなわち、
かかるビニル樹脂系エマルジョンから得られる皮膜の貯
蔵弾性率が60〜120℃の範囲において、常に下記
(2)式を満足するものであり、かかる式の左辺の値が
0.25以下の時は耐熱水接着力が不十分となって接着
剤としての良好な物性を得ることができない。
膜(PETフィルム上にアプリケーターを用いてエマル
ジョンをキャスティングした後、該エマルジョンの最低
造膜温度より20℃高い温度で4時間乾燥を行って得ら
れた膜厚10μmのフィルム)の貯蔵弾性率(Pa)を、
E'2は、その得られた皮膜を4時間沸騰水浸せきして
23℃で24時間放置後の貯蔵弾性率(Pa)をそれぞれ
表す。また、ここで言う貯蔵弾性率とは、110Hzの
振動を与えた時に測定される値で、動的粘弾性測定装置
で測定することができ、本発明においては、60〜12
0℃まで、2℃/minの速度で昇温しながら、該測定
装置で連続的に測定した時の値で、E'1及びE'2の値
は同温度での値である。
ョンは、接着剤、バインダー、コーティング剤等に用い
ることができ、特に接着剤として有用で、かかる接着剤
として用いるにあたっては、エマルジョンは通常固形分
濃度30〜60%程度で使用され、その固形分中の添加
剤量が1〜30重量%程度で、充填剤、消泡剤(或いは
発泡剤)、着色剤、造膜助剤、防腐・防虫剤、防錆剤等
の添加物が配合されて接着剤用途に供される。また、対
象となる接着物(被着体)としては、木材、紙、プラス
チックス、繊維等が挙げられる。特に接着剤用途におい
ては、本発明の乳化分散剤をそのまま一液の接着剤と使
用することができ、従来の水性高分子−イソシアネート
系接着剤やメラミン−ホルムアルデヒド系接着剤等の二
液タイプの接着剤と同等の耐熱水接着力を有し、作業性
等の大幅な改善を図ることが可能となる。
しく説明する。尚、例中に断りのない限り、「%」、
「部」とあるのは、重量基準を示す。 実施例1 (PVAの製造)常法により得られたポリ酢酸ビニル
(平均重合度1000;完全ケン化してJIS K 6
726に準拠して測定、以下同様)のメタノール溶液に
酢酸メチルを添加して、ポリ酢酸ビニル/メタノール/
酢酸メチル=48/39/13(重量比)になるように
調整してポリ酢酸ビニル溶液を得た後、該溶液100部
をニーダーに仕込んで、液温を40℃に調整した。液温
が40℃になった時点で、触媒として2%の水酸化ナト
リウム水溶液3部を仕込んでケン化を1.5時間行っ
た。その後酢酸で中和してケン化反応を停止させた後、
メタノールで繰り返し洗浄を行い、次いで乾燥を行っ
て、ケン化度91.1モル%(残酢酸基8.9モル%)
のPVAを得た。
VAの粉末200部をニーダーに仕込み、これに酢酸2
0部を入れて膨潤させ、回転数20rpmで攪拌しなが
ら、65℃に昇温後、ジケテン22部を4時間かけて滴
下し、更に30分反応させて、AA化PVAを得た。得
られたAA化PVAのブロックキャラクター[η]は
0.51で、アセト酢酸エステル基の含有量[AA]は
3.1モル%で、酢酸基の含有量[AC]は8.9%で
あり〔[AA]/{[AA]+[AC]}=3.1/
(3.1+8.9)=0.26〕、水酸基の含有量は8
8.0モル%であった。
当たっては、下記の条件で測定した 13C−NMRの測定
結果より算出した。 測定機器 :BURKER社製「AVANCE DP
X400」 溶媒 :D2O 積算回数 :8192回 パルス間隔 :2秒 内部標準物質:3-(Trimethylsilyl)propionic-2,2,3,3,
-d4acid,sodiumsalt 測定温度 :50℃ 濃度 :7.5% 得られたAA化PVAを乳化用分散安定剤として用い
て、以下の如く酢酸ビニル樹脂エマルジョンを製造し
て、後述の如くエマルジョンの性状、低温安定性、放置
安定性、耐水接着性について評価を行った。
拌器、還流冷却器、滴下ロート、温度計を備えたセパラ
ブルフラスコに水60部、上記で得られたAA化PVA
4部及びpH調整剤として酢酸ナトリウム0.02部、
酢酸ビニルモノマー3.6部を仕込み、撹拌しながらフ
ラスコ内の温度を60℃に上げた。その間窒素ガスでフ
ラスコ内を置換しながら、1%の過硫酸アンモニウム水
溶液を5ml添加して重合を開始した。初期重合を30
分間行い、残りの酢酸ビニルモノマー32.4部を3時
間かけて滴下し、更に1%の過硫酸アンモニウム水溶液
5mlを1時間毎に4分割して重合を行った。その後、
75℃で1時間熟成した後冷却して、固形分39.8
%、粘度34Pa・sec(25℃)の酢酸ビニルのエ
マルジョンを得た。得られたエマルジョンから皮膜を作
製して、貯蔵弾性率を測定したところ、各温度での貯蔵
弾性率E'1は、6.6×108Pa(60℃)、8.4
×107Pa(80℃)、1.4×107Pa(100
℃)、4.9×106Pa(120℃)であり、かかる
皮膜を4時間沸騰水浸せきして23℃で24時間放置後
の各温度での貯蔵弾性率E'2は、4.5×108Pa
(60℃)、3.1×107Pa(80℃)、8.8×
106Pa(100℃)、3.5×106Pa(120
℃)であった。これらの測定値より、それぞれの温度に
おけるE'2/E'1の値を算出すると、0.68(60
℃)、0.37(80℃)、0.63(100℃)、
0.71(120℃)であった。
VE RHEOSPECTOLERDVE−V4」を用
いて下記の条件にて測定を行った。 治具 :引っ張り 荷重 :自動静荷重 周波数 :110Hz 昇温速度:2℃/min(室温〜120℃) 変位振幅:15μm 得られた酢酸ビニルのエマルジョンについて、以下の要
領で評価を行った。
ョンの状態を目視観察して、以下の通り評価した。 ○ −−− 流動性が良好で、粗粒子も認められない △ −−− 流動性は良好であるが、若干の粗粒子が認
められる × −−− 粗粒子が多く、エマルジョンの凝集が認め
られる (低温安定性) 製造後のエマルジョンを0℃で5日間放置後、室温(2
5℃)に戻して粘度変化を調べて、以下の通り評価し
た。 ○ −−− 粘度上昇が全く認められない △ −−− 粘度上昇が1.8倍以内 × −−− 粘度上昇が1.8倍を越える (放置安定性)製造直後のエマルジョンを室温(23
℃)で放置して、粘度が2倍になるまでの日数を調べ
た。 (耐熱水接着性)JIS K 6804に準拠して試験
片を作製後、JIS K 6852の煮沸繰り返し試験
に準拠して接着力(kg/cm2)を測定した。
00のポリ酢酸ビニルを用い、かつケン化時間を3.0
時間とした以外は同様に行って、ケン化度92.8モル
%(残酢酸基7.2モル%)のPVAを得て、次いでジ
ケテンの滴下量を34部とした以外は同様にAA化PV
Aの製造を行って、AA化PVAを得た。得られたAA
化PVAのブロックキャラクター[η]は0.55で、
アセト酢酸エステル基の含有量[AA]は4.8モル%
で、酢酸基の含有量[AC]は7.2%であり〔[A
A]/{[AA]+[AC]}=4.8/(4.8+
7.2)=0.40〕、水酸基の含有量は88モル%で
あった。
として用いて、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂
エマルジョン(固形分39.9%、粘度51Pa・se
c(25℃)を製造して、同様に評価を行った。また、
得られたエマルジョンから皮膜を作製して、実施例1と
同様に貯蔵弾性率を測定したところ、各温度での貯蔵弾
性率E'1は、6.8×108Pa(60℃)、7.3×
107Pa(80℃)、1.3×107Pa(100
℃)、5.6×106Pa(120℃)であり、かかる
皮膜を4時間沸騰水浸せきして23℃で24時間放置後
の各温度での貯蔵弾性率E'2は、4.7×108Pa
(60℃)、2.7×107Pa(80℃)、8.1×
106Pa(100℃)、4.0×106Pa(120
℃)であった。これらの測定値より、それぞれの温度に
おけるE'2/E'1の値を算出すると、0.69(60
℃)、0.37(80℃)、0.62(100℃)、
0.71(120℃)であった。
00のポリ酢酸ビニルを用い、かつケン化時間を1.1
時間とした以外は同様に行って、ケン化度89.1モル
%(残酢酸基10.9モル%)のPVAを得て、次いで
ジケテンの滴下量を14部とした以外は同様にAA化P
VAの製造を行って、AA化PVAを得た。得られたA
A化PVAのブロックキャラクター[η]は0.45
で、アセト酢酸エステル基の含有量[AA]は2.0モ
ル%で、酢酸基の含有量[AC]は10.9%であり
〔[AA]/{[AA]+[AC]}=2.0/(2.
0+10.9)=0.16〕、水酸基の含有量は87.
1モル%で、平均重合度は1300であった。
として用いて、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂
エマルジョン(固形分39.6%、粘度46Pa・se
c(25℃)を製造して、同様に評価を行った。また、
得られたエマルジョンから皮膜を作製して、実施例1と
同様に貯蔵弾性率を測定したところ、各温度での貯蔵弾
性率E'1は、7.4×108Pa(60℃)、7.6×
107Pa(80℃)、1.1×107Pa(100
℃)、4.6×106Pa(120℃)であり、かかる
皮膜を4時間沸騰水浸せきして23℃で24時間放置後
の各温度での貯蔵弾性率E'2は、4.9×108Pa
(60℃)、2.7×107Pa(80℃)、6.6×
106Pa(100℃)、3.2×106Pa(120
℃)であった。これらの測定値より、それぞれの温度に
おけるE'2/E'1の値を算出すると、0.66(60
℃)、0.36(80℃)、0.60(100℃)、
0.70(120℃)であった。
00のポリ酢酸ビニルを用い、かつケン化時間を1.0
時間とした以外は同様に行って、ケン化度88.8モル
%(残酢酸基11.2モル%)のPVAを得て、次いで
ジケテンの滴下量を12部とした以外は同様にAA化P
VAの製造を行って、AA化PVAを得た。得られたA
A化PVAのブロックキャラクター[η]は0.37
で、アセト酢酸エステル基の含有量[AA]は1.9モ
ル%で、酢酸基の含有量[AC]は11.2%であり
〔[AA]/{[AA]+[AC]}=1.9/(1.
9+11.2)=0.15〕、水酸基の含有量は86.
9モル%であった。
として用いて、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂
エマルジョン(固形分39.8%、粘度52Pa・se
c(25℃)を製造して、同様に評価を行った。また、
得られたエマルジョンから皮膜を作製して、実施例1と
同様に貯蔵弾性率を測定したところ、各温度での貯蔵弾
性率E'1は、7.2×108Pa(60℃)、7.4×
107Pa(80℃)、1.1×107Pa(100
℃)、4.5×106Pa(120℃)であり、かかる
皮膜を4時間沸騰水浸せきして23℃で24時間放置後
の各温度での貯蔵弾性率E'2は、4.8×108Pa
(60℃)、2.7×107Pa(80℃)、6.5×
106Pa(100℃)、3.2×106Pa(120
℃)であった。これらの測定値より、それぞれの温度に
おけるE'2/E'1の値を算出すると、0.66(60
℃)、0.36(80℃)、0.59(100℃)、
0.70(120℃)であった。
00のポリ酢酸ビニルを用い、かつ水酸化ナトリウム水
溶液の仕込量を2.5部とし、かつケン化時間を2.8
時間とした以外は同様に行って、ケン化度85.0モル
%(残酢酸基15.0モル%)のPVAを得て、次いで
ジケテンの滴下量を13部とした以外は同様にAA化P
VAの製造を行って、AA化PVAを得た。得られたA
A化PVAのブロックキャラクター[η]は0.42
で、アセト酢酸エステル基の含有量[AA]は1.1モ
ル%で、酢酸基の含有量[AC]は15.0%であり
〔[AA]/{[AA]+[AC]}=1.1/(1.
1+15.0)=0.07〕、水酸基の含有量は83.
9モル%であった。
として用いて、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂
エマルジョン(固形分40.0%、粘度72Pa・se
c(25℃)を製造して、同様に評価を行った。また、
得られたエマルジョンから皮膜を作製して、実施例1と
同様に貯蔵弾性率を測定したところ、各温度での貯蔵弾
性率E'1は、6.4×108Pa(60℃)、8.2×
107Pa(80℃)、1.3×107Pa(100
℃)、4.7×106Pa(120℃)であり、かかる
皮膜を4時間沸騰水浸せきして23℃で24時間放置後
の各温度での貯蔵弾性率E'2は、3.8×108Pa
(60℃)、2.7×107Pa(80℃)、6.4×
106Pa(100℃)、3.0×106Pa(120
℃)であった。これらの測定値より、それぞれの温度に
おけるE'2/E'1の値を算出すると、0.59(60
℃)、0.33(80℃)、0.49(100℃)、
0.64(120℃)であった。
00のポリ酢酸ビニルを用い、かつ水酸化ナトリウム水
溶液の仕込量を4.0部とし、かつケン化時間を2.7
時間とした以外は同様に行って、ケン化度95.6モル
%(残酢酸基4.4モル%)のPVAを得て、次いでジ
ケテンの滴下量を46部とした以外は同様にAA化PV
Aの製造を行って、AA化PVAを得た。得られたAA
化PVAのブロックキャラクター[η]は0.59で、
アセト酢酸エステル基の含有量[AA]は6.7モル%
で、酢酸基の含有量[AC]は4.4モル%であり
〔[AA]/{[AA]+[AC]}=6.7/(6.
7+4.4)=0.60〕、水酸基の含有量は88.9
モル%であった。
として用いて、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂
エマルジョン(固形分39.7%、粘度88Pa・se
c(25℃)を製造して、同様に評価を行った。また、
得られたエマルジョンから皮膜を作製して、実施例1と
同様に貯蔵弾性率を測定したところ、各温度での貯蔵弾
性率E'1は、6.9×108Pa(60℃)、7.3×
107Pa(80℃)、1.2×107Pa(100
℃)、5.9×106Pa(120℃)であり、かかる
皮膜を4時間沸騰水浸せきして23℃で24時間放置後
の各温度での貯蔵弾性率E'2は、4.6×108Pa
(60℃)、2.7×107Pa(80℃)、7.3×
106Pa(100℃)、4.2×106Pa(120
℃)であった。これらの測定値より、それぞれの温度に
おけるE'2/E'1の値を算出すると、0.67(60
℃)、0.37(80℃)、0.61(100℃)、
0.72(120℃)であった。
00のポリ酢酸ビニルを用い、かつケン化時間を1.0
時間とした以外は同様に行って、ケン化度88.3モル
%(残酢酸基11.7モル%)のPVAを得て、次いで
ジケテンの滴下量を48部とした以外は同様にAA化P
VAの製造を行って、AA化PVAを得た。得られたA
A化PVAのブロックキャラクター[η]は0.39
で、アセト酢酸エステル基の含有量[AA]は0.3モ
ル%で、酢酸基の含有量[AC]は11.7%であり
〔[AA]/{[AA]+[AC]}=0.3/(0.
3+11.7)=0.03〕、水酸基の含有量は88モ
ル%であった。
として用いて、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂
エマルジョン(固形分39.9%、粘度43Pa・se
c(25℃)を製造して、同様に評価を行った。また、
得られたエマルジョンから皮膜を作製して、実施例1と
同様に貯蔵弾性率を測定したところ、各温度での貯蔵弾
性率E'1は、7.0×108Pa(60℃)、7.3×
107Pa(80℃)、1.5×107Pa(100
℃)、5.3×106Pa(120℃)であり、かかる
皮膜を4時間沸騰水浸せきして23℃で24時間放置後
の各温度での貯蔵弾性率E'2は、4.1×108Pa
(60℃)、2.0×107Pa(80℃)、6.6×
106Pa(100℃)、3.4×106Pa(120
℃)であった。これらの測定値より、それぞれの温度に
おけるE'2/E'1の値を算出すると、0.58(60
℃)、0.27(80℃)、0.44(100℃)、
0.64(120℃)であった。
00のポリ酢酸ビニルを用い、かつ水酸化ナトリウム水
溶液の仕込量を2.5部とし、かつケン化時間を2.7
時間とした以外は同様に行って、ケン化度86.2モル
%(残酢酸基13.8モル%)のPVAを得て、次いで
ジケテンの滴下量を3部とした以外は同様にAA化PV
Aの製造を行って、AA化PVAを得た。得られたAA
化PVAのブロックキャラクター[η]は0.39で、
アセト酢酸エステル基の含有量[AA]は0.4モル%
で、酢酸基の含有量[AC]は15.8%であり〔[A
A]/{[AA]+[AC]}=0.4/(0.4+1
3.8)=0.03〕、水酸基の含有量は85.8モル
%であった。
として用いて、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂
エマルジョン(固形分39.8%、粘度63Pa・se
c(25℃)を製造して、同様に評価を行った。また、
得られたエマルジョンから皮膜を作製して、実施例1と
同様に貯蔵弾性率を測定したところ、各温度での貯蔵弾
性率E'1は、6.3×108Pa(60℃)、6.9×
107Pa(80℃)、1.3×107Pa(100
℃)、4.7×106Pa(120℃)であり、かかる
皮膜を4時間沸騰水浸せきして23℃で24時間放置後
の各温度での貯蔵弾性率E'2は、3.5×108Pa
(60℃)、2.4×107Pa(80℃)、6.6×
106Pa(100℃)、2.8×106Pa(120
℃)であった。これらの測定値より、それぞれの温度に
おけるE'2/E'1の値を算出すると、0.56(60
℃)、0.35(80℃)、0.51(100℃)、
0.59(120℃)であった。
0のポリ酢酸ビニルを用い、かつ水酸化ナトリウム水溶
液の仕込量を3.0部とし、かつケン化時間を1.4時
間とした以外は同様に行って、ケン化度92.3モル%
(残酢酸基7.7モル%)のPVAを得て、次いでジケ
テンの滴下量を53部とした以外は同様にAA化PVA
の製造を行って、AA化PVAを得た。得られたAA化
PVAのブロックキャラクター[η]は0.58で、酸
エステル基の含有量[AA]は7.2モル%で、酢酸基
の含有量[AC]は7.7%であり〔[AA]/{[A
A]+[AC]}=7.2/(7.2+7.7)=0.
48〕、水酸基の含有量は85.1モル%であった。
として用いて、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂
エマルジョン(固形分39.8%、粘度39Pa・se
c(25℃)を製造して、同様に評価を行った。また、
得られたエマルジョンから皮膜を作製して、実施例1と
同様に貯蔵弾性率を測定したところ、各温度での貯蔵弾
性率E'1は、6.4×108Pa(60℃)、7.0×
107Pa(80℃)、1.2×107Pa(100
℃)、4.8×106Pa(120℃)であり、かかる
皮膜を4時間沸騰水浸せきして23℃で24時間放置後
の各温度での貯蔵弾性率E'2は、4.5×108Pa
(60℃)、2.7×107Pa(80℃)、9.4×
106Pa(100℃)、3.8×106Pa(120
℃)であった。これらの測定値より、それぞれの温度に
おけるE'2/E'1の値を算出すると、0.70(60
℃)、0.38(80℃)、0.78(100℃)、
0.79(120℃)であった。
(平均重合度1000)のメタノール溶液(樹脂分48
%に調整)100部を還流冷却器を備えたニーダーに仕
込んで、還流を起こすまで昇温した。還流が始まった時
点で、触媒として硫酸0.6部を仕込んでケン化を15
時間行った。その後水酸化ナトリウムで中和してケン化
反応を停止させた後、メタノールで繰り返し洗浄を行
い、次いで乾燥を行って、ケン化度91.1モル%(残
酢酸基8.9モル%)のPVAを得た。上記で得られた
PVAを用いて、実施例1と同様にAA化PVAの製造
を行って、ブロックキャラクター[η]が0.68のA
A化PVAを得た。
として用いて、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂
エマルジョン(固形分39.6%、粘度2.6Pa・s
ec(25℃))を製造して、同様に評価を行った。ま
た、得られたエマルジョンから皮膜を作製して、実施例
1と同様に貯蔵弾性率を測定したところ、各温度での貯
蔵弾性率E'1は、6.0×108Pa(60℃)、5.
8×107Pa(80℃)、9.3×107Pa(100
℃)、3.7×106Pa(120℃)であり、かかる
皮膜を4時間沸騰水浸せきして23℃で24時間放置後
の各温度での貯蔵弾性率E'2は、3.0×108Pa
(60℃)、1.0×107Pa(80℃)、2.0×
106Pa(100℃)、8.5×106Pa(120
℃)であった。これらの測定値より、それぞれの温度に
おけるE'2/E'1の値を算出すると、0.50(60
℃)、0.18(80℃)、0.21(100℃)、
0.23(120℃)であった。
000のポリ酢酸ビニルを用い、かつケン化時間を16
時間とした以外は同様に行って、ケン化度91.0モル
%(残酢酸基9.0モル%)のPVAを得て、同様にA
A化PVAの製造を行って、ブロックキャラクター
[η]が0.51のAA化PVAを得て、乳化用分散安
定剤として用いて、実施例1と同様にして、酢酸ビニル
樹脂エマルジョン(固形分39.3%、粘度354Pa
・sec(25℃))を製造して、同様に評価を行っ
た。
時に平均重合度300のポリ酢酸ビニルを用いた以外は
同様に行って、ブロックキャラクター[η]が0.51
のAA化PVAを得て、乳化用分散安定剤として用い
て、実施例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂エマルジョ
ンの製造を試みたが、製造中にエマルジョン粒子が凝集
して、粘度が上昇して流動性のあるエマルジョンが得ら
れず、評価もできなかった。実施例及び比較例の評価結
果を表1に示す。
A化PVAを用いているため、かかるPVAを乳化用分
散安定剤として用いた場合には、流動性等の性状に優
れ、かつ低温安定性、放置安定性、耐水接着性等に優れ
たビニル樹脂系のエマルジョンを得ることができ、かか
るエマルジョンを接着剤用途に用いたときには、一液タ
イプで、二液タイプ(主剤+架橋剤)と同等以上の(耐
水)接着力を得ることができ大変有用である。
14)
Aの製造法について説明する。本発明に用いられるAA
化PVAは、後述するようにPVAにジケテンを反応さ
せたり、PVAとアセト酢酸エステルを反応させてエス
テル交換したりして、PVAにアセト酢酸エステル基を
導入させたもので、かかるPVAとしては、一般的には
ポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸な
どのケン化触媒によってケン化したケン化物又はその誘
導体が用いられ、更には酢酸ビニルと共重合性を有する
単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物等を用いる
こともでき、該単量体としては、例えばエチレン、プロ
ピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、
α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、
イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ
又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタク
リルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリル
スルホン酸、メタリルスルホン酸等のオレフィンスルホ
ン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−
アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチ
ルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニ
ルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテ
ル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなど
のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリ
オキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロ
ピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン
(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)ア
クリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル
アミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミ
ド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド
−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエ
チレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシ
プロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルア
ミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられ
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 ブロックキャラクター[η]が0.6以
下で、かつ平均重合度が500〜1500であるアセト
酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂からな
ることを特徴とする乳化用分散安定剤。 - 【請求項2】 アセト酢酸エステル基の含有量が0.5
〜5モル%であることを特徴とする請求項1記載の乳化
用分散安定剤。 - 【請求項3】 水酸基の含有量が85モル%以上である
ことを特徴とする請求項1または2記載の乳化用分散安
定剤。 - 【請求項4】 下記(1)式を満足することを特徴とす
る請求項1〜3いずれか記載の乳化用分散安定剤。 【数1】 0.20≦[AA]/{[AA]+[AC]}≦0.45 ・・・ (1) (但し、[AA]はアセト酢酸エステル基の含有量(モ
ル%)、[AC]は酢酸基の含有量(モル%)をそれぞ
れ表す) - 【請求項5】 請求項1〜4いずれか記載の乳化用分散
安定剤を用いたことを特徴とするビニル樹脂系エマルジ
ョン。 - 【請求項6】 得られる皮膜の貯蔵弾性率が60〜12
0℃の範囲において、下記(2)式を満足することを特
徴とする請求項5記載のビニル樹脂系エマルジョン。 【数2】E'2/E'1>0.25 ・・・ (2) (但し、E'1は得られる皮膜の沸騰水浸せき前の貯蔵
弾性率(Pa)、E'2は得られた皮膜を4時間沸騰水浸
せきして23℃で24時間放置後の貯蔵弾性率(Pa)を
それぞれ表し、貯蔵弾性率の値はE'1及びE'2共に同
温度での値とする)
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- 1998-12-16 JP JP35730098A patent/JP4245213B2/ja not_active Expired - Fee Related
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