JP2000169215A - 誘電体磁器組成物 - Google Patents
誘電体磁器組成物Info
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- JP2000169215A JP2000169215A JP10339361A JP33936198A JP2000169215A JP 2000169215 A JP2000169215 A JP 2000169215A JP 10339361 A JP10339361 A JP 10339361A JP 33936198 A JP33936198 A JP 33936198A JP 2000169215 A JP2000169215 A JP 2000169215A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】静電容量の温度係数が負の値を有し、所望の値
に任意に変化でき、且つ高い抗折強度を有する磁器組成
物を提供する。 【解決手段】Ａｌ2 Ｏ3 、ＢａＯ、Ｖ2 Ｏ5 を主成分と
し、各成分比による組成比が、図１の３元組成図におけ
る点Ａ−Ｂ−Ｃ−Ｄ−Ｅ−Ｆ−Ａを結ぶ線分で囲まれる
範囲内にあり、結晶相として、少なくともタングステン
ブロンズ構造のＢａ6 ＡｌＶ9 Ｏ30を析出させて、−４
０℃〜８０℃における静電容量の温度係数が０〜−２７
００ｐｐｍ／℃で任意に制御することができ、且つ抗折
強度が１８０ＭＰａ以上の磁器を得る。
に任意に変化でき、且つ高い抗折強度を有する磁器組成
物を提供する。 【解決手段】Ａｌ2 Ｏ3 、ＢａＯ、Ｖ2 Ｏ5 を主成分と
し、各成分比による組成比が、図１の３元組成図におけ
る点Ａ−Ｂ−Ｃ−Ｄ−Ｅ−Ｆ−Ａを結ぶ線分で囲まれる
範囲内にあり、結晶相として、少なくともタングステン
ブロンズ構造のＢａ6 ＡｌＶ9 Ｏ30を析出させて、−４
０℃〜８０℃における静電容量の温度係数が０〜−２７
００ｐｐｍ／℃で任意に制御することができ、且つ抗折
強度が１８０ＭＰａ以上の磁器を得る。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波コンデ
ンサとして、あるいは高周波レゾネータの温度補償用負
荷容量などに適したコンデンサ材料として好適に利用さ
れる誘電体磁器組成物に関する。
ンサとして、あるいは高周波レゾネータの温度補償用負
荷容量などに適したコンデンサ材料として好適に利用さ
れる誘電体磁器組成物に関する。
【０００２】
【従来技術】近年、マルチメディアによるコンピュータ
及び周辺機器の家庭への普及、また、通信機器の小型化
による携帯電話、ＰＨＳの一般家庭への普及により、マ
イクロコンピュータや携帯用コンピュータおよび周辺機
器へ組み込む発振子の需要が高まってきている。また、
これらのコンピュータや携帯電話は小型軽量化され、モ
バイルパソコンや携帯型情報機器端末として普及してい
る。
及び周辺機器の家庭への普及、また、通信機器の小型化
による携帯電話、ＰＨＳの一般家庭への普及により、マ
イクロコンピュータや携帯用コンピュータおよび周辺機
器へ組み込む発振子の需要が高まってきている。また、
これらのコンピュータや携帯電話は小型軽量化され、モ
バイルパソコンや携帯型情報機器端末として普及してい
る。
【０００３】また、近年カード社会における技術発展に
より、カードにＩＣ等の電子部品を組み込んだＩＣカー
ドが開発され、普及しつつある。しかし、携帯機器は落
下の危険性が、また、ＩＣカードの場合、カードのたわ
みからカードに搭載された電子部品に対して高い強度が
要求される。
より、カードにＩＣ等の電子部品を組み込んだＩＣカー
ドが開発され、普及しつつある。しかし、携帯機器は落
下の危険性が、また、ＩＣカードの場合、カードのたわ
みからカードに搭載された電子部品に対して高い強度が
要求される。
【０００４】また、小型軽量化および電池駆動による低
電圧作動による駆動時間の延長のため、部品点数の低減
が行われている。このため、発振子は１個で複数のＩＣ
に信号を送る設計が行われている。ＩＣ間の誤作動を起
こさせないために、発振周波数温度特性ができるだけ小
さいことが求められる。そこで、発振子に組み込む負荷
容量の静電容量温度特性を発振子の発振周波数温度特性
に応じて調整することにより発振子全体の発振周波数の
温度特性を小さくすることが考えられる。
電圧作動による駆動時間の延長のため、部品点数の低減
が行われている。このため、発振子は１個で複数のＩＣ
に信号を送る設計が行われている。ＩＣ間の誤作動を起
こさせないために、発振周波数温度特性ができるだけ小
さいことが求められる。そこで、発振子に組み込む負荷
容量の静電容量温度特性を発振子の発振周波数温度特性
に応じて調整することにより発振子全体の発振周波数の
温度特性を小さくすることが考えられる。
【０００５】例えば、発振子の発振周波数の温度特性を
負荷容量での静電容量温度特性で補正しようとする場
合、発振周波数の温度係数が負の場合、静電容量の温度
係数が負の物質を組み合わせることによって補正でき
る。逆に、発振周波数の温度係数が正の場合は、静電容
量の温度係数が正の物質を組み合わせることによって補
正できる。
負荷容量での静電容量温度特性で補正しようとする場
合、発振周波数の温度係数が負の場合、静電容量の温度
係数が負の物質を組み合わせることによって補正でき
る。逆に、発振周波数の温度係数が正の場合は、静電容
量の温度係数が正の物質を組み合わせることによって補
正できる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】従来からコンデンサ材
料として知られるペロブスカイト系材料（ＰｂＺｒＴｉ
Ｏ3 系、リラクサ系、ＢａＴｉＯ3 系等）では、静電容
量の温度係数が正あるいは負の材料が知られているが、
それらはいずれも抗折強度がせいぜい１００ＭＰａ程度
と低く、機械的特性が不十分であるために、ＩＣカード
等に適用した場合、前述したような落下による衝撃や、
ＩＣカードのたわみに対する応力で破壊してしまうもの
であった。
料として知られるペロブスカイト系材料（ＰｂＺｒＴｉ
Ｏ3 系、リラクサ系、ＢａＴｉＯ3 系等）では、静電容
量の温度係数が正あるいは負の材料が知られているが、
それらはいずれも抗折強度がせいぜい１００ＭＰａ程度
と低く、機械的特性が不十分であるために、ＩＣカード
等に適用した場合、前述したような落下による衝撃や、
ＩＣカードのたわみに対する応力で破壊してしまうもの
であった。
【０００７】これに対して、従来より高強度セラミック
スとして知られるアルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウ
ム、ムライト、スピネル等のセラミックスは、静電容量
の温度係数が正の物質であるために、発振周波数の温度
係数が正の場合の補償用物質として利用できるものの、
発振周波数の温度係数が負の場合の補償用物質として利
用できず、静電容量の温度係数が負の発振子と組み合わ
せる負荷容量用の高強度の材料がないのが現状であっ
た。
スとして知られるアルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウ
ム、ムライト、スピネル等のセラミックスは、静電容量
の温度係数が正の物質であるために、発振周波数の温度
係数が正の場合の補償用物質として利用できるものの、
発振周波数の温度係数が負の場合の補償用物質として利
用できず、静電容量の温度係数が負の発振子と組み合わ
せる負荷容量用の高強度の材料がないのが現状であっ
た。
【０００８】しかも、上記高強度セラミックスは、静電
容量温度係数が正であり、それを変化させることができ
ないため、発振周波数の温度特性に応じて静電容量の温
度係数を所望の値に変えることができず、温度補償用の
負荷容量材料として使用できないものであった。
容量温度係数が正であり、それを変化させることができ
ないため、発振周波数の温度特性に応じて静電容量の温
度係数を所望の値に変えることができず、温度補償用の
負荷容量材料として使用できないものであった。
【０００９】従って、本発明は、静電容量の温度係数が
負の値を有し、所望の値に任意に変化でき、且つ高い抗
折強度を有する磁器組成物を提供することを目的とする
ものである。
負の値を有し、所望の値に任意に変化でき、且つ高い抗
折強度を有する磁器組成物を提供することを目的とする
ものである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高い抗折強
度を持ち、且つ静電容量の温度係数が負の値であり、所
望の静電容量の温度特性に制御できる材料として、アル
ミナセラミックスをベースに鋭意研究した結果、アルミ
ナにＢａＯ、Ｖ2 Ｏ5 を所定の割合で含有せしめ、磁器
中の結晶相として少なくともタングステンブロンズ構造
の結晶を含む磁器組成物によって上記目的が達成できる
ことを見い出し、本発明に至った。
度を持ち、且つ静電容量の温度係数が負の値であり、所
望の静電容量の温度特性に制御できる材料として、アル
ミナセラミックスをベースに鋭意研究した結果、アルミ
ナにＢａＯ、Ｖ2 Ｏ5 を所定の割合で含有せしめ、磁器
中の結晶相として少なくともタングステンブロンズ構造
の結晶を含む磁器組成物によって上記目的が達成できる
ことを見い出し、本発明に至った。
【００１１】即ち、本発明の誘電体磁器組成物は、Ａｌ
2 Ｏ3 、ＢａＯ及びＶ2 Ｏ5 を主成分とし、各成分のモ
ル比による組成比が、図１のＡｌ2 Ｏ3 −ＢａＯ−Ｖ2
Ｏ5３元組成図における下記点 Ａｌ2 Ｏ3 ＢａＯ Ｖ2 Ｏ5 点Ａ ９５．０ ２．５ ２．５ 点Ｂ ８１．５ １６．０ ２．５ 点Ｃ ５０．０ ４０．０ １０．０ 点Ｄ ０．５ ７３．０ ２６．５ 点Ｅ ０．５ ４４．５ ５５．０ 点Ｆ ５０．０ ２．０ ４８．０ の点Ａ−Ｂ−Ｃ−Ｄ−Ｅ−Ｆ−Ａを結ぶ線分で囲まれる
範囲内にあり、結晶相として、少なくともタングステン
ブロンズ構造の結晶を含み、静電容量の−４０℃〜８０
℃における温度係数が０〜−２７００ｐｐｍ／℃である
ことを特徴とするものである。
2 Ｏ3 、ＢａＯ及びＶ2 Ｏ5 を主成分とし、各成分のモ
ル比による組成比が、図１のＡｌ2 Ｏ3 −ＢａＯ−Ｖ2
Ｏ5３元組成図における下記点 Ａｌ2 Ｏ3 ＢａＯ Ｖ2 Ｏ5 点Ａ ９５．０ ２．５ ２．５ 点Ｂ ８１．５ １６．０ ２．５ 点Ｃ ５０．０ ４０．０ １０．０ 点Ｄ ０．５ ７３．０ ２６．５ 点Ｅ ０．５ ４４．５ ５５．０ 点Ｆ ５０．０ ２．０ ４８．０ の点Ａ−Ｂ−Ｃ−Ｄ−Ｅ−Ｆ−Ａを結ぶ線分で囲まれる
範囲内にあり、結晶相として、少なくともタングステン
ブロンズ構造の結晶を含み、静電容量の−４０℃〜８０
℃における温度係数が０〜−２７００ｐｐｍ／℃である
ことを特徴とするものである。
【００１２】
【発明の実施の形態】本発明によれば、Ａｌ2 Ｏ3 に対
してＢａＯ及びＶ2 Ｏ5 を複合化し、結晶相として、少
なくともＢａ6 ＡｌＶ9 Ｏ30、あるいはその固溶体で表
されるようなタングステンブロンズ構造を持つ結晶相を
生成させることにより静電容量の温度係数を負側に移行
させることができる。
してＢａＯ及びＶ2 Ｏ5 を複合化し、結晶相として、少
なくともＢａ6 ＡｌＶ9 Ｏ30、あるいはその固溶体で表
されるようなタングステンブロンズ構造を持つ結晶相を
生成させることにより静電容量の温度係数を負側に移行
させることができる。
【００１３】上記のような特定の結晶相を析出させると
ともに、静電容量の温度係数を負側に移行させるために
は、Ａｌ2 Ｏ3 、ＢａＯ及びＶ2 Ｏ5 を特定の範囲に調
整することが必要である。詳細には、Ａｌ2 Ｏ3 、Ｂａ
Ｏ及びＶ2 Ｏ5 を図１のＡｌ2 Ｏ3 −ＢａＯ−Ｖ2 Ｏ5
３元組成図における下記の組成点 Ａｌ2 Ｏ3 ＢａＯ Ｖ2 Ｏ5 点Ａ ９５．０ ２．５ ２．５ 点Ｂ ８１．５ １６．０ ２．５ 点Ｃ ５０．０ ４０．０ １０．０ 点Ｄ ０．５ ７３．０ ２６．５ 点Ｅ ０．５ ４４．５ ５５．０ 点Ｆ ５０．０ ２．０ ４８．０ における点Ａ−Ｂ−Ｃ−Ｄ−Ｅ−Ｆ−Ａを結ぶ線分で囲
まれる範囲内に制御することが必要である。
ともに、静電容量の温度係数を負側に移行させるために
は、Ａｌ2 Ｏ3 、ＢａＯ及びＶ2 Ｏ5 を特定の範囲に調
整することが必要である。詳細には、Ａｌ2 Ｏ3 、Ｂａ
Ｏ及びＶ2 Ｏ5 を図１のＡｌ2 Ｏ3 −ＢａＯ−Ｖ2 Ｏ5
３元組成図における下記の組成点 Ａｌ2 Ｏ3 ＢａＯ Ｖ2 Ｏ5 点Ａ ９５．０ ２．５ ２．５ 点Ｂ ８１．５ １６．０ ２．５ 点Ｃ ５０．０ ４０．０ １０．０ 点Ｄ ０．５ ７３．０ ２６．５ 点Ｅ ０．５ ４４．５ ５５．０ 点Ｆ ５０．０ ２．０ ４８．０ における点Ａ−Ｂ−Ｃ−Ｄ−Ｅ−Ｆ−Ａを結ぶ線分で囲
まれる範囲内に制御することが必要である。
【００１４】組成および結晶相を上記のように制御する
ことによって、−４０℃〜８０℃における静電容量の温
度係数を０ｐｐｍ／℃〜−２７００ｐｐｍ／℃の範囲で
変化させることができるとともに、ＪＩＳＲ１６０１に
基づく４点曲げ強度においても１８０ＭＰａ以上の高強
度を維持することができ、これにより、携帯機器の電子
部品にも使用可能な優れた温度特性と抗折強度を両立さ
せることが可能となる。
ことによって、−４０℃〜８０℃における静電容量の温
度係数を０ｐｐｍ／℃〜−２７００ｐｐｍ／℃の範囲で
変化させることができるとともに、ＪＩＳＲ１６０１に
基づく４点曲げ強度においても１８０ＭＰａ以上の高強
度を維持することができ、これにより、携帯機器の電子
部品にも使用可能な優れた温度特性と抗折強度を両立さ
せることが可能となる。
【００１５】なお、上記組成においてＡｌ2 Ｏ3 量が上
記組成範囲よりも多いか、または少ないといずれも静電
容量の温度係数が０ｐｐｍ／℃より大きくなり正側へ移
行する。また、Ａｌ2 Ｏ3 含有量が範囲内であっても、
ＢａＯ量およびＶ2 Ｏ5 量が上記組成範囲を逸脱する
と、ＢａＯ・６Ａｌ2 Ｏ3 やＡｌＶＯ4 などの他の結晶
相が多量に析出し静電容量の温度係数が正側に移行して
しまう。
記組成範囲よりも多いか、または少ないといずれも静電
容量の温度係数が０ｐｐｍ／℃より大きくなり正側へ移
行する。また、Ａｌ2 Ｏ3 含有量が範囲内であっても、
ＢａＯ量およびＶ2 Ｏ5 量が上記組成範囲を逸脱する
と、ＢａＯ・６Ａｌ2 Ｏ3 やＡｌＶＯ4 などの他の結晶
相が多量に析出し静電容量の温度係数が正側に移行して
しまう。
【００１６】特に、本発明の誘電体磁器組成物は、 における点Ａ−Ｇ−Ｈ−Ｉ−Ｊ−Ａで囲まれた範囲内に
制御することによりさらに抗折強度を２２０ＭＰａ以上
に高めることができる。
制御することによりさらに抗折強度を２２０ＭＰａ以上
に高めることができる。
【００１７】本発明の誘電体磁器組成物によって磁器を
作製するには、Ａｌ2 Ｏ3 、ＢａＯおよびＶ2 Ｏ5 の各
酸化物粉末あるいは焼成により前記酸化物を形成し得る
炭酸塩、硝酸塩などの金属塩を用いて上記の組成範囲に
なるように秤量混合する。
作製するには、Ａｌ2 Ｏ3 、ＢａＯおよびＶ2 Ｏ5 の各
酸化物粉末あるいは焼成により前記酸化物を形成し得る
炭酸塩、硝酸塩などの金属塩を用いて上記の組成範囲に
なるように秤量混合する。
【００１８】その後、この混合物を所望の成形手段、例
えば、ドクターブレード法などのシート成形法、金型プ
レス法、冷間静水圧プレス法、押し出し成形法、圧延
法、等により任意の形状に成形する。そして、この成形
体を大気中等の酸化雰囲気中で１０５０℃〜１４５０℃
の温度で焼成することにより、相対密度９８％以上に緻
密化する。
えば、ドクターブレード法などのシート成形法、金型プ
レス法、冷間静水圧プレス法、押し出し成形法、圧延
法、等により任意の形状に成形する。そして、この成形
体を大気中等の酸化雰囲気中で１０５０℃〜１４５０℃
の温度で焼成することにより、相対密度９８％以上に緻
密化する。
【００１９】なお、本発明の誘電体磁器組成物において
は、上記Ａｌ2 Ｏ3 、ＢａＯ、Ｖ2Ｏ5 以外に、例えば
Ｍｇ、Ｓｉ、Ｆｅ、Ｃａ、Ｎａ、Ｇａなどの元素が不可
避不純物、あるいは製造工程中に混入する場合もある
が、これらの成分は、酸化物換算で全量中０．２重量％
以下であれば、とりわけ本発明の効果に影響を及ぼすこ
とはない。
は、上記Ａｌ2 Ｏ3 、ＢａＯ、Ｖ2Ｏ5 以外に、例えば
Ｍｇ、Ｓｉ、Ｆｅ、Ｃａ、Ｎａ、Ｇａなどの元素が不可
避不純物、あるいは製造工程中に混入する場合もある
が、これらの成分は、酸化物換算で全量中０．２重量％
以下であれば、とりわけ本発明の効果に影響を及ぼすこ
とはない。
【００２０】また、本発明の誘電体磁器組成物によって
得られる磁器は、発振子における温度補償用の負荷容量
部材として好適に使用できる。そこで、発振子の概略図
を図２に示した。図２の発振子１によれば、共振子２の
一方の端面に、共振子２に対する負荷容量を賦与するた
めに、負荷容量部材３が一体的に設けられている。かか
る構造の発振子１における発振周波数の温度係数は、共
振子２と組み合わせる負荷容量部材３の静電容量の温度
係数によって変化する。
得られる磁器は、発振子における温度補償用の負荷容量
部材として好適に使用できる。そこで、発振子の概略図
を図２に示した。図２の発振子１によれば、共振子２の
一方の端面に、共振子２に対する負荷容量を賦与するた
めに、負荷容量部材３が一体的に設けられている。かか
る構造の発振子１における発振周波数の温度係数は、共
振子２と組み合わせる負荷容量部材３の静電容量の温度
係数によって変化する。
【００２１】負荷容量部材３の静電容量温度係数が０ｐ
ｐｍ／℃のとき、発振子１の発振周波数の温度係数が負
の値を示す共振子２の場合、負荷容量部材３の静電容量
温度係数が負の値を持つものに変更すると、発振周波数
の温度係数は正の方向に変化する。このため、負の発振
周波数の温度係数を持つ共振子２に負の静電容量温度係
数を持つ負荷容量を組み合わせることにより、発振周波
数の温度係数を小さくすることができる。
ｐｍ／℃のとき、発振子１の発振周波数の温度係数が負
の値を示す共振子２の場合、負荷容量部材３の静電容量
温度係数が負の値を持つものに変更すると、発振周波数
の温度係数は正の方向に変化する。このため、負の発振
周波数の温度係数を持つ共振子２に負の静電容量温度係
数を持つ負荷容量を組み合わせることにより、発振周波
数の温度係数を小さくすることができる。
【００２２】本発明の誘電体磁器組成物は、−４０℃〜
８０℃における静電容量の温度係数を０ｐｐｍ／℃〜−
２７００ｐｐｍ／℃の範囲で任意に変化させることが可
能であるため、発振子における温度補償用の負荷容量部
材として好適に用いることができるのである。
８０℃における静電容量の温度係数を０ｐｐｍ／℃〜−
２７００ｐｐｍ／℃の範囲で任意に変化させることが可
能であるため、発振子における温度補償用の負荷容量部
材として好適に用いることができるのである。
【００２３】なお、本発明による誘電体磁器を発振子に
おける温度補償用の負荷容量部材として用いる場合にお
いて、好適に用いられる共振子としては、厚みすべり振
動モードの基本波を使用する共振子であり、ＰｂＴｉＯ
3 −ＰｂＺｒＯ3 系等の磁器からなる共振周波数の温度
係数が負の磁器が用いられる。
おける温度補償用の負荷容量部材として用いる場合にお
いて、好適に用いられる共振子としては、厚みすべり振
動モードの基本波を使用する共振子であり、ＰｂＴｉＯ
3 −ＰｂＺｒＯ3 系等の磁器からなる共振周波数の温度
係数が負の磁器が用いられる。
【００２４】
【実施例】純度９９．９％のＡｌ2 Ｏ3 粉末、ＢａＣＯ
3 粉末およびＶ2 Ｏ5 粉末を表１、表２の組成となるよ
うに秤量し、この混合粉末を純度９９．９％のアルミナ
ボール、イソプロピルアルコールと共に５００ｍｌポリ
ポットに投入し、２４時間回転ミルにて混合した。混合
後のスラリーを１２０℃大気中にて乾燥し、＃８０メッ
シュを通し評価粉末を得た。
3 粉末およびＶ2 Ｏ5 粉末を表１、表２の組成となるよ
うに秤量し、この混合粉末を純度９９．９％のアルミナ
ボール、イソプロピルアルコールと共に５００ｍｌポリ
ポットに投入し、２４時間回転ミルにて混合した。混合
後のスラリーを１２０℃大気中にて乾燥し、＃８０メッ
シュを通し評価粉末を得た。
【００２５】この粉末にバインダーとしてパラフィンワ
ックスを６重量％添加し、金型プレスにて１０００ｋｇ
／ｃｍ2 で直径２０ｍｍ、厚み２ｍｍに成形した。そし
て、成形体は大気中４００℃、２時間で脱脂した後、１
３００℃、３時間保持して相対密度９８％以上に焼成し
た。
ックスを６重量％添加し、金型プレスにて１０００ｋｇ
／ｃｍ2 で直径２０ｍｍ、厚み２ｍｍに成形した。そし
て、成形体は大気中４００℃、２時間で脱脂した後、１
３００℃、３時間保持して相対密度９８％以上に焼成し
た。
【００２６】得られた焼結体を直径１５ｍｍ、厚み１ｍ
ｍのペレットに研磨加工した。そして、測定周波数８Ｍ
Ｈｚ、−４０〜８０℃の範囲にて静電容量を測定し、温
度係数を表１、表２に記載した。また、波長λ＝１．５
４１８ÅのＣｕＫα線によるＸ線回折により磁器の結晶
相の同定を行なった。焼結体の抗折強度はＪＩＳＲ１６
０１による４点曲げ強度を測定した。
ｍのペレットに研磨加工した。そして、測定周波数８Ｍ
Ｈｚ、−４０〜８０℃の範囲にて静電容量を測定し、温
度係数を表１、表２に記載した。また、波長λ＝１．５
４１８ÅのＣｕＫα線によるＸ線回折により磁器の結晶
相の同定を行なった。焼結体の抗折強度はＪＩＳＲ１６
０１による４点曲げ強度を測定した。
【００２７】また、図３に示されるように、厚み０．５
ｍｍ、長さ６ｍｍの角形状の誘電体磁器４を８．５×
５．５×０．３ｍｍの大きさのプリント基板（ＦＲ４）
５表面に接着材によって張り付けによって実装し、プリ
ント基板５の端部のたわみ量が５ｍｍとなるまでたわま
せる操作を５回繰り返した後、磁器４におけるクラック
の有無を確認した。
ｍｍ、長さ６ｍｍの角形状の誘電体磁器４を８．５×
５．５×０．３ｍｍの大きさのプリント基板（ＦＲ４）
５表面に接着材によって張り付けによって実装し、プリ
ント基板５の端部のたわみ量が５ｍｍとなるまでたわま
せる操作を５回繰り返した後、磁器４におけるクラック
の有無を確認した。
【００２８】
【表１】
【００２９】
【表２】
【００３０】表１、表２の結果によれば、組成範囲が図
１の３元組成図の特定範囲から逸脱する試料は、いずれ
も静電容量の温度係数が正側になるか、または強度が１
８０ＭＰａよりも低いものであった。これに対して、本
発明における組成範囲の試料は、いずれも結晶相として
少なくともＢａ6 ＡｌＶ9 Ｏ30で示されるタングステン
ブロンズ構造の結晶相が析出しており、静電容量の温度
係数が−４０〜８０℃で０ｐｐｍ／℃〜−２７００ｐｐ
ｍ／℃、抗折強度１８０ＭＰａ以上の優れた特性を示
し、その結果、たわみ試験においても優れた耐久性を示
した。
１の３元組成図の特定範囲から逸脱する試料は、いずれ
も静電容量の温度係数が正側になるか、または強度が１
８０ＭＰａよりも低いものであった。これに対して、本
発明における組成範囲の試料は、いずれも結晶相として
少なくともＢａ6 ＡｌＶ9 Ｏ30で示されるタングステン
ブロンズ構造の結晶相が析出しており、静電容量の温度
係数が−４０〜８０℃で０ｐｐｍ／℃〜−２７００ｐｐ
ｍ／℃、抗折強度１８０ＭＰａ以上の優れた特性を示
し、その結果、たわみ試験においても優れた耐久性を示
した。
【００３１】とりわけ、図１の３元組成図において、線
分Ａ−Ｈ−Ｉ−Ｊ−Ａにより囲まれた範囲では、−４０
〜８０℃における静電容量の温度係数は０ｐｐｍ／℃〜
−２７００ｐｐｍ／℃の範囲に制御され、且つ抗折強度
が２２０ＭＰａ以上の優れた特性を示した。
分Ａ−Ｈ−Ｉ−Ｊ−Ａにより囲まれた範囲では、−４０
〜８０℃における静電容量の温度係数は０ｐｐｍ／℃〜
−２７００ｐｐｍ／℃の範囲に制御され、且つ抗折強度
が２２０ＭＰａ以上の優れた特性を示した。
【００３２】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の誘電体磁器
組成物は、Ａｌ2 Ｏ3 に対してＢａＯおよびＶ2 Ｏ5 を
所定の関係を満足するように含有せしめ、特定の結晶相
を析出されることにより、高い抗折強度と、静電容量の
温度係数を０〜−２７００ｐｐｍ／℃の範囲で任意に制
御することができる。これにより、発振子内の共振周波
数の温度係数に応じて、それを補正する負荷容量部材と
して使用することができ、発振子の温度特性の向上を図
ることができる。
組成物は、Ａｌ2 Ｏ3 に対してＢａＯおよびＶ2 Ｏ5 を
所定の関係を満足するように含有せしめ、特定の結晶相
を析出されることにより、高い抗折強度と、静電容量の
温度係数を０〜−２７００ｐｐｍ／℃の範囲で任意に制
御することができる。これにより、発振子内の共振周波
数の温度係数に応じて、それを補正する負荷容量部材と
して使用することができ、発振子の温度特性の向上を図
ることができる。
【図１】本発明の誘電体磁器組成物のＡｌ2 Ｏ3 、Ｂａ
Ｏ、Ｖ2 Ｏ5 の組成範囲を示す３元組成図である。
Ｏ、Ｖ2 Ｏ5 の組成範囲を示す３元組成図である。
【図２】本発明の誘電体磁器組成物を使用した発振子の
概略図である。
概略図である。
【図３】本発明の実施例におけるたわみ試験の概略図で
ある。
ある。
１ 発振子 ２ 共振子 ３ 負荷容量部材
Claims (1)
- 【請求項１】Ａｌ2 Ｏ3 、ＢａＯおよびＶ2 Ｏ5 を主成
分とし、各成分のモル比による組成比が、図１のＡｌ2
Ｏ3 −ＢａＯ−Ｖ2 Ｏ5 ３元組成図における下記点 Ａｌ2 Ｏ3 ＢａＯ Ｖ2 Ｏ5 点Ａ ９５．０ ２．５ ２．５ 点Ｂ ８１．５ １６．０ ２．５ 点Ｃ ５０．０ ４０．０ １０．０ 点Ｄ ０．５ ７３．０ ２６．５ 点Ｅ ０．５ ４４．５ ５５．０ 点Ｆ ５０．０ ２．０ ４８．０ の点Ａ−Ｂ−Ｃ−Ｄ−Ｅ−Ｆ−Ａを結ぶ線分で囲まれる
範囲内にあり、少なくともタングステンブロンズ構造の
結晶相を含み、静電容量の−４０℃〜８０℃における温
度係数が０〜−２７００ｐｐｍ／℃であることを特徴と
する誘電体磁器組成物。
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|---|---|---|---|
| JP33936198A JP3740299B2 (ja) | 1998-11-30 | 1998-11-30 | 誘電体磁器組成物 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP33936198A JP3740299B2 (ja) | 1998-11-30 | 1998-11-30 | 誘電体磁器組成物 |
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|---|---|---|---|
| JP33936198A Expired - Fee Related JP3740299B2 (ja) | 1998-11-30 | 1998-11-30 | 誘電体磁器組成物 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2018074290A1 (ja) | 2016-10-17 | 2018-04-26 | 昭栄化学工業株式会社 | 誘電体磁器組成物及びセラミック電子部品 |
| WO2019198419A1 (ja) | 2018-04-11 | 2019-10-17 | 昭栄化学工業株式会社 | 誘電体磁器組成物及びセラミック電子部品 |
| WO2019198418A1 (ja) | 2018-04-11 | 2019-10-17 | 昭栄化学工業株式会社 | 誘電体磁器組成物及びセラミック電子部品 |
-
1998
- 1998-11-30 JP JP33936198A patent/JP3740299B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| US11066332B2 (en) | 2016-10-17 | 2021-07-20 | Shoei Chemical Inc. | Dielectric ceramic composition and ceramic electronic component |
| WO2019198419A1 (ja) | 2018-04-11 | 2019-10-17 | 昭栄化学工業株式会社 | 誘電体磁器組成物及びセラミック電子部品 |
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| KR20200141465A (ko) | 2018-04-11 | 2020-12-18 | 쇼에이 가가쿠 가부시키가이샤 | 유전체 자기 조성물 및 세라믹 전자 부품 |
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