JP3151972B2 - 多層基板用磁器組成物及び多層基板 - Google Patents

多層基板用磁器組成物及び多層基板

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JP3151972B2 JP30306192A JP30306192A JP3151972B2 JP 3151972 B2 JP3151972 B2 JP 3151972B2 JP 30306192 A JP30306192 A JP 30306192A JP 30306192 A JP30306192 A JP 30306192A JP 3151972 B2 JP3151972 B2 JP 3151972B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多層基板用磁器組成物
び多層基板に関する。具体的にいうと、多層回路基板用
セラミック素材として用いられる多層基板用磁器組成物
に関する。
【0002】
【背景技術とその問題点】一般に電子機器の小型化に伴
い、電子回路を構成する各種電子部品を高密度で実装す
るために磁器基板が汎用されている。最近では、実装密
度をさらに高めるために、表面に導電材料のペーストで
回路パターンを形成した未完成の磁器シートを複数枚積
層し、これを焼結して一体化した多層(回路)基板が開
発されている。
【0003】従来、このような多層基板の材料として
は、アルミナ(Al23)が用いられていたが、アルミ
ナ多層基板では、以下のような問題があった。 アルミナの焼結温度が1500〜1600℃と高温
であるため、焼結時に多量のエネルギーが必要となり、
コスト高となる。 アルミナの焼結温度が高いため、多層基板内部の回
路パターンを形成するための導電材料には高温の焼結温
度に耐え得るタングステンやモリブデン等の高融点金属
を使用しなければならず、これらの金属はAg等に比べ
て比抵抗が大きいために回路パターンの電気抵抗が大き
くなる。 アルミナの熱膨張係数は多層基板に搭載されるシリ
コンチップ等のICチップよりも大きいため、環境温度
によってはアルミナ多層基板とシリコンチップ等の間に
サーマルストレスが発生し、ICチップにクラックが生
じる。 アルミナは誘電率が大きいため、内部回路パターン
を伝播する信号の遅延時間が大きくなる。
【0004】これらのアルミナ多層基板の抱えている問
題を解決するため、焼結温度が低く、熱膨張係数及び誘
電率が小さく、しかも比抵抗が大きな多層基板用磁器組
成物として、コージェライト−B23−SiO2系セラ
ミック材料が提供されている。
【0005】一方、数10MHz〜マイクロ波帯を使用
したLSI搭載用のLCR回路内蔵型多層基板(回路パ
ターンによってインダクタやキャパシタ、抵抗を形成し
た多層基板)の必要性が強まっている。この多層基板の
特性としては、前記コージェライト−B23−SiO2
系セラミック材料の特性に加え、内部回路パターンによ
って形成されているキャパシタの静電容量の温度変化率
が低く、例えば±30ppm/℃以下であることが必要と
される。
【0006】しかしながら、上記コージェライト−B2
3−SiO2系セラミック材料を用いた多層基板の場合
には、内部に形成されたキャパシタの静電容量の温度変
化率が90ppm/℃以上と大きく、高周波対応のLCR
内蔵型多層基板に応用するには制限があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は叙上の従来例
の欠点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、比較的低温で焼結可能で、熱膨張係数及び誘電
率が小さく、しかも、内部回路パターンによって形成さ
れたキャパシタの静電容量の温度変化率を容易に制御す
ることができる多層基板用磁器組成物及び多層基板を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の多層基板
用磁器組成物は、コージェライトとBとSiO
とからなる主成分材料に、該主成分材料100重量部に
対して15〜20重量部のTiOを添加したことを特
徴としている。
【0009】本発明の第2の多層基板用磁器組成物は、
コージェライトとB とSiO とからなる主成分
材料に、該主成分材料100重量部に対して20重量部
以下のTiO を添加し、さらに該主成分材料にBaO
とTiO とNdO 3/2 を主成分とする磁器組成添加
物を添加したこと特徴としている。
【0010】本発明の多層基板は、コージェライトとB
とSiO とからなる主成分材料に、該主成分材
料100重量部に対して15〜20重量部のTiO
添加した磁器組成物からなることを特徴としている。
【0011】
【作用】本発明の多層基板用磁器組成物はコージェライ
トとBとSiOを主成分材料としているので、
アルミナよりもかなり低い温度で焼結することができ
る。このため基板内部の回路パターンをタングステンや
モリブデンのような高融点金属以外の比抵抗の小さなA
g系等の導電材料によって形成することができる。さら
に、誘電率もアルミナに比べて小さいので、回路パター
ンを伝播する信号の遅延時間が小さくなる。
【0012】また、コージェライト−B −SiO
系主成分材料100重量部に対するTiO の添加含
有量が15重量部を超えると、熱膨張係数がシリコンの
熱膨張係数(3.6)に極めて近い値となり、基板に搭
載されるシリコンチップ等のICチップとの熱膨張係数
の差が小さくなる。さらに、コージェライト−B
−SiO 系主成分材料100重量部に対するTiO
の添加含有量が15重量部を超えると、静電容量の温度
変化率もきわめて小さくなり、温度変化に対しても特性
の安定したものとなる。よって、回路パターンによって
内部にキャパシタが形成された多層基板における当該キ
ャパシタの静電容量の温度変化率を小さくでき、さら
に、TiOの添加含有量を調整することにより静電容
量の温度変化率を適当な値になるように制御することが
できた。従って、例えば高周波帯域用のLCR内蔵型多
層基板用としても好適な磁器組成物を得ることができ
た。
【0013】なお、コージェライト−B23−SiO2
系主成分材料100重量部に対するTiO2の添加含有
量が20重量部を超過すると、多層基板用磁器組成物の
比抵抗が小さくなり、誘電率も高くなった。
【0014】さらに、TiO2とともに、BaOとTi
2とNdO3/2を主成分とする磁器組成添加物をコージ
ェライト−B23−SiO2系主成分材料に添加すれ
ば、内部に形成されたキャパシタの静電容量の温度変化
率をより高度に制御することができる。すなわち、静電
容量の2次の温度変化率も小さく抑えることができ、T
iO2添加後の多層基板用磁器組成物における静電容量
の温度変化のリニアリティを改善することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。本
発明の多層基板用磁器組成物は、コージェライト−B2
3−SiO2系主成分材料に副成分としてTiO2等を
添加したものである。
【0016】図1に示すものは、本発明に係る多層基板
用磁器組成物の主成分材料となるコージェライト−B2
3−SiO2系セラミック材料の組成範囲を表わした組
成図である。多層基板用磁器組成物としては、一般に、
図1の斜線を施した領域の範囲内、すなわち、コージェ
ライトが40〜85重量%、B23が10〜40重量
%、SiO2が5〜50重量%の範囲内にあるコージェ
ライト−B23−SiO2系セラミック材料が用いられ
ており、本発明における主成分材料としても図1の斜線
領域内にあるコージェライト−B23−SiO2系セラ
ミック材料を用いる。
【0017】ここで、コージェライトとは、E.N.レ
ビンほか(E.N.Levin et al.)による「セラミックのフ
ェーズダイアグラムズ(Phase Diagrams for Cerami
c)」〔The American Ceramic Society, Columbus, 196
4年発行〕の246ページのFig.712に示されてい
る組成範囲によって構成されたものである。具体的にい
うと、コージェライトとは、図3に示すように、MgO
とAl23とSiO2とからなる3元化合物であり、図
3中の斜線を施した領域の組成範囲内にあるものであ
る。例えば、コージェライト組成の一例としては2Mg
O・2Al23・5SiO2がある。
【0018】本発明の多層基板用磁器組成物において
は、上記コージェライト−B23−SiO2系主成分材
料に副成分としてTiO2を添加している。主成分材料
に副成分としてTiO2を添加すると、従来のコージェ
ライト−B23−SiO2系セラミック材料が有してい
た特性、すなわち、焼結温度が低い、熱膨張係数が小さ
い、誘電率が小さいといった特性を損うことなく、しか
も、回路パターンによって多層基板の内部に形成された
キャパシタの静電容量の温度変化率を小さくできる。
【0019】ここで、静電容量Cの温度変化率とは、基
準温度T0(例えば、20℃)におけるキャパシタの静
電容量をC0、温度Tにおける静電容量をC=C0+ΔC
とするとき、次式中のA(ppm/℃)で表わされるもの
である。 ΔC/C0×106=A・(T−T0
【0020】図4は内部回路パターンによって形成され
たキャパシタの静電容量の変化ΔC/C0と温度Tとの
関係を示す図であって、コージェライト−B23−Si
2系主成分材料は、図4の曲線L1のように温度の上
昇に伴って静電容量の変化ΔC/C0が大きくなって正
特性(A>0)を示しており、TiO2は、図4の曲線
L2のように温度の上昇に伴って静電容量の変化ΔC/
0が小さくなって負特性(A<0)を示している。し
たがって、コージェライト−B23−SiO2系主成分
材料にTiO2を添加することにより、多層基板用磁器
組成物の静電容量の温度変化率を制御することができ
る。特に、コージェライト−B23−SiO2系主成分
材料とTiO2との割合を調整することにより、図4の
曲線L3のようにΔC/C0と温度Tの関係をフラット
にすることができ、静電容量Cの温度変化率Aをほぼ0
にする(A≒0)ことができ、多層基板の電気的特性を
安定させることができる。
【0021】副成分であるTiO2の添加含有量は、コ
ージェライト−B23−SiO2系主成分材料100重
量部に対して20重量部以下とするのが好ましい。添加
含有量が20重量部を超過すると、コージェライトリッ
チ系の主成分材料では焼結温度が高くなり、B23−S
iO2リッチ系の主成分材料では機械的強度が低くな
り、その結果、いずれの系の多層基板用磁器組成物でも
比抵抗が小さくなり、誘電率が高くなるからである。
【0022】さらに、上記多層基板用磁器組成物に副成
分としてBaO−TiO2−NdO3 /2セラミック材料を
主成分とし、Bi23及びPbOを副成分とする磁器組
成添加物を添加すれば、より安定した特性の多層基板用
磁器組成物を得ることができる。
【0023】図2はBaO−TiO2−NdO3/2系磁器
組成添加物の主成分であるBaO−TiO2−NdO3/2
セラミック材料の好ましい組成範囲を表わした組成図で
ある。このBaO−TiO2−NdO3/2セラミック材料
の組成比は、図3の斜線を施した領域の範囲内、すなわ
ち2.5〜15mol%のBaOと52.5〜70mol%のT
iO2と15〜45mol%のNdO3/2からなる組成範囲
内にある。言い換えると、xBaO−yTiO2−zN
dO3/2セラミック材料において、 2.5≦x≦15 52.5≦y≦70 15≦z≦45 x+y+z=100 となる範囲である。この組成範囲外のBaO−TiO2
−NdO3/2セラミック材料では、1400℃以下の温
度で焼結が進まなくなるので、この組成範囲のBaO−
TiO2−NdO3/2セラミック材料を用いるのが好まし
い。
【0024】BaO−TiO2−NdO3/2系磁器組成添
加物は、図2で斜線を施した組成範囲内にあるBaO−
TiO2−NdO3/2セラミック材料に、BiO2が17
重量%以下、Pbが10重量%以下となるように副成分
を添加したものである。ここで、BiO2が17重量%
を越えて、あるいは、Pbが10重量%を越えて添加さ
れると、磁器組成添加物が焼結せず、溶融する。
【0025】次に、上記のようなBaO−TiO2−N
dO3/2系磁器組成添加物を添加する理由を説明する。
図5はキャパシタの静電容量の変化ΔC/C0と温度T
との関係を表わした図であって、図4のK部を拡大した
領域におけるΔC/C0と温度Tとの関係を示してい
る。曲線L4はコージェライト−B23−SiO2系主
成分材料にTiO2のみを添加した場合の温度変化(図
4の曲線L3のK部を拡大したもの)を示し、曲線L5
はBaO−TiO2−NdO3/2系磁器組成添加物の温度
変化を示し、曲線L6はコージェライト−B23−Si
2系主成分材料にTiO2及びBaO−TiO2−Nd
3/2系磁器組成添加物を添加した場合の温度変化を示
している。
【0026】前記のようにコージェライト−B23−S
iO2系主成分材料にTiO2を添加すると、静電容量の
温度変化率A≒0となり、静電容量の変化は、ΔC/C
0≒0となり、ΔC/C0と温度Tの関係は図4の曲線L
3のようにフラットになる。しかしながら、この場合で
も、より子細に見ると、TiO2を添加したコージェラ
イト−B23−SiO2系主成分材料の静電容量の変化
ΔC/C0を示す曲線L3は完全なフラットでなく、2
次の温度係数の影響により下方へ凸となった曲線L4と
なっている。ここで、1次の温度変化率A=0では、静
電容量の変化ΔC/C0は温度変化(T−T0)の2次の
項によって表わされ、2次の温度変化率(ppm/℃2)を
Bとすると、 (ΔC/C0)×106=B(T−T02 で表わされ、TiO2を添加したコージェライト−B2
3−SiO2系主成分材料では、B>0であるため、図5
の曲線L4のように下方へ凸の曲線となっている。一
方、BaO−TiO2−NdO3/2系磁器組成添加物は、
1次の近似としてはフラットな直線となっているが(A
=0)、2次の項まで考慮すると、図5の曲線L5に示
すように上方に凸の曲線(B<0)となっている。した
がって、TiO2が添加されたコージェライト−B23
−SiO2系主成分材料にさらにBaO−TiO2−Nd
3/2系磁器組成添加物を添加すると、2次の温度変化
率Bも小さくすることができ、2次の項まで考慮しても
フラットな特性を得ることができ、高度なリニアリティ
を得ることができる。
【0027】このようなBaO−TiO2−NdO3/2
磁器組成添加物の添加含有量は、コージェライト−B2
3−SiO2系主成分材料100重量部に対して10重
量部以下とするのが好ましい。BaO−TiO2−Nd
3/2系磁器組成添加物の添加含有量が10重量部を超
過すると、コージェライトリッチ系のコージェライト−
23−SiO2系主成分材料では焼結温度が高くな
り、B23−SiO2リッチ系のコージェライト−B2
3−SiO2系主成分材料では機械的強度が低くなり、そ
の結果、多層基板用磁器組成物の比抵抗が小さくなり、
誘電率が高くなるためである。
【0028】〔具体的実施例〕以下、本発明の実施例を
比較例とともにより具体的に説明する。
【0029】実施例1,4,7,10 まず、主成分材料に主な添加物としてTiOを添加し
た実施例1,実施例4,実施例7,実施例10による多
層基板用磁器組成物を、比較例1,比較例2,比較例
3,比較例4,比較例5,比較例6,比較例7,比較例
8による多層基板用磁器組成物とともに、以下のように
して作製した。
【0030】[主成分材料の作製]まず、コージェライ
トの原料であるSiO2、MgO〔または、MgCO3
およびAl23の粉末を秤量混合し、これらの混合物を
得た。つぎに、この混合物を1350〜1400℃で仮
焼し、図3の斜線領域で示した組成域内にあるコージェ
ライト仮焼物を準備した。
【0031】つぎに、このコージェライト仮焼物、B
〔または、BNもしくはBC〕の粉末、SiO
の粉末を秤量混合し、これらの混合物を得た。ついで、
これらの混合物を800〜900℃の温度で仮焼した
後、粉砕して粉末とし、コージェライト、SiO及び
の組成比(重量%)が下記表1の「主成分組
成」の欄に示すような組成比となった各実施例及び各比
較例のコージェライト−B−SiO系主成分材
料を得た。
【0032】[主成分材料と副成分材料の調合]添加物
として有機バインダ及びTiO2を準備し、上記コージ
ェライト−B23−SiO2系主成分材料100重量部
に対して適当量の有機バインダと、下記表1の「副成
分」の「TiO2」の欄に示す割合(重量部)のTiO2
を秤量混合し、混練してスラリを得た。
【0033】
【表1】
【0034】なお、表1中の副成分材料の添加量は、主
成分材料であるコージェライト−SiO2−B23系セ
ラミック材料に対する外添加量であり、より具体的に
は、コージェライト中への固溶量とSiO2−B23
への添加量とを合わせたものである。
【0035】[磁器組成物の焼成] こうして得たスラ
リをドクターブレード法により厚さ1mmのシート状に
成形し、成形されたセラミックグリーンシートを縦30
mm、横10mmの寸法にカットした。この後、水蒸気
中に通過させた窒素ガスをキャリアガスとする窒素−水
蒸気の還元性もしくは非酸化性雰囲気中において、90
0℃の温度でセラミックグリーンシートを予備焼成して
有機バインダ成分を燃焼させ、さらに表1の「燃焼温
度」の欄に示す温度(900〜1020℃)で1時間本
焼成し、目的とする板状の多層基板用磁器組成物を得
た。
【0036】また、上記セラミックグリーンシートを縦
3mm、横40mmの短冊状にカットし、これを積層し
て200kg/cm2の圧力で加圧して各辺の寸法が約
4mm、3mm及び40mmの角柱状にし、上記板状の
多層基板用磁器組成物と同じ条件で焼成し、目的とする
角柱状の多層基板用磁器組成物を得た。
【0037】実施例2,3,5,6,8,9,11,1
コージェライト−B−SiO系主成分材料に、
副成分としてTiOとxBaO−yTiO−zNd
3/2(ただし、x+y+z=100)磁器組成添加
物を添加した実施例2,実施例3,実施例5,実施例
6,実施例8,実施例9,実施例11,実施例12によ
る多層基板用磁器組成物を以下のようにして作製した。
【0038】[主成分材料の作製]実施例1,4,7等
の場合と同様にして、図3の斜線領域で示した組成域内
にあるコージェライト仮焼物を準備した。
【0039】つぎに、このコージェライト仮焼物、B
〔または、BNもしくはBC〕の粉末、SiO
の粉末を秤量混合し、これらの混合物を得た。ついで、
これらの混合物を800〜900℃の温度で仮焼した
後、粉砕して粉末とし、コージェライト、SiO及び
の組成比(重量%)が上記表1の「主成分組
成」の欄に示すような組成比となった各実施例のコージ
ェライト−B−SiO系主成分材料を得た。
【0040】[磁器組成添加物の作製]一方、BaOと
TiO2とNdO3/2を主成分とするBaO−TiO2
NdO3/2系磁器組成添加物を以下のようにして作製
し、用意した。すなわち、主成分のBaO:TiO2
NdO3/2のmol比が下記の表2の「主成分」の欄に示す
組成比(mol%)となるようにBaCO3、TiO2及び
Nd23を秤量混合し、さらに添加物たるBi23及び
PbOの粉末を表2の「副成分」の欄に示す組成比(mo
l%)となるように秤量混合し、空気中において110
0℃の温度で1時間仮焼した。ついで、この仮焼原料を
粉砕して混合し、1300〜1400℃で焼成した後、
再び粉砕し、表2に示すS1〜S2の9種のBaO−T
iO2−NdO3/2系磁器組成添加物の試料を作製した。
【0041】
【表2】
【0042】ついで、各試料S1〜S9の比誘電率、Q
値及び静電容量の温度変化率B(ppm/℃2)を測定し
た。この測定結果を表2に示す。ここで、PbOの組成
が15mol%の試料S8では、BaO−TiO2−NdO
3/2系磁器組成添加物が焼結せず溶融してしまった。
【0043】こうして作製した試料S1〜S9のうち、
静電容量の温度変化率Bの小さな(−97ppm/℃2)試
料S2と、静電容量の温度変化率Bが最も大きかった
(−9ppm/℃2)試料S6を選択し、以下のように多層
基板用磁器組成物の作製に用いた。
【0044】[主成分材料と副成分材料の調合]添加物
として有機バインダ、TiO2及び上記BaO−TiO2
−NdO3/2系磁器組成添加物の試料S2,S6を準備
し、コージェライト−B23−SiO2系主成分材料1
00重量部に対して適当量の有機バインダと、TiO2
を15重量部と、さらに上記表1の「副成分」の「S
2」または「S6」の欄に示す割合(重量部)でBaO
−TiO2−NdO3/2系磁器組成添加物S2又はS6を
秤量混合し、混練してスラリを得た。
【0045】[磁器組成物の焼成] こうして得たスラ
リをドクターブレード法により厚さ1mmのシート状に
成形し、成形されたセラミックグリーンシートを縦30
mm、横10mmの寸法にカットした。この後、水蒸気
中に通過させた窒素ガスをキャリアガスとする窒素−水
蒸気の還元性もしくは非酸化性雰囲気中において、90
0℃の温度でセラミックグリーンシートを予備焼成して
有機バインダ成分を燃焼させ、さらに表1の「燃焼温
度」の欄に示す温度(900〜1020℃)で1時間本
焼成し、目的とする板状の多層基板用磁器組成物を得
た。
【0046】また、上記セラミックグリーンシートを縦
3mm、横40mmの短冊状にカットし、これを積層し
て200kg/cm2の圧力で加圧して各辺の寸法が約
4mm、3mm及び40mmの角柱状にし、上記板状の
多層基板用磁器組成物と同じ条件で焼成し、目的とする
角柱状の多層基板用磁器組成物を得た。
【0047】比較例9〜11 TiOやBaO−TiO−NdO3/2系磁器組成
添加物などの添加物を用いない比較例9〜11による多
層基板用磁器組成物を以下のようにして作製した。
【0048】[主成分材料の作製]実施例1,4等の場
合と同様にして、図3の斜線領域で示した組成域内にあ
るコージェライト仮焼物を準備した。
【0049】つぎに、このコージェライト仮焼物、B
〔または、BNもしくはBC〕の粉末、SiO
の粉末を秤量混合し、これらの混合物を得た。ついで、
これらの混合物を800〜900℃の温度で仮焼した
後、粉砕して粉末とし、コージェライト、SiO及び
の組成比(重量%)が上記表1の「主成分組
成」の欄に示すような組成比となった各比較例のコージ
ェライト−B−SiO系主成分材料を得た。つ
いで、この主成分材料に有機バインダを添加し、混練し
てスラリを得た。
【0050】[磁器組成物の焼成] このスラリをドク
ターブレード法により厚さ1mmのシート状に成形し、
成形されたセラミックグリーンシートを縦30mm、横
10mmの寸法にカットした。この後、水蒸気中に通過
させた窒素ガスをキャリアガスとする窒素−水蒸気の還
元性もしくは非酸化性雰囲気中において、900℃の温
度でセラミックグリーンシートを予備焼成して有機バイ
ンダ成分を燃焼させ、さらに表1の「燃焼温度」の欄に
示す温度(900〜970℃)で1時間本焼成し、比較
例9〜11による板状の多層基板用磁器組成物を得た。
【0051】また、上記セラミックグリーンシートを縦
3mm、横40mmの短冊状にカットし、これを積層し
て200kg/cmの圧力で加圧して各辺の寸法が約
4mm、3mm及び40mmの角柱状にし、上記板状の
多層基板用磁器組成物と同じ条件で焼成し、比較例9〜
11による角柱状の多層基板用磁器組成物を得た。
【0052】特性の測定 以上のようにして作製した実施例1〜12及び比較例1
〜11の各磁器組成物について、各々の比誘電率、比抵
抗、気孔率、熱膨張係数、抗折強度及び静電容量の温度
変化率を測定した。ここで、熱膨張係数及び抗折強度の
測定には、角柱状の多層基板用磁器組成物を用い、それ
以外の測定には、板状の多層基板用磁器組成物を用い
た。
【0053】また、比誘電率は、周波数1MHzで測定
した。比抵抗(Ω・cm)は、各磁器組成物に100Vの
直流電圧を印加して測定した。気孔率(%)は、磁器組
成物を水中に浸漬させて浮力から密度を求める、いわゆ
るアルキメデス法によって測定された密度から算出した
ものである。線熱膨張係数α(℃-1)は、室温T1で長
さL(mm)の磁器組成物をT2=500℃まで加熱し、
そのとき磁器組成物の見掛けの伸びΔL(mm)を測定
し、次式 α={ΔL/〔L(T2−T1)〕}+αS より算出した。ただし、αSはスケールとして用いた石
英ガラス(SiO2)の熱膨張係数である。抗折強度(k
g/cm2)は、JIS規格(R1601)の3点曲げ法に
従って測定した。静電容量の温度変化率は、上記磁器組
成物の両面に電極膜を設けて静電容量がCのキャパシタ
を形成し、雰囲気温度Tを変化させたときに静電容量の
変化ΔC/C0を次式 (ΔC/C0)×106=A(T−T0)+B(T−T02 でトレースし、その係数から温度変化率A(ppm/℃)
を求めた。また、1次の温度変化率A≒0の場合には、
2次の温度変化率B(ppm/℃2)を求めた。但し、C0
はT=20℃のときの静電容量である。
【0054】上記のような測定方法により測定した結果
を表3に示す。なお、比抵抗の欄の値は対数によって表
わしている。つまり、Ω・cmの単位で測定した比抵抗の
値をρとして、log10ρで表わしている。
【0055】
【表3】
【0056】表3に示した測定結果によれば、比誘電
率、比抵抗、気孔率、熱膨張係数については、実施例1
〜12の多層基板用磁器組成物は比較例1〜11とほと
んど同じ値が得られた。したがって、本発明によれば、
従来のコージェライト−B−SiO系多層基板
用組成物と同じ良好な特性を保持している。また、抗折
強度は、TiOの添加により大きくなった。
【0057】さらに、静電容量の温度変化率Aは、比較
例9〜11では90ppm/℃以上であるのに対し、実施
例1〜12及び比較例1〜8では90ppm/℃以下とな
り、TiOの添加により静電容量の温度変化率Aを小
さくすることができた。特に、TiOの添加量を増加
させることにより温度変化率を小さくすることができ
た。なかんづく、TiOの添加量を15重量部以上に
すると、静電容量の温度変化率Aを非常に小さくするこ
とができた。この場合、実施例2,実施例3,実施例
5,実施例6,実施例8,実施例9,実施例11,実施
例12のようにTiOに加えてBaO−TiO−N
dO3/2系磁器組成添加物を添加すれば、2次の変化
率Bを小さくし、静電容量の変化ΔC/Cのリニアリ
ティをより高次に補正することができ、良好な特性を得
ることができる。
【0058】また、実施例1〜12の焼成温度も比較例
1〜11とほとんど変らず、アルミナに比べて低い温度
で焼成することができた。
【0059】
【発明の効果】本発明による磁器組成物は、アルミナよ
りもかなり低い温度で焼結するので、焼結に要するエネ
ルギーを節約でき、エネルギーコストを低減できる。さ
らに、焼結温度が低いので、基板内部の回路パターンを
形成するための導電材料がタングステンやモリブデンの
ような高融点金属に限定されず、比抵抗の小さなAg系
等の導電材料によって回路パターンを形成することがで
き、回路パターンの電気抵抗を小さくすることができ
る。
【0060】また、コージェライト−B −SiO
系主成分材料100重量部に対して15〜20重量部
以上のTiO を添加することにより、熱膨張係数をシ
リコンの熱膨張係数(3.6)に極めて近い値にするこ
とができるので、基板に搭載されるシリコンチップ等の
ICチップとの熱膨張係数の差が小さくなり、ICチッ
プに発生するサーマルストレスを小さくでき、ICチッ
プのクラックの発生を防止できる。
【0061】さらに、多層基板用磁器組成物の誘電率も
アルミナに比べて小さいので、回路パターンを伝播する
信号の遅延時間が小さくなる。
【0062】しかも、コージェライト−B −Si
系主成分材料100重量部に対して15〜20重量
部以上のTiOを添加することにより、回路パターン
によってキャパシタが形成された容量内蔵型の多層基板
における当該キャパシタの静電容量の温度変化率を小さ
くでき、さらに、TiOの添加含有量を調整すること
により静電容量の温度変化率を適当な値になるように制
御することができる。従って、静電容量の変化が小さく
なって温度変化に対して安定となり、例えば高周波帯域
用のLCR内蔵型多層基板用としても好適な磁器組成物
をができる。
【0063】さらに、TiO2に加えてBaO−TiO2
−NdO3/2系磁器組成添加物をコージェライト−B2
3−SiO2系主成分材料に添加すれば、内部に形成され
たキャパシタの静電容量の温度変化率をより小さくする
ことができ、しかも、静電容量の2次の温度変化率を小
さくすることができ、TiO2添加後の多層基板用磁器
組成物における静電容量の温度変化率のリニアリティを
改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による多層基板用磁器組成物
の主成分材料であるコージェライト−B23−SiO2
系セラミック材料の組成範囲を示す組成図である。
【図2】主成分材料に添加する磁器組成添加物の主成分
として用いるBaO−TiO2−NdO3/2系セラミック
材料の組成範囲を示す組成図である。
【図3】コージェライトの組成範囲を示す組成図であ
る。
【図4】同上のコージェライト−B23−SiO2系セ
ラミック材料と、TiO2と、TiO2を添加したコージ
ェライト−B23−SiO2系セラミック材料の各静電
容量の変化ΔC/Cの温度依存性を示す図である。
【図5】TiO2を添加したコージェライト−B23
SiO2系セラミック材料と、BaO−TiO2−NdO
3/2系セラミック材料と、TiO2及びBaO−TiO2
−NdO3/2系セラミック材料を添加したコージェライ
ト−B23−SiO2系セラミック材料の各静電容量の
変化ΔC/Cと温度との関係をより子細に示した図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−64059(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/195

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コージェライトとBとSiO
    からなる主成分材料に、該主成分材料100重量部に対
    して15〜20重量部のTiOを添加したことを特徴
    とする多層基板用磁器組成物。
  2. 【請求項2】 コージェライトとB とSiO
    からなる主成分材料に、該主成分材料100重量部に対
    して20重量部以下のTiO を添加し、さらに該主成
    分材料にBaOとTiO とNdO 3/2 を主成分とす
    る磁器組成添加物を添加したこと特徴とする多層基板用
    磁器組成物。
  3. 【請求項3】 コージェライトとB とSiO
    からなる主成分材料に、該主成分材料100重量部に対
    して15〜20重量部のTiO を添加した磁器組成物
    からなる多層基板。
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