JP2000149947A - リチウムイオン電池負極用グラファイト粉末 - Google Patents

リチウムイオン電池負極用グラファイト粉末

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JP2000149947A
JP2000149947A JP10322415A JP32241598A JP2000149947A JP 2000149947 A JP2000149947 A JP 2000149947A JP 10322415 A JP10322415 A JP 10322415A JP 32241598 A JP32241598 A JP 32241598A JP 2000149947 A JP2000149947 A JP 2000149947A
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graphite powder
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Takatsugu Fujiura
隆次 藤浦
Koichi Sugano
公一 菅野
Hitoshi Sakamoto
斉 坂本
Yukio Sakai
幸男 酒井
Yuzuru Takahashi
譲 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リチウムイオン電池の負極材料として好適な、
高初期効率且つ高容量を発現するグラファイト粉末を提
供する。 【解決手段】弗化水素・三弗化硼素の存在下縮合多環炭
化水素またはこれを含有する物質の重合によって得られ
たメソフェーズピッチを、硼素化合物の共存下で黒鉛化
処理して得られた、特定条件のX線光電子スペクトルを
与えるリチウムイオン電池負極用グラファイト粉末。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリチウムイオン電池
の負極材料として好適な初期充放電効率・充放電容量・
サイクル特性に優れたグラファイト粉末に関する。
【0002】
【従来技術】リチウムイオン電池は、エネルギー密度が
大きく、充放電サイクル特性、安全性、小型・軽量性に
優れていることから、マルチメディア社会を支える主力
電源として、その重要性がクローズアップされている。
現在、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCM
B)、ミルド化黒鉛繊維などのグラファイト系材料がリ
チウムイオン電池の負極材料として開発され実用化が進
展している。同時に、一層の高性能化・低価格化を目指
して精力的な検討が進められている。しかしながら、現
状においてもリチウムイオン電池が本来有する特性を充
分に発現しておらず、性能面で必ずしも満足すべきレベ
ルに達していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは先に、特
開平10−121054号において、特定のメソフェー
ズピッチを原料として、電極充填性が高く良好な電極構
造の確保を可能にする、非鱗片状のグラファイト粉末を
製造する方法を提案した。しかしながら、本発明者らの
その後の検討の結果、このような方法によって得られる
グラファイト粉末では、黒鉛化度が向上するにつれて電
解液の分解(初回充電時0.5V付近)が起こり易くな
り初期充放電効率が低下するという問題があることが分
かった(比較例1)。
【0004】さらに上記のグラファイト粉末では、黒鉛
化処理条件を制御することによって黒鉛化度の過度の上
昇を抑えると、電解液分解に対する抑制効果が発現し初
期効率は顕著に改善されるものの、高い放電容量が得ら
れないという問題も明らかになった(比較例1)。
【0005】すなわち,上記のグラファイト粉末では,
黒鉛化度を発達させると第一サイクル目の充電時に電解
液の分解が起こり不可逆容量が増大する傾向が見られ、
逆に黒鉛化度の発達を抑えると電解液の分解は抑制され
不可逆容量は減少するものの、高容量化が達成できない
というジレンマがあった。
【0006】本発明の目的は、メソフェーズピッチのも
つ本来の物理的化学的特性を損なうことなく、これをグ
ラファイト原料として、初回充電における電解液の分解
抑制による充放電効率の改善と高容量化を同時に達成で
きる、リチウムイオン電池の負極材料として好適なグラ
ファイト粉末を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述のよ
うな問題点を解決すべく鋭意検討した結果、弗化水素・
三弗化硼素の存在下で縮合多環炭化水素またはこれを含
有する物質を重合して得られたメソフェーズピッチを、
硼素化合物の共存下で黒鉛化処理して得られる硼素含有
グラファイトであって、特定条件を満たすようなX線光
電子スペクトルを与えるグラファイト粉末が、リチウム
イオン電池の負極材料に適用した場合に、電解液の分解
抑制効果と充放電容量の改善効果を同時に発現すること
を見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】すなわち本発明は、硼素を含有し、X線光
電子分光法(XPS)によって得られたスペクトルにお
いて、C1sの束縛エネルギーを284.5eV、C1sピ
ークの検出強度を100とした場合に、束縛エネルギー
186eVから187eVの範囲に現れるB1sピークの
検出強度が0.04以上であることを特徴とするリチウ
ムイオン電池負極用グラファイト粉末である。該リチウ
ムイオン電池負極用グラファイト粉末は、弗化水素・三
弗化硼素の存在下で縮合多環炭化水素またはこれを含有
する物質を重合して得られたメソフェーズピッチを、硼
素化合物の共存下で黒鉛化処理することにより製造され
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において原料に用いられる
メソフェーズピッチは,縮合多環炭化水素またはこれを
含有する物質を超強酸触媒である弗化水素・三弗化硼素
の存在下で重合させて得られるものである。すなわちこ
の合成メソフェーズピッチは、特開平1−139621
号、特開平1−254796号、特開平3−22339
1号に示されるように、ナフタレン、アントラセン、メ
チルナフタレン、フェナントレン、アセナフテン、アセ
ナフチレン、ピレン等ならびにこれらの骨格を有する縮
合多環炭化水素、およびこれらの混合物ないしこれらを
含有する物質から合成されたピッチである。この合成メ
ソフェーズピッチは商業生産されており、価格、品質安
定性、化学純度、炭化性等の点できわめて優れた特長を
有している。
【0010】この合成メソフェーズピッチは、メトラー
法による軟化点が240℃以上、光学的異方性相含有率
が90%以上、特に実質100%であることが好まし
い。なお、本明細書に記載の「光学的異方性相」とは、
常温近くで固化したピッチ塊の断面を研磨し、反射型光
学顕微鏡で直交ニコル下で観察したとき、試料または直
交ニコルを回転して光輝が認められる、すなわち光学的
異方性である部分を意味し、「光学的異方性相含有率」
とは、顕微鏡で観察した際のこの光学的異方性相の面積
分率を意味する。
【0011】本発明において有効に作用する硼素以外の
不純物濃度はできるだけ低下させることが望ましい。こ
の合成メソフェーズピッチは、純物質を出発原料として
いるので、化学的純度がきわめて高く、従来の石炭系あ
るいは石油系メソフェーズピッチ、すなわちコールター
ルや石油残渣等の熱処理による重質化処理を経て得られ
るバルクメソフェーズ由来のグラファイトに比べて、そ
の残存不純物含有量(S、N、Si、Fe、Ni等)が
極端に少なくなる。この結果、グラファイト層間にある
リチウムイオンがこれら不純物元素と相互作用を引き起
こして消費される恐れがなく、電極反応の阻害を防止で
き、充放電効率、充放電容量、サイクル寿命特性の向上
に大きく寄与する。
【0012】本発明の硼素含有グラファイト粉末は、基
本的に、硼素化合物の共存下でメソフェーズピッチを黒
鉛化処理することによって得られるが、原料メソフェー
ズピッチは特開平10−121054号に示すように、
炭化過程おいて溶融膨張や粒子同士の溶融着が起きるた
め、メソフェーズピッチに不融化性を付与する前処理
(熱処理或いは酸化処理)を施したのち黒鉛化処理を実
施することが好ましい。また、硼素化合物の添加は不融
化処理の後でもよいし、メソフェーズピッチの段階で溶
融混練してメソフェーズピッチ中に均一分散させておい
てもよい。したがって、本発明の硼素含有グラファイト
粉末はつぎの4通りの基本手順によって得ることができ
る。 (a)メソフェーズピッチを熱処理したのち該熱処理物
を冷却後粉砕する。これに硼素化 合物を添加したのち
仮焼,黒鉛化処理を行なう。 (b)メソフェーズピッチを粉砕して酸化処理を行な
い,該酸化処理粉に硼素化合物を添加したのち仮焼,黒
鉛化処理を行なう。 (c)メソフェーズピッチの加熱溶融下,硼素化合物を
添加し混練したのち熱処理を行なう。該熱処理物を冷却
後粉砕し仮焼,黒鉛化処理を行なう。 (d)メソフェーズピッチの加熱溶融下,硼素化合物を
添加して混練する。冷却後粉砕して酸化処理を行ない,
該酸化処理粉を仮焼,黒鉛化処理する。
【0013】メソフェーズピッチに不融性を付与する処
理は、該ピッチの性状等を考慮して適宜,最適処理条件
が選択されるが、通常熱処理の場合は、非酸化性雰囲気
下、470℃から700℃の温度で行われる。処理時間
は1時間から10時間の範囲が適当である。特開平7−
286181号には、ピッチの熱処理品を連続的に、粒
状または粉末状で製造する方法が開示されている。これ
は処理容器内に、戻し媒として予め粒状または粉末状の
メソフェーズピッチ熱処理品を仕込んでおき撹拌下原料
ピッチを加えながら効率的に熱処理を行なう方法(戻し
媒方式)であり、処理後の取り出し、移送時の操作が簡
単に行なえる点で工業的に有利である。酸化処理につい
ては、酸素含有ガス流通下、通常220℃から350℃
の温度で行われる。酸化時間は1時間から5時間の範囲
が適当である。
【0014】粉砕処理では、一般にリチウムイオン電池
負極材料として要求される粒度を満足するように粉砕条
件を選択すればよい。通常平均粒径で1μmから50μ
mの範囲、好ましくは10μmから40μmの範囲であ
る。粉砕機については、衝撃式粉砕機やジェットミル、
マイクロアトマイザーなどから適宜、最適機種が選択さ
れる。分級機についても、機械式分級機、風力式分級機
等から適宜、最適機種が選択される。
【0015】本発明において用いられる硼素化合物は、
特に限定されず、例えば、硼素(単体)、酸化硼素、炭
化硼素、硼酸、硼酸エステル、窒化硼素化合物、硼化ラ
ンタン、硼化モリブデンなどが挙げられ、このような硼
素化合物を単独、または2種類以上を混合して用いられ
る。また硼素化合物の平均粒径は100μm以下である
ことが好ましい。硼素化合物の添加量は、これらの種類
やグラファイト粉末の製造条件などに依存し、適宜、最
適量が選択されるが、通常、原料メソフェーズピッチ重
量を100とした場合、硼素原子換算で0.5〜10の
範囲である。
【0016】仮焼は、非酸化性雰囲気下800℃から1
600℃の温度領域で焼成することによって行なわれる
が、この仮焼工程は省略してもよい。前記の基本手順
(a)あるいは(b)において、仮焼を行なう場合に
は、このあとに硼素化合物を添加してもよい。黒鉛化処
理は,非酸化性雰囲気下2000℃以上、好ましくは2
500℃以上で行なわれる。
【0017】こうして得られた硼素含有グラファイト粉
末は、そのXPSスペクトルにおいて、C1sの束縛エネ
ルギーを284.5eV,C1sピークの検出強度を10
0とした場合に、束縛エネルギー186eVから187
eVの範囲に現れるB1sピークの検出強度が0.04以
上である。このようなグラファイト粉末は電解液分解に
対する抑制効果ならびに高容量化効果を同時に発現する
という特徴を有する。上記B1sピークの検出強度が0.
04より小さい場合には、容量の改善効果が見られな
い。但し、上記B1sピークの検出強度が0.04より小
さい場合でも、電解液分解に対する抑制効果は認められ
る。
【0018】一般に、硼素原子はグラファイト格子に置
換固溶することが知られている。本発明のグラファイト
粉末のXPSスペクトルにおける、束縛エネルギー18
6eVから187eVの範囲のB1sピーク出現は、硼素
化合物中の硼素原子のグラファイト格子中への拡散固溶
と関係があると考えられるが、上記電池特性の改善効果
を説明するメカニズムの詳細については現段階でははっ
きりしない。
【0019】
【実施例】以下、本発明について実施例および比較例を
示し、本発明を具体的かつ詳細に説明する。但し本発明
はこれらの例により制限されるものではない。
【0020】実施例1 超強酸触媒HF−BF3 の存在下、ナフタレンを重合さ
せて得られたメソフェーズピッチ(メトラー法による軟
化点290℃、光学的異方性相含有率100%)を熱処
理するため、炭化炉中で窒素雰囲気下5℃/分で540
℃まで昇温し、この温度で2時間保持した。室温まで冷
却し取りだしたところ顕著に溶融発泡していた(収率9
0%)。この熱処理物を粉砕し平均粒径30μmとし
た。この粉末に対して炭化硼素(B4 C)粉末(平均粒
子径20μm)を4重量%(硼素原子換算で3.1%)
を加えメタノール溶媒中で超音波分散した。溶媒除去
後、窒素雰囲気下5℃/分で昇温し、1200℃に到達
後2時間保持して仮焼を行なった。この際、粒子の溶融
や粒子同士の接着は見られなかった。引き続きアルゴン
雰囲気下3000℃で1時間の黒鉛化処理を実施した。
こうして得られたグラファイト粉末について、X線光電
子分光法による表面分析を行なった。装置はV. G. S
cientific社製 ESCALABMKIIを使用
した。測定はX線源として、Mg−Kαを用い10kV
−20mAの条件で行なった。帯電シフト補正は観測さ
れるC1sスペクトルのピークトップを284.5eVと
して行なった。C1sピークの検出強度を100とする
と、束縛エネルギー186.5eVに現れたB1sピーク
の検出強度は0.17であった。この他、束縛エネルギ
ー188.0eVにピークが見られ(検出強度:0.2
3)B4 Cの存在が示された。さらに束縛エネルギー1
91.5eVにもピークが観測された(検出強度:0.
57)。これはB−Nのような結合が生成したことを示
すものである。
【0021】該グラファイト粉末90重量部にバインダ
ーとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)10重量部
を加え、これにN,N−ジメチルホルムアミド(脱水)
を加え充分混合することによってスラリーを調製した。
このスラリーを銅箔の片面に均一に塗布し真空乾燥し
た。これを10mm×10mmの大きさに切り出して炭
素電極とし、三電極式試験セルを用いて充放電容量性能
を調べた。対極および参照極としては金属リチウムを用
いた。電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジ
エチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比で
1:1)に電解質として六フッ化リン酸リチウム(Li
PF6 )を1Mの濃度で溶解させたものを用いた。充放
電容量の測定は,30mA/gの定電流下で行ない、充
電は0V、放電は2.0V(vs. Li/Li+ )まで行
なった。その結果、第一サイクルの充電容量は375m
Ah/g、放電容量は350mAh/g、初期充放電効
率は93.3%であった。第2サイクル以降の放電容量
は354mAh/g、効率は100%であった。
【0022】実施例2 超強酸触媒HF−BF3 の存在下、メチルナフタレンを
重合させて得られたメソフェーズピッチ(メトラー法に
よる軟化点282℃,光学的異方性相含有率100%)
を粉砕し、平均粒子径24μmとした。このメソフェー
ズピッチ粉砕品を空気流通下280℃で2時間滞留させ
ることによって酸化処理を行なった(酸化収率:110
%)。該粉末を仮焼するため、窒素雰囲気下1200℃
で2時間保持した。この際、粒子の溶融や融着は全く見
られなかった(原料ピッチ重量を基準としたときの仮焼
収率:80%)。この仮焼粉末に対してB4 C粉末を2
重量%(硼素原子換算で1.6%)を加えメタノール溶
媒中で超音波分散した。溶媒除去後、アルゴン雰囲気下
3000℃で1時間の黒鉛化処理を実施した。こうして
得られたグラファイト粉末について、実施例1と同一測
定条件下でX線光電子分光法による表面分析を行なった
ところ、束縛エネルギー186.5eVに現れたB1sピ
ークの検出強度は0.24であった。この他、B4 Cの
存在とB−Nのような結合生成を示唆するピークが、そ
れぞれ束縛エネルギー188.0eV(検出強度:0.
24)と19 1.5eV(検出強度:0.06)に見
られた。実施例1と同様の方法でグラファイト電極を作
製し充放電特性を調べたところ、第一サイクルの充電容
量は370mAh/g、放電容量は345mAh/g、
初期充放電効率は93.2%であった。第2サイクル以
降の放電容量は350mAh/g、効率は100%であ
った。
【0023】実施例3 実施例1の合成メソフェーズピッチにB4 C粉末を3.
5重量%(硼素原子換算で2.7%)加え、窒素雰囲気
下350℃で、B4 C粉末がメソフェーズピッチ中に均
一に分散するように溶融混錬した。このB4 C含有メソ
フェーズピッチを粗粉化したのち、戻し媒方式で580
℃の連続熱処理を行なった。得られた顆粒状の熱処理品
を粉砕し平均粒径30μmとしたのち、1200℃で2
時間の仮焼を行なった。引き続き3000℃で1時間の
黒鉛化処理を実施した。こうして得られたグラファイト
粉末について、実施例1と同一測定条件下でX線光電子
分光法による表面分析を行なったところ、束縛エネルギ
ー186.5eVに現れたB1sピークの検出強度は0.
18であった。なお、束縛エネルギー188.0eVに
はピークが認められなかったが、191.5eVにはピ
ークが見られた(検出強度:1.19)。実施例1と同
様の方法でグラファイト電極を作製し充放電特性を調べ
たところ、第一サイクルの充電容量は377mAh/
g、放電容量は353mAh/g、初期充放電効率は9
3.6%であった。第2サイクル以降の放電容量は35
5mAh/g、効率は100%であった。
【0024】実施例4 実施例1の合成メソフェーズピッチに三酸化硼素(B2
3 )粉末(平均粒子径:30μm)6.0重量%(硼
素原子換算で1.9%)を加え、窒素雰囲気下350℃
でB2 3 がメソフェーズピッチ中に均一に分散するよ
うに溶融混錬した。この混合物を実施例1と同様に、熱
処理、粉砕、仮焼、黒鉛化処理を実施した。得られたグ
ラファイト粉末のXPS分析の結果、束縛エネルギー1
86.5eVに現れたB1sピークの検出強度は0.10
であった。B1sスペクトルには、このピーク以外のピー
クは観測されなかった。充放電試験を行なったところ、
充電容量は370mAh/g、放電容量は343mAh
/g、初期効率は92.7%であった。第2サイクル以
降の放電容量は346mAh/g、効率は100%であ
った。
【0025】比較例1 実施例1と同一の原料メソフェーズピッチを用いて、硼
素化合物を添加しないで実施例1と同様の処理を行なう
ことにより仮焼粉末を得た。ただし、黒鉛化処理の温度
は2400℃から3000℃まで変化させた。得られた
グラファイト粉末のXPS分析を行なった結果、B1sに
由来する束縛エネルギーのピークは全く検出されなかっ
た。また、電池特性を調べたところ、表1に示すよう
に、このようなグラファイト粉末では、黒鉛化処理温度
が高いと電解液の分解(初回充電時0.5V付近)が起
こり初期充放電効率が著しく低下した。一方、黒鉛化処
理温度を下げて黒鉛化度の向上を抑えた場合は,電解液
分解に対する抑制効果が発現し、初期効率は顕著に改善
されたが、高い放電容量が得られなかった。
【0026】
【表1】 電池性能と黒鉛化温度との関係 黒鉛化温度 充電容量 放電容量 初期効率 (℃) (mAh/g) (mAh/g) (%) 2400 310 299 96.5 2600 334 321 96.1 2800 540 318 58.9 3000 621 320 51.5
【0027】比較例2 実施例1において、B4 C粉末の添加量を1重量%(硼
素原子換算で0.8%)に変更した以外はすべて同様の
処理を行ないグラファイト粉末を得た。XPS分析の結
果、束縛エネルギー186.5eVに現れたB1sピーク
の検出強度は0.03であった。この他、188.0e
VにB4 Cの存在を示唆するピークが見られた(検出強
度:0.03)。191.5.eVにはピークは観測さ
れなかった。充放電試験を行なったところ、充電容量は
327mAh/g、放電容量は305mAh/g、初期
効率は93.3%であった。このように、束縛エネルギ
ー186eVから187eVの範囲に現れるB1sのピー
クの検出強度が0.04より小さい場合には、容量面で
の改善効果が見られない。
【0028】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明の弗化水素・三弗化硼素の存在下で縮合多環炭化水
素またはこれを含有する物質を重合して得られたメソフ
ェーズピッチを、硼素化合物の共存下で黒鉛化処理して
得られた、特定条件のX線光電子スペクトルを与えるグ
ラファイト粉末は、リチウムイオン電池の負極材料に適
用した場合に、電解液の分解抑制効果と充放電容量の改
善効果を同時に発現し、高初期充放電効率、高容量、且
つ良好なサイクル特性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 幸男 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内 (72)発明者 高橋 譲 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4G046 EA02 EA05 EA06 EC02 EC05 EC06 HB07 5H029 AJ03 AJ05 AJ07 AL07 AL12 AM03 AM05 AM07 CJ11 CJ28 DJ16 EJ04 HJ00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硼素を含有し、X線光電子分光法(XP
    S)によって得られたスペクトルにおいて、C1sの束縛
    エネルギーを284.5eV、C1sピ−クの検出強度を
    100とした場合に、束縛エネルギー186eVから1
    87eVの範囲に現れるB1sピークの検出強度が0.0
    4以上であることを特徴とするリチウムイオン電池負極
    用グラファイト粉末。
  2. 【請求項2】 弗化水素・三弗化硼素の存在下で縮合多
    環炭化水素またはこれを含有する物質を重合して得られ
    たメソフェーズピッチを、硼素化合物の共存下で黒鉛化
    処理して得られた請求項1に記載のリチウムイオン電池
    負極用グラファイト粉末。
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