JP2002124256A - 非水溶媒二次電池 - Google Patents

非水溶媒二次電池

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JP2002124256A
JP2002124256A JP2000311974A JP2000311974A JP2002124256A JP 2002124256 A JP2002124256 A JP 2002124256A JP 2000311974 A JP2000311974 A JP 2000311974A JP 2000311974 A JP2000311974 A JP 2000311974A JP 2002124256 A JP2002124256 A JP 2002124256A
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secondary battery
negative electrode
graphite powder
boron
peak
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JP2000311974A
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Koichi Sugano
公一 菅野
Hirotaka Tsuruya
浩隆 鶴谷
Takatsugu Fujiura
隆次 藤浦
Hitoshi Sakamoto
斉 坂本
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】黒鉛材料を非水溶媒二次電池の負極に用いる際
にPCを含有する電解液を使用可能とし、大容量かつレ
ート特性、サイクル安定性、および低温特性に優れたリ
チウムイオン二次電池を提供する。 【解決手段】メソフェーズピッチをホウ素化合物の存在
下で、窒素の体積分率が1%以下の雰囲気ガス中で黒鉛
化処理した、ホウ素を含有する黒鉛粉末であって、X線
光電子分光法(XPS)によって得られたスペクトルに
おいて、C1sの束縛エネルギーを284.5eV、C
1sピークの検出強度を100とした場合に、束縛エネ
ルギー186eVから187eVの範囲に現れるB1s
ピークの検出強度が0.02以上であると同時に、X線
回折におけるC軸方向の結晶子の面間隔d002が0.3
360nm以下である黒鉛粉末を炭素材料として使用し
た負極と、プロピレンカーボネートを含有する非水溶媒
にリチウム塩を溶解した電解液を用いることを特徴とす
る非水溶媒二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大容量かつレート
特性、サイクル安定性、および低温特性に優れたリチウ
ムイオン二次電池等の非水溶媒二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】負極に炭素材料を用いたリチウムイオン
二次電池は、高電圧・高エネルギー密度を有し、安全性
・サイクル特性にも優れていることから、高度情報化社
会を支える各種携帯電子機器用の電源として、最近急速
に実用化が進んでいる。
【0003】負極の炭素材料としては、黒鉛、難黒鉛化
性炭素(ハードカーボン)、コークスなどが用いられ
る。特に天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛材料が他の炭素
材料に比べ結晶性が高いため放電容量が高く、真密度が
きわめて高いので電極の充填密度を高められるという利
点をもっており、現在最も多く使用されている。一方、
電解液としては、各種の非水溶媒が使用されるが、低融
点で誘電率が高く、低温においても高い電気伝導を有す
るプロピレンカーボネート(以下、PCと言う)を含有
する電解液を用いることが好ましい。しかしながら負極
に黒鉛材料を用いるとPCが充電中に分解するため使用
できない。その結果、PCを含有しない電解液を使用
し、黒鉛材料を負極に用いたリチウムイオン二次電池
は、PCを含有した電解液が使用可能な難黒鉛化性炭素
を負極に用いたリチウムイオン二次電池に較べて、レー
ト特性や低温特性に劣ることが問題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、高放電容量か
つ高充放電効率で高密度である黒鉛材料からなる負極
と、PCを含有する電解液を組み合わせたリチウムイオ
ン二次電池は、大容量かつレート特性、サイクル安定
性、および低温特性に優れており、その開発が求められ
ている。本発明の目的は、黒鉛材料を非水溶媒二次電池
の負極に用いる際にPCを含有する電解液を使用可能と
し、大容量かつレート特性、サイクル安定性、および低
温特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供すること
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、メソフェーズピッチをホウ
素化合物の存在下で、窒素の体積分率が1%以下の雰囲
気ガス中で黒鉛化処理された、ホウ素を含有する黒鉛粉
末であって、特定条件を満たすようなX線光電子スペク
トルを与える黒鉛粉末が、PCを含有する非水溶媒にリ
チウム塩を溶解した電解液中での充放電においてPCの
分解が起こらないことを見出した。同時に、黒鉛粉末の
X線回折におけるC軸方向の結晶子の面間隔d002
0.3360nm以下である場合、該黒鉛粉末が高い放
電容量と高充放電効率を示すことから、該黒鉛材料から
なる負極とPCを含有する非水溶媒にリチウム塩を溶解
した電解液から構成される、大容量かつレート特性、サ
イクル安定性、および低温特性に優れたリチウムイオン
二次電池を製造できることを見出し、本発明に至った。
【0006】すなわち本発明は、メソフェーズピッチを
ホウ素化合物の存在下で、窒素の体積分率が1%以下の
雰囲気ガス中で黒鉛化処理した、ホウ素を含有する黒鉛
粉末であって、X線光電子分光法(XPS)によって得
られたスペクトルにおいて、C1sの束縛エネルギーを
284.5eV、C1sピークの検出強度を100とし
た場合に、束縛エネルギー186eVから187eVの
範囲に現れるB1sピークの検出強度が0.02以上で
あると同時に、X線回折におけるC軸方向の結晶子の面
間隔d002が0.3360nm以下である黒鉛粉末を炭
素材料として使用した負極と、プロピレンカーボネート
を含有する非水溶媒にリチウム塩を溶解した電解液を用
いることを特徴とする非水溶媒二次電池である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる原料メ
ソフェーズピッチは、石油系、石炭系、合成系のいずれ
のメソフェーズピッチでも用いることができる。メソフ
ェーズピッチのフローテスター法による軟化点が150
℃以上、偏光顕微鏡観察に基づく光学的異方性含有率が
50%以上、炭化収率が70%以上のものが好ましい。
ここでいう炭化収率とは、メソフェーズピッチ粉末を不
活性ガス雰囲気下で昇温し(10℃/min)、600
℃に到達後2時間保持した場合の数値である。このよう
なメソフェーズピッチの中で、ナフタレン、メチルナフ
タレン、アントラセン、フェナントレン、アセナフテ
ン、アセナフチレン、ピレン等の縮合多環炭化水素を超
強酸触媒の弗化水素・三弗化硼素存在下で重合させて得
られる合成系メソフェーズピッチは、高い化学純度を示
し、黒鉛化性に優れ、炭素化収量もきわめて高く好適に
使用される。
【0008】本発明で用いられるホウ素含有黒鉛粉末
は、基本的に、ホウ素化合物の共存下でメソフェーズピ
ッチを黒鉛化処理することによって得られるが、原料メ
ソフェーズピッチは特開平10−121054号に示さ
れているように、炭化過程において溶融膨張や粒子同士
の溶融着が起きるため、通常、メソフェーズピッチに不
融化性を付与する前処理(熱処理あるいは酸化処理)を
施したのち黒鉛化処理を実施する。また、ホウ素化合物
の添加は不融化処理の後でもよいし、メソフェーズピッ
チの段階で溶融混練してメソフェーズピッチ中に均一分
散させておいてもよい。
【0009】メソフェーズピッチに不融性を付与する処
理は、該ピッチの性状等を考慮して適宜、最適処理条件
が選択されるが、通常熱処理の場合は、非酸化性雰囲気
下、470℃から700℃の温度で行われる。処理時間
は1時間から10時間の範囲が適当である。特開平7-
286181号には、ピッチの熱処理品を連続的に、粒
状または粉末状で製造する方法が開示されている。これ
は処理容器内に、戻し媒として予め粒状または粉末状の
メソフェーズピッチ熱処理品を仕込んでおき撹拌下原料
ピッチを加えていきながら効率的に熱処理を行なう方法
(戻し媒方式)であり、処理後の取り出し、移送時の操
作が簡単に行なえる点で工業的に有利である。酸化処理
については、酸素含有ガス流通下、通常220℃から3
50℃の温度で行われる。酸化時間は、1時間から5時
間の範囲が適当である。
【0010】粉砕処理では、一般にリチウムイオン電池
負極材料として要求される粒度を満足するように粉砕条
件を選択すればよい。通常平均粒径で1μmから50μ
mの範囲、好ましくは10μmから40μmの範囲であ
る。粉砕機については、衝撃式粉砕機やジェットミル、
マイクロアトマイザーなどから適宜、最適機種が選択さ
れ、特に限定されない。分級機についても、機械式分級
機、風力式分級機等から適宜、最適機種が選択され、限
定されない。
【0011】本発明において用いられホウ素化合物は、
特に限定されるものではない。例示するならば、ホウ素
(単体)、酸化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸エ
ステル、窒化ホウ素化合物、ホウ化ランタン、ホウ化モ
リブデンなどが挙げられ、このようなホウ素化合物を単
独、または2種類以上を混合して用いる。また、ホウ素
化合物の平均粒径は100μm以下であることが好まし
い。ホウ素化合物の添加量は、これらの種類やグラファ
イト粉末の製造条件などにより適宜、最適量が選択され
るが、通常ホウ素原子換算で出発メソフェーズピッチ重
量を100とした場合、0.5から10の範囲である。
【0012】黒鉛化処理は、非酸化性雰囲気下2000
℃以上、好ましくは2500℃以上で行なわれる。ここ
で、雰囲気ガス中の窒素の体積分率が1%以下の環境に
おいて黒鉛化処理を行うのが好ましく、さらには実質窒
素を含まないアルゴンガス等の不活性雰囲気ガス中で黒
鉛化を行うのが、後述するプロピレンカーボネートを含
有する非水溶媒にリチウム塩を溶解した電解液で構成さ
れる非水溶媒二次電池に用いられる負極炭素材料を提供
するに当たり、好ましい。
【0013】黒鉛化処理の前処理として、非酸化性雰囲
気下800℃から1600℃の温度領域で焼成すること
ができる(これを仮焼という)。この仮焼工程の後にホ
ウ素化合物を添加してもよい。ただし、この仮焼工程は
省略してもよい。
【0014】こうして得られたホウ素含有黒鉛粉末は、
そのXPSスペクトルにおいて、C1sの束縛エネルギー
を284.5eV、C1sピークの検出強度を100とし
た場合に、束縛エネルギー186eVから187eVの
範囲に現れるB1sピークの検出強度が0.02以上であ
る。このような黒鉛粉末は、電解液分解に対する抑制効
果ならびに高容量化効果を同時に発現するという特徴を
有する。
【0015】雰囲気ガス中の窒素の体積分率が1%以上
の環境において黒鉛化処理を行うと、束縛エネルギー1
91.5eV付近のB−Nのような結合の生成が大量に
認められるようになり、B1sピークの検出強度が0.0
2以下、もしくは実質検出されなくなる。このような黒
鉛粉末は、PCを含有する電解液の分解挙動が発現し、
好ましくない。ただし、現時点では上記に述べたような
黒鉛粉末のXPSスペクトルの違いが、電池特性に与え
る影響を説明するメカニズムの詳細については現段階で
ははっきりしない。
【0016】このような黒鉛粉末は、PCを含有する非
水溶媒にリチウム塩を溶解した電解液中での充放電にお
いてPCの分解が起こらず、高い放電容量と高充放電効
率を示すことから、該黒鉛材料からなる負極とPCを含
有する非水溶媒にリチウム塩を溶解した電解液から構成
され、大容量かつレート特性、サイクル安定性、および
低温特性に優れたリチウムイオン二次電池を製造でき
る。
【0017】本発明で使用される負極は、上述の炭素材
料とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフ
ッ化ビニリデン(PVDF)などの結着剤、溶媒等とを
混練して負極合剤とした後、集電体としての銅やステン
レス製の箔などに塗布、乾燥することによって作製され
る。
【0018】本発明で使用される非水溶媒としては、高
誘電率溶媒と低粘度溶媒との組み合わせからなるものが
好ましい。高誘電率溶媒としては、例えば、エチレンカ
ーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(P
C)、ブチレンカーボネート(BC)などの環状カーボ
ネート類が通常は好適に使用されているが、本発明で
は、電解液中に含まれる高誘電率溶媒のうち10容量%
以上が、低融点で誘電率が高く、低温においても高い電
気伝導を有するPCであることを特徴としている。高誘
電率溶媒中におけるPCの含有量は好ましくは20容量
%以上であり、さらに好ましくは40容量%以上であ
る。高誘電率溶媒のうちPC以外の成分は、上述のE
C、BC、等を一種類、あるいは二種類以上組み合わせ
て使用される。
【0019】低粘度溶媒としては、例えば、ジメチルカ
ーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(M
EC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カ
ーボネート類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、γ−
ブチルラクトンなどのラクトン類、アセトニトリルなど
のニトリル類、プロピオン酸メチルなどのエステル類、
ジメチルホルムアミドなどのアミド類が挙げられる。こ
れらの低粘度溶媒は一種類で使用してもよく、また二種
類以上組み合わせて使用しても良い。高誘電率溶媒と低
粘度溶媒とはそれぞれ任意に選択され組み合わせて使用
される。なお、高誘電率溶媒と低粘度溶媒は、通常、容
量比で(高誘電率溶媒:低粘度溶媒)1:9〜4:1程
度で使用される。
【0020】本発明で使用される電解質としては、例え
ば、LiPF6、LiBF6、LiClO4、LiN(S
2CF32などが挙げられる。これらの電解質は、一
種類で使用してもよく、また二種類以上組み合わせて使
用しても良い。これら電解質は、前期の非水溶媒に通常
0.1〜3mol/l、好ましくは0.5〜1.5mol/lの濃
度で溶解されて使用される。
【0021】本発明で使用される正極材料としては、例
えば、コバルト、マンガン、クロム、ニッケル、鉄およ
びバナジウム等からなる群より選ばれる少なくとも一種
類の金属とリチウムとの複合金属酸化物が使用される。
このような複合金属酸化物としては、例えば、LiCo
2、LiMn24、LiNiO2などが挙げられる。正
極は、前期の正極材料をアセチレンブラック、カーボン
ブラックなどの導電剤およびポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)な
どの結着剤、溶媒等と混練して正極合剤とした後、集電
体としてのアルミニウムやステンレス製の箔などに塗
布、乾燥することによって作製される。
【0022】リチウム二次電池の構造は特に限定される
ものではなく、一般には、正極、負極および単層または
複層のセパレータを有するコイン型電池、さらに、正
極、負極およびロール状のセパレータを有する円筒型電
池や角型電池などが一例として挙げられる。セパレータ
としてはポリオレフィンの微多孔膜、織布、不織布など
が使用される。また、上述の電解質とPCを含む溶媒で
構成された電解液をポリアクリロニトリルやポリエチレ
ンオキシド等の高分子に含浸させたゲル状セパレータお
よび電解質も使用可能である。
【0023】
【実施例】以下、実施例ならびに比較例により、本発明
をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施
例により、なんら制限されるものではない。
【0024】実施例1 超強酸触媒HF-BF3の存在下、ナフタレンを重合させ
て得られたメソフェーズピッチ(フローテスター法によ
る軟化点240℃、光学的異方性相含有率100%)を
熱処理するため、炭化炉中で窒素雰囲気下5℃/分で5
40℃まで昇温しこの温度で2時間保持した。室温まで
冷却し取りだしたところ顕著に溶融発泡していた(収率
90%)。この熱処理物を粉砕し平均粒径30μmとし
た。この粉末に対して炭化硼素(B4C)粉末(平均粒
子径20μm)2重量%を加えメタノール溶媒中で超音
波分散した。溶媒除去後、窒素雰囲気下5℃/分で昇温
し1200℃に到達後2時間保持して仮焼を行なった。
この際、粒子の溶融や粒子同士の接着は見られなかっ
た。引き続きアルゴン雰囲気下(窒素の体積分率0.0
1%)、3000℃で1時間の黒鉛化処理を実施した。
こうして得られたグラファイト粉末について、X線光電
子分光法による表面分析を行なった。装置はV.G.Sc
ientific社製 ESCA LAB MK■を使用
した。測定はX線源として、Mg-Kαを用い10kV-
20mAの条件で行なった。帯電シフト補正は観測され
るC1sスペクトルのピークトップを284.5eVとし
て行なった。C1sピークの検出強度を100とすると、
束縛エネルギー186.5eVに現れたB1sピークの検
出強度は0.17であった。この他、束縛エネルギー1
88.0eVにピークが見られ(検出強度:0.23)
B4Cの存在が示唆された。さらに束縛エネルギー19
1.5eVにもピークが観測された(検出強度:0.5
7)。これはB-Nのような結合が生成したことを示唆
するものである。また、X線回折におけるC軸方向の結
晶子の面間隔d002は0.3351nmであった。得
られた炭素材料90重量部に、ポリフッ化ビニリデン粉
末10重量部(バインダー)を加え、ジメチルホルムア
ミドを溶媒として配合・混合した後、銅箔上に塗布し、
乾燥後1cm角に切り出して、評価用試験片とした。次
いで、LiPF6をプロピレンカーボネート/エチレン
カーボネート/メチルエチルカーボネート(PC/EC
/MEC)の容量比が、1/1/4である混合溶媒に溶
解した溶液(濃度1.2mol/l)を電解液とし、厚さ50
μmのポリプロピレン製微孔膜をセパレーターとするハ
ーフセルを作製した。なお、対極として直径16mm、
厚さ0.5mmのリチウム金属を使用した。また、参照
極として対極と同様にリチウム金属の小片を使用した。
電流密度0.2mA/cm2で参照極に対する評価用試
験片の電極電位が10mVになるまで定電流充電を行っ
た。次いで、電流密度0.2mAh/cm2で参照極に
対する評価用試験片の電極電位が1.5Vまで定電流放
電を行ったところ、充電容量が354mAh/g、放電
容量が338mAh/gであり、充放電効率は95%で
あった。
【0025】実施例2 実施例1で用いたのと同じメソフェーズピッチに平均粒
径20ミクロンの炭化ホウ素を2重量%添加の上、混練
し、メソフェーズピッチを得た。該ピッチを熱処理す
るため、窒素雰囲気下5℃/minで530℃まで昇温
し、この温度で1時間保持した。室温まで冷却したの
ち、粉砕することで平均粒径が約0.5mmのメソフェ
ーズピッチ熱処理品を得た。次に、撹拌機を装備した
直径170mm、高さ170mmの漕型反応器の中に、
この熱処理品200gを戻し媒として予め仕込み、撹
拌しながら、窒素気流下550℃に昇温した。ここへ、
該メソフェーズピッチを毎分10gの速度で反応器に
加え、全体で300g投入した。投入終了後、550℃
で10分間保持した後、反応器を冷却し内容物を取り出
したところ、400gの粒状の熱処理品が得られた。そ
の中の200gを次回の戻し媒として用い、同じ操作を
7回繰り返し、約99%の置換率のメソフェーズピッチ
熱処理品を得た。得られた熱処理品を衝撃式粉砕器
により平均粒径15μmに粉砕した。該粉末を窒素雰囲
気下5℃/minで昇温し、1000℃に到達後10分
保持して仮焼を行なった。この際、粒子の溶融や粒子間
接着は全く見られなかった。引き続きアルゴン雰囲気下
(窒素の体積分率0.01%)、3000℃で1時間の
黒鉛化処理を実施した。こうして得られた黒鉛粉末につ
いて、実施例1と同一測定条件下でX線光電子分光法に
よる表面分析を行なったところ、束縛エネルギー18
6.5eVに現れたB1sピークの検出強度は0.18で
あった。なお、束縛エネルギー188.0eVにはピー
クが認められなかったが、191.5eVにはピークが
見られた(検出強度:1.19)。また、X線回折にお
けるC軸方向の結晶子の面間隔d002は0.3352
nmであった。実施例1と同様に、該黒鉛粉末のリチウ
ム電池負極性能をLiPF6をプロピレンカーボネート
/エチレンカーボネート/メチルエチルカーボネート
(PC/EC/MEC)の容量比が、1/1/4である
混合溶媒に溶解した溶液(濃度1.2mol/l)を電解液を
用いて実施したところ、充電容量が359mAh/g、
放電容量が329mAh/gであり、充放電効率は92
%であった。
【0026】比較例1 実施例1と同一の原料メソフェーズピッチを用いて、硼
素化合物を添加しないで実施例1と同様の処理を行な
い、室温まで冷却したのち、数mmの大きさに粗粉砕し
た。次に、窒素雰囲気下5℃/minで昇温し、100
0℃に到達後10分保持して仮焼し、引き続きアルゴン
雰囲気下(窒素の体積分率0.01%)、3000℃で
1時間の黒鉛化処理を実施した。黒鉛化処理した粗粉を
ジェットミルにより平均粒径15μmに粉砕した。X線
回折におけるC軸方向の結晶子の面間隔d002は0.3
356nmであったが、得られたグラファイト粉末のX
PS分析を行なった結果、B1sに由来する束縛エネルギ
ーのピークは全く検出されなかった。実施例1と同様
に、LiPF6をPC/EC/MECの容量比が1/1
/4である混合溶媒に溶解した溶液(濃度1.2mol/l)
を電解液とし、この炭素材料のリチウム電池負極性能を
測定したところ、充電容量が713mAh/g、放電容
量が321mAh/gであり、充放電効率が45%と低
かった。
【0027】比較例2 実施例1と同じ原料を、窒素雰囲気下に3000℃で1
時間黒鉛化処理した。こうして得られた黒鉛粉末のX線
回折におけるC軸方向の結晶子の面間隔d002は0.
3353nmであったが、実施例1と同一測定条件下で
X線光電子分光法による表面分析を行なったところ、束
縛エネルギー186.5eVに現れたB1sピークの検出
強度は0.01以下で明瞭には観測されず、191.5
eVのみに大きなピークが見られた(検出強度:5.2
9)。実施例1と同様に、該黒鉛粉末のリチウム電池負
極性能をLiPF6をプロピレンカーボネート/エチレ
ンカーボネート/メチルエチルカーボネート(PC/E
C/MEC)の容量比が、1/1/4である混合溶媒に
溶解した溶液(濃度1.2mol/l)を電解液を用いて実施
したところ、充電容量が473mAh/g、放電容量が
329mAh/gであり、充放電効率は70%であっ
た。
【0028】比較例3 実施例2と同じ原料を、窒素雰囲気下に3000℃で1
時間黒鉛化処理した。こうして得られた黒鉛粉末のX線
回折におけるC軸方向の結晶子の面間隔d002は0.
3357nmであったが、実施例1と同一測定条件下で
X線光電子分光法による表面分析を行なったところ、束
縛エネルギー186.5eVに現れたB1sピークの検出
強度は0.01以下で明瞭には観測されず、191.5
eVのみに大きなピークが見られた(検出強度:4.1
7)。実施例1と同様に、該黒鉛粉末のリチウム電池負
極性能をLiPF6をプロピレンカーボネート/エチレ
ンカーボネート/メチルエチルカーボネート(PC/E
C/MEC)の容量比が、1/1/4である混合溶媒に
溶解した溶液(濃度1.2mol/l)を電解液を用いて実施
したところ、充電容量が521mAh/g、放電容量が
319mAh/gであり、充放電効率は61%であっ
た。
【0029】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明により、
黒鉛材料を負極に用いるに当たってPCを含む電解液が
分解すると言う問題を克服して高い放電容量と高充放電
効率を実現した黒鉛粉末からなる負極が得られる。該負
極とPCを含有する非水溶媒にリチウム塩を溶解した電
解液を使用することで、大容量かつレート特性、サイク
ル安定性、および低温特性に優れたリチウムイオン二次
電池を製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 斉 茨城県つくば市和台22番地 三菱瓦斯化学 株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4G046 EA02 EA03 EA06 EB01 EB02 EB04 EC02 EC06 5H029 AJ03 AJ05 AK03 AL07 AM03 AM07 CJ02 CJ28 DJ16 DJ17 HJ13 5H050 AA06 AA07 AA08 BA17 CA08 CA09 CB08 EA10 EA24 FA17 FA19 GA02 GA27 HA13

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メソフェーズピッチをホウ素化合物の存在
    下で、窒素の体積分率が1%以下の雰囲気ガス中で黒鉛
    化処理した、ホウ素を含有する黒鉛粉末であって、X線
    光電子分光法(XPS)によって得られたスペクトルに
    おいて、C1sの束縛エネルギーを284.5eV、C
    1sピークの検出強度を100とした場合に、束縛エネ
    ルギー186eVから187eVの範囲に現れるB1s
    ピークの検出強度が0.02以上であると同時に、X線
    回折におけるC軸方向の結晶子の面間隔d002が0.3
    360nm以下である黒鉛粉末を炭素材料として使用し
    た負極と、プロピレンカーボネートを含有する非水溶媒
    にリチウム塩を溶解した電解液を用いることを特徴とす
    る非水溶媒二次電池。
  2. 【請求項2】メソフェーズピッチが、縮合多環式炭化水
    素またはこれを含有する物質を弗化水素・三弗化硼素の
    存在下で重合させて得られたものである請求項1に記載
    の非水溶媒二次電池。
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