JP2000149934A - 水素化物二次電池とその製造方法 - Google Patents

水素化物二次電池とその製造方法

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JP2000149934A JP11140841A JP14084199A JP2000149934A JP 2000149934 A JP2000149934 A JP 2000149934A JP 11140841 A JP11140841 A JP 11140841A JP 14084199 A JP14084199 A JP 14084199A JP 2000149934 A JP2000149934 A JP 2000149934A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極の利用率と貯蔵特性にすぐれ、また低価
格化、低資源化をはかれる水素化物二次電池の製造方法
を提供する。 【解決手段】 A)水酸化ニツケルとコバルトまたはコ
バルト化合物を含有するペ―ストを導電性多孔基材に担
持させて圧縮成形する工程と、B)この成形体を亜鉛ま
たは亜鉛化合物を溶解させたアルカリ水溶液中に浸漬処
理する工程と、C)この浸漬処理後にアルカリ水溶液中
で上記成形体に正の電位をかけて電圧処理する工程と、
D)電圧処理後の上記成形体をアルカリ水溶液が付着し
た状態で乾燥する工程とを設けて、水酸化ニツケルの粒
子表面に亜鉛−コバルト複合化合物の層を有し、かつこ
の層が亜鉛:コバルトの原子比が1:15〜1:40の
下層と同原子比が1:2.5〜1:3.5の上層とから
なるペ―スト式ニツケル正極を作製することを特徴とす
る水素化物二次電池の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正極の活物質とし
てペ―スト式水酸化ニツケルを用いた水素化物二次電池
とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金を用いた水素化物二次電池
は、ニツケル極を正極に、アルカリ水溶液中で電気化学
的に水素の吸蔵、放出を行う能力を有するLaNi5
やTi−Ni系などの水素吸蔵合金を負極に用いてお
り、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたは水酸化ナト
リウムを主成分としたアルカリ水溶液中において、正極
では、つぎの式のように電池反応が起こる。 放電 (正極) Ni(OH)2 +OH- ← β−NiOOH+H2 O+e- → 充電 すなわち、この反応式において、充電では、反応は右に
進み、アルカリ水溶液中の水を電気分解して、水酸基を
生じ、この水酸基と正極であるNi(OH)2とが反応
して、β−NiOOHとなり、水を生じる。また、放電
の場合は、反応は左に進み、上記と逆の反応となる。
【0003】ニツケル極としては、特開平1−2273
63号公報などに開示のように、高容量化や低価格化の
ために、空孔率が95%以上、孔径が数μm〜100μ
m程度の導電性多孔基材を用い、これに水酸化ニツケル
を主体とする活物質スラリ―を担持させる、いわゆるペ
―スト式が知られている。
【0004】しかし、ペ―スト式電極は、焼結式電極に
比べて基材の孔径が大きいため、活物質の集電体までの
距離が長く、利用率や負荷特性に劣る。この利用率を向
上させるため、「湯浅時報」No.65、第28頁(1
988年)や、特開平4−59658号公報などには、
正極中にニツケル粉末、コバルト粉末またはコバルト化
合物粉末などの導電助剤を加えたり、導電性多孔基材に
充填したのち、アルカリ水溶液に浸漬し、加熱工程を経
ることなどが提案されている。
【0005】また、ペ―スト式正極は、焼結式に比べ、
サイクル中に充放電による膨張収縮が大きく、充電しに
くいγタイプのオキシ水酸化ニツケルに変化しやすいた
め、サイクル特性が劣るという問題や、対極の合金から
溶出、析出する金属の影響を受けやすく、高温貯蔵後の
容量劣化を招きやすい。このため、特公平4−1373
68号公報には、正極ペ―ストに亜鉛化合物を添加し
て、貯蔵中の正極のコバルトネツトワ―クの破壊を抑制
する方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水酸化
ニツケルを主体とするペ―スト中にコバルト粉末などの
導電助剤を加えたり、この正極ペ―ストや電解液中にさ
らに亜鉛を添加して、正極の利用率を向上させたり、サ
イクル特性を改善しようとしても、期待したほどの効果
は得られず、また貯蔵特性の改善効果はほとんど望めな
い。しかも、正極ペ―スト中に添加される亜鉛は、コバ
ルトと異なり、導電性がないため、これを添加すること
により、正極の利用率を低下させることになる。また、
正極の製造に際して、水酸化ニツケルに亜鉛を含ませた
ペ―ストを導電性多孔基材に充填したのち、アルカリ水
溶液に浸漬すると、このアルカリ水溶液中に亜鉛酸化物
が溶出しやすく、亜鉛の添加効果が十分に得られなくな
る。
【0007】さらに、亜鉛の溶出量を考慮して、アルカ
リ水溶液中の亜鉛濃度を高くし、亜鉛の添加量を増加す
ることも考えられるが、利用率の向上のために、所定量
以上は正極に添加できず、またそのように多量の亜鉛を
添加することによつて、コバルトネツトワ―クの破壊抑
制に全く寄与しない不要な亜鉛を生ずることになり、価
格上および資源上、好ましいものとはいえない。
【0008】このように、従来から、水酸化ニツケルを
活物質とした正極ペ―スト中にコバルト化合物を添加す
ることで、導電性のネツトワ―クを形成し、これにより
正極の利用率を向上させることが行われてきたが、高温
貯蔵時に上記導電性のネツトワ―クが破壊されやすく、
貯蔵特性が低下する問題があつた。また、上記導電性の
ネツトワ―クを保護するために、正極ペ―スト中に亜鉛
を添加すると、正極の利用率が低下するとともに、ネツ
トワ―ク形成のためのアルカリ浸漬処理で亜鉛が溶出
し、所期の効果が得られなくなる問題があつた。さら
に、上記亜鉛の添加量を多くすると、価格上や資源上の
問題を無視できなかつた。
【0009】本発明は、このような事情に照らし、ペ―
スト式ニツケル正極における活物質間の導電性を確保し
て、正極の利用率を向上するとともに、貯蔵特性も改善
した水素化物二次電池を提供すること、また低価格化、
低資源化をはかれる上記水素化物二次電池を提供するこ
とを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、鋭意検討した結果、活物質である水
酸化ニツケルにコバルト粉などの導電助剤を添加した正
極ペ―ストを導電性多孔基材に充填し、これを亜鉛など
を溶解させたアルカリ水溶液に浸漬し、加熱工程を経る
などして、導電性のネツトワ―クを形成するにあたり、
上記の浸漬処理後、同水溶液中で特定の電圧処理を施す
ようにしたときに、水酸化ニツケルの表面にコバルトリ
ツチな下層と亜鉛リツチな上層とからなる2層構成の亜
鉛−コバルト複合化合物の層が形成されることを知つ
た。
【0011】このような亜鉛−コバルト複合化合物の層
が形成されると、コバルトリツチな下層が高い導電性を
付与して、正極の集電性を高めて利用率を向上させ、一
方、亜鉛リツチな上層が高温貯蔵時でのコバルトの還元
を抑制して、上記の導電性を維持しつつ耐還元性にすぐ
れたネツトワ―クの形成を可能とし、これにより、高い
正極利用率とともに、すぐれた高温貯蔵特性を有する水
素化物二次電池が得られることを知つた。また、このよ
うな正極の作製方法によると、亜鉛の添加量を低減で
き、低価格化、低資源化にも貢献できることがわかつ
た。
【0012】本発明は、以上の知見に基づいて、完成さ
れたものである。すなわち、本発明は、水酸化ニツケル
を活物質とするペ―スト式ニツケル正極と水素吸蔵合金
よりなる負極とアルカリ水溶液よりなる電解液とセパレ
―タを有する水素化物二次電池において、上記のペ―ス
ト式ニツケル正極は、水酸化ニツケルの粒子表面に亜鉛
−コバルト複合化合物の層を有し、かつこの層が亜鉛:
コバルトの原子比が1:15〜1:40の下層と同原子
比が1:2.5〜1:3.5の上層とからなることを特
徴とする水素化物二次電池(請求項1)、とくに、上記
の水酸化ニツケルが結晶中に亜鉛または/およびコバル
トが固溶されてなる上記構成の水酸化物二次電池(請求
項2)に係るものである。
【0013】また、本発明は、上記水素化物二次電池の
製造法として、ペ―スト式ニツケル正極の作製にあた
り、A)水酸化ニツケルとコバルトまたはコバルト化合
物を含有するペ―ストを導電性多孔基材に担持させて圧
縮成形する工程と、B)この成形体を亜鉛または亜鉛化
合物を溶解させたアルカリ水溶液中に浸漬処理する工程
と、C)この浸漬処理後にアルカリ水溶液中で上記成形
体に正の電位をかけて電圧処理する工程と、D)電圧処
理後の上記成形体をアルカリ水溶液が付着した状態で乾
燥する工程とを設けて、水酸化ニツケルの粒子表面に亜
鉛−コバルト複合化合物の層を有し、かつこの層が亜
鉛:コバルトの原子比が1:15〜1:40の下層と同
原子比が1:2.5〜1:3.5の上層とからなるペ―
スト式ニツケル正極を作製することを特徴とする水素化
物二次電池の製造方法(請求項3)、とくに、上記のA
工程において、水酸化ニツケルとコバルトまたはコバル
ト化合物を含有するペ―スト中にさらに亜鉛または亜鉛
化合物を添加する上記構成の水酸化物二次電池の製造方
法(請求項4)に係るものである。
【0014】なお、本発明において、亜鉛−コバルト複
合化合物の層における上記原子比は、EDX(エネルギ
―分散型X線分析器:kevex社製「kevex s
igma EDX」、電子加速電圧200keV、測定
面積0.01μm2 )により、水酸化ニツケルの粒子断
面の母層(水酸化ニツケル)、コバルトリツチな下層お
よび亜鉛リツチな上層における亜鉛とコバルトの存在量
を算出し、検量線法により、その比を求めたものであ
る。ここで、検量線は、発光分光分析法(ICP法、日
本ジヤ―レル・アツシユICP727、シングルモ―
ド)により、亜鉛とコバルトの総量を測定した亜鉛とコ
バルトの固容量の異なる水酸化ニツケルを用いて作製す
ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のペ―スト式ニツケル正極
において、水酸化ニツケルの粒子表面には、図1に示す
ように、母層(水酸化ニツケル)1上に亜鉛−コバルト
複合化合物の層2が形成され、この層2はコバルトリツ
チな下層21と亜鉛リツチな上層22とから構成されて
いることを特徴とする。この図1は、実施例1で作製し
たペ―スト式ニツケル正極における水酸化ニツケルのT
EM(透過型電子顕微鏡)による断面構造(倍率:30
0,000倍の写真)を示したものである。
【0016】コバルトリツチな下層21において、亜
鉛:コバルトの原子比は1:15〜1:40、好適には
1:20〜1:35である。このような原子比に設定す
ると、正極の導電性にすぐれて、活物質である水酸化ニ
ツケルの利用率を向上できる。また、亜鉛リツチな上層
22において、亜鉛:コバルトの原子比は1:2.5〜
1:3.5、好適には1:2.7〜1:3.4である。
このような原子比に設定すると、導電性の低減でコバル
トの還元が抑制され、高温貯蔵中での導電性のネツトワ
―クの破壊を防止できるとともに、下層の導電性の高い
コバルトリツチ層を保護して、利用率を維持しつつ、高
温貯蔵特性を向上できる。
【0017】このようなペ―スト式ニツケル正極は、
A)水酸化ニツケルとコバルトまたはコバルト化合物を
含有するペ―ストを導電性多孔基材に担持させて圧縮成
形する工程と、B)この成形体を亜鉛または亜鉛化合物
を溶解させたアルカリ水溶液中に浸漬処理する工程と、
C)この浸漬処理後にアルカリ水溶液中で上記成形体に
正の電位をかけて電圧処理する工程と、D)電圧処理後
の上記成形体をアルカリ水溶液が付着した状態で乾燥す
る工程とにより、作製される。
【0018】A工程では、正極の活物質である水酸化ニ
ツケル粉末に、導電助剤としてコバルト粉末またはコバ
ルト酸化物、コバルト塩化物、コバルト錯体などのコバ
ルト化合物粉末を加え、さらにカルボキシルメチルセル
ロ―ス、ポリテトラフルオロエチレンなどのバインダを
混練して、ペ―スト化し、これをニツケル発泡体などの
導電性多孔基材に担持させ、乾燥して、圧縮成形する。
【0019】上記のペ―スト化にあたり、導電性を向上
するために、他の導電助剤として、粒子径3μm以下の
ニツケル粉末を加えることができる。また、水酸化ニツ
ケルの粒子表面に形成する亜鉛−コバルト複合化合物の
層における亜鉛:コバルトの原子比の調整を容易にする
ため、B工程のアルカリ水溶液中に添加する亜鉛または
亜鉛化合物を上記ペ―スト中にも加えることができる。
【0020】水酸化ニツケル粉末は、従来から公知のも
のを使用できるが、その中でも、水酸化ニツケルの結晶
中に亜鉛が1〜5重量%または/およびコバルトが0.
5〜2重量%固溶されたものは、B工程のアルカリ浸漬
処理時に上記固溶された亜鉛やコバルトが水酸化ニツケ
ルの粒子表面に溶出し、下層の亜鉛:コバルトの原子比
の調整が容易となり、また上記溶出によりペ―ストおよ
びアルカリ水溶液に添加する亜鉛または亜鉛化合物の量
を低減できるので、好ましい。
【0021】また、このような水酸化ニツケル粉末の粒
子構造としては、利用率を向上するために、微細な細孔
構造を有しているのが好ましく、細孔半径のピ―ク値が
10Å以下であるのがとくに好ましい。なお、上記の細
孔半径とは、窒素吸着法(ユアサアイオニクス、オ―ト
ソ―プ1)で試料1gを80℃で10-3Torr以下ま
で真空引きする前処理を行つたものを測定細孔径1〜1
00Å(MP+BJH法)、測定時間127分で、相対
圧力(P/Po)0.995以上まで窒素ガスを吸着さ
せたのち、脱離剤で測定したときの値である。
【0022】B工程では、上記のように圧縮成形した成
形体を、亜鉛または亜鉛化合物を溶解させたアルカリ水
溶液中に浸漬処理する。アルカリ水溶液は、水に水酸化
カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリを20〜4
0重量%の濃度に溶解させ、これに3重量%以下、好ま
しくは1重量%以下の濃度で亜鉛または亜鉛酸化物、亜
鉛塩化物、亜鉛錯体などの亜鉛化合物を添加したものが
用いられる。
【0023】この浸漬処理により、成形体中のコバルト
化合物の溶解析出が生じ、成形体中で水酸化ニツケルを
つなぐ水酸化コバルトのネツトワ―クが形成され、アル
カリ水溶液中にはコバルトイオンが飽和する。この際の
処理温度としては、コバルトのネツトワ―クの形成を十
分かつ円滑に進めるとともに、活物質である水酸化ニツ
ケルの脱落を防止するため、40〜100℃とするのが
好ましく、50〜80℃とするのがより好ましい。ま
た、同様の理由で、浸漬処理時間としては、5〜120
分が好ましく、20〜100分がより好ましい。
【0024】C工程では、上記の浸漬処理後に、さらに
アルカリ水溶液中で電圧処理する。これは、アルカリ水
溶液を入れた浴槽(ステンレス)をマイナス極とし、成
形体(正極)をプラス極として、電圧を印加する、つま
り、上記成形体に対して正の電位をかけるようにすれば
よい。こうすることにより、アルカリ水溶液中に溶解し
た亜鉛イオンとコバルトイオンが水酸化コバルトのネツ
トワ―ク上や水酸化ニツケルの表面に集積し、電位をか
けることで微少電流が流れ、コバルト化合物やコバルト
−亜鉛複合化合物が酸化され、より結晶性の高い、安定
した亜鉛−コバルト複合化合物のネツトワ―クを形成で
きる。
【0025】このネツトワ―ク形成時の条件は、水酸化
ニツケルの粒子表面への亜鉛の集積効率を向上させ、ま
たコバルト化合物の酸化を十分に進ませて、結晶性にす
ぐれる亜鉛−コバルト複合化合物のネツトワ―クとし、
さらにこの層の原子比を調整するためにも、電圧がHg
/HgOに対して0.1〜0.4Vであるのが好まし
く、0.2〜0.3Vであるのがより好ましい。また、
操作時間としては、生産性の点より、1〜10分が好ま
しく、3〜8分がより好ましい。
【0026】D工程では、上記のように電圧処理したの
ち、アルカリ水溶液が付着した状態で乾燥する。この乾
燥により、水酸化コバルトのネツトワ―ク上や水酸化ニ
ツケル粒子の表面の亜鉛とコバルトの複合化合物がより
強固で高次な酸化物となる。この乾燥の温度は、上記酸
化を十分に行うとともに、導電性のないCo3 4 の生
成を抑制するために、40〜100℃とするのが好まし
く、50〜80℃とするのがより好ましい。また、同様
の理由で、乾燥の時間は、5〜120分とするのが好ま
しく、30〜90分とするのがより好ましい。
【0027】その後、水洗し、乾燥すると、本発明のペ
―スト式ニツケル正極が得られる。この正極は、これに
含まれる活物質である水酸化ニツケルの粒子表面に前記
したコバルトリツチな下層と亜鉛リツチな上層とからな
る2層構成の亜鉛−コバルト複合化合物の層が形成され
ており、この特異な構成により、導電性にすぐれて高い
利用率を示し、かつ高温貯蔵性にすぐれたものとなる。
【0028】本発明の負極に用いる水素吸蔵合金として
は、とくに制限されるものではないが、たとえば、Mm
(La、Ce、Nd、Pr)−Ni系、Ti−Ni系、
Ti−NiZr(Ti2-x Zrx 4-y Niy 1-z
z 系(x=0〜1.5、y=0.6〜3.5、z=
0.2以下)、Ti−Mn系、Zr−Mn系などの各種
の水素吸蔵合金が挙げられる。これらの水素吸蔵合金の
粒子径としては、通常、100μm以下であるのが好ま
しい。
【0029】なお、上記の水素吸蔵合金の中でも、とく
にMm(La、Ce、Nd、Pr)−Ni系であつて、
Niの一部をMn、Co、Al、Mg、CuおよびCr
の中から選択される少なくとも1種の元素で置換した水
素吸蔵合金が好ましく、またMm中の希土類元素のLa
などの含有量を多くした高容量の非化学量論組成の水素
吸蔵合金(たとえば、Mm1に対して、他のNi、M
n、Co、Al、Mgなどの元素の合計量が5.02〜
5.45である水素吸蔵合金)が好ましい。この水素吸
蔵合金は、低い水素平衡圧で高容量化が期待でき、水素
吸蔵合金として好ましいものであるが、表面に添加金属
が多く存在するため、通常では、高温貯蔵時に添加金属
の溶出が多く、正極活物質の利用率の低下が生じやす
い。しかし、このような水素吸蔵合金と前記した耐還元
性にすぐれた水酸化ニツケルと組み合わせて使用する
と、上記問題も低減でき、本発明にとくに有効である。
【0030】本発明の負極は、上記の水素吸蔵合金とバ
インダとを、必要によりニツケル粉末などの導電助剤と
ともにペ―スト化し、これをニツケル発泡体基材などに
担持させ、乾燥したのち、圧縮成形しシ―ト状に裁断す
ることによつて作製される。バインダは、水素吸蔵合金
を結着できる機能を有する限り、とくに制限なく使用で
きる。具体的には、ポリエチレンフルオロエチレン、ポ
リエチレン、ポリオレフイン、ポリビニルアルコ―ル、
ポリアクリル酸、ポリテトラフロオロエチレン、ポリエ
チレンオキサイド、ポロビニルピロリドン、メチルセル
ロ―ス、カルボキシメチルセルロ―スなどが挙げられ
る。それらの中でも、とくにポリエチレンオキサイド、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコ―ル、メチル
セルロ―ス、カルボキシメチルセルロ―スなどの水溶性
高分子が好ましい。
【0031】本発明においては、上記のペ―スト式ニツ
ケル正極および負極を用い、この正負両極とさらにこれ
らを分離するナイロン不織布などのセパレ―タを電池缶
内に装填するとともに、電解液として水酸化ナトリウム
や水酸化カリウムなどの水溶液にLiOHなどの電解質
を溶解させたアルカリ水溶液を注入することにより、水
素化物二次電池を得ることができる。
【0032】本発明の水素化物二次電池においては、上
記の電解液中にさらに亜鉛または亜鉛化合物を共存させ
たものを用いるのが好ましい。このような電解液を用い
ることにより、亜鉛−コバルト複合化合物のネツトワ―
ク中から電解液中への溶出を防止でき、コバルトの還元
を抑制することにより、正極の利用率と高温貯蔵特性を
さらに向上させることができる。電解液中に添加する亜
鉛または亜鉛化合物の添加量としては、上記の効果を得
るためにも、電解液に対して酸化亜鉛換算で1重量%以
上飽和濃度以下とするのが好ましい。
【0033】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明する。以下において、部とあるのは重量部を
意味するものとする。
【0034】実施例1 市販のMm(La、Ce、Nd、Pr)、Ni、Co、
Mn、AlおよびMo(いずれも純度99.9重量%以
上)の各試料を、Mm(La:0.32原子%、Ce:
0.48原子%、Nd:0.15原子%、Pr:0.0
4原子%)、Ni:3.55原子%、Co:0.75原
子%、Mn:0.4原子%、Al:0.3原子%、M
o:0.04原子%の組成(Mm1に対して、Ni、C
o、Mn、AlおよびMoの合計量が5.04)になる
ように、高周波溶解炉によつて加熱溶解し、水素吸蔵合
金を得た。この合金を耐圧容器中で10-4Torrまで
真空引きを行い、アルゴンガスで3回パ―ジを行つたの
ち、水素圧力14kg/cm2 で24時間保持し、水素を排
気し、さらに400℃で加熱し、水素を完全に放出する
ことにより、20〜100μmの粉末を得た。
【0035】この合金粉末100部に、3重量%のカル
ボキシメチルセルロ―ス水溶液50部、60重量%のポ
リテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)分
散液5部、カルボニルニツケル粉末10部を混合し、ペ
―ストを調製した。このペ―ストをニツケル発泡体基材
に充填担持させ、乾燥後、圧縮成形した。その後、所定
サイズに裁断して、負極シ―トとした。
【0036】これとは別に、水酸化ニツケル粉末(結晶
中に亜鉛が2重量%、コバルトが1重量%固溶され、細
孔半径のピ―ク値が8Åである)100部に、ニツケル
粉末10部、コバルト粉末10部、酸化亜鉛1部、2重
量%のカルボキシメチルセルロ―ス水溶液5部、60重
量%のPTFE分散液5部を混合し、ペ―ストとした。
このペ―ストをニツケル発泡体基材に充填担持させ、8
0℃で2時間乾燥後、1トン/cm2 で圧縮成形して、シ
―ト状とした。つぎに、このシ―ト状物を、酸化亜鉛を
1重量%溶解させた70℃のアルカリ水溶液(水酸化カ
リウムの30重量%水溶液)に60分間浸漬処理し、さ
らに70℃の状態で浴槽(ステンレス)をマイナス極と
し、シ―ト状物からなる電極をプラス極として、電圧処
理した。電圧はHg/HgOに対して0.25Vとし、
5分間通電した。ついで、アルカリ水溶液が付着した状
態で70℃で60分間乾燥した。その後、水洗し、乾燥
し、所定サイズに裁断して、正極シ―トとした。
【0037】この正極シ―トについて、その一部を粉砕
し、活物質である水酸化ニツケルを取り出し、これをス
ライスして、TEM−EDX分析を行つた。その結果、
図1(倍率:300,000倍の写真)に示すように、
水酸化ニツケルの粒子表面にコバルトリツチな下層と亜
鉛リツチな上層とからなる2層構成の亜鉛−コバルト複
合化合物の層が形成されていた。各層の亜鉛:コバルト
の原子比をEDXにより分析したところ、下層が1:2
5、上層が1:3であつた。
【0038】上記の負極シ―トと正極シ―トをナイロン
不織布製のセパレ―タを介して捲回し、単3サイズの電
極缶に入れ、電解液を注入した。電解液としては、30
重量%水酸化カリウム水溶液1リツトルにLiOHを1
7g溶解させたアルカリ水溶液に酸化亜鉛を3重量%添
加したものを用いた。樹脂製封口体に正極タブをスポツ
ト溶接し、負極の最外周部分は缶の側面に接触させたの
ち、密封した。これを60℃で17時間保存し、0.1
C(120mA)で15時間放電し、0.2C(220
mA)で1.0Vまで放電した。このサイクルを放電容
量が一定になるまで繰り返し、水素化物二次電池を作製
した。
【0039】実施例2 実施例1の正極シ―トの作製において、水酸化ニツケル
として、結晶中に亜鉛が3.5重量%、コバルトが0.
5重量%固溶され、細孔半径のピ―ク値が6Åであるも
のを使用し、アルカリ水溶液中の浸漬処理を80℃で4
5分間とし、また電圧処理として80℃の状態で0.3
5Vで8分間通電させ、さらにアルカリ水溶液が付着し
た状態の乾燥を80℃で45分間とした以外は、実施例
1と同様にして、水素化物二次電池を作製した。正極シ
―トの一部を粉砕し、活物質である水酸化ニツケルを取
り出し、これをスライスして、TEM−EDX分析を行
つた結果、水酸化ニツケルの粒子表面にコバルトリツチ
な下層と亜鉛リツチな上層とからなる2層構成の亜鉛−
コバルト複合化合物の層が形成されていた。また、各層
の亜鉛:コバルトの原子比をEDXにより分析したとこ
ろ、下層が1:35、上層が1:2.8であつた。
【0040】実施例3 実施例1の正極シ―トの作製において、ペ―スト調製時
に酸化亜鉛を添加せず、アルカリ水溶液中の酸化亜鉛濃
度を3重量%とし、このアルカリ水溶液中の浸漬処理を
50℃で100分間とし、また電圧処理として60℃の
状態で0.1Vで5分間通電させ、さらにアルカリ水溶
液が付着した状態の乾燥を80℃で30分間とした以外
は、実施例1と同様にして、水素化物二次電池を作製し
た。正極シ―トの一部を粉砕し、活物質である水酸化ニ
ツケルを取り出し、これをスライスして、TEM−ED
X分析を行つた結果、水酸化ニツケルの粒子表面にコバ
ルトリツチな下層と亜鉛リツチな上層とからなる2層構
成の亜鉛−コバルト複合化合物の層が形成されていた。
また、各層の亜鉛:コバルトの原子比をEDXにより分
析したところ、下層が1:32、上層が1:3.3であ
つた。
【0041】実施例4 実施例1の正極シ―トの作製において、ペ―スト調製時
に酸化亜鉛を添加せず、アルカリ水溶液中の酸化亜鉛濃
度を3重量%とし、このアルカリ水溶液中の浸漬処理を
80℃で20分間とし、また電圧処理として60℃の状
態で0.1Vで5分間通電させ、さらにアルカリ水溶液
が付着した状態の乾燥を80℃で20分間とした以外
は、実施例1と同様にして、水素化物二次電池を作製し
た。正極シ―トの一部を粉砕し、活物質である水酸化ニ
ツケルを取り出し、これをスライスして、TEM−ED
X分析を行つた結果、水酸化ニツケルの粒子表面にコバ
ルトリツチな下層と亜鉛リツチな上層とからなる2層構
成の亜鉛−コバルト複合化合物の層が形成されていた。
また、各層の亜鉛:コバルトの原子比をEDXにより分
析したところ、下層が1:30、上層が1:3.2であ
つた。
【0042】実施例5 実施例1の正極シ―トの作製において、ペ―スト調製時
に酸化亜鉛を添加せず、アルカリ水溶液中の酸化亜鉛濃
度を3重量%とし、このアルカリ水溶液中の浸漬処理を
60℃で20分間とし、また電圧処理として80℃の状
態で0.4Vで5分間通電させ、さらにアルカリ水溶液
が付着した状態の乾燥を80℃で30分間とし、電解液
におけるアルカリ水溶液への酸化亜鉛の添加量を1.5
重量%とした以外は、実施例1と同様にして、水素化物
二次電池を作製した。正極シ―トの一部を粉砕し、活物
質である水酸化ニツケルを取り出し、これをスライスし
て、TEM−EDX分析を行つた結果、水酸化ニツケル
の粒子表面にコバルトリツチな下層と亜鉛リツチな上層
とからなる2層構成の亜鉛−コバルト複合化合物の層が
形成されていた。また、各層の亜鉛:コバルトの原子比
をEDXにより分析したところ、下層が1:27、上層
が1:2.9であつた。
【0043】実施例6 実施例1の正極シ―トの作製において、ペ―スト調製時
の酸化亜鉛の添加量を0.5部にするとともに、アルカ
リ水溶液中の酸化亜鉛濃度を2重量%とし、このアルカ
リ水溶液中の浸漬処理を60℃で60分間とし、また電
圧処理として60℃の状態で0.1Vで3分間通電さ
せ、さらにアルカリ水溶液が付着した状態の乾燥を80
℃で30分間とした以外は、実施例1と同様にして、水
素化物二次電池を作製した。正極シ―トの一部を粉砕
し、活物質である水酸化ニツケルを取り出し、これをス
ライスして、TEM−EDX分析を行つた結果、水酸化
ニツケルの粒子表面にコバルトリツチな下層と亜鉛リツ
チな上層とからなる2層構成の亜鉛−コバルト複合化合
物の層が形成されていることがわかつた。また、各層の
亜鉛:コバルトの原子比をEDXにより分析したとこ
ろ、下層が1:19、上層が1:3.4であつた。
【0044】実施例7 実施例1の正極シ―トの作製において、ペ―スト調製時
に酸化亜鉛を添加せず、アルカリ水溶液中の酸化亜鉛濃
度を3重量%とし、このアルカリ水溶液中の浸漬処理を
60℃で60分間とし、また電圧処理として60℃の状
態で0.3Vで5分間通電させ、さらにアルカリ水溶液
が付着した状態の乾燥を100℃で50分間とした以外
は、実施例1と同様にして、水素化物二次電池を作製し
た。正極シ―トの一部を粉砕し、活物質である水酸化ニ
ツケルを取り出し、これをスライスして、TEM−ED
X分析を行つた結果、水酸化ニツケルの粒子表面にコバ
ルトリツチな下層と亜鉛リツチな上層とからなる2層構
成の亜鉛−コバルト複合化合物の層が形成されていた。
また、各層の亜鉛:コバルトの原子比をEDXにより分
析したところ、下層が1:23、上層が1:2.7であ
つた。
【0045】比較例1 実施例1の正極シ―トの作製において、ペ―スト調製時
に酸化亜鉛を添加せず、またアルカリ水溶液中にも酸化
亜鉛を添加せず、さらにアルカリ水溶液中での浸漬処理
後に電圧処理を施さず、電解液中に酸化亜鉛を添加しな
かつた以外は、実施例1と同様にして、水素化物二次電
池を作製した。正極シ―トの一部を粉砕し、活物質であ
る水酸化ニツケルを取り出し、これをスライスして、T
EM−EDX分析を行つた結果、水酸化ニツケルの粒子
表面には、亜鉛−コバルト複合化合物の層が1層だけ形
成されていることがわかつた。また、この層の亜鉛:コ
バルトの原子比をEDXにより分析したところ、1:9
5であつた。
【0046】比較例2 実施例1の正極シ―トの作製において、水酸化ニツケル
として、結晶中に亜鉛およびコバルトが固溶されていな
いものを使用し、アルカリ水溶液中に酸化亜鉛を添加せ
ず、またアルカリ水溶液中での浸漬処理後に電圧処理を
施さなかつた以外は、実施例1と同様にして、水素化物
二次電池を作製した。正極シ―トの一部を粉砕し、活物
質である水酸化ニツケルを取り出し、これをスライスし
て、TEM−EDX分析を行つた結果、水酸化ニツケル
の粒子表面には、亜鉛−コバルト複合化合物の層が1層
だけ形成されていることがわかつた。また、この層の亜
鉛:コバルトの原子比をEDXにより分析したところ、
1:45であつた。
【0047】比較例3 実施例1の正極シ―トの作製において、ペ―スト調製時
に酸化亜鉛を添加せず、アルカリ水溶液の酸化亜鉛濃度
を4重量%とし、またアルカリ水溶液中の浸漬処理後に
電圧処理を施さなかつた以外は、実施例1と同様にし
て、水素化物二次電池を作製した。正極シ―トの一部を
粉砕し、活物質である水酸化ニツケルを取り出し、これ
をスライスして、TEM−EDX分析を行つた結果、水
酸化ニツケルの粒子表面には、亜鉛−コバルト複合化合
物の層が1層だけ形成されていることがわかつた。ま
た、この層の亜鉛:コバルトの原子比をEDXにより分
析したところ、1:50であつた。
【0048】上記の実施例1〜7および比較例1〜3の
各水素化物二次電池について、放電容量、正極の利用率
を調べた。放電容量は比較例2の電池の放電容量を10
0%として比較した。また、放電後の電池を60℃で4
0日間貯蔵したのち、0.1C(120mA)で15時
間充電し、0.2C(220mA)で1.0Vまで放電
するサイクルを3回行い、3回目の放電容量から、回復
率(%)=(貯蔵後の放電容量/貯蔵前の放電容量)×
100、を求めた。また、上記の各水素化物二次電池の
製造における正極シ―トの作製にあたり、アルカリ水溶
液中に浸漬処理する工程で、アルカリ水溶液中に残存し
た亜鉛量を発光分光分析法(ICP法、日本ジヤ―レル
・アツシユICP727、シングルモ―ド)により測定
し、添加量に対して廃棄された亜鉛量を測定した。これ
らの結果は、表1に示されるとおりであつた。
【0049】 *:正極ペ―スト中に添加した亜鉛の溶出量である
【0050】上記の表1の結果から明らかなように、本
発明の実施例1〜7の水素化物二次電池は、正極の利用
率が、比較例1〜3の水素化物二次電池に比べて、2〜
5%程度高く、電池容量が高くなつており、また高温貯
蔵後の回復率も高くなつていることがわかる。さらに、
正極シ―トの作製にあたり、アルカリ水溶液中での浸漬
処理後に特定の電圧処理を施すようにした実施例1〜7
の方法によると、添加亜鉛が効率よく使用されているこ
ともわかる。
【0051】また、実施例1〜7で使用した水酸化ニツ
ケルは、結晶中に亜鉛およびコバルトが固溶されたもの
であるため、粒子表面への耐還元性にすぐれた亜鉛−コ
バルト複合化合物の層の形成が容易になつているものと
考えられ、さらに細孔半径の最大値が10Å以下の微細
な細孔構造を持つ水酸化ニツケルを用いているため、利
用率を向上でき、高容量化可能であるとともに、電解液
にも酸化亜鉛を添加しているため、負極として合金溶出
の多い高容量の水素吸蔵合金を使用しているにもかかわ
らず、高温貯蔵特性にすぐれているものと考えられる。
【0052】これに対して、正極ペ―スト中にのみ亜鉛
を添加し、電圧処理を施さなかつた比較例2の水素化物
二次電池では、アルカリ水溶液中での処理時に上記ペ―
スト中の亜鉛が溶出して、廃棄亜鉛を生じた。また、電
圧処理を施さなかつた比較例3の水素化物二次電池で
は、アルカリ水溶液中の亜鉛消費量が少なく、添加量に
対して廃棄される亜鉛の量が多かつた。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明は、ペ―スト式ニ
ツケル正極において、活物質である水酸化ニツケルの粒
子表面にコバルトリツチな下層と亜鉛リツチな上層とか
らなる2層構成の亜鉛−コバルト複合化合物の層を形成
したことにより、高い正極利用率とすぐれた高温貯蔵特
性を有する水素化物二次電池を提供できる。また、上記
構成のペ―スト式ニツケル正極の作製に際し、水酸化ニ
ツケルとコバルトまたはコバルト化合物を含有するペ―
ストを導電性多孔基材に担持させて圧縮成形し、これを
亜鉛または亜鉛化合物を溶解させたアルカリ水溶液中に
浸漬処理し、さらに特定の電圧処理を施したのち、乾燥
するようにしたことにより、高い正極利用率とすぐれた
高温貯蔵特性が得られるうえに、添加する亜鉛量を低減
でき、水素化物二次電池の低価格化、低資源化もはかる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のペ―スト式ニツケル正極における水
酸化ニツケルの透過型電子顕微鏡による断面構造(倍
率:300,000倍の写真)を示したものである。
【符号の説明】
1 母層(水酸化ニツケル) 2 亜鉛−コバルト複合化合物の層 21 コバルトリツチな下層 22 亜鉛リツチな上層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 由紀枝 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 長井 龍 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5H003 AA02 AA03 BA01 BA02 BA05 BB02 BB04 BB05 BB11 BB12 BC01 BC05 BC06 BD03 5H016 AA02 BB02 BB05 BB09 BB13 CC04 EE01 EE05 EE08 EE09 HH01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化ニツケルを活物質とするペ―スト
    式ニツケル正極と水素吸蔵合金よりなる負極とアルカリ
    水溶液よりなる電解液とセパレ―タを有する水素化物二
    次電池において、上記のペ―スト式ニツケル正極は、水
    酸化ニツケルの粒子表面に亜鉛−コバルト複合化合物の
    層を有し、かつこの層が亜鉛:コバルトの原子比が1:
    15〜1:40の下層と同原子比が1:2.5〜1:
    3.5の上層とからなることを特徴とする水素化物二次
    電池。
  2. 【請求項2】 水酸化ニツケルは、結晶中に亜鉛または
    /およびコバルトが固溶されてなる請求項1に記載の水
    酸化物二次電池。
  3. 【請求項3】 水酸化ニツケルを活物質とするペ―スト
    式ニツケル正極と水素吸蔵合金よりなる負極とアルカリ
    水溶液よりなる電解液とセパレ―タを有する水素化物二
    次電池の製造方法において、上記のペ―スト式ニツケル
    正極の作製にあたり、A)水酸化ニツケルとコバルトま
    たはコバルト化合物を含有するペ―ストを導電性多孔基
    材に担持させて圧縮成形する工程と、B)この成形体を
    亜鉛または亜鉛化合物を溶解させたアルカリ水溶液中に
    浸漬処理する工程と、C)この浸漬処理後にアルカリ水
    溶液中で上記成形体に正の電位をかけて電圧処理する工
    程と、D)電圧処理後の上記成形体をアルカリ水溶液が
    付着した状態で乾燥する工程とを設けて、水酸化ニツケ
    ルの粒子表面に亜鉛−コバルト複合化合物の層を有し、
    かつこの層が亜鉛:コバルトの原子比が1:15〜1:
    40の下層と同原子比が1:2.5〜1:3.5の上層
    とからなるペ―スト式ニツケル正極を作製することを特
    徴とする水素化物二次電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 A工程において、水酸化ニツケルとコバ
    ルトまたはコバルト化合物を含有するペ―スト中にさら
    に亜鉛または亜鉛化合物を添加する請求項3に記載の水
    酸化物二次電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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