JP2000143691A - 還元型コルチゾ―ル接合体 - Google Patents

還元型コルチゾ―ル接合体

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規還元型コルチゾール接合体を含んで成る
組成物、それらの製造方法およびコルチゾールについて
のイムノアッセイにおける使用方法に関する。別の面で
は、本発明は抗コルチゾール抗体または抗還元型コルチ
ゾール抗体を惹起させるための免疫原またはハプテンと
しての還元型コルチゾール接合体に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗コルチゾール抗
体に対する改善された特異性を有するハプテンおよび接
合体標識、それらの製造方法、並びにコルチゾールの検
出のためのイムノアッセイにおける使用方法に関する。
より詳しくは、本発明は西洋ワサビペルオキシダーゼと
還元型コルチゾールを含んで成る接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】コルチゾールはヒトに存在する主要な糖
質コルチコイドである。それは副腎皮質の束状体と網状
体により合成されそして分泌される。それは炭水化物、
タンパク質および脂質代謝の調節に関与している。ステ
ロイドは血管虚脱を防ぎ、炎症を減らし、そして免疫系
を抑制する働きをするので、手術後または他の大きな外
傷後にはコルチゾールレベルが10倍上昇し得る。
【0003】高アドレナリン症に関連する3つの主要な
医学疾患がある:クッシング症候群、高アルドステロン
症、および先天性副腎過形成。クッシング症候群は、循
環中の糖質コルチコイド、特にコルチゾールの濃度の増
加から生じるいずれかの状態を説明するのに用いられる
用語である(Clinical Chemistry: Theory, Analysisan
d Correlation; Lawrence A. Kaplan, Amedeo J. Pesc
e, CV Mosby Company,1989, 673-4頁)。
【0004】コルチゾール関連状態の診断、治療および
追跡には、ヒト血清、血漿または尿中のコルチゾールの
検出および定量が必要である。
【0005】コルチゾールについての競合結合イムノア
ッセイは、通常は固定化されたまたは固定化可能な支持
体に結合された抗コルチゾール抗体、および標識コルチ
コールまたはコルチゾールの標識類似体(誘導体)を含
んで成る。標識コルチゾールに言及するときは常に、特
に断らない限り、標識コルチゾールという用語はコルチ
ゾールの標識類似体(誘導体)を包含するものであると
解釈すべきである。標識コルチゾールは、限定数の抗コ
ルチゾール抗体結合部位を目当てにコルチゾールと競争
する。コルチゾールの量の測度として、遊離のまたは結
合した標識コルチゾールかた誘導されるシグナルが測定
される。
【0006】コルチゾールについてのイムノアッセイの
感度および特異性は標識コルチゾールに依存する。標識
コルチゾールが、限定数の抗コルチゾール結合部位を目
当てに、試料中に存在するかもしれないコルチゾールに
構造的に類似したステロイドと効率的に競争することが
重要である。そうでなければ、試料中のコルチゾールの
量の臨床的に許容される測定は得られないだろう。
【0007】酵素11β−ヒドロキシラーゼ欠損を有する
個体、またはメチラポンを投与された個体は、コルチゾ
ールに構造的に類似しており、そして抗コルチゾール抗
体への結合を目当てに標識コルチゾールと潜在的に競争
することができる、11−デオキシコルチゾールのレベル
が大きく増加するだろう(Fundamentals of ClinicalCh
emistry, Tietz, N.W., W.B. Saunders Co., 1987, 569
頁)。抗コルチゾール抗体を目当てに標識コルチゾー
ルと潜在的に競争することができる、試料中に存在する
ことがある他のコルチゾール様ステロイドとしては、プ
レドニソロン、コルチゾンおよびコルチコステロイドが
挙げられる。抗コルチゾール抗体を目当てにした標識コ
ルチゾールとのそのような競争は、交差反応性と呼ばれ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】市販のコルチゾールア
ッセイは、上述したステロイドの全てと交差反応を示し
得る。例えば、10%より大きい11−デオキシコルチゾー
ルとの交差反応性が観察されており、これはコルチゾー
ルについてのアッセイの正確度を大きく害する。
【0009】
【課題を解決するための手段】コルチゾールについての
従来技術のアッセイに伴う課題は、本明細書に記載する
接合体標識を使って解決される。本発明は、新規還元型
コルチゾール接合体を含んで成る組成物、それらの製造
方法およびコルチゾールについてのイムノアッセイにお
けるそれらの使用方法に関する。
【0010】別の面では、本発明は、抗コルチゾール抗
体または抗還元型コルチゾール抗体を惹起させるための
免疫原またはハプテンとしての還元型コルチゾールの接
合体に関する。
【0011】意外にも、本発明の標識還元型コルチゾー
ル接合体が、抗コルチゾール抗体への結合を目当てにコ
ルチゾール様ステロイドと効率的に競争し、それによっ
て従来技術の標識コルチゾール接合体と比較して有意に
低い交差反応性を示すことがわかった。本発明の標識還
元型コルチゾール接合体を含んで成るコルチゾールにつ
いてのイムノアッセイは、コルチゾールの測定のための
改善された特異性と感受性の両方を示す。
【0012】従って、本発明は、下式
【化10】 (上式中、XはO、S、スルホニルまたはホスホノであ
り;X1 は標識されたもしくは未標識の天然もしくは合
成ポリマーであるかまたは標識であり;Y1 は連結基ま
たは結合であり;X2 は標識されたもしくは未標識の天
然もしくは合成ポリマーであるかまたは標識であり;Y
2 は連結基または結合であり;A1 とA2は各々水素で
あるか、またはA1 とA2 が一緒になって単結合を形成
し、B1 とB2 は各々水素であるか、またはB1 とB2
が一緒になって単結合を形成し、E 1 とE2 は各々水素
であるか、またはE1 とE2 が一緒になって単結合を形
成し、ただしA1 とA2 、またはB1 とB2 、またはE
1 とE2 の少なくとも1つが各々水素である)を有する
還元型コルチゾール接合体を提供する。
【0013】別の面では、本発明は還元型コルチゾール
接合体の製造方法にも関する。従って、本発明者らは、
下式
【化11】 (上式中、X,X1 ,Y1 ,X2 ,Y2 ,A1 ,A2
1 ,B2 ,E1 およびE2 は前に定義した通りであ
る)を有する還元型コルチゾール接合体の製造方法であ
って、下式の化合物
【化12】 を還元剤と反応させることを含んで成る方法を提供す
る。
【0014】本発明者らは、下式
【化13】 (上式中、X,X1 ,Y1 ,X2 ,Y2 ,A1 ,A2
1 ,B2 ,E1 およびE2 は前に定義した通りであ
る)を有する還元型コルチゾール接合体の別の製造方法
であって、 (i) 下式の化合物
【化14】 を還元剤と反応させ、それにより化合物IAまたはIC
を形成させ;そして (ii)場合により、化合物IAまたはICを第一のカップ
リング剤と反応させて、下式の化合物
【化15】 (上式中、G1 はカップリング基である)を形成させ; (iii) 場合により、X2 を第二のカップリング剤と反応
させて、X2 −G2 (ここでG2 はカップリング基G1
と共に共有結合を形成することができるカップリング基
であり、そしてG1 とG2 は同じであってもよい)を形
成させ; (iv) 場合により、化合物IAまたはICをX2 −G2
(ここでG2 はX1 の官能基と共有結合することができ
る)と反応させて、還元型コルチゾール接合体IBまた
はIDを形成させ; (v) 場合により、化合物 IIIAまたは IIICをX2 (こ
こでG2 はX2 の官能基と共有結合することができる)
と反応させて、還元型コルチゾール接合体IBまたはI
Dを形成させ; (vi)場合により、化合物 IIIAまたは IIICをX2 −G
2 と反応させて、還元型コルチゾール接合体IBまたは
IDを形成させることを含んでなる方法も提供する。
【0015】別の面では、本発明は、新規標識還元型コ
ルチゾール接合体を使用するコルチゾールの定性または
定量測定方法に関する。
【0016】従って、コルチゾールについての競合アッ
セイの実施方法であって、 A)コルチゾールを含む疑いのある試料を i) コルチゾールを結合する固定化されたまたは固定化
可能なレセプターと接触させ、それにより固定化された
または固定化可能なレセプターに結合したコルチゾール
と、固定化されたまたは固定化可能なレセプターに結合
しないコルチゾールとを形成させ、 ii) 前に定義した式IA,IB,ICまたはIDの標識
還元型コルチゾール接合体と接触させ、それにより固定
化されたまたは固定化可能なレセプターに結合した標識
還元型コルチゾール接合体と、固定化されたまたは固定
化可能なレセプターに結合しない標識還元型コルチゾー
ル接合体とを形成させ; B)試料中のコルチゾールの量の測度として、前記固定
化されたまたは固定化可能なレセプターに結合した標識
還元型コルチゾール接合体か、前記固定化されたまたは
固定化可能なレセプターに結合しない標識還元型コルチ
ゾール接合体のいずれかを検出するという各段階を含ん
で成る方法を提供する。
【0017】別の態様では、上述したアッセイ方法に、
固定化されたまたは固定化可能なレセプターに結合しな
い標識還元型コルチゾール接合体から、固定化されたま
たは固定化可能なレセプターに結合した標識還元型コル
チゾール接合体を分離するという段階を組み合わせるこ
とができる。
【0018】更に、コルチゾールについての競合結合ア
ッセイの別の実施方法であって、該方法は a)展開区画、 b)1または複数の試薬区画、 c)支持体、並びに 前記区画の1区画または複数区画において一緒にまたは
別々に、コルチゾールを結合する固定化されたレセプタ
ー、および場合により前に定義した式IA,IB,IC
またはIDの標識還元型コルチゾール接合体を含んで成
る乾式分析要素を使用し、 A)前記乾式分析要素の展開区画を i) コルチゾールを含む疑いのある試料と接触させ、そ
れにより固定化されたレセプターに結合したコルチゾー
ルと、固定化されたレセプターに結合しないコルチゾー
ルとを形成させ、 ii) 前記標識還元型コルチゾール接合体が乾式分析要素
中に存在しない場合には、その標識還元型コルチゾール
接合体と接触させ、それにより前記固定化されたレセプ
ターに結合した標識還元型コルチゾール接合体と、前記
固定化されたレセプターに結合しない標識還元型コルチ
ゾール接合体とを形成させ; B)場合により、前記固定化されたレセプターに結合し
ない標識還元型コルチゾール接合体から前記固定化され
たレセプターに結合した標識還元型コルチゾール接合体
を分離し;そして C)試料中のコルチゾールの量の測度として、前記固定
化されたレセプターに結合した標識還元型コルチゾール
接合体か、前記固定化されたレセプターに結合しない標
識還元型コルチゾール接合体のいずれかを検出するとい
う各段階を含んで成る方法も提供する。
【0019】別の面では、本発明は前に定義した式I
A,IB,ICまたはIDのハプテンまたは免疫原およ
びそのような免疫原を含んで成る組成物に関する。本発
明はまた、抗コルチゾール抗体の産生方法であって、本
発明の免疫原を使用して宿主動物を免疫し、前記宿主動
物から血液を採取し、そして前記宿主動物の血清または
血漿からコルチゾールを結合する抗体を分離することを
含んで成る方法にも関する。別の関連した方法では、免
疫した宿主動物から抗体産生細胞が存在する脾臓、胸腺
または他の組織を除去し、除去された前記脾臓、胸腺ま
たは他の組織の抗体産生細胞を使って抗体を分泌するハ
イブリドーマを作製し、そしてコルチゾールを結合する
抗体を選択する。
【0020】別の態様では、本発明は、コルチゾールに
ついてのイムノアッセイにおける交差反応性を減少させ
る方法であって、式IA,IB,ICまたはIDの標識
還元型コルチゾール接合体を使用することを含んで成る
方法にも関する。
【0021】上述した本発明の標識還元型コルチゾール
接合体は、抗コルチゾール抗体への結合を目当てにコル
チゾール様ステロイドと効率的に競争し、それによって
従来技術の標識コルチゾール接合体と比較して有意に少
ない交差反応性を示す。
【0022】
【発明の実施の形態】ウシ血清アルブミンと西洋ワサビ
ペルオキシダーゼを含んで成る特定の還元型コルチゾー
ル接合体に関して本発明を詳細に説明する。これは、本
発明を例示するために行うのであって、決してこの特定
例に本発明を限定するつもりではない。別の還元型コル
チゾール接合体、それらの合成、および免疫原としての
使用または競合もしくは非競合イムノアッセイにおける
還元コルチゾール標識としての使用、並びに本明細書中
に与えられる教示から明らかであるかまたは当業者に既
知である他の面も包含される。
【0023】本発明の目的上、「天然ポリマー」は、下
記のものを含むがそれに限定されない生物学的起源より
得られるものとして定義される:微生物、真菌、ウイル
ス、ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ネコ、イヌ、ラットま
たは昆虫。そのような天然ポリマーとしては、タンパク
質、ペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、並びに
それらの組換え種および化学的に修飾された種、多糖
類、セルロース、コラーゲン、並びにラテックスが挙げ
られる。幾分具体的な例としては、デキストラン、ブ
タ、ヒト、マウス、ラットおよびウシ血清アルブミンま
たはグロブリン、ストレプトアビジン、抗体、酵素、例
えばペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼおよびア
ルカリ性ホスファターゼが挙げられる。
【0024】「合成ポリマー」は、本明細書中では必ず
しも生物学的起源より直接得られないポリマーとして定
義される。それは当業者に周知である方法により調製さ
れるものである。例えば、乳化重合、イオン重合、カル
ボニル重合、ラジカル重合などを使ったモノマー縮合に
よって調製される。合成ポリマーとしては、ホモポリマ
ー、例えばポリアクリルアミド、ポリスチレン、置換ポ
リアクリルアミド、ポリメタクリルレートおよびポリス
チレン、並びに2以上の異なるモノマー単位を含んで成
るコポリマー、例えばアクリルアミドまたは置換アクリ
ルアミド、スチレンおよび置換スチレンなどが挙げら
れ、それらは当業者に周知であろう。それはブロックコ
ポリマー、グラフトコポリマー、水性可溶性および水性
不溶性ポリマー、並びに天然ポリマーとの共有結合およ
び非共有結合体も包含する。
【0025】本明細書中で定義される用語「標識」とし
ては、例えば吸収、蛍光もしくは反射分光光度法、また
は放射線検出法を使って、直接または間接的に検出する
ことができる化学要素、化合物および酵素が挙げられ
る。標識は天然または合成ポリマーであってもよい。例
えば、西洋ワサビペルオキシダーゼは標識と天然ポリマ
ーの両方である。しかし標識は必ずしも天然または合成
ポリマーでなくてもよい。
【0026】直接検出できる標識は、本質的に検出可能
なシグナルを生成することができるものである。そのよ
うな標識としては、蛍光またはリン光を生成できる有機
および無機物質、例えば非限定的にフルオレセインおよ
びその誘導体、並びにN−(3−フルオロアントリル)
マレイミド、放射性核種、例えば炭素14、トリチウムお
よびリン32などが挙げられる。適当なスペクトル吸収を
有する物質、例えば非限定的にアゾ−オキソ、アゾ−テ
トラゾ、アジン、オキサジン、チアジン、キノリン、イ
ンダミン、ピロンおよびピラゾロン色素も含まれる。
【0027】間接検出できる標識は、検出可能なシグナ
ルの生成のために1または複数の追加の物質の存在を必
要とする。そのような標識としては、典型的には、1ま
たは複数の基質、補因子、金属などの存在を必要とする
酵素が挙げられるが、それらに限定されない。ペルオキ
シダーゼ、特に一般的な標識である西洋ワサビペルオキ
シダーゼは、化学発光生成物または色素を生成するの
に、それぞれ電子供与体と酸化剤、例えばルミノール、
ジ−もしくはトリアリールイミダゾールロイコ色素およ
び過酸化水素を必要とする。他の酵素、例えばβ−ガラ
クトシダーゼ、グルコースオキシダーゼおよびアルカリ
ホスファターゼなども含まれる。
【0028】一般に、標識としては放射性標識、酵素、
発色団、蛍光団、安定な遊離基、並びに酵素補因子、阻
害剤およびアロステリックエフェクターが挙げられる。
【0029】本発明の目的上、「還元剤」は、二重結
合、例えば炭素−炭素、炭素−窒素、炭素−酸素および
炭素−硫黄二重結合を水素化することができる任意の化
合物または試薬混合物である。
【0030】有用な還元剤としては、非限定的に、水素
化アルミニウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化
ホウ素、およびそれらの塩が挙げられる。パラジウム、
白金もしくはニッケル上での接触水添、または他の水素
化法を使用することもできる。水素化ホウ素ナトリウム
が好ましい還元剤である。
【0031】「連結基」は、本明細書中では、1または
複数の原子を含んで成る化学基として定義される。連結
基は、各分子との共有結合を通して、例えば天然ポリマ
ーを天然ポリマーに、合成ポリマーを合成ポリマーに、
天然ポリマーを合成ポリマーに、標識を天然または合成
ポリマーに、標識を還元型コルチゾールに、標識をコル
チゾールになどというように或る分子を別の分子に結合
する。
【0032】連結基は、置換されたまたは未置換の直鎖
また分枝鎖アルキルまたはヘテロアルキル、例えばオキ
シアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、置換され
たもしくは未置換のアルケニル、単置換もしくは多置換
されたまたは未置換の炭化水素複素環、単置換もしくは
多置換されたまたは未置換のアリールまたはヘテロアリ
ール環、例えば非限定的に、イミダゾリル、イソオキサ
ゾリル、ピリジル、ピペリジル、ピペラジニル、ピラゾ
リル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジル、
ピリミジル、ピラジニル、キノリニルおよびキナゾリニ
ルが挙げられる。
【0033】別の巨大分子への天然および合成ポリマー
のような巨大分子の連結もしくはカップリング、または
巨大分子へのコルチゾールまたはコルチゾールの類似体
のような小分子の連結は当該技術分野で周知である。コ
ルチゾールに特に関連して、炭素3(C3)は求核試
薬、例えばアミン、オキシムおよびチオオキシム並びに
当該技術分野で既知の他のものと反応性である。求核性
種は、カップリング(結合)剤、標識、天然または合成
ポリマーであることができる。コルチゾールのC3に共
有結合する際に、それがカップリング剤または反応性官
能基を有する他の種(例えば標識)である場合、それは
別のカップリング剤または適当な反応性官能基を有する
他の種と更に反応させることができる。そのように誘導
体化されたコルチゾールは、本発明の還元型コルチゾー
ル化合物を調製するための出発点として使用することが
できる。カップリング化学および連結基の詳細は、多数
の刊行物中に見つけることができ、例えば、米国特許第
3,654,090 号;同第3,791,932 号;同第3,875,011 号;
同第4,016,043 号;同第4,040,907 号;同第4,092,479
号;同第4,213,894 号;同第4,243,749 号;同第4,376,
165 号;同第4,410,643 号;同第4,752,658 号;同第4,
828,978 号;同第4,879,249 号;同第4,997,772 号;同
第5,053,497 号;同第5,106,732 号;同第5,147,777
号;同第5,155,166 号;同第5,162,219 号;同第5,177,
023 号;同第5,284,948 号;同第5,298,403 号;同第5,
308,749 号;同第5,374,516 号;同第5,391,483 号;同
第5,397,695 号;同第5,401,633 号;同第5,527,709
号;同第5,543,311 号;同第5,578,457 号;同第5,652,
346 号;同第5,763,588 号;同第5,770,390 号明細書お
よびその中に引用された参考文献;Yoshitake 他, Eur.
J. Biochem., 101, 395 (1979) およびTjssen, Labora
tory Techniques in Biochemistry and Molecular Biol
ogy, 221-278頁(1985)およびその中に引用された参考文
献中に見つけることができる。
【0034】簡単に言えば、連結基およびそれに共有結
合される分子は、アミド、エステル、エーテル、チオエ
ステルおよびジスルフィド結合を会して連結され得る。
例えば分子を縮合剤(例えばカルボジイミド、マレイミ
ド、エチルクロロホルメートおよびグルタルアルデヒ
ド)とカップリングさせるために分子を反応させること
を含むカップリングおよび連結化学は、当該技術分野で
周知である。
【0035】「試料」なる語は、着目の分析物を含むこ
とがある任意の物質を言う。試料は生物学的液体、例え
ば脳脊髄液、精液、膣分泌物、痰、腹水、涙液、汗、血
清、血漿、尿、全血、赤血球、白血球および血小板など
の全血成分、並びに着目の分析物を含む場合がある他の
体液または体組織であることができる。場合により、試
料は水、土壌および植物から得られる。
【0036】自然の免疫反応を利用するイムノアッセイ
は、臨床化学における分析手段として広範囲な用途が見
出されている。反応の特異性のために、イムノアッセイ
は生物学的液体中にごく低濃度で存在する生物学的分析
物を定量する場合に特に有利である。そのような分析物
としては、例えば、抗体、治療薬、麻酔薬、酵素、ホル
モン、タンパク質などが挙げられる。
【0037】競合結合イムノアッセイでは、標識分析物
(この用語は免疫応答能のある分析物の類似体も包含す
る)が、一定量の適当なレセプター(これはしばしば固
体支持体上に固定化されているか、またはそれに固定化
することができる)との反応を目当てに未標識の分析物
と競争状態に置かれる。レセプターに結合した標識分析
物を遊離の標識分析物から分離する。分析物の未知濃度
は、結合した標識分析物かまたは遊離の標識分析物のい
ずれかの測定シグナルから求めることができる。反応は
次のように進行する:
【0038】
【化16】
【0039】イムノアッセイは溶液中で、可溶性成分と
不溶性成分を分離できる試験装置中で、または乾式分析
要素中で実施することができる。イムノアッセイは不均
一または均一アッセイであることができ、これらの用語
は当該技術分野で既知である。不均一アッセイでは、シ
グナル測定の前に、結合した標識免疫反応体と遊離の標
識免疫反応体(標識分析物または分析物に対する標識レ
セプター)が分離され;一方、均一アッセイでは、結合
した標識免疫反応体から遊離の標識免疫反応体を分離す
る必要がない。本発明の還元型コルチゾール接合体は、
均一アッセイと不均一アッセイの両方に使用できる。
【0040】連結基およびカップリング化学に関する多
数の上記刊行物も包含する、イムノアッセイおよびイム
ノアッセイ法に関する多数の刊行物が入手可能である。
追加の刊行物としては次のものが挙げられる:米国特許
第4,372,745 号;同第4,670,381 号;同第4,483,921
号;同第4,517,288 号;同第4,822,747 号;同第4,824,
778 号;同第4,829,012 号;同第4,839,299 号;同第4,
847,194 号;同第4,847,195 号;同第4,853,335 号;同
第4,855,226 号;同第4,857,453 号;同第4,857,454
号;同第4,859,610 号;同第4,863,876 号;同第4,868,
106 号;同第4,868,130 号;同第4,879,219 号;同第5,
663,054 号;同第5,776,973 号明細書およびその中に引
用された参考文献;並びに Immunoassays in the Clini
cal Laboratory, Nakamura他編, Alan R. Liss, Inc.,
(1979) ; Quantitative Enzyme Immunoassay, Engvell
他編, Blackwell Scientific Publications (1978) ; C
linical Chemistry, Sommer 他, Vol.32, 1770-1774 頁
(1986) ; Clinical Chemistry, Sommer他, 201-206 頁
(1990) ; A Primer for Multilayer Immunassay, Berk
e, American Chemical Society Conference Proceedin
g, 303-312 頁, Plenum Press (1988) ; およびその中
に引用された参考文献。
【0041】競合イムノアッセイでは、標識分析物と遊
離の分析物を含む試料とを同時にまたは別々に、該分析
物を結合する固定化されたまたは固定化可能なレセプタ
ーを含む混合物に添加することができる。
【0042】乾式分析要素の場合、標識分析物と固定化
されたレセプターは、試料との接触前に要素中に一緒に
存在する場合、好ましくは別々の区画に存在する。
【0043】乾式薄膜分析要素を組み立てるための常用
の材料および手段は、例えば、米国特許第3,867,258
号;同第3,992,158 号;同第4,042,435 号;同第4,050,
898 号;同第4,066,403 号;同第4,153,668 号;同第4,
258,001 号;同第4,292,272 号および同第4,430,436 号
明細書に記載されている。
【0044】適当な宿主動物を免疫することにより特定
の分子を結合する抗体を獲得する方法は周知である。そ
のような方法は十分に確立されており、そして例えば、
次の刊行物に記載されている: Methods in Immunolog
y, Garvey, J.S., Cremer, N.E. & Sussdorf, D.H., W.
A. Benjamin, Inc., 第3版 (1977) および Handbookof
Experimental Immunology, Weir, D.M.編, Blackwell
Scientific Publications,第3版 (1978) 。
【0045】抗体の分泌のためのハイブリドーマ細胞系
の作製方法も周知であり、例えば、米国特許第4,950,59
2 号;同第5,338,671 号および同第5,650,324 号明細書
に記載されている。
【0046】HRP標識還元型コルチゾール−3−CM
O−BSAの調製 下記に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識還元
型コルチゾール接合体の調製方法を与える。この方法で
は、水素化ホウ素ナトリウムでのウシ血清アルブミン−
コルチゾールオキシム接合体(コルチゾール−3−CM
O−BSA)の還元を、HRPとの接合前に実施した。
しかしながら、コルチゾールの還元はHRPとのカップ
リングの後に実施することができる。
【0047】コルチゾール−3−CMO−BSAの還元
部位は3箇所あり、それらは下記に示す構造中に星印に
より記してある。
【0048】
【化17】
【0049】これらの部位のいずれかまたは全部を、二
重結合を水素化することができる還元剤または還元性混
合物での処理により還元すると、当業者には容易に明ら
かなように、下記に示す構造のように1部位だけが還元
された生成物:
【0050】
【化18】
【0051】並びに、それらの部位のいずれか2部位が
還元された化合物(3つの異なる還元種を与える)、お
よび3部位全部が還元された化合物を与えることができ
る。コルチゾールを含んで成る他の接合体は、還元する
と構造IA,IBおよびIDに包括的に示される化合物
を生じるが、コルチゾール−3−CMO−BSAについ
て前に例示したような還元型コルチゾール種とは異なる
還元種を生成するだろう。水素化できないコルチゾール
のC3に共有結合を有する化合物は、コルチゾールの環
炭素−炭素二重結合および/または炭素−酸素二重結合
(カルボニル基)のところだけで還元されるだろう。全
ての還元形態が個々にまたは任意の組合せで本発明に含
まれる。
【0052】
【実施例】実施例1: ウシ血清アルブミンに結合した3−コルチゾールカルボ
キシメチルオキシムの調製(3−CMO−BSA) ヒドロコルチゾン−3−(O−カルボキシメチル)オキ
シム:ウシ血清アルブミン(コルチゾール−3−CMO
−BSA)を下記に記載の通り調製した。あるいは、そ
れは Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouriより購
入することができる。20 mg のN−ヒドロキシスクシン
イミド(NHS)を3.0 mLのジオキサンに溶かすことに
より、NHSの原液を調製した。30 mg のジシクロヘキ
シルカルボジイミド(DCC)を2.50 mL のジオキサン
に溶かすことによりDCCの原液を調製した。40 mg の
コルチゾール−3−カルボキシメチルオキシム(コルチ
ゾール−3−CMO)の入ったガラス製バイアルに、1.
744 mLのNHS原液と1.744 mLのDCC原液を添加し
た。混合物を攪拌しそして周囲温度で3時間インキュベ
ートした。1.00 gのウシ血清アルブミン(BSA)に12
mLの0.1 M炭酸水素ナトリウム溶液を添加した。この
溶液を透明になるまで混合し、そして3時間インキュベ
ーションの終わりに、このBSA溶液に3.0 mLの活性化
コルチゾール−3−CMOを添加した。混合物を攪拌
し、周囲温度で2時間インキュベートした。2時間のイ
ンキュベーション後、0.1 Mリン酸ナトリウム+0.3 M
塩化ナトリウム緩衝液(pH 6.0)15 mL を添加した。5.
0 μm と0.45μmのSartorius Minisarts を通して混合
物を濾過し、次いで8.0 mL/分の流速で5×70 cm のSu
perdex 200PGカラム上でのクロマトグラフィーにかけ
た。主ピークに相当する最初の試験管と、その後の10画
分(1分間ずつ)を収集し、そしてプールした。プール
した画分を水に対して約15時間透析した。透析を繰り返
した。透析物を0.2 μm Sartorius Minsart を通して濾
過し、次いで少量のアリコートを凍結乾燥し、必要にな
るまで凍結保存した。
【0053】実施例2: コルチゾール−3−CMO−BSAの還元および活性化 コルチゾール−3−CMO−BSA (24 mg)を50 mM 炭
酸ナトリウムと100 mM塩化ナトリウムの溶液(pH 9.5)
4 mL中に溶かした。水素化ホウ素ナトリウムの水溶液
(4 mg/mL)の0.60 mL アリコートをコルチゾール−3−
CMO−BSA溶液に添加し、次いで20℃で30分間連続
攪拌した。次いで約200 μL の0.5 Mリン酸ナトリウム
溶液を使って、pH 7.2〜7.5 の範囲内の値にpHを調整し
て過剰な水素化ホウ素を分解した。発泡が静まるまで溶
液を穏やかに混合し、約15分間放置しておいた。次いで
反応混合物を0.45μm フィルターを通して濾過し、そし
て0.02Mリン酸塩(pH 7.0)で予め平衡化しておいたSe
phadex G25 1.6×14.5 cm カラム上で約40 mL/時間の流
速でクロマトグラフィーを行った。集めた画分サイズは
約0.67 mL (1分間)であった。最も濃縮された15画
分、即ち、280 nmで大きな吸収を有する画分をプールし
た。
【0054】スクシンイミジル4−(N−マレイミドメ
チル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMC
C)を9.6 mg/mLの最終濃度になるようにN,N−ジメ
チルホルムアミド(DMF)中に溶かした。上記のクロ
マトグラフィー段階より収集した還元型コルチゾール−
3−CMO−BSA 10 mLに、SMCC溶液 186μLを
添加した。この溶液を穏やかに混合し、次いで20℃で1
時間インキュベートした。800 μL のグリシン水溶液
(10%, 重量/容量)を使って反応をクエンチングし
た。クエンチングした反応混合物を、0.1 Mリン酸塩+
5 mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の溶液(pH
6.0)で予め平衡化しておいたSephadex G25を充填した
3.2 ×10 cm カラム上で約161 mL/時間の流速でクロマ
トグラフィーを行った。1mL画分を集めた。最も濃縮さ
れた8画分(280 nmで大きな吸収を有する)をプール
し、そして活性化HRPへの接合に使用した。
【0055】実施例3: HRPの活性化 西洋ワサビペルオキシダーゼを10 mg/mLの最終HRP濃
度になるように0.1 Mリン酸塩(pH 7.5)に溶かした。
このHRP溶液 5 mL を20 mL の反応バイアルに移し
た。HRP溶液を含む反応バイアルに、DMF中のS−
アセチルチオ酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステ
ル(SATA)溶液(25 mg/mL)の0.5 mLアリコートを
添加した。この溶液を穏やかに混合し、次いで20℃で60
分間インキュベートした。0.05M EDTA と2.5 Mヒドロ
キシルアミンを含む溶液(pH 7.0)のアリコート (500
μL)を反応混合物に添加し、穏やかに混合し、次いで20
℃で15分間インキュベートした。次いで混合物を、約63
mL/分の流速を使って、0.1Mリン酸塩+5 mM EDTA 溶
液(pH 6.0)で予め平衡化されたSephadex G25の2.0 ×10
cm カラム上でのクロマトグラフィーにかけた。1分間
ずつ画分を集めた。最も濃縮された11画分(403 nmで大
きな吸収を有する)をプールした。
【0056】実施例4: 活性化HRPと活性化された還元型コルチゾール−3−
CMO−BSAとのカップリング 活性化された還元型コルチゾール−3−CMO−BSA
21.47 mL を活性化HRP 11.55 mL と合わせた。溶液
を穏やかに混合し、そして20℃で20時間インキュベート
した。メルカプトエタノールを含む水溶液(容量で1%
のチオール)のアリコート (224 μL)を反応混合物に添
加し、生じた溶液を穏やかに混合し、そして約15分間放
置しておいた。次いで、DMF中に 10 mg/mL のN−エ
チルマレイミドを含む溶液の476 μL アリコートを反応
混合物に添加し、そして混合した後、更に20分間インキ
ュベートした。反応混合物を、約344 mL/時間の流速を
使って、0.1 Mリン酸塩+0.3 M NaCl 溶液(pH 6.0)で
予め平衡化されたSuperdex200を充填した4.4 ×50 cm
カラム上でのクロマトグラフィーにかけた。1分間ずつ
画分を集めた。280 nmで大きな吸収を有する最初の溶出
液のあたりを中心として最も濃縮された26画分をプール
した。
【0057】接合体プール(cj)の吸収とHRP溶液
(実施例2に記載,活性化前で且つ正確な吸収測定値を
得るためにリン酸緩衝液中に十分に希釈する前)の吸収
を280nmと403 nmで測定した(それぞれA403cj ,A280
cj およびA403HRP, A280HRP)。BSA濃度に基づい
た還元型コルチゾール−3−CMO−BSA−HRP接
合体の濃度を、それらの測定値から次の式を使って求め
た: BSA (mg/mL)=A280cj −(A403cj /〔A403HRP/
280HRP〕)/0.76
【0058】実施例4: 接合体の評価 HRP標識還元型コルチゾール−3−CMO−BSA
(以後、HRP−RC接合体と称する)の評価は、オル
ソ−クリニカル ダイアグノスティクス社のVITROS ECi
化学発光アッセイ方法論を使って評価した。VITROS ECi
系での使用のために下記の試薬を調製した。
【0059】標識溶液: − 100 ng/mL の還元型コルチゾール−3−CMO−B
SA−HRP(または、本発明の接合体標識でないけれ
ども、還元段階を除いて本発明の標識と同じ手順で担持
された、20ng/mL の比較用HRP−コルチゾール接合体
標識) − 2.86 g/Lの第二リン酸ナトリウム,無水 − 7.3 g/L の第一リン酸ナトリウム,一水和物 − 0.01 g/Lのフェリシアン酸カリウム − 2.5 g/L の8−アニリノ−1−ナフタレンスルホン
酸 − 20 g/Lのウシ血清アルブミン − 0.03 g/Lのアポ西洋ワサビペルオキシダーゼ − 0.2 %のウシαグロブリン(Cohn画分IV-I) − 1 g/L のウシγグロブリン − 5 g/L の正常ヒツジ血清 − 100 g/L の活性炭処理したヒト血漿 − 20 g/LのKathon(5−クロロ−2−メチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾ
リン−3−オンを含む保存剤) − pH 6.4
【0060】ビオチン化ヒツジポリクローナル抗コルチ
ゾール溶液: − 1.5 μg/mLのビオチン化ヒツジ抗コルチゾールγグ
ロブリン − 21 g/Lの第二リン酸ナトリウム,無水 − 1.8 g/L の塩化ナトリウム − 1.1 g/L のクエン酸 − 20 g/Lのウシ血清アルブミン − 20 g/LのKathon − pH 5.4
【0061】洗浄試薬: − 0.39 g/Lのホウ酸 − 0.35 g/Lの四ホウ酸二ナトリウム − 0.58 g/Lの塩化ナトリウム − 0.50 g/LのTRITON X-100(オクチルフェノキシポリ
エトキシエタノール) − 0.5 % w/w BRONIDOX (5−ブロモ−5−ニトロ−
1,3−ジオキサンを含む保存剤) − pH 8.4
【0062】シグナル試薬A部 − 3.88 g/Lのホウ酸 − 14.2 g/Lの四ホウ酸ナトリウム − 1.06 g/Lのクエン酸ナトリウム − 0.08 g/Lの安息香酸ナトリウム − 0.10 g/Lのアジ化ナトリウム − 0.008 g/L のジエチレントリアミンペンタ酢酸 − 0.58 g/Lのグリシン − 0.40 g/LのルミノールB部 − 0.90 g/Lのクエン酸 − 1.68 g/Lのクエン酸ナトリウム − 0.08 g/Lの安息香酸ナトリウム − 0.62 g/Lの過ホウ酸ナトリウム − 0.06 g/Lの3−クロロ−4−ヒドロキシアセトアニ
リド − 5.84 g/Lの塩化ナトリウム
【0063】抗コルチゾールビオチン化ヒツジ抗体のア
リコート (75μL)、コルチゾールまたはコルチゾールに
構造的に類似しているステロイドを含む血清(後述)の
試料30 μL 、およびHRP−RC接合体 75 μL を、
ストレプトアビジンが予め結合されているVITROS ECi試
料容器に添加した。溶液を37℃で30分間インキュベート
し、次いで上記の洗浄試薬を使って洗浄した。
【0064】上記シグナル試薬溶液の200 μL アリコー
ト(A部 100μL とB部 100μL を使用直前に混合した
もの)を試料容器に添加した。溶液を37℃で5分間イン
キュベートし、次いで化学発光強度を測定した。
【0065】実施例5: 交差反応性 上記方法を使って、一定量の抗コルチゾール抗体に結合
した一定量の比較用HRP標識コルチゾール接合体(非
還元型コルチゾール、HRP−NRC)またはHRP−
RC接合体の50%を置換する潜在的な交差反応体(コル
チゾールに構造的に類似しているステロイド:11−デオ
キシコルチゾール、プレドニソロン、コルチコステロン
およびコルチゾン)の濃度を測定した。
【0066】様々なレベルの潜在的な交差反応体を、比
較用標識コルチゾール接合体(非還元型コルチゾール、
HRP−NRC)または本発明のHRP−RC接合体の
いずれかを含む試料容器へと添加した。
【0067】到達し得る最大値(全ての接合体が置換さ
れた値)の50%に相同する光シグナル測定値を生じる交
差反応体の濃度を測定し、それを使って後述のように交
差反応性%を計算した。その結果を表1に列挙する。
【0068】交差反応性%は、上述のアッセイ方法ごと
に測定した、HRP−NRC比較用接合体(またはHR
P−RC接合体)の50%を置換するコルチゾールの濃度
を、HRP−NRCひ比較用接合体(またはHRP−R
C接合体)の50%を置換する交差反応体の濃度で割った
値に、100 を乗じた値として定義される。
【0069】
【表1】
【0070】これらのデータは、本発明の代表的なHR
P−RC接合体が、コルチゾールについてのイムノアッ
セイにおいて有意に低い交差反応性を提供することを示
す。従って、本発明の標識還元型コルチゾールを使った
コルチゾールアッセイは、改善された正確度を示し、改
善された診断、治療および追跡を提供するだろう。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月29日(1999.11.
29)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項18
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項23
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ブライアン エー.スネイダー アメリカ合衆国,ニューヨーク 14616, ロチェスター,ノースクリフェ ドライブ 107 (72)発明者 リサ ディー.スプレイギュ アメリカ合衆国,ニューヨーク 14512, ネイプルズ,グリック ロード 7110 (72)発明者 シャーリー ワイ.リン アメリカ合衆国,ニューヨーク 14615, ロチェスター,レッジウッド サークル 105 (72)発明者 ポール ビー.コンテスタブル アメリカ合衆国,ニューヨーク 14624, ロチェスター,ロヤリスト アベニュ 26 (72)発明者 ハリー エル.グロス アメリカ合衆国,ニューヨーク 14464, ハムリン,ブリック スクールハウス ロ ード 3280

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下式 【化1】 (上式中、XはO、S、スルホニルまたはホスホノであ
    り;X1 は標識されたもしくは未標識の天然もしくは合
    成ポリマーであるかまたは標識であり;Y1 は連結基ま
    たは結合であり;X2 は標識されたもしくは未標識の天
    然もしくは合成ポリマーであるかまたは標識であり;Y
    2 は連結基または結合であり;A1 とA2は各々水素で
    あるか、またはA1 とA2 が一緒になって単結合を形成
    し、B1 とB2 は各々水素であるか、またはB1 とB2
    が一緒になって単結合を形成し、E 1 とE2 は各々水素
    であるか、またはE1 とE2 が一緒になって単結合を形
    成し、ただし、A1 とA2 、またはB1 とB2 、または
    1 とE2 の少なくとも1つが各々水素である)を有す
    る還元型コルチゾール接合体。
  2. 【請求項2】 XがOでありそしてX1 がウシ血清アル
    ブミンである、請求項1に記載の還元型コルチゾール接
    合体。
  3. 【請求項3】 Y1 がメチレンカルボニルオキシであ
    る、請求項2に記載の還元型コルチゾール接合体。
  4. 【請求項4】 X2 がペルオキシダーゼであり、そして
    2 が(4−〔2,5−ジオキソ−3−{(2−エチル
    カルボニル)スルファニル}テトラヒドロ−1H−1−
    ピロリル〕メチル)−1−シクロヘキサンカルボニルで
    ある、請求項3に記載の還元型コルチゾール接合体。
  5. 【請求項5】 水性組成物中の請求項1に記載の還元型
    コルチゾール接合体。
  6. 【請求項6】 下式 【化2】 (上式中、XはO、S、スルホニルまたはホスホノであ
    り;X1 は標識されたもしくは未標識の天然もしくは合
    成ポリマーであるかまたは標識であり;Y1 は連結基ま
    たは結合であり;X2 は標識されたもしくは未標識の天
    然もしくは合成ポリマーであるかまたは標識であり;Y
    2 は連結基または結合であり;A1 とA2は各々水素で
    あるか、またはA1 とA2 が一緒になって単結合を形成
    し、B1 とB2 は各々水素であるか、またはB1 とB2
    が一緒になって単結合を形成し、E 1 とE2 は各々水素
    であるか、またはE1 とE2 が一緒になって単結合を形
    成し、ただしA1 とA2 、またはB1 とB2 、またはE
    1 とE2 の少なくとも1つが各々水素である)を有する
    還元型コルチゾール接合体の製造方法であって、下式の
    化合物 【化3】 を還元剤と反応させることを含んで成る方法。
  7. 【請求項7】 前記還元剤が水素化ホウ素塩である、請
    求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 XがOであり、X1 がウシ血清アルブミ
    ンであり、そしてY 1 がメチレンカルボニルオキシであ
    る、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 X2 がペルオキシダーゼである、請求項
    8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 Y2 が(4−〔2,5−ジオキソ−3
    −{(2−エチルカルボニル)スルファニル}テトラヒ
    ドロ−1H−1−ピロリル〕メチル)−1−シクロヘキ
    サンカルボニルであり、そしてX2 が西洋ワサビペルオ
    キシダーゼである、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 下式 【化4】 (上式中、XはO、S、スルホニルまたはホスホノであ
    り;X1 は標識されたもしくは未標識の天然もしくは合
    成ポリマーであるかまたは標識であり;Y1 は連結基ま
    たは結合であり;X2 は標識されたもしくは未標識の天
    然もしくは合成ポリマーであるかまたは標識であり;Y
    2 は連結基または結合であり;A1 とA2は各々水素で
    あるか、またはA1 とA2 が一緒になって単結合を形成
    し、B1 とB2 は各々水素であるか、またはB1 とB2
    が一緒になって単結合を形成し、E 1 とE2 は各々水素
    であるか、またはE1 とE2 が一緒になって単結合を形
    成し、ただしA1 とA2 、またはB1 とB2 、またはE
    1 とE2 の少なくとも1つが各々水素である)を有する
    還元型コルチゾール接合体の製造方法であって、 (i) 下式の化合物 【化5】 を還元剤と反応させ、それにより化合物IAまたはIC
    を形成させ;そして (ii)場合により、化合物IAまたはICを第一のカップ
    リング剤と反応させて、下式の化合物 【化6】 (上式中、G1 はカップリング基である)を形成させ; (iii) 場合により、X2 を第二のカップリング剤と反応
    させて、X2 −G2 (ここでG2 はカップリング基G1
    と共に共有結合を形成することができるカップリング基
    であり、そしてG1 とG2 は同じであってもよい)を形
    成させ; (iv) 場合により、化合物IAまたはICをX2 −G2
    (ここでG2 はX1 の官能基と共有結合することができ
    る)と反応させて、還元型コルチゾール接合体IBまた
    はIDを形成させ; (v) 場合により、化合物 IIIAまたは IIICをX2 (こ
    こでG1 はX2 の官能基と共有結合することができる)
    と反応させて、還元型コルチゾール接合体IBまたはI
    Dを形成させ; (vi)場合により、化合物 IIIAまたは IIICをX2 −G
    2 と反応させて、還元型コルチゾール接合体IBまたは
    IDを形成させるという各段階を含んでなる方法。
  12. 【請求項12】 XがOであり、そしてX1 がウシ血清
    アルブミンである、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 Y1 がメチレンカルボニルオキシであ
    る、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 X2 がペルオキシダーゼであり、第一
    のカップリング剤が4−(N−マレイミドメチル)シク
    ロヘキサン−1−カルボン酸N−ヒドロキシスクシンイ
    ミドエステルであり、そして第二のカップリング剤がS
    −アセチルチオ酢酸N−ヒドロキシスクシンイミドエス
    テルである、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 コルチゾールについての競合アッセイ
    の実施方法であって、 A)コルチゾールを含む疑いのある試料を i) コルチゾールを結合する固定化されたまたは固定化
    可能なレセプターと接触させ、それにより固定化された
    または固定化可能なレセプターに結合したコルチゾール
    と、固定化されたまたは固定化可能なレセプターに結合
    しないコルチゾールとを形成させ、 ii) 下式 【化7】 (上式中、XはO、S、スルホニルまたはホスホノであ
    り;X1 は標識されたもしくは未標識の天然もしくは合
    成ポリマーであるかまたは標識であり;Y1 は連結基ま
    たは結合であり;X2 は標識されたもしくは未標識の天
    然もしくは合成ポリマーであるかまたは標識であり;Y
    2 は連結基または結合であり;A1 とA2は各々水素で
    あるか、またはA1 とA2 が一緒になって単結合を形成
    し、B1 とB2 は各々水素であるか、またはB1 とB2
    が一緒になって単結合を形成し、E 1 とE2 は各々水素
    であるか、またはE1 とE2 が一緒になって単結合を形
    成し、ただしA1 とA2 、またはB1 とB2 、またはE
    1 とE2 の少なくとも1つが各々水素であり、そしてX
    1 とX2 の少なくとも1つが標識された天然もしくは合
    成ポリマーであるかまたは標識である)を有する還元型
    コルチゾール接合体と接触させ、それにより固定化され
    たまたは固定化可能なレセプターに結合した標識還元型
    コルチゾール接合体と、固定化されたまたは固定化可能
    なレセプターに結合しない標識還元型コルチゾール接合
    体とを形成させ;そして B)試料中のコルチゾールの量の測度として、前記固定
    化されたまたは固定化可能なレセプターに結合した標識
    還元型コルチゾール接合体か、前記固定化されたまたは
    固定化可能なレセプターに結合しない標識還元型コルチ
    ゾール接合体のいずれかを検出するという各段階を含ん
    で成る方法。
  16. 【請求項16】 XがOであり、そしてX1 がウシ血清
    アルブミンである、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 Y1 がメチレンカルボニルオキシであ
    り、そしてX2 がペルオキシダーゼである、請求項16
    に記載の方法。
  18. 【請求項18】 X1 がペルオキシダーゼであり、Y2
    が(4−〔2,5−ジオキソ−3−{(2−エチルカル
    ボニル)スルファニル}テトラヒドロ−1H−1−ピロ
    リル〕メチル)−1−シクロヘキサンカルボニルであ
    り、そしてX2が西洋ワサビペルオキシダーゼである、
    請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記固定化されたまたは固定化可能な
    レセプターに結合しない標識還元型コルチゾール接合体
    から、前記固定化されたまたは固定化可能なレセプター
    に結合した標識還元型コルチゾール接合体を分離するこ
    とを更に含んで成る、請求項15に記載の方法。
  20. 【請求項20】 コルチゾールについての競合結合アッ
    セイの実施方法であって、該方法は a)展開区画、 b)1または複数の試薬区画、 c)支持体、並びに 前記区画の1区画または複数区画において一緒にまたは
    別々に、コルチゾールを結合する固定化されたレセプタ
    ー、および場合により下式 【化8】 (上式中、XはO、S、スルホニルまたはホスホノであ
    り;X1 は標識されたもしくは未標識の天然もしくは合
    成ポリマーであるかまたは標識であり;Y1 は連結基ま
    たは結合であり;X2 は標識されたもしくは未標識の天
    然もしくは合成ポリマーであるかまたは標識であり;Y
    2 は連結基または結合であり;A1 とA2は各々水素で
    あるか、またはA1 とA2 が一緒になって単結合を形成
    し、B1 とB2 は各々水素であるか、またはB1 とB2
    が一緒になって単結合を形成し、E 1 とE2 は各々水素
    であるか、またはE1 とE2 が一緒になって単結合を形
    成し、ただしA1 とA2 、またはB1 とB2 、またはE
    1 とE2 の少なくとも1組が各々水素であり、そしてX
    1 とX2 の少なくとも1つが標識された天然もしくは合
    成ポリマーであるか、または標識である)を有する標識
    還元型コルチゾール接合体を含んで成る乾式分析要素を
    使用し、 A)前記乾式分析要素の展開区画を i) コルチゾールを含む疑いのある試料と接触させ、そ
    れにより固定化されたレセプターに結合したコルチゾー
    ルと、固定化されたレセプターに結合しないコルチゾー
    ルとを形成させ、 ii) 前記標識還元型コルチゾール接合体が乾式分析要素
    中に存在しない場合には、その標識還元型コルチゾール
    接合体と接触させ、それにより前記固定化されたレセプ
    ターに結合した標識還元型コルチゾール接合体と、前記
    固定化されたレセプターに結合しない標識還元型コルチ
    ゾール接合体とを形成させ、 B)試料中のコルチゾールの量の測度として、前記固定
    化されたレセプターに結合した標識還元型コルチゾール
    接合体か、前記固定化されたレセプターに結合しない標
    識還元型コルチゾール接合体のいずれかを検出するとい
    う各段階を含んで成る方法。
  21. 【請求項21】 XがOであり、そしてX1 がウシ血清
    アルブミンである、請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 Y1 がメチレンカルボニルオキシであ
    る、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 X1 がペルオキシダーゼであり、Y2
    が(4−〔2,5−ジオキソ−3−{(2−エチルカル
    ボニル)スルファニル}テトラヒドロ−1H−1−ピロ
    リル〕メチル)−1−シクロヘキサンカルボニルであ
    り、そしてX2が西洋ワサビペルオキシダーゼである、
    請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記固定化されたレセプターに結合し
    ない標識還元型コルチゾール接合体から、前記固定化さ
    れたレセプターに結合した標識還元型コルチゾール接合
    体を分離することを更に含んで成る、請求項20に記載
    の方法。
  25. 【請求項25】 抗コルチゾール抗体の産生方法であっ
    て、 A)下式 【化9】 (上式中、XはO、S、スルホニルまたはホスホノであ
    り;X1 は標識されたもしくは未標識の天然もしくは合
    成ポリマーであるかまたは標識であり;Y1 は連結基ま
    たは結合であり;X2 は標識されたもしくは未標識の天
    然もしくは合成ポリマーであるかまたは標識であり;Y
    2 は連結基または結合であり;A1 とA2は各々水素で
    あるか、またはA1 とA2 が一緒になって単結合を形成
    し、B1 とB2 は各々水素であるか、またはB1 とB2
    が一緒になって単結合を形成し、E 1 とE2 は各々水素
    であるか、またはE1 とE2 が一緒になって単結合を形
    成し、ただしA1 とA2 、またはB1 とB2 、またはE
    1 とE2 の少なくとも1つが各々水素である)を有する
    還元型コルチゾール接合体を用いて宿主動物を免疫し、
    それによりコルチゾールを結合する抗体を産生させ; B)前記宿主動物の血清または血漿からコルチゾールを
    結合する抗体を単離し;または C)抗体産生細胞を含有する脾臓、リンパ系組織または
    他の組織を取り出し; D)前記抗体産生細胞を取り出し; E)前記抗体産生細胞からハイブリドーマを作製し; F)コルチゾールを結合する抗体を産生するハイブリド
    ーマを選択し;そして G)コルチゾールを結合する抗体を単離する という各段階を含んで成る方法。
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