JP2000136146A - プロテアーゼ阻害剤 - Google Patents
プロテアーゼ阻害剤Info
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Abstract
が認められる接触性皮膚炎、乾癬、尋常性天疱瘡、先天
性水疱瘡等の種々の皮膚疾患の他、乾燥や洗浄剤等によ
って惹起される肌荒れ、荒れ性に対して改善、予防効果
を有するプロテアーゼ阻害剤を提供する。 【解決手段】 セイヨウハッカ(Mentha piperita L.)
またはミドリハッカ(Mentha viridis L.)のようなシ
ソ科(Labiatae)ハッカ属(Mentha)あるいはバラ科
(Rosaceae)ボケ属(Chaenomeles)カリン(Chaenomel
es sinensis Koehne)の抽出物を有効成分として配合す
る。
Description
に関し、さらに詳しくは、患部においてセリンプロテア
ーゼの活性変化が認められる接触性皮膚炎、乾癬、尋常
性天疱瘡、先天性水疱瘡等の種々の皮膚疾患の他、乾燥
や洗浄剤等によって惹起される肌荒れ、荒れ性に対して
改善、予防効果を有するプロテアーゼ阻害剤に関する。
善・予防効果を有するものとして種々の治療薬、皮膚外
用剤、化粧料等が知られている。これらの薬剤や化粧料
等における有効成分としては、抗炎症作用を有する、あ
るいは保湿効果の高いアミノ酸や多糖、脂質、動植物の
抽出エキス等が、皮膚の炎症や角質層の水分の消失を防
ぐ能力に優れているために用いられてきた。しかしなが
らいずれにおいてもその肌荒れ改善・予防効果は必ずし
も十分ではなく、より優れた薬効剤の開発が期待されて
いた。
表皮細胞内のタンパク分解酵素(プロテアーゼ)が重要
な役割を果たしていると考えられているが(Ogawa H.,Y
oshiike T.:Int.J.Dermatol;23,1984)、近年種々の皮
膚疾患の病像形成には、特にプラスミンやプラスミノー
ゲンアクチベーター(PA)といったプロテアーゼの活
性変化が深く関与していることが明らかにされつつあ
る。例えば炎症性異常角化性疾患の代表である乾癬で
は、その患部表皮の錯角化部位に強いPA活性が存在す
ること(Haustein:Arch.Klin.Exp.Dermatol;234,1969)
や、乾癬鱗屑から高濃度の塩溶液を用いてPAを抽出し
たという報告(Fraki, Hopsu-Havu:Arch.Dermatol.Res;2
56,1976)がなされている。PAはプラスミンの前駆体で
あるプラスミノーゲンに特異的に働いて、それを活性な
プラスミンに変換するプロテアーゼである。また、尋常
性天疱瘡においては表皮細胞内で多量に産生されたPA
が、細胞外に存在するプラスミノーゲンをプラスミンに
転換し、このプラスミンが細胞間結合物質を消化するこ
とにより細胞間に組織液が貯留して表皮内水疱が形成さ
れることが、in vitroの実験系において明らかにされて
いる(Morioka S.:J.Invest.Dermatol;76,1981)。
み、本発明者らはプラスミンまたはプラスミノーゲンア
クチベーターといったプロテアーゼの活性変化に起因す
る種々の皮膚疾患、肌荒れ、荒れ性等の改善・予防には
プロテアーゼ阻害剤が有効であると考え、広く種々の物
質についてセリンプロテアーゼ阻害活性を調べた結果、
特定の植物抽出物が、トリプシン型セリンプロテアーゼ
に対して優れた阻害活性を有していることを見い出し、
これに基づき本発明を完成するに至った。
科(Labiatae)ハッカ属(Mentha)から選ばれる一種ま
たは二種以上の植物の抽出物を有効成分として含有する
ことを特徴とするプロテアーゼ阻害剤、およびバラ科
(Rosaceae)ボケ属(Chaenomeles)カリン(Chaenomel
es sinensis Koehne)の抽出物を有効成分として含有す
ることを特徴とするプロテアーゼ阻害剤である。また本
発明によれば、これらの植物抽出物を有効成分として含
有する抗プラスミン剤が提供される。
抽出物の抗プラスミン活性についての報告はこれまでに
ない。
用いられるシソ科(Labiatae)ハッカ属(Mentha)の植
物としては、セイヨウハッカ(Mentha piperita L.)ま
たはミドリハッカ(Mentha viridis L.)が挙げられ
る。植物抽出物の使用部位は、シソ科(Labiatae)ハッ
カ属(Mentha)植物については、好ましくはその葉、
茎、花部、根のいずれか、または混合物を用い、バラ科
(Rosaceae)ボケ属(Chaenomeles)カリン(Chaenomel
es sinensis Koehne)については、好ましくはその果実
を用いる。
のそれぞれの使用部位を、抽出溶媒と共に浸漬または加
熱還流した後、濾過し、濃縮して得ることができる。抽
出溶媒としては、通常抽出に用いられる溶媒であれば任
意に用いることができ、例えば、メタノール、エタノー
ル等のアルコール類、含水アルコール、アセトン、酢酸
エチルエステル等の有機溶媒を、単独あるいは組み合わ
せて用いることができる。また、抽出物を上記の溶媒を
用い、分配あるいはクロマトグラフィーのごとき精製等
の処理を加えて得られたものを用いることもできる。
用剤として用いられ、その場合の抽出物の配合量は、外
用剤全量中、乾燥物として0.005〜20.0重量
%、好ましくは0.01〜10.0重量%である。0.
005重量%未満であると、本発明でいう効果が十分に
発揮されず、20.0重量%を越えると製剤化が難しい
ので好ましくない。また、10.0重量%以上配合して
もさほど大きな効果の向上はみられない。
須成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用
いられる成分、例えば、保湿剤、酸化防止剤、油性成
分、紫外線吸収剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、アル
コール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄
養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリ
ウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖
剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、アルギニン、
トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブ
リジン、火棘の果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコ
フェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体または
その塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マ
グネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、
コウジ酸等の美白剤、グルコース、フルクトース、マン
ノース、キシリトール、ショ糖、トレハロース等の糖類
なども適宜配合することができる。
軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤
等、従来皮膚外用剤に用いるものであればいずれの形で
適用することもでき、剤型は特に問わない。
説明する。なお、本発明はこれにより限定されるもので
はない。配合量は重量%である。実施例に先立ち、本発
明の植物抽出物のプロテアーゼ阻害活性及び肌改善作用
(実使用試験)に関する試験方法及びその評価基準につ
いて説明する。
間、5倍量のエタノールに浸漬し、抽出液を濃縮乾固し
た。この固形物をジメチルスルホキシド(DMSO)に
溶解し、3%溶液を作製した。これを用いて以下の実験
を行った。 ミドリハッカ(Mentha viridis L.)抽出物 ミドリハッカの地上部50g(湿重量)を室温で1週
間、5倍量のエタノールに浸漬し、抽出液を濃縮乾固し
た。この固形物をジメチルスルホキシド(DMSO)に
溶解し、3%溶液を作製した。これを用いて以下の実験
を行った。 カリン(Chaenomeles sinensis Koehne)抽出物 カリンの乾燥果実50g(湿重量)を室温で1週間、5
倍量のエタノールに浸漬し、抽出液を濃縮乾固した。こ
の固形物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解
し、3%溶液を作製した。これを用いて以下の実験を行
った。
0%のプラスミノーゲン除去フィブリノーゲンを含むベ
ロナール緩衝液(0.125mol/l−NaOHを含
む25mmol/lバルビタール酸ナトリウム水溶液,
pH7.4)6mlを9cmφシャーレに注ぎ、そこに
1.0mol/l−CaCl2を0.2mlと25U/
mlのトロンビン0.1mlを加えて静かに混和し、1
時間放置した。フィブリノーゲンがフィブリンに変化す
ることによって形成された平板上に、5U/mlのプラ
スミンと被験物質を29:1の割合で混合した混合物
を、37℃で10分間保温した後20μl添加し、さら
に37℃で18時間放置した。対照として被験試料の代
わりにDMSOを用いて同様の操作を行い、その後、フ
ィブリンが溶解して形成された溶解円の面積を測定し、
下記の数式(1)によりプラスミン阻害率を求めた。結
果を表1に示す。
lのリン酸緩衝液にトリプシン20μgを溶かし、これ
に6.0%のカゼインを含む0.1Mリン酸緩衝液(p
H7.4)を0.9mlと、被験試料0.1mlを加え
て37℃で10分間保温した。その後、5%のトリクロ
ロ酢酸3mlを添加して室温に1時間放置し、3,50
0rpmで15分間遠心した後、その上澄みの280n
mの吸光度を測定した。なお、以上の操作をTest
(T)、トリプシンの添加の順序をトリクロロ酢酸の後
に変えたものをControl(C)、被験試料の代わ
りにDMSOを添加したものをStandard
(S)、Standardのトリプシン添加の順序をト
リクロロ酢酸の後に変えたものをBlank(B)と
し、下記の数式(2)によりトリプシン阻害率を求め
た。結果を表1に示す。
有するとされ、すでに肌荒れに対する適用が知られてい
る植物であるオオバク(Phellodendron amurense Rupre
cht)のエタノール抽出物についても上記と同様の試験
を行った。その結果を併せて表1に示す。
ハッカ抽出物およびカリン抽出物は、オオバク抽出物に
比べ、格段に優れたプロテアーゼ阻害活性を有すること
が分かる。
負けに対する改善効果、ならびに皮膚刺激性から評価し
た。その結果を表2に示す。なお試料としては、表2に
示すように、本発明品としてセイヨウハッカ(Mentha p
iperita L.)の地上部の50%エタノール抽出物の濃度
を変えたローションを2種、ミドリハッカ(Mentha vir
idis L.)の地上部の50%エタノール抽出物の濃度を
変えたローションを2種、カリン(Chaenomeles sinens
is Koehne)の乾燥果実の50%エタノール抽出物の濃
度を変えたローションを2種、比較品として、すでに肌
荒れに対する適用が知られているオオバクの50%エタ
ノール抽出物を配合したローションと、各抽出物を除い
たローションを用いた。
分け、ひげ剃り直後に表2に示す本発明品もしくは比較
品を塗布し、カミソリ負けに対する改善効果を判定し
た。判定基準及び評価は以下の通りとした。
準) 著効:カミソリ負けの消失したもの。 有効:カミソリ負けの弱くなったもの。 やや有効:カミソリ負けがやや弱くなったもの。 無効:カミソリ負けに変化を認めないもの。
率)が80%以上。 ○:被験者が著効、有効及びやや有効を示す割合(有効
率)が50%以上〜80%未満。 △:被験者が著効、有効及びやや有効を示す割合(有効
率)が30%以上〜50%未満。 ×:被験者が著効、有効及びやや有効を示す割合(有効
率)が30%未満。
発明品と比較品の皮膚刺激性について判定、評価した。
評価基準は以下の通りとした。
満。 ×:肌にヒリヒリ感を認めた被験者の割合が10%以
上。
抽出物、ミドリハッカ抽出物、カリン抽出物を1重量%
以上配合した本発明品のローションは、比較品のローシ
ョンよりもカミソリ負けに対して優れた改善効果を示
し、さらに皮膚刺激性も認められなかった。
人体パネルで肌荒れ改善効果試験を行った。即ち、女性
健常人(顔面)の肌のレプリカをレプリカ剤を用いて取
り、皮膚表面形態を顕微鏡(17倍)にて観察した。皮
紋の状態及び角層の剥離状態から以下に示す判定基準に
基づいて肌荒れ評価1、2と判断されたもの(肌荒れパ
ネル)各20名を用い、顔面左右半々に、本発明品1〜
6と比較品1,2のローションを1日1回、2週間塗布
した。2週間後、再び上述のレプリカ法にしたがって肌
の状態を観察し、判定基準にしたがって評価した。その
結果を表3に示す。
れる。 2:皮溝、皮丘が不鮮明、角層のめくれが認められる。 3:皮溝、皮丘は認められるが、平坦。 4:皮溝、皮丘が鮮明。 5:皮溝、皮丘が鮮明で整っている。
ョンは比較品のローションと比較し、顕著な肌荒れ改善
効果が認められた。
ウハッカエタノール抽出物と苛性カリを加え溶解し、加
熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融
解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加
え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応
を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、
よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱
融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備
乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくか
きまぜながら30℃まで冷却する。
して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解
して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜなが
ら徐々に加え反応を行う。その後、ホモミキサーで均一
に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
ーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチ
レングリコール1500とトリエタノールアミンを加
え、加熱溶解した70℃に保つ(水相)。他の成分を混
合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を
加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一に
乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却す
る。
加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱
融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながら
水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化した後、
よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
解し、一方、95%エタノールにセイヨウハッカ抽出
物、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコー
ルエーテルを溶解し、水相に添加する。次いで、その他
の成分を加えた後苛性ソーダ、L−アルギニンで中和さ
せ増粘する。
相を加えて可溶化する。次いでミドリハッカ抽出物を分
散させたC相をこれに加えた後充填を行う。
十分混合し、これにスクワラン〜オクタン酸イソセチル
の油性成分、カリン抽出物、防腐剤、香料を加え良く混
錬した後、容器に充填、成型する。
肌荒れを伴う種々の皮膚疾患、健常人の肌荒れ、荒れ性
等の改善・予防に優れた効果を有するプロテアーゼ阻害
剤を提供することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 シソ科(Labiatae)ハッカ属(Mentha)
から選ばれる一種または二種以上の植物の抽出物を有効
成分として含有することを特徴とするプロテアーゼ阻害
剤。 - 【請求項2】 シソ科(Labiatae)ハッカ属(Mentha)
の植物が、セイヨウハッカ(Mentha piperita L.)また
はミドリハッカ(Mentha viridis L.)である請求項1
記載のプロテアーゼ阻害剤。 - 【請求項3】 バラ科(Rosaceae)ボケ属(Chaenomele
s)カリン(Chaenomeles sinensis Koehne)の抽出物を
有効成分として含有することを特徴とするプロテアーゼ
阻害剤。 - 【請求項4】 シソ科(Labiatae)ハッカ属(Mentha)
から選ばれる一種または二種以上の植物の抽出物を有効
成分として含有することを特徴とする抗プラスミン剤。 - 【請求項5】 シソ科(Labiatae)ハッカ属(Mentha)
の植物が、セイヨウハッカ(Mentha piperita L.)また
はミドリハッカ(Mentha viridis L.)である請求項4
記載の抗プラスミン剤。 - 【請求項6】 バラ科(Rosaceae)ボケ属(Chaenomele
s)カリン(Chaenomeles sinensis Koehne)の抽出物を
有効成分として含有することを特徴とする抗プラスミン
剤。
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---|---|---|---|
JP31171598A JP4755741B2 (ja) | 1998-11-02 | 1998-11-02 | プロテアーゼ阻害剤 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003045412A1 (en) * | 2001-11-20 | 2003-06-05 | Susan Evelyn Anton | Mint extract and related pharmaceutical compositions |
JP2007277149A (ja) * | 2006-04-06 | 2007-10-25 | Kao Corp | インボルクリン発現促進剤 |
JP2008031095A (ja) * | 2006-07-28 | 2008-02-14 | Kao Corp | Scf結合阻害剤 |
JP2010138095A (ja) * | 2008-12-10 | 2010-06-24 | Kinki Univ | シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤及び化粧料 |
CN104523825A (zh) * | 2014-12-17 | 2015-04-22 | 东南大学 | 留兰香精油在制备治疗过敏性皮肤病药物中的应用 |
-
1998
- 1998-11-02 JP JP31171598A patent/JP4755741B2/ja not_active Expired - Fee Related
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